彼女は魔導師会の人間には見えない。
勿論、一般人にも見えない。
そうなると反逆同盟の者か、或いは反逆同盟と戦う側の者か、どちらかだ。
ワーロックは身構える。
彼の反応に、白い法衣の女性は静かに言う。

 「それが一般人では無い証拠だ。
  私を見て、逃げるでも無く、静かに戦闘の決意をしている」

 「貴女は何者なのか?」

ワーロックの問に、彼女は答えない。

 「人の質問に、同じ質問をし返すな。
  お前が何者か答えてくれたら、答えよう」

ワーロックは数極の思案の後、彼女の要求に応じた。

 「私は反逆同盟と戦う者」

 「やはり一般人では無かったか……」

 「いや、一般人だ。
  魔導師では無い」

彼の言い分を白い法衣の女性は本気にしない。

 「魔導師では無いだけで、一般人でも無いのだろう?」

 「いや、一般人だ。
  共通魔法社会で暮らす、1人の共通魔法使いだ」

そうワーロックが言い切ると、白い法衣の女性は、困惑した様に沈黙した。