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【天候擬人化】にっしょくたん 2スレ目
0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/06/11(土) 01:37:36.32ID:FsqcrbTN
   ___
   (  ☆ )
  ∩|´iノレル∩
.  j j l| ゚ ワ゚ノ|i i  < にすれめなのです。
   ,⊂リ;Wjリつ
  ( (ノノ☆レヽ
    `~じソ~

天候や自然現象を擬人化するスレです。
主人公「にっしょく」を中心とした擬人化キャラの日常を描いていきます。

彼らのSSやイラストをぜひ投下ください。新キャラの投下も大歓迎!

>>2以降で各キャラの紹介。

まとめ
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/1013.html

前々々スレ http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1248348887/
前々スレ   http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1250510371/
前スレ     http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1253787400/
0683創る名無しに見る名無し
垢版 |
2015/07/24(金) 19:03:37.33ID:Dgn+XV/k
 6周年おめでとー

    , "´ ̄` 、
    ( 〃´)ヾ)
    Jjjリ †ヮ†ル
    8⊂カ´}`カつ
 () § 《イ゙Y゙》§  ()
 ¨o。o゚  ヒ北! ゚o。o¨
0691めりくり
垢版 |
2015/12/25(金) 20:38:54.05ID:dybUIpOP
  o      o   2015
   ヾフ´ ̄`くノ Merry Christmas
☆ ( ,〃´)ヾ)
   、',,,リ †ー†ル,,,,  ☆
  ノ,じj^^:^kノ
〜"ζ ノ=nv'=、゙〜
    ~~~゙J'^ヾヽ     ☆




ちゅる毛ムズイです ><
0692創る名無しに見る名無し
垢版 |
2015/12/25(金) 21:01:35.35ID:Z6BheLY2
よい再現w
0693G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:49:55.09ID:lzPKcFgw
 1.
 本日、天気晴朗なれども浪高し。ところによりダイヤモンドダスト。
 日本の国の何処かの町。何かの会社のビルの屋上に立ち、腕を組んで不敵に”下界”を見下ろす少女の姿があった。
 彼女の名はダイヤモンドダスト。諸君らの知るそのダイヤモンドダスト、それが人の形を為したものである。
 普段は同種の存在とともに、この世の傍にあって、しかし此岸の者には容易に立ち入れぬ世界で享楽的に過しているのだが、この時はどういうわけか”下界”に”降臨”していた。
 尤も、人があちらへ訪うには偶然に、不慮に頼らねばならないが、彼女らにとっては散歩も同然の容易さである。日課のように行き来しているものも、人の世に居を構えている者すらいる。
 だから彼女らのこれも日常茶飯の営みかといえば、さにあらず、これは立派なイベントである。
 ダイヤモンドダストが”浸っている”のはそのためだ。
「だいや、まだきはすまないのですか。なにをするきかはしりませんが、てみじかにすませたいです」
 ダイヤモンドダストの後ろに控え、ふわふわと浮かび、悪い目つきで彼女を睨む幼女はにっしょくである。ダイヤにも言えることだが、見た目に反し、その年齢ははかり知れない。
「ふふ、まあいいでしょう。じゃ、ひとまず下に降りましょうか」
 そう言ったかと思うと、縁から身を躍らせる。にっしょくも、やれやれといった風につづく。
 下には割に人通りもあるが、騒ぎは起こらない。
0694G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:50:47.34ID:lzPKcFgw
 所変わって人気のない公園。この辺りは、比較的田舎にあたり、従ってなかなか敷地も広い。
 鞦韆に揺られながら、にっしょくが、
「それで、きょうはなにをするのです」と尋ねた。
 その真っ正面、柵の上に立つダイヤは、ふふんと得意気に笑って、少し勿体ぶって、
「探険をします!」
 と、高らかに宣言した。
 にっしょくは、ダイヤの出で立ちを見ながら、
「……ああ」と呟く。
 もともと彼女らは概念的存在なので、衣装について頓着する必要はない。なのでにっしょくは普段通りの恰好なのだが、ダイヤにすれば、これが人間なら着倒れ必至という程に、ことあるごとに――時に何もなくても――服装を変える。
 今日の彼女は、トレッキングブーツを履いて、チェックのハンチングと吊りズボンでボーイッシュに決めている。少年探偵を気取っているのだろう。
「そんなものひとりでやればいいでしょう。わたしをまきこまなくても」
 虫眼鏡で拡大されたダイヤのダイヤの目に向かって、にっしょくがぶうたれるが、
「道連れがいた方が楽しいじゃありませんか」と平然と返される。
 普段はにっしょくがダイヤを弄ぶ側なのだが、何か思いついた時のダイヤは無敵なのだ。

「ただのたんけんではなにをしていいのかわかりません。なにかもくひょうをきめましょう」
 道を往きながら、にっしょくが言う。本音としては、状況が延々と続くのを避けたいため、終了条件の言質をとっておきたいだけである。
「そうですね」
 ダイヤは、辺りのものを意味もなく虫眼鏡で覗き込みながら答える。
「ステキな殿方を探す、なんてのもいいですけど」
 探偵も短剣もあったものじゃない――思ってもにっしょくは口に出さない。
「その他には、そうですね……秘密基地を作る、なんてのはどうでしょうか」
「ひみつきち」
 にっしょくの声が上擦る。何だかんだ言っても、にっしょくにも(外見)年齢相応のところがある。
0695G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:51:35.26ID:lzPKcFgw
「だいや」
「なんですか」
「つかれました」
「まああきれた。まだ始めたばかりじゃありませんか」
「わたしはあなたよりほはばがせまいのです。それに、ここさっきもとおりませんでしたか」
 ダイヤは弾かれたように周りを見回す。
「……むしめがねでばかりみているからです」
「うっ……」
 ダイヤは肩を竦めて、
「まあ、こういう場合はさておくとしても、目的があるのに当てども無く彷徨うのはよろしくないかもしれませんね。土地勘があるわけでもないですし……」
「わたしのあしもなんとかしてほしいのですが」
「辛抱なさい。なにか考えますからもう暫く……」
「わん」
「泣かないの」
「わたしはないていません。ないたのはこのこです」
「えっ」
 振り返ると大型犬。にっしょくに擦り寄っている。
「あらまあ。懐っこいのね」
「うー」
「唸りましたね。そうでもないのかしら」
「いまのはうなりごえではありません。わたしです」
「えっ」
「このこのなまえです。うー」
「……今つけたの?」
「いえ、このこ、まえにあっちにまよいこんできて、わたしがかえしてあげたのです。なまえはそのときにつけました」
「ワンちゃんがあっちに……? 人間でさえ珍しいのに……しかもこっちでまたにっしょくに逢うなんて。信じ難いわね」
「どっこいしょ」
 にっしょくが、大型犬の背に飛び乗って跨る。
「れっつらごー、なのです」
「……随分あなたに懐いてるのね」
 彼女らの冒険は続く。



「ところでにっしょく」
「なんですか」
「ドラクエ7、やったことある?」
「ありません」
「そう。今度”ガボ”ってキャラを調べてみるといいわ。リメイク版のほう」
「?」
0696G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:52:53.52ID:lzPKcFgw
 2.
 蛇の道は蛇。彼の道は藪蛇。
 別に彼が外に居たのに深い意味は無い。
 天気が良く、風が心地よかったので、たまには――実のところ生まれて初めてだが――外で本を読むのもいいか、と気取ってみただけにすぎない。単なる気まぐれだ。
 そんな他愛のない気まぐれのお陰で、彼は茨の道に踏み込む羽目になる訳である。

 この日は休日なので、勿論学校の制服は着ていない。早めに昼食を済ませて、昼には近所の図書館に来た。
前に借りた分を返し、予め目星をつけてあったものと、その他数冊を借りて、早々に帰途についた。自分の家の、自分の部屋で読むのが、最も落ち着くため、今日もそのようにするつもりだったのだが、ふと、そんなことをしてみる気になった。

 聞こえるのは風に枝葉の騒ぐ音ばかり。彼の感覚神経が、視覚に集中しているためだ。後はせいぜい、時折自分の頁を繰る音が交じるだけ。俯き加減の視線には、銀縁レンズに拡大された、活字の彙が入るのみ。
 だから、近づく影には気付いていない。本の世界に没入している。

