しかし、刺激による速筋繊維の反応速度が0.01〜0.05秒なのに対し、遅筋繊維は
0.1〜0.11秒と、僅か1000分の60〜90秒しか差がありません。この時間はまばたきも
できない差なので、いくら重りを素速く上げたとしても、思うように速筋繊維に刺激
を与えられているかというと、疑問が残ると言わざるをえません。
 それでは、確実に速筋繊維を鍛えるにはどうすればいいのでしょうか。
 筋肉は刺激(負荷)をかけると、最初は一部の筋繊維で支えていますが、回数を重
ねて一部の筋繊維で支えられなくなると、周囲の筋繊維を導入して支えようとします。
つまり、速筋繊維を鍛えるには、遅筋繊維を使い果たして速筋繊維が導入されるよう
にトレーニングをすればいい訳です。
 遅筋繊維は上半身で60〜90秒、下半身で120〜180秒の間、連続して負荷をかければ
力を使い果たされると言われています。
 同様に、速筋繊維は上半身で40〜50秒、下半身で60〜90秒負荷をかけると使い果た
されます。つまり、上半身で100〜140秒、下半身で180〜270秒間、連続した緊張を与
えることが速筋繊維まで使い果たす目安になります。
 スロートレーニングは、負荷をゆっくりとコントロールしながら行うため、クイック
リフトに比べて腱や靱帯への負担を軽減することができます。同時に、ゆっくり行うこ
とで遅筋繊維はもちろん、速筋繊維までも導入されるようにデザインされています。