【TRPG】ブレイブ&モンスターズ! [無断転載禁止]©2ch.net
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
――「ブレイブ&モンスターズ!」とは?
遡ること二年前、某大手ゲーム会社からリリースされたスマートフォン向けソーシャルゲーム。
リリース直後から国内外で絶大な支持を集め、その人気は社会現象にまで発展した。
ゲーム内容は、位置情報によって現れる様々なモンスターを捕まえ、育成し、広大な世界を冒険する本格RPGの体を成しながら、
対人戦の要素も取り入れており、その駆け引きの奥深さなどは、まるで戦略ゲームのようだとも言われている。
プレイヤーは「スペルカード」や「ユニットカード」から構成される、20枚のデッキを互いに用意。
それらを自在に駆使して、パートナーモンスターをサポートしながら、熱いアクティブタイムバトルを制するのだ!
世界中に存在する、数多のライバル達と出会い、闘い、進化する――
それこそが、ブレイブ&モンスターズ! 通称「ブレモン」なのである!!
そして、あの日――それは虚構(ゲーム)から、真実(リアル)へと姿を変えた。
========================
ジャンル:スマホゲーム×異世界ファンタジー
コンセプト:スマホゲームの世界に転移して大冒険!
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:マナーを守った上で可
○日ルール:一週間
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
======================== そろそろ、夕飯の支度をしなければならない。
父親は坊主の癖に金無垢の腕時計を嵌めてブガッティを乗り回すような超俗物だが、三度の食事はきっちり家で食べる。
毎日決まった時間になゆたが食事の支度をし、食卓の前でスタンバイしていなければ、途端に機嫌が悪くなるのだ。
崇月院家では三度の食事の時間は何があっても変わることはない。従ってなゆたもスケジュールをそれに合わせている。
買い物は既に済ませた。父と、自分と、それから真一。その妹の雪奈の分。
赤城家と崇月院家は共に母親がおらず、両家の母親的役割はなゆたがほぼ一手に引き受けている。
……尤も、真一は母親と死別しているが、なゆたの場合は単なる離婚なので母親とは定期的に会っているのだが。
とまれ、なゆたの中では真一と雪奈の分の食事を作るのは日常の一部となっている。
――今日はクリームシチューにしようかな。
そんなことを、ぼんやり考える。
今度の土曜日には、溜まっている洗濯をしよう。本堂の掃除は毎日しているけれど、本尊はしばらく磨いていないのでそれもやりたい。
そういえば、生徒会の仕事もやり残したことがある。頼りない生徒会長には任せておけない。
じきに中間テストの範囲も発表されるだろう。学年10位内はキープしておきたいので、勉強もする必要がある。
真一の赤点を回避させるため、家庭教師めいたこともしなければなるまい。
やることは山積している。それを順番に、着実にこなしてゆこう。
……しかし、それらに着手する前にやることがある。それは――
「ひゃぁぅっ!?」
ガクン!と突然起こった震動によって、なゆたは頓狂な声を上げて目を覚ました。
どうやら、機関車に揺られながら眠り込んでしまっていたらしい。
突然ワケのわからない(ゲーム的には知悉しているが)世界に放り出され、立て続けにバトルをさせられたのだ。
疲労して眠ってしまうというのも無理からぬことだろう。
しかし、てっきり王都キングヒルへ行くとばかり思っていた魔法機関車が停止している。――到着した、という訳ではないらしい。
>その、大変申し訳ありませン……燃料切れでございまス。
王都からこちら、今まで休みなく走り続けていたものでしテ……
魔法機関車の運転手を務めるブリキの兵隊、ボノがそんなことを言ってくる。
クリスタルがない、と慌てる一行。なゆたもスマホの液晶画面に視線を落とし、クリスタル(通称『石』)の残量をチェックした。
……やはり、減っている。
なゆたは18歳未満のため、基本的に月々の課金は5000円まで!と自らを戒めている。
が、少しでも魅力的なガチャやキャンペーンが開催されると、ついつい「おぉっと手が滑った!」と課金してしまう。
何せ金無垢の腕時計を嵌めブガッティを乗り回す住職のいる寺の一人娘だ。豪農(?)のみのりほどではないにせよ経済力はある。
従って、基本的に手持ちの石に不自由したことはなかったのだが――
「……ふーむ。これはちょっと、死活問題ね」
制服の短いプリーツスカートから伸びる、白いニーハイソックスに包んだ脚を組み替え、顎に右手を添えて唸る。
実際、今も10連ガチャを10回程度回すくらいの予備がある……にはある。
とはいえ、目減りしているのは事実だ。資源が有限である以上、いつかは枯渇してしまう。
どこかで減った分の石を補充する必要がある。
「…………」
スマホを操作し、『ショップ』のアイコンをタップする。
『クリスタルを購入する』をタップ。――が、いつもは出てくるはずの課金確認のポップアップが出ない。
やはり、課金などという安易な方法ではこの世界ではクリスタルを手に入れることはできない、ということらしい。
で、あれば―― 次善の策を講じようと思ったそのとき、手の中のスマホが小さく通知音を鳴らした。
スマホの左上に小さくブレモンのアイコンが現れ、新たなお知らせが届いたことを知らせてくる。
それを確認し、なゆたは思わず目を見開いた。あと二度見した。
新着クエスト――鉱山都市ガンダラで“ローウェルの指輪”を手に入れろ。
>報酬は……クリスタル9999個だって!?」
>なんだそのサービス末期みてーなインフレ具合は……
>ふふふ、ローウェルの指輪のクエストって初めてやし、楽しみやわぁ
>……は?
>っ、賢者シリーズをクエストで出すとか運営ご乱心ですか!?
それを見た他のプレイヤー(うちひとりは魔物)の反応は様々だったが、一様に驚きに満ちているというところだけは共通している。
が、それも無理のないことであろう。何せ、クエスト報酬は個数限定の超超超レアアイテム。
おまけに石9999個進呈と来れば、明神やメルトの「末期」「ご乱心」という感想も致し方ない。
単細胞の真一は報酬に一も二もなく飛びつくだろう。
心からゲームを楽しんでいます、という風情にはんなりなみのりも、このクエストも楽しもうとするだろう。
しかし。
――絶 対 無 理 。
なゆたの頭には、『QUEST FAILED』の文字しか出てこなかった。
大賢者ローウェル。
かつてキングヒルの王に代々使えた偉大な賢者で、この世界の1/3の魔法を編み出した――と(設定には)ある。
その魔術と知識へ向ける貪欲さは異常、偏執的でさえあり、アルフヘイムだけでは飽き足らず。
ついには闇の世界ニヴルヘイムの深奥にまで至ったという。
そんなアルフヘイムでは知らぬ者のいない大賢者ローウェルが、己の魔力の粋と叡智とを封じたと言われる指輪。
その指輪を嵌めた瞬間、牛馬ですらたちどころに高位魔法言語を喋り世の理を改編する魔法を使い出すという。
尤もそれは設定上の話で、ゲーム上でどんな働きをするのかまではなゆたは知らない。
いや、この中の誰も知るまい。何故なら、ローウェルの指輪はほとんど実在が疑われるようなレベルのアイテム。
攻略wikiにさえ実際の効果が記されていない、幻の存在なのだから。
むろん、ランカーのなゆたでさえお目にかかったことはない。
ただし。
なゆたはかつて一度だけ、ローウェルの指輪が手に入る『かもしれない』クエストにマルチで参加したことがある。
クエスト『転輾(のたう)つ者たちの廟』。
正規のストーリーをクリアした後で出てくる超高難度クエストのひとつである。
ストーリーモードのラスボス級が雑魚として群れで襲ってくるクエストで、ソロではまず攻略不可能と言われている。
なゆたはたまたまフォーラムに立てられていたメンバー募集のスレッドで名乗りを上げ、パーティーに加わった。
そして、その廟所の最下層で待ち構えていたボスが――誰あろう、大賢者ローウェルその人。
禁断の叡智を手に入れ、不死の魔物と化した大賢者の成れの果てだったのである。
ローウェルはとにかくバフとデバフを多用してくるイヤらしい敵で、なゆたのパーティーは散々翻弄され全滅した。
なお、その際の他のメンバーはベルゼブブ、メタトロン、バアル、カイザードラゴンなど、軒並みレイドボス級。
そんな選りすぐりのパーティーでさえ敵わなかったバケモノ、それが大賢者ローウェルなのだ。
ローウェルの指輪が手に入り、なおかつクリスタルが9999個も貰える。
そんなムシのいいクエストがホイホイ達成できるレベルで転がっているわけがない。
おいしいアイテムと報酬には、それなりの難度が付いて回るものだ。
もし目先の報酬に欲が眩んで、ローウェルご本人とご対面……などということになったら――
――うん、無理。無理無理無理、160%無理!
なゆたは断言した。
ここで今一度、魔法機関車内にいるメンバーとパートナーを見てみよう。
真一のレッドドラゴン。レア度は高いものの、育成がまだまだ。
まして搦め手をまったく考えない猪武者の戦い方では、ローウェルに指一本触れられず撃墜されるのがオチだ。 明神のリビングレザーアーマー。
マスターの明神自体は手慣れたプレイヤーだろうと思うが、いかんせんリビングレザーアーマー自体が心許なすぎる。
スルメであるという事実はまったく否定しないし評価もするが、超高難度に連れていけるモンスターではない。
みのりのスケアクロウ。
これは役に立つ。例えローウェルとの対決になったとしても、自分の役割をきっちりこなしてくれるだろう。
しかし、スケアクロウ単体では火力は出せない。メインアタッカーがいてこそ光るモンスターなので、単品ではどうしようもない。
ウィズリィと原初の百科事典。
こちらはまだ未知数だ。モンスターとしては、いずれも育てれば強力な魔法を使いこなすというのはわかっている。
が、現状彼女たちがどれほどの強さなのかまではわからない。大賢者に勝るレベルとは考えづらかった。
しめじとレトロスケルトン。
……………………う、うん。
そして、自分とスライム。
ポヨリンは種族の限界を遥かに突破して鍛えてある。属性有利なら、タイマンでドラゴンを屠れる自信もある。
ただ、ひとりでは無理だ。ローウェル討伐にはパーティーの力が、それも緻密な計算とチームワークがなければいけない。
ベルゼブブを倒せたこと自体、奇跡のようなものである。急造メンバーで大賢者を仕留められるとは到底思えない――が。
>――どうやら、次の目的地が決まったみたいだぜ
案の定と言うべきか、真一はもうやる気らしい。
これについてはもう分かり切っていたことなので、特に驚かない。が、言うべきことは言っておこうと思う。
>向かう先に異論はないよ、真一君。
明神も異論はないらしい。それより交通の足の方が気になっているようだ。
確かに、徒歩での移動は時間もかかるし、何よりモンスターとのエンカウントの危険がある。よけいな消耗は避けるべきだ。
さすが年長だけあって年下への気配りが出来ている、となゆたは単純に感心した。
>お互い手の内知ってた方が連携しやすいやろ?
みのりに至っては、自らの手の内まで明かしている。
ブレモンの楽しみ方は人それぞれだ。気の合う仲間とパーティープレイする者もいれば、ソロに徹する者もいる。
他のプレイヤーは味方になる場合もあれば、敵になる場合もある。
そんな中、自分のデッキというのは命綱となりうる。よってプレイヤーは通常、滅多にデッキ編成を他人に見せないのだ。
「み、みのりさん!そんな、軽々しく自分のデッキを――」
思わず、慌ててみのりのスマホの液晶画面を手のひらで隠そうとする。
とはいえ、敢えて手の内を見せるというのは彼女がそれだけ皆を信用している、もしくはしようとしていることの証拠だ。
そんな彼女の心を自分が無碍にするのは筋違いだと、なゆたはすぐに手を下ろした。
「……えと。あとで、わたしのデッキも見せますね。信頼の証として」
自分の非礼を詫び、それから小声でみのりに言う。ガンダラへ行く道すがら、みのりには自分のデッキを公開しようと決める。
>其疾如風(コマンド・ウインド)。味方に空を飛ぶ力を与えるスペルよ。
そして、明神に質問されたウィズリィが空飛ぶ箒や絨毯の代わりに提示したのは、飛行の魔法。
空を飛ぶなんて体験は当然未体験だ。いかにも異世界といった提案に心が躍ったが、こほん、と空咳を打って平静を装う。
>……あと、その話は本当に信用できるのよね?
「それについては、心配ないと思うわ。基本、通知がウソをつくなんてことはないし。そんなの本気で運営に問い合わせ案件だもの。
第一……この通知はわたしたちを導いている気がする。わたしたちが進むべき道へ」
この世界に運営なんているわけがない。ということは、この通知を皆のスマホへ送っているのはいったい誰なのだろう?
神か。悪魔か。それとももっと得体の知れない何かか―― 「……で。みんな、ちょっといいかしら?」
皆の意見がガンダラへ行くということで固まりかけたそのとき、徐に車内の全員に対して言う。
「ガンダラへ行くっていうこと自体は、わたしも賛成よ。というか、それしか選択肢はないみたいだしね」
ウィズリィの飛行魔法でキングヒルまで行き、石よこせ! と王に直訴するという方法もあったが、それは言わない。
「ただし、ローウェルの指輪のクエストについては、すぐに飛びつかない方がいいと思う」
そう前置きして、先程考えたその根拠を説明する。
ひとつ、ローウェルの指輪は実在さえ疑われるレベルの超絶激レアアイテム。そう簡単に手に入るとは思えない。
ひとつ、通常のクエスト報酬が石3〜5個。クリアに1週間かかる最高難度クエストの報酬が石20個。それに対する9999個。
ひとつ、自分はかつてローウェルの指輪を手に入れようとして盛大にコケた。
ひとつ、もしローウェル本人と戦う羽目になったら、どうひっくり返ってもこのメンバーでは勝てない。
……とはいえ、このクエストが〇周年記念キャンペーンばりのボーナスクエストだという可能性もないわけではない。
気休めにもならないかもしれないが、一応そちらの説明もしておく。
根拠としては、かつてなゆたがコテンパンにされたローウェルの住処『転輾つ者たちの廟』はガンダラとは違う地域にある。
第一、クエスト名が違う。報酬が一緒の別クエスト、という線もあるかもしれない。
「だから。まずガンダラへ行ってみて、クエストの内容をよく確認してからチャレンジするかどうか決めましょ。
無理だと思ったらやめる。勿体ないと思うけど……命の方が大切、だもの」
そう、自分たちが現在いるのは単なるゲーム画面ではない。
疲労もすれば腹も減る。眠気もあるし、トイレにだって行きたくなる――現実の世界なのだ。
ゲームで死んでも『クエスト失敗』と言われて悔しい思いをするだけだが、ここではそれだけで終わる保証はない。
本当に死ぬ可能性だって充分にあるのだ。
そもそも、新着クエストの通知が来たからと言ってそれを絶対に受けなければいけないという決まりはない。
ガンダラは素材掘りの聖地であり、クエストそっちのけでツルハシ片手に日々掘削作業に明け暮れるプレイヤーも少なくない。
初心者から熟練者まで多くのプレイヤーがおり、クエストの数も多い。
リスキーな石9999個クエは早々に諦めて、もっと堅実に石10個くらいのクエストを多くこなしていくという方法もあるのだ。
こちらは王都へ行くだけの魔法機関車の燃料と、自分たちのスマホのバッテリー分を確保できればいいのだから。
ローウェルの指輪はプレイヤー垂涎の品だが、なゆたはその入手に対して執着がほとんどない。
元々スライムを極限まで鍛えているような片寄ったプレイヤーである。レアリティにはさして価値を見出していないのだった。
「特に、真ちゃん。敵は強ければ強いほど燃える! な〜んて言うのは厳禁だから!