「ミス・マープル」
 六花のような声が突如、耳の傍で聞こえたため、彼は飛び上がった。視線を上げると、虫眼鏡と少女。
「適役じゃありませんか、ねえ?」
「まーぷるはあーむちぇあですよ」
 更に後ろには犬に乗った幼女。彼は脳みその半分はまだ小説にあり、状況が掴めず困惑している。
「でも脇に詰んであるのは、明智小五郎にトミーとタッペンス、エラリー・クイーンもありますね。イケると思いますが」
「もんだいはほんにんのいしでしょう。すくなくともいまのところ、あまりいんしょうはよくありませんよ」
「あらまあ」
 言われてダイヤは、彼の方へ向き直り、
「どうですか」と尋ねた。
「なにがですか」とにっしょく。
「何が、じゃないでしょう。あなたは今まで何を」
「わたしはしってますよ。わたしは」
「あらまあ」
 ここでダイヤは再度彼に向き直り、
「失礼致しました。つい興奮して。私達はこの辺りを探検しようと思ってるんです。あなた、この辺りの方ですよね」
 彼はつい気圧されて、順序を間違えた。
「そうだけど、君等は何処から来たの」何よりもまず先にそう言ってしまい、ダイヤの求めに適ってしまった。
 ダイヤは目を輝かせて、ぴょんぴょん跳ねながらにっしょくに、
「御覧なさい御覧なさい! まだ何も言わないうちから私達が異邦人だと判りましたわ! 優秀な探偵さんじゃありませんか!」
 推理というほどのものではない。ここは田舎である。掛け値なしのそれではないから、住人みな顔見知り、とまではいかないが、矢張り近在住民の顔というのは大体見たことがある。
そして、天候連中というのは、目立つ分には青天井に目立つのである。そんな目立つ者を見た憶えがないのだから、彼として相手が来訪者であると考えるのは当然である。
 そうでなかったとしても、『この辺りの方ですよね』等と尋ねる者は、大抵この辺りの方ではない。もう何か言っている。
「お願いです!」ダイヤは俄に両手で彼の両手を握ると、――その拍子に『予告殺人』の頁は閉じた――「私たちにお付き合い戴けませんか?」と懇願した。
 ひんやりした掌に包まれて、しどろもどろになった彼は、不用意に頷いてしまう。
0697G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:53:32.64ID:lzPKcFgw
 彼としては明確に返事をしたつもりではなかったため少々弱ったが、ダイヤが完全に決め込んではしゃいでいるのを見て、矢張り気持ちが動いた。元より、どうしても嫌だとする理由は特にない。
「でも、そう言われても、具体的に何をすれば? えっと……」彼はダイヤをなんと呼べばいいのかわからないことに気付き、次いで自分の名前も明かしていないことに気付いた。
「俺、上座一冬」
「かみざいっとう……どんな字をお書きになるんですか?」
 一冬はあたりを見回して手頃な棒を探し、なかったので靴で地面に書いた。
 ダイヤは何処か熱っぽい視線で数秒文字を凝視し、
「探偵さんらしいお名前ですね」等とのたまう。
「たんていらしいなまえってどんなですか」一冬より先に、にっしょくが言う。
「それはほら、金田一耕助とか、神津恭介とか」
「それはたんていらしいなまえではなく、たんていのなまえです」
 間の抜けたやり取りである。
「で、君らの名前は……?」一冬が促すと、ダイヤの目が少し曇った。躊躇い、にっしょくを見る。しかし、
「ふつうでいいじゃないですか、だいや」
「ダイヤ?」
 これを聞くなり、彼女の瞳に灯りが点る――トリック・スターの煌めきが。
「ふっふっふっ……そう、私のことはダイヤ、とお呼びください」
「え?」
 次いでダイヤは指でピストルを作り、にっしょくを撃った。
「彼女はエクリプス」ウィンク。
 一冬がにっしょくを見やると、ハザード映画中に延々繰り広げられる無駄なラヴシーンを見ているような表情で、「いや、まあ、間違ってはいませんが……」と呟く。
「そういう訳で、よろしくお願いしますね、一冬さん」
「ちょっと待ってよ」一冬は、自分はどんな顔をしているだろうと訝しみながら、「おれはちゃんと名乗ったんだからさあ」と抗議する。
「ほんとの名前については、どうぞ推理なさってみて」にっこり。
「えー……」
「おいくつ?」
「え。……じ、十四。中二」
「ふむふむ」
「……君たちは?」
「推理してください」
「……あのさあ。おれ確かに探偵小説は好きだけど、別に自分が探偵としてどうとか、そういうことはないんだからね」
「ふふ、ご謙遜なさらなくともいいんですよ」
「……ん。まあ、別にそれでもいいんだけどさ……変に過大評価はしないでくれよ」
「ええ、頼りにしてますわ」
「……」
「いっとう」
「え? あ、ああ、えーと……エクリプス? うん、何?」
「にげるならはやいほうがいいですよ」
「……」
 少し逃げたくなってきた、一冬。
0698G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:54:49.09ID:lzPKcFgw
 3.
 女三人よれば姦しい。女二人に男一人だと嫐られる。
 BGMはテノールの歌声。曲の名前も分からなければ、歌詞の英語も聞き取れない。一冬、意識してジャズを聞くのも、喫茶店に入るのも生まれて初めてである。ましてやチェーン店ですらない。
 内心、かなり狼狽しているものの、生来の鉄面皮はそれを押し隠してしまっている。
 意識しないとあまり浮かばない表情は、それで得することも少なくないが、損することもしばしばである。今回はどっちだろうな、とぼんやり考えている。
 喫茶店へやって来たのは、無論というべきか、ダイヤの発案である。そんな所へ入ったことのない一冬は尻込みしたが、ダイヤに「勿論支払いは気にしなくて結構です。協力いただくんですから」等と無理やり連れ込まれた。
問題はそこではなく、彼の見栄として、そんな位なら自分が奢りたい、とも思ったのだが、悲しいかな彼の財布には八百円しか入っていない。自分の分だけなら恐らく十分だろうが、そうするのもさもしい気がして、大人しく奢ってもらうことにした。
 それにしても驚いたのは、彼女らの淀みなさである。ダイヤはどう足掻いても同年代にしか見えず、せいぜい数歳の年上、を超えることはないだろうに、喫茶店に入ることにしても、支払いの申し出にしても、気負ったところは見当たらない。
 更に注文に際しても、オレンジジュースを頼んだエクリプスは兎も角として、当たり前のようにブルーマウンテンをオーダーするに及んでは、もうごく慣れているとしか思えない滑らかさである。
一冬も彼女らの如くあらねばならない気がして、迂闊にもエスプレッソなどを注文してしまい、激しく後悔した。差し当たり鉄面皮はこの時はためになっただろう。

 ”作戦会議”とダイヤの称する会話が始まった。何処に仕舞っていたのやら、縮尺の粗い周辺の地図をテーブルに広げて、どの辺りがよさそうか、一冬に尋ねてくる。
 ダイヤは(精神的には兎も角)落ち着いた控えめな声で喋っているが、何分にも店内には他に客はなく、何故か正装をしている初老のマスターの目が気になり、ちらりと視線を遣るが、彼は何も聞こえていないかのように、カウンターの中で豆を挽いている。
もしかすると何も聞こえていないのかも知れない。
 こんな大人っぽい場所で、如何にも子供っぽい秘密基地の話などしているのは滑稽だと、一冬は思う。そんな相反する行動をとるダイヤが、ますます謎めく。ふと窓の外に目を向けると、『うー』は店の外に坐り、大人しく待っている。
『エクリプス』は澄まして、両手でコップを慎重に傾けている。何も見えてこないまま、不用意にエスプレッソを啜って、鉄面皮に救われた。
0699G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:55:49.01ID:lzPKcFgw
 ダイヤの掲示した条件は、不可欠のものとして、雨風を凌げること、容易には他人に発見されないこと。努力目標として、ある程度の日数以上保つこと、入る時に多少の"手続き"を――ドアを押し開けるよりいささか厄介な――必要とすること。
 要するに、自力ででっち上げるには少々荷が重い訳だ。誰も、特に大人があまり寄り付かない場所に、何かしらの”箱”がなくてはならない。
 真面目に考えている自分に多少呆れつつも、一冬は地図の一地点を指し示した。
 その説明を聞いて、ダイヤは目を輝かせる。目を輝かせるのが得意技なのだろうかと、一冬は思う。

 一冬がエスプレッソを飲み終えるのを待って、三人はその場所へ向かった。
 辺りをきょろきょろ見回しながら先陣を切るダイヤと、犬に跨がり泰然として続くにっしょく。殿は仏頂面の、本人は情けない顔をしているつもりの一冬がつとめる。
彼の思考は大きく二つの事柄に占められていた。ひとつは、このふたりは一体何者なのかということ。謎めかざれば謎めき謎めく謎の存在である。あまりにも掴みどころがない。
 今ひとつは、傍から見て自分たちがどう映るかということである。道往く人もさることながら、知り合いにでも見られた日にはどう思われるか分かったものではない。訊かれても説明できる自信がない。
「いっとう」
「……なに、えっと、エクリプス。……て言うか、君、ほんとはなんて云うの」
「そうきかれても、えくりぷすでもまちがってませんから、どうともこたえられません」
「はあ」要領を得ない。
「ともかく、はっきりいって、ながくだいやにつきあっても、ろくなことはないでしょう。いやならえんりょせずに、とっととにげるがいいです」
「……いや、別に嫌ってわけでもないんだけど……」
 舌足らずな癖に、喋る内容は妙に立派である。一冬は、一種超越的な心持ちになって、詮索をする気が失せた。
0700G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:57:05.12ID:lzPKcFgw
 さてもたどり着いたるは、幼き一冬がかつて秘密基地をつくった、その場所である。
 数年にもなるか、寄りつかなかったその場所の、変わりようと変わらなさに目を細める一冬と、はしゃぎ回るダイヤとにっしょく(それと犬)は、連れのようには見えない。
 それというのは陸橋の裏側である。フェンスの隙間に強引に体を捩じ込むと辿り着ける訳で、中学生ともなると若干罪悪感を感じる程度には不法侵入である。
 だいたい小学生というのは、特に公共の場に関して、そう云うことに無頓着である。当時の一冬たちがそうだったし、当世の小学生にも同様であるらしかった。
 地面に転がった石を足掛かりにして、腕の力で以ってよじ登ると、若干の窪みがあり、天井と三方向の壁を備えた、それなりの広さが確保されている。
「……」
 一冬が完全に状況を理解する前に、ダイヤに催促されて、一冬は手を貸した。一瞬、いくら相手の要望とはいえ、色々と女性を案内するには不適切なところだったか、
などと考えたが、ひんやりとした、しっとりとした手の感触にどぎまぎして、すぐそれどころではなくなった。
「ここですの?」一冬の後ろからダイヤが覗きこむ。
「そう、なんだけど……」こんなに狭かったっけ。
 一冬がそう思うのは、彼自信の成長のためか、それともこの場の現状のせいか。
 先ず、開放された一辺には、一冬の知らないキャラクターの描かれたビニールシートが張ってあり、三方をガムテープで留めてある。右下がそうでないのは、ここから中へ入るためだろう。
そこを捲り上げると、下には擦り切れたゴザと古新聞が敷いてあり、隅にはビニール袋があって、中身が駄菓子の空き容器であるのを見れば、ゴミ袋としての機能が与えられているようだ。
 その他、幾許かの玩具類が放置……いや、”保管”されている。
「せんきゃくがいるようですね」
 いつの間にかダイヤの横に、にっしょくがいる。
「……どうやって登ったの?」
「きぎょうひみつです」
 一冬は絶句するしかない。にっしょく、最低限の配慮はするものの、自分の外見に相応しいだけの行動を取り繕うつもりは、特にない。

