シスターは目覚めと同時に、体の怠さを感じる。
マトラは彼女に優しく言う。

 「無事に終わったわ。
  暫くは血が出ると思うけど、心配しないで。
  出血が止まったら、又宜しくね」

そう言ってマトラはシスターに金封を差し出した。
詫び金とも、口止め料とも取れるが、マトラとしては謝礼金の積もりだ。
元手は協和会への寄付の一部である。
協和会に多額の寄付をすると、地下の特別室に案内される。
そこで寄付金額の大きかった者から、好きなシスターを選べる。
お相手をしたシスターには寄付金の5%が与えられる。
後日、妊娠が発覚すれば、更に5%を追加。
丸で人身売買組織……否、その物であろう。
協和会のシスターは心清らかな者ばかりではない。
寄付金を目当てに集まっている者も少なからず存在する。
貧しい者に権威と金品で言う事を聞かせ、それを利用して富める者の名誉欲と愛欲を満たし、
更に金品を集める。
協和会は主義主張の清潔さに反して、実態は堕落の象徴の様な所なのだ。
何も彼もが腐っている。
腐敗の塔は何れ瓦解する。
崩壊の時は近い。