「ムーちゃん」
マルコムと一緒にムーリンの姿が現れると、キンバリーはベンチから立ち上がった。
「ごめんね、遅くなって。モーちゃん……やられたって……聞いた」
ムーリンは駆け寄ると、キンバリーのふくよかな胸に顔を埋める。しかし涙は乾いていた。
「あんなに仲良かったのに……可哀想に」
ムーリンの髪を撫でるキンバリーの頬を涙が伝って落ちた。
「しょーがないよ」ムーリンは寂しそうな、しかし弱々しくはない声で言った。「そういう仕事してるんだもんね、あたし達」