 考えてみれば、あの隙間は好奇心旺盛な子供に対して誘っていると言わんばかりだし、今の子供が再発見していたとしても何ら不思議でないし、そうなると自分たちが最初の発見者であるかからしてだいぶ怪しい。
それにしても、自分たちのときはあの場所が存在するのみに満足して、場を改善することなど思いもよらなかった。
恐らく家から持ってきたり、捨てられているのを拾ってきたりしたのだろうが、最近の子供は強かである――などとたかだか数年のジェネレーションギャップを感じている一冬だったが、
実際にはただそれに気付き、また実行するだけの才覚を持った子供が居るかいないかの問題である。当時の一冬にはそれがなかったし、かれの友人もそうだっただけの話だ。
 それにしても、ここを縄張りにしている子供たちが不在だったのは幸いだったといえよう。適切な言い訳をして急いで辞去すれば最低限に済ませることは出来るだろうが、やはり衝突は免れ得ないだろう。
 一冬が目を遣ると、ダイヤは先程の場所にさほどの未練を示すこともなく、また地図に視線を浴びせている。「地図とにらめっこしていても分かるものではありませんわね」などと呟きながら、地図と睨めっこしている。
一冬はその姿を眺めながら、次に彼女らを導く場所を求めて、頭のなかを睨み始めた。彼自身はまだその原因をはっきりとは自覚していないが、いつの間にかすっかりやる気を出している。
 ふたりがそれぞれ睨みつけているので、どちらもにっしょくが如何にも憮然とした表情でその間を睨みつけていることには気付いていなかった。
 この場で睨みを効かせていないのは”うー”だけである。
0701G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:58:02.23ID:lzPKcFgw
 4.
 ギムレットを飲むには早すぎる。エスプレッソも、彼にはまた。
 ダイヤとにっしょくが戻ってきた。にっしょくはひとつの紙コップを両手で持って、吹き冷ましている。”うー”はにっしょくを、紙コップを揺らさないよう慎重に歩いているようだ。
 ダイヤはふたつ持っているうち、左手の方を一冬に渡す。彼は例を言って受け取ると、視線を正面に戻した。そのベンチは丁度、沈みゆく夕焼けを向いている。
 ダイヤが一冬の右脇に座る。一冬は中央に腰掛けているので、服が、肌が触れ合い、一冬を少しどぎまぎさせる。ダイヤは、猫舌なんです、といいながら、にっしょくと同じように、ココアを冷ましている。
 一冬はその横顔を、その白い横顔を、その朱に照らされた白い横顔を眺める。
 実は見惚れていたのだが、本人はそれと気付かず、ただ眺めているつもりである。
 やがて、ダイヤがそれに気付き、どうしました、と微笑む。一冬は、いや、別に、などと慌てて、また正面を向く。染めた顔は夕焼けに、照れ笑いは鉄面皮に阻まれて、ダイヤには届かない。

 沈黙。
0702G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:58:30.10ID:lzPKcFgw
「ごめん」
 唐突に、一冬が言った。
 ダイヤはココアを啜るのを止め、首を傾げる。
「何がですか?」
「いや……結局、秘密基地、見つからなかったし」
 それを聞いて、ダイヤは声を立てて微笑む。
「あらやだ。そんなこと、気にしてらしたんですの?」
「え……だって」
「そもそも、こちらが無理にお願いしたことなのに、ずっとお付き合いいただいたんです。謝るなら私達のほうが、いいえ、」
 ぺこり。
「今日は有難うございました」
 一冬は何も言えない。
「でも……やっぱり役に立てなかったわけだし」漸く絞り出した言葉は、そんなように戯けたもの。そんなことを言い出したものだから、全て言い終える前にダイヤの人差し指が一冬の唇に押し付けられて、
「それ以上仰られるようなら、そのお口を氷漬けにして差し上げますよ」
 一冬は陥落した。
「私が欲しかったのは、そのものよりも探す過程なのです。見つかればそれはそれで楽しいでしょうが、見つからなくても、私はとおっ、ても楽しかったですよ。……そうではなくて?」
 思い出す。一冬自身にとっても、実に楽しい冒險だった。――しかし、それはただ童心にかえっただけのことではない。それに思い至ると、心臓が高鳴るのを感じる。鉄面皮が崩れそうなほどに。
「それに――見つからなくて、却って良かったのかも知れませんね。ずっとここにいることはできませんもの」
 今度は、、鼓動が止まる。
 そうだ、彼女らは異邦人なのだ。何処から来たのか知らないが、それは此処ではない何処かだ。一冬は彼女らのことを何も知らない。このままでは、何もかもが失せてしまう。
0703G
垢版 |
2015/12/30(水) 00:59:17.74ID:lzPKcFgw
「紙コップ、捨ててきますね」
 空のコップを持って、ダイヤが立ち上がり、一冬の手からもそれを奪う。一冬が声をかけあぐねている間に、ダイヤは歩き去っている。
「に……エクリプス、それちょうだい」
 にっしょくは三秒間静止すると、残った中身を喉に流し込み、容器をダイヤに渡す。
残された三者は、無言。

「いっとう」
 皆既の声に、一冬はたじろぐ。この昏き声が目の前の幼女から発せられたものだとは、一瞬、わからない。
「やめておきなさい」
「……何を」
「これはちゅうこくです。わたしは、あなたのことがきらいではありませんから、みすみすみをおとしこむのをみすごしてはおけないのです」
 一冬は困惑するばかりである。最早彼女を幼女としては認識できなくなっていたし、それを措いても、妙な荘重さを感じている。
「……どういう」
「あなたのそれに、だいやがこたえることはないでしょうし、たとえだいやにこたえるいしがあったとしても、それはまともにはせいりつしません」
 にっしょくは溜息を吐く。
「そういうれいもなくはないですが、わたしのしるかぎりかずすくないそれはほとんどすべてがひげきてきですし、ほんのわずかなれいがいにおいても、かなりよろしくないけっかをもたらします、これはかくじつに。なにしろひたいしょうてきですから」
 一冬は凝結している。理由こそわからないものの、日食の言うことが悉く真実であることは、何故か納得していた。否応なしにさせられていた。
「そもそも、あなたのそれはいっかせいのさっかくであるとだんげんしてもいいでしょう。ひきずるのはよしなさい。じかくがないのがこまったものですが、
もっともじかくありきでやっているならたちがわるいのですが、あのこはああいうこなので、ひとにかんちがいをさせるのがたいへんうまいのです」
 これは無理にでも否定したいところである。
「わたしたちはもうすぐたちさることになるでしょう。あなたにわかるかたちでふたたびまみえることも、まずありえません。これはけしてふくみをもっていうことではないとりかいしていただきたいのですが、もっとみのたけにあったあいてをさがすべきです」
 一冬は唇と臍を噛み締めている。聞きたいことは山とあったが、何を聞くべきなのかわからない。言いたいことはいくらでもあったが、何を言うべきなのかわからない。考えたいことは死ぬほどあったが、何を考えるべきかわからない。
「かんちがいしないでください――はくじょうのゆえではないのです。そうしつをけいけんしないためには、おもいでにするほかはないから」

「きょうのことには、こだわらないほうがいいです。ゆめでもみたとおもってわすれるか、さもなければ、ときどきそういえばあんなことがあったなあ、と、おもいだしてください。どちらかといえば、こうしゃのほうが、わたしたちもうれしいです」
 にっしょくはそこで発言を打ち切ると、”うー”の頭を撫で回し始めた。
0704G
垢版 |
2015/12/30(水) 01:00:01.11ID:lzPKcFgw
「お待たせしました」
「おかえりなさい。だいや、そろそろかえりましょう」
「あら。……そうですね。じき日も暮れるし……」
 ダイヤは一冬の方へ向き直る。
「一冬さん。今日はどうも有難うございました。とても楽しかったです」
「いや……うん。こちらこそ」
 違うだろう一冬。お前が言いたいのはそういうことではない筈だ。そう自分に言い聞かせても――では、何を言えばいいのか?
 本当はわかっているのだが、彼にはその言葉を言うだけの勇気――いや、自信がなく、だから、本人が気付かないうちに、それに代替できる言葉を探しているのだ。
 ダイヤは一冬の右手を取って、両手で握りしめる。
「もう、私たちは行きますが、一冬さんは、私達のこと、忘れないでくださいね」
「……もう、逢えないのかな」ダイヤの言葉に呼応して、漸く発した言葉だった。思いの外掠れた声に、我がことながら驚く一冬。
ダイヤは少し驚いたような顔をして、それから悲しそうな顔をして、
「きっと、また」嘘を吐いた。
0705G
垢版 |
2015/12/30(水) 01:00:56.29ID:lzPKcFgw
 ダイヤが一冬の手を離した。一冬の方から、それを握り直すことはできない。
「そろそろ、行かなくてはなりません。一冬さん、どうかお元気で」
「その前に、いいかな」もう、一冬は殆ど何も考えていなかった。ただ、今を逃せばもう後がないのは分かりきっており、考える前に口が出ていた。
「君たちは……一体、何処から来たの」
 答えるに答えられない質問に、困ったダイヤはにっしょくを見るが、にっしょくはさっきからずっと、真っ直ぐ一冬を見つめている。
 ダイヤも一冬の目を見ると、一冬は強いて返事を請わず、
「……じゃあ。名前だけでも、本当の名前だけでも教えてくれないかな」
 ダイヤは一瞬きょとんとして……いたずらっぽく微笑んだ。
「それは」
 ダイヤはもう一度、一冬の手を握る。
「推理してみてください、探偵さん」
 そう言ってまた一冬から離れ、くるりと回って微笑むと……
 ダイヤが背にした夕焼けが煌めき、目が眩んだ一冬は思わず目を背け、瞑り……
 目を開けると、ダイヤはもう、そこにいなかった。慌てて振り返るが、ダイヤも、エクリプスも、最早影も形もない。周囲を見回しても、見通しがさほどよくはないとはいえ、やはり見当たらない。

 慌てて駆け出す。道の方へ出て、左を、右を、彼女の姿を探すが、やはり。

 ……考えてみれば、目が眩んだからといって、少し呆けていたからといって、それほど早く、それほど速く、自分の死角まで立ち去り、またそこから追いつけないスピードで移動できるとは思えないし、そうする必要性も考え難い。
 ……あれは、夢だったのだろうか。思えば、確かに夢見心地だったような……

