公爵は黒い大剣をクローテルの頭に振り下ろしました。
それをクローテルは片手で受け止めます。

 「化け物め!
  魔神様、さらなる力を私に!」

公爵がさけぶと、魔神像に雷が降り注ぎ、同時に黒いもやがあふれます。
もやは公爵をおおって、その姿を一層まがまがしい物に変えました。
体はさらに巨大化して、手足が4本ずつ増え、もう何の生き物にも例え難い物になります。
力を得た公爵ですが、クローテルを押し切ることは出来ませんでした。
それ所か、逆に押し返されます。

 「こ、こんな事が……。
  魔神様!!」

クローテルは素手のまま、目にも留まらぬ速さで、公爵を殴りつけました。
分厚いよろいでも全く関係無く、公爵は吹っ飛ばされて地面に転がります。
それから魔神像に向けてゆうゆうと歩き出すクローテルを見て、公爵はあわてて立ち上がり、
やみを集めた4本の剣を持って、クローテルにおそいかかりました。

 「止めろっ、魔神様に手を出すな!」

公爵は巨体に似合わない速さでクローテルにせまり、4本の剣で同時に切りつけます。
クローテルは3本の剣をよけて、残る1本を抱え止め、体をひねって魔神像に投げつけました。

 「こんなバカなぁーっ!」

公爵は魔神像に叩きつけられ、またも地面に転がります。