ここから先はパーティープレイよ。真ちゃんの身勝手な行動で、みんなが危険に晒されるの。
自分のせいで全滅! なんてイヤでしょ?」
ぴしり、と真一の鼻先に人差し指を突き付ける。
「ま……真ちゃんもそろそろソロプレイじゃなくて、マルチの楽しさを覚えるべきって思ってたから。
これはいい機会かもね……だから、ちゃんとみんなのことを考えなくちゃダメよ」
いつも真一のブレーキ役となってきたなゆたである。その立ち位置は異世界へ転移しても変わらない。
自分ひとりならいくらでも真一に合わせられるが、これからはそうはいかない。
マルチで大切なのは譲り合いの心だ。真一もそれを知っていい、と思う。
「……もちろん、それはわたし個人の意見だから。どうしてもこのクエをやりたいって言うなら、それも正当な意見だと思うけど、ね」
とにもかくにも、ガンダラへ行ってみてから決めることだ。当座の拠点も確保したいし、食べ物やベッドも恋しい。
自分の準備はとっくにできている。今すぐ飛んでも構わない、となゆたはウィズリィを見た。
……しかし。 >あ……あの。飛ぶ前にですね……私、クリスタルが無くて……どなたか貸してください、お願いします……。
あと!あと、その……ガンダラに付いたら、どなたか傍に居てくれませんでしょうか……?
不意に、それまで捕獲された栗鼠のように隅の方にいた少女――メルトが切羽詰まったような声を上げた。
大なり小なり経験者らしい他のメンバーと違い、この少女だけは正真正銘の初心者……のように、なゆたには見えた。
少なくとも、彼女の言動を疑うようなことはしなかった。
よもや自分より年下の少女が日常的に不正行為を繰り返す悪徳プレイヤーだとは夢にも思わない。
よって今の言動に対しても、
――そうだよね。真ちゃんがいたわたしと違って、こんなところにひとりで放り出されて。不安に決まってるよね。
と考え、多少の怪しい言動もまったく疑問に思うことはなかった。
スマホの液晶画面をなぞり、フレンド画面を開く。
「わたしでよければ、あげるよ。まだ石には余裕があるから――。しめじちゃん、ID教えてくれる? フレンドになろう」
フレンドになればプレゼントボックスで石の譲渡ができる。
また、フレンド間では相手のステータスも確認できる。レベルとランキングも表示されるので、こちらの実力もわかることだろう。
とりあえず、クリスタルを20個ほどメルトへプレゼントしておく。
「ここにいる人たちは、みんなしめじちゃんのことをひとりになんてしないと思うけれど。
でも、不安だって言うのはよくわかるから。一緒にいよう? 大丈夫! わたし、こう見えて結構強いし!」
メルトに視線を合わせ、にっこり笑って右手を差し伸べる。一緒に手をつないで歩こうか――そんな仕草。
真一の妹、雪奈とは姉妹のように育ったなゆただ。面倒見がよく、年下のために骨を折ることを苦と思わない。
また、現在はすっかりやらなくなってしまったが、小学校卒業まではなゆたも赤城家で剣道を嗜んでいた。
全国大会で名を馳せた真一には遠く及ばないが、同年代の女子高生に比べれば動ける方である。
「ポヨリン、いいわね? イザってときはわたしより、しめじちゃんを守ってあげて」
『ぽよっ!』
ポヨリンにメルトのボディガードを任せると、ポヨリンは眉間を引き締め気合の入った(?)表情でぽよんと跳ねた。
それから、メルトの胸にぽよよんと飛び込んでゆく。
「――さて……。わたしは準備いいわよ、ウィズリィ。いざ、鉱山都市ガンダラへ!!」
メルトの望み通り傍らに立つと、ウィズリィに対して告げる。
全員の準備が整ったなら、さっそく飛翔の魔法でガンダラへと飛ぶことになるだろうか。
まるでアメリカの西部開拓時代のように、ゴールドラッシュに湧く鉱山都市。
誰も彼もが一獲千金を求めて素材を掘り、鉱山に出没するモンスターを狩りに赴く。
素材に、金(石)に、モンスター。何かを手に入れたいと欲するなら、ガンダラほどお誂え向きの場所はない。
明神たちの例に漏れず、ゲームではなゆたも嫌と言うほど世話になった場所だが、実際に向かうその地は果たしてどんな所なのだろう。
ぐっと拳を握って逸る心を押さえつけながら、なゆたはウィズリィが魔法を唱えるのを待った。
【みのりにだけデッキ公開】
【指輪クエに対しては懐疑的かつ及び腰。慎重論を主張】
【メルトの希望を承諾。少々のクリスタルを譲渡】 なゆた、ウンコの召喚忘れてるよ
いつになったらハイパーウンコの正体現すの? ここもブリーチャーズに改名したら?
糞を駆逐する必要がある 糞・糞・糞 投稿者:変態糞なゆた (10月19日(木)23時27分36秒)
俺は糞まみれになってお互いにけつの穴や口にちんぽを突っ込みあいながら、狂うのが大好きや。
浣腸してお互いにちんぽ尺八しながら、顔の上に糞をだしながら、やりまくろうぜ。3人でやると写真が取れる
のでやってやってやりまくりたいぜ。
岡山県の県北なら最高だえ。年齢は年上の親父・爺さんならいいが、糞まみれになれるなら30代でもOKだぜ。
もう糞に最近飢えてるので、徹底的にやろうや。又野外で浮浪者にせんずりを掻いて見せ合うのも大好きや。
野外撮影もOKだぜ。
わしが浮浪者の汚れたちんぽ舐めているのをデジカメで撮ってくれるやつもいいなあ〜。163*85*53の
変態よごれ親父や。至急連絡くれや。 ハイパーウンコの降臨まだですか?
あ、これ質雑です なんか足りないというか、
もう一人カリスマウンコタレントが
必要な気がしますね。
降臨を希望します。 ウンコなゆた:TRPG荒らしの主犯
五穀みのり:糞文章
ウィズリィ:遅レス魔
この三人いらなくねえ?w >>290
戦犯具合だとな
97:1:2ぐらいだけどな ハイパーウンコより上の何かは来ないのか
降臨を望む >「向かう先に異論はないよ、真一君。だがここからまた半日歩き詰めというのはかなりしんどい。
俺や君は問題なくとも、ここには女の子もいるんだ。レッドラの背中に何人か乗せられないか」
>「ウィズリィちゃんや、何か便利な乗り物とか借りられないか。魔女の箒とかそういうの、あるだろ?」
>「あらあら、あらあら、そうやねえ。
魔法のじゅうたんがあらはったらみんなで乗れるしええんやなぁい?
どのみち現地ガイド役がおってくれるとありがたいわ〜」
“考えるよりもまず行動”を信条としている真一は、今すぐにでもガンダラへすっ飛んで行きたいところだったが、確かに明神らの懸念も一理ある。
ゲームの中とは違い、この世界にいる自分たちは疲れもすれば傷付きもする、生身の人間なのだ。
ガンダラまでの道中にもモンスターは現れるだろうし、余計な消耗を避けられるならばそれに越したことはない。
「うーん、グラドはまだ成体じゃねーからなぁ……。三人くらいなら乗せられるだろうけど、この全員ってのはちょっと厳しいぜ」
しかし、幾らレッドドラゴンとはいえ、まだ体のサイズもそこまで大きく成長していないグラドでは、大勢の人間を乗せて飛ぶことはできない。
真一が両腕を組みつつ唸り声を上げていると、そこにウィズリィが助け舟を出してくれた。
>「其疾如風(コマンド・ウインド)。味方に空を飛ぶ力を与えるスペルよ。
これを使えば、それほど疲れもなく目的地……鉱山都市ガンダラまでつけるんじゃないかしら。
魔力のリチャージも、ブックのスキルのおかげでそれほど負担にはならないしね」
――曰く、彼女の保有するスペルを使えば、ガンダラまで文字通り飛んで行けるらしい。
効果時間がそこまで続くのかどうか気になったが、どうやら魔力を再充填する手段も用意してあるようだ。
異邦者たちの案内人を自称しているだけあって、流石に頼りになると真一は感心する。
>「あ……あの。飛ぶ前にですね……私、クリスタルが無くて……どなたか貸してください、お願いします……。
あと!あと、その……ガンダラに付いたら、どなたか傍に居てくれませんでしょうか……?」
>「わたしでよければ、あげるよ。まだ石には余裕があるから――。しめじちゃん、ID教えてくれる? フレンドになろう」
さて、移動手段も決まって早速出発しようかという矢先、メタルしめじと名乗った女子中学生が、自分のクリスタル残量を見て狼狽し始めた。
元々初心者のようだし、所持していたクリスタルも少なかったのだろう。
真っ先にクリスタルを譲った世話焼きのなゆたに続いて、真一も自分のクリスタルを譲渡することに決める。
「俺も少し分けてやるよ。こっちに来てから結構減っちゃったから、そんなに沢山は渡せないけどさ。
……それと、お前は必ず元の世界まで連れて帰るって言ったろ? 俺たちが守ってやるから心配すんなって!」
真一は幾つかのクリスタルをプレゼントした後、自分の胸をドンと叩きながらそう言って見せる。
真一もなゆたと同じで、困っている後輩などに助けを求められたら、放っておけない性分なのだ。
メルトに言われるまでもなく、彼女を一人置き去りにして行くつもりなどは微塵もなかった。
* * * そんなこんなで車中でのやり取りを終えた真一たちは、日が暮れる頃にはガンダラに到着した。
道中は真一となゆた、メルトの三人はグラドの背に乗り、残りの三人はウィズリィの魔法で飛翔。
行程の途中で魔力を回復するために何度か休養を取ったが、それでも特に危険な目に合うこともなくここまで来れたのは、空路を選択した賜物だろう。
真一はスマホで地図を開きつつ、ついでに自分のデッキをチェックする。
あれから大分時間も経ったので、昨晩のベルゼブブ戦で使用したカードは全てチャージが完了していた。これで、この街の探索にも支障はない。
「……にしても、夜だってのに随分と活気のある街だなぁ。流石にゴールドタウンって呼ばれてるだけあるわ」
そして、真一は多種多様な人々で賑わうガンダラの街並みを一瞥し、思わず溜息をこぼす。
アルメリアの金脈と称される街――鉱山都市ガンダラ。
南部の国境沿いに連なるフレイル山脈の麓に位置し、地理的には辺境の土地であるにも関わらず、鉱山から採取される豊富な鉱物資源によって発展し、今ではこうして各地から様々な商人や冒険者が訪れる大都市になった。
――ちなみに、ブレモンの世界にも人間は存在する。
現実世界の人間に極めて近い特徴を持った、ヒュームと呼ばれる種族。
或いはファンタジーさながらのエルフやホビットといった亜人種も存在し、このガンダラでは原住民であるドワーフたちが数多く住まい、鉱山での採掘などの仕事に勤しんでいる。
見渡してみると、今日も仕事を終えた彼らがこうして街に降りて来て、仲間と酒場を探している様子などもチラホラとあった。
「さて、俺たちもまずは今夜の宿と、メシでも食えるところを探そうぜ。もう不味いアイテムのパンは食い飽きちまったよ」
そこで、真一はともあれ今晩の宿を確保しようと提案する。
長旅で皆も疲れているだろうし、それに何よりもいい加減まともな食事を口にしたいという気持ちもあった。
アイテムのパンを齧って飢えを凌ぐことはできたが、味についてはとても食べられたものではなく、この二日間で軽くノイローゼになっている。 「……ん? あっちの方で何か賑わってんな」
――と、宿を探しながら街を歩いていたところで、何やら路上に人集りができているのに気付いた。
「さぁー、次のチャレンジャーはいないかい? 参加費用は1000ルピ。もしもこいつに勝つことができたなら、今までの賭け金は総取りだぁ!」
気になってその様子を覗き込んでみると、そこには一つのテーブルを挟むようにして、二脚の椅子が置かれていた。
片方には見るからに屈強そうなオークが腕を組んで座り、その傍らにヒューム族と思われる男が立ち、声を張り上げて群衆に煽りを入れていた。
「おーし、次は儂が相手だ!!」
そんなオークに挑むべく、今度は一人のドワーフが対面の席に着いて1000ルピ(ゲーム内通貨)分の金貨をテーブルに積み上げる。
そして、台上でオークと腕を組み合わせると、司会の男の掛け声に従って一気に力を込める。
――いわゆる、アームレスリングというやつだ。
要するに参加費用として1000ルピを渡し、もしもこのオークに腕相撲で勝つことができたなら、今までの賭け金を全て貰えるというルールなのだろう。
見れば台上には既に結構な量の金貨が積み上がっており、オークがかなりの相手を打ち倒してきたのが分かる。
そして、今まさにチャレンジャーとして名乗りを上げたドワーフも、同じように瞬殺されていた。
力自慢で有名なドワーフ族をこうも簡単に捻じ伏せてしまえるあたり、オークが秘めたる膂力の程が窺い知れた。
「おーっと、そこの興味有りげに見ている坊っちゃん! 次は君が参加してみるかい?
……って、君みたいな子供が、こいつの相手になるわけないかぁ!」
すると先程からそんな様子を眺めていた真一を見て、司会の男が声を掛けて来た。
相手からすれば、周囲を沸かせるためのマイクパフォーマンスの一つだったのだろう。
狙い通り観客からはどっと笑い声が上がって、真一を煽り立てるような暴言も飛ぶ。
だが、それと同時――真一の脳内では「プチッ」と血管の切れる音が鳴り響いていた。
真一はスマホから取り出した金貨をテーブルに叩き付けると、オークの対面の椅子に勢い良く腰を下ろす。
「お、おいおい……本気かい? 君じゃ腕がもがれるかもしれないよ?」
「……テメーが売ってきた喧嘩だろうが。買ってやるから、さっさと始めようぜ」
司会の男はまさか真一が本気になるとは思っていなかったらしく、先程まで騒いでいた観客たちも、ざわざわと妙な空気に包まれる。
相手はオークという歴としたモンスターであり、身長は2メートルを超える巨漢。体重だって真一の三倍くらいはありそうだ。
どう見ても戦いになるわけがなく、真一が無事で済まないのではないかという心配の声も囁かれ始めた。
――が、勝負が始まった次の瞬間、観客は一様に信じられない光景を目撃する。
真一が満身の力を込めて振り下ろした右手で、オークの腕がテーブルに叩き付けられていたのだ。
しかも、あろうことかその勢いでオークは椅子から転げ落ち、真一の腕一本でひっくり返されていた。
そんな様子を目にして絶句する群衆の中で唯一人、真一だけが悪役のように不敵な笑みを浮かべていた。
「――悪いな、俺の総取りだ」
無論、力比べでオークに勝てるわけがない。
ならば何をしたのかと言うと、スペルカードを使ったのである。
真一はオークと腕を組み合わせる直前、こっそりとポケットから取り出したスマホを操作して〈限界突破(オーバードライブ)〉のスペルを発動。
魔法によって底上げされた身体能力を以て、オークとの戦いに挑んだのだ。
相手の油断もあったし、あのベルゼブブの羽を斬り落とした時のことを思えば、これくらいの芸当は造作もなかった。
また、こんなところでスペルを無駄撃ちしてしまったことをなゆたに咎められるんだろうな――と、真一の脳裏には嫌な光景が浮かんでいた。
【すいません、大分遅くなってしまいました……!
ガンダラに到着し、とりあえずは自由に街の散策という感じで】 その叩いた場所には
ウンコが落ちていた!
グレートウンコの降臨まだー? その叩いた場所には
ウンコが落ちていた!
グレートウンコの降臨まだー?