 いや。
 あの冒險が、
 あのエスプレッソの苦味が、
 この胸の高鳴りが、
 夢でなどあって、たまるものか。
0706G
垢版 |
2015/12/30(水) 01:01:41.14ID:lzPKcFgw
 一冬は無意識にポケットをまさぐる。あれが夢でなかったという、あるはずもない証拠を探すために。
 そのある筈もない証拠を探り当てたのと、”うー”が吠えたのは同時だった。
「ばう」
 “うー”は、自分の存在を一冬に主張すると、それだけが目的だったかのように、駆け出していった。
 一冬は、ただぼんやりそれを眺めていた。彼女のもとへ辿り着くヒントになるかもしれなかったのにそうしなかったのは、咄嗟にそんなことは考えられなかったせいもあるだろうし、どうせ犬の足に追いつけるはずはないと分かっていたせいもあるだろうし、
今は夢でないと分かれば十分だったこともあるだろうし、あの犬を追っても、彼女のもとへ辿り着くことはないと、なんとなく分かっていたためでもあるだろう。
 一冬は、ゆっくりと、ポケットから手を出した。
 そこには、いつの間にか、六花を象ったペンダントが入っていた。
 何故といって説明はできないが、それはダイヤが呉れたものだと、確信した。
 一冬は、夕日を振り返り、”うー”の駆けて行った道を眺め――微笑みを浮かべると、家路についた。
0707G
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2015/12/30(水) 01:02:23.63ID:lzPKcFgw
「うーん、今日も充実した一日でしたね」
「……」
「どうかしまして?」
「……べつに」
「あ、さては秘密基地が出来なかったから拗ねてるんでしょ」
「しつれいな」
「うふふ、いいのよ隠さなくても」
「……わたしをあなたといっしょにしないでください」
「あら、私は別に秘密基地はいいのよ。探すのは楽しかったのだし。ステキな殿方に巡り会えなかったのはちょっと残念だけど」
「……いっとうは」
「そうね、いいお友達はひとりできたわね」
「……こまし」
「ん? 今なんて?」
「……もうにどとあうこともないでしょうけどね」
「……そうね」
「これからあうことがなくても、ともだちですか」
「変なこと言うのね。当たり前じゃない」
「……たらし」
「もう、今日のにっしょく何か変よ。もうちょっとはっきりいいなさい」
「……なにかあまいものがたべたいきぶんです」
「ふーん、そうね。私も何か……あっ、あそこにたいやき屋さんがあるわ。買っていきましょう。おみやげに、みんなの分も」
「わたしはかすたーどがいいです」
「あら、邪道ね。私は何と言っても粒あんです。みんなは何が好きかしら……」


 これにて、一冬の戀と冒險は、ひとまず幕を閉じる。
0708G
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2015/12/30(水) 01:03:37.77ID:lzPKcFgw
この時機にクリスマスも年末年始も特に関係ないものを投下していくスタイル
0710創る名無しに見る名無し
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2016/01/01(金) 08:29:55.23ID:r01qLJdV
乙。圧倒的に乙
0711G
垢版 |
2016/01/04(月) 01:53:35.73ID:IHQw8tsC
>>712でなんかかく
0715創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/01/14(木) 18:31:24.24ID:5N6UsXGT
これで普段より露出が下がっているという事実
0717創る名無しに見る名無し
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2016/03/10(木) 20:45:28.97ID:3q2T5eBP
「きのうはたいぼうのてんたいしょーだったのに、なんのはんのうもないとはどういうことですか」

「スレどころか板が過疎ってるからなあ」

「しかもぜんこくてきにくもりとは」

「ああ、そいつはご愁傷様」

「このじたいをだかいすべく、しんきゃらのとうにゅうをようきゅうするのです」

「今更?」

「はれのぎじんか、『かいせい』さんです。わふくのにあう、さわやかないけめんがいいですね。
 てんきゅうさんとのあいしょうもばっちりです」

「かまいたちへの嫌がらせか!?」

「ただし、じょーくがさむいのがけってんです。ほうしゃれいきゃくげんしょうてきに」

「」

「だいやはきにいってくれるとおもいます。すもっぐとのあいしょうもよさそうです」

「光化学スモッグ注意報ってやつ?・・・てか誰だっけ?」

「でもたいふうだけはにがてなようで、いないのをかくにんしないときてくれません」

「ああ、台風一過の青空か」

「あんしんしてください、いかづちもきっときにいるのです」

「何でさ?関係ないだろ?」

「せいてんのへきれきというやつです」

「それ使い方間違ってるから!…で、そいつはいまどこに?」

「いませんよ」

「……は?」

「わたしはしんきゃらのとうにゅうをようきゅうしただけです、じっさいにくるとはひとこともいっていないのです」

「おい!!」
0720創る名無しに見る名無し
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2016/07/28(木) 01:40:44.78ID:SmvIXa8w
「あ、おーいにっしょく。ダイヤ何処にいるか知らないか?」

「さあ。そういえばここすうじつみかけませんね」

「だよな。何処ほっつき歩いてるんだか……」

「どうせまたげかいをあそびあるいてるにきまってます」

「ふふ……ふふふ……」

「あ、うわさをすれば」

「なんか憔悴して見えるが……」

「‥わいい‥‥しの‥‥‥スちゃん……どこに‥るの……出て‥‥で……」

「病んでる! なんかめっちゃ病んでる!」

「……ふん」

「どうしたダイヤ! 大丈夫か!? 正気に戻れ! 幽霊みたいだぞ!」

「……ゆうれい? ‥‥‥がいますの? この辺りに?」

「本格的にヤバイ!」

「あら、いかづち……一緒に探してくれませんか……?」

「ヘルプ! にっしょくヘルプ!」

「おちつきなさいいかづち。 いつものわるいくせがでてるだけです」

「へ? イケメンに釣られたのか?」

「そっちじゃなくて。 ……だいや、あなたいまはなにをさがしてるのですか」

「‥‥ラスちゃんです」

「ガミラス?」

「誰が銀河の彼方を目指してますか!」

「らぷらすですか」

「そうなんですよ! もう何km歩いたことか……幾つのタマゴを孵したことか……」

「あー、ゴメン、オレにも分かるように説明してくれないか?」

「ぽけもんごーですよ」

「……あー。」

「ピッピちゃんやヤドンちゃんはもう捕まえましたし、フリーザーちゃんはたぶんしばらく我慢した方がいいんでしょうけど……
ラプラスちゃんはちょくちょくジムにいるのを見かけるのに、うちには来てくれないんです……」

「すごくどうでもいいけどさ、オレらがスマートフォン持ってるの世界観的にいいの?」

「このために入手しました」

(契約がどうしたとかは聞かないほうがよさそうだな……)
0721創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/07/28(木) 01:41:24.84ID:SmvIXa8w
「あ」

「何?」

「ちょっと動かないで、いかづち」

「え、な、何」

「いいから……いい子だから……」

「え、何、ちょっと怖いんだけど」

「やりましたわ! ほら、ほらほら」

「え、何」

「ほらほら御覧なさいいかづち! ピカちゃんですよピカちゃん!」

「え、何ここにいたのピカチュウ!? っていうかなにこれ写真!? うわっ何これ! オレの頭にピカチュウ乗ってる! ピカチュウ!」

(ここのじーぴーえすがどうなってるのかということにはつっこまないでおきましょう)

「ふふ……いかづち、一緒にチームミスティックに頑張りませんか……?」

「どうみてもでんきたいぷのひとをかんゆうしないでください」

「え?」

「あ」

「え、何?」

「うふふふふにっしょく……? 私は『チームミスティック』としか言っていないのに、
 どうしてチームが三鳥モチーフで、でんきタイプのサンダーのチームもあるってわかったんですか……?」

「だ、だってりざーどんが……」
0722創る名無しに見る名無し
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2016/07/28(木) 01:42:35.88ID:SmvIXa8w
その後、てんきゅう宅のすぐ近くにジムがあることが判明し、
三人入り浸って鎬を削りあったとかなんとか
0724 ◆GAIA///6T.
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2016/09/08(木) 07:14:55.20ID:Vp33R3DC
 別になにか理由があってしなかったわけではない。
 強いて言うなら、するべき理由のほうが見当たらなかったのだ。

 ……で。
 「盆に帰らない」という選択は、なかなか暇を持て余す。
 煩く穿るように質問攻めに遭うのも、雑用を押し付けられるのも、まったくちっとも望むところではないが、あれでも退屈しのぎにはある程度貢献していたらしい。
 高校の時より長いのみならず、やらねばならないこともなく。アルバイトをするという手もあったのかもしれないが、まあ別に、仕送りのお陰で金に不自由もないし、やる意味が見出せない。
 ……やはり、帰っておくべきだったかもしれない。
 まあ、今更だ。それより今は、如何にしてこの、出来てしまった暇を潰すかを考えよう。
 大学の友人たちは、やはり帰省していたり、そもそも下宿をとる程度ではない遠方から電車で通学していたりで、要するに遊びに誘える奴がいない。
 となると、一人すさぶほか無いわけだが、ゲームセンターは耳が痛くなるのであまり好きでないし、一人でカラオケに行くのは質ではない。
 部屋に居てもなんとなく気が塞ぐのでとにかく外へ出てみたは良いが、行く当てがないのには弱る。
 DVDでも借りてこようかと思っても、それを観るには当然帰らなくてはならず、脱出が主目的である今その選択肢はありえない。
 自分はそんなに無趣味でもないつもりでいたが、幾つかの制限と咄嗟の状況では、案外なにも思いつかないようだ。
 ……結果的に、近所を散歩する形になっている。普段そんなこと考えもしなかったが、いざやってみると案外とおつな物かもしれない。
 惜しむらくは、何やら雲行きが怪しい。というか、全天雨雲に覆われている――傘くらい持って来るべきだったか――人影もほぼ見当たらない。
気が滅入るから外へ出てきたというのに、これでは益々憂鬱になる。いや、天気が悪かったから鬱屈していたのか? 今となってはわからないか。
 ブロック塀に身を預け、百円ライターで安タバコに火を点ける。以前銜え煙草で七歩歩いたら、見知らぬおばはんに豆殻で豆を炒るかのように詰られたのがトラウマになって、今では一服するのに身じろぎも出来やしない。
 いや、それは流石に大袈裟な表現だ。あと、慣用表現が不適切なのはわざとだ。
 ……自分のモノローグに自分で突っ込んでいたら世話はない。ええと、携帯灰皿は……尻ポケットか。

