スルトは眉を顰めて答える。

 「先物相場は上がるか下がるかだ。
  どちらか判らなくても、2人に声を掛けて、1人には上がる、もう1人には下がると言えば、
  どちらかは当たる。
  確実に2日連続で当てたいなら、同じ調子で4人に声を掛ければ、1人が残る。
  10人相手に5日連続で当て続けるには、320人が必要だ」

 「逆に言えば、320人に声を掛ければ、10人は確実に騙せるな」

 「私も同じ事をしようとしていると言いたいのか?」

それは余りにも予知魔法使いを馬鹿にしていると、彼は憤った。
サタナルキクリティアは声を抑えて笑う。

 「くっくっく、悪かったよ。
  冗談だ、冗談。
  お前の指示に逆らおうと言う気は初めから無い。
  少し揶揄ってみただけだ。
  予知魔法使いなのだから、その位は解っていた筈だな?」

 「予知は言う程、万能でも完璧でも無い。
  ……今の所は」

 「頼り無いな。
  そんな事では困るぞ。
  お前の指揮に従うと言う事は、お前に命を預けているのだからな」

 「ああ、解っている。
  私に任せておけば、何も間違いは無い」

スルトは自信を持って言ったが、サタナルキクリティアが彼を見る目は酷く冷めていた。