降臨を望む
猛烈に降臨を望む
お前が必要だ、ザグレートウンコ!! おう
見とるで
>
それを見た他のプレイヤー(うちひとりは魔物)の反応は様々だったが、一様に驚きに満ちているというところだけは共通している。
が、それも無理のないことであろう。何せ、クエスト報酬は個数限定の超超超レアアイテム。
おまけに石9999個進呈と来れば、明神やメルトの「末期」「ご乱心」という感想も致し方ない。
単細胞の真一は報酬に一も二もなく飛びつくだろう。
心からゲームを楽しんでいます、という風情にはんなりなみのりも、このクエストも楽しもうとするだろう。
しかし。
――絶 対 無 理 。
なゆたの頭には、『QUEST FAILED』の文字しか出てこなかった。
大賢者ローウェル。
かつてキングヒルの王に代々使えた偉大な賢者で、この世界の1/3の魔法を編み出した――と(設定には)ある。
その魔術と知識へ向ける貪欲さは異常、偏執的でさえあり、アルフヘイムだけでは飽き足らず。
ついには闇の世界ニヴルヘイムの深奥にまで至ったという。
そんなアルフヘイムでは知らぬ者のいない大賢者ローウェルが、己の魔力の粋と叡智とを封じたと言われる指輪。
その指輪を嵌めた瞬間、牛馬ですらたちどころに高位魔法言語を喋り世の理を改編する魔法を使い出すという。
尤もそれは設定上の話で、ゲーム上でどんな働きをするのかまではなゆたは知らない。
いや、この中の誰も知るまい。何故なら、ローウェルの指輪はほとんど実在が疑われるようなレベルのアイテム。
攻略wikiにさえ実際の効果が記されていない、幻の存在なのだから。
むろん、ランカーのなゆたでさえお目にかかったことはない。
おぉ、なゆた、出るう!!!
ブリブリブリブリ・・・・」!!!! おう
見とるで
>
それを見た他のプレイヤー(うちひとりは魔物)の反応は様々だったが、一様に驚きに満ちているというところだけは共通している。
が、それも無理のないことであろう。何せ、クエスト報酬は個数限定の超超超レアアイテム。
おまけに石9999個進呈と来れば、明神やメルトの「末期」「ご乱心」という感想も致し方ない。
単細胞の真一は報酬に一も二もなく飛びつくだろう。
心からゲームを楽しんでいます、という風情にはんなりなみのりも、このクエストも楽しもうとするだろう。
しかし。
――絶 対 無 理 。
なゆたの頭には、『QUEST FAILED』の文字しか出てこなかった。
大賢者ローウェル。
かつてキングヒルの王に代々使えた偉大な賢者で、この世界の1/3の魔法を編み出した――と(設定には)ある。
その魔術と知識へ向ける貪欲さは異常、偏執的でさえあり、アルフヘイムだけでは飽き足らず。
ついには闇の世界ニヴルヘイムの深奥にまで至ったという。
そんなアルフヘイムでは知らぬ者のいない大賢者ローウェルが、己の魔力の粋と叡智とを封じたと言われる指輪。
その指輪を嵌めた瞬間、牛馬ですらたちどころに高位魔法言語を喋り世の理を改編する魔法を使い出すという。
尤もそれは設定上の話で、ゲーム上でどんな働きをするのかまではなゆたは知らない。
いや、この中の誰も知るまい。何故なら、ローウェルの指輪はほとんど実在が疑われるようなレベルのアイテム。
攻略wikiにさえ実際の効果が記されていない、幻の存在なのだから。
むろん、ランカーのなゆたでさえお目にかかったことはない。
お前が絶対無理だわなゆたァ!!
ブリブリブリブリ・・・・」!!!! 覇権スレブレモモン
いつから荒らしの魔窟になった? 立てた人間
盛り上げた人間
それが荒らしだった
ただそれだけのこと >「うーん、グラドはまだ成体じゃねーからなぁ……。三人くらいなら乗せられるだろうけど、この全員ってのはちょっと厳しいぜ」
俺の提案に真ちゃんは渋い顔をした。こいつわりとこえー顔してっからちょっとビビるわそれ。
え、ていうかレッドラってアレまだ成長期なの?攻略Wikiにゃ文字情報しか載ってねーからわかんなかったけど。
あれよりデカくなるとかもはやレイド級だろそれ。超低確率とは言えリセマラでそんなん出すなよ運営……。
>「残念ながら、そういうのはないわね。
魔女の箒は、私個人の飛行魔法の補助をするものだから、複数人での使用には不向きだし。
片やウィズリィちゃんも、俺の問いに首を横に振った。
いいんだぜ俺は君と箒にニケツでもよぉ……他の連中レッドラに乗せて俺はウィズリィちゃんとタンデム。
これで万事解決じゃん!真ちゃん?適当にマラソンでもさせとけば。
俺が頭の中で完璧なプランを立てていると、どうやらウィズリィちゃんには対案の用意があったようだ。
>「其疾如風(コマンド・ウインド)。味方に空を飛ぶ力を与えるスペルよ。
これを使えば、それほど疲れもなく目的地……鉱山都市ガンダラまでつけるんじゃないかしら。
「有能かよ。でも俺はニケツでもいいのよ……ニケツしよ?俺と君でさぁ」
当初のプランに頑なに固執する俺の声なき抗議は仕事の出来る魔女っ子の提案によって叩き潰された。
お兄さんかなしい……女の子とニケツしたかった……。
でもまぁこれが最適解だろうな。いわゆる飛行魔法は移動狩りが楽になるからガチ勢の間でも検証が進んでる。
魔力効率の良い飛び方とか、空中補給の方法なんかも、俺はWiki情報で知ってるから、低コストでガンダラまでいけるだろう。
>「何か事前に準備があるならしておいて頂戴。準備ができ次第、スペルを使って飛ぶことにするから。
……あと、その話は本当に信用できるのよね?」
「それについては問題ない。この世界の唯一絶対の神から啓示が降りてるからな」
さて、ウィズリィちゃんがいわゆるNPCのモード(準備が出来たら俺に話しかけてくれ!とか言うアレ)になったので、
俺達漂着者もクエスト開始に向けて準備を整える段となった。
>「報酬9999なんて、さぞかし難しいクエストなんやろねえ。
協力し合わなクリアーでけへんやろうし、ちょいと皆さん今のうちに見たってぇなお互い手の内知ってた方が連携しやすいやろ?
昨夜デッキ再構築もしましてん 特にうちのイシュタルは珍しいから皆さんどういうのか知らへんやろでねえ。」
石油王がなんか情報共有したいとか言ってる。お?課金自慢か?野良パでそんなんしたら晒し案件やぞ。
……え?マジでデッキ見せんの?石油王が差し出したスマホには、彼女のデッキ編成が全部公開されていた。
正気かよ。昨日会ったばっかの人間にそんなんされたら俺……メタデッキ組んじゃうよ?
>「み、みのりさん!そんな、軽々しく自分のデッキを――」
そういう危険を分かってるんだろう、なゆたちゃんが制止に入るが、時既に時間切れ。
俺はばっちり石油王のデッキレシピをこの目に焼き付けていた。やったぜ。
っていうか石油王のデッキえげつねぇな!この編成は好きなだけ殴らせたあと殴った分だけ殴り返すバインドデッキだ。
スケアクロウの高耐久に加えて、多種多様の回復スペルに被ダメの肩代わり……ダメージソースの確保に余念がねぇ。
拘束と範囲軽減入れてるのは一応普通のタンクとしても機能させるためか?正攻法じゃ石油王に火力を献上するだけだろう。
出し抜けるポイントがあるとすれば、バインドのキーカードが二種三枚しかないってところか。
特に主砲になるであろう『収穫祭の鎌』は、ベルゼブブ戦で使い切ってる……丸一日経つまでこいつはただの硬いカカシだ。 >「ゲームとは違うし、ゆっくり回復カード切れるように待ってられなさそうやから高回復を中回復に代えてみたわ〜
他にもいろいろ、ゲームのシステムだけでは収まらへんところがあるみたいやしねえ。
スケアクロウのグラフィックのフレーバー程度やと思うてた蔦についた実も食べられたりしはったし、相違点は色々ありそうやねえ」
石油王はのほほんと自分のデッキを解説してるのを聞いて、俺は頭が痛くなった。
これ他人に知られたらマズい奴じゃねえの。石油王はさぁ……PvPやらない人?危機感なさすぎじゃない?
だが腹は決まった。ローウェルの指環が争奪戦になるなら、俺が真っ先に標的とするのは石油王、貴様だ……!
>「……で。みんな、ちょっといいかしら?」
廃課金デッキにワイキャイ言ってた俺達に、なゆたちゃんが低い声で釘を差す。
>「ガンダラへ行くっていうこと自体は、わたしも賛成よ。というか、それしか選択肢はないみたいだしね」
>「ただし、ローウェルの指輪のクエストについては、すぐに飛びつかない方がいいと思う」
物騒な前置きをしてから、なゆたちゃんは根拠を添えて話し始めた。
要約すると指環のクエストマジでやべー奴だから今のトーシロPTじゃぜってー勝てないってことらしい。
曰く、ガチ勢がレイド級の魔物を従えて束になってかかっても無理無理カタツムリだったという。
……うん?サラっと流したけどなゆたちゃん指環のクエスト参加したことあんの?
あれってガチのハイエンドコンテンツだよな。この女、スライムでエンドコンテンツ行ってんの!?
俺行ったことないからわかんないけどああいうのって最低限レイド級持ってないと参加資格すらないとかじゃないのか。
――まぁアレだな。なゆたちゃんもしかすっと廃人サーのhimechanなのかもな。取り巻き連中がやべー奴らなんだろう。
今分かってる情報から統合するにそういう結論しか出ねーけど口に出すのはやめておいた。
ギスギス×で行きましょう^^;。
>「だから。まずガンダラへ行ってみて、クエストの内容をよく確認してからチャレンジするかどうか決めましょ。
無理だと思ったらやめる。勿体ないと思うけど……命の方が大切、だもの」
「同感だな。別に俺は、ガンダラに永住したって良いと思ってる」
ガンダラは良いとこだぞぅ。ハイエンドへの挑戦を早々に諦めたミッドコア連中が金策がてらいつも駄弁ってる。
ガチ勢連中を「ガチ過ぎてついて行けないッスわ(笑)」と遠巻きに眺め、新規ちゃん相手には半端な知識でマウントを取る。
みんなで鉱石掘りながら運営への文句を言い合い、業者のBotをMPKしてアルフヘイムの警察気取りだ。
あそこの駄目人間を許容する雰囲気はすっげー居心地良かった。まぁ俺はガンダラでも爪弾き者だったんだけど。
>「あ……あの。飛ぶ前にですね……私、クリスタルが無くて……どなたか貸してください、お願いします……。
あと!あと、その……ガンダラに付いたら、どなたか傍に居てくれませんでしょうか……?」
話が纏まりつつある中で、なんかずっと素っ頓狂なリアクションばっかしてた女子中学生が声を上げた。
昨日俺がおトイレ行ってる間に自己紹介済ませやがったらしいメタルしめじちゃんだ。
>「わたしでよければ、あげるよ。まだ石には余裕があるから――。しめじちゃん、ID教えてくれる? フレンドになろう」
小動物みたいなしめじちゃんのムーブに母性を刺激されたのかなゆたちゃんは慈愛顔でお小遣いをあげていた。
よーしおじさんも女子中学生にお金あげちゃおうかNA!いや違うんですこれは純粋な援助であってですね、やましい気持ちは…… >「ここにいる人たちは、みんなしめじちゃんのことをひとりになんてしないと思うけれど。
でも、不安だって言うのはよくわかるから。一緒にいよう? 大丈夫! わたし、こう見えて結構強いし!」
なゆたちゃんはそう微笑み、バブみ全開でしめじちゃんに手を差し伸べた。
なにこの光景。はぁ……マヂ尊い。俺もなゆたちゃんにママになってほしい……。
養ってくれなくてもいいんだ。ただ俺に微笑みかけ、寄り添い、手を握ってくれればそれで……。
>「俺も少し分けてやるよ。こっちに来てから結構減っちゃったから、そんなに沢山は渡せないけどさ。
……それと、お前は必ず元の世界まで連れて帰るって言ったろ? 俺たちが守ってやるから心配すんなって!」
真ちゃんも良い感じのことを言って胸をドンと叩いた。
あ、真ちゃんは別にママになってもらわなくて良いんで……またの機会にお願いしますね^^;
「しめじちゃんには俺も同行しよう。レトロスケルトンとリビングレザーアーマーは同じアンデッドで相性が良いからな」
PTプレイの重要な要素の一つにシナジーがある。アンデッド強化のスペルの恩恵を一緒に受けられたりな。
だからまぁ俺がしめじちゃんと共に動くのは合理的ではあるんだけど、理由はそれだけじゃあない。
……しめじちゃん。いかにもいたいけな少女って感じのツラしてっけど、俺は知っている。
クリスタル減りまくり事件の際にこいつの口からポロっと出た、ミッドコア以上でなけりゃ知りようのないワードの数々。
証拠があったら垢BANされるような規約違反に手を染めてるっていう自白。
そして、生身でアルフヘイムに放り出されたこの非常事態でも本名をひた隠しにしてる、グレー者特有の危機管理意識。
結論から言おう。しめじちゃんからは俺と同属……邪悪なる者の匂いをプンプン感じる……!
俺には理解(わかる)!十中八九こいつは猫被ってやがるぜェーッ!
「それから石油王さん。手札を明かしたあんたに対する義理として、俺もバディのことを解説しておこう。
こいつはヤマシタ。種族はリビングレザーアーマー、見ての通りペラッペラの革鎧に宿ったアンデッドだ。
防御力はカスみたいなもんだが革鎧を装備できる全てのジョブのスキルを使えるというのが特徴だな。
……ベルゼブブを捕獲出来てりゃ、こんなゴミモンスターに頼らなくても良かったんだが」
暗になゆたちゃんにギスギスをぶつけつつ、俺はヤマシタについて簡単に説明した。
これが全部だ。物言わぬ革鎧に蹴りを入れてから、俺は客室の椅子に腰を落とした。
「俺はいつでも行けるぜ。とっととガンダラ行ってまともなメシを食おう」 ガンダラに着いたのは夜になってからだった。
いや飛行魔法ってスゲーわ。だって空飛べるんだぜ?俺飛行機もロクに乗ったことなかったからおしっこ出るとこだったわ。
何がやべーって風がやばい。もうこれは本能的な恐怖だね、耳元でビュオビュオ響くのマジこえーよ。
>「……にしても、夜だってのに随分と活気のある街だなぁ。流石にゴールドタウンって呼ばれてるだけあるわ」
「ゲームの方のガンダラはNPC以外はBotが動かしてるキャラが黙々鉱石掘ってるだけの不気味な街だったんだけどな。
これじゃゴールドタウンじゃなくてゴーストタウンやないかーい!……ってな、わはは」
益体もない戯言を抜かしながら俺はガンダラの街に降り立つ。
近隣有数の鉱山都市として賑わっている(設定)、Botとミッドコアの溜まり場になっている(現実)。
果たして俺の今訪れているガンダラは、前者の方の設定を反映して見事な盛り場へと変貌を遂げていた。
鉱山へ向かう目抜き通りには綺羅びやかな燭灯を掲げた酒場や宿屋が立ち並び、往来に人の流れが途切れることはない。
コボルト族らしき背の低い生き物が、酒場に人を呼ぼうとさかんにポン引きしては道行くオークに蹴られている。
「鉱山労働者とその家族、労働者向けの飲食店に、街の外から鉱石の買い付けに訪れた商人。それから冒険者か。
一次産業がこれだけ盛況なら、王都の方もさぞかし税金で潤ってるんだろうなぁ。
王都で受けられる接待ってのにも、こりゃ期待が持てそうだ」
>「さて、俺たちもまずは今夜の宿と、メシでも食えるところを探そうぜ。もう不味いアイテムのパンは食い飽きちまったよ」
「コカトリスの串焼きでも食うか?お通じ良くなること請け合いだぞ。ははは」
乾いた笑いで冗談を交わしながら、俺達はガンダラの街を散策する。
宿は綺麗なところがいいなぁ……。獣人共と同じ獣くせーベッドなんかで寝られるかよ(差別発言)。
あとシャワーね、これ大事よ。鉱山の麓だし沐浴設備は整ってると思うけど、大衆浴場はいやだぜ。
明らか真ちゃんと混浴する流れになるじゃん。
>「……ん? あっちの方で何か賑わってんな」
真ちゃんがなんか見つけたらしい。俺もそっちを見ると、なんか道端に蛮族共が集まっている。
オークが机に腕をほっぽり出してドヤ顔していた。傍で人間っぽい男が声を張り上げる。
>「さぁー、次のチャレンジャーはいないかい? 参加費用は1000ルピ。
もしもこいつに勝つことができたなら、今までの賭け金は総取りだぁ!」
……ははーん、賭け腕相撲か。いかにもクソ田舎の野蛮人が好きそうな催し物だな。
アホくさ。こんなんオークが勝つに決まってんじゃん。種としてのスペックがちげーよ。ヒトがゴリラに勝てるかっての。
>「おーっと、そこの興味有りげに見ている坊っちゃん! 次は君が参加してみるかい?