 傘を持ってこなくて良かった。先月買ったばかりだというのに、こんなの五秒で壊れる。
 龍の嘶くが如き颶風に身を攫われそうになりながら、天蓋を砕くが如き豪雨に身を曝されながら、やっとの思いで歯科医院の軒下、駐車場に用いられているらしいスペースに落ち着くことが出来た。どうやら休診日のようなので迷惑にはなるまい。
 天気予報を確認しておけばよかった、と思わないでもないが、新聞も取っていなければテレビもないため、普段わざわざ見ておく習慣がない。
そこで思い出したスマートフォンを取り出してみると、あられもなくしとどに濡れている。なんとなく怖いので乾くまで起動しないようにしよう。
 当てがなかったとはいえどこかには出掛けるつもりであったくせに財布を持っていなかったのは間抜けだが、こうなってみるとそれも幸いだったらしい。
ほかに持っていたのは家の鍵くらいで、むろんそんなものは濡れたとてどうということはない。
スマートフォンが壊れていないことを前提にすれば、被害は最小限で済んだことになる。

 篠突く槍の大音声は留まることを知らず、身動きがとれない以上、どうしたって暇ができる。スマートフォンは今触りたくないし、必定、どうしたことか難を切り抜けた煙草を吸って過ごすことになる。
 すると濡れた身体に霜を這わせたような心持ちがして、乾いた笑いが漏れた。

 濡れたズボンでコンクリートに腰を下ろすと尻の形が痕に残ってしまうのがなにやら疎ましくて、身動ぎをして妙な楕円形を作った。

 雨垂れが耳を穿つ。水滴が地面を叩く音がかくも大きいとは思わなかった。
 状況としては決して愉快ではないし、短期的な意味合いでは代わり映えのしない景色であるが、案外眺めていて退屈しないものだ。
 自動車が溜水を蹴立てて稜線を描き、トタン屋根にしがみつけなかった雨滴は軒下に水の壁を作る。
 ある種幻想的と見れないこともない。
 ……その情景の中に。

 ひとりの女性が飛び込んできた。
0725 ◆GAIA///6T.
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2016/09/08(木) 07:15:46.90ID:Vp33R3DC
 もともとさしたる都会でもなく、時が時だけに人通りなどまずない中に居るだけでも目を引くところが、なにか強烈な違和感があって、焦点が彼女に絞られる。
 気がつけば、彼女の腕を掴んで、屋根の下へ引っ張り込んでいた。
 自分でまったく意識した行動ではなかったので目をぱちくりさせていると、彼女は
「……ずいぶん強引なのね」と、無表情で幽鬼のような声で言うものだから、なんとも背筋が寒くなる。
 幽鬼のような、ということで、ようやくさっき感じた違和感に思い至ったが、彼女、これだけの雨風にもまったく動じた様子がなく、風にも煽られず雨にも纏われず、晴れの日と同じかのように歩いていたのだ。
 ……とはいえ、服はやはり濡鼠だし、雨風で体温が下がっているのか顔色もよくない。なにより、さっきちゃんと触れたのだから、幽霊である筈がない。
「こ、こんな嵐の中歩くこた無いだろ。弱まるまで待ったほうがいい」言い訳がまだだったことに気付いて、慌てて咄嗟に浮かんだことを捲し立てると、彼女は「……くすくす」と、微笑んだ。妙に凄味のある色気があって、豪くどぎまぎさせられる。
「……この雨も風も、待っていたって暫く止まないわよ。それに、これだけ濡れているのなら、歩き続けようが変わらないのではなくて?」
 薄い膜でも被っているかのように雨濡れをものともしないのに、そんなことを言いながら、しかし彼女は隣に腰を下ろして足を投げ出す。自分の行動が曲がりなりにも受容されたわけなので、何やら人心地ついたように思う。
 至近で眺めると、柔肌を雫の珠が滑り落ち、濡れたロングヘアーがうなじから肩や背中に張り付き、やはり確かに濡れて――肩や背中?
 ここまで気付かなかったのが信じられないが、この女、こんな天気にカクテルドレスなぞ着用している。白いグローブまで嵌めている。どう考えても濡らして良いような服じゃあない。いや、だからこそそんな服を着ているとは思いも寄らなかったのか?
 なんだか混乱してきたためか、気が付くとまた煙草を出して吸っていた。少々平静を取り戻して彼女に対する考察を続けようとすると、
「私にも一本くださるかしら?」と向こうから声をかけられた。
 僅かな逡巡の後彼女に渡して火をつけると、彼女は煙草の根元を二本指で挟んでキスをするように喫し、宙にドーナツ型を吐き出した。一挙に蓮っ葉な姐御に見えてくる。
 着ているドレスはやはり素人目にも安物ではなく、どころかこの世のものとは思えないほどで、当初は触れることも叶わない雲の上の人のようとしか思えないほどだったのに、今となってはしばしば顔を合わせるご近所さんのような心持もする。
この不合理性はいったい何なのだろうか。とはいえ、
「随分と安い煙草、吸ってらっしゃるのね」などと言われれば差し当たりむっとはするし、
「死んだ爺ちゃんが好きだったんだよ」くらい言い返したくなる。
「あら、じゃあ貴方は好きじゃないのね」などとくすくす笑われれば、
「……」と答えに窮する。
 アイデンティティについて自問自答をはじめようかというところになると、彼女はまたくすくす笑って、
「うそよ。冗談。心配は要らないわ、流されてるのでなければ、それで十分な理由よ」と言う。
 流されてるのでないか自分でわからないから厄介なのだが。
0726 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2016/09/08(木) 07:16:33.72ID:Vp33R3DC
 人を悩ますだけ悩ませておいて、彼女はまた正面を向いて、溜息と紫煙を吐き出した。どうやらむしろ、悩んでいるのは彼女の方らしい。
 本人には見せつけるつもりはないのだろうが、間近でそんな素振りをされると矢張り気になる。とはいえ、何だかんだ行きずりの相手に過ぎぬ彼女とでは、向こうから話し出さぬ限りでは相談に乗るわけにもいかない。
 なんとなしの昂揚感と手持ち無沙汰に包まれている。
 自らスマートフォンの使用を戒めた以上、時刻を確認することも出来ない。彼女は……いや、時計なんて持っていなさそうだ。
「台風の時ってさ」堪りかねて、益体もないことを口にした。
「なんだかわくわくしない?」
 そういうと、彼女はこっちを向いて、きょとんとした顔をする。
「……やっぱ普通女はそういうこと考えないのかな」なにか、彼女の一挙一動で自信を阻喪している気がする。
「……いえ、性別の問題ではないかと思うけど」
 彼女はずいと身をこちらに寄せてきて、思わずのけぞる。
「ちょっと、興味あるわ。どうして?」
「どう……って、なんでだろ。あんまり考えたことないな、そういえば」
 しばし首をひねって、
「うーん、あれかな、乗り物が好きな人なんかと同じなんじゃないのかな」
「というと?」
「まあ想像だけど、でかくてすごいエネルギーのあるものに憧れる感じなんじゃないかと思う。自分のちっぽけさを再認識させられるというか」
「自分が小さいと思ったら、気分が持ち上がるの?」
「自分が思ったより小さいってことは、世界が思ったより大きいってことじゃないの?」
「ふうん……」
 割と月並みなことしか言えていないと思うのだが、それでも彼女には新境地だったらしく、何やら反芻するように宙を見つめていた。

「必要なことと理解はしていてもね」
 脈絡はなかった。
「それが同時に被害……破壊……うんと、不利益を齎すとなると、なんだか後ろめたい気になるのよ」
 おそらく、彼女の悩みに関わることなのだろう。
「あのひとみたいに裏返してから不利益が生ずるような仕事だと、こういう気分とは無縁なんでしょうけどね」と言い、でもあれはあれで、何か悩みもあるのかもね、彼そういうの表に出さないタイプだし、と続ける。具体性を欠くので、何のことやらよくわからない。
「それとも単に個人の気質に依るのかしら。……いえ、それは因果関係が逆ね」
 口を挟む余地が無い。たぶん愚痴の類なので、ただ黙って聞いていたほうがいいのだろう。
「私のすぐあとに、だいたいふたりの娘の仕事があるの。そのふたり、タイプは全然違うんだけど、どちらもとっても元気なカワイイ娘でね。別に比べられることなんてないんだけど、私自身はやっぱり比べちゃうの。あの娘たちとは全然違うなあって」
 そりゃまああんたはキレイ系だし、と思ったが、そんな話でもなさそうだ。
「……雨で冷えたせいかと思ってたけど、その幽霊みたいな顔は素なの」あ。
「幽霊はひどいわねえ」
「いや、その、単に顔色が悪いって意味で」うっかり口を滑らせたが、彼女はくすくす笑っているので怒ってはいないようだ。まったくもう、肝が冷える。
「まあ、そう見えるかもね。言ったかと思うけど、時々気が塞いで迷走しちゃうの。お陰さまで、自分を取り戻せたわ」
「お陰さま、って、別になにもしてないと思うんだけど……」
「あら、そんなことないわよ?」そう言って又くすくす笑う。心なしか先程より色つやがよく見える。気が晴れたというのは本当らしい。
 彼女は立ち上がってちょっと伸びをすると、
「さ、そろそろ帰らなくちゃね。早くしないとあの娘がコロッケが冷めるって怒り出すわ」
「コロッケ?」
「私の仕事になると、たくさんコロッケを揚げる娘がいるのよ」
 なんだかようわからんが、人間関係は良好なようだ。
0727 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2016/09/08(木) 07:17:16.13ID:Vp33R3DC
「ごめんなさいね、長く引き止めちゃって」
「引き止めたのはこっちだったと思うけど……」
「そういうことじゃないのよ」
全くもって、よくわからない。
「あ、そうそう、もう一つお願いしていいかしら」
「はい?」
「これ」
「ああ」
 携帯灰皿の口を開けて、吸い殻を迎え入れた。
0728 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2016/09/08(木) 07:18:10.02ID:Vp33R3DC
「それじゃあ、色々とありがとう。ばいばい」
 そういって彼女が歩を進めて――って、いやいや、まだ雨も風も。
 思わず立ち上がったところで、彼女がもう、右にも、左にも、正面の道路のあちらにも、何処にもいないことに気づく。
 不思議と、不思議とは思わなかった。
 ああいやまた変なことを言った。つまりだ、彼女が霞のように消えてしまっても、それはごく当たり前のような気がした。
 彼女に感じた親近感と、現実感のなさを考えるに、彼女はきっと、吹き荒ぶ風と、濡れそぼつ雨のフィルターを介した時にだけ見える、精霊のようなものだったのだろう。

 ――台風一過。先程までの雨風がうそのように、太陽がぎらり。
 家へ帰る前に、もう一回りだけすることにして、歩きながら考える。
 そんな、朧な精霊を、果たして本当に見たのだったか? あれはちょっとした白昼夢ではなかったのだろうか?
 それを確かめるのは簡単だ。灰皿の中を覗いて、吸い殻の本数を検めればいい。一本吸った数より多ければ、それは精霊のぶんだ。
 でも、実行するのはよしておこう。こういうのは、夢か現か、曖昧なままにしておくのがいいように思う。
 ふと顔を上げると、虹がひらり。耳を澄ませば、遠雷がごろり。

 もうすぐ、夏も終わりだ。
0730創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/09/08(木) 20:51:35.43ID:2z7Drmq7
これはステキ
0732創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/09/13(火) 01:52:46.84ID:EEpB6tdF
>>724
素晴らしかった!
純文学のような前半のモノローグで引き込まれた
後半の「彼女」とのやり取りも微笑ましい

激しい雨の音と、そのあとの雲の切れ間が見えるような描写に、しみじみと「良いなぁ」と思ってしまった

乙でした!
0735 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2016/12/20(火) 20:36:01.16ID:rVEg+Gi0
「すーぱーにっしょくらんとかどうですか」
「どうって何がだよ」
0739創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/04/02(日) 21:34:12.14ID:vYGLgT1v
    /|.|ヽ
   ,《w||w》、
  ∩|´iノレル∩  たーのしー♪
.  j j l| ゚ ヮ゚ノ|i i
   ,⊂リ;Wjリつ
  ( (ノノ☆レヽ
    `~じソ~
0741システィアーナ ◆Angel/ffJ6
垢版 |
2017/04/03(月) 16:44:00.04ID:2V9C15SG
・・・パチン描きちゃん。見るからにダメで・・・、なんで生まれたかも分からないにっしょくたんスレを受け入れてくれて・・・、ここまで見守ってくれて・・・。
・・・ありがとう、げんきでね。

グシャ
074512.1
垢版 |
2017/04/06(木) 00:35:50.04ID:DXU/miU3
           \オマカセナノダー/
                   \アイヨー/
        /二二二二二二二)二二二二二)
        ||並並/並並||  /
        ||  /  ∧  || ∧   ___
        ||/  ∧, '   ̄ヽ  '´   ヽ
        ||――∧ !  .iノハ从〉|ミ.(((ル))リ〉
        ||  ∧ ∨ゝリ ゚ ‐゚ノリj .ii| ゚ヮ゚ノii
        ||―∧ ∨ r‐i つQO i つQO
        \ ∨―‐ L ト 、[三[三三三三三]
    キコキコ (◎))――‐ ヽJ (◎))====== ))


ばすてきなもの
  なのです
   ___        ___
   (  ☆ )    (  〇 )
  ∩|´iノレル∩  ∩ ノiノレル∩ なのです
.  j j l| ゚ ヮ゚ノ|i i  wi l| ゚ -゚ノ|w
   ,⊂リ;Wjリつ   ⊂リ;Wjリつ
  ( (ノノ☆レヽ   ./ノノ〇レヽ
    `~じソ~    ."`~じじ~´
0748 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2017/06/23(金) 02:14:54.75ID:i8J1cQYL
 忍者がいた。


 頭がどうかしたんじゃないかと思われるかもしれないが、自分でもそれを疑っているところだ。長時間霧の山中を彷徨し続けて、何か存在しない物が見えているんじゃないのか?
 そう思って目をこすってみたが、やはりそこには忍者がいた。
 いや、まあ、ふつう忍者は船の錨を逆さにしたような髪型はしていないと思われるが、それでも総合的に判断して、これは忍者だというのが妥当な線だと思う。
 暢気にそんなことを考えているのは、私のそんなに長くもない人生経験には忍者に対する適切なコミュニケーションの取り方の知識など望むべくもないし、そんなことよりかの忍者はものすごい目つきでこちらを睨んでいるのである。怖い。

 怖いことにはたいへんに怖いが、幸いにもと言うべきか、悪意とか殺意とか、そういうのまでは感じられない。しかし睨まれていることには変わりないわけで、
つまりもうちょっと怒らせてしまうとどうなってしまうかもわからないわけで、落ち着いて対処方法を考える必要がある気がするわけだ。

 さてではまず彼が何故怒っているのか特定するところから初めたいところだが、忍者の逆鱗がどこにあるのかなど知る由もない。
 考えられることとしては、――彼がホンモノの忍者であった場合――本来見られてはいけない姿を見られてしまったこと。
 そして、そうではない場合としては、人に隠れてコスプレに興じていたら、不意に見つかってしまったか。
 大雑把にはそのくらいしか思いつかず、そんな状況でやるべきことはと言えば、
「えっと、すみません。道に迷っちゃって」
 彼の恰好については何も気にしていないような態度を取ることくらいだ。
 私の乏しい演技力を惜しみなく発揮したところ、彼はつかつかと、いや、態度が毅然としていたのでそう表現したが、足音一つ立てずこちらに近寄ってきて、
「腕を出せ」
 とドスの利いた声でのたまった。
0749 ◆GAIA///6T.
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2017/06/23(金) 02:15:28.34ID:i8J1cQYL
「え?」
 怖いだのなんだのと思う前に、反射的に右腕を差し出すと
「逆だ」
 などと言われる。
 わけのわからぬまま左腕を掲げると、
「あれ、ありゃりゃ」
 服の袖、二の腕のあたりがすぱっと切れている。
 どこかの枝にでも引っ掛けたのか、いやそんなもので布がこうもばっさりいくものかいな、というかこの服結構気に入ってるのに、とまで思ったところで、服の下、二の腕のあたりもすぱっと切れていることに気がついた。
「え、何、何で」
 切れているのに気付かなかったのもそうだし、それでだらだら血が滴っているのに痛みもないということで、状況が掴めない。
 そこへ差し伸べた左腕を忍者がわっしと掴んで来たので混乱は更に加速した。
「動くな。血止めを塗る」
 見れば忍者はもう片方の手で平べったい罐の蓋を器用にくるくると開けて、口で手袋の紐を引いて外すと、小指でベージュの、なんかこう、スライムみたいなものを掬い取った。あ、軟膏か。
 抵抗する間もなく(別にその気もなかったが)忍者は手早く傷口に薬を塗ると、また同様の器用さで、蓋を引っ掛けていた中指だけで閉めた。
「血はすぐ止まるが傷口は塞がらん、しばらくは無暗に動かすな」
「……えと、すみません」
「謝るな」
「……ありがとうございます」
「礼を言うな」
 ……どうしろと。

「それでですね、」
「こっちへ来い」
「……え」
「帰りたいんだろう」
「……はあ、まあ」
「来い」
 まだどこから来たのかも言ってないのだが。
「どこから来ようがここから出るにはこちらへ行くのが一番早い」
 ……まだ、まだどこから来たのか言ってないとも言ってないのだが。
0750 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2017/06/23(金) 02:16:33.61ID:i8J1cQYL
 獣道、と言うよりか、この忍者が日常的に通っているだけと思えるような、ただの筋のようなところを通っている。
「たまにしか通らん」
 ……だから、何も言っていない。
「言わでもわかる」
 もうやだ。
 血はもう止まっている。

 どのくらい歩けばいいのだろう。
 いや、別にそう長い距離を辿っているわけではないのだが、何というか、気まずい。
 忍者相手にどう振る舞ったらいいのか、誰か知っているなら教えてほしい。
 沈黙が重苦しいが、忍者相手にどう話しかけたらいいのか、誰か知っているなら教えてほしい。
「教えてやる。黙ってろ」
 え。
「……聞こえまして?」
「口の中で呟いていてもな、人間にはそうはいかんだろうが、俺の耳にはしかと届く」
 むう。さすがは忍者、というべきか?
 ……って、あれ?
「……人間には……?」
「ほう、案外耳聡いな」
 忍者、振り返って、ギョロリと目をむいて笑う。
「俺は人間ではない」

 私が顔を引き攣らせて硬直すると、忍者はまた不機嫌な顔に戻って、元通り歩を進め始めた。
「取って食いやせん。無事に返してやるから心配するな」
 他にどうしようもないので、慌てて後を追い直す。
「……まったく、あの女、この頃まれびとが多いぞ。弛んでいるのではないか」
 何事か呟いている。
「……あのー。何かお気に障ることをしてしまったでしょうか」
「貴様のことは気に障っているが貴様の責任ではない。近頃“霧が薄い”という話だ」
「あの、霧が濃いから迷ったんだと思うんですけど……」
「貴様の基準ではそうなるだろうな」
 もう、訳がわからない。最初からずっとだ。
0751 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2017/06/23(金) 02:17:00.85ID:i8J1cQYL
 そうこうしている内に、石でできた注連縄が巻かれた苔むした傾いだ鳥居にたどり着いた。その先は小さな石洞になっていて、これはもう東京の雑誌ですら心霊スポットととして紹介されてること請け合いな感じの雰囲気である。これを一言で言うと、怖っ。
 石洞の最奥には微かに明かりが見え、あーこれは駄目です潜り抜けたら別の世界に出るやつです。神様がお客のお湯屋とかありそうだよ。
「この奥だ」
「いやいやいやいや、そりゃないでしょ。来る時絶対トンネルなんか通らなかったし。なんか異世界とか行っちゃいそう」
「……いいか、この先は確かにお前の世界だ。心配はいらん。ここではないが、お前は知らずの内に隧道を潜り抜けてしまったのだ」
「……」
「……別に、お前は死んではおらん。まだな」

「……何を」
「そもそも、山に入ろうという恰好ではないな」
「それは、まあ、急にぶらっと」
「急にぶらっと死ぬ気になったのか」
「……」
「先刻、貴様の責任ではないが気に障ると言ったな。嘘だ。阿呆なことを考えおって。極めて不愉快だ」
「それはその……まあ、なんというか。いやまあ、道に迷ったあたりではもう、その気なかったですけどね」
「物理的に迷って気の迷いが晴れたと。まあよい」
 笑うべきなのだろうか。

「それにしても、凄いですね忍者さん。なんでも分かっちゃう。一体何者ですか」
「言わなかったか?」

「俺は人間ではない」
 今度は屈託なく笑えた。
0752 ◆GAIA///6T.
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2017/06/23(金) 02:17:23.88ID:i8J1cQYL
 洞穴を覗き込む。矢張り相当深いようで、奥の光は、辛うじて外だということがわかるばかりで、勿論途中にも電灯はおろか明かりになるものは何もない。
「えっと、ここ抜けるんですか……?」
「帰りたくないのか?」
「いや、その……暗くて怖いんで」
「そうか」
 何で急にこっちの気持ちを読んでくれなくなるかな。忍者は仁王立ちを決め込んでおり、同道どころか自分はここを抜ける意思もないらしい。
 仕方ない、口に出して言おう。
「まったく不躾なお願いだとは思いますが……手を引くなりなんなり、向こうまで連れて行ってもらえはしないでしょうか」
 ここで忍者氏、はじめて困惑顔を見せる。
「む……」
「駄目ですか」
 忍者は首筋を掻きながらしばし天を仰いでいたが、
「ううむ、そうだな……よし、ではあれだ。不埒なことを考えた仕置ということでひとつ」
「え?」
 忍者は突然私の後ろに回り込み、それを追って回そうとした私の首に、軽い衝撃が
0753 ◆GAIA///6T.
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2017/06/23(金) 02:18:06.35ID:i8J1cQYL
 ふと気づくと、蒲団の中だった。するとあれは夢だったのだろうか。
「お目覚めですか」
 和服美人に声を掛けられた。えーと、夢の続き?
「……忍者さんの奥さん?」
 薄ぼんやりした頭のまま、そんな言葉が口から溢れると、
「あらまあ」とくすくす笑われる。
「本人が聞いたらさぞかし困るでしょうね」
 別の声がして、そちらを見ると、中学生くらいの女の子が針仕事をしている。あれ、どこかでみた服だなあ、と思っていると、それも道理、あれは私の服である。視線を下に向けると、えーとなんて言うんだろう、薄手の和服みたいなのを着ている。
「お洋服に付いていた血は綺麗に落とせました。穴は今、ダイヤさんが繕ってくださっています」
 ダイヤ?
「私はお洋服にはあまり明るくないので、丁度ダイヤさんが見えていて助かりました」
「てんきゅうさんが助かるとか思う必要はないんですよ。みんなあの忍者びゅんびゅん丸が悪いんです」
 とりあえず、あの忍者の本名でないことだけは分かる。
「びっくりしましたよ。てんきゅうさんとお茶をしてたら、突然現れて、しかも年頃の娘さんを俵で担いでるんですもの。私思わず、『どこから攫ってきたんですか!?』って叫んじゃいました」
 ダイヤ某がぷりぷり怒り、てんきゅうさんはまたくすくす笑う。私、随分ぞんざいな扱いをされていたらしい。
「誤解なさらないでくださいね。あの方はとても優しい方なので、ご婦人に対する振る舞い方に困って、つい裏返ってぶっきらぼうな感じになってしまうんです」
 小学生か。
「てんきゅうさん、ちょっと甘すぎると思います」
 ダイヤちゃんがじっとりとした目で言う。
「そうでなくてもびゅんびゅん丸はてんきゅうさんに甘え勝ちなのに」
 びゅんびゅん丸が気に入ってしまったのだろうか。
「今回だって、いくら手当をしたからって乙女の珠肌に傷なんか付けるし、気絶してるのを運ぶのにも抱え方というものがあるでしょうし、貴女を預けたらすぐどっか行っちゃうし」
 傷はあの忍者のせいではないと思うんだけど……
「ん……はい、出来ましたよ」
0754 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2017/06/23(金) 02:18:44.02ID:i8J1cQYL
 気絶から醒めたばかりでぼやけた頭の片隅に、お礼を言って辞去した記憶は確かにある。
 しかし、あの後きちんとお礼をしようと再度訪ねようにも、どうしても『てんきゅうさん』の家にたどり着けないのだ。
『確かこの辺』の、間違いなく見覚えのある家並の中に、しかし彼女の家は見つからず、生まれて初めて交番で道を尋ねた結果も空振りに終わった。
 夢ではないはずなんだけど。
 夢ではないはずなんだけど、あの日着ていたあの服は、血の跡なんかどこにもないし、それどころかすっぱり切れた穴を塞いだあとも見当たらない。ダイヤちゃんがよっぽど物凄い腕をしていたのだろうか。
 しかしそれでも、夢ではないのだ。何しろ私の二の腕には、まだあの穴が開いている。
 だけど、この傷も徐々に塞がってきていて――
 もしこの傷が全部癒えたら、そのあとは、一体何があの出来事を証明してくれるのだろうか。
 ――夢ではないはずなんだけどなあ。
0757創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/06/27(火) 23:56:59.12ID:C+3BAZZc
日常の中で出会う非日常……このシリーズいいなあ
かまいたちさん…確実にいい人なのに怖いよw
0759 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2017/07/08(土) 02:41:20.75ID:nXPxZTyY
霹靂が辟易している
0761創る名無しに見る名無し
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2017/07/23(日) 01:46:22.21ID:3r1sR6rB
ダイヤ「………はぁ…毎日暑いわ……。
………あら?」


ざわざわざわ…

にじ「う〜〜ん。しんきろうつよいなぁーっ!!
ねぇ、てんきゅーはどう!?」

てんきゅう「そうですね…。あまり思いつかないですが…
11月11日…とかどうでしょう…?」

一同『おぉーー…!!!!』
パチパチパチ…

いかづち「ぞろ目か…………やるな」

にじ「うん! うん! 11月11日って雨が降ってるみたいでてんきゅうっぽいね!
これはどう? しんきろう!」

てんきゅう「確かになかなかハイセンスな選択デスね。
しかし今一特別感が足りまセン。まだまだ私の方が強いデスヨ」

にじ「…くっそぉ〜〜!!! 誰かしんきろうに勝てるやつはいないのかぁーーっ!!!!!」
ダダーン!!

わいの… わいの…


ダイヤ「…ちょっと、なんなのよ…この謎の会話は」

たいふう「くすくす………『誕生日決闘(バースデイデュエル)』よ」
ドンッッ…!!!!!!!!

ダイヤ「…なによそれ! 全く分からないですわ!?」

たいふう「……あの子達…『自分達に人間のような誕生日があったら』って話題で各々好きな日を選んで盛り上がってたのよ…
(キャラクターとしてスレ内で生まれた日は別として)。
それが段々ヒートアップして………いつの間にか
『誰が一番強い誕生日か』を競いだしたのよ…」

ダイヤ「…いや……強い誕生日ってなんなんですの…」

たいふう「まぁ、その辺りは明確なルールがあるわけじゃないから……結構ふわふわしてるけど…
しんきろうが言ってたような『特別感のある誕生日』が強いみたいね」

ダイヤ「……全く……やることが毎度毎度突拍子も無くて子供っぽいですわね、あの子達は…。
…………で、しんきろうが選んだ誕生日はいつですの?」

たいふう「あの子は2月29日…閏日ね…。
数年に一度…現れては消える幻の日……蜃気楼のあの子には相応しい誕生日だと思うわ…。」

ダイヤ「なるほど……………―――強いわね…」――√ ̄
ギンッ…


たいふう「…………あなたもあの子達と同類よ…くすくす」
0762創る名無しに見る名無し
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2017/07/23(日) 01:47:48.86ID:3r1sR6rB
ダイヤ「あなた達また変な遊びしてるわね……混ぜなさい!」
ばばーん!

しんきろう「あっ、ダイヤ<3」

にじ「ダイヤ助けて!! しんきろうが倒せないよ!!!」

ダイヤ「今のところ決まった誕生日は誰かしら?」

にじ「今はまだしんきろうとてんきゅうだけだよう…。
しんきろうが強すぎていい誕生日が出てこないよ…」

ダイヤ「いかづち あなたの誕生日は決まってないの?」

いかづち「うーん…ちょっと思い付かないなぁ…。
やっぱ決めるならオレっぽい……“雷”っぽい日を選びたいだろ?
でも語呂合わせでも見た目『これだ!』ってのがなくて…」

ダイヤ「それなら何か、記念日に因んで選んだらどう? 雷の日とかないのかしら」

たいふう「くすくす………あるわよ…」

いかづち「まぢかよ!!! いつだ!?」

たいふう「6月26日………『雷記念日』になるらしいわよ…。
どういう由来かと言うと…

930年(延長8年)の6月26日、封ス安京の清涼殿bノ雷が落ちて、荘蜚[言の藤原清滑ムとかいう人が試んで、その他bノも数名の死者bセす出来事がbった日……らbオいわ」

いかづち「な…なんだよそのおどろおどろしい謂れは!!!!
こえーよ!!!! 記念にすんなっ!!!!!!!!」

にじ「でも強そうだね」

てんきゅう「物理的にダメージを与えてますからね…相当強い誕生日といえます。
これならしんきろうさんも…」

しんきろう「残念デース。次の閏年は2020年デース。
それまで物理ダメージは受けまセーン!!!」
ドン☆

いかづち「おいおいなんでもありかよ!!!!」

しんきろう「私を倒すなら日付のインパクトで上回るデース」

にじ「くっそー!!!!」

たいふう「くすくす……ちなみに…。
6月26日には他にも記念日があるみたい…。
6.26(ろ てん ふろ)で『露天風呂の日』…
あと『スティッチの日』って事にもなっているわ。」

にじ「……『雷記念日』……『露天風呂の日』……『スティッチの日』…………つまり」

しんきろう「6月26日はいかづちさんがスティッチのコスプレをしながら露天風呂に入って祟りの雷を地上に降らせる日という事デース!!!!!
来年に期待!!!!!!!!!!!!!!!!」
カッ!!

