主従キャラバトルロワイアル part2
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当スレッドは、漫画やアニメに登場する主従キャラでリレーSSの形式でバトルロワイアルを進める 「主従キャラバトルロワイアル」という企画の為のスレッドです。 前スレ ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1319289436/ 主従キャラバトルロワイアル@wiki (まとめ) ttp://www38.atwiki.jp/msbr/ 主従キャラバトルロワイアル専用したらば掲示板 ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15038/ 【参加主従一覧】 【Fate/Zero】 衛宮切嗣/セイバー 【Fate/Zero】 ウェイバー・ベルベット/ライダー 【Fate/Zero】 雨生龍之介/キャスター 【コードギアス 反逆のルルーシュ】 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア/ジェレミア・ゴットバルト 【コードギアス 反逆のルルーシュ】 ユーフェミア・リ・ブリタニア/枢木スザク 【コードギアス 反逆のルルーシュ】 天子(蒋麗華)/黎星刻 【東方儚月抄】 レミリア・スカーレット/十六夜咲夜 【東方儚月抄】 西行寺幽々子/魂魄妖夢 【東方儚月抄】 蓬莱山輝夜/八意永琳 【HELLSING】 アーカード/セラス・ヴィクトリア 【HELLSING】 インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング/ウォルター・C・ドルネーズ 【スター・ウォーズ】 ルーク・スカイウォーカー/C-3PO 【スター・ウォーズ】 ダース・シディアス/ダース・ベイダー 【ゾンビ屋れい子】 姫園れい子/百合川サキ 【ゾンビ屋れい子】 雨月竹露/姫園リルカ 【戦国BASARA】 伊達政宗/片倉小十郎 【戦国BASARA】 織田信長/明智光秀 【うたわれるもの】 ハクオロ/トウカ 【おまもりひまり】 天河優人/野井原緋鞠 【ジョジョの奇妙な冒険】 DIO/ヴァニラ・アイス 【そらのおとしもの】 桜井智樹/イカロス 【まよチキ!】 涼月奏/近衛スバル 【北斗の拳】 シン/ハート様 【魔法少女リリカルなのは】 八神はやて/シグナム 【物語シリーズ】 阿良々木暦/忍野忍 25組50人 ◇◇◇ 「さてとだ、小十郎」 「はっ」 アーカードが見えなくなるまで歩を進めてから更にしばらく後、政宗と小十郎は背負い袋から基本支給品である参加者名簿を取り出した。 アーカード達と遭遇する前に、地図や他の支給品ともども一度確認していたそれを再び開く。 二人の視線の先には、彼等にとってあまりに因縁深き名前が二つ、記されていた。 「織田信長……明智光秀……こいつらは“あの”信長と光秀なのか…?」 日ノ本に於いてその名を知らぬ者はいないであろう、第六天魔王織田信長と、その側近である明智光秀。 しかし彼等はついぞ先日、他ならぬ政宗たちの手によって討ち滅ぼされたはずなのだ。 その記憶は二人の脳裏にも鮮明に残っている。 「俺は確かに真田幸村と共に、信長を討った。…それは小十郎にとっての光秀も同じだよな」 「間違いなく」 自分達が殺したはずの者の名前が、今、同じ島にいる者の名前として記されている。 あまりにも不可解なこの事に、その真偽を疑うのは無理なからぬ事といえよう。 「だとするとこの人別帳か、或いは信長達自身全くのfakeなのか……閻魔様のもとから舞い戻ってきたか、ってトコか」 「後者だとすると俄には信じ難い事ですが…」 「考えてたって始まらねえ。兎に角二人を探して、偽者だったなら放っときゃいい。 だがもし本物だったなら……今度こそ確実に地獄の底まで叩き込んでやらねえとな! Aer you ready!?」 「はっ!」 【D-6/南東・路上/1日目-深夜】 【主:伊達政宗@戦国BASARA】 [主従]:片倉小十郎@戦国BASARA [状態]:左脇腹に中度の刺傷(応急手当済み) [装備]:伊達政宗の具足 [方針/行動] 基本方針:??? 1:織田信長と明智光秀が本物かどうかを確認し、本物ならば再度討ち果たす。その後の事は考えていない。 2:取り敢えず八雲紫の思惑に乗るつもりは無い。 【従:片倉小十郎@戦国BASARA】 [主従]:伊達政宗@戦国BASARA [状態]:全身に軽微の打ち身 [装備]:十六夜咲夜のナイフ@東方儚月抄、トミーガン、背負い袋(基本支給品)、 (以下背負い袋内)トミーガンのマガジン(.45ACP弾50発入り)×7、十六夜咲夜のナイフ×29@東方儚月抄、巨大な十字架 [方針/行動] 基本方針:政宗様を守る。 1:織田信長と明智光秀が本物かどうかを確認し、本物ならば再度討ち果たす。 2:取り敢えず八雲紫の思惑に乗るつもりは無い。 [備考] ※参加時期は両名とも、一期最終回後〜二期開始前です。 【十六夜咲夜のナイフ@東方儚月抄】 紅魔館の瀟洒なメイド長、十六夜咲夜が愛用しているナイフ30本セット。特別な効果などは無い。 これにて投下完了です。 またしても短い割に前回以上に時間がかかってしまい、誠に申し訳ありません。 投下乙! 確かに今回はちょっと遅かったけど、荒らしでなければ、正直投下してくれる事自体がありがたいから、あんまり長短は気にしなくてもいいんじゃよ? それにしても、インテグラが参加してると言うだけで、ここまでアーカードが安心できる存在になるとは…。 他ロワじゃマーダーばっかりだったからなぁw そしてBASARA勢の身体能力パネェww 投下乙! いいねぇ、この闘争大好きっ子たちw そして、これがインテグラお嬢さんが一緒にいる場合のアーカードか。いやはや新鮮な感じだ。 後、互いに得意の獲物を持ち寄っての再戦を期待するけど、さぁてどうなるのかな。 乙! ヘルシング勢はジャッカルもハルコンネンも無いんだよな >>133 ジャッカルは薔薇々木さんに支給されてるぞー。 逆に筆頭の方が、六爪が未だに一振りしか見つかってない。 残り五本は主催の手許か…? 無毀なる湖光(アロンダイト) 約束された勝利の剣(エクスカリバー) 楼観剣 黒龍 六爪のうちの一本 童子切安綱 六振りある 問題無いな 制限かかってなければ叫んだだけで鞘に収まってくるんだけどな 今年初投下だな 久し振りに主従ロワ読めて新鮮でした ちょっと話変わるんだけどさ、>>111 で言われてる◆Su10.RK3MUさんのブログってどこにあるんだ? それは自力で探すしかない 無闇に教えるものでないから 偽物語のアニメ見てみた 阿良々木さんのアホ毛って武器なのか? それは自力で調べるしかない 無闇に教えるものでないから >>143-144 不覚にもフイタwww このスレのテンプレになったりしねぇだろうなw それは自力でやるしかない 無闇に手伝うものでないから 予約と予約予告キタ━━━━(・∀・)━━━━!! 今ロワ初の同作品キャラ遭遇なるか、それとも擦れ違うのか…? うおおおーっ!最高にwktkってヤツだあああーッ!! 星刻の参戦時期も気になるな oh……破棄か残念。 まあ沢山書いてらっしゃる方だし、次の機会に期待。 八意永琳って、「やい えーりん」じゃなかったんだな…… Wikiが更新されてるけど、携帯だとその内容がわからねぇ…!w なんだこれー!なんだこれー!なんだこれー! 一体何が起きてるんや… すげーwどんな話になるんだwww お、婦警とインテグラ達がいるけど会うのかな?別の場所の話かな? はぁー!? なんじゃこりゃー!!! 殆どのキャラはデパートでカチ合いそうだけど、切嗣と星刻は位置的に厳しいよな……どう絡んでくるんだ? 全く想像がつかねぇ! 盛り上げたい気持ちはわかるけど、痛々しいほどに滑稽だな…… 第一放送にすら到達してないのにあんな人数予約する=誰も書かなくなった、ひいてはもうこのロワは終わったことを意味するのに >>160 荒らしさんちーっす 書き手さんの士気下げて楽しいっすかwww >>161 そりゃもう 廃墟となった現実から目を逸らしてるやつらを見るのは最高に楽しい 深夜にされた予約に対して平日昼間にこれだけレスがついてるのに 自分で書いて盛り上げようって奴はいないのか? BASARA組の無双タイムか、はたまたフルボッコタイムか 「車道ですな」 「まあ当然だな。殺し合いを行わせようと目論むのに、嘘まみれの地図を渡す愚など犯すまい」 当面の目的を定め、まずは先に決めたとおり移動の為の足を調達しようと遊園地を出たルルーシュ達は、 地図の記載と眼前の光景を改めて見比べて、現在地が支給された地図で言うB−4の中心部である事を確認した。 二人の目の前には弧を描くように車道が走っており、その向こうには、僅かに窪んだ入り江が存在するのが、 車道に併設された街灯の灯りによってはっきりと見て取れていた。 「さて、ここから一番近い街となると…水族館のあるA−5か」 「はっ」 病院のあるA−3や、ホテルのあるC−5との距離と比べるとほぼ微差と呼べる範囲だったが、今回ルルーシュ達はあくまで、 その微差なれど、最も近い都市部であるA−5へと向かう事を選択していた。 特に深い理由がある訳ではない。 ―――いや、もちろん正確に言えば、例えば病院なら人は集まり易いが「駒となり得る(=健常者)」参加者には遭遇し難いだろうとか、 ホテルなら物資は多いだろうが探索に時間を食うだろうとか、様々なメリットやデメリットを考慮・加味したルルーシュだったが、 それらの点を抜きにしても尚、今は少しでも迅速な行動こそが優先されると判断したからこその決断だった。 長くはない三日と言うタイムリミット、そしてこの決して狭くない島。一刻も早く移動手段を確保すると言うのは、賢明な判断だと言えよう。 そして、これはルルーシュ達の与り知らぬ事だったが、もし仮にルルーシュがホテルへと向かっていたら、 この殺し合いの参加者の中で唯一、始めからギアスの存在を知る者――勿論天子と星刻の事だ――と遭遇する羽目になっていた可能性が極めて高く、 そういう意味でもこの判断は正解だったと言えるのだが、それはあくまでifの話でしかない。 まあ、更に加えて言うならば、彼等が本当にギアスの存在を知っているかどうかもまだ知る由は無いのだが。 閑話休題。 ともあれルルーシュ達は深夜の車道をぽくりぽくりと北東の方角へと歩き続け、ものの十分も経過する頃には目的の市街地へと到着した。 が、そこでルルーシュは予想だにしなかった事に驚愕を覚える事となった。 ◇◇◇ 「……遠目に屋根が見えた時からまさかとは思っていたが、やはりそうか」 「何かお気になられる事が?」 「ああ」 ルルーシュを驚愕させた物は、市街地の北の外れ、海に程近い場所に建っていた水族館だった。 