0357創る名無しに見る名無し
2018/01/07(日) 18:40:38.93ID:OBQ3v2eI「……怪しい奴がファラドの秘書と会ってるってぇんだな?
それで俺に何をしろってんで?」
班員は怯んだ振りをして、気不味そうに言う。
「そ、そんな大した事じゃないんだよ。
もしかしたら何かあるかもって、勘だよ、勘。
エイムラクさん、治安維持部の執行者だろう?
職務質問でもして……、何にも無ければ、それで良いんだしさ」
「気軽に言ってくれるねぇ。
職質も巡回も、程度って物があんだよ」
都市警察にも、魔導師会法務執行部にも、その活動が市民生活の妨げになってはならないと言う、
同様の規定がある。
頻繁に職務質問や巡回を行えば、市民は何事かと不安になる。
そして、日常生活の些細な「違反」さえも咎められるのではないかと、圧力と脅威を感じる物だ。
しかし、班員は正論で応えたエイムラクを笑う。
「へ〜、エイムラクさんの口から、そんな殊勝な言葉が聞けるなんてね〜。
何時も強引な遣り口で課長に注意されてるのに、一向に態度を改めたりしないじゃないか」
エイムラクは眉を顰めた。
「俺だって、誰でも彼でも取っ捕まえてる訳じゃねえ。
この目で確り見極めてんだ。
そいつが怪しい奴か、どうかをな」
自らの目元を指して、彼は主張する。
彼は彼なりの正義で動いているのだ。
だが、班員は余り信用していない様子で、浅りと話を片付ける。
「はい、はい。
無理にとは言えないよ。
変な話をして悪かったね」
「あ、あぁ」
去り行く班員を呆然と見送り、エイムラクは溜め息を吐いた。
「ファラドか……」