それからマールティン市の殆どの商店の店主等が集まり、ワーロックに要求した。

 「とにかく食べ物が優先だ」

 「出来れば、薄紙や洗剤も頼む。
  日用品も足りないんだよ」

 「魔力路が止められているのも何とかして貰いたい。
  真面に使えるのは水道しか無い」

全員に一遍に迫られて、ワーロックは後退しながら言う。

 「取り敢えず、皆さんで話し合って、優先順位の高い物を上から順に紙に書いて下さい。
  それを仕入れて来るので。
  出来れば、具体的な商品名で書いて貰えると嬉しいです」

それを聞いた各店の店主等は、顔を突き合わせて話し合った。

 「何は無くとも食料だ。
  日持ちするのが良い」

 「次は日用品で」

 「それは良いけど、品目も絞らないと」

その間にワーロックは、店内の空きだらけ陳列棚の様子を魔法で紙に転写する。
ああだ、こうだと話し合いは続いて、2角後に漸く結論が出る。
最初にワーロックと話した食品店の店主が、皆を代表して注文書を提出した。

 「取り敢えずは、これで頼む。
  戻って来るまで、どの位掛かりそうなんだ?」

 「往復で半日って所です。
  今からなら夕方か夜になります。
  それまでに次に頼む物を決めておいて下さい」

 「ああ、分かった」

こうしてワーロックは注文書を手にマールティン市を出る。