とは言え、それ自体は当然珍しい物ではない。 周囲の景観と見比べて浮いていると言う事も、市街地の他の建物と比べて建築様式が違うという事も無い、至ってごく普通の水族館だ。 では何がルルーシュを驚かせたのかと言うと、その水族館は、彼にとって「見覚えのある物と全く同じ外観をしていた」からだ。 より具体的に言えば、彼がよく利用していた水族館そのものだった。 「この水族館はトウキョウ租界にあった物と―――俺がかつて蜃気楼の隠し場所として秘密裏に使っていた水族館と、造りが全く同じだ」 「なんと!」 ルルーシュのその言葉に、ジェレミアの表情もまた、驚愕に彩られる。 「だがその事は、俺とC.C.を除けば、黒の騎士団の中でもロロと咲世子しか知らない事だ。 咲世子が誰かに洩らすとはあまりにも考え難いし、ロロはそもそももうこの世には―――いや待て。まさか…!」 「まさか、ユーフェミア皇女殿下と同様に、八雲紫が…!?」 ルルーシュとジェレミアの表情が先程以上の驚愕に彩られ、額にはうっすらと冷や汗が滲む。 だが、それは意外にも――或いは流石はと言うべきか、ほんの数秒に過ぎない時の事だった。 「それはまだ判らない。さっきも言ったが、本当に八雲紫に死者を蘇らせる事ができるのかも未確認なのだからな。 それにもし本当に八雲紫がロロをも蘇らせていたとしても、ロロが口を割る可能性もまた皆無に等しい」 今は亡き偽りの弟、そして本当の家族であったロロの在りし日の姿に思いを馳せながら、ルルーシュは言葉を続ける。 「加えて言えば、それ以外の方法でこの水族館の秘密を知ったのかもしれないし、 そもそも、この水族館をこの島に移設してみせた理由からして解らない。やはりまだまだ情報が足りなさ過ぎるな…」 解らない事だらけの悔しさからか焦りからか、ギリ…とルルーシュは唇を噛み締める。 「…一応内部も確認しておくか。どのみち食料や物資の調達はせねばならないのだし、ともすれば情報を得れる先客がいるかも知れん」 「御意」 そうしてひとまず考察とやり取りを終えると、二人は意を決して、水族館の中へと入って行った。 ◇◇◇ 微かに非常灯が点るのみの深夜の水族館。 来客は神聖ブリタニア帝国第99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと、その騎士、ジェレミア・ゴットバルトの二名のみ。 カツン、カツン…とリノリウムの床が生む足音だけが、静か過ぎる空間に響いていた。 どれほど内部を探索してみても空調はおろか、水槽内のポンプや照明すらも起動しておらず、しかし、それに不満を訴える魚介類達すらもそこにはいない。 動かず澱み、しかし「まるで注がれて間も無い」ように澄んだ水で満たされた水槽ばかりが、辺り一面に存在しており、 そしてそれらのある展示スペースからは分厚い鉄扉とコンクリートの壁でで隔てられた、関係者専用の駐車場に現在ルルーシュ達はいた。 「やはり内部構造も完全に一致しているな…。だがそれはそれで、物資の調達に時間がかからずに済む。 なにせこうして何処に何があるか判ってるんだからな。先客はいなかったが、それはそれでより時間をかけずに済むというものだ」 「まさしく。最善たらずとも僥倖といったところですか」 「ああ。しかし――」 入館して数分と経たぬ内に、内部構造も知る通りだと判断したルルーシュは、ジェレミアの警護のもと、 悠々と目的の場所場所へと足を運び、これから必要になるであろう物資を順調に調達していった。 充分な量の食料と飲み水は言うに及ばず、応急手当用の医薬品の詰まった救急箱、更には地図上の難破船や砦跡に移動する為のダイバーズセットを二人分。 そして何よりの収穫は、最初の目的でもあった車をあっさりと入手できた事にあった。 とは言え、従業員の自家用車があればよかったのだがそれは無く、となると水族館なんて場所にある車と言えば必然的に――― 「あった車は海獣輸送用の大型トラックのみか…。まさに「最善たらずとも」だな」 「運転できぬ事はございませんが、小型のナイトメアすら搭載できそうなこの大きさでは、あまりにも良い的になりすぎますな…」 「そうだな。ましてやこんな支給品があるぐらいだ。他にも重火器が支給されている可能性は高いだろう。堅牢だからと言って安心はできない」 そう言いながらルルーシュは背負い袋に手を差し入れ、中から重厚な金属製の砲口を覗かせた。 30mm対化物用砲(カノン)「ハルコンネン」。とある英国組織に於いて用いられている、その名の通り化物を退治する為の超重火器である。 こんな物で撃たれた日には、如何に頑丈な大型トラックの装甲と言えど、紙屑のように突き破られ、爆散してしまう事は明白だった。 そしてそんな重火器を、体力も筋力も同年代では残念な部類に入るルルーシュが扱える訳も無かった。 改造人間たるジェレミアならば扱えなくもないだろうが、主の守護を第一とする彼にとっても、遠距離用の重火器などはお荷物にしかならない。 扱えず、必要なく、しかし他の参加者に手渡す訳にもいかない。 本来の持ち主たるセラス・ヴィクトリア――と言っても“今の”彼女はまだこれを使った経験が無いのだが――ならば兎も角、 折角の貴重な重火器たるハルコンネンも、今のルルーシュ達からしてみれば、ほぼハズレ支給品と言っても間違い無かった。 「無論、これでも徒歩で移動するよりは余程早いが、それでも早めにまともな車に乗り換えたいところだな。 それも含めて、次はスザクを始めとする他の参加者に接触するのが急務か」 ハルコンネンを背負い袋に仕舞い直し、再び大型トラックに目をやりルルーシュがそう言う。 「はっ。となりますと次の目的地は…」 「都市部を南進してホテルへ向かうか、西進して病院へ向かうかだな。どちらも人の集まる所だ。 地の利のあるこの水族館を拠点にするのも一つの手ではあるが、それは無事にスザクと合流してからが絶対条件だ。今は一分一秒が惜しい。 まあ、そんなにすぐにスザク合流できると思ってはいないがな…。あの女とて、そうそう近くに殺し合いを抑制するような結果を生む配置はすまい。 さて、どちらに向かうか…」 二者択一。 どちらが彼等にとっての正解かと問えばそれはもちろん、現在当のスザク達が目指している病院に他ならないが、今の彼等にそれを知る術は無い。 もし彼等がこの選択を誤れば、最悪『ゼロ・レクイエム』を為す事が不可能にすらなりかねない。 しかしもし選択を誤らなければ、彼等が無事に合流できるのは、ルルーシュの思惑よりも、ずっとはやい。 【A-5/水族館駐車場/一日目-黎明】 【主:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [主従]:ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ [状態]:健康 [装備]:背負い袋(基本支給品、約束された勝利の剣、30mm対化物用砲「ハルコンネン」+劣化ウラン弾&爆裂徹底鋼焼夷弾(各1発)@HELLSING、 充分な量の水と食料、ダイバーズセット(×2)、不明支給品) [方針/行動] 基本方針:ゼロレクイエム遂行のため、スザクと共に生還する。 1:スザクの捜索と情報収集。その為病院もしくはホテルに向かう。 2:八雲紫を殺す方法、対面する方法を探しだす。 3:最終的には、スザクとジェレミア以外の、この殺し合いに関わった者全員を殺す。 [備考] ※参戦時期はTURN25『Re;』ルルーシュ死亡の3日前 ※自身のギアス、ジェレミアのギアスキャンセラーへの制限には気づいていません。 ※A-5の水族館が、トウキョウ租界で蜃気楼を隠していた水族館(TURN12『ラブ・アタック!』参照)である事に気付きました。 その為この水族館の内部構造は知り尽くしています。 【従:ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [主従]:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ [状態]:健康 [装備]:碇槍、大型トラック [方針/行動] 基本方針:全ては我が主、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアのために。 1:ゼロレクイエム遂行のため、ルルーシュとスザクを生還させる。 [備考] ※参戦時期はTURN25『Re;』ルルーシュ死亡の3日前。 ※自身のギアスキャンセラー、ルルーシュのギアスへの制限には気づいていません。 【30mm対化物用砲「ハルコンネン」+劣化ウラン弾&爆裂徹底鋼焼夷弾(各1発)@HELLSING】 ウォルターがセラスの為に新調した武器。 成人男性ほどもある長さの砲身と、それに見合った重量、 そしてMBT(主力戦車)を除く全ての地上・航空兵器を撃破できる途轍もない火力を誇る。 【ダイバーズセット@現地調達】 ルルーシュが水族館にて調達。 ドライスーツ、ゴーグル、フィン(足ヒレ)、シュノーケル、小型酸素ボンベの5点セット。 サイズは一般的な成人男性用。 【大型トラック@現地調達】 ルルーシュが水族館にて調達。大型海獣を治療や譲渡の為に水槽ごと輸送する為の専用車両。 小回りは効き難いがそれなりに頑丈。 投下乙です タイトルなんのこっちゃと思ったらそういうことかw 足は手に入れたけど早速ターニングポイントだな どちらに行っても波乱の予感がするが……はてさて、どうなることやら 久々の投下乙! まずタイトルで吹いたwww そういやこのロワの旦那とセラスは、まだジャッカルもハルコンネン持たされる前の時期からの参戦だったな。 まあ実際入手したらフツーに使いそうだが。 そして何より、他ロワの影響で、ルルーシュが2話生き延びた事を何より嬉しく思う俺がいたw 投下乙 目的には沿わんが所持品にやたら派手なものが多いなw 感想有り難う御座います。 すみませんが、状態表に若干の記載漏れがありましたので微修正致します。 (誤) 【主:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [主従]:ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ [状態]:健康 [装備]:背負い袋(基本支給品、約束された勝利の剣、30mm対化物用砲「ハルコンネン」+劣化ウラン弾&爆裂徹底鋼焼夷弾(各1発)@HELLSING、 充分な量の水と食料、ダイバーズセット(×2)、不明支給品) [方針/行動] 基本方針:ゼロレクイエム遂行のため、スザクと共に生還する。 1:スザクの捜索と情報収集。その為病院もしくはホテルに向かう。 2:八雲紫を殺す方法、対面する方法を探しだす。 3:最終的には、スザクとジェレミア以外の、この殺し合いに関わった者全員を殺す。 [備考] ※参戦時期はTURN25『Re;』ルルーシュ死亡の3日前 ※自身のギアス、ジェレミアのギアスキャンセラーへの制限には気づいていません。 ※A-5の水族館が、トウキョウ租界で蜃気楼を隠していた水族館(TURN12『ラブ・アタック!』参照)である事に気付きました。 その為この水族館の内部構造は知り尽くしています。 (正) 【主:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [主従]:ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ [状態]:健康 [装備]:背負い袋(基本支給品、約束された勝利の剣、30mm対化物用砲「ハルコンネン」+劣化ウラン弾&爆裂徹底鋼焼夷弾(各1発)@HELLSING、 充分な量の水と食料、救急箱、ダイバーズセット(×2)、不明支給品) [方針/行動] 基本方針:ゼロレクイエム遂行のため、スザクと共に生還する。 1:スザクの捜索と情報収集。その為病院もしくはホテルに向かう。 2:八雲紫を殺す方法、対面する方法を探しだす。 3:最終的には、スザクとジェレミア以外の、この殺し合いに関わった者全員を殺す。 [備考] ※参戦時期はTURN25『Re;』ルルーシュ死亡の3日前 ※自身のギアス、ジェレミアのギアスキャンセラーへの制限には気づいていません。 ※A-5の水族館が、トウキョウ租界で蜃気楼を隠していた水族館(TURN12『ラブ・アタック!』参照)である事に気付きました。 その為この水族館の内部構造は知り尽くしています。 ※不明支給品に、少なくともルルーシュの扱える銃はありません。 (追加) 【救急箱@現地調達】 ルルーシュが水族館にて調達。 応急手当用の医薬品が幾つか入った、ごく一般的な救急箱。 確かにw こうなると未だに支給品が一切不明な二組の支給品が気になるな 一組分は絶賛放置中だが… 【001】 「だーれーかー、いーまーせーんーかー?」 殺し合いの舞台となる島のほぼ中央、島の東西を繋ぐ幹線道路から少し奥へと歩いた場所にあるキャンプ場。 細々とした明かりしかなく、寂しげな雰囲気を漂わせるそこに間の抜けた声が響き渡っていた。 「そんな大声出して誰か出てきたらどうするのよ?」 「だから、その誰かを探しているんじゃないですか」 とほほーと溜息を吐いてセラスは広々としたキャンプ場を見渡す。 吸血鬼としては恥ずかしながらにまんまと人間達に囚われてしまった色々な意味でかわいそうな彼女は、 彼女を捕らえた2人の少女――涼月奏、近衛スバルの両名と共にキャンプ場を探索していた。 しかし、背中につんつんと刃物をちらつかされながらすでに30分ほどの時間を費やしているものの成果は芳しくない。 このキャンプ場には、テントを張るためのエリアと火を起こして料理をするエリアとあるが、どこにも人影は見られなかった。 いくらか立ち並ぶログハウスにしても、中に人が潜んでいそうだという気配はない。 「どうやらここには誰もいないようね」 更に数分後、キャンプ場を一周し終えた3人はそう結論を出した。 それは正しく間違ってはいない。 だがしかし、彼女達を見つめる者が“キャンプ場の外”に存在した。 ■ キャンプ場の北側、土がむき出しになった斜面の上から更に50メートルほど森を入った所に二人の男が潜んでいた。 衛宮切嗣と黎星刻の二人だ。 切嗣はライフルに備え付けられたスコープで、黎星刻は双眼鏡を使ってキャンプ場の中を探索している少女達を観察している。 黎星刻は双眼鏡から目を離すと、 地面に伏せてライフルを構えている男を見やり、そして彼の提案した“作戦”をもう一度頭の中で反芻した―― 「僕達に、この戦いを生き残れる実力があると思うかい?」 それが天子とセイバーの二人と別れた後、切嗣が最初に発した言葉だった。 黎星刻は返答に詰まる。 できると言うのは容易い。しかしそれはただの願望でしかない。目の前の男はそのようなことを聞きたいのではないだろう。 「質問を変えよう。君が戦ったセイバー――彼女のような存在がここにウロウロしていると想定して、 それらと真っ向勝負を挑んで僕達が最後まで勝ち残る可能性を君はどれくらいあると考える?」 ――否/Zeroだ。 今度ははっきりと答えを返すことができた。 それはなんら難しい問いではない。いや、もうすでに答えが出ている。黎星刻はすでに一度敗北を喫しているのだから。 この問いにはなんの意味がある? 切嗣が自らを黎星刻の上位にあると印象付ける為か? いやそれは違う。セイバーという手駒を持つ切嗣もここでは黎星刻と立場は変わらない。 より強き者が他に存在すれば(彼はすでに想定しているようだが)今この場における実力の差など関係はない。 つまり、この問いは問いの逆を導き出すための問いだ。この問いには誤りがある。 「その通りだ。僕達にはありとあらゆるものが不足している。とりわけ重要なのは情報だ。 相手を知らずに戦いを挑む。そんなのは運を天に任せたギャンブルでしかない。 そして僕達はギャンブルに自らの命を賭けるほど酔狂な人間ではないはずだ」 しかし、ここには情報源となるものが乏しい。都合よく、ここにいる他の人物の情報などそう手に入るまい。 その点において(黎星刻の立場からすると言い訳がましいが)当てずっぽうになるのは仕方ないのだ。 ならば、標的を見つけた後に詳細に観察するのはどうか? 偵察、観察、分析――そしてそこからくる戦術の組み立て、戦術に要する物資の調達、命令の伝達。 黎星刻が常道とする兵法の基本である。が、しかしここではそんな時間的余裕はない。この戦場は三日で閉じてしまう。 「ならば、どこでアドバンテージを得るか。己の生の確率を高めていくか――」 情報ではない、武器も物資もここでは自由ではない。人手を得ることも容易くはない。ならば、残るのは――地の利か。 「その通りだ。その点について僕は君と意見を交わしたかった」 言って、切嗣は懐から地図を取り出して開いた。 「僕は、僕達が戦闘を行うエリアを“限定”しようと思っている」 あえて、戦場を限定する? それはつまり―― 「そう、一種の篭城だ。そして、戦闘を行うエリアを限定することで余裕として生まれる時間をそのエリアの把握に費やす」 なるほどと黎星刻は頷いた。表情は平静を保っていたが、しかし切嗣の冷静さに内心驚きを禁じえないでいた。 黎星刻は天子と一緒に殺し合いの舞台に立たされた時点でこの戦いを個と個のものだと認識してしまっていた。 何もかもが不透明な上で、逼迫した状況。 黎星刻ともあろう者が己と敬愛する天子様を守るだけのことに精一杯でしかなかったということだ。 しかし、切嗣は違った。このような不可解な事が起きて間もなくだというのに、自らが置かれた状況を冷静に捉えている。 黎星刻は内心切嗣という男の存在に感謝する。 確かにここは一種の戦場なのだ。ならば、自分は姫を守る騎士ではなく、軍師の視点で物事を進めなくてはいけない。 そのことに気づかせてくれた切嗣の存在は黎星刻からすればまさに僥倖であった。 考えようによっては天子を人質に取られたことも、彼女を堅牢な保護下に置けたと考えれば都合がいい。 「敵の情報を探すよりも、地の情報を得るほうが容易いということか」 「その通りだ。仮に最後まで生き残るために10人倒す必要があったとして、その10人の情報を得ることは不可能に近い。 だが、地形の、それも場所を限定するならば、1日2日で数エリア分の情報は得られるだろう」 切嗣の意見は理にかなっている。地の利というアドバンテージを得る為に、どこかの場所に陣取るのは正しい。 だがしかし、それにも問題はある。3日という時間はやはりこの場合でも足かせになる。 切嗣は2日あれば数エリアは把握できると言ったが、ならばそこに誰もやってこなければどうする。 いやそもそも、そのエリアが―― 「気づいたようだな。僕が相談したいのはあの八雲紫と名乗った女が言った“立ち入りできなくなる場所”のことだ」 そう。八雲紫という女はこの殺し合いの舞台の上に立ち入れなくなる場所が増えてゆくことを示唆していた。 その目的は状況の膠着の打開と、殺し合いの参加者がより狭いエリアの中で出会いやすくする為に違いない。 つまり、それは……“最終的に残るエリア”へと陣取れば、そこで他の者達よりも時間をかけて情報を得ていたのであれば、 生き残った者達の中でかなり優位なアドバンテージを得るということに他ならない。 「……どの場所が最後まで残る、か」 「それを推定することができれば僕達の戦略の半分は成ったと言えるだろう」 黎星刻は切嗣の開いた地図に注視する。 まず断定できるのは、立ち入りできなくなる場所とは地図に引かれた升目の単位で置かれるであろうことだ。 そうでなければこのように地図を区切って、しかも番号や記号を振る理由はない。 地図上での1マスが立ち入りできなくなる場所――進入禁止エリアと指定される最小単位なのは疑う余地もない。 ならば問題は、どこからどのような順序で、そして一度にどれだけのエリアが指定されるのか。 指定されるタイミングは6時間おきに行われる放送毎。途中でペースが変わらなければ3日目が終わるまでに11回だ。 そして地図上の升目は全部で36マス。 11回目の放送で升目が埋まってしまっては意味がないので、その時点で最低1つは残るとし、 毎放送で同じ数ずつだけ埋まっていくと仮定すれば1回の放送で指定される進入禁止エリアは3つ。 11回の放送で33の升目が埋まり、最後の6時間に3つの升目が残るということになる。 「想定としては妥当な形だ。僕があの女の立場ならその通りにするだろう」 だがしかし、確証はない。全く別のパターンで升目が埋められてゆく場合も存在するだろう。 例えば、1回目で全体の半分を。2回目で残りの半分を……というパターンなどだ。 「この島は広くはない……が、狭いというわけでもない。 あまり一度に多くのエリアが指定されれば、退避する余裕が足りずに何人かの人間が死んでしまう可能性がある」 「それに何か問題が……?」 「わからない。ただ、あの女は殺し合いの参加者がルール違反ではなく殺し合いの中で死ぬことを望んでいた節がある。 だとすればこういったことで死者が悪戯に増えるのはよしとしないんじゃないかというのが僕の印象だ」 しかし、これも確証のないことだ。ただの印象でしかなく、またその印象は相手がわざと植え付けたものなのかもしれない。 「アプローチを変えよう。途中経過はともかくとして、最後に残る場所というのは必ず発生する。 もし君ならどこを残す。あるいは、どこは残さない? どこから埋めてゆく?」 黎星刻は地図を見つめる目を凝らす。素直に考えれば“外側”から埋めてゆくのが順当に思える。 地図の端は海になっており、升目によってはほとんど舞台の意味を成していない場所もある。 参加者同士の接触を増やしたいのであれば、地図の端から順番に埋めてゆくのが一番効果があるはずだ。 つまり、最終的に残るのは地図の中央に近い場所となるだろう。