道場の裏山に登ると、あかあかとかがり火が焚かれており、その向こうに白装束に黒い袴で色とりどりの天狗のお面を着けた集団が見えた。
何やら秘密の行事のようで、恐る恐るものかげから覗いていたが、ワシはあまりにも空腹で思わず腹がグウと大きな音をたてて鳴ってしまい、「そこにいるのは誰だ!」と親分らしい眉毛のぐるぐるした人物に見つかってしまった。
オイほんまか?そんな時代劇みたいな展開は嘘くさいわ。しょうむない話やったら寝てまうど。
なんちゅう事を言うんや。せっかく人が忙しいなか話をしに来てやってるのに、話の途中で寝るやとか、ろくな大人にならんど!
おじいちゃん、寝たらアカンの?ぼくはろくな大人にならんの?
ヨータ、お前は寝たらエエんや。はよ寝なさい。これは話のなかの話のなかの話の高校生に言うてるんやさかいにな。