その当時、横置きエンジンFFに特有の振動やATの変速ショックに対する抜本的な対策として、上級車種には縦置きエンジンFFを採用することになりましたが、フロントオーバーハング(フロントタイヤより前)に重いエンジンを搭載するとフロントヘビーという問題に直面します。

同じ問題をかつての失敗作ホンダ 1300で経験していたホンダは、フロントヘビー解消のためフロントタイヤを前に出し、内側にエンジンを搭載するフロントミッドシップレイアウトを採用。これをFFミッドシップと称しました。

ただし、長いエンジンを縦置きするとエンジンルームが伸びて車室長を圧迫するため短いエンジンが必要で、V6のほかに新規に開発されたのが2リッターのG20Aと2.5リッターのG25A、2種類の直5です。

G20Aを搭載した初代インスパイアと兄弟車の3代目ビガーは1989年に登場しますが、フロントヘビー解消と引き換えに「フロントタイヤに十分な荷重がかからず、低ミュー路面の上り坂ではスリップやホイルスピンが多発」 という致命的な欠点を抱えていました。

FFミッドシップとともに5気筒エンジンも10年ほどで消滅