いかづち「期待すんなーッ!!! そんな日は来ねぇー!!!!!」
ズーン…!!!
0763創る名無しに見る名無し
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2017/07/23(日) 01:50:52.98ID:3r1sR6rB
にじ「あっぼく良い誕生日思い付いたよ!」

ダイヤ「あら? いつかしら?」

にじ「7月7日!!! 7月7日がぼくの誕生日!!!!
どう?」

いかづち「ほう……虹といえば7……か。……しかも七夕だ!!
これは強いんじゃないか?」

しんきろう「…ぐっ!! “宇宙規模”の誕生日を持って来ましたか…。
しかし私の誕生日も……言うなれば“時空規模”のレベル…!
これはほぼほぼイーブンというところデショウ」
ゴクリ…!

いかづち「なんか勝手に設定付け足して無理矢理引き分けに持ち込んだ!」
ぞーん!

ダイヤ「負けず嫌いね‥」

にじ「引き分けか〜〜……まぁいっか! じゃあ今のところはぼくとしんきろうのツートップってところだね。
他は? 他のみんなは?」

ダイヤ「…そうね…わたくしも誕生日を思い付いたのだけれど」

しんきろう「まぁ<3 ダイヤの誕生日が分かったら私、毎年プレゼントを差し上げマスヨ<3
プレゼントはもちろん……わ・た・し<3」
きゅぴ〜〜〜ん+

ダイヤ「発表するのやめようかしら」

いかづち「そんなこと言わずに教えてくれよ」

ダイヤ「………そうね…。私の誕生日は……ズバリ12月25日!!!!
わたくしという存在が最も輝いて誰の記憶にも残る素敵な日……そう!
ホワイトクリスマスですわ!!!」
ババンッ!!!!!

いかづち「お…おぉ!!!! クリスマス………世界の大イベントの日が誕生日か!!!!!」

てんきゅう「強い…というより美しいですね。特別感もありますし」

しんきろう「い、いや〜〜〜んっ<3 さすがダイヤ〜〜〜〜<3
これはインパクト強いデス〜〜〜〜!!!! これは負けちゃうカモ〜〜〜〜〜!!!!!!!」

にじ「待って!!!!!!!! 島根ではここ2年くらいクリスマスに雪なんて降ってないよ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ビッシ〜!!!!!!!!

ダイヤ「し…知らないわよ!!!! 島根県基準で考えてないわよ! なんで島根持ち出してくるのよ!!!!」
ズズーン!!

いかづち「……うぅーん…日付の特別感や本人との関連度合わせると…今のところダイヤが一番か?」

しんきろう「くやしいデス〜〜〜〜…けど、ダイヤに負けるなら…本望…<3」

ダイヤ「お…おほほほほ!!! 私が一番ですわ! 最強ですわ!!!!」
えへーん!!

たいふう「…あら…まだ私が居るわよ……くすくす」
ズズズズズズズ……
0764創る名無しに見る名無し
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2017/07/23(日) 01:52:04.85ID:3r1sR6rB
ダイヤ「たいふう………随分と自信がある風ね…。
正直あなたらしい誕生日は思い付かないのだけれど……わたくしに勝てるのかしら?」

たいふう「……くすくすくすくす……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

一同『…ゴクリ…!』

たいふう「……7月3日……。」

ダイヤ「!?」

いかづち「なんだ……普通の日じゃないか。」

たいふう「……7月24日……。」

にじ「…え?!」

ゴゴゴゴゴ……
たいふう「……7月26日………7月30日………8月4日………!!!!!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ…!!!!!!!!

しんきろう「!!? !!!!?」

オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙
たいふう「8月9日…!! 8月14日……!!! 8月18日………!!!! 8月19日…………!!!!!」

いかづち「お…おい!!!!!? どこまで出てくるだァーーーーー!!!!!?
それらが全てお前の誕生日だとでもいうのか、たいふう……………台風………ハッ!!!!!!!!」
ドンッ!!!!!

ダイヤ「…まさか?!」

たいふう「くすくすくすくすくすくす……そう。
台風の発生日は私の誕生日……。
ちなみに今のは2016年の台風のほんの前半…。
過去を遡れば私の誕生日はもっと増えつづけるわ……。記録にはクリスマスに発生した台風だってあるのよ…。
くすくす…このまま行けば私はいずれ週5のペースで祝われる『超越なる誕生神(パーフェクトゴッデスバース)』と成るでしょう…。
くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす………。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ…!!!!!!!!!!!!!!!!

ダイヤ「くッ…そんなっ!!!!!!!」

ガクガクガクガク…
いかづち「か…勝てねぇ……勝てねぇよ……。
こんな物量相手に……こっちは誕生日一つ……!!!!!!
勝てねぇ…!!!!!!!!」
ぽろぽろぽろぽろ…

てんきゅう「たいふうさんの誕生日が週5になったらプレゼント用意するのも大変ですわ。」

しんきろう「このままでは私たちの誕生日も全てたいふうさんに取り込まれてしまいマス!!!!
誰かたいふうさんを止める人はいないのデスかーーーーーーーーー!!!!」

ゴォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!!!!
0766創る名無しに見る名無し
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2017/07/23(日) 01:56:19.63ID:3r1sR6rB
にっしょく「なにをしているのです」チョーン

にじ「に…にっしょく!! 助けて!!!
たいふうが世界中の誕生日を奪い取ろうとしているの!
お願い……にっしょくの誕生日でたいふうを倒して!!!
にっしょく……にっしょくの誕生日は!?」

にっしょく「……………………

1月1日。」

カッ!!!!!!!!
たいふう「ABAAAAAAAAAAAAAAAAAーーーーーーーーー!!!!!」
じゅおアアアァッ!!!!!!

いかづち「た…たいふうが浄化されていく…! にっしょくの誕生日の大勝利だーーーーっ!!!!!」

ダイヤ「……! にっしょくは太陽そのものでもあるのだわ…!
そして…1月1日……元日といえば……初日の出…!
世界の全ての…一年の始まりの日……究極の誕生日…!!!!!
…間違いない……最強の誕生日は……にっしょくよッ!!!!!!!!」
ババババンッ!!!!!!!!

ドォーーーン!!!!
ぱっぱらぱぁぁぁーーーっ!!!!

ワーーーーーーーーーッッ!!!!!!!! キラキラキラキラキラ………

にっしょく「なにこれ」

にじ「にっしょくのおかげで世界の誕生日が救われたよー!!!!!」

いかづち「やっぱりにっしょくだな!」

にっしょく「……まったく……たんじょうび、たんじょうび、とさわいでいるとおもったら…。
あなたたちはたいせつなことをわすれているようですね。」

一同『…え?』

にっしょく「あなたたちのたんじょうびのまえに、きょうはなんのひか…
なんのたんじょうびか……おもいだすのです。」

ダイヤ「………あっ」
てんきゅう「あら」
いかづち「…はっ!」
にじ「…あー!!」
しんきろう「思い出しました!」

にっしょく「まったく。だいじなことなのです。おもいだしたら…みんなでおいわいしましょう…
せーのっ」


みんな『

【天候擬人化】にっしょくたん

8周年、おめでとーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
わーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ミ☆HAPPY BIRTHDAY☆彡
0768創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/07/23(日) 17:39:33.17ID:4pWy/dxj
乙ですー


        。 ◇◎, "´ ̄` 、 οo.
       。:゜ ◎:: ( 〃´)ヾ)☆。∂:o゜
       /。○。 Jjjリ †ヮ†ル O◇。☆
     /  ◎| ̄ ̄∪ ̄∪ ̄ ̄ ̄|:◎:
    /    ☆。|..Happy Birth Day!!.|☆
  ▼       。○..io.。◇.☆____| 。.:
∠▲―――――☆ :∂io☆ ゜◎∂:.
0771北総社員
垢版 |
2017/07/26(水) 21:06:35.89ID:K0519EM7
25歳看護師です、女性の友達がほしいのですが。暇の方連絡まってます。good-par.shiina@docomo.ne.jp千葉県八街市八街ほ973-13椎名 教泰043-442-1501、090-3202-8219
0772北総社員
垢版 |
2017/07/26(水) 21:17:07.28ID:K0519EM7
25歳看護師です、女性の友達がほしいのですが。暇の方連絡まってます。good-par.shiina@docomo.ne.jp千葉県八街市八街ほ973-13椎名 教泰043-442-1501、090-3202-8219
0773創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/12/27(水) 10:12:25.17ID:C1Z7QFDy
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

XCIA0786NS
0774創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/21(月) 08:54:34.39ID:tRZnwP6O
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

RM1O6
0775 ◆GAIA///6T.
垢版 |
2018/06/15(金) 20:56:44.29ID:7Q53qKp6
「よっしゃーっ! ぇげらおーぃ! ひゃらぇっふぉーーぅ!」

「……何をしてるんだダイヤは。ついに狂ったか」

「すまぶらにあいすくらいまーがふっかつしたのでてんしょんがげんかいをこえたのです」

「……ああ、だからいかづちが死んだ目で黒いコートを着て剣と本を弄んでいるのか」
0777創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/07/03(火) 18:13:52.55ID:f1dClnnX
KR7
0778創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/17(水) 20:11:56.48ID:ZU7x6aHX
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

2YY
0781創る名無しに見る名無し
垢版 |
2022/11/08(火) 17:59:27.91ID:CVgbifBf
今夜は怪奇月食ですね


    ___
   (  〇 )
  ∩ ノiノレル∩  じがちがうのです
  wi l| ゚ -゚ノ|w
   ⊂リ;Wjリつ
   ./ノノ〇レヽ
   "`~じじ~´
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