……って、君みたいな子供が、こいつの相手になるわけないかぁ!」
「馬鹿馬鹿しい。行こうぜ真一君、あんなやっすい挑発に乗ることは……真一君?」
ちょっと真ちゃん!?何オークの前に座ってんの!?その金貨どっから出した!?……あ、インベントリか。
っていやいやいや!いっくらお前がリアルファイト上等のフィジカルエリートだからってオークは無理だろ!?
よくよく相手と自分の腕の太さ見比べてみ?あいつの力瘤お前の頭くらいあるのよ!? >「……テメーが売ってきた喧嘩だろうが。買ってやるから、さっさと始めようぜ」
イベンターのMCと観客の煽りにものの見事にプッツンした真ちゃんはもう既に周囲が見えていない感じだ。
いきなりキレたヒュームの子供にオークの方が困惑気味になってる始末である。
「……なゆたちゃん、いっつもあんなんの手綱握ってんの?いつか過労死するぞ君」
なんでも良いけど怪我だけはしてくれるなよ……治癒スペル無駄打ちなんてアホくせーからな。
まぁ俺は治癒持ってないから割を食うのは大方なゆたちゃんなんだろう。合掌。
俺が瞑目しナムナム手を合わせていると、ドーンとものっそい音が聞こえてきた。
あーあ、骨何本イったかな?俺治癒スペルは使わないけど慰めるくらいのことはしてやるよ。
目を開けた。オークが机から転げ落ちていた。
「……んん!?」
椅子に座ったままの真ちゃんが、不敵な笑みでそれを見下ろしていた。
>「――悪いな、俺の総取りだ」
なん……だと……?いやマジでウソだろお前!?ホントに人間かよコイツ、ゴリラ混じってない?
しかし俺は目撃した。真ちゃんの身体をぼんやりと覆う、プレイヤーだけに見えるバフの輝き。
こ、こいつ……!身体強化のスペル使いやがった……!!
「えぇ……チートやん……チートやんこんなん……」
ていうか結局スペル無駄打ちしてんじゃねーか!何やってんだよマジでさぁ!
脳筋ってのは褒め言葉じゃねーかんな!なゆたちゃんしまいにゃ心労で倒れるぞ!
「……なゆたちゃん、追い詰められる前に大人にちゃんと相談するんだぞ。俺達は君の味方だ」
スペル使ってNPCから金巻き上げるとか業者も真っ青なレッドカードだよぅ……。
おめーこれが現実じゃなかったら一発垢BANだかんな?そこらへんちょっとよく考えて?
いやー現実で良かった。現実?現実とは一体……うごごごご。
「まぁ、前向きに考えるならこれで宿代とメシ代は確保出来たってことだ。
真ちゃんパイセンのオゴリで良いとこ泊まらせてもらおうじゃないか」
さて、ガンダラまで来たは良いものの、こっからどうすりゃいいんだ?
確か鉱山の奥がダンジョンになってたはずだけど、最奥にいきゃ指環が手に入るのか。
アプリの通知だけじゃなんとも判断しがたい。ちゃんとプレイヤーの導線作っとけよクソゲー!
「当面の資金は得られたことだし、情報収集に行かないか。他にもクリスタルが稼げそうなクエストがあるかもしれない。
ブレモンはRPGだからな。情報収集にうってつけの場所と言えば、相場は決まってるだろう」
俺は目抜き通りの向こうを指差した。
そこに建っているのは、この街で一番大きな建物。冒険者ギルドが併設された酒場である。
「ここから先はRTA方式でサクっと進めよう。酒場のマスターに大金握らせて、一番良い情報を絞り出す。
支払いは任せたぞ真一君!」 極太糞が
ああ出そうだ
助けてくれ、糞がでるっ
きてくれ、ハイパーウンコ! ID:JbTCd32T
0133 名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! 2017/11/18 22:10:37
うんち明神が完全に気持ち悪いおっさんになってて草
排便(で)るよ? 待たせたなァァァァ――!!!!!
>「ここから先はRTA方式でサクっと進めよう。酒場のマスターに大金握らせて、一番良い情報を絞り出す。
支払いは任せたぞ真一君!」
そうだ、うんこもりもり方式でブリッとっ進めよう。酒場のウンコマスターに大ウンコ握らせて、
ついでに玉も握らせて、一番良いウンコをくれ!!! ザ・グレートウンコはウンコをひり出した
buriburiburi・・・
そのウンコのうち75%はなゆたにぶっかかった。
では、残りの25%は?
ザ・グレート・ウンコからの問題だぜ? ヒョコ……
キョロ、キョロ
キュポン(穴に隠れる)
我がウンコにまさるウンコはいないのか……
>>309
明神 ◆9EasXbvg42
我が仲間にならぬか・・・
【明神にナチュラルにウンコへの参加を呼びかけるグレートウンコ
であった】 すんげえ臭うスレ
排便したグレートウンコのせいだけじゃない 魔法機関車の中、デッキを開示するみのりを慌てて制止しようとするなゆただが、意図を汲んでかその手を下げた。
その様子を見て笑みを浮かべながら口を開く
「なゆちゃんありがとうなぁ。でもええんよ〜
PTというのは集団で一つの戦士やと思うんよ。
アタッカーが鉾で、うちみたいなタンクが盾、みたいにね。
身を守る盾の性能を知っておかないと、思い切って攻撃もできへんやろ?」
礼を言い、そしてその意図を説明する。
タンクの仕事は単純で、敵の攻撃を一手に引き受けうることにある。
後は敵を倒すのも、味方を回復するのも、デバフを入れるのも後衛陣に任せてしまえるのだから。
逆に言えば、タンクが攻撃を一手に引き受けるからこそ、後衛陣は自由に行動ができる。
であるのだが、ベルゼブブ戦でヘイト数値を越えてターゲットを変えた。
これはタンクの固定が信用できなくなる事であり、後衛陣の行動リソースが防御行動にも割かなければいけなくなることになる。
デッキ編成を変え固定力を増しているとはいえ、ゲーム同様に固定ができるとは限らない。
ならばデッキを晒し、みのりがどういう行動がとれるのか
どこまで固定ができるのかをそれぞれに計算に入れておいてもらうという狙いがあっての行動である。
という旨の説明をし、一堂にデッキを見せるのであった。
が……その笑みの裏で別の思考もひた走っていた
クリスタルの消耗増そしてガチャなどの補給線の停止から、スマホの操作自体制限されているのも同然である。
デッキ編成にスマホを操作することさえも、だ。
だがみのりには消耗したとはいえそれでも十分すぎるほどのクリスタルがあり、そういった面では大きなアドバンテージを得ているといえる。
こうして開示して、しっかり信用させ対策を取らせた事を見越して更にデッキを再構築するほどの。
勿論そんな思惑を微塵も表に出さず、明神のバディの説明を受け
「おおきにな〜
ベルゼブブさんは残念やったねえ。
今度なんぞつよそおなモンスターさんいはったら頑張って捕獲しましょか〜」
デッキ構築が全てスケアクロウのイシュタルを基準に作ってあり、他モンスターを捕獲する気もないし、捕獲しても育成する時間もないので、こちらに遠慮しなくても大丈夫な旨も付け加える。
話しは進み、ウィズリィの其疾如風(コマンド・ウインド)でガンダラまで一気に行けるとのこと。
魔法の絨毯ではなかったのは残念だが、身一つで空を飛べるとは、現実世界では体験できない事に興奮が隠し切れないみのりであった。
ガンダラ行きで話がまとまりかけたところで、なゆたからローウェルの指輪のクエストについての情報がもたらされる。
それはかつてなゆたが挑んだローウェルの住処『転輾つ者たちの廟』の顛末
思わずため息が零れる様な話であった。
最庵緯度クエストの報酬を考えれば9999個が如何に破格で、そしてどれだけの難易度であるかという事を思い出させるに値する話。
「ひょえ〜恐ろしい話やねえ。
ほれにしても、なゆちゃんは色々知ってて有り難いわ〜
このPTのおかあさんやねえ」
真一の鼻先に人差し指を突き付けるなゆたを見てコロコロと笑い声を上げるみのりであった。 そんな緊張しつつも弛緩した空気の中、震える小動物のような声があがる
>「あ……あの。飛ぶ前にですね……私、クリスタルが無くて……どなたか貸してください、お願いします……。
> あと!あと、その……ガンダラに付いたら、どなたか傍に居てくれませんでしょうか……?」
メルトである。
クリスタルが枯渇し、パートナーモンスターも脆弱、そしてメルト自身も押さなく体つきも貧弱
誰かの庇護がなければとてもこの世界で生きてはいけないだろう
そんな声になゆたをはじめ、真一、明神も援助を惜しまない姿勢を見せている。
「しめじちゃん良かったなぁ
クリスタルはもう足りているやろし、おねいさんからはこれをあげるわ〜
他の皆さんも持っといてぇな〜」
そういい取り出したのは30センチほどの藁人形。
ユニットカード「囮の藁人形(スケープゴートルーレット)」から呼び出された5体の藁人形である。
身に着けておけばある程度のダメージを肩代わりしてくれる
許容量を超えればはぜて消えるが、ある程度の盾となってくれるだろう。
「この藁人形、トランシーバーみたいな感じ見たいにもなるし、これからガンダラ行ってもしはぐれても連絡が取れるとええやろ?」
相違って藁人形を明神、ウィズリィ、めると、なゆた、そしてみのり自身が持つ。
「なゆちゃんと明神のお兄さんがシメジちゃんを守ってくれはるからねえ。
うちは真ちゃんと一緒にいさせてもらうわ〜
藁人形一体足りひんけど、うちが守るよって安心してぇな。
アタッカーとタンクで相性もよろしいおすしな〜」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
魔法機関車での宣言通り、みのりは真一の隣に位置して歩いていた。
風を切り空を飛ぶ其疾如風(コマンド・ウインド)を楽しみ、ガンダラの町の賑わいに息をのみあたりを見回す。
そこは喧噪行き交う活気に満ちたファンタジーな街であり、どこを見ても目新しくその空気すらも新鮮でおいしく感じるものだ。
勿論上品な待ちとは言い難く、柄の悪さも適度にまじりあっており、ピンポイントでそこへと首を突っ込むのが真一であった。
巨大なオークとの腕相撲勝負に乗り、そしてそれを瞬殺!
当たりの人垣からはどよめきと歓声が上がり、後ろでは明神やなゆたからため息が聞こえてくるかのようだった。
「真ちゃん凄いわ〜!こんな大きなお人に腕相撲で勝てるやなんて〜!」
ひときわ大きな歓声を上げ、真一の頭に抱き着くみのり
だが、もちろんみのりもプレイヤーであり、バフの輝きは見えている。
抱きつきながら耳元に口をやり、そっと囁きかける
「こんなところでスペルカード使ってもうたらなゆちゃんに怒られるえ〜
この頭に大きなコブつくられる前に、はよ行こな〜」
囁き終わるとようやく体を離し、真一の手を引き先に進む。
「真ちゃんの大活躍でお金も仰山手に入ったことやし、ウィズリィちゃん、明神のお兄さんの言うような宿屋や酒場に案内したってぇ〜」
待ちきれないかのように真一の手を引き、ウィズリィ案内を待つのであった。 メルトである。 
クリスタルが枯渇し、パートナーモンスターも脆弱、そしてメルト自身も押さなく体つきも貧弱 
誰かの庇護がなければとてもこの世界で生きてはいけないだろう 
そんな声になゆたをはじめ、真一、明神も援助を惜しまない姿勢を見せている。 
「しめじちゃん良かったなぁ 
クリスタルはもう足りているやろし、おねいさんからはこれをあげるわ〜 
他の皆さんも持っといてぇな〜」 
なゆた、おるか〜? >五穀みのり
勿論上品な待ちとは言い難く、柄の悪さも適度にまじりあっており、ピンポイントでそこへと首を突っ込むのが真一であった。
巨大なオークとの腕相撲勝負に乗り、そしてそれを瞬殺!
当たりの人垣からはどよめきと歓声が上がり、後ろでは明神やなゆたからため息が聞こえてくるかのようだった。
「真ちゃん凄いわ〜!こんな大きなお人に腕相撲で勝てるやなんて〜!」
ひときわ大きな歓声を上げ、真一の頭に抱き着くみのり
だが、もちろんみのりもプレイヤーであり、バフの輝きは見えている。
抱きつきながら耳元に口をやり、そっと囁きかける
「こんなところでスペルカード使ってもうたらなゆちゃんに怒られるえ〜
この頭に大きなコブつくられる前に、はよ行こな〜」
囁き終わるとようやく体を離し、真一の手を引き先に進む。
「真ちゃんの大活躍でお金も仰山手に入ったことやし、ウィズリィちゃん、明神のお兄さんの言うような宿屋や酒場に案内したってぇ〜」
待ちきれないかのように真一の手を引き、ウィズリィ案内を待つのであった。
つ【招待状】 ザ・グレートウンコは五穀みのりに
ウンコ側に付くことを招待しました
そのかわりウンコも付くけどね
思いっきり糞ひり出して楽しもうぜ
そして諸悪の根源である狐退治に出発するのだ
【ザ・グレート・ウンコの本体が参戦を表明】 コウノスケ=GAKURANMANが具体的に嫌いな、「キャーキャーしてる人たち」の特徴
・自分たちが居た世界のルールをこちら側に適用しようとする。
・暗黙のルールを理解していないのに、黙っていることも出来ない。
・感情に任せた自己中心的な問題提起を全体化し、感情に任せた水掛け論を引き起こす。(学級会と呼ばれる)
・自分の発言に価値が無いのに、価値があると思っている。
・主体性がなく、流行っているという理由で物事を好きになる。
・傷ついた素振りを見せることで、他者の気を引こうとする。
・キャーキャーすることが、その対象のためになると思っている。
・対象のキャーキャーできる部分が、その対象の全てだと思っている。
・キャーキャーすることにより、同族でコミュニティを形成しようとする。
・自身の紹介が、「何にキャーキャーしているか」に依っている。
・以上のような自分たちの振る舞いが迷惑になることを顧みない、顧みているつもりになっている。
・こうした意思の表明に対してすら、いちいち自分の見解を発表せずにはいられない。
お前らのことだな。 TRPGウォッチャーの人達にはいろんな意味でまるっきりついていけないから仲間にすら入れないよ。 >>323
入る必要ないよ
ここウンコ荒らしの拠点だから 魔女さぁ…
何で毎ターンこんなに遅いの?