とはいえ―― 「そうだな。僕達は僕達なりの考えで推理することはできる。だがしかしそれは僕達なりの考えでしかない。 あの八雲紫という女。あるいはその裏に何者かがいるのだとしたらそいつが別の考えをしていれば無意味だ。 だから、最終的に僕達が戦場と定めるエリアを指定する根拠は、――僕達自身の都合で決めればいい」 「都合……?」 「相手側の事情が推し量れない以上、こちらの事情に重きをおいて決定するのが最もリスクが少ない」 敵の情報が得られないから地の利を得ようとする。 どの地に陣地を置くのが有効かわからないのなら、まずは自らが得意とする場所を陣地とする。 正しい。なんらおかしくはない。だが正しいからこそに切嗣という男の思考は不気味であった。 まるで他人事のように効率だけを重視した作戦を取る。 そしてその効率から発生する無駄や労力も必要経費だとあらかじめ割り切っているような態度だ。 普通の人間ならもっと勝利を確実にする方法はないかと躍起になるだろう。例え無駄な足掻きが不運を呼ぶとしても。 もしくはもっと素早く結果の出る決断を取るはずだ。人は己の死を窺わされた状況には長く耐えられない。 なのにこの切嗣の不可解なまでの冷静さはなんだ。 今この島の中にいる者達の中で、与えられた3日という時間をフルに使うと発想している者がどれだけいるだろう。 いくらかは無駄になると承知の上で、3日目の有利に向けて行動できる者が果たして彼以外にいるだろうか? 「作戦を本格始動させるのは最初の放送を聞き、進入禁止エリアがどういうものなのかはっきりした後になるが 目星をつけるなら早いにこしたことはない。 僕達が有利に戦うことができるエリアをピックアップして、その後の経過に合わせて柔軟な対応ができるようにしておこう」 そして、黎星刻と切嗣の二人が最終的に絞ったのが、地図の中央より北側、《C-2》から《C-5》までの4マスであった。 「本命は《C-2》の市街地。化物を相手にするなら逃げ込める建物は多いにこしたことはない。 それに、建物が多ければその分仕掛けを施すことができるし、物資の調達もはかどるだろう。 そして、そこから東の《C-3》《C-4》《C-5》を保険。《C-2》から撤退する際の猶予としておく。 最終ラインは《C-5》のホテルだ。ここまで引くような事態に陥れば、僕は最終手段(セイバー)を出撃させる」 切嗣の確認に、黎星刻は依存はないと頷いた。二人で考えたこの案に今のところ不備は認められない。 もし早期の放送で二人が陣地とした升目が埋められたとした場合の対処も決定してある。 《C-2》が埋まれば代わりに《D-3》を、《C-5》が埋まれば《B-4》を新しく陣地と指定する――と4つの升目を維持する。 常時、4つの升目をキープしておけば、最悪3つの升目が一度に埋まっても最低1つの陣地は確保しておけるという計算だ。 「じゃあ、まずは《C-2》へと向かうことにしよう。ガソリンなどの燃料が手に入れば色々とできることも増える」 切嗣が歩き始め、そして黎星刻もそれにならう。風にそよぐ花の大海の抜け、二人は足を西へと向けた。 ――黎星刻は回想を終えると再び双眼鏡を構え、キャンプ場の中を歩く3人の少女達を見る。 あれから間もなく、二人は道路を走る車両を発見し、それがキャンプ場へと向かっているのだとあたりをつけ 相手に悟られることなく観察できるようこの位置へとついたのだ。 双眼鏡の視界の中で、おっかなびっくりといった風に周囲を探っている少女達の姿は黎星刻の想定していないものだった。 明かりを隠そうとせず、また身を隠すでもない振る舞いは黎星刻からすれば素人のそれと変わらなかった。 なんだ拍子抜けだ、こんな組み伏し易い相手がいるのか――とは、考えはできても、とても心から思うことはできない。 むしろ、視線の先にいる少女達が屈強な戦士であり、我々を手こずらせる敵であれはそれだけ楽であったろうと思う。 殺し合いを興じるために集められた者の中に、比較して力が劣る者が混じるのは至極当然だろう。 黎星刻自身においても切嗣が連れていたセイバーという者からすれば遥かに劣る存在であった。 だがしかし、あのような殺し合いや戦場とは無縁そうな、ただの一般人でしかなさそうな者がいるとは想定外だった。 勝ち残ると誓った決心という名の壁に鎚が打ちつけられる。 自分達以外の全員を殺して生を得ると誓った。ではその中に無辜の人間も含まれていたのかと。 黎星刻が自問する中、3人の少女はここには誰もいないと悟ったのか、止めてある車のほうへと戻り始めた。 双眼鏡から目を離し、黎星刻はライフルを構える切嗣を窺う。撃つなら今だろう。この男には良心の呵責など存在すまい。 今、ライフルの引き金を引けば最低二人は殺せるはずだ。 まずは一番後ろを歩いている執事服の少女の足を撃つ。そして続けざまに戦闘を歩く白人の女を撃ち殺す。 ここまでは一息だ。仕損じることもまず考えられない。 その後、残った少女が足を撃った少女を助けようとするなら殺すのは容易い。彼女を撃ちもう一人に止めを刺して事は終わる。 逆に、もし仲間を見捨て逃げ出し、物陰へと隠れたのなら彼女の命は助かる。 その場合は足を撃った少女に止めを刺すに止め、二人は何者かが銃声から狙撃手の位置を特定した可能性を考慮して 素早くこの場を離れることとなるだろう。 だが、切嗣は結局引き金を引かなかった。 3人が車に乗り込むのを確認すると、スコープから目を離して立ち上がる。 「見逃すのか?」 尋ねてみるが、顔を向けた切嗣の目を見れば彼にそんな情けや優しさがあるはずもないことが否応にも理解させられる。 彼はあくまで自らの最終目的だけの為に少女達を見送ったのだ。 「どうやら、仲間となる人間を探して地図に描かれた施設を巡っているらしい。 ここに留まって隠れようという素振りもなかった。もしかしたら探すべき人間の当てがあるのかもしれないな。 あるいは、彼女達が3人でいたことがそれに関係するのか……、少なくとも彼女達には“4人目”がいたはずだからね」 強い光や闇の上を渡る。車から発せられる力強いヘッドライトの光は遠く離れた場所からでも容易に確認できた。 「おそらく次はデパートに向かうんだろう。わかっていれば向こうが車でも追いつくのは難しくない。 こんな夜中に明かりをつけて車を走らせていれば必然、通りかかった近くにいる者から発見されることになる。 彼女達には僕達が安全に《C-2》の街中へと侵入する為のカナリア(危険発見装置)になってもらうのがいい」 やはり切嗣の考えは合理的だ。黎星刻が“考えていたとおり”でもある。 「移動しよう」 ライフルを鞄に仕舞った切嗣が歩き出す。彼の背を追って黎星刻もよどみなく歩き出した。 そう、黎星刻もまた合理的な判断をする男なのだ。どう感情が揺さぶられようと、天子の命が第一だということは変わりえない。 ◆ 明かりを点けることもなく、僅かな月明かりのみを頼りに切嗣は山を西へと下る。 その最中、パートナーである黎星刻とは特に言葉を交わしたりはしない。必要な情報は伝えるべき時に伝え終わっている。 ――そして、切嗣は彼にあるひとつの情報を伝えていなかった。 「(あの白人の女の目……)」 ライフルのスコープ越しに3人の中で先頭を行く女の紅い目を覗いたその時、切嗣は眩暈がするような感触を得た。 それは極々僅かの、常人では到底意識できないほどの僅かな霊的なプレッシャーだ。 切嗣が魔術師であり、全身を巡る魔術回路の流れに敏感だからこそ感知できた――そういう種類のものである。 「(……《魔眼》。あの女はそれに類するものを持っている。魔術師なのか、あるいは人間ではないのか)」 決して強い力ではなかったが不安要素だ。 普通の人間相手でもそうだが、相手が魔術に通じる相手かもしれないとなれば慎重に慎重を重ねて悪いことはない。 切嗣には“殺す”か“見逃すか”2つの選択肢があったが、最終的に後者を選んだのにはそんな理由もあった。 無論、黎星刻に語った理由も真である。あれに手をつけるのは自分達が最初でなくともいいというだけの話だ。 足早に山を抜け、切嗣は街中へと入ってゆく。背中についてくる黎星刻も同じだ。 切嗣と黎星刻は同盟(というには些か手順が乱暴かつ強制的ではあったが)を結んでいる。 しかし、二人が互いに生き残りの一席を奪い合う敵であることに変化はない。 生還が唯一の組にしか約束されていない以上、最終的にはどちらかが死ぬ形で決着をつける必要がある。 なので、背中を預ける男がいつ自分に対して凶刃を振るわないとも限らないのだが―― 「(僥倖……いや、不幸中の幸いか)」 黎星刻がそうすることはないだろうと、少なくとも今のうちはそんな気は起こさないだろうと切嗣は確信している。 魔眼を持つ女を理解しきれず油断ならない者だとしたら、黎星刻はその真逆で完全に理解できる人間だ。 その思考パターンは切嗣に近く、腕前や戦術的傾向も近いことから実にトレースしやすい。 また目的意識も強く、それと合わせて実に御しやすい相手と言えた。 切嗣には不安があったのだ。あの騎士王と二人きりでは到底、生還の目はなかっただろうと。 ここには切嗣の手足となって動いてくれる舞弥の姿はない。 同じ主従関係であれば、どうして自分と彼女ではないのか――そう毒づきたいと思って、内心毒づいてもいた。 そこに黎星刻の登場である。おあつらえむきに彼が生きる理由(天子)を隣に置いてだ。 すぐさまに切嗣は彼を手中へと収めたが、始まって間もなくに舞弥の代わりとなる人材を得られたことは幸運だったろう。 この苛烈であろう戦いを勝ち抜くに当たって必要なもののうち半分を得たと言っても過言ではない。 後は、陣地である。それさえ手に入れば切嗣は十全に力を振るい、成し得るうちで最良の結果を導き出すことができるだろう。 その最良をもってしても生還には届かないかもしれない。 だが、切嗣の顔にそれを不安と思うような表情は全く浮かんでいなかった。 切嗣はただただ、その時その時で最もよいと考えられる結果を目指すだけだ。いつでも、どんな場合でも。 【C-3/西部・町外れ/1日目-黎明】 【主:衛宮切嗣@Fate/Zero】 [主従]:セイバー [状態]:健康、令呪(2画) [装備]:背負い袋(基本支給品)、タバコ@現実 レミントンM700(弾数x4)+(7.62mm弾x36)@現実、グロック17(弾数x10/10)+(9mm弾x90)@現実 [方針/目的] 基本方針:この殺し合いを勝ち抜き生還する。 1:立てた戦略(※)に従い、黎星刻と協力して行動する。 2:まずは3人の少女を追ってデパートへと向かう。 【従:黎星刻@コードギアス反逆のルルーシュ】 [主従]:天子(蒋麗華) [状態]:健康 [装備]:輪刀 覇幻@戦国BASARA、双眼鏡 [方針/行動] 基本方針:天子を守るためにこの殺し合いを勝ち抜く。 1:立てた戦略(※)に従い、衛宮切嗣と協力して行動する。 2:まずは3人の少女を追ってデパートへと向かう。 ※衛宮切嗣と黎星刻の戦略 色々と動き回るのではなく、特定の場所に滞在し続けその地を活かした待ち伏せ作戦などで戦闘を有利に進める。 現在の目標は《C-2(最優先)》《C-3》《C-4》《C-5》。ここら一帯の地形の把握と物資の調達を基本的な行動とする。 他の参加者を発見すれば適せん対処。もしどこかが禁止エリアに指定された場合、 その分だけ代わりの陣地候補を選出し、常に4つのエリアを陣地にすることを維持する。 【レミントン M700】 レミントン・アームズ社が開発したボルトアクション方式のライフル。 高い命中精度と信頼性を誇り、古くから警察や軍隊などで狙撃銃として採用されている。スコープ付き。 【002】 先刻、枢木スザクとその主であるユーフェミアと相対しこれを逃した信長と光秀であったが、しかし後を追うことはなかった。 常時ならば、追いつめられるならば苛烈に攻め一気に滅してしまうところだったが、生憎と今はその常時ではない。 どこぞに脅威たる者等が潜んでいるとも限らぬ状況――であれば、あのような手負いの雑兵相手に躍起になるのは愚策だ。 そして信長と光秀は道なりに進路を西へと進め、それからほどなくしてデパートの前へとたどり着いた。 「この地図にはデパートとありますが……」 さてデパートと言われても、信長も光秀もその知識の中にはないものだ。 地図を見間違っていなければこの三叉路の一角に建つ大きな建物は“デパート”のはずだが、二人には皆目得体が知れない。 「…………」 信長は目の前の建物を興味深げに見上げる。 建物の高さはおよそ十階建てくらいだろうか。並の城の天守閣よりかはよっぽど立派だ。それに造りも堅牢に見える。 装飾も周囲の建物に比して華美であり、それはこれがただの建物などではないことを表しているようにも思える。 しかし、城や砦の類ではないことは一目瞭然であった。 目の前にはギヤマン細工であろう透明な大扉が千客万来という風に開かれており、 これが城砦の類だというのならあまりにも無防備だと言えるだろう。 今は夜中であり、この見慣れぬ街の様子に対してもまだ確たるものは抱いていない信長であったが、 しかしこと西洋文化に興味を示しその実践に余念のなかった彼からすればおおよその見当もついてはいた。 「光ぅ秀ぇ……」 僅かに開いた口から漏れる瘴気交じりの声に光秀が片膝を地について畏まる。 「余はここに興味が湧いた……貴様は、あやつらの相手をせい。殺してもかまわん」 「は?」 一瞬呆けた声を漏らし、そして光秀は“西よりこちらへ近づいてくる気配”に気づくと、「御意」と頭を垂れた。 ◆ 電波塔より出立し、世紀末後の世界では見られないあれこれに目を奪われるハートを引っ張りながらデパートの近くまで 到達したシグナムであったが、彼女達を出迎えたのは頼もしき仲間や歓迎の笑みなどではやはりなく、 道の真ん中で隠すこともなく剣呑な気配を発する男――明智光秀であった。 「ハート殿……」 「ええ、キングの仰られた通りどうやら我々とは相容れない者が現れたようですなぁ」 のんびりとした口調で、しかしその所作には一切の油断なく巨漢のハートがシグナムの隣へと並ぶ。 シグナムは刀の柄に手を伸ばすと、鯉口を切り静かに白刃を月の光にさらした。 「うふふ……これはこれは、信長公の気まぐれに感謝しなくては」 枯れ木のように細い男が裂け目のような細い口元から気味の悪い笑い声を零す。 手にするのは身の丈ほどの大鎌。その姿はまるで死者の魂を刈り取り冥府へと誘う死神のようだ。 「貴様、何者だッ!」 シグナムが男に問う――と同時に気を当てる。並みの相手ならばこの気迫にたじろぎ、怖気づくだろう。 だがしかし、目の前の男は柳のように身体を揺らすだけでなんらこたえた様子もない。 「ふふ、……そうでしたね、名乗りがまだでした。お腹が減っていたのでついつい」 男は明智光秀と名乗りを上げる。そして、 「これはこれは、食べ応えがありそうです……ねぇ――ッ!」 一際身体を大きく揺らしたかと思うと、次の瞬間大鎌を脇に構えて地を這うように突進してきた。 「避けてくださいよォ!」 一瞬で目の前まで肉薄してくると、光秀は理不尽なことを口走りつつ瘴気をまとった大鎌を一閃する。 シグナムはこれを後ろに跳び退って避けると、ぬらりと濡れた黒い刃が通り過ぎたその後を見て目を見開いた。 直に触れたわけでもないのに、まるで掘り起こされたかのようにアスファルトが捲れ上がり先が針のように天を突いているのだ。 「ぅふ♪ お上手……と、おや……?」 にわかに戦慄するシグナムの前でいやらしい笑みを浮かべる光秀だったが、その笑みがいぶかしい表情に変わる。 さて、あの巨漢の姿はどこだろう? つい先ほどまでは女の隣にいたのに……と、そこで気がついて光秀は身を捩った。 「――――ハァッ!」 月の姿を何かが遮った、と気づいた次の瞬間にハートの巨体が宙より現れ明智の身体を地面へと押し潰す。 いや、シグナムからはそう見えたが、間一髪、寸でのところで光秀はそれを避け難を逃れていた。 「なかなかおもしろいですねぇ」 飛び退った光秀は上ずった声を上げ余裕を見せる。が、しかしそれもここまでだとシグナムは駆け出す。 アスファルトに巨大なクレーターを作ったハートもまた再び宙へと身体を躍らせ追撃に移る。 「はぁ――ッ!」 裂帛の気合と共に袈裟に斬りつける。 今一歩踏み込みが足りなかったのか、シグナムの刀は上半身を逸らした光秀の目の前で空を切った。 だが攻撃はこれで終りではない。次いでハートの巨体は再び襲い掛かる。 これも先と同じく光秀は素早く避けてみせた。だが―― 「ぐ、あぁ……ッ!」 ――それを見越して踏み込んだシグナムの追撃が光秀を捉えた。 二度白刃が月光を跳ね返し、鮮血と悲鳴とを濃い藍色の空に撒き散らす。 「ぃぃいい……いったぁああああいいぃぃ……ッ♪」 地面へと降り立ったハートと目線を交わしシグナムは唇の端に笑みを浮かべた。 即興のコンビネーションとしては上出来だ。手応えは充分。これならば――と、しかしなにやら様子がおかしい。 「くっ、くっ、くっ……、痛い。痛いですよ……うふふふふふふ」 シグナムの背中に寒いものが走った。 胸元を斬りつけられ赤い血をだらだらと零す男が発していたのが明らかに悦楽を含む笑い声だったからである。 「なんなんだ貴様……?」 「あはっ、あはっ……あははははははははは!」 光秀は答えない。重傷を負っているというのにも関わらず、何が楽しいのか肩を震わせて笑うばかりだ。 あまりの気味の悪さにシグナムとハートの顔が歪み、知らず知らずのうちに身体が竦む。 「この焼けるような痛みッ! あはっ♪ いいッ! いいぃ……ッ!」 ぽたり、ぽたり、と音を立てて赤い血の珠がアスファルトの上へと落ちる。 光秀の足元はじっとりと濡れ、瘴気と共に昇り立ち込める血臭が周りを少しずつ覆おうとしていた。 零れ落ちる血は全て光秀のもので、傷を負ったのも光秀だけ。 しかし、その光秀の異常(アブノーマル)が、赤と黒とが混ざった瘴気と共にこの空間を支配しようとしていた。 「――では、いただきましょう♪」 常軌を逸した笑みにシグナムの意識が麻痺する。それが恐怖だと気づいたのは次の瞬間であった。 【C-2/デパートより西・路上/1日目-黎明】 【従:ハート様@北斗の拳】 [主従]:シン@北斗の拳 [状態]:健康 [装備]:背負い袋(基本支給品) [方針/行動] 基本方針:キングの野望に付き従う。 1:明智光秀を倒す。 2:C-2のデパートを中心に、物資・情報・人員を集め、正午までに電波塔に戻ってくる。 [備考] ※シグナムへの信頼感が上がりました。 ※背負い袋の仕組みに気付き、それを“魔法”によるものと判断しました。 【従:シグナム@魔法少女リリカルなのはシリーズ】 [主従]:八神はやて@魔法少女リリカルなのはシリーズ [状態]:健康 [装備]:童子切安綱@現実、単独行動参加者探知機@オリジナル [方針/行動] 基本方針:主はやてに従う。 1:明智光秀を倒す。 2:C-2のデパートを中心に、物資・情報・人員を集め、正午までに電波塔に戻ってくる。 [備考] ※シンへの信頼感が上がりました。 ※背負い袋の仕組みに気付き、それを“魔法”によるものと判断しました。 【従:明智光秀@戦国BASARA】 [主従]:織田信長@戦国BASARA [状態]:胸に裂傷。 [装備]:小野塚小町の鎌@東方儚月抄、背負い袋(基本支給品、不明支給品x2(飲食物の類ではない)) [方針/行動] 基本方針:栄華を極めた信長に謀反を起こし、共に地獄へ行く。 1:目の前のご馳走をいただく。 【003】 扉を潜りデパートの中へと入った信長の目の前に広がるのは金銀財宝――そう言えるものであった。 磨き上げられた宝石や金銀で作られた繊細な細工などがところ狭しとギヤマンの箱の中に並べられている。 粒の揃った真珠の首飾りや細やかな意匠の施された金の指輪。細やかな宝石が盤面に散りばめられた時計など。 信長の知っているものもあれば知らないものまで、そして共通してるはどれも高価なものばかりだろうこと。 ここは宝物庫なのか? と、しかしそれならばやはりこの建物は無防備すぎるだろう。 やはり、この建物は商店か――と、信長は己の推測が正鵠を得ていたと頷いた。 店内は一目では見渡せぬほど広く、また明かりもついてないことから不確かだが、奥の方には織物が並んでいるのも見える。 さてしかし、信長はかようなものにはさして興味はない。 戦場で徒に着飾る必要はないし、財宝も持ち帰らなければ用をなさない。今必要なのは武器と、食料である。 おそらくはそれらもこのデパートやらにはあるのではないか。それが信長がデパートへと立ち寄ることにした理由であった。 外から目算した限りではこの建物は十階ほどの造りのはず。 目的とするものはどこにあるのか。まずは上へ上るための階段を探そうとし、そこで信長は何かに気づいて入り口へと振り返った。 ヒャッハー! 新作だぁ!! ……ってセラスらめぇぇぇぇ!! それ死亡フラグだから! なんにしても投下乙でした! さて、次で何人死ぬのか…。 さるさるって仮投下スレに投下してた分を投下します。 「………………むぅ」 何者かが近づいてくる音がする。先ほど光秀に対処を任せた者等とはまた別口だ。 このデパートの価値を知っている者なのだろうか。そうであるならば、こう早々に人が集まってくるのも理解できるが。 「是非もなし」 獣が鼻を鳴らすような、それでいて遥かに重く大きく響き続ける音。そしてあまりにも明るく輝く双眸。 こちらへと真っ直ぐに道を邁進してくるそれを見て、信長はスパタ(剣)を鞘から抜いた。 ◆ キャンプ場から西へと車を走らせ道なりに山を降りてゆけば街はすぐだ。道は綺麗に整備されており時間はかからない。 セラスがハンドルを握る高級外車はものの数分で目的地であるデパートの前へとやってきた。 「ま、……また“サムライ”ッ!?」 車のヘッドライトがデパートの正面を照らし出した時、そこに浮かび上がった人影を見てセラスはうめき声をあげた。 