海外旅行の制限がなくなったのは1964年(昭和39年)
https://www.yomiuri.co.jp/column/chottomae/20210310-OYT8T50047/
編集委員 片山一弘(2021年3月)

第二次大戦前は、行政に届け出て海外旅行免状を受けた人だけが外国に出られた
戦後、独立を回復した後も、海外への渡航は公務員や商社マン、留学生などに限られていた

出国制限がなくなったのは1694年(昭和39年)4月1日。この日、日本は国際通貨基金(IMF)の八条国となった。

1964年3月12日の朝刊経済面に掲載された解説記事は、<八条国に移ることは、国際貿易の面で日本がようやく“戦後、過渡期”の段階に終止符を打つことである。(中略)これからは「外貨が足らないから」という理由では、輸入を制限できない>と説明している

つまり、海外旅行が制限されていた大きな理由の一つは、国全体で不足気味だった「外貨・ドルの流出を防ぐため」だった
個人旅行者が持ち出すドルが国家財政を左右する程度の経済力だったのかと思うと感慨深い
結局、海外旅行が解禁されても、当初は渡航者が持ち出せる外貨は年一回500ドルまでとの上限が設けられた

海外旅行が自由化した後も、観光収支が悪化すると外貨持ち出し制限論が再燃した

1968年(昭和43年)2月23日夕刊は<海外旅行自粛を 運輸相提案 外貨流出防止で>との見出しで、当時の中曽根運輸相が閣議で提案した内容を報じている<運輸相の提案の骨子は外貨流出防止のため(1)不要不急の海外旅行の自粛>と、見慣れた文言が目につく
制限する法的根拠がないので「自粛」を求める、という発想は今と変わらない

さらに1966年(昭和41年)1月1日以降はそれまでの「1人年間1回限り」という回数制限も撤廃され、1回500ドル以内であれば自由に海外旅行ができることとなった

日本は、1971年のニクソン・ショックまで1ドル=360円の固定相場制であったが、1973年から変動相場制に移行し、円が急騰した

現在、海外の銀行からの送金を日本の銀行の口座で受領する場合、又は日本から海外の銀行の口座への送金は、外為法第55条の規定により、送金額が3000万円相当額を超える場合に事後報告の必要があります


なお、アメリカは資産家の海外脱出を防ぐために「国籍離脱税・出国税」という制度を設けている