流石に他の参加者もイラついてると思うよ >>325
俺はここにいちいち書き込む非常識で頭ガイジなお前にイラついてるよ 【避難所の方にも書きましたが、ウィズリィさんがこのターンパスということですので、
次はメルトさんのターンでお願いします】 永遠にパスでお願いします
地下でやっててください
臭いが凄いんで >「わたしでよければ、あげるよ。まだ石には余裕があるから――。しめじちゃん、ID教えてくれる? フレンドになろう」
>「俺も少し分けてやるよ。こっちに来てから結構減っちゃったから、そんなに沢山は渡せないけどさ。
>……それと、お前は必ず元の世界まで連れて帰るって言ったろ? 俺たちが守ってやるから心配すんなって!」
「あえ―――ふ、フレンド登録ですか……そ、そうでしたね。その、ありがとうございます」
自分から石を乞うたにも関わらず、スムーズに恵んで貰えた事。
そして、みのりからは「囮の藁人形(スケープゴートルーレット)」という割とレアなアイテムを受け渡された事に対して、メルトは動揺を見せる。
メルトの感覚では、弱みを見せて頼みごとをすれば、頼みごと以上の見返りを求められるのが当然なのだ。
その辺りの認識が甘い連中を騙してアイテムを撒き上げた挙句に引退させた事は何度もあるが、こうも無条件に善意を示される事は彼女にとって初めての事であった。
故に視線を泳がせ、人差し指を擦り合わせて気まずさを示しつつもIDを提示する。
そして、送られてきたクリスタルと人形を確認すると
「えへへ……」
誰にも盗られまいとするかの様に、無意識にスマートフォンを胸にかき抱く。
同時に浮かんだ笑みは、石配布に喜ぶゲーマー特有のそれか、或いは他の何かなのかはメルト自身にも判らないだろう。
>「しめじちゃんには俺も同行しよう。レトロスケルトンとリビングレザーアーマーは同じアンデッドで相性が良いからな」
と。そんなメルトにある意味では初の顔合わせといえる明神が語りかける。
この場では唯一の成人した大人の男性。例え所有するモンスターが強力とは言えずとも、その庇護を得られるという事は子供のメルトにとって力強い。が
「えっ……あ、はい。ありがとうございます」
声を掛けられたメルトは、一瞬顔を引き攣らせた。
……別段、メルトは明神に嫌悪感を覚えている訳では無い。そもそも、嫌う程の長い付き合いがある訳もないのだから。
では、何故このような反応を見せたのかと言えば。
(リビングレザーアーマーですか……あの時の嫌な奴を思い出しますね。私が塩の壺バグで鬼沸きさせて囲ってたジュエルビーストを煽り台詞残して解き放った上に、運営にバグ報告して修正させたあの荒らし……今でも許せません。作業の為に割った石返して欲しいです)
単なる八つ当たりのとばっちりであった。
だが、その荒らしが明神であるという、ある意味奇跡的な偶然が起きる可能性は低いだろうと思い直したメルトは、直ぐに表情を取り繕うと、明神に対して礼儀正しく頭を下げる。
言動の端を見て、相手の立ち位置を見抜けるか見抜けないか。
明神とメルト。同じアングラな側に位置するプレイヤーであっても、この辺りに半引きこもりと社会人の人生経験の差が明確に表れていた。
さて。その後、デッキ構成やモンスター情報などの公開をはさみつつ――――
>「――さて……。わたしは準備いいわよ、ウィズリィ。いざ、鉱山都市ガンダラへ!!」
なゆたの掛け声と共に、一行は空へと飛び立つのであった 鉄を打つ音と、鳴り響く怒声と嬌声。立ち込める煤と漂うアルコールの臭い。
亜人と人間の区別なく泥臭く騒ぎ、酒とつまみを喰らう姿。
日暮れの中に在るにも関わらず、数多の建物から漏れ出る灯りと喧騒は、夜が持つ静謐をあざ笑うかのような活気に満ちていた。
ここは鉱山都市ガンダラ。
夢と希望と欲望が渦巻く不夜の街。
>「……にしても、夜だってのに随分と活気のある街だなぁ。流石にゴールドタウンって呼ばれてるだけあるわ」
>「ゲームの方のガンダラはNPC以外はBotが動かしてるキャラが黙々鉱石掘ってるだけの不気味な街だったんだけどな。
これじゃゴールドタウンじゃなくてゴーストタウンやないかーい!……ってな、わはは」
(……あっ、あの黄鉄鉱のポイントが空いてます!軽銀の沸きポイントにもBotが居ません!なんですかこれ!素材の宝石箱ですよここ!)
周囲を落ち着きなく見渡しつつ歩きながら、見知ったBot御用達の発掘ポイントが空いている事を発見しては足を止め、
置いていかれそうになる度に小走りで集団へと追いつくメルト。
その様子はまるでおのぼりさんであったが、それも仕方ないといえよう。
ゲームでは中華Botに貼り付かれ活用しようにも出来なかった狩場が、この世界では見向きもされていないのだ。
金儲けに旨味を感じる者が見れば、カモが鍋と葱背負ってブレイクダンスしているような物である。
周囲を通りかかる現地の通行人はそんなメルトの様子を不審そうな目で見ているが、本人はそれどころではないというのが救いだろう。
もしその視線に気づいていたのなら、恐らくメルトは見る間に萎縮してしまった事だろうから。
>「さて、俺たちもまずは今夜の宿と、メシでも食えるところを探そうぜ。もう不味いアイテムのパンは食い飽きちまったよ」
>「コカトリスの串焼きでも食うか?お通じ良くなること請け合いだぞ。ははは」
「こんな世界ですから、流石にカップラーメンは無いですよね……」
そして、歩きながら食事と宿の談義をしている最中であった
>「おーっと、そこの興味有りげに見ている坊っちゃん! 次は君が参加してみるかい?
>……って、君みたいな子供が、こいつの相手になるわけないかぁ!」
>「馬鹿馬鹿しい。行こうぜ真一君、あんなやっすい挑発に乗ることは……真一君?」
>「……テメーが売ってきた喧嘩だろうが。買ってやるから、さっさと始めようぜ」
「うえぇ!? え、え!? あの!何してるんですか真一さん!正気ですか真一さん!ダメですよ!腕がポキッとなってしまいますよ!?
ほら、今からでも遅くないですからクーリングオフしましょう!ねっ!ねっ!?」
なんと、通りすがりに挑発された真一が、巨漢のオークが主催する腕相撲の賭け試合にエントリーを決めていたのである。
採掘ポイントに気を取られ遅れていたメルトが追いついた時には、既に真一は勝負の席に着いており、
大人と子供程もある体格差など気にもせず、相手のオークに睨みを利かせていた。
(なに考えてるんですかこの人は! デカいは強いんです。少年漫画じゃないんですから、こんなの勝てる訳ないですよ……
こんな所で寄生先の戦力を失う訳にはいきませんし、最悪『生存戦略(タクティクス)』のスペルの回復効果で…………あれ?スペル?)
どうあっても引く様子がない真一を半ばあきらめて眺めていたメルトであったが、試合後に負うであろう怪我を回復する手段を思い描いた時、ある可能性に思い至った。
それは、体格で劣る真一がオークの腕を叩き付けるのと正に同時の閃きであった。
>「――悪いな、俺の総取りだ」
>「……なゆたちゃん、追い詰められる前に大人にちゃんと相談するんだぞ。俺達は君の味方だ」
>「真ちゃん凄いわ〜!こんな大きなお人に腕相撲で勝てるやなんて〜!」
「うわ……驚きました。いい感じに仕様の隙間を付いてます。ただ、運営の目を掻い潜るには少し心許ないですね。
フィールドで継続時間の長いスペルを使用してから街に戻って、偶然を装った方が……」
明神が驚き、みのりが真一に抱き着いて賞賛の言葉を発しているのを傍から眺めなつつ、、
メルトは『バフの発光はプレイヤーにのみ見える』という仕様の裏側を付いた真一のセンスに静かに驚嘆する。 そして、直ぐにその技術を上手に悪用する手段を考え始めるメルトであったが、
>「まぁ、前向きに考えるならこれで宿代とメシ代は確保出来たってことだ。
> 真ちゃんパイセンのオゴリで良いとこ泊まらせてもらおうじゃないか」
>「真ちゃんの大活躍でお金も仰山手に入ったことやし、ウィズリィちゃん、明神のお兄さんの言うような宿屋や酒場に案内したってぇ〜」
次いで同行者の面々が今後の指針について語りだした事で我に返ると、誤魔化すように慌ててその会話に参加する。
「そ、そうですね。明神さんの言う通り、酒場のマスターの弱みを握るか懐柔をすれば、特殊クエストが発生します……って、攻略サイトに書いてありましたし!」
慌てて参加した為に、妙な知識を吐き出しそうになってしまったのはご愛嬌。
――――と、そこでメルトはある事を思い出す。
(あれ、そういえばガンダラの酒場のマスターって確か『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』だった気が……)
粗暴な炭鉱不達や、歓楽街を取り仕切る悪漢達をも恐れさせる酒場のマスター。
彼のブレモンのモンスターとしての名は『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』。
ゲーム中ではプレイヤー達に優良な情報と良質な依頼と報酬を与えるやり手であり、ガンダラにプレイヤーが集まる要因の一つでもあった。
名前と連動して、ゲームでの彼のグラフィックを想起したメルトは、頬に汗を垂らしながら女性陣に向けて口を開く。
「あの、なゆたさん。みのりさん。ウィズリィさん……ええと、ですね。私、頑張りますので、頑張って守りますので……」
何を、とは言わない。ただ、メルトの視線は明神と真一の臀部に向けられている。
『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』。
有能な酒場のマスターだが、男性プレイヤーが話しかけた時に一定確率で画面を暗転させ、全ステータスにデバフを掛けて来るのが玉に傷。
メルトには、今の時代が『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』がマスターである時代でない事を祈る事しか出来ない。 メルト=溶ける=つまりウンコ!
呼ばれて飛び出たハイパーウンコは今日も絶好調で
糞!
糞!
糞!
はよう糞まみれになろうや・・・ 「えっ……あ、はい。ありがとうございます」
なゆたに声を掛けられたメルトは、一瞬顔を引き攣らせた。
……別段、メルトはウンコに嫌悪感を覚えている訳では無い。なゆたが嫌いだ。そもそも、嫌う程の長いウンコがあるのだから。
では、何故このような反応を見せたのかと言えば。
(ハイパーウンコですか……あの時の嫌な荒らしを思い出しますね。私が糞の壺バグで鬼沸きさせて囲ってた狐を煽り台詞残して解き放った上に、運営に荒らし報告して修正させたあのウンコ……今でも許せません。作業の為に割った石返して欲しいです)
単なる八つ当たりのとばっちりであった。
だが、その荒らしがなゆたウンコであるという、ある意味奇跡的な偶然が起きる可能性は低いだろうと思い直したメルトは、直ぐに表情を取り繕うと、明神に対して礼儀正しく頭を下げる。
言動の端を見て、相手の立ち位置を見抜けるか見抜けないか。
なゆたとメルト。同じウンコな側に位置するプレイヤーであっても、この辺りに引きこもりとニートの人生経験の差が明確に表れていた。
さて。その後、水分構成やウンコの臭度情報などの公開をはさみつつ――――
>「――さて……。わたしは準備いいわよ、グレートウンコ。いざ、糞尿都市ウンコダラダラへ!!」
なゆたの掛け声と共に、一行はウンコの国へと飛び立つのであった
ジ・エンド?
(つづく?) なゆたに呼び出された俺は引いたらいいのか押したらいいのか分からぬ。
それでメルトに意見を聞いてみた。
同じメルト族として。
俺はメルト族のグレートウンコだから
(なに考えてるんですかこの人は! デカいは強いんです。少年漫画じゃないんですから、こんなの勝てる訳ないですよ……
こんな所で寄生先の戦力を失う訳にはいきませんし、最悪『生存戦略(タクティクス)』のスペルの回復効果で…………あれ?スペル?)
どうあっても引く様子がない真一を半ばあきらめて眺めていたメルトであったが、試合後に負うであろう怪我を回復する手段を思い描いた時、ある可能性に思い至った。
それは、体格で劣る真一がオークの腕を叩き付けるのと正に同時の閃きであった。
>「――悪いな、俺の総取りだ」
「悪いな、俺のウンコは…特大だ」
と、グレートウンコは呟いた
なゆたが爆ぜる
そして、狐がウンコに化ける
まだまだこの戦いは終わらない… 初めてグレウンのレスが面白いと思った
ハイウンよりはセンスがある
柔軟性が違うよな ま、俺は柔らかいからな
軟便よ
ブリブロブリッ・・・
あ、糞出る!!
ブッチッパ! 液晶画面越しに見る世界と実際に肉眼で見る世界は大違いだ。
酒のにおい、土のにおい。怒号と喧騒、頬を撫でる風の感触。
視覚だけでなく嗅覚や聴覚、触覚に訴えかけてくるすべてのものに、自分たちのいる場所が紛れもない現実だということを思い知らされる。
まるで自分がハリー・〇ッターやロード・オブ・〇・リングの世界の住人になったような気持ちだ。
もちろん、こんな体験は初めてのこと。すべての物事が驚異と興奮に満ちている。
鉱山都市ガンダラは世界設定的な意味で重要な場所であると同時に、ゲーム進行にとっても欠かすことができない都市だ。
『ガンダラで揃わないアイテムはない』と言われている通り、ゲーム内で必要な資材の80%はこの街で手に入る。
アップデート等で新規アイテムが実装された際も、プレイヤーは大抵最初にガンダラを当たるのだ。
ガンダラにはいつでも人が、亜人種が、モンスターが溢れている。
しかし。
――いない。
メルトの隣に佇みながら、なゆたは目だけを動かして周囲を見渡し、そう結論付けた。
人間はいる。設定では『ヒューム』と呼ばれる種族だ。
彼らは西洋ファンタジー色の強い衣服を身につけているものの、その肉体自体はなゆたたちと変わらない。
エルフもいる。ドワーフもいるし、ホビットも、オークやスライムなどといったモンスターの姿もちらほら見える。
が、『プレイヤーはいない』。
自分たちの他に、このブレモンの世界に召喚されたであろうプレイヤーが一人も見当たらないのだ。
ブレモンのプレイヤーで、ガンダラの重要性を理解していない者は存在しないと断言していい。
実際、ゲーム内のガンダラの路上にはパーティーメンバーを募集したり、アイテムのトレードを希望するプレイヤーが大勢いる。
もし自分たち以外にこの世界に召喚されたプレイヤーがいるなら、自分たち同様ガンダラを目指さないわけがないのだ。
なゆたはガンダラで他のプレイヤーと接触し、情報を交換しようと考えていた。
が、その予定は早々に潰されてしまった。
――わたしたち五人だけが、アルフヘイムに召喚された? まさかね……。
ブレモンは一億ダウンロードに迫る怪物覇権ゲーである。
もちろんダウンロードした全員がゲームをやっているということはないだろうが、それでも他のゲームとは桁違いのユーザー数を誇る。
そんな中、自分たち五人だけがこの世界に召喚されるというのは理屈に合わない。
もっと多くのプレイヤーと出会い、ギルドを結成して一致団結すれば、それだけ早くこの世界から脱出できると思ったのだが――。
「……このパーティーでどうにかしろ、ってことなのかしらね」
右手を顎先に添え、ぽつりと呟く。
もしもゲームのストーリーモード宜しくこの世界を救え! という条件を突き付けられるなら、このメンバーでは甚だ心許ない。
特に明神とメルトのモンスターは問題だ。ストーリーの終盤まですら行けるかわからない。
――これは。気合を入れていかなくちゃならないわね。
しかし、不可能ではない。wikiやフォーラムには、低レベルクリアや低レアモンスターでのストーリークリア報告も届いている。
困難な道ではあろう。だが実際に達成しているプレイヤーがいる以上、自分たちにできない道理はない。
wiki編纂者のひとりでもあるなゆたの脳内では、現在急速に低レベル低レアクリアへのフローチャートが構築されつつあった。 と。考え事に気を取られていたところ、不意に歓声が上がった。
見れば、いつのまにか真一が巨大なオークと腕相撲に興じている。
無謀な挑戦にパーティーメンバーたちが慌てる中、泰然と構える真一はなんと、巨体のオークをあっさり捻じ伏せてしまった。
真一の身体がぼんやりと輝いている。それはプレイヤーにしか見えない、スペルの輝きだ。
>――悪いな、俺の総取りだ
>真ちゃん凄いわ〜!こんな大きなお人に腕相撲で勝てるやなんて〜!