人影は独特のサムライヘアースタイルに着物を身につけ襤褸のようなマントを羽織っており、片手には剣も携えられている。 どうするべきか? セラスはアクセルを踏む足を緩めながら考える。 戦闘を仕掛けるのも仕掛けられるのもどちらもまずい。こちら側は非戦闘員を二人も抱えているのだ。 相手は見るからに強敵だろう雰囲気を醸し出している。先に出会ったサムライと同等と計算してもセラスの手には到底負えない。 ここは撤退するしかない。ではどうすればそれが穏便に叶えられるだろうか。 相手の出方を窺おうとし、セラスは集中してサムライを両目の中に捉える。そして、その瞬間セラスの中で何かに火がついた。 「――きゃっ!?」 「何かに捕まっていてくださいッ!」 車が獰猛なエンジン音を響かせ急加速する。 後部座席からセラスに銃剣を押し当てていた奏の悲鳴が聞こえたが、セラスはそれに取り合うことなくアクセルへと力を込めた。 血走った双眸は目の前のサムライ――織田信長へ、彼の暗黒を湛える瞳へと釘づけられている。 セラスの身体の中でなにかがざわつき、堪えようのない衝動を突き上げていた。 彼女の中に流れる吸血鬼の血が、人間より作りかえられた怪物としての本性が目の前のサムライの危険さを見抜いたのだ。 例えハンドルを切って逃げ出したとしても、こちらが車で相手が徒歩だとしても、とても逃げられる相手ではないと。 “アレ”は最早ただの人間ではない。 あのアンデルセン神父と同種の化物――いや、それ以上の“なにか”であり、マスターと等しい魔性であり“敵”であると。 「う、あ、あ、あああああああああああああああああッ……!!!」 絶叫し、“逃避”する。 出遭ったが最後、引き返しても逃げられないのだとすれば“逃げ込む場所(生還の可能性)”はそこにしかなかった。 要人警護用にチューンされた高級車がそのスペックの最高速度で織田信長の目の前へと飛び込む。 つまり、――特攻(一か八か)である。 ◆ 「なんだ今の音は?」 闇夜を劈く雷鳴のような音にインテグラは月の浮かぶ空を見上げた。 同じく彼女と同行する5人の男女が空を見上げ、立ち並ぶビルの中を木霊する音に耳をそばだてる。 「どうやら近くで何かが破壊されたようだが……」 ハクオロの言うとおり聞こえてきた音からは明らかに破壊を伴うものだということが伺いしれた。 何か近辺で戦闘行為が行われているのかもしれない。と、すでにそれぞれの従者は主を守る構えを見せている。 ウォルターは主であるインテグラの傍に寄り、ハクオロの従者であるトウカはすでに刀を抜いていた。 そして幼き吸血鬼レミリアの瀟洒なメイドである咲夜も刀の柄に手をかけ辺りへと警戒の視線を走らせている。 「音は我々が向かっているデパートの方角から聞こえてきたように思いますが、いかがしましょうか?」 インテグラの従者であるウォルターが自らの主と、その他の二人の主へと問いかける。 破壊音のした方へと向かえば何かしらの危険があると予測されるからだ。 この6人の集団は決して非力ではないが、 仮に化物のようなものが出てきたとして拮抗できるかというと、素直に首肯できるほど強力とは言い難い。 特にウォルターの立場からすれば、本来の獲物を持たず、この中で一番非力であろう主を守って戦うのは難がある。 「だれかを斥候に立てるという手もあるが」 「ならば某が」 まずは偵察を出すかとインテグラが提案し、間を置かずにトウカがそれに手を上げた。 彼女の実力なら十全なのだろうか主であるハクオロから異論が出る様子もない。 ならばここは一度、彼女を偵察に出して様子見を――とはいかなかった。 「あの〜……」 メイドの咲夜がインテグラとハクオロに申し訳なさそうな顔を向ける。 そう、この集団の主導権を握るのは、なんでもかんでもをその稚気で赴くままに決めてしまうのは“彼女”だ。 「お嬢様はもうあちらに」 皆の視線が向かうその先には、デパートへと続く道の先を行くレミリアの背中でかわいい蝙蝠の羽が揺れていた。 【C-2/デパート前/1日目-黎明】 【従:セラス・ヴィクトリア@HELLSING】 [主従]:アーカード@HELLSING [状態]:???? [装備]:背負い袋(基本支給品)、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのは(残カートリッジx6) ウィルソン・フィリップス上院議員の車@ジョジョの奇妙な冒険 [方針/行動] 基本方針:マスターに従う……が、当面は奏に従う。 0:???? 【主:涼月奏@まよチキ!】 [主従]:近衛スバル [状態]:???? [装備]:拡声器@現実、ニンニクの首飾り@現実 [方針/目的] 基本方針:スバルを生還させて見せる 0:???? 1:スバルに腕の立つ主人をつける(現在はアーカードが最有力候補)。自分の命は捨てる覚悟。 2:場合によっては自分をアーカードに吸血鬼にしてもらって、スバルと共に生還する。 【従:近衛スバル@まよチキ!】 [主従]:涼月奏 [状態]:???? [装備]:トンプソン・コンテンダー@Fate/Zero、起源弾×10、通常弾×10、 銃剣(バヨネット)@HELLSING、背負い袋(基本支給品) [方針/目的] 基本方針:お嬢様を帰還させる 0:???? 1:奏に腕の立つ従者をつける(現在はセラスが最有力候補)。自分の命は捨てる覚悟。 [セラス、涼月奏、近衛スバル共通方針/備考] 1:キャンプ場から病院までを時計回りに移動しながら、インテグラ&ウォルターを探し出し合流する。 2:危険人物に遭遇した時は、逃走>撃退or捕縛>拡声器で助けを呼ぶ、の優先順位に従って行動する。 【主:織田信長@戦国BASARA】 [主従]:明智光秀@戦国BASARA [状態]:????、左足甲に軽度の刺し傷 [装備]:キュプリオトの剣@Fate/Zero、無毀なる湖光@Fate/Zero [方針/行動] 基本方針:八雲紫を含む全ての敵の抹殺。 0:???? 1:デパートの中を探索し、武器や食料を得る。 2:B-2の市場に向かい食料を確保する。 【C-2/デパートより北・路上/1日目-黎明】 【主:レミリア・スカーレット@東方儚月抄】 [主従]:十六夜咲夜@東方儚月抄 [状態]:健康 [装備]:風見幽香の日傘@東方儚月抄 [方針/行動] 基本方針:八雲紫の言うことは聞かない。現状を楽しむ。 1:デパートに向かう。 【従:十六夜咲夜@東方儚月抄】 [主従]:レミリア・スカーレット@東方儚月抄 [状態]:健康 [装備]:黒龍@戦国BASARA、背負い袋(基本支給品)、不明支給品x2 茶葉とティーセット(一式)@現地調達、輸血用血液パック(多数)@現地調達 [方針/行動] 基本方針:レミリアお嬢様に従う。 1:レミリアお嬢様に従う。 【主:インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@HELLSING】 [主従]:ウォルター・C・ドルネーズ@HELLSING [状態]:健康 [装備]:ワルサーPPK@現実(弾数x6)、ワルサーPPKのマガジン(.380ACP弾x6発入り)x6 [方針/行動] 基本方針:状況(バトルロワイアル)の打破。屋敷へと帰還する。 1:レミリア組、ハクオロ組と同行しながら、殺し合いを停滞させるために動く。 2:アーカード、セラスとの合流。 [備考] ※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻) 【従:ウォルター・C・ドルネーズ@HELLSING】 [主従]:インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@HELLSING [状態]:健康 [装備]:アゾット剣@Fate/Zero、背負い袋(基本支給品)、通信用人形(青リボン)@東方儚月抄 茶葉とティーセット(一式)@現地調達、輸血用血液パック(多数)@現地調達、不明支給品x1 [方針/行動] 基本方針:インテグラお嬢様に従う。 1:インテグラを警護し続ける。 [備考] ※参加時期は、北アイルランド地方都市ベイドリックでアンデルセンと対決した後。(1巻) 【主:ハクオロ@うたわれるもの】 [主従]:トウカ@うたわれるもの [状態]:健康 [装備]:通信用人形(赤リボン)@東方儚月抄 [方針/行動] 基本方針:他の参加者と協力して八雲紫を討伐し、島から脱出する。基本的に参加者は殺めるつもりは無い。 1:レミリア組、インテグラ組と同行しながら、殺し合いを停滞させるために動く。 [備考] ※参加時期は、アニメ20話『初陣』直前。その為、まだ自分の正体(ウィツァルネミテア)には気付いていません。 【従:トウカ@うたわれるもの】 [主従]:ハクオロ@うたわれるもの [状態]:健康 [装備]:六爪@戦国BASARA 背負い袋(基本支給品)、大量のパンツ@そらのおとしもの、洋酒(木箱入り)@北斗の拳 [方針/行動] 基本方針:ハクオロを守りながら他の参加者と協力して八雲紫を討伐し、島から脱出する。 基本的に参加者は殺めるつもりは無い。 1:周囲に気を配り、ハクオロを守る [備考] ※参加時期はハクオロと同じく、アニメ20話『初陣』直前。その為、まだハクオロの正体(ウィツァルネミテア)は知りません。 >>201 くそwwwこんなダジャレでww 電波塔組の前の話は、タイトルから締めまで死亡フラグがビンビンだったからなぁw はてさてこれからどうなるのか…? お、2順目ラストの予約が入ったか。 これで3順目以降が勢いづくといいんだけど…。 ライダー達とイカロスってかなり距離が離れてたような…… ところで、いまFate/Zero読んでるんだけど、決まって夜に戦うのって 目立たないようにするためだけ? それとも魔術師やサーヴァントは夜のほうが強いとかって設定あんの? 魔術は基本的に秘匿が求められる だから、周囲お構いなしに騒動起こすキャスター組は討伐命令が出た 秘匿してれば、別に住人に危害を加えても問題ないんだが (何十人も原因不明の死とか、行方不明になってたら秘匿もくそもないだろうから、五次キャスターみたいな手法がベストか) 時間によって強くなるサーヴァントもいるけど、Zeroでは関係ない >>205 ありがとう なるほど、秘匿の為か キャスターより、金ぴかの鎧で街灯の上に立ってたアーチャーや 戦車で空飛んでるライダーのほうが目立ってるんじゃと思ったのは俺だけでいい >>206 魔術師は人払いの魔術を使えるから、戦闘行為に関してはある程度ゆうづう効くんだよ 子どもが何十人も行方不明になったりしたら、隠匿しようがないんだけど まぁ金ぴかに関しては、マスターの制御出来る範囲にいてくれないから、時臣も苦々しく思ってたけどなw >>204 イカロスって飛行能力持ちだし他参加者より足は早いでしょ 河川に通行妨げられることもないし もしその金ぴかが参加してたら主である時臣が従者に従う形になってただろうな >>209 空飛んでCラインより北まで移動したらかなりの確率で誰かにみつかりそうだな おまひま組が気になってしょうがない 次出て来たときには挽き肉とかだったら 大変遅くなってしまい申し訳ありません。 これより投下致します。 読み手が口を挟むことじゃないとは思うんだけど予約スレのやつ それを言ったら、イカロスが最初にみつけるのが天文台から動かないであろうライダー組なのもおかしいってことになるだろ…… 宵闇に覆われた殺戮の箱庭。その上空で息を切らせながら浮かぶ人影が一つ。 戦略エンジェロイドタイプα、イカロス。 満月の光を浴びて美しく輝く彼女の双翼は、しかしそれを開かせた代償として、さながら桜の花弁のように、一枚また一枚と止め処なく舞い落ちていく。 主と定めた少年――桜井智樹を守るべく、それ故にこそ智樹の許を離れた彼女は今、ゆるやかに崩壊しつつある肉体の苦痛に苛まれながら、 しかし、その悲痛な覚悟と状況とは裏腹に、言葉にすると些か間抜けな、しかし、極めて重大な問題に直面していた。 「…どっちに行けばいいのか…わからない…」 この殺し合いの最初、主催たる八雲紫は言っていた。 『――皆様にはこちらが用意した土地へと移動していただき、その土地を舞台に殺しあっていただきます。 同時に地図を配りますが、まずそこから逃げ出すことを禁則とします』 と。 しかし今のイカロスには、目に映る範囲のどこまでが「用意された土地」で、 どの方角に進めばより多くの参加者と出会えるかという中(あた)りを着ける事もできなかった。 その原因というのは全くもって迂闊な事に、彼女が支給品の地図を検める前に単独行動に移ってしまった事にあった。 兵は神速を尊ぶという言葉はあるが、しかし、「焦る」のと「急ぐ」のは違うのだ。 確かに、支給品から手榴弾を確認するなり即座に使用した事で、近くに潜んでいた参加者を殺害する事はできた。 しかし、取るべき道を決める前に、或いはそれと同時に進むべき道――この場合純粋に進行方向という意味だ――も決めておかなければいけなかったと、 今更ながらにイカロスは大きな後悔の感情を胸中に抱いた。 地図が無いとなると、めくらめっぽうに動き回って参加者を探さないといけないし、 それ以前に、まかり間違って会場の範囲を越えてしまって処罰などされようものなら、笑い話にもなりはしない。 ルール違反などで自分が早々に脱落してしまっては、一人残された智樹がこの闘いを勝ち抜く事など、どう考えても不可能となる。 ほんの僅かな焦りが、一時間と経たない内にあまりに大きな問題点を発生させてしまっていた。 「ここは島……みたいだけど……」 ぐるりとイカロスは周囲を見渡す。 空は未だ夜の闇に覆われているが、満点の星々と満月の灯りがある事もあり、戦略エンジェロイドたるイカロスの目(センサー)を以ってすれば、 幾らかのデチューンが施されているとは言え、周辺の地形を見渡すぐらいは難しい事ではなかった。 まず直下には洋館と湖。そしてそこから周囲に広がる河川と山林。 その先へと目を向ければ、西と南には市街地。その先にはうっすらと海岸線が見える。 東には南から伸びる市街地の外れと、その先には荒涼と広がる平野と、やはりまた海岸線が。 生憎と北の方は、今の自分の高度と同じぐらいの高さの山があったり――今の彼女には判らぬ事だが他の方角と比べて海が遠い事もあり、 この土地が大きな島であると断定する事はできなかった。 「……誰かに会ったら、地図も手に入れないと…」 誰に言っているわけでもないのだが、敢えて「奪わないと」とは言わなかった。 兎に角、地図さえ確認できれば、この会場の範囲も、どの場所、どの方角に人が集まりそうかも判る。そうして初めて、効率的に動けるようになる。 そうイカロスは判断すると、朽ちゆく身体に鞭を打って翼を羽ばたかせ、先程見た北の山へと向けて飛んで行った。 この時当然の事ながら彼女の翼の羽が何枚も抜け落ちていったが、彼女にとって幸か不幸か現在、進路上の直下には、他の参加者はいなかった。 ほんの少しタイミングが違えば、そこを三人の参加者を乗せた車が通りがかっていたのだが、それはいまやifの話である。 ちなみに、彼女が進路を北に取った理由は二つ。 一つは、ここが島だと仮定するなら、陸上でいきなり「用意された土地」が途切れていると言う事は無いだろうという合理的な判断。 もう一つは、北の山に目を向けた時、その頂上に聳えていた建物と、そこからほんの一瞬だったが、人工の光が漏れたのを見逃さなかったからだ。 ◇◇◇ そして一方、その山の頂上に聳え立つ天文台の監視ルームでは、霧雨魔理沙のお手製魔導書を1頁1頁熟読しながら、 時折『魔法の燃料』と記された物体と記述を見比べたり、そして記述内容のトンデモ加減に頭を悩ませたりしているウェイバー・ベルベットと、 その傍らで大層退屈そうに、建物内外の監視カメラが映し出す映像をじーっと眺めているイスカンダルの姿があった。 「うーん…やっぱりこれだけじゃあ殆ど何の助けにもなりそうにないなぁ…」 「ンム? “殆ど”という事は、多少はその茸と魔術書の有用性を見出せたのか?」 「本当ににごく僅かだけどね。精々初等魔術の補助ができそうってぐらいだよ」 脇からかけられるイスカンダルの質問に、ウェイバーはそちらを振り向く事無くそう端的に応答する。 かれこれ一時間近くは黙々と魔導書に首っ引きになっていたウェイバーだったが、その成果はと言うと芳しくなく、 そこに記された他の媒体や実験器具などが今この場に無い事――科学の結晶たる天文台の中だから当然なのだが――もあり、 自然と弱気な呟きがはぁ、と重い溜息と共に零れ落ちていた。 特に実験器具などは、わざわざ聖杯戦争に挑むに際してイギリスから持ってきた自前の物で充分に代用できていただけに、彼の落胆も一入(ひとしお)だった。 余談だが、この際に魔導書の頁は自分の指ではなく、魔力を注いだクラールヴィントを操作して捲っていた。 殆ど力も要らない、ただ頁を捲るだけという作業ならば、魔術師としてまだまだ未熟なウェイバーでも容易に行えるので、 少しでもこれの扱いに慣れておこうという考えからの行動だった。 「まだ全部読みきった訳じゃないけど、この分だとどうにも望み薄だなぁ…」 と、そう意気消沈して再度呟きを零すなり、びゅう、と冷えた夜風が室内に吹き込み、魔導書の頁をパラパラと一気に捲っていった。 何事かとウェイバーが風の吹いてきた方向を見ると、そこではイスカンダルが入り口のドアと、そこから続く廊下の一番近くの窓とカーテンを開け放っていた。 「なんだ情けない。少しでも成果があったのならもうちょっと前向きになれんの――」 「何をやってやがりますかこの馬鹿はぁぁぁ!!」 慌ててウェイバーは魔導書を机に置いたまま、裏返った叫び声をあげながら部屋を出て開け放たれた窓まで駆け寄ると、 一息にそれらを閉めて息を荒げ、ずい、とライダーに詰め寄った。 「なんで監視カメラを見てろって言ったのに、逆に人に見つかっちゃうかも知れないような事やってんだよぉ!」 「いやだってな、坊主は本を読んでるからいいが、ずっと変わらぬ光景を見せられてては、退屈にもなるわい。 それに風の一つも浴びれんでは実体化している意味が半減してしまうではないか。いくら戦場にいるからといってそれはあまりに勿体無い」 「その変わらない光景が変わった時にすぐ気付く為の見張りじゃないか! …とにかく、最初の放送を過ぎれば遠からず外には出る事になるだろうし、今はちゃんと見張っててくれよ」 「わかったわかった」 豪放磊落な己の従者の態度にウェイバーは三度重い溜息を吐きながら、その従者と連れ立って監視ルームに戻り、開きっぱなしの再び魔導書に再び目を落とした。 頁は風で捲られたせいでかなり先まで進んでおり、そしてそこに記されていた内容は、 それまで読んでいた「霧雨魔理沙の魔術や実験の成果」ではなく、彼女がこれまでに目撃したという、 彼女の知己の魔術師達の魔術について記されている頁だった。 「ええと、さっきまで読んでた頁は……!?」 クラールヴィントで頁を繰り戻そうとしていたウェイバーだったが、最初に流し読みした時には気付かなかったある記述に、不意に目が留まった。 その記述とは、霧雨魔理沙の知己であるというパチュリー・ノーレッジという女魔術師の魔術に関する一文の更に一部にあった。 彼女に近しい者らしき、ついさっき参加者名簿で見た覚えのある、“レミリア”という名前が。 急ぎ参加者名簿に手を伸ばし、確認を取る。果たしてやはりそこには、“レミリア・スカーレット”という名前が記されていた。 (こいつ、この魔導書の持ち主の知り合いなのか? いや、単なる偶然かも知れないけど、もしそうなら色々と訊きたい事が――) 「坊主!!」 参加者と支給品の接点に考えを巡らせていたウェイバーだったが、不意にかけられたライダーの呼びかけによって、意識を引き戻された。 尋常ならざる様子に何事かと振り向くと、ライダーは「あれだ」と言って監視カメラのモニターの一つを指差した。 そのモニターは外部の監視カメラの内の一つの映像を映し出しており、そこには宵闇の向こう側から、 何か輝く物体が水平に、しかもかなりのスピードで近付いているのが見て取れた。 そしてそのカメラが設置されている場所は、ウェイバーの記憶が確かならば、つい今し方ライダーが開け放った窓のすぐ側の外壁に―― 「うわあぁっ!!」 事と状況を理解したウェイバーは、即座に部屋の北側に駆けて頭を抱えて床に伏せ、 ライダーはそんなマスターを守らんと、機巧槍・黒王を水平に持ち上げて構え、南の方角を向いてどっしりと仁王立ちの構えをとる。 直後、ライダーの眼前の壁が轟音と共に破壊された。 もうもうと立ち込める粉塵は、しかし瞬く間に夜風に流され、そこに現れた者の姿を露にする。 「エン……ジェル……? いや、サーヴァント…なのか?」 おそるおそる面を上げたウェイバーが目にしたのは、白銀の翼を広げ、磨かれた紅玉のような瞳でこちらをじっと見据える、 あまりにも人間離れした出で立ちの、まさに天使としか形容し得ない神秘と美しさを湛えた若い女性だった。 しかしその肢体は傍から見ても、明らかに今の吶喊に拠るものではない裂傷がそこかしこに生じており、 さながら完成された背徳的な絵画のような雰囲気をも併せ持っていた。 そして、その傷の中で最も広範囲に亘るものを抑える左手の甲には、見間違えようも無い青い星(☆)が在った。 「いやぁ、こいつは聖杯戦争のサーヴァントじゃないな。もしそうなら余がそうと解るわい」 確かに、クラスによって差があるとは言え、サーヴァントはそれぞれ同族の気配を察知する事ができる。 『気配遮断』のスキルを有するアサシンが相手ならそうとも言い切れないが、 隠密行動を主とするアサシンが、そのスキルが意味を成さない程に自分の存在を露にするのはまず在り得ぬ事態であるし、 そもそもなにより、アサシンは既に聖杯戦争から脱落している事は、ウェイバー達も既に把握している。 「そ、そっか。じゃあこいつは文字通りの意味での従者(サーヴァント)って事か。聖杯戦争の外から御三家のせいでこの殺し合いに巻き込まれた…」 ウェイバーが誤解の混じった得心の言葉を口にするのとほぼ同時に、件のエンジェル――イカロスはその背から伸びた双翼を収納してみせた。 これは勿論、オーバーフローによる全身へのダメージを抑えるためであり、事実、彼女の全身の裂傷は、それを境に少しずつだが塞がれていく。 だが、紅い瞳は相変わらずその輝きを爛々と湛えており、『空の女王(ウラヌスクイーン)』モードまでは解除していないと言う事である。 そしてそれはすなわち、彼女が戦う意志は微塵たりとも捨てていない事の現れである。故に―― 「むおっ!」 イカロスは手刀を振りかぶり眼前のライダーへと襲い掛かりるが、その一撃はライダーの迅速な防御により、左の籠手を破砕するに留まった。 「やれやれ、問答無用とはな。だがよい一撃だ。早速胸の高鳴りそうな戦いができそうだわ!」 イカロスの力の程をその身を以って認識したライダーは、大口を開けて豪快に笑い、これからの戦いに心底からの悦びを覚え、 その一方でウェイバーは、最初にイカロスを見た時、彼女の傷付いた有様から「他者の襲撃に遭いここに逃げ込んできた」線も考えてはいたのだが、 その甘過ぎた思考を一瞬で吹っ飛ばされていた。 ◇◇◇ 開戦の狼煙を上げたイカロスの一撃から数分、既に双方で三十合を越える打ち合いが行われていた。 互いに無手――ライダーの方は獲物が大き過ぎて使うに使えないだけだが――での戦闘は、しかしあまりに激しい衝撃を伴い、 その余波だけで既に、手狭な監視ルームの内部はあちらこちらが損壊していた。 監視カメラもその殆どがモニターを割られて機能を停止させられ、壁や天井も微細なヒビが所狭しと走っている。 ただちにこの部屋を崩落させるほどの深刻な物は無いが、このままの勢いで戦闘が続けば、或いはそれも時間の問題だろう。 ちなみにこの間ウェイバーはと言うと、初めて目の当たりにするサーヴァントの戦闘に完全に気圧され、 ただひたすら巻き添えを喰らわないよう、ライダーの背後側の部屋の隅で、部屋にあった置き机に拙い『強化』の魔術をかけて眼前に立てかけ、 必死の思いで身を守っていた。 兎も角この戦闘は、外部からの無粋な介入も無く、完全に膠着状態にあった。 純粋な戦闘力だけなら、兵装を没収され、自壊を防ぐ為に翼と共にオーバードライブ状態を解除したイカロスよりも、 かの伝説の征服王にしてサーヴァントたるライダーの方が遥かに上回っているのだが、如何せんこの監視ルームはあまりに狭く、 埒外の威圧感と筋力を誇る彼の巨躯が逆に災いし、また、マスターたるウェイバーを巻き込みかねぬ為、全力を振るう事ができないでいた。 しかしそれでも尚、イカロスの攻め手はライダーに対し一切の有効打を与えれずにいた。 オーバードライブを解除した事で自己修復機能も十全に働いているのだが、ライダーの一撃一撃は非常に重く速く、 回避すればその分疲弊し、防御すればその上からでもダメージを受けるので、結局は僅かずつながらダメージが蓄積されていた。 (強い…!) イカロスは瞳だけは冷酷なままに、しかし内心はひたすら焦燥していた。 篭城策を決め込んでいた(とイカロスは思っていた)敵の戦闘力が想定外に高く、このまま戦闘を続けていても勝機が見えてくる計算ができない。 であれば、ここは最低限の目的を達成するに留め撤退するべきだと、彼女は判断した。 不幸中の幸いと言うべきか、接触時にこちらを即座に攻撃してこなかった事や、篭城策を採っていた事からも、 相手がこの殺し合いに積極的では無い事は充分に見て取れたので、ならば智樹に害を為す可能性は低いだろうというのもその判断の一因だ。 勿論その判断を過信するわけではないが、ここでたった二人の参加者相手に時間を取られすぎては、 それこそ智樹の命が危ぶまれる確率を跳ね上げてしまう。それだけは絶対に避けねばならない事だった。 そうと決めれば、イカロスの行動はより早く、そして速かった。 「むぅっ!?」 十八発目のライダーの一撃を回避すると、今度は反撃に出る事無く、回避行動の慣性のままに部屋の端に滑り込み、 放置されていたウェイバー達の背負い袋を掠め取ると、更に「ひっ!」と縮こまるウェイバーをも無視してその正面を駆け抜け、 入って来た時と同じ様に、一瞬だけオーバードライブ状態を再動させ、今度は北側の壁を体当たりで破壊し、そのまま宵闇の下へと飛び出していった。 「ッ…捕まえろ、ライダー! あいつにも聞きたい事は色々ある!」 「応とも、もとよりそのつもりよ! 逃がすものかよ、AAAALaLaLaLaLaie!!」 慌てたウェイバーが立ち直って出した命に百も承知とライダーも応え、床に置かれた機巧槍・黒王を手に取ると部屋の外まで追いかけ、 それを振るうに充分な広さを得れたのを確認し、逃走するイカロスの背に向けて、「逃がすまい」と思い切り横回転をかけて黒王を投擲した。 串刺しにして言葉通り討ち取るつもりは無い。「勝利してなお滅ぼさぬ」が、彼の“征服”の信条の一つである。 そして狙い過たず、高速で回転する巨槍は白銀の翼を生やしたイカロスの背をしたたかに 「……ありゃ!?」 確かに逃げるイカロスの背を捉えたと思った黒王は、しかし次の瞬間には彼女の手に握られ、 加わった重量の分だけ勢いを弱めながらも、なんともシュールに彼女ごと回転しながら、宵闇の向こう側へと消えていった。 (…ありゃあ追いかけても追いつけんなぁ…。まあ考えるのは坊主に任せるとするか) 仕方ないと早々に追撃と黒王の奪取を諦めると、ライダーは拳で自分のこめかみをぐりぐりと弄りながら、 すっかりと風通しの良くなっってしまった背後の監視ルームに向き直った。 当然の事ながら、事の顛末を聞いたウェイバーは一頻(ひとしき)り驚愕、絶叫した後ライダーのデコピンを喰らって蹲り、 これからどうしようかと大いに頭を悩ませる羽目になった。 【B-3/天文台・監視ルーム/1日目-黎明】 【主:ウェイバー・ベルベット@Fate/Zero】 [主従]:ライダー@Fate/Zero [状態]:若干の精神的疲労、令呪3画 [装備]:参加者名簿(基本支給品)、クラールヴィント、お手製魔導書、魔法の燃料 [方針/行動] 基本方針:生きて元の世界に帰る。 1:これからどうしよう……。 2:他のマスター/サーヴァントと接触して情報収集と現状把握。 3:レミリア・スカーレットに会えたら、この魔導書の持ち主の事等について詳しい話が訊きたい。 4:エンジェル(イカロス)を警戒 [備考] ※参加時期は、最初のアサシンが敗退した晩からセイバーとランサーの戦いに乱入するまでの間です。 【従:ライダー@Fate/Zero】 [主従]:ウェイバー・ベルベット@Fate/Zero [状態]:心地よい疲労 [装備]:なし [方針/行動] 基本方針:戦い、そして勝利する。 1:よい戦いができたが、相手を取り逃したのと武器を失ったのはちと痛いのう。 2:ライダーとして、征服王として、航空宇宙展示場にある色んなものに興味がある。 [備考] ※参加時期は、最初のアサシンが敗退した晩からセイバーとランサーの戦いに乱入するまでの間です。 ◇◇◇ 「私以外に、時間を止めれる参加者がいる……!」 山の麓で、イカロスは口にしたその事実に感謝と焦燥の念を同時に覚えていた。 右手にはつい先程、「ライダー」と呼ばれた巨漢に背後から投擲された巨槍が握られている。 あの瞬間、あまりに速い風切り音の接近に気付いた時には既に為す術無く、彼女は巨槍に背を強打されて地に墜ちる事を覚悟した。 だがその瞬間、その槍も含めて、世界の時間が「止まった」のだ。 それは彼女には知る由も無いが、まったく幸運な事に、たまたま同時刻、この島のある場所で、あるメイドが時間を止めてみせたのだ。 そして更に幸運な事に、イカロスは停止した時間の中を動く事ができる機能が備わっていた。 停止した時間こそ数秒にも満たなかったし、現状の消耗と先の戦闘結果を鑑みるに、その槍を奪取して反撃に移るというのは愚策と判断した為、 高速で飛来する巨槍の慣性に身を任せ、彼女はより安全に戦場を離脱する事に成功した。 結果、イカロスを乗せた(?)巨槍は山の麓に墜落し、その時点で彼女は再びオーバードライブ状態を解除した。 とは言え、自分以外に時間を止められる参加者がいるという現実は、やはり非常に重いものだった。 もし、智樹がその参加者と遭遇し、その人物が悪意を持って時間を停止させたならば―― 「急いで見つけないと――!!」 イカロスは決意を新たにすると、同じくウェイバー達から奪取した背負い袋を開いて中から会場の地図を取り出し、 他の参加者が集まりそうな場所を考え始めた。 【B-2/山の麓/1日目-深夜】 【従:イカロス@そらのおとしもの】 [主従]:桜井智樹@そらのおとしもの [状態]:全身に軽度のダメージ(自己修復機能により少しずつ回復中)、『空の女王』状態(身体能力上昇) [装備]:機巧槍・黒王、背負い袋(参加者名簿を除く基本支給品) [方針/行動] 基本方針:マスター以外の全参加者の皆殺し。“時間を止めれる参加者”を最優先。 1:地図を見て地理を確認し、人の集まりそうな場所を探す。 2:掛けられた制限をなんとかする。 3:ライダーと“時間を止めれる参加者”を強く警戒。 [備考] ※参戦時期はカオス戦(1回目)終了後です。それ以降の出来事はまだ知りません。 [共通備考] ※B-3天文台〜D-4洋館間に、イカロスの羽が散らばっています。 ※天文台の監視ルームは南北の壁が全壊、監視カメラを含む内部の殆どが損壊しています。 これにて投下完了です。 今回は締め切りをぶっちぎってしまい、誠に申し訳御座いませんでした。 そしてご支援有り難う御座いました。 また、>>212 さんや>>215 さんが仰っておられるように、今回の展開は自分でも強引だとは思っております。 ご意見ご指摘等は、お手数ですがしたらばの議論スレの方にてお願い致します。 乙です ライダー組武器無しかよ…… 終わったなこれは 投下乙です。 でも書き手のお二方とも、今度は遅れないでくださいね! 心配になっちゃいますw そう言えばイカロスって時間停止無効でしたね……これはまたなんとも……。 ってか、スザク逃げて超逃げてー!! 重ね重ねすみません。誤記誤植の修正ですorz >>219 再び魔導書に再び → 魔導書に再び >>224 風通しの良くなってしまっった → 風通しの良くなってしまった >>225 時間表記 深夜→黎明 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.5.1 2024/04/28 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる