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悔物語
0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2020/09/13(日) 23:11:50.68ID:CO1ZywJY
 目の前が真っ暗になった。今まで築き上げてきたものが一瞬で崩壊する。そんなありきたりな文句から始まるそんな絶望の、地獄のような冬休み、その物語を僕は開示しなければならないだろう。美しく、艶かしく、官能的で、全く正しくない。そんな正義と対にあるような、全くもって悪そのもの、それを体現した冬休み。高校生活最後の冬休み。高校二年生の冬、クリスマス。後悔と反省と謝罪と罪悪感と、そして、懺悔と。そんな言葉とともに、僕は、あの地獄のような冬休みを語っていこう。
0002創る名無しに見る名無し
垢版 |
2020/09/13(日) 23:13:57.10ID:CO1ZywJY
 ずいぶんと長々と、冗長に前置きを語ってしまったが、ここで、その冬休み、地獄のような冬休みの物語を語る前に、僕の高校生活の始まりを開示しなければいけない。終わりを語るのであれば、始まりを語らねばならない。
 
 中学三年生の冬、いつものように友達と下校する。
「Sは池田高校に行くやんな?」
「いや、僕は全然勉強してないし、落ちるのが怖いから別の高校にするわ」
「嘘やろ?行けるって」
そんな進路に対しての的確なのかどうかも怪しい適当なアドバイスを聞きながら、僕はいつものように返す。
「偏差値の低い高校でふんぞり返ってた方が、進学校で落ちこぼれるよりいいよ」
もちろん、こんな理由で高校を選ぶわけはなく、だからと言って、何かより素晴らしい理由が存在するわけではない。単に、父親の母校だからである。信頼と実績の観点から選んだ。その当時、僕は変に反抗していたというか、あえて進学校に行くことを拒んでいた。まあ、本当に落ちこぼれる気がしていたというのもまた事実ではある。
「ふーん、もったいないなあ」
そんな他愛もない会話をもって、僕の進路は決した。
 というわけで、僕は父の母校、桜塚高校に入学した。正直、自分がその時どんな気持ちだったのか、よくわからない。覚えてないというわけではなく、わからないのだ。その当時から。
0003創る名無しに見る名無し
垢版 |
2020/09/13(日) 23:15:32.14ID:CO1ZywJY
 入学式を終え、ついに高校生活が始動した。この時はさすがに高揚した気分を覚えている。友達と呼べるような人間もクラスの中で多少できた。この瞬間までが、僕が、人間であった気がする。
 中学時代から続いて吹奏楽部に入部した。迷いはなかった。もはや、既定路線。それ以外の選択肢はなかったし、この選択は間違ってなかったはずだ。いや、これも僕がこの世に生まれてくるという選択が間違いではないという前提での話である。
0004創る名無しに見る名無し
垢版 |
2020/09/13(日) 23:26:24.79ID:CO1ZywJY
 仮入部初日、僕はあることに気づく。それは、仮入部をしている一年生の中に、男子が僕を除いて、一人もいなかった。この時点では、まだ僕は、誰か一人くらいは男子がいるだろうと楽観的に考えていた。友達に付き合って、柔道部の仮入部に参加した以外は、吹奏楽部に参加したが、男子は一人もいなかった。
そして、本入部。もはや男子は諦めていた。問題は、この女子二十人に対し男子一人という状況で二年半耐えられるのかということであった。入部してしまった以上、やめるという選択肢はなかったので、必然的にぼっち確定である。大丈夫。先輩には二人、男子がいる。その人たちと一緒に過ごせばいい。さあ、どうしたものか。中学時代と違って、なかなか打ち解けるのが難しいのであった。
学校の門を出て、そそくさと帰宅する。一緒に帰る同期などいるはずもなく、一直線に家を目指す。いや、もうやめてしまおうか。なんか仲良くなれる気がしないし、仲良くなる気も起きない。これは完全に僕が悪い。正直、全く楽しいとか、ワクワクするとか、そんな気分ではなかった。
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