>うわ……驚きました。いい感じに仕様の隙間を付いてます。ただ、運営の目を掻い潜るには少し心許ないですね。
他のメンバーは一様に驚いていたが、なゆたは声を荒らげるでもなくその光景を眺めた。
真一は基本的に直情径行の単細胞だが、一方で応用力がとてつもなく高い。
1を教えると、明後日の方向に10飛んでいくようなタイプだ。常識にとらわれない、奇想天外な発想をする。
彼にブレモンを教えた当初、彼の何を考えているのかさっぱり理解できないデッキに随分難儀した覚えがある。
彼はこのアルフヘイムで『プレイヤーにスペルを掛ける』という突拍子もない策を実行し、自分のものとした。
そして、その使い方の巧妙さが秒単位で進歩している。驚くべき成長率と言うほかない。
――ああいうのだけは悪知恵が働くのよね。
こんな振舞いは今に限ったことではない。長い付き合いの中では幾度もあったことだ。
ベルゼブブ退治の際の奇襲といい、彼は一見無策に見えて実は……ということを自然にやってのける。
見ているこちらとしては理解できないし、ハラハラするのでやめてほしいのだが、それを言っても詮なきことだろう。
>……なゆたちゃん、追い詰められる前に大人にちゃんと相談するんだぞ。俺達は君の味方だ
「あはは……。ありがとうございます、明神さん。でも、もう慣れたんで……」
気遣わしげな明神の言葉に、軽く彼の方を向いてぎこちなく微笑む。
ただ、真一のお蔭でガンダラでの活動資金ができた。ゲーム内通貨など腐るほど持っているが、金銭は持っているに越したことはない。
>当面の資金は得られたことだし、情報収集に行かないか。他にもクリスタルが稼げそうなクエストがあるかもしれない。
>ブレモンはRPGだからな。情報収集にうってつけの場所と言えば、相場は決まってるだろう
明神が提案する。
目抜き通りの向こうにある、ひときわ目を引く建物。その佇まいには見覚えがある。
宿や道具屋、冒険者ギルド――人の営みの中で必要なものをすべて備えた酒場。
ゲームの中では酒場でモンスター退治や素材収集のクエストを請け負う。きっと、そこにローウェルの指輪のクエストもあるのだろう。
もちろん、なゆたにも異論はない。
>真ちゃんの大活躍でお金も仰山手に入ったことやし、ウィズリィちゃん、明神のお兄さんの言うような宿屋や酒場に案内したってぇ〜
みのりが真一の手を引き、先へ行こうとする。
――む。
その様子に、なゆたは僅かに眉を顰めた。
みのりはその前にも腕相撲に勝った真一に抱きついたり、妙に親しげにしている。
そんな光景に、なぜだが胸の中がモヤモヤする。
――いやいや。まあまあ。いえいえそんな。
なゆたはすぐにかぶりを振ると、胸の中のモヤモヤを打ち払った。
元々スキンシップ過多な人かもしれないし、興奮のあまり人に抱きつくことだってあるだろう。
そう自分を納得させる。 >そ、そうですね。明神さんの言う通り、酒場のマスターの弱みを握るか懐柔をすれば、特殊クエストが発生します……
>って、攻略サイトに書いてありましたし!
メルトもそう提案してくる。初心者のはずなのによく勉強してるのね、となゆたは感心した。
しかし、その一方でなゆたも当然知っている。
その酒場のマスターが、ただのマスターではないということを。
『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』――
身長2メートルを越えるヒゲ面ムキムキマッチョのオッサンが、バニーガールの格好をしているという異様なモンスターである。
ブレモンはその辺のモブやNPCにもケンカを売れるシステムで、『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』にもケンカを挑める。
が、勝ったという話はほとんど聞かない。とにかく恐ろしく強く、たいていのプレイヤーとモンスターは3ターンともたず沈む。
超激レアモンスターの一体なので仲間にもできる(らしい)が、魔力以外のステータスが軒並み異常なほど高いという。
が、『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』の恐ろしさはそんなフィジカルエリートっぷりにあるのではない。
男プレイヤーが話しかけると、一定の確率で放ってくる全ステータスデバフスキル。
回避不可能のそれが、ブレモンの全男プレイヤーを恐怖のどん底に突き落としていたのである――。
>あの、なゆたさん。みのりさん。ウィズリィさん……ええと、ですね。私、頑張りますので、頑張って守りますので……
「……あぁ……。あれかぁー……。わたしたちには関係ないけど、真ちゃんと明神さんは……うん……」
メルトの気まずそうな言葉に、なゆたもまた困り笑いを浮かべて右手の人差し指で米神を掻いた。
しかし、酒場に行かないという選択肢はない。ここに留まっていても仕方ないし、情報は欲しいのだ。
真一の言う通りまともな食べ物も食べたいし、お風呂に入ったりベッドできちんと睡眠もとりたい。
ゲーム内ではバッテリー残量がある限り何時間だって周回できたクエストも、今はそう簡単には行かない。
「と、ともかく、酒場へ行きましょ。考えるのはそれからよ」
うん。と覚悟を決めると、なゆたは先行する真一とみのりの後に倣って歩き始めた。
酒場の中は路上に輪をかけてうるさい。ジョッキになみなみ注がれたエールを鯨飲しながら、下手な歌を歌うドワーフ。
ワイングラスを優雅に傾けているエルフ。遠慮のない笑い声を響かせる鉱山夫姿のヒュームたち。
胸元も露なエプロンドレスのウェイトレスがジョッキとソーセージなんかを持ってテーブルの間を駆け回り、ホビットがお零れに与る。
そんな、いかにもファンタジー世界の酒場といった感じの内部の熱気に一瞬眩暈を覚える。
が、気圧されてはいられない。なゆたはキッと口許を引き結ぶと、大股でカウンターへ歩いて行った。
果たして、『彼』はそこにいた。
見上げんばかりの巨体をしたバニースーツ姿の中年男が、黙々とグラスを磨いている。
その肉体は極限まで鍛え上げられており、布の少ないバニースーツの胸元から覗く大胸筋ははちきれんばかりに隆起している。
剥き出しの腕も丸太のようだ。先程真一が勝負したオークのものより、さらに太い。
いかついヒゲ面の眼光は鋭く、酒場内のどんな揉め事も見逃さないとばかりに店内に注がれている。
アフロヘアから飛び出したウサミミが、時折ひょこひょこと揺れる。
――う。
さすがに少々引いた。ゲーム内でもそのヴィジュアルに引き気味だったが、実際遭遇するとその衝撃は倍増する。
「みんな、ここはわたしに任せてくれない? 交渉事なら経験があるから、悪いようにはしないわ」
仲間たちの方を振り返って提案する。
真一と明神は交渉の切り札で、まだ切るのは早い。といってみのりやメルトにやらせるのも悪い、と思う。
現地人(?)のウィズリィに任せるのが一番いいのかもしれないが、なゆたは自分がやる、と断言した。
高校の生徒会では副会長として教師と丁々発止の舌戦を繰り広げ、予算をもぎ取っているなゆたである。 「……あの」
「いらっしゃァ〜い、『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』へようこそ! アラ、アンタたちここらじゃ見ない顔ねェ」
マスターはいかつい顔に似合わない、甲高い声で愛想よく返事をしてきた。
「ええ、ガンダラへはさっき到着したばかりよ。早速なんだけど、部屋を用意してもらえるかしら? そうね……とりあえず三部屋」
軽く背後を見てから、マスターへ指を三本立てる。
二人部屋を三部屋、部屋割は真一と明神の男部屋と、他四人の女部屋が二部屋ということでいいだろうと思う。
全員個室でもよかったのだが、ガンダラに何泊するかわからない以上、出費は極力切り詰める必要がある。
また、全員が個室では万一襲撃などされた場合に対応が遅れる。警戒の意味もあって相部屋を選択したのだった。なお、一人一泊50ルピ。
「真ちゃん、お金」
真一に手を伸ばし、腕相撲の賞金から支払ってもらう。
本来なら一刻も早く部屋に行き、ちょっと休憩するなり酒場のテーブルを確保して食事するなりしたいが、まだやることがある。
なゆたはカウンターに両肘をついて緩く腕を組み、バニー姿のマスターと会話を続けた。
「マスター、今ギルドに来てる仕事の一覧を見せてくれない?」
「いいわヨ。これが今のところ募集してる依頼の一覧ね」
マスターがカウンターの裏から台帳を出し、目の前に広げる。
なお、一覧はプレイヤーが各々持っているスマホからも確認できるので、カウンターの台帳をわざわざ覗き込む必要はない。
クエスト一覧には『黄鉄鉱を300個収集せよ』だの『鉱山に巣食うゴブリンを討伐せよ』だのというクエストが羅列してある。
そのランクはE〜Aまであり、難易度も千差万別だ。
……ただ、そこに『ローウェルの指輪を手に入れろ』というクエストはない。
もう期間が終了したのだろうか? ――いや、そんなことはない。
ランクAより上のミッションは通常の画面には表示されない。そこは明神やメルトの言葉通り、裏技を使う必要があるのだ。
「真ちゃん、お金。――全部」
ちょいちょい、と右の手のひらを上にして指で招く。
先程のアームレスリングで獲得した賞金を全部よこせ、と言っている。
問答無用で賞金の入った袋を提出させると、なゆたはそれをどかん、とカウンターの上に置いた。
マスターが驚いたようにぱちぱちと目を瞬かせる。
「まだるっこしいことは無しよ。今、このギルドで一番大きな仕事を教えてちょうだい」
なゆたがそう言うと、マスターはやや思案気な表情を見せ、それからカウンター裏をまさぐって二冊目の台帳を出してきた。
そこには『廃鉱に棲むバルログ退治』『オリハルコン採掘』『エリクサーの精製』など、錚々たる上位クエストが名を連ねている。
が、そこにもローウェルの指輪に関するクエストはない。
なゆたが顔を上げると、マスターはニヤリと笑った。
明らかに、まだネタを隠し持っているという顔だ。――ならば。 「――明神さん」
仲間たちの方に向き直ると、なゆたは明神に視線を合わせた。
「明神さんは強いモンスターが欲しいんですよね? ベルゼブブ捕獲を試みてたくらいだし。
あのときは討伐を優先しちゃってごめんなさい。でも、次にもし強力なレイドボスが出現したら――捕獲の手助けをしますよ。
みんなも協力してくれるはず。ううん、協力してもらう。あなたが欲しいモンスターを捕獲できるように……その代わり」
そこまで言って、肩越しに右手の親指で軽くマスターを指す。
明神が抜け駆けしてベルゼブブを捕獲しようと試み、なゆたがそれを阻止したのは以前あった通りだ。
>……ベルゼブブを捕獲出来てりゃ、こんなゴミモンスターに頼らなくても良かったんだが
と、明神が上位モンスターに対して執着を見せているのも知っている。
ガンダラ周辺のレイドモンスターと言ったら、上位クエスト一覧にもあった悪魔族のバルログや、炎の精霊イフリート。
それからドラゴンゾンビくらいだろうか。
ドラゴンゾンビは見るからに不衛生なので論外として、バルログやイフリートならば捕獲できないこともないだろう。
パーティーの戦力的にも申し分ない。だが、ひとりでの捕獲は不可能だ。
だからこそ。
「レイドモンスターの捕獲に手を貸す代わりに――明神さん、マスターから情報を引き出して。
これはあなたにしかできない仕事、だから」
『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』の繰り出す、暗転からの全ステータスデバフスキル――
それを、甘んじて喰らえと言っている。
マスターのデバフは宿屋で宿泊しても回復せず、しばらく実時間を経るしか解除方法がないという鬼スキルだ。
しかし、その代わり喰らった男プレイヤーに対してはマスターの隠しステータス『心証』が爆上がりするというメリットがある。
心証が上がると宿代が安くなる、アイテムの買取値が高くなる、など種々の恩恵が得られる。
その恩恵の中に、きっとローウェルの指輪に関する情報も入っているに違いないのだ。
「お願い明神さん! わたしたち、みんなでこの世界から脱出する手助けと思って!」
無茶振りにも程がある。そして、ちゃっかり真一をデバフの対象から除外している。
が、これには一応理由がある。
「真ちゃんはこの際、モンスターの一種として見ていいと思う。
となれば真ちゃんも貴重な戦力のひとり。クエストを受ければ戦闘は避けられないんだから、戦力は多いに越したことはないわ。
そんな真ちゃんが全ステータスデバフを受けるのは、わたしたち全員にとって不利でしょ?
でも、明神さんは戦わない。そして、下がるのは明神さんのステータスであって、ヤマシタさんのじゃない。
ってことは、明神さんのステータスが下がっても、パーティーの戦力そのものは低下しないってこと」
一応パーティーのことを考えているらしい。
……とはいえ、『真ちゃんにいかがわしいことはさせたくない』という考えが一番先に立っているのだが。
「ってことで、よろしくお願いします! マスター、彼がマスターにお話があるそうですよ!」
そう言って明神の背中を押す。
「あらン……何かしら? かわいい子ねン」
『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』――バニースーツに身を包んだアフロマッチョ中年は、明神を見て舌なめずりをした。
【情報のため明神を売る鬼畜的所業。ゴメンナサイ……】 0334 ザ・グ…… ◆Znv0XSIufA 2017/12/06 00:42:32
なゆたに呼び出された俺は引いたらいいのか押したらいいのか分からぬ。 
それでメルトに意見を聞いてみた。 
同じメルト族として。 
俺はメルト族のグレートウンコだから 
(なに考えてるんですかこの人は! デカいは強いんです。少年漫画じゃないんですから、こんなの勝てる訳ないですよ…… 
  こんな所で寄生先の戦力を失う訳にはいきませんし、最悪『生存戦略(タクティクス)』のスペルの回復効果で…………あれ?スペル?) 
どうあっても引く様子がない真一を半ばあきらめて眺めていたメルトであったが、試合後に負うであろう怪我を回復する手段を思い描いた時、ある可能性に思い至った。 
 それは、体格で劣る真一がオークの腕を叩き付けるのと正に同時の閃きであった。 
>「――悪いな、俺の総取りだ」 
「悪いな、俺のウンコは…特大だ」 
と、グレートウンコは呟いた 
なゆたが爆ぜる 
そして、狐がウンコに化ける 
まだまだこの戦いは終わらない… それでメルトに意見を聞いてみた。 
同じメルト族として。 
俺はメルト族のグレートウンコだから 
(なに考えてるんですかこの人は! デカいは強いんです。少年漫画じゃないんですから、こんなの勝てる訳ないですよ…… 
  こんな所で寄生先の戦力を失う訳にはいきませんし、最悪『生存戦略(タクティクス)』のスペルの回復効果で…………あれ?スペル?) 
どうあっても引く様子がない真一を半ばあきらめて眺めていたメルトであったが、試合後に負うであろう怪我を回復する手段を思い描いた時、ある可能性に思い至った。 
 それは、体格で劣る真一がオークの腕を叩き付けるのと正に同時の閃きであった。 
>「――悪いな、俺の総取りだ」 
「悪いな、俺のウンコは…特大だ」 
と、グレートウンコは呟いた 
なゆたが爆ぜる 
そして、狐がウンコに化ける 
まだまだこの戦いは終わらない…
なゆたの登場でウンコたちが湧いた
いや、沸いた
流れが変わった
橘音との合流を彼らは望んでいるようだ 橘音との合流を彼らは望んでいるようだ
ウンコの無限沸きは止められないのだろうか?
ハイパーウンコがなゆたに代わって答えた
「それは即ち不可能なり」
橘音も続く
「不可能なぜなら俺も荒らしだからだ」 なゆた「悪いな、鬼畜的所業は俺だ」
橘音「俺がハイパーウンコでもか?」
なゆた「おう、だって俺らは一心同体」
ハイパーウンコ「」 ウンコが何か書いたところでウンコなのに
懲りないなあこのウンコなゆた ブレウン
ブレウン勢
ブリモン
ブリモン勢
どっちがいい? 「ハッ、喧嘩を売った相手が悪かったな」
まるで信じられないものを目撃したかのように、目を白黒させる司会の男の姿を見て、真一は満足そうに鼻息を鳴らす。
そして机上に積まれた金貨を全て掴み取り、それをインベントリに格納して、アームレスリングの席を立った。
>「真ちゃん凄いわ〜!こんな大きなお人に腕相撲で勝てるやなんて〜!」
すると、そんな真一の元へ真っ先に訪れたのは、意外にもみのりだった。
彼女は無邪気そうに真一の頭に抱き付いてくるが、抱き締められているこちらからすれば、ただ事では済まされない理由があった。
「ちょ、ちょっ……! その……あ、当たってんだけど……!」
――そう、当たっているのだ。
頭になど抱き付いてくれば、必然的に。
普段は野暮ったい農作業服に覆い隠されているが、みのりの体躯はスレンダーでありつつ、女性らしい起伏に富んでいる。
真一も健全な男子高校生なので、そんな体をこうやって無防備に押し付けられると、大分参ってしまうものがある。
血流が心臓の方から登ってきて、自分の頬が紅潮していくのを感じた。
>「ここから先はRTA方式でサクっと進めよう。酒場のマスターに大金握らせて、一番良い情報を絞り出す。
支払いは任せたぞ真一君!」
>「真ちゃんの大活躍でお金も仰山手に入ったことやし、ウィズリィちゃん、明神のお兄さんの言うような宿屋や酒場に案内したってぇ〜」
>「そ、そうですね。明神さんの言う通り、酒場のマスターの弱みを握るか懐柔をすれば、特殊クエストが発生します……って、攻略サイトに書いてありましたし!」
「あ、ああ……そうだな。さっきの一悶着で路銀も手に入ったし、それくらいは俺が持つぜ」
そして明神の提案に乗り、一行は酒場を目指すことにする。
しかし、ここでもみのりは何の気無しに真一の手を握ると、子供のようにはしゃぎながら、その手を引いて歩き出した。
何故かは分からないが、ガンダラの街に着いてからというもの、彼女のボディタッチが異様に多い気がする。
歳上の可愛いお姉さんにベタベタされて、悪い気のする男はいない――が、そんな様子を鋭く見据える視線を感じ取り、真一は何やら居心地の悪さを覚えずにはいられなかった。 ――“魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭”。
ガンダラに存在する数多くの建造物の中でも、その魔窟は一際の異彩を放っていた。
まず見てくれからいかがわしく、屋根の上には兎の耳のような飾りが付いており、店の前にはハート型の看板が立てられている。
ショッキングピンクやパープルといった毒々しい色で塗装されたその店は、ファンタジー世界の酒場というよりは、現代のキャバクラなどを彷彿とさせた。
「……なぁ、マジでこの店にすんの?」
真一は「他の店にしとこうぜ」という雰囲気を醸し出しながらそう言うが、彼らの主目的はあくまでも情報収集だ。
ガンダラの街では何故かこの店が一番繁盛しており、ゲーム内でも多数のクエストを取り扱っている。
ローウェルの指輪という激レアアイテムの情報を手に入れるためには、避けては通れない道であった。
そして、一行が決心を固めて店の戸を叩くと、予想に反して店内は意外とまともな酒場だった。
ウェイトレスの格好がコスプレ染みていて、妙に露出度が高いのが気になるが、それに目を瞑れば如何にもイメージ通りのファンタジー風だ。
人間だけでなく、多様な亜人種たちが卓を囲んで酒を酌み交わし、高らかに歌いながら手を取り合って踊る。
子供の頃から色んな漫画やアニメで見知ってきた光景を目の当たりにして、真一は思わず感動しそうになるが、そんな店内に一つの異物を発見してしまう。
「うげっ……あれが、噂のバニーマスターか」
それは“雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)”の名で知られる、モンスターの一種だった。
バニーガールの服装を纏った筋骨隆々のオッサンという、ゲテモノ極まる容貌でありながら、その戦闘力は作中のNPCでもトップクラスに位置するらしい。
真一は当然戦ったことなどなかったが、今後もその機会が来ないことを心から願った。
>「みんな、ここはわたしに任せてくれない? 交渉事なら経験があるから、悪いようにはしないわ」
>「真ちゃん、お金」
「……ん。頼んだぜ、なゆ。お前は生徒会でもそういうの得意だったもんな」
真一はなゆたに言われた通りに金貨を渡すと、マスターとの交渉を彼女に一任する。
なゆたは気の強さに加え弁が立つのを知っていたし、何よりアレとあまり関わり合いたくない。
この場はなゆたを信頼するとして、真一はそそくさと席を離れると、近くのウェイトレスを呼び止め、しれっとエール酒を注文した。
「ぷはぁ……! あっちの世界のビールと違って冷えてないけど、すげー美味いなコレ! 本場の味って奴か?」
そして、なみなみとジョッキに注がれたエール酒を一気に半分くらい飲み干すと、真一は幸福の溜息を漏らす。
真一は現実世界にいる頃も、酔っ払った父親に付き合わされて、こんな風に酒を飲むことは多少あった。
あちらでは大っぴらに言えたことではないが、幸いここはアルフヘイムだ。日本の法律を気にする必要なんて微塵もありはしない。
「おっ、兄ちゃんいけるクチだな? ほら、もっと飲みな飲みな!」
「おう、ありがとな! そういうオッサンも中々飲めるじゃねーか」
すっかりいい気になった真一は、隣の卓のドワーフたちとも意気投合し、彼らに促されるがままガブガブと酒を呑み始める。
そして、何語かさえ分からない賛美歌のような歌を共に歌いながら、瞬く間に酒場の空気へ溶け合っていくのであった。
【面倒事をなゆたたちに任せて、未成年飲酒を断行】 「うげっ……あれが、噂のブレウンか」 
それは“雄々しき兎耳の糞女(ハイパーはなゆた)”の名で知られる、モンスターの一種だった。 
バニーガールの服装を纏った筋骨隆々のオッサンという、ゲテモノ極まる容貌でありながら、その荒らし力は作中のNPCでもトップクラスに位置するらしい。 
真一は当然戦ったことなどなかったが、今後もその機会が来ないことを心から願った。 
>「みんな、ここはわたしに任せてくれない? 交渉事なら経験があるから、悪いようにはしないわ」 
>「真ちゃん、うんち」 
「……ん。頼んだぜ、糞なゆた。お前は生徒会でもそういうの得意だったもんな」 
真一はハイパーウンコに言われた通りに金貨を渡すと、マスターとの交渉を彼女に一任する。 
ウンコは気の強さに加え弁が立つのを知っていたし、何よりアレとあまり関わり合いたくない。 
この場はなゆたを信頼するとして、真一はそそくさと席を離れると、近くのウェイトレスを呼び止め、しれっと特製糞汁を注文した。  「うげっ……あれが、噂のブレウンか」 
それは“雄々しき兎耳の糞女(ハイパーはなゆた)”の名で知られる、モンスターの一種だった。 
バニーガールの服装を纏った筋骨隆々のオッサンという、ゲテモノ極まる容貌でありながら、その荒らし力は作中のNPCでもトップクラスに位置するらしい。 
真一は当然戦ったことなどなかったが、今後もその機会が来ないことを心から願った。 
>「みんな、ここはわたしに任せてくれない? 交渉事なら経験があるから、悪いようにはしないわ」 
>「真ちゃん、うんち」 
「……ん。頼んだぜ、糞なゆた。お前は生徒会でもそういうの得意だったもんな」 
真一はハイパーウンコに言われた通りに金貨を渡すと、マスターとの交渉を彼女に一任する。 
ウンコは気の強さに加え弁が立つのを知っていたし、何よりアレとあまり関わり合いたくない。 
この場はなゆたを信頼するとして、真一はそそくさと席を離れると、近くのウェイトレスを呼び止め、しれっと特製糞汁を注文した。 
うんち臭い ――「ブレイブ&ハイパーウンコ!」とは? 
遡ること二年前、某大手ゲーム会社からリリースされたスマートフォン向けソーシャルゲーム。 
リリース直後から国内外で絶大な支持を集め、その人気は社会現象にまで発展した。 
ゲーム内容は、位置情報によって現れる様々なモンスターを捕まえ、育成し、広大な世界を冒険する本格RPGの体を成しながら、 
対人戦の要素も取り入れており、その駆け引きの奥深さなどは、まるで戦略ゲームのようだとも言われている。 
プレイヤーは「スペルカード」や「ユニットカード」から構成される、20枚のデッキを互いに用意。 
それらを自在に駆使して、パートナーモンスターをサポートしながら、熱いアクティブタイムバトルを制するのだ! 
世界中に存在する、数多のライバル達と出会い、闘い、進化する―― 
それこそが、ブレイブ&ウンコなゆた! 通称「ブレウン」なのである!! 
そして、あの日――それは虚構(ヒート)から、真実ヘイズ)へと姿を変えた。 
そしてウンコは流転する
↓ハイパーウンコかグレートウンコが次書け 別に呼ばれてないが、出てきてやったぞ
ビュッ…
ビュッ…
これ何の音だと思う?
糞を発射してるときの音だ
ウンコの神ってのは常に前向きだ
それを覚えておきたまえ 質問コーナーを設ける
ブレモンで一番綺麗なウンコを出しそうなのは誰か?
答えは俺が持っている
当たり前だと思うが、お前ら答えてくれ
もし正解したら
一番良いウンコをやろう
ビュッ…
俺はウンコの王
王の中の王 >>361
許してくれ
下痢ぎみなんだよ最近
>>360
俺はブリーフ派だ 『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』は、ガンダラに数あるクエスト起点の中でも質・量共にトップクラスを誇るロケーションだ。
店内は広々としていてプレイヤー同士の交流も盛んに行われ、ガンダラを拠点とする冒険者達の憩いの場となっている。
……というのが、当初開発の想定したこの店の様相だったらしい。
だが、実情はそうならなかった。プレイヤー達は魔銀の兎娘亭に寄り付きもせず、ガンダラ自体が深刻な過疎化に陥っていた。
その理由の一つが――
>「いらっしゃァ〜い、『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』へようこそ! アラ、アンタたちここらじゃ見ない顔ねェ」
――アレだ。
この店のマスター、雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)。
バニーガールの格好したものっそいガタイのオッサンという出オチ丸出しのビジュアルがもう生理的にアレだけど、
更にやべーのがこいつが振り撒いてくる回避不能にして時間経過以外で解除できない超極悪デバフ。
男性プレイヤーにのみ付与される点と、暗転つまり一晩明かした描写が全ての言い逃れを叩き潰している。
プレイヤーの間じゃ『肛門裂傷デバフ』だとか『掘られ状態』とか揶揄されてる開発部の悪ノリの結晶だ。
「クソッ、再現性高えなオイ……」
果たして店の奥、カウンターの向こうにそいつはいた。
近付くだけで雄の匂いが漂ってきそうな濃ゆいツラで、店内の様子をネットリと眺めている。
ときおり俺や真ちゃんに向かってウインクしてくんのホントやめて欲しい。
>「あの、なゆたさん。みのりさん。ウィズリィさん……ええと、ですね。私、頑張りますので、頑張って守りますので……」
しめじちゃんはああ言ってるけどむしろ守って欲しいのは俺達の方なんだよなぁ……。
マジで大丈夫かこのゲーム。一応全年齢向けだよ?CEROに怒られたりしない?
>「……あぁ……。あれかぁー……。わたしたちには関係ないけど、真ちゃんと明神さんは……うん……」
何濁してんだてめー他人事だと思いやがってよぉー!
ん?何を想像したのかな?おじさんにこっそり教えてごらん??
とまぁ通報されたら垢BANモノのセクハラは置いといて、画面越しじゃないリアルなおっさんバニーの存在に俺達は気圧されていた。
ドン引きだよ……開発さんは各方面への配慮が足りてないのでは?世の中にはデリケートな少数派もいるんですよ!
>「みんな、ここはわたしに任せてくれない? 交渉事なら経験があるから、悪いようにはしないわ」
お尻を抑えて一歩下がった俺と入れ替わるようになゆたちゃんが前に歩み出る。
なんて頼りになる女子高生なんだ……もしかしてなゆたちゃんは俺のお母さんなのでは?
>「真ちゃん、お金」
情けない最年長に変わって交渉の矢面に立ったなゆたちゃんは、早速PTのお財布(蔑称)に路銀を要求する。
真ちゃんやっぱ尻に敷かれるタイプだわ……なんか他の客と勝手に未成年飲酒始めてるし。
おめーはダメ亭主かなんかかよ。女房に働かせといて一人で飲み歩いてんじゃねーよマジで!
>「真ちゃん、お金。――全部」
流石のなゆたちゃんもこれにはお冠らしく、財布の中身を全部カツアゲする英断に出た。
真ちゃんが腕相撲でチートかまして巻き上げてきた金の全てがカウンターにドンと置かれる。
マスターの眉がピクリと跳ね上がった。一介の冒険者がホイと出せる金額じゃない。この店の酒を棚ごと買える金だ。
そして……A級以上のクエストを求める上級者達が、挨拶代わりに握らせる額でもある。
>「まだるっこしいことは無しよ。今、このギルドで一番大きな仕事を教えてちょうだい」
交渉慣れしてると言うだけあって、なゆたちゃんの要求は端的かつ正確だった。
この辺は流石にエンド勢って感じだ。まぁ使ってんのがスライム()だしhimechan疑惑が高まるばかりだけれども。
マスターは鼻を鳴らして金貨の入った袋を矯めつ眇めつ眺めると、やがて奥からもう一つの台帳を引っ張り出してくる。
ニュービーには拝むこともままならない、危険度の高い上級クエストの記された帳簿だ。
初心者が勝手に挑んであたら若い命を散らさないように、マスターが厳重に管理しているクエスト類である。 「俺もナマで拝むのは初めてだ。あんな額の金、ミッドコアにゃ用意出来ねえからな」
だが……まだ足りない。まだ先がある。
この段階で受注が可能になるのは、ブレモンを半年も続けりゃたどり着ける『普通の上級者』に向けたクエストだ。
これよりも更に高難度な、ハイエンドコンテンツの名に恥じない『裏クエスト』がこのゲームには存在する。
ローウェルの指輪はまさにそのハイエンドコンテンツで排出される超極希少アイテムなのだ。
ガンダラでハイエンドコンテンツを受けるには……金だけじゃなく、とある条件を満たさなければならない。
>「――明神さん」
振り返ったなゆたちゃんが迷わず俺を見据えたのを感じて、とってもイヤーな予感が背筋を駆け巡った。
俺は咄嗟に逃げ場を探したが、後ろには石油王がニコニコしながら突っ立ってて下がれねえ。
>「明神さんは強いモンスターが欲しいんですよね? ベルゼブブ捕獲を試みてたくらいだし。
あのときは討伐を優先しちゃってごめんなさい。でも、次にもし強力なレイドボスが出現したら――捕獲の手助けをしますよ。
みんなも協力してくれるはず。ううん、協力してもらう。あなたが欲しいモンスターを捕獲できるように……その代わり」
……待て待て待て。この流れはマズいぞ!本当にマズいぞ!
なゆたちゃんはマジモンの交渉巧者だ。提示されたこの美味い条件は、交換条件がとんでもなくエグいことを意味してる。
そして交換条件を先出しすることで、拒否しづらい空気を出していやがる。
拒否権を剥奪するんじゃなく、あくまで相手が自分の意志でそれを選び取ったという履歴を残すためだ!
パーティに数少ない男である俺に、この状況で依頼することなんて一つしかねぇ。
>「レイドモンスターの捕獲に手を貸す代わりに――明神さん、マスターから情報を引き出して。
これはあなたにしかできない仕事、だから」
うげぁー。やっぱそーなるの?
裏クエストを受注する条件。それは、男性プレイヤー一人を犠牲にしてマスターの心証値を上げること。
本来はパーティを組んで、最も火力の低いプレイヤーを生贄に捧げてクエストを開始するのが定石だ。
俺達もその例に漏れず、つまり生贄は俺だった。
「マジかよ」
この女……言ってる意味分かってんだろうな……俺にあのおっさんへケツを差し出せってことだぞ。
ふざけやがって、なんで俺が昨日今日シリ合った連中のために純潔を捧げなきゃなんねーんだ!シリだけに!
>「お願い明神さん! わたしたち、みんなでこの世界から脱出する手助けと思って!」
お願いするんじゃねええええ!!!
脱出すんのなんか俺一人で良いんだよ!おめーらは仲良くガンダラでチマチマ石掘ってろや!
ガンダラは掘る場所であって掘られる場所じゃねぇんだよ!!
ていうか真ちゃんを生贄に捧げりゃいいじゃん。あいつ良い感じに酔っ払ってるし好都合だろ。
マスターだって絶対若い方が良いって!なぁマスター!マスター?なんで俺の方凝視してんの?
目線がずっと下がり気味なのマジでこえーんだけど!
>「真ちゃんはこの際、モンスターの一種として見ていいと思う。
となれば真ちゃんも貴重な戦力のひとり。クエストを受ければ戦闘は避けられないんだから、戦力は多いに越したことはないわ。
そんな真ちゃんが全ステータスデバフを受けるのは、わたしたち全員にとって不利でしょ?
でも、明神さんは戦わない。そして、下がるのは明神さんのステータスであって、ヤマシタさんのじゃない。
ってことは、明神さんのステータスが下がっても、パーティーの戦力そのものは低下しないってこと」
クソっもっともらしい理屈こねやがって!
サラっと言ったけど真ちゃんもはや人間として扱われてねえ!お前らお友達じゃないの?
ベルゼブブの時はたまたま上手く行ったけど真ちゃんあんな戦い方続けてたらそのうち捻り潰されて死ぬからな!?
>「ってことで、よろしくお願いします! マスター、彼がマスターにお話があるそうですよ!」
勝手に話を進めるんじゃねぇ!!
ねぇ真ちゃんどう思う!?あの娘俺を売ったよ!?お前のお友達ああいうことする奴なんだよ!!
ヘイ真ちゃん!こっち見て!……だめだあいつ完全に出来上がってやがる……! 俺は不条理への怒りを込めてなゆたちゃんを睨みつけた。なゆたちゃんは眼を逸らさなかった。
目線を合わせて来るんじゃねえ。それは厄介事を厄介だと分かって頼んでくる奴の眼だ。
罪悪感とばつの悪さを受け入れて、それでも目的を果たそうとする……芯の強さのある眼だ。
邪悪なる俺にはそれが眩しい。居心地の良い日陰から引きずり出される気分になる。
「…………レイドボス捕獲の話、忘れるんじゃねえぞ」
ついに根負けして、俺の方が目を伏せる事になった。
最近の女子高生ってみんなこんな押し強いの?そりゃ真ちゃんも尻に敷かれるわ。こえーもんなゆたちゃん。
まぁ確かに、こんなとこでウダウダ行ってる場合じゃねーってのはその通りだ。
ローウェルの指輪のクエストがいつまでも発生してるとは限らない。
入手のチャンスを逃せば俺達はすっとガンダラで暮らさなきゃならなくなるかもしれないのだ。
「しめじちゃん、石油王、今の話は聞いてたな?君達も証人だ。約束を違えるなよ」
ウィズリィちゃんは何の話してるかわかんねーと思うからこの際除外する。
多分この子はこれから俺がどんな覚悟を決めるか知ることはねーんだろうな……。
でもわかっておいて欲しい。ここに過酷な運命へ立ち向かった一人の男がいたことを。
>「あらン……何かしら? かわいい子ねン」
なゆたちゃんに押し出されるようにして矢面に立った俺を、マスターは舌舐めずりで迎えた。
「マスター、部屋の予約を変更する。二人部屋が二つと個室が一つだ。俺は……あんたのところに泊まる」
マスターは犬歯を見せる笑みを作った。
全然関係ないけど笑うという行為は本来攻撃的なものであり獣が牙をむく行為が原点である的なイメージが脳裏をよぎる。
「うふ。それは『そういうコト』だって受け取ってもいいのかしらン?」
「ああ……俺達は、あんたの求めるものを用意できる」
「あはぁ、しばらくご無沙汰だったから滾るわねぇ……それじゃ、あの月が天辺に来た頃に待ってるわン。
ちゃんとシャワー浴びてから来るのよぉ?優先的に使えるようにしといてあげるわ」
「作法は心得てるつもりだ」
俺は女性陣を顎でしゃくって二階への階段を示す。
「先に宿に行ってろ。そして夜明けまで降りてくるなよ。明日の朝メシまでには戻ってくる」
テーブルで酔客たちと盛り上がってる真ちゃんの肩を、恨みをこめてべしべし叩いた。
「そろそろ門限だ真一君。君は女衆を部屋までエスコートしてそのまま個室に直帰してくれ。
いいかもし俺が夜明けより前に戻ってきて泣きながらシャワーを浴びていたら、その時は何も声を掛けてくれるなよ」
「大丈夫よン、やさしくするから☆」
マスターが俺にウインクする。背筋をものすごい勢いで脂汗が流れ落ちた。
うわぁ……蛇に睨まれたカエルってこんな気持ちだったんだぁ……。 真ちゃんに女性陣を送らせてからしばらく酒場で時間を潰す。シラフじゃやってらんねえよマジでさぁ。
しかしここのビールぬるいっすね。キンキンに冷やしてくんなきゃ美味しくないじゃん。配慮足りてねえなあもう!
月が直上に差し掛かる、地球時間で言う所の12時になってから、俺はシャワーを浴びてマスターの部屋を訪れた。
「待ってたわァ。さぁ、アタシの望む通りのものをくれるのよね?」
ベッドに腰掛けて俺を出迎えたマスターは、相変わらず肉食獣染みた視線で俺を舐めた。
まるで物理的にペロペロされたような錯覚に陥って身震いしながら、俺はスマホを手繰った。
「あんたの求めて止まないもの。そいつは……これだ」
残り少ないクリスタルを消費して、インベントリを開く。
その最下段、一番最近に入手したアイテムを取り出して、机の上に置く。
――『蝿王の翅』。
超希少レイドボス、ベルゼブブを討伐した者だけが手に入れることのできる、トロフィーアイテムだ。
マスターは蝿王の翅と俺の顔とをしばらく交互に眺めて、そして笑った。
あの品定めするような粘着質な笑みではない、相好を崩した快活な笑顔だった。
「へぇ……アナタみたいなヒョロヒョロのヒュームがベルゼブブを倒したの?
それは興味深いわ。ええ、とっても滾る。聞かせてちょうだい、あの凶悪無比な蝿の王を、どんな風に下したのか」
――なゆたちゃんに生贄に選ばれたあと、俺は必死に脳味噌の中身をひっくり返して活路を探していた。
そして、一つの記憶を探り当てて、それに全てのチップをベットし賭けに出た。
すなわちそれは、ブレイブ&モンスターズが押しも押されぬクソゲーだという厳然たる事実だ。
ご存知の通り、ブレモンはクソゲーである。
バディ間のバランスは崩壊してるし、ガチャの排出率はゴミだし、不具合への対応はクソみてーに遅い。
この前塩の壺バグでデュープ行為してる奴を見つけて通報したのに証拠不十分でロクに対処しなかったからな。
結局フォーラムで俺がバグの仕様を公開して、デュープに手を染めるプレイヤーが大量発生してようやく重い腰上げやがった。
いやー良いことすると気持ちがいいなあ!ブレモンの平和を護る聖戦士と呼んで欲しい。
とまあこのように、開発はプレイヤーの神経を逆なでする言動に迷いがない。
ガンダラの主、マッスルバニーガールと謎デバフの設定周りにしたってそうだ。 ブレモンプレイヤーの99割は、マスターの放ってくるデバフがいかがわしいモノだと思ってる。
そりゃそうだ、オカマっぽいマスターが男性にだけ付与してくるデバフだもの。状況証拠が揃いすぎてる。
しかしその一方で、ゲーム中のテキストでも開発のアナウンスでも、デバフの内容については一切言明されていないのだ。
聡明なるプレイヤー諸兄がいくら『マスターに掘られたんですけお!』と騒ぎ立てたところで、開発は涼しい顔でこう言い返す。
『全年齢向けゲームでそんないかがわしいシーンあるわけないじゃないスか(笑)。邪推しないで下さいよ(核爆)』
クッソむかつくけどまぁ正論だ。肛門裂傷デバフなんてのはプレイヤーが勝手に言いだした揶揄に過ぎない。
いくらそうとしか取れないシーンであっても、言明されていない以上これは健全なシーンなのだ。
そういう脳味噌の腐った開発陣の悪意を、今俺の立ってるアルフヘイムが完璧に再現しているとすれば。
そこにこそ、俺の活路はある。
「聞かせよう。俺とその仲間たちが、これまでどんな旅をしてきたのか。
まだ誰にも教えてない、出来たてホヤホヤの冒険譚さ」
ブレモンが健全なゲームだという前提に則って状況を読み解けば、大体の答えは見えてくる。
マッスルバニーガールがデバフを放ってくるのはプレイヤー。男性である以前に、冒険者だ。
そしてゲーム上の演出としての暗転は、すなわち一晩明かしたことを意味している。
酒場で数多くの冒険者を相手にしているマスターが、一晩明かした後に好感度を上げるという状況は、
不健全な交友関係を除外するのであれば、すなわち健全な交友関係を構築したということに他ならない。
もっと端的に言うならば、冒険者と冒険譚を肴に夜通し飲み明かして、仲良くなった。
それが暗転と心証値爆上げのからくりってわけだ。
対象が男性限定なのは、全年齢向けのゲームにおいて男であるマスターに夜明けまで付き合えるのは、男だけってことなんだろう。
マジで紛らわしいな……こういうトラップを喜々として仕込んでくる開発のクソ根性が、俺には手に取るように分かる。
伊達に三年くらいフォーラム戦士やってねえからな。
「うふふ。長くなりそうだしとっておきの瓶を開けちゃうわ。特別よ?明神ちゃん」
いつの間にか俺の名前を呼ぶようになったマスターが、戸棚から高級そうな酒瓶を出してくる。
クリスタルガラスで作られたショットグラスに、琥珀色の液体が注がれた。
暗転後にプレイヤーに付与される、全ステータスを低減させる凶悪なデバフ。
その正体は――二日酔いだ。 翌朝。俺は凄まじい頭痛に苛まれながら朝食の席についた。
「うごごご……頭が割れるようにいてぇ……。ゲームのデバフをリアルに受けるとこんな感じなのか……」
「もう明神ちゃん飲み過ぎよン!今水持ってくるから待っててねっ!」
鼻歌交じりに厨房を駆け回るマスターは全然堪えた様子がない。
昨日あんだけ度の強い酒ガバガバ飲んでたのになんで酒残ってねーんだよ化物か。
俺も会社の忘年会とかでは結構呑む方だけどここまで酷い二日酔いになったの初めてだよ……。
「だが情報は聞き出せた……へへっ……身体張ったかいがあったぜ……」
起きてきた女性陣や真ちゃんは、このテーブルを埋め尽くすようなご馳走に目を奪われることだろう。
仲良くなったマスターが、俺の仲間たちを送り出すために腕によりをかけて振るった料理の数々だ。
しかも起き抜けに喰っても重くないよう消化しやすいメニューをしっかり選んである。
ちょっとつまみ食いしたけどすげえ美味かった。なんなのマスターお嫁さんかなんかなの?
やがて揃った全員を相手に、俺はマスターから聞き出したローウェルの指輪に関する情報を話した。
「まず結論から言うが、ローウェルの指輪自体の在りかについては情報がなかった。まぁ当たり前だがな。
ただし、指輪に繋がるような手がかりはある。――数日前、この店に『聖灰のマルグリット』が訪れたらしい。
賢者ローウェルの弟子が、何の因果かガンダラくんだりまで来てる。間違いなく指輪に関係してるだろう」
聖灰のマルグリット。
賢者ローウェルに師事する『十二階梯の継承者』の一人である魔術師の男だ。
マルグリットは第四階梯、つまり継承権第四位のかなり上位の弟子ということになる。
マルグリットはブレモンのメインクエストでもプレイヤーと関わることになるキーキャラクターで、
"アコライト外郭防衛戦"を初めに何度も対決することになるほか、一部のクエストでは共闘することもある。
その強さもさることながら、有名絵師がキャラデザを手掛けてるだけあってビジュアル面でも人気が高い。
いやマジですげえイケメンなのよ。小学生と大きなお姉さまがたから絶大な師事を得てるらしいっす。
あとセリフがいちいちクサいので男連中からもそこそこネタ的な人気があるのもデカイね。
「なんでも、マルグリットはガンダラの道具屋で大量のポーションを買い付けて鉱山に向かったらしい。
その後数日、今日に至るまで奴の姿をこの街で見かけた者はいない。鉱山から出てきてねえんだ。
出入りしてる鉱夫たちにも見つからない場所っつうと、ガンダラ鉱山奥の『第十九試掘洞』しかないよな」
第十九試掘洞は、ガンダラ鉱山の奥地を侵入点とする中級者向けのダンジョンだ。
作業員がとにかく縦横無尽に掘りまくった結果、という設定のもと、入る度に内部構造が変わる特徴を持ってる。
ダンジョン解放レベルは中級者だけど、下層に辿り着くのはエンドコンテンツ並に難しいとされている。
「おそらくマルグリットは未だにダンジョンに篭ってる。買い込んだ物資の量から見るにかなり長丁場だ。
俺達も試掘洞に潜って、奴に接触出来れば、指輪に繋がるなんらかの手がかりが得られるかもしれねえ」
そこまで話して、もう喋るだけで響くような頭痛が限界に達してきた。
「約束は……果たしたぜ……あとのことは……頼んだ……うっ」
「明神ちゃん水よ――明神ちゃん?明神ちゃーん!?」
マスターが冷水を持って来た時には時既に時間切れ、デバフによって俺のHPは限りなく0に達していた。
マスターが力いっぱい揺さぶって、そのダメージで俺は死んだ。スイーツ(笑)
【マスターと仲良くなり(意味深)、デバフを受ける(意味深)。
ローウェルの弟子、『聖灰のマルグリット』がガンダラ鉱山奥『第十九試掘洞』に篭ってるという情報を入手】 なあ、
ウンコ大明神
一回さ
なゆたウンコと
糞を糞で洗う
大バトルしてみない?
俺協力するよ
な、グレートウンコさんよ? ブレクソプレイヤーの99割は、マスターの放ってくるウンコがいかがわしいモノだと思ってる。 
そりゃそうだ、オカマっぽいマスターが男性にだけ付与してくるウンコだもの。肛門証拠が揃いすぎてる。 
しかしその一方で、ゲーム中のテキストでも開発のアナウンスでもウンコの内容については一切言明されていないのだ。 
聡明なるプレイヤー諸兄がいくら『糞なゆに掘られたんですけお!』と騒ぎ立てたところで、開発は涼しい顔でこう言い返す。 
『全年齢向けゲームでそんないかがわしいウンコシーンあるわけないじゃないスか(笑)。邪推しないで下さいよ(核爆)』 
ウンコむかつくけどまぁ正論だ。肛門裂傷デバフウンコなんてのはプレイヤーが勝手に言いだした揶揄に過ぎない。 
いくらそうとしか取れないシーンであっても、言明されていない以上これは健全なシーンなのだ。 
そういう脳味噌の腐ったなゆたの悪意を、今俺の立ってるアナルヘイムが完璧に再現しているとすれば。 
そこにこそ、俺の括約筋はある。 
糞糞糞! 聖灰のマルグリット。 
賢者グレートウンコに師事する『十二階糞の継承者』の一人である魔術師の男だ。 
マルグリットは第四階糞、つまり継承権第四位のかなり上位の弟子ということになる。 
マルグリットはブリモンのメインクエストでもプレイヤーと関わることになるキーウンコバターで、 
"糞便器外郭防衛戦"を初めに何度も対決することになるほか、一部のクエストではウンコと共闘することもある。
「来いよグレート」
マルグリットは言った。 >>373
悪い
断る
なゆたは俺のフレンドなんだ
いわゆるライフメイトってやつかな
ウンコ仲間
>>370明神 ◆9EasXbvg42
◯ ◯ ◯ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています