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ざくざくアクターズ SSスレ [転載禁止]©2ch.net
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0260創る名無しに見る名無し
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2018/04/02(月) 22:34:27.26ID:MSZ5dTDb
声にならない声をあげる。
手の中にある果実から今までとは異なるマナの量を感じる。
特別多いわけではない、けれども、確かに他の果実よりも多く含んでいる。
興奮冷め切らない手つきで果実をアイテムポケットに収納していく。
アイテムポケット、この世界に普及している所謂道具袋である。
袋の中に召喚技術が応用されており、
実質無制限にアイテムを収納することが出来る。
口元がにやけるのを抑えきれない。
これがあれば今よりさらに効率よく鍛錬が積めるはず。
最近頭痛がひどい。睡眠時間を削りすぎだろうか。
マナの摂取は体調を整えるのにも使えるはずだ。期待しよう。
準備運動を終え、今日もあるはずの無い6本目の小指の感覚を探る。
途中で食べた果実はとても甘酸っぱかった。
0261創る名無しに見る名無し
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2018/04/02(月) 22:52:33.94ID:MSZ5dTDb
いつもより夜が更けた時間で村までの帰り道を歩く。
ほんの僅かではあるけども、体調の回復が早い事が実感できる。
果実のままでこれなのだ。煮詰めてジャムにすればさらに効果が期待できる。
残念ながら未だに小指は見つからない。
曲げる以前に無いものをどうやって曲げるというのか。
この考え方も私がそう思っただけなので、根本的に違うかもしれないけども。
それでも、一歩前進した。まだ、間に合うはずだ。
鬱蒼とした森を抜けて村に足を進める。
村の入り口まで近づいた時、やけに賑やかな事に気づく。
……こんな時間に?
その時、言葉で言い表せない何かが体を駆け抜けた。
同時に、私は今までの倦怠感も忘れて走り出した。
道中に何人かが私の名前を呼んだ気がしたけれども、
誰が呼んだかは覚えていない。
息も絶え絶えの状態でようやく家の前の人だかりに到達した時、
不意に耳に入った言葉で事態を理解する。
……母が亡くなったようだ。
0262創る名無しに見る名無し
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2018/04/02(月) 23:02:04.31ID:MSZ5dTDb
※ステータス更新
パッシブスキル
「薬の知識」削除
耐性
「毒・即死・疫病無効」削除
固有スキル
「怪しげな薬」「傷薬」削除
「マナジャム(偽)」取得ー対象の魔法を強化。(3ターン)さらにMPを微回復。TP35

後書
ローズマリー魔改造計画を発動。
残念ながら薬学は難しかったようです。
次も出来れば日曜日までに。
お目汚し大変失礼しました。
0263創る名無しに見る名無し
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2018/04/03(火) 23:07:03.56ID:84BfxDHY
無理はしないでね
気が早いかもだけど、完成したら渋とかにも上げてみるのは如何?
0266創る名無しに見る名無し
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2018/04/06(金) 19:43:27.62ID:5qodje8c
メリジューヌに敗北して、実験と称してシェイプシフター達にマナを吸い取られる女の子達のSS下さい
0267創る名無しに見る名無し
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2018/04/06(金) 23:14:15.74ID:k1J8+LcN
豚も煽てりゃ木に登る。
ヴォルちんが一生懸命木登りしてるのを下から支えてあげたい。
あわよくば事故でパンツだけずり下ろしたい。
この程度のssモドキなんかを渋にあげるなんて炎上不可避。
誰か加筆して修正して変わりに俺が作者だって上げてください(他力本願)

SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
ちょっと早く書きあがったので載せます。

『知力1のバラ』
3話:ノーコインのマリー

怒気を含んだ叫び声と探し回る足音が響く。
その音が近づく度により一層体を小さくして物陰に身を隠す。
震える体を抱きしめ、必死に息を抑える。
心臓の音が煩い。外に漏れないか気が気でない。
……どれくらい時間がたっただろう。ようやく辺りが静かになった。
ゆっくりと体を起こし、警戒しながら宿泊中の宿に向かう。
エントランスを抜け、自室に駆け込み鍵をかけた事を確認する。
汗を大量に吸い込んだ黒のローブを脱ぎ去りいつもの緑を纏う。
一刻の猶予も無い。すぐにこの町から脱出する。
さっと身支度を整える。逃げる準備はいつでも出来ている。
宿の出入り口から辺りを確認し、全速力で飛び出した。
運よく途中に誰に見つかるわけでもなく、町外れの草陰に身を潜める。
辺りを警戒しながら次に向かうべく町を思い浮かべていると、
お腹の音が思考を止めた。
……昨日から何も食べてないな。
私は鳴り止まぬお腹を押さえながら次の町を目指した。
0268創る名無しに見る名無し
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2018/04/06(金) 23:26:29.52ID:k1J8+LcN
生きるためにはお金が必要だ。
鳴り続けるお腹を押さえながら目的の場所を探す。
……母亡き後、父は新しい母を迎え、記憶の通りの家庭環境になった。
毎日が戦争だ。文字通りの環境に変な笑いがこみ上げたのは不謹慎だった。
ありったけの食料とお金をアイテムポケットに収納して家を飛び出した。
魔法は常に鍛錬し続けていたし、魔物討伐の依頼とかで
なんとかやっていけるだろうと楽観していた。
まぁ、そうだ。楽観していた。
一人で狩れる程度の魔物討伐で幾ら稼げる?
そんな依頼が毎日あると?
町中のゴミ箱を漁るようになるのに、そう時間はかからなかった。
こんな生活は長続きしない。
少なくとも、二人分は稼げるようにしなければならない。
何か、何かないかと町中を彷徨い続け、
私の足はある建物の前でぴたりと止まった。
夜更けにも関わらず、光満ち溢れ賑やかな建物。
私の体は誘い込まれるように中に入っていった。
0269創る名無しに見る名無し
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2018/04/06(金) 23:51:55.23ID:k1J8+LcN
最初にすることはトイレに入ることだ。
他に人がいないこと確認してから窓に注目する。
4件目のこのトイレは一人なら潜れるくらいの大きさに
格子がついているタイプだった。
……このタイプの金属なら魔法で溶かすことができるな。
脱出経路を確認した後、ようやく喧騒に混ざる準備が完了する。
カルタ・トランプ・ボードゲームを大人達が囲んで大騒ぎしている。
俗にいう賭博場。
慣れてしまった初めての賭博場の空気は何時も澱んでいる。
トイレに一番近い麻雀卓を確保して牌に手を伸ばす。
見たこともないようなひどい配牌でも顔色は変えない。
まぁ、どれほど良い配牌でも私の状況は変わらない。
……何時だって私の財布は空っぽだ。
ワンコインすら入っていない。必要ない。
最初に入った賭博場でボロ雑巾になった時に悟ったのだ。
場が進む。
最終局の4位、子である私の手配は既に裏目ってフリテンの状態だ。
関係ないね。リーチを宣言して牌曲げる。何を迷う必要がある?
最初から私は何も持ってやいないさ。
0270創る名無しに見る名無し
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2018/04/07(土) 00:16:12.61ID:ODNG1nLV
今日はツイてる。なんたって酒が美味いからな!
夜が始まってから随分膨らんだ財布の重みを感じながら対面の若造を飛ばす。
意気消沈しながら席を離れる若造を肴にしつつ、酒を流し込む。美味い。
次の酒をウェイトレスに注文していると、
対面に赤い汚れたローブを纏ったガキが座り込んだ。
声からして女だろうか?
帽子で顔は見えないが、痩せこけた細い腕が袖から覗く。
おいおい、迷子か?それとも男ばっかりで辟易していた俺へのサービスか?
サービスにしちゃ肉付きが足りねぇな。俺の好みはグラマラスな女だ。
もっと肉食え肉。あと酒だ。おい、注文した酒はまだか!
ったく、ここは昔からサービスが悪い。
注文した酒がいつまでたっても来ないことなんかザラだ。
いつもならここらでキレるんだが、今日は何分気分がいい。
見ろよこの手配をよ。
綺麗なもんだぜ、この状況ならアタリは分からんだろうよ。
それにしても、対面のガキは素人だな。
ほれ見ろ、リーチ一巡目からアタリの真横をきってくる奴があるか。
まぁ、社会勉強だ。最初に痛い目にあって帰りゃいい。
それより酒はまだか?
0271創る名無しに見る名無し
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2018/04/07(土) 00:32:46.36ID:ODNG1nLV
……なんやかんやで最後の局だ。
目の前のガキは危険なところを迷う気配すらなく捨てるくせしてアタリやがらねぇ。
アガリもしないから結局はベッタなんだけどよ。
運がいいのか悪いのか分からん奴だなおい。
もちろん俺は一位独走だ。今日はカミさんの土産が豪華になりそうだな。
気分良く最後もアガロウかと思ったところで、対面がリーチをかけやがった。
んん?河から見ても高そうな手に見えねぇんだがなぁ。
諦めちまったか。この点数差でそれじゃあしまらねぇな。
お、テンパっちまったか。しゃーねーな。
俺の華麗なアガリでも見せてやろうかなっと。
そうやって捨てようとした牌に手をかけた際にチラッと見えたんだな。
いや、見ちまったんだ。
ひでぇ顔だ。いくら上から塗りたくったって隠しきれない傷跡、それにクマ。
そして何よりあの目だ。
荒れくれどもが暴れることなんか多々ある事だし、俺だって腕に自信がある。
だけどよ、誰だってババは引きたくねぇ。
いつでもおいしいところだけ欲しいもんよ。
……つまりちょっと腰が浮いちまったのは仕方ねぇってこった。
さて、勝つ気があるってことは考えなきゃならねぇな。
パッと見てこいつは安全そうなんだが、これが罠か?
かといって他を捨てちまうとアガレなくなるんだが……
まぁ、振り込まなきゃ大丈夫だろうよ。

…………結局酒は来やがらねぇ。カミさんにも叱られるし散々だ。
0272創る名無しに見る名無し
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2018/04/07(土) 00:43:23.11ID:ODNG1nLV
※ステータス更新
キャラ説明:ローズマリー
家出少女。凡人なりに足掻き、処世術を得る。即死/クリティカル無効
常に寝不足と栄養失調のため、体力の最大値が低く、睡眠にとても弱い。

耐性
「即死・クリティカル無効」取得 100%
「睡眠にとても弱い」取得 -100%
パッシブスキル
「凡人の努力」取得ー全てを削って魔法に注ぎ込んだ結果得たもの。
炎技に+3%、魔法耐性を+3%、最大HP-10%

後書
ついに他人視点が混ざり始める。
栄光の一人目はモブのおっさん。ええんかそれで。
今回は調子よく書けたので明後日までにはもう1話出来れば。
お目汚し大変失礼しました。
0274創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/07(土) 21:22:11.65ID:oHNKC0lo
サイコーハイツのあれは薄い本だったらマリコ先生がボスと対峙した時に裏切って
スタンガンとか浴びせて主人公たち気絶させてたな
0275創る名無しに見る名無し
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2018/04/08(日) 13:56:53.55ID:oOajPcnv
水麗層の住人がメリジューヌがハグレ王国に倒されたのを知り発狂集団自決
スライム達が彼らを吸収し超パワーアップしハグレ王国を一蹴
一部の女性キャラがスライム達に取り込まれてしまうバッドエンド
0276創る名無しに見る名無し
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2018/04/09(月) 00:30:53.68ID:BVeEyf8O
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
ここが活発になるのは嬉しい事ですが、感想ではなくBadEndに盛り上がってるのは少し寂しい。そんな気持ち。皆さんエロに飢えてますね。僕もそうなの。

『知力1のバラ』
3話:天使とのやりとり

目の前にいるのは明らかに天使だった。
頭が、お腹が、耳が、目が、喉が、いたる箇所が悲鳴をあげる。
風景はぼやけてまともに見えず、耳鳴りと頭痛でまもとに聞こえず。
誰に襲い掛かったのか、それすらも分からず。
それでも、それでも。
「はんぶんこ、するでち」
ーーーーーーァア、ああっ。
たぶん慣れが必要なんだなって。
まともに見てはいけないし、聞いてはいけない。
私は何も無い人間だから。
どうしようもない人間だから。
生きるためならなんでもやった。
生きるのがこんなに難しいなんて、なんとかなるだろうなんて。
だって、だって、なんとかなってたじゃないか!
記憶では元気で、笑って、…………
そうか、そうだったんだ。
やっぱり、記憶の物語とは似て非なるセカイなんだ。
だから私には才能がないし、セカイは当たり前のように普通で、
目の前の子は天使なんだ。
……変な宗教にはまってるって?妄想だって?
皆だって墓参りや食事前の挨拶してるじゃないか。
そんな意味の無い無価値な行動より、目の前の存在は確かにホンモノだ。
まだ姿はぼやけてまともに見えやしない。
手渡された匂いもしないカチカチのパンを頬張る。
……アマイ、これだけが真実だ。
0277創る名無しに見る名無し
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2018/04/09(月) 01:09:51.93ID:BVeEyf8O
※誤字修正 3話→4話

異世界から召喚されたハグレという存在。
彼・彼女らはこの世界の住人より肉体的に強者だ。
どれくらい差があるかというと、
16歳と11歳が殴り合うと16歳が負けるくらい。
それくらい力の差は歴然としている。
デーリッチ。
私の前に現れてくれた、ハグレのあの子は私よりもはるかに強い。
得意魔法が回復魔法で、
攻撃魔法ではないということは彼女の本質をついてるといえる。
貧弱な私と彼女がチームで魔物討伐を行おうとすると、
自然と前列後列が決まる。
つまり私が後ろで、彼女が前だ。
討伐効率は確かによくなった。彼女がひきつけ、私が燃やす。
……こんなこと、あってはならない。
炎に耐性のあるモンスター相手に私たちは決め手に欠ける。
自らにヒールをかけ、
生傷を増やしながら巨大な魔物に殴りかかる彼女を必死に援護する。
私は安全だ。幼い彼女を盾にして。
討伐対象が動かなくなると彼女は笑顔で私に駆けよってくる。
お疲れ様、デーリッチ。
ハンカチで彼女に付いた魔物の返り血を丁寧に拭き取る。
ハンカチが赤く染まるのと対象に、私の手は真っ白なままだ。
胸糞が悪い。吐き気がする。
0278創る名無しに見る名無し
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2018/04/09(月) 01:21:01.78ID:BVeEyf8O
容量の決まっている箱にそれ以上のモノを詰め込もうとするにはどうすればいいのか。
当然、拡張するのもひとつの方法だ。
ただ、人間の才能を拡張するのは容易ではない。そうだろう?
だったらどうする?答えは一つだ。
……削り取る、だ。
不要な部分を削り取って隙間を作る。そこに入れ込む。
小指が見つかったって意味が無い。だって小指が入る手袋がないのだから。
これもいらない。あれもいらない。私には必要ない。
彼女の、あの子のためにならないモノは必要ない。
そうしたらほら、ここにあった。
私の六本目のコユビ。
削れた私の穴を埋めるようにすっぽりと収まる。
未だだ。未だ私はスタートラインに立っていない。
より削ろう。より捧げよう。
それがあの子の一歩になるのだから。
0279創る名無しに見る名無し
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2018/04/09(月) 01:43:19.85ID:BVeEyf8O
屋根と壁があるだけマシなような宿屋の寝床で、
今日も私は小声でヒールを唱え続ける。
私より早く起きて、私より遅く寝る彼女。
毎夜毎夜うなされている彼女が起きないように、少しでも安らかに眠れるように。
ローズマリー、デーリッチのこの世界の初めての友達。
ハグレとして召喚されてから誰も私をミテくれなかった。
期待されているレベルの戦力として使えず、知識も無いただの子供。
いきなり殴りかかられたことにはびっくりしたけれども、
目の前で泣きじゃくる彼女を見捨てることは出来なかった。
……内緒だけども、デーリッチより幼く見えたでち。
あの時から、彼女と一緒に行動を共にしている。
常に私を気にかけ、危ない行動にはやんわりと指摘してくれる。
それが何よりも私の世界に彩を与えてくれた。
ローズマリーのために、デーリッチも一肌脱がんといかん!
ローズマリーよりデーリッチのは頑丈でち。だから後ろはまかせるでち。
一人で魔物と戦っていた時よりも断然楽になった。
それも全部ローズマリーが一緒にいてくれるから。
……だからマリー、そんな悲しそうな顔しないで欲しいでち。
別に外傷があるわけではないから、
ヒールをかけたところで意味が無いかもしれないけども。
幾分顔色が良くなったことを確認して、もうちょっとだけとヒールを唱え続ける。
少しでも彼女が良い夢を見れるように。
0280創る名無しに見る名無し
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2018/04/09(月) 02:01:03.22ID:BVeEyf8O
※ステータス更新
念願のアイス系列を覚えた!やったね!

パッシブスキル
「凡人の努力」取得ー全てを削って魔法に注ぎ込んだ結果得たもの。
炎技に+6%、氷技に+6%、魔法耐性を+6%、最大HP-15%
固有スキル
「応急処置」取得ー味方小回復、状態異常、能力低下解除(速度補正+200)
対象がデーリッチの場合、このターン自身の防御/魔法防御2倍で庇う MP3%,TP20

後書
やっとデーリッチに出会えました。これで本編に突入できる。
マリーさんも原作と違って火力アップスキルもついてより使いやすくなりましたね。皆もマリーさんをもっと活用しよう!
次も出来れば日曜日までに。
お目汚し大変失礼しました。
0282創る名無しに見る名無し
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2018/04/09(月) 10:23:21.42ID:pn2fhR39
タワーの女神様の台詞をギャルゲーっぽく使ってみた

「最初から泡沫の夢! この世界のことは忘れるのです!」
→ここで「忘れたくない」を選択。目が覚めて外に出ると女神様と再会。
タワーの女神編ノーマルエンド『女神様との世界』

「落ちろっ! 壊れるまで落ち続けるのですっ……!」
→好感度が低くかつ女神様に冷たく当たると発生。タワーから永遠に女神様に突き落とされ続けます。
タワーの女神編バッドエンド『底無し奈落』

「偶然生まれた夏の陽炎! 何を気にかける必要があります!?」
→「女神様が何より心配」を選択。「ハグレ王国」との戦闘に勝利すること。アッチーナで女神様とデート。
タワーの女神編トゥルーエンド『私と貴方の夢』

「あなたは何かに追われている! いつも追われるのはあなた!」
→夢の世界から帰還後、常に誰かの視線を浴びながら生活を送り発狂し自殺する主人公。背後にはうっすら笑う女神様。
夢の女神編ノーマルエンド『最後に逃げた先』

「どうあがいても逃げられない! 逃げても必ず隣にいる!」
→日常を送るも常に側には女神様の姿が見える。常に耳元で狂気に満ちた愛の言葉を囁き続ける。振り払おうとしたら心臓に深々と包丁が突き立てられていた。
血まみれの主人公を膝枕して聖母のように微笑む女神様。
夢の女神編トゥルーエンド『永遠に夢の中で』
0283創る名無しに見る名無し
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2018/04/10(火) 23:28:11.42ID:YIfPApE4
実際に文章化してなく、あくまでも頭の中での仮構想レベルだが
ざくアクとらんダンのコラボイベントみたいなネタを少し。

AIアイちゃん、アナンタ式完全攻略本、シズナちゃん人形、ベネットさん人形を持っておりかつ
魔王タワー、水着イベントを全てクリアしていると宿屋イベント
マオが里帰りするとデーリッチに伝える。以前からだんじょん村のことを何度か教えてもらっていたデーリッチはだんじょん村に興味を示し
自分達も行ってみたいと話すとマオが快く了承。数日後次元の塔へ行きヘルパーさんと会話後に
メガちゃんこと女神オブダンジョンが現れてだんじょん村へ。
予めマオからハグレ王国来訪のことを知らされていたため村はマオの帰郷とハグレ王国の歓迎のため大盛り上がり。
アナンタハウスにてだんじょん村の住人と王国民の交流が始まる。
この最中でレックスが誤ってデーリッチ、ヅッチーにラッキースケベ的なことをしでかしてしまいイベント戦闘。

ボス:ドエロックス(勇者レックス)
ローズマリー、プリシラ、ゼニヤッタの3人による制裁。勝手に戦闘が始まり勝手に戦闘が終わる。
これによりハグレ王国民にも彼の名前がドエロックスと定着してしまう(一部のキャラは同情してくれるが)

ここでカナヅチ大妖精とジーナのイベントが発生。以後カナヅチ妖精の合成屋を利用可能となる。
また、マオがコノハのお墓参りをするイベントも発生しこの時ベネットから「狗鬼灯コノハ」を貰える。
ここではマオ専用装備として炎・雷・氷に超耐性が付きかつ炎+50%とらんだむダンジョンの時よりも強化されている。

ハグレ王国とだんじょん村の友好の証として交流試合を行おうという話になりメガちゃんから必要物資を集めて欲しいと依頼。
ここでアナンタ、シズナ、ベネット、アイの誰かに話しかけるとそのキャラにおいてのシナリオへ入る。
それぞれのキャラのシナリオで必ず同行するキャラを除いて編成は自由。シナリオ中もセーブポイントで
水着イベントのように途中で抜け出すことが可能。


続きは気が向いたら
0284創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/14(土) 14:21:49.51ID:oZxHuUEU
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
脳内の設定資料集もどきからssにする難しさよ。かっこいいタイトルだけ考えれたら満足できる。ちなみに今回のタイトルは微妙です。

『知力1のバラ』
5話:王国の一歩

「ここに私達の王国をつくるんでちーっ!」
小さな体に不釣合いな大きな鍵を振りかざして彼女はそう宣言した。
ようやく、ようやくだ。
一度王都に拠った際に買った地図を頼りに西へ西へと進み、
大陸の端っこにある例の遺跡に辿り着いたのが一ヶ月前。
拠点となる遺跡の清掃を行ったり、
この場所で拾ったキーオブパンドラの性能調査を行っていると、
あっという間に時間は過ぎていった。
キーオブパンドラーー召喚という技術革命の切欠となった元祖召喚士の鍵。
周囲のマナを集約することでマナの濃度差を意図的に発生させ、
座標を設定することで自らを他空間へ召喚、つまり転移することができる。
デーリッチの、いや、これから造るハグレ王国の象徴となるこの鍵は、
実は誰にでも使うことは可能だ。
転移先をイメージする力やもろもろの精密なマナ操作が必要ではある。
私も使ってみたが、だいぶん落ち着いて集中しなければうまくいかない。
やはり、デーリッチが常に持っているのが一番しっくりくるだろう。
この遺跡に訪れる前に調査しておいた周囲の情報を元に、地図に座標を書き込む。
王国の最初の一歩だ。目指すは、てこてこ山。
0285創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/14(土) 14:32:24.41ID:oZxHuUEU
いつだって最後はお金が全てだ。
お金さえあれば衣食住に困らず、人脈さえ築くことが出来る。
何より平等だ。
それがハグレの私であっても。
私の信条であり、おそらく死ぬまで、いや、死んでもきっと変わらない。
そんな私にとって貸し借りという概念は非常に重要なものになっている。
ちょっとしたミスで山賊に捕まりそうになった際に、
訳も分からず仲間として可笑しな二人組みに助けられた。
一人は能天気そうなお子様で、もう一人は何を考えてるかわからん寡黙な奴だ。
二人はハグレを集めた王国を作ろうとしているらしい。
誰にも迫害されない、ハグレのための国造り。
アホらしって思ったね。こりゃいつか搾取されて終わりだなっと。
巻き添えをくうのはごめんだが、助けられた借りがある。
まぁ、そろそろ近場でアコギな商売は限界そうだったし、
落ち着くまで宿代わりにさせてもらおっかなっとね。
0286創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/14(土) 14:50:25.03ID:oZxHuUEU
そうと決まると、次に行うのは情報収集だ。
いつだって勝者は情報を持ってる奴さ。
まずは実質権力を持ってそうな方に探りを入れてみる。
私も不思議に思ったもんさ。なんであんなお子様が国王なのかって。
「……私は、あの子のためにしか行動しない。あの子は皆のために行動するんだ。
 純粋に、心の底から。だから、あの子が国王にふさわしい。」
ーーーーーー。
そう語ったローズマリーの目を見て、私は言葉に詰まったね。
嘘。とっさにいつものような当たり障りのない事を喋ったね。
何を言ったか覚えてないけど。
雰囲気よく自然に離れたと思われる私は、先ほどの言葉を飲み込む。
ありゃあ、本気だねぇ。
見くびらないでくれよ?これでも相手の真意を見抜くのは得意なんだ。
つい先日までたった二人しかいなかった奴のセリフがこれよ。
そうなるともう一人のお子様も気になるってもんだ。
おーい、でこすけー。
「? なんでち? ハピコちゃん!」
おうおう、この何も考えてなさそうな顔。まぶしいね、思わず溶けちまうよ。
いやなに、姉御の事、教えて欲しいなーって。
「あねごって……ローズマリーの事でちよね?」
そう言うと、ちょっと想像してなかったくらい真剣な顔。
「ローズマリーは……ずっと、頑張ってるでち」
……んー、ちょっと聞きたかった答えと違う気が。
「デーリッチの見ていないところでも、ずっと、ずっと頑張ってるんでち」
………………。
「だから、デーリッチも一緒になって頑張れるんでち!」
…………ふーん。
0287創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/14(土) 15:16:03.82ID:oZxHuUEU
誘われた拠点で自慢の筋肉を振るう。
この程度の重さなど、俺様の筋肉の前には藁に等しいね。
それにしてもハグレの王国だって? ガハハハ、面白そうじゃねぇか。
石の塊を担ぎながら、俺はついさっきまでの出来事を振り返る。
ハグレとして鉱山に召喚された俺は、そのまま即戦力として石を掘らされた。
牛人として、ハグレとしても桁外れのパワーを持っていた俺は、
周りの連中より三倍以上は働いたはずだ。
なのに給料は他の連中の二分の一。ハグレだからだそうだ。
勝手に呼び出されて身よりも無い俺は、
生きるためにもその要求をのむしかなかった。
そのままかれこれ数年我慢し続けた俺様は褒められていいはずだ。
だが、ついに我慢の限界を超えた俺は反逆を企てた。
さすがに暴力に訴えるのは最後の手段だ。
ただでさえハグレの世間体は悪い。自ら首を絞めるのも考え物だ。
俺の賃金を搾取する連中がいなくなりゃいい。
今後も考えればこの鉱山を独り占めしたい。
そこで策を練ったわけだ。首無幽霊の噂。これだ。
ただの幽霊だとインパクトに欠けるなと思い、
首を無くすアレンジを施す名采配。
こんな恐怖の存在だったら人間共も恐れ慄くだろうな、と。
さすがの俺様の筋肉も幽霊には分が悪い。……別に俺は怖くねぇよ!?
効果は覿面。ちょっと噂を流しただけでさっさと逃げ出しやがった。
へ、ざまぁ見ろ。これでこの鉱山は俺のもんだ。
そんなこんなで今まで稼いできたわけだが、
最近掘れる石の質が悪くなってきやがった。
だいぶん稼がせてもらった鉱山だが、そろそろ潮時かなっと。
そんな事を考えているところにだ、ちびっこいのとひょろいのが俺の前に現れた。
ハグレ達が安全に暮らせるための王国。そのために力を貸して欲しいと。
0288創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/14(土) 15:51:27.13ID:oZxHuUEU
ちびっこいのから説明を受けた時は、さすがの俺も詐欺かと思ったぜ。
危ねぇ宗教はノーサンキューだからな。
体よく断ろうかと考えてたら、そっちにハピコのやろうがいやがんの。
あいつがいるってことは、ハズレじゃないんだろう。
あいつのそういうところだけは信頼出来る。
……そういうところだけだからな! 勘違いすんなよ!?
まぁそんなわけで、誘われるまま拠点とやらに一緒についてったわけだ。
拠点に着いた俺の最初の仕事は、通路を封鎖する崩れた瓦礫の撤去。
同じ石を運ぶにしてもよ。
これがハグレの国のためだと思うとちょっと心にくるもんがある。
そんな作業をこの三日間続けてたわけだが、
休憩中にハピコのやろうが一人ぶらついているのを見かけたから、
ちょっと聞いてみたのよ。
お前にしてはこんな夢のような話に飛びつくなんて珍しいじゃねぇの。
そしたら、少し考える仕草をした後こう言うわけよ。
「いやね、ちょっと賭けてみようって思ってね」
何にだよ。
「んー………………無限の愛に?」
お前に一番無いモノだな。
「あと安全に儲けれそうだったし」
それが本音じゃねぇか。
……難しいことは分からんが、こいつがいる間は問題ないだろ。
0289創る名無しに見る名無し
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2018/04/14(土) 15:57:19.01ID:oZxHuUEU
後書
原作と違い、マリーさんはあまり喋らず、ほとんどでち子が勧誘・説得等を行っている。
ここのでち子は間違いなく知力3倍はある。(なお)
さて、次はどこまで話が飛ぶかな。
次も出来れば日曜日までに。
お目汚し大変失礼しました。
0291創る名無しに見る名無し
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2018/04/21(土) 23:37:03.99ID:PuAYKCLd
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
今週は仕事が疲れました。地味に渋のssも増えてきている。燃料はある、頑張ろう。

『知力1のバラ』
6話:打算と駆け引き

どうして私はこんなにも無力なんだろう。
これでも他の誰よりも努力しているつもりだ。
1秒でも長く彼女の横に立ちたい、支えたい。
それだけを心の支えに必死になって鍛錬した。
例えそれが、外から見ればやっていないのと同じ様な努力だったとしても、
私からしてみれば常に全力だった。
なのに、それなのに。
どれだけ距離を縮めようとしても、その度にそれ以上の速さで遠ざかっていく。
先ほどの戦闘も、私は支援しか出来なかった。
彼女は圧倒的な強さだった。それでも、数の前についに負けてしまった。
もし、もし私も一緒になって戦えたのなら。
きっと、こんな結末にはならなかったのに。
「私をハグレ王国に、留学させてくれないか」
また一歩、私から遠ざかっていく。
そうだよね。貴女にとって私達の国は狭すぎるよね。
私、頑張るから。もっともっと私達の国を大きくするから。
ハグレ王国にも、帝都にも負けないくらい大きくするから。
だから、だからね。お願いだから。
いっしょにーーーー
「そんなの私がいなくたってどうにでもなるだろ。なぁ、プリシラ?」
0292創る名無しに見る名無し
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2018/04/21(土) 23:48:26.93ID:PuAYKCLd
ヅッチーも私も、今日はマナ温泉に泊まった。
昼間の奮闘に疲れたのか、既にヅッチーは布団の中。
今日でもう三回目になる蹴飛ばされた布団の位置を整えてあげる。
私は、止められなかった。
そもそも私なんかに彼女を止める権利なんてものは無い。
なんたって彼女は王女で、私はただの一国民に過ぎないのだから。
夜が更ける。
殺意が沸くくらい騒がしかったあの連中もいつの間にか静かになった。
一緒に寝ている彼女が起きないように寝床を抜け出し、
シノブさんから任されたマナ温泉で育てている果実の世話をする。
そこで会ったシノブさんとのやり取りを思い出しながら温泉宿に戻る。
曰く、十分期待する結果が得られたとのこと。
この果実を摂取しながら更なる鍛錬を積めば、
ヅッチーに匹敵する力を得れるかもしれない、と。
本当かな。こんな果実なんかで、私が、ヅッチーと……
「あの、お話、いいですか?」
ひゃ、ひゃい!?
思考の海に沈んでいた私は、マナ温泉の入り口に立っている人影に気づかなかった。
驚いて前に注目すると、例の連中の一味である緑のローブの人が立っていた。
0293創る名無しに見る名無し
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2018/04/22(日) 00:02:22.75ID:30InGalH
目の前の妖精は目線を泳がせながら落ち着き無く私と対峙している。
ただし、頼りない印象は今だけのもの。未来においては妖精王国の要。
妖精王国参謀、プリシラ。
妖精王国を僅か数ヶ月で帝都を、いや、
この大陸中のどこよりも資産を蓄えた大国に押し上げる経済の天才。
そして、将来的にハグレ王国と戦争に突入することになる。
原因はヅッチーの王国間での対応の些細なすれ違い。
怪我人はお互いでたものの、奇跡的に死者は出なかった。
でもそれは、あくまで記憶の中での話し。
実際にどのようになるかは、なってみないと分からない。
既に私が別物なのだから。
ならばこそ、戦争そのものを回避する。
「貿易……ですか」
月明かりに照らされたロビーのソファーに座って話を持ちかける。
記憶の中ではヅッチーを通して貿易網の構築を提案され、
ハグレ王国が費用を負担してその案を実施した。
私はあえてこちらから提案する。
未だ、プリシラは殻の中だ。
殻を破る前に、出来る限り主導権は握っておきたい。
妖精王国と共存は可能だ。ただし、同等ではない。
同じ大陸の端に縄張りを張る国同士、同じスピードで国が発展した場合。
いつの日か、間違いなく食い殺される。
0294創る名無しに見る名無し
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2018/04/22(日) 00:43:25.69ID:30InGalH
思いつく限りのメリットとデメリットを天秤に並べる。
少しの取りこぼしも無いように、慎重に答えを出さなければならない。
目の前の女に提案された貿易については、
”ヅッチーの留学宣言時から既に構想を練り始めていた”ことだ。
どうやって実施費用を押し付けるかの算段をしていたが、
まさかその向こうから提案してくるとはちょっと予想していなかったな。
チラリと視線を前に向ける。
………………?
一瞬だったが、何か説明出来ない違和感を確かに感じた。
緑の尖り帽子から覗く表情は、余りにも無表情で何も読み取れない。
実際に、この女の目的が分からない。
未だ弱小国家の妖精王国に一体何を求めている?
せっかく近くの国同士なのだから仲良くしようとか、
そんなありえない理由なんかどうでもいい。
何だ。どんな裏が……
「それと、これは別の頼みごとなんだけどね」
!? 来た、これが本命か!?
「ヅッチーがうちの王国に留学に来るよね。それについてなんだけど」
ヅッチーを人質にとった交渉だと!?
思わずカッとなって怒鳴りそうになったのを必死に抑える。
何を要求するつもりだ?
いや、そもそもヅッチーを交渉の材料に使うのは許せない。
私は席を立とうとした。
「私も留学させて欲しい……妖精王国に」
…………ええええええええええええ!!?
さすがに叫ばずにはいられなかった。
0295創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/22(日) 01:29:55.48ID:30InGalH
「ええええええええええええ!!?」
隣室からハグレ王国の王様の驚愕の声が響き渡った。
私もあんな声をあげたのかなぁと少しだけ恥ずかしくなったり、
部屋の壁の厚さをケチりすぎたかなぁと少しだけ反省したり、
やっぱり素敵だなぁと未だ寝ているヅッチーの頬をプニプニしながら癒されたり。
今日の昼過ぎにはハグレ王国へヅッチーは旅立ってしまう。
ヅッチーは寝苦しそうだけど、今日からしばらく会えなくなるのだ。
今のうちにヅチニウムを出来るだけ補給しておかなければならない。
彼女の上唇を軽くなぞりながら、私は昨日のやりとりを思い返す。
……結局私はあの人、ローズマリーの留学を受け入れた。
留学といってもヅッチーと違って長期的ではなく、
朝方に訪れては一泊した後、翌朝帰ったりといった形態になるらしい。
どうにもハグレ王国の財政を全て担っており、代わりが利かないようだ。
ヅッチーもそうすればいいのに。
彼女が蹴り飛ばした布団から覗くハリのあるお腹を軽く抓んで抗議する。
私はあの人に直接聞いた。何が目的ですか、と。
当初は断るつもりだった。得体の知れない奴を王国に含めるわけにはいかない。
その時だった。私と彼女の視線が確かに重なった。
「今の私では、王国を支えきれません」
……あぁ、なるほど、納得がいった。
「だからもっと、もっと、学ばなきゃいけないんです」
違和感の正体はこれだったんだ。いつも見てきた。彼女の目。
「私は、あの子を支えたい」
私と同じだ。
0296創る名無しに見る名無し
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2018/04/22(日) 01:33:45.29ID:30InGalH
後書
一章なんて無かった、イイネ?
ぶっちゃけ一章に大きなイベントって思いつかなかったのです。
そして話はプリシラ目線に。好きです、プリシラ。好き。
原作の知識を活かして先回り行動をするマリーさん。無双系転生主のテンプレだな!
次も出来れば日曜日までに。
お目汚し大変失礼しました。
0298創る名無しに見る名無し
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2018/04/27(金) 22:40:59.31ID:lVldZj2Z
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
渋にタワー女神のssが上がってた。まさかこちらで話題を挙げてた方でしょうか。感動しました。
一体どこで差がついたのか……慢心、環境の違い。

『知力1のバラ』
7話:変わった関係と消えない頭痛

全身の力を抜いて背中の岩にぐったりと寄りかかる。
肺の中の酸素をゆっくりと吐き出しながら空を見上げる。
雲一つ無い澄み切った満天の星空は圧巻の一言だ。
ゆっくりと右手を掲げ、手のひらを満月にかざして掴み取ろうと試しみる。
握った手のひらを開いてみたけど、残った水滴が零れ落ちただけだった。
なんだかなぁ。
自分でもよく分からない苦笑をした後、そのままゆっくりと目を閉じる。
風が草木を揺らす音と湧き出る温泉の音が鼓膜を打つ。
ここは妖精王国の秘湯、マナ温泉。
誰もが寝静まった頃に湯船に身を沈める。
豊かなマナを含む温泉に浸かる事で日中の疲れを癒す。
軽く頭が船を漕ぎ出した頃、脱衣所の入り口がカラカラと開いた音に意識を戻す。
ぺたぺたと足音が近づき掛け湯の音が響くと、彼女は私の横の空間に身を沈めた。
「そのまま寝ると溺れますよ?」
閉じていた目蓋を開いて横目にチラリと彼女を見る。
いつの間にか私より身長が伸びた彼女、プリシラと目が合う。
私より引き締まった体はもはや以前の貧弱な印象を感じさせない。
むしろ溢れ出る強い意志という雰囲気を纏った彼女に、
少しばかり惚れ惚れとしてしまう。
……胸はまだ勝ってるかな。
しょうもない感想を抱きながら、とりとめのない会話を続ける。
「それにしても、今回は大変でしたね」
彼女は手ぬぐいでタコを作りながら問いかける。
それを聞いて、私はついこの前の出来事を思い浮かべた。
トゲチーク山岳地帯の事を。
0299創る名無しに見る名無し
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2018/04/27(金) 22:44:17.63ID:lVldZj2Z
私の頭痛が止む日は無い。
毎日毎日、寝る時は自分のマナが空っぽだ。
マナの使いきりからくる、吐き気も頭痛も苛立ちも、
妖精王国から輸入しているマナジャムで幾分かマシになったほうだ。
重い体を引きずり自室の扉を開ける。
後はただ泥のように眠るだけだ。
同じベッドで寝ているデーリッチを起こさないように布団に潜る。
以前せっかくヅッチーが来たのだから、
子供同士同じ部屋で寝たらどうだいって提案したのだけど、
デーリッチは頑として首を縦に振らなかった。
ちょっと嬉しい反面、もっと他のメンバーにも興味を持って欲しいと思う。
その関わりがより君を成長させてくれるから。
妙に寝相のいい彼女の頭を優しく撫でながら明後日の依頼内容を思い浮かべる。
トゲチーク山岳地帯の魔物討伐依頼。
初めてローズマリーがマナ不足を理由に倒れる場所だ。
私も同じ様な事になるかもしれないが、記憶と違う点がある。
この時点で、私にはマナジャムがある。
明日は日課の鍛錬を取りやめて体調を整えればいい。
それに、マナが足りない事などもはや日常だ。
いつもの事だが、それでも失敗は許されない。
ふと、部屋に置いてある姿見を見る。
自分しか映っていないはずのそこには、頼りない出来損ないが映っている。
……頭が痛い。
ひとしきりデーリッチを堪能した後、私の意識はベッドに沈んだ。
0300創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/27(金) 22:46:55.20ID:lVldZj2Z
洞窟内の魔物を討伐するため、三方向から同時に攻め入り殲滅する。
当初の予定通り狼煙が上がった事を確認した私達のチームは、
満を持して洞窟に突入した。
想定ではさほど強くない魔物がいるだけだったのだが、
実際には見た事の無い歪な姿をした魔物が洞窟内に溢れかえっていた。
洞窟内に反響する戦闘音、怒号、悲鳴。
目の前の魔物を全力で焼き払い、息を整える。
「撤退だ! 余力のあるものは怪我人をカバーしろ!」
傭兵部隊の隊長であるジュリアが撤退を宣言する。
賛成だ。もはやこちらの部隊は壊滅しており、このまま応戦しても勝機は薄い。
私達ハグレ王国なら陣形を維持しながら撤退する事も十分できる!
光明が見えたと意気込んだ瞬間――
「マリー!? ローズマリー! しっかりするでち!!」
ふいにデーリッチの叫び声が耳に飛び込んだ。
驚いて振り向くと、口元から血を流したローズマリーをデーリッチが必死に支えている。
攻撃を受けたのか!? 横にいた仲間に目配せした後急いで二人に駆け寄る。
一番奮闘していたのは間違いなくマリーだった。
二種類の魔法はそれだけ有利に働いていた。
そのマリーが倒れるのは士気に関わる。側に駆け寄った私はデーリッチに経緯を求めた。
「マリーは本人のマナが少ないんでち! 魔物が溢れてるここじゃマナが足りないんでち!!」
マジか!? 私むっちゃ頼ってたじゃん!?
って驚いてる場合じゃない。そうだ、パンドラで転移しよう!
「無理なんでち! パンドラはマナを大量に使うから、ここじゃ使えないんでち!」
クッソ、駄目か。
この間にもだいぶ魔物に押されてきている。どうにかしなくちゃならんのに!
「エステルちゃん」
私を呼ぶデーリッチの声は、私が王国に来て初めて聞く声色だった。
「デーリッチがしんがりをやるでち」
…………は?
0301創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/27(金) 22:48:38.76ID:lVldZj2Z
「エステルちゃんはローズマリーを担いで出口に向かって欲しいでち」
言葉の意味を理解するのに苦労するとは思わなかった。
理解できたとたん、頭がカッとなって叫んだ。
ばっ、バカヤロー!! そんなの任せられる訳ないだろ!!?
あんた王様だろ! 自暴自棄になってんじゃねぇ!!!
どこの世界に王様をしんがりに配置する国があるだろうか。
日頃の私からして、だいぶ凄い形相で叫んだ方だと思う。
それでも、この子は冷静だった。
「ジュリア隊長は先陣を切って欲しいでち。 頼めるでちか?」
「……ああ、分かった」
そう言ってジュリアは陣形の組みなおしの指示を行い始めた。
迷いは一瞬だけで、行動は迅速だった。
「エステルちゃん」
私を呼ぶ声が聞こえる。
流れで居ついた王国だったけど、なんとなく分かったつもりでいたんだ。
でも、実は何も分かっちゃいなかった。
「デーリッチは頑丈だから、心配はいらないでち。 だから、ローズマリーを頼むでち」
目の前の小さな女の子は、間違いなく王様だったのだ。
王様が私に頼んでるんだ。私も決断する。
ああ、任せろ。
王様に支えられたローズマリーを肩に担ぐ。
軽いなおい。
これが人一人分の重さだろうか。
一体何食ったらこんなに軽くなるのか。私にも食わせろ。
「皆で生きて帰るでちよ! 絶対でち!!」
王様の掛け声で心も軽くなる。
さぁ、いつものように走りますか。
0302創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/27(金) 22:51:19.22ID:lVldZj2Z
「あの日からエステルが肉食え肉食えって煩いんだよねぇ」
あと人参も、と苦笑いしている彼女を見る。
あの日、文字通り飛んできたハグレ王国の話を聞いた私は、
はたまは文字通り彼女をマナ温泉にぶち込んだ。
それからしばらく療養したお蔭か、随分と顔色は戻ったし、軽口も出るようになった。
温泉に浸かって蕩けた顔をしている彼女を見ていると、
何故かだんだんと心がイラついてくる。
私はサッと立ち上がると、彼女の両手を取って縁の岩に押し倒した。
「………………え?」
彼女は呆けた顔で私を見上げる。
まるで想定していなかったのだろう、反応するのに5秒はかかった。
遅い、遅すぎる。
油断しすぎではないだろうか。
私達は同盟国だが、同じ国ではない。味方ではない。
今なお反応できていない彼女なら、すぐにでも殺す事が可能だ。
ここでなら、事故で処理する事もできる。
彼女の居ないハグレ王国は、もはや脅威ではない。
私達参謀は決して接近戦が仕事ではありません。
ですが、鍛えるのを疎かにしてはいけない。
細すぎる手首。
あの頃の私よりも細いのではないか?
私と日中は財政について学んだ後、毎夜魔法の鍛錬を行っている事は知っている。
それが自分のためではなく、誰のために身を削っているのかも知っている。
「……プリ、シラ?」
ようやく少しばかり読み取れるようになった彼女の瞳と、声色に混ざる感情は困惑。
どうやら彼女には命の危険が感じ取れないらしい。
………………キレましたね。
ちょうどいい、コイツはモルモットにしよう。
彼女にあることを告げ、私は脱衣所に向かう。
「えぇ!? マナ温泉の夜間使用禁止!? ちょ、ちょっと待ってよプリシラ!」
背後から非難の声が聞こえるが無視する。
私の頭の中は既に彼女の一日のスケジュールでいっぱいだ。
まずは食事の管理を徹底する。
この国にひと月の半分は在住しているというのに、
あんな体では私達が食わせてないと勘違いされてはたまらない。
妖精王国の威信に関わる。
次は睡眠改善だ。
楽しくなってきた私の口元は、いつの間にか弧を描いていた。
0303創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/27(金) 23:02:47.72ID:lVldZj2Z
※ステータス更新
「マナジャム(偽)」を削除して「マナジャム」取得
「マナジャム」―対象の魔法を2段階強化。(3ターン)さらにHPとMPを微回復。TP40

後書
プリマリは俺達の国家運営。
絶対に分からないであろう複線を撒けて満足した。回収できるかは不明。
トゲチークは原作では傭兵部隊が先走ったお蔭で敵戦力が一箇所に集中しているというメリットが生じている。
そのお蔭で戦闘ではなく、あくまで撤退戦が成立したと仮定。
本作は予定通り狼煙が上がったため全員で突撃した結果、
すぐに全滅にならず、すぐに撤退することも出来ず、
マナが枯渇する中延々と戦闘し続けたマリーさんの図。
いやー、ここのでち子が覚醒してなかったら誰か死んでましたね、よかったよかった。

次は月曜日までに。このSSはGW中に終わらせる。
お目汚し大変失礼しました。
0304クラマ君と福ちゃん
垢版 |
2018/04/27(金) 23:16:58.40ID:QQWOciWm
大明神「セクシーが足りない。こんなの午後四時閉店レベルですよ!やり直し!」
くらいの小話


「流石は鞍馬天狗、ですわ。見事な風ね」
「そりゃどーも」
 しくじった。完全に見誤った。
 海の町の祭りの熱気が届かないハグレ王国。その巨大銭湯。近隣住民の利用も多いここでの一人風呂は、金銭では得られない贅沢であった。
 それをしっかり堪能し、鼻歌交じりで出てきたクラマ。
(たまには牛乳でも飲んでみるか)
 風呂上りは冷たい和茶ガチ製の彼がそれだけ浮かれていたのである。だから、一瞬対応が遅れたのも仕方ないだろう。
「あらクラマ君」
 本当は回れ右したかったのだが、本能にまで染み込んだ彼女に鍛えられた下っ端根性がそれを許さなかった。

「どらいやーは便利ですけど……熱気が籠もるのが難点なのよね」
「はぁ、そっすか」
 ロビーに設けられた藤椅子にゆったりと脚を組んで腰掛け、後ろで仰ぐクラマに言うでもなく福ちゃんはゆったりと笑う。
 特濃牛乳と引き換えに十分扇ぐ約束をしてからすでに十五分経過している。追加のゼリーがあるとはいえ、神が一度交わした約束を違えるのはどうなのだろうか。
「うふふ、珍しく二人きりですもの。堪能したって罰は当たりませんわ」
 エルフ王国産の和茶(矛盾が酷いが事実だ)でしっとり濡れた唇がゆったりと弧を描き、同じ角度の目から艶やかな紅い眼差しがクラマを捉える。
「ポッコちゃんには悪いですけど、せっかくの機会ですからね。たっぷり楽しませてもらいますわぁ」
 ちらりと振り向いて上目遣いでクラマを射抜く。白い肌と浴衣、豊かな濡羽色の髪のなかで僅かな紅はそれは印象的で。
「これが続くんなら止めてもいいっすか? 違約金は水羊羹で勘弁してください」
「あらあら。怒っちゃ嫌ですよ〜……うふふ!」
 じっと一点を見つめたクラマがからかわれていると気づくまで、またしても時間をとられてしまうのも無理は無い話で。
 ぷいっとそっぽを向いても耳に届くのは変わらず楽しそうな調子。すっかり彼女のペースだ。
(そりゃ、俺がこの人を出し抜けるわけが無いんだが……)
『女性に、しかも年上を出し抜こうなんて……ダメだよ。考えるだけ無駄だよ……』
 境遇が似ている先輩のげんなりした顔と声が妙にリアルに蘇る。何ならあの晩交わした酒のほろ苦さだってありありと思い出せる。
 あちらが実姉と幼馴染、こちらは上司と差はあるが長い付き合いから得た哲学は寸分違わず合致した。
 道具屋は困ったような笑顔をしていたが、彼はまだ知らないのだ。いや、知る必要は無い。可愛がられる苦労もあるだろうが、こちらよりはずっといいはずだ。
「手が止まってますわよぉ?」
0305クラマ君と福ちゃん
垢版 |
2018/04/27(金) 23:33:39.20ID:QQWOciWm
「あ、すいませ……っ!?」
 思い出すうちに手が止まっていたようだ。
急いで再開しようとして顔を向けると、扇ぐ手が見えた。
 問題なのは襟ぐりを広げたせいで、辛うじて隠れていた鎖骨が露なこと。
パタパタ手を動かす先の、華奢で白い首の、意識もしなかった産毛が風と光を受けてキラキラとそよいでいる。
「火照ってきちゃったわ……もう、せっかく汗引いたのに」
 ふわり、とかすかな甘さを含んだ清潔感溢れる香りが鼻をくすぐる。
クラマの鼻の先を未だしっとりとした黒髪がすり抜けて、くるくると高いところで纏められた。
 見覚えのある珊瑚色のかんざしは、ポッコと買い物にいったとき持たされた荷物にあったもの。
袋の中にあったときは『この前のと何が違うんだ?』とため息を吐くだけだったそれが、艶やかな黒髪のなかで負けないくらいの輝きを放っている。
 そう、まるで彼女の瞳のように――
(って、何考えてんだ!)
「ちょっとクラマ君? バサバサしすぎないで下さいね?」
 慌てて気を取り直して、しかしまだ動揺が抜けず少々強めに扇いでしまったようだ。
福ちゃんの抗議に改めて息を整え、ゆっくりと風を送る。
(別に今更慌てるほどのモンじゃねーだろ……!)
 福ちゃんに限らず元々ハグレ王国の女性陣はレオタード、紅茶、ヘソだし、ミニスカート、透けスカート、そして今熱いのは水着と開放的な格好の者が非常に多い。
そしてそれは天界の女神たちにも言えることだった。職業柄、そうしないと威厳と人気が保てないらしい。女性は大変である。
『だからこそ普段鉄壁を誇るローズマリーさんやジュリア隊長の水着は尊いんです! 水着はすべて尊いですが!! ここ大事!!!』
 男飲み会に乱入してマッスル先輩と熱く頷きあった(野郎と握手はノーサンキューらしい)大明神の主張が超スピードで脳裏を駆け抜け、そして去っていく。
軌道修正が必要だった。
「はー。風が通り抜けるのは気持ちいいですわね〜」
「長いと大変っすね。俺は良くわかりませんが」
「いい男は女心をつぶさに読み取るものですのよ? そうすればクラマ君サイテー! なんて言われずに済みますわよ」
「名誉毀損!!!」
(……よし)
 からから笑う上司にひとまず反論して、ようやく息が落ち着く。
 そうだ、普段着からしたら今の格好など大人しい方なのだ。
いつもは出ている脚は浴衣の裾から覗く程度。
身体の線は薄く柔らかい布にやんわりと覆われていつもよりあやふや。
 そうだ、せいぜい強いて言うならば髪を上げたことでいつもは見えない項が――
「あ」
0306クラマ君と福ちゃん
垢版 |
2018/04/27(金) 23:35:04.92ID:QQWOciWm
 波立つ心を落ち着けるため、ばれないように足元から上がってきたクラマの視線がほっそりとした項に辿り着いたとき、それを見つけてしまった。
 纏め上げたときに漏れたのか、するりと落ちてしまったのか。
しっとりした一房が薄く首筋に絡み付いている。
『福の神様。ここ、髪の毛が』
 口に出したつもりだったが、それより早く手が動いてしまった。
 張り付いて気持ち悪いだろうと、純粋な気遣いで。
伸ばした指は髪と肌の間にすべりこみ、そして爪先がさっと肌をなぞると

「あひゃ」

 何とも気の抜けた声が上がり、ビクン! と大きく肩と椅子が揺れた。
その拍子に髪の房は首筋を離れ、クラマの指先を軽やかに滑っていく。
「……」
 ガタっと珍しく音を立てて立ち上がった福ちゃん。
クラマの指があたった箇所に手を当てて、呆然と目を見開いている。
(珍しい)
 いつもにっこりと弧を描くか、威圧感溢れる半眼が多いだけに、まん丸に見開かれた紅い瞳は実に印象的であった。
 何を言っていいかわからず黙っていたのは一瞬か数分か。
「ク、クラ……クラマく……ん」
 石になってしまったかと思うほど微動だにしなかった福ちゃんが、やっととばかりにたどたどしく言葉を紡ぐがまともに形にならない。
絞り出すように出した呼びかけで唇が閉じた瞬間、瞬きする間もなく白く透ける肌が茹蛸のように真っ赤に染まった。
「!?」
 頬を紅潮させ、真一文字に結んだ唇、だけでなくよくよく見ると微かに全身が小刻みに震えている。
いつも派閥の長として、そして福の神として悠然と構えている姿とは程遠い彼女の様子に、クラマは思わず手を伸ばし――
「……!」
 上げた指の動きで空気が動く。
彼の鼻先を甘やかな香りがくすぐり、そして湿り気を帯びた風は先ほどの髪の感触を思い起こさせるかの如く指先をするりと舐め上げた。
「あ、あ……」
 言葉も思考もまとまらない。
 尋常ではない様子にまずは謝りたいのだが、出てくるのは白い項から伸びて張り付く髪、指先から逃げる感触、甘く湿った香り。
 そしてとても楽しそうな『珍しく二人きりですもの』

「すっ! すまっせんデしたぁッ!!!」
 クラマの容量ではそこまでだった。固まりそうになる口を必死に動かして、転げるようにロビーを後にする。いや実際転んだ。
 それを気にする余裕もなく外に出ると、舗装された道ではなく草が生い茂るなかを突っ走る。
羽が低木にぶつかるが、気にする余裕があったらこんなことにはなってない。
「ああああああああ!!!!!」
 喉が張り裂けそうになるくらいの絶叫を上げながら、無意識に落ち着く高所――てこてこ山を目指してひたすら駆け抜ける。

 のちに『てこてこ山の烏天狗』なる怪談が出来上がることも今は知る由も無く。クラマは心身を駆け巡るわけのわからないエネルギーに

突き動かされるようにひたすら駆けていった。
0308創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/30(月) 23:45:35.30ID:b/BncYUW
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
今回のタイトルも微妙。もっとかっこいい韻の効いたタイトルを考えていきたい。

『知力1のバラ』
8話:たった1つの誤算

事の始まりは1枚の手紙。
エステル宛に届いたという手紙には、
ケモフサ村というハグレの村からゼロキャンペーンを行って欲しいとの依頼が記されていた。
帝都が発行している地図には記載されていない村からの手紙。
ゼロキャンペーンはもろもろの理由で現在行っていない。
断ろうか、という意見もでたが、
せっかくのハグレの輪を広げる機会だ、積極的に生かすべきだろう。
今行っている財政基盤の整理を完了させてから向かうとしよう。
そう結論付けて私とエステル、そして古代ゴーレムのブリギットの力を借りて書類を片付けにかかった。
……結局、妖精王国とは戦争にならなかった。
妖精王国で経営を手伝っている間は、他の妖精達にヅッチーの武勇伝を広めたり。
ヅッチーが帰る日はそれとなくお土産を持たせたり。
ハグレ王国の大掃除日と重なった妖精王国建国記念日を忘れずにリークしたり、と。
そのお蔭か、ヅッチーと妖精達の間での不和は、ほとんど最小限に抑えられた。
また、プリシラがやりすぎないように適度に緩和策を出したりと、
地域へのいざこざもなんとか抑えられている。
……私の案の穴をチクチク指摘するプリシラの嫌らしい事嫌らしい事。
最近妖精王国では、警備隊以外の夜間外出が禁止されてしまった。
なんでも近くに熊の大群が出没したとか。
あの日からプリシラの申し出で近接格闘の鍛錬をつけて貰っているが、
その代償が余りにも重い。
新商品のモニターだとかで、色々な食べ物を勝手に口の中に放り込んでくるのだが、
これが恥ずかしくてたまらない。
正直勘弁して欲しい。
プリシラから学んだ経済学は、ハグレ王国を運営する上でとても役に立った。
今まで私一人で行っていたが、なんとブリギットとエステルが手伝いを申し出てくれた。
私が妖精王国で学んでいる間は二人がサポートしてくれている。
早いところ書類仕事を終えてケモフサ村に向かおう!
新たな目標に決意すると同時に口の中に新たに放り込まれた何かを飲み込む。
……美味しい。
0309創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/04/30(月) 23:46:01.76ID:b/BncYUW
状況は間違いなく最悪だ。
目の前に化け物、後ろに狼だ。
ゼロキャンペーン実施可否の検討のため、
ケモフサ村の戦士、マーロウさんと一緒に魔物が湧いているという水晶洞窟の奥地へ移動したのだが、
果たしてそこには、行方不明になっていたシノブさんが待ち構えていた。
シノブさん曰く、この世界と別世界を自由に行き来出来るゲート、
相互ゲートを作る事でハグレを元の世界へ帰す、又は世界を選択する事でハグレという問題を解決したいらしい。
この世界に勝手に連れて来られたハグレ達にとっては、間違いなく朗報だろう。
これだけを聞くと、何が最悪の状況なのだろうと思うかもしれない。
シノブさんは私達にキーオブパンドラを要求してきた。
相互ゲートに必要なのではなく、私達に邪魔をされないために手元に置いておきたいと。
邪魔? ハグレが元の世界に帰れる可能性があるのなら、それを止める必要性は感じられない。
困惑している私の横から、デーリッチが一歩踏み出した。
「シノブちゃん。それは大きな問題を抱えてるでちね?」
大きな問題。それは一方的な召喚ではなく、相互に行き来出来るゲートだという事。
つまり、ハグレが帰るだけではなく、自由に向こうからやってこれるという事。
ハグレはこの世界の住人よりはるかに強い。
ハグレの差別が平然とまかり通るこの世界に、もしもハグレが大量になだれ込んでもしたら、
血気盛んな連中は間違いなく結託し、この世界に牙を向く。
ハグレの覇権を求めて。
0310創る名無しに見る名無し
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2018/04/30(月) 23:46:34.52ID:b/BncYUW
シノブさんと挟み込むように出口を塞いでいるマーロウさんも乗り気だ。
そう、彼は求めているのだ。
ハグレによる、ハグレのための戦争を。
確かにハグレという存在はこの世界の問題だ。
勝手に召喚し、安く使い倒し、後はほったらかし。
何かしらの手は打たなければなれない。
それが、そのためのハグレ王国なのだ。
彼女が、デーリッチが望んだ国こそが答えなんだ。
争いもしがらみも包み込んだ、ハグレが差別されない国。
最初は御伽噺に足を踏み入れるようなミーハーな気持ちだったのは否定しない。
それでも、彼女に出会って分かったのだ。
彼女こそが、この世界の鍵なのだと。
なんとしても生きてここから帰還しなければならない。
幸いシノブさんは傍観に徹するようだ。
それにしても、10年ほど前に起きたハグレ達が反旗を翻したハグレ戦争、
その戦争の生き残りだけあってマーロウさんは明らかに私達より格上だった。
キーオブパンドラさえ渡せば殺す気はないという。
しかし、これは渡せない。これは王国の象徴なのだ。
当然返してくれるという保障もないし、そもそも戦争を起こさせるつもりもない。
ただ、粘るのも時間の問題だ。どうすればいい、どうすれば……
応戦しながら考えが纏まらない私に、デーリッチが小声で呼びかける。
「ローズマリー。デーリッチに秘策があるでち」
0311創る名無しに見る名無し
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2018/04/30(月) 23:47:56.12ID:b/BncYUW
シノブちゃんの罠により、この場所のマナは極端に薄い。
マナを大量に使用してワープするキーオブパンドラはここでは使えない。
……と、シノブちゃん達は思っている。
実はさっきから試してるんでちが、ちょっと反応してるんでちよね〜。
全員で飛ぶ事は出来ないけども、一人くらいなら飛ばすことが出来そうでち。だから。
デーリッチが飛ぶ。
ワープ出来ないと思い込んでいる相手は驚いて、必ず隙が出来る。
その隙を突いてこの洞窟から脱出。
拠点に飛んだ後、仲間を引き連れて急いでここに戻ってくれば、
多勢に無勢、向こうも無茶は出来ないはず。
だから、ローズマリー、信じて待ってて欲しいでち!
「…………いや、駄目だ」
……っえ?
0312創る名無しに見る名無し
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2018/04/30(月) 23:48:17.12ID:b/BncYUW
どうしてでちか!?
「今のメンバーでは、回復役はデーリッチが頼りだ。万が一があった場合、危険すぎる」
ハッとなって今なお戦っている仲間を見渡す。
マッスル、エステルちゃん、ヅッチー、かなちゃん、そしてイリスちゃん。
みんなみんな頼れる仲間達。
だけど、確かにこのメンバーで回復役に徹せれるのは自分だけだ。
マッスル、かなちゃんが必死に盾になっている。
当然、無傷ではない。
今は均衡を保っているが、それもいつ崩れるか分からない。
だけど、このままじゃ……
「だからね、デーリッチ」
名案だと思った秘策を否定され、どうすべきかと悩んでいると、
帽子の影から真剣な目をしたローズマリーの顔が見える。
……おかしいでちね。何度も見てきた、ローズマリーの目。
「私が飛ぶ」
デーリッチはこの目がとても怖く感じる時があるでち。
0313創る名無しに見る名無し
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2018/04/30(月) 23:48:44.13ID:b/BncYUW
デーリッチが先陣を切って集合地点に向かう。
まったく頼もしい背中だよ。
あの混戦の中、マリーとデーリッチの二人で実施した奇策は、見事二人の虚をついた。
キーオブパンドラで転移するための必要なマナの量は転移させる人数に比例する。
そして転移できる範囲はある程度決まっている。
つまり、一人だけ転移しようとすると、一旦集団から離れないといけないのだ。
戦っているマーロウの意識は常にデーリッチに向いていた。おそらく、シノブも。
シノブのゼロキャンペーンを利用した作戦により、転移は封じられている。
それでももし、転移するならデーリッチしかいない。
シノブもまさかマリーが転移するとは思いもしなかったのだろう。
あの子の珍しい驚いた顔は、ちょっと他には思い出せない。
油断した二人の隙をついて、私達は洞窟から脱出した。
後はマリーが拠点に待機している王国民を連れてくるのを待つだけだ。
…………そう、待つだけだったはずなんだ。
空が青色から茜色に変わる頃、飛んできたハピコの言葉に愕然とする。
皆の帰りが遅いから、確認しに飛んで来ただけだと。ローズマリーには会っていない。
作戦は上手くいった。
ただ、たった一つの誤算があった。
その日、ローズマリーはついに見つからなかった。
0314創る名無しに見る名無し
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2018/04/30(月) 23:49:39.11ID:b/BncYUW
後書
※ステータス更新
「妖精王国の経済学」取得―王国会議時の出費額をデーリッチのレベル3乗から2乗に変更。

衝撃の事実。今まで王国の出費は原作よりひどかった。これは赤字ですわ。
あと、ここのマリーさんの原作知識は2章まで。
エステルさん独白は使いやすくて便利。さすが裏の主人公。
逆にデーリッチは”私”という単語が使えなくてつらい。
明後日までにはもう1話出来れば。
お目汚し大変失礼しました。
0315創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/01(火) 01:35:25.18ID:TmNYHN4V
異世界前にイリスチャン仲間にしててしゅごい
あれ仲間にできたっけ?こっちの世界だから?
0318創る名無しに見る名無し
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2018/05/02(水) 20:47:27.08ID:T/1kt0bJ
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
この物語ではハグレ王国は自転車操業ゆえ赤字回避のために次元の塔を回しまくっており、
推奨レベルより平均10くらい大きい。(裏設定)
ゆえにヘルパーさんも早めに階層を開放してます。(裏設ry)


『知力1のバラ』
9話:それぞれの思惑

魂が輝く時はどんな時か知ってるか?
……アーハン? そんな概念的な話は意味が無いだって?
そいつはユーの目がブラインドネスなだけデース。
もっと物事の本質を見ることをオススメするぜ。
魂が輝く時は二種類ある。
一つは、死に直面した時。
誰もが普段意識しない生にしがみつくその瞬間は、
高級な霜降り肉が炎に炙られ、無駄な油が滴り落ちる様を見せつけれらるが如く、
たまらなくオイシソウな瞬間デース。
……ジュルリ。
オット、冥王姫に相応しくない行為でシタ。
ユーは何も見ていない、オーケー?
だから、魂を頂く時は適度にイタメツケルのが調理のコツ。
この適度にっていうのがモーストインポータント、調理人の腕の見せ所になる。
絶望して生を諦めてしまった魂は、
焼き焦がして灰になった肉に等しくオイシクないデス……。
もう一つは、何かしらの信念に燃えてる奴。
瞬間的なオイシサは前者に劣るが、根本的な品質はこちらの方が上。
磨かれきった魂を適度にイタメテまるっと頂く。
この贅沢を一度覚えたら止められないネ。
0319創る名無しに見る名無し
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2018/05/02(水) 20:49:58.58ID:T/1kt0bJ
次元の塔でワタシを閉じ込めていた扉から入って来た連中は、
どいつもこいつも輝きに満ち溢れていた。
その中でも気になった魂が二つ。
小さな体に収まりきらない程大きく、そして眩しい輝きを放つ奴が一人。
この国のスモールキング。
そして、特に気になったもう一人。
歪な色をした、自ら燃やし尽くさんとばかり輝く者。
この国の裏のボス。ローズマリー。
今、彼女はこの国にいない。
なんでも転移に失敗したとかで、周りの連中は右往左往している。
人の生き死にに関してワタシとしてはどうでもいい事だが、今回ばかりは別だ。
あれほど輝いていたスモールキングの魂にも穢れが見えてきた。
これは非常に勿体無い。
早く彼女には戻ってきてもらわねばならない。
それに、魂もそうだが、彼女自身にも興味がある。
本来一つの魂には決められた色がある。
それは本人の気質からくる色であり、
当然生きているうちに人生の機転で気質が変わることもよくある話だ。
だが、ローズマリーのアレは何だ?
元々ある色をまるで侵食するかのような暗い色。
呪いか、果たして…………
長く生きてきたが、あのような魂は見たことが無い。
今後どんな形に変わるのか、どんな味がするのか。
……アレは必ず手元に置いておきたい。
長く生きる者にとって、退屈を紛らわすモノは永遠の課題だ。
契約で死後の魂を縛り付けてワタシのモノにしておきたい。
きっとワタシをタノシマセテくれる。
誰にも渡すつもりは無い。
0320創る名無しに見る名無し
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2018/05/02(水) 20:51:55.27ID:T/1kt0bJ
くたくたになった体をベッドに放り投げる。
小さな一人用ベッドの中央を陣取っているのに、いつもより広く感じてしまう。
いつも一緒に寝ている彼女がいないから。
ローズマリー、何処にいるでちか……。
近隣の村々の力も借りて、王国付近の街道はくまなく探索した。
明日はてこてこ山を山狩りする予定だ。
ここで見つからなければ、次はどうすればいいのか。
ローズマリー、ローズマリー。
ローズマリーと出会ってから、今までずっと一緒だった。
国の運営は常に厳しかったけど、デーリッチだけでは絶対にどうにもならなかった。
最近プリシラちゃんにこっそり教えてもらったのだけど、
ローズマリーが夜に魘される回数が増えてるらしい。
トゲチーク山岳地帯での出来事があったあたりからだそうだ。
あの時だって、ローズマリーが踏ん張ってくれたおかげで、王国民は死者が出なかったのに。
ローズマリーは自分が倒れた事をひどく悔やんでいた。
何かに取り付かれたように魔法の鍛錬をするローズマリーを止められない。
このまま続けていると、いつしか壊れてしまう。
どうしたら彼女を止められるだろう。
その時、部屋に置いてある姿見が目にとまった。
そういえば、ローズマリーは寝る前にいつも鏡を睨んでいた。
解決の糸口を探しに、疲れた体を起こして鏡の前まで歩く。
鏡にはだるそうにしているデーリッチが映っている。
何処にでもありそうな普通の姿見だ。
鏡に映る時計は既に明日になっている。もう寝なくては。
もう一度ベッドに倒れこみ、今度こそ眠りに落ちる。
ローズマリー、早く会いたいでち。
0321創る名無しに見る名無し
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2018/05/02(水) 20:53:58.62ID:T/1kt0bJ
ローズマリーさんが行方不明になってから二日たった。
今でもてこてこ山ではローラー作戦が実行されている。
近隣の村の住人にも協力を呼びかけて、あの子が陣頭指揮をとっている。
とてもすごい事だ。
ヅッチーにも王女としての血は流れているが、今の段階では比較にならない。
それほどのカリスマを感じさせる。ヅッチーにとってもいい刺激になるだろう。
刺激といえば、プリシラを筆頭に妖精王国も熱心に捜索に参加している。
彼女もハグレ王国から大きな刺激を与えられたのだろう。
ヅッチーが居た頃から実際に妖精王国を運営していたのは、プリシラと言っていい。
慢性的なマナ不足ゆえ戦闘は不得手だったが、
シノブさんという方から得たマナジャムによって、その才能も開花させた。
賭けだった。
妖精王国はヅッチーのカリスマから成り立っていた。
実際の運用には携わっていなかったとしても、必要な存在だった。
もし、何らかの理由でヅッチーがいなければ?
万が一ヅッチーに何かあれば?
一時は一致団結するだろうが、長くは持たない。
必ずどこかで崩れ始め、妖精王国は滅亡するだろう。
それはプリシラに限らず、全ての妖精達の内面の問題だ。
彼女らは根本的に臆病で、優しい存在なのだ。
頼りになる存在に依存し、甘え、全てを委ねる。
それでは駄目だ。自立しなければならない。
そんな折にきた、ハグレ王国の知らせは渡りに船だった。
ヅッチーから言い出さなければ、私が留学について誘導しただろう。
そうしてヅッチーを妖精王国から離れさせ、妖精達に自立を促す。
そして見事、妖精王国は生まれ変わった。
彼女らは自分達以外の存在を認め、受け入れ、協力し合うようになった。
私は彼女達を誇りに思う。
0322創る名無しに見る名無し
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2018/05/02(水) 20:56:47.17ID:T/1kt0bJ
予想していなかった事といえば、そのローズマリーさんについてだ。
まさかハグレ王国の立役者の一人である彼女が、逆に妖精王国に留学するとは。
結果的に言えば、これは妖精王国にとって多大なプラス要素だった。
なんでも積極的に妖精達の輪に入り、ヅッチーとの関係を取り持ってくれたようだ。
妖精達にとっても、外から来た彼女は興味の対象だっただろう。
私の調査では、妖精達の間で国から離れたヅッチーに対する懐疑的な感情は、
少なからず存在していた。
表には極力出さなかっただろう、プリシラにも似たような感情はあったはずだ。
放置していれば、何かしらの形で爆発していたかもしれない。
そこをローズマリーさんが上手く立ち回ってくれた。
妖精王国からハグレ王国への好感度は悪くない。
妖精達の中では、相当にローズマリーさんは受け入れられている。
……最初からそれが目的だったのだろうか。
起こるべき爆発を事前に解除し、取り入る。
私達の会合からここまで計算していたのであれば、一体どれだけ先が見えているのだろう。
警戒すべきプリシラも、どちらかといえば既に懐柔されている。
ローズマリーさんの人柄的にも、意図的に私達を害する事はないとは思うのだが……。
私達にとって毒となるか薬となるか、今は未だ判断出来ない。
今のところは薬となっている。それが続いてくれればいい。
せめて私だけでも判断を狂わされないように、見守り続けるしかない。
私は妖精達の神なのだから。
「デーリッチ!! デーリッチは何処!?」
思考に更けていると、扉を音を立てて開き飛び出したサービスピンクことエステルさんの姿が見えた。
確かエステルさんは地下に篭ってローズマリーさんの召喚を試しみていたはず。それでは……?
「見つけたわよ! マリーは異世界にいる!!」
やりましたか!
さすがはエステルさんだ。決してフレイムを打つだけの人ではないと信じていました。
願わくはセクシーイベントにももっと情熱を注いで欲しい。
いや、今回は横に置いておきましょう。
デーリッチさんとエステルさんが話し合っているのを横目に私は席を立つ。
目指すは拠点の地下。
行方不明のお姫様を助けに行きましょうかね。
0323創る名無しに見る名無し
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2018/05/02(水) 21:04:05.57ID:T/1kt0bJ
後書
イリスの台詞違和感しかないね。むずいこれはむずい。
気を抜けばデースマース口調で統一したくなる。
ヅッチー留学について、かなちゃんはこんな事を考えてるのではと妄想。
両王国で一番大人的立ち位置。そんなかなちゃんが好き。
この物語は11話で完結予定です。
明後日までにはもう1話出来れば。
お目汚し大変失礼しました。
0324創る名無しに見る名無し
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2018/05/03(木) 01:40:44.47ID:zRjy4DgE
イリスのセリフははむすた氏も難しいと言ってたな
自分みたいな鈍感は違和感とかないけど

無理しない程度に完結頑張って
0325創る名無しに見る名無し
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2018/05/05(土) 01:51:02.51ID:2WLYRG8k
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
イリスは完全に渋の影響ですね。えろいあれはえろい。
思考にふけるって耽るなんすね。これも渋で知った。ずっと更けるって書いてた。反省。


『知力1のバラ』
10話:ハグレのローズマリー

「ここは…………何処だ?」
目の前の埃の被った机を見て呆然と呟く。
この机も、あの椅子も、あっちの壁も、長く使われていなかったかのように痛んでいる。
ほんの数時間前、デーリッチと今日の依頼について話し合ったり、
エステルに肩を小突かれたり、イリスに無理やり飴玉を口にねじ込まれたり。
そんな、そんな場所。
――ここに人が生活しているような痕跡を感じられない。
クソッ!!!
苛立ちを抑えきれず、近くの椅子を思いっきり蹴り飛ばす。
私のような非力な人間の蹴りでさえも、地面に跳ねた椅子はバラバラに砕け散った。
一体何を間違えた? 座標がずれた? 何故だ?
基本的にキーオブパンドラはデーリッチが持っていたが、
別に彼女だけが使えるわけではない。
正確な座標の指定と本人のマナさえあれば、誰にだって使える。
私だって使った事はある。
だから、原因が分からない。ここは何処だ? 何が悪かったんだ?
考えても答えは出ない。分かってる。私は賢くない。
散乱した椅子だったものを尻目に、早足でこの場を後にする。
……こんな場所に長く居たら気が狂いそうだ。
0326創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/05(土) 01:52:41.72ID:2WLYRG8k
「緑の服を着た女性だよな。来たよ、うちに」
やった! 間違いなくマリーは近くにいる。
マリーが行方不明になって三日目、よく似た別の世界にいる事が分かった私達は、
シノブが考案した相互ゲートを再現してその世界に飛び込んだ。
ゲートは拠点近くの裏道と繋がっていた。
そこから拠点へと移動した私達を待っていたのは、
随分古くから整備されていないように見える廃墟となった拠点だった。
中に入ってみると、荒れた部屋の真ん中にある机の上に使い古された袋が置かれていた。
袋の中を確かめると、そこにはマリーの字で書かれた手紙が入っていた。
転移に失敗した事、南に向かい、冒険者として賃金を稼ごうと考えていること等々。
手紙を読んだ私達は急いで南に向かい、ユノッグ村の変わりに発展したサイフフ村に辿り着いた。
情報収集として入ったお店で聞き込みを行ったところ、そこの店主がマリーを昨日に見たという。
小物や食料等を購入していったそうだ。
その後の行方を知らないという。
この世界の地図を買って店を出ようとした際に、
さらに思い出したよ、と店主が店の奥から取り出したのは見慣れた帽子。
焼け跡や擦り傷だらけのくすんだ帽子。
マリーの帽子だった。
0327創る名無しに見る名無し
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2018/05/05(土) 01:54:21.20ID:2WLYRG8k
一陣の風が私の髪をなびかせる。
いつもとは違う風の感触に思わず顔をしかめる。
普段身につけていた物が無いというのは、ここまで心細くなるものか。
乱れた髪を手ぐしで整えながら歩き続ける。
仕方がない、他に何も売るものが無かったのだ。
プリシラから財政を学んだとしても、その効果が及ぶのはずっと先。
私自身、必要最小限以外は全て国庫に変換している。
もしかしなくても、デーリッチの財布の方が重いんじゃないかな。
空っぽの財布を意味もなく握って、私の前を歩く二人についていく。
一人は軽い身のこなしを活かした短剣使いの男、もう一人はバフで支援する踊り子の女。
冒険者組合という冒険者用の仕事斡旋所があり、その建物の前で出会った冒険者の二人だ。
この世界でもハグレは冷遇されている。
ハグレと冒険者のいざこざを避けるため、冒険者組合はハグレと冒険者のマッチングを行わない。
どうしたものかと考えていたところ、目の前の二人がチームに誘ってくれたのだ。
ある依頼をクリアするためだけの短期的な即席チーム。
依頼の内容は、てこてこ山の山頂付近に住み着いたスカイドラゴンの討伐、
ではなく、その近くの丘に群生しているスカイリリーという植物の採取だそうだ。
わざわざ植物の採取ごときに、公に認められていないハグレと組む理由は?
何事もオイシイだけの話は無い。それだけの事だ。
0328創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/05(土) 01:55:31.34ID:2WLYRG8k
成程な、そういうオチか。
てこてこ山の山頂付近、スカイドラゴンが遠目に見える位置に辿り着いた私達だが、
そこで男からある提案を持ち掛けられた。
スカイドラゴンをひきつける囮役を一人、
スカイリリーの採取役二人の二手に分かれよう、と。
一番出目が小さかった奴が囮役でどうだ、
っと懐からサイコロを取り出す男を見てピンときたね。
つまりハグレは捨て駒なわけだ。
公平だ安全だとのたまっている男に気づかれないように、小さく溜息を零す。
……私でよかった。
仮に私の立場がデーリッチだったら、間違いなく気づかないだろう。
いや、むしろ自分から囮役を買って出るに違いない。
あの子は他人を信じすぎる。
マントの内側で二人に気づかれないようにアイテムポケットを探りながら、男に提案する。
まずは女性から引かせてくれないか?
最初は彼女から、次に私、最後に貴方だ。
レディーファースト、いいだろう?
0329創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/05(土) 01:57:25.43ID:2WLYRG8k
男は怪訝な顔をしたが、反対理由が思いつかないのか、それでいいぜと答えた。
まずは女が振る。出目は五。六固定というわけではなさそうでほっとした。
男が賽を取り、私に手渡しする。
私は賽を受け取り、袖に隠していた私の賽とすり換える。
賽を振る。出目は五。上出来だ。
賽を彼の物に戻し、驚愕した二人に対して何食わぬ顔で男に賽を返す。
なに、五か六を出せばいいだけじゃないか。ほら、早く振りな。
男が緊張した顔で賽を振る。出目は……四。
ふん。
それでは予定通りに、と男が何か言い出す前に女の手を取って丘に向かう。
私は賭けに勝ったのだ――――
――ドンッ!!
………………えっ?
背中から急な衝撃を受けて倒れてしまう。
呼吸が苦しい。それに、背中がアツイ――
なんとか顔を持ち上げると、血の滴った短刀を持った男が鬼の形相でこちらを見ていた。
……あぁ。
「クソが! ハメやがってよ、ハグレの分際で!!」
失敗した。
ごめん、デーリッチ。
きっと君なら、こうはならなかったはずだろうね。
きっと、ローズマリーなら、こうはならなかったよね。
涙で男の輪郭がぼやける。何を言っているか聞き取れない。
ごめん、ごめんよ、デーリッチ。
私は、ワタシハ。
ローズマリーニハ、ナレナカッタヨ。
0330創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/05(土) 01:58:43.68ID:2WLYRG8k
後書
物語は急転換する。ちょっと詰めすぎたかもしれない。
演出が下手だなぁ、もっと上手に書けたらよかったのに。
予定通り、次で一旦物語は完結予定。
次も急展開ですが温かい気持ちで迎えていただければ。
明後日までにはもう1話出来れば。
お目汚し大変失礼しました。
0332創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/07(月) 00:21:37.00ID:5/AMJr+V
SSは初心者ですが、脳内に思い浮かんだものをつらつらと書いていきます。
ラストです。駆け抜けましたが、飲み込んでいただけると幸いです。

『知力1のバラ』
11話:異世界に咲く薔薇

「何もあそこまでする事なかったじゃない!」
ッチ! だから情を移すなって言ってたのによ。これだから女って生き物は。
身元不明のはぐれなんて所詮使い捨てよ。
ハグレが一人死のうが二人死のうが、誰も見向きもしねぇ。
ハグレなんてな、死んで当然なんだよ!
逆に褒められてもいい筈だ。世界に迷惑をかけるゴミを処分してやったんだからな。
お前だって、ハグレに散々迷惑かけられてきたんだろ?
「そ、それは……」
それに、気にしたってどうにもならねぇよ。
どうせ今頃、血の臭いに気づいたスカイドラゴンに食われて証拠も残らねぇからよ。
とりあえず、さっさとこの場をずらかろ「見つけたわよ! あんた達!」 !!?
声のした方を振り向くと、ピンク髪の女が掴み掛からんとする勢いで俺達に詰め寄ってきた。
その後ろにも知らない連中がぞろぞろと。な、なんだ?
「ローズマリーは何処! なんで一緒に居ないの!?」
その言葉に内心飛び上がった。馬鹿な、ハグレじゃなかったのか!?
この人数はまずい。何か言い訳を……!
「あの人は向こうで怪我をしてます! 早く手当しないと手遅れに!」
馬鹿!? なんでバラす!!
俺が口を塞ごうと動き出す前に、ピンク髪が俺の胸倉を掴み上げやがった。
「なんで怪我人を放置した!? まさか、あんた達……っあ!」
ピンク髪が驚愕すると同時に、小さな影が俺達の横を駆け抜けていった。
「デーリッチ! ……クソ!! 覚えてなさいよ、絶対許さないから!!」
そう言って俺を突き飛ばした後、小さな影を追って連中は走っていった。
0333創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/07(月) 00:23:17.93ID:5/AMJr+V
…………助かったのか。
っは、馬鹿共が。どうせあの傷だ。助かりゃしねぇよ。
お前らも揃ってドラゴンの餌にでもなるんだな!
おい、いつまで呆けてんだ! 逃げるぞ!
微動だにしない女の手を取って逃げ出そうとする……が、
自分の意思と異なり足がまったく動かない。
足元を見ると、すぐに動けない理由が分かった。
……足が凍っていた。
「クエスチョン、地獄耳って知ってるカ?」
気温が急激に冷え込み、自身の口から漏れる息が白く染まる。
気づけば、辺り一面の草木が凍りついている。
「地獄のような遠い場所からでも罪人の言葉が聞き分けれるくらい、よく聞こえる耳だそうですよ?」
動けない体を必死に動かして前を向く。
心臓が凍った手で握られたかのようにツメタクテイタイ。
「ベリーイージー? オーケイ、ネクストクイズはベリーハード………………心して聞けヨ」







「悪魔は何処に住んでるか知ってるカ?」
0334創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/07(月) 00:25:24.29ID:5/AMJr+V
最初に感じたのは暖かさ。
背中を中心に、お湯に使ってるかのような温もりを感じる。
次に感じたのは手の感触。
小さな手が私の手を力強く握っている。
「――――リー、ロ――マ―!」
声、声が聞こえる。何度も、何度も聞いた声。
瞼を持ち上げ、視界が開ける。
ぼやけたセカイの中で、ごちゃまぜになった色がゆっくりと像を結びだす。
果たして、目の下にクマをこさえたデーリッチが映し出された。
「ローズ、マリー?」
握られていなかった方の手を上げて、デーリッチのクマを優しくなぞる。
もう、ちゃんと寝ないと駄目じゃないか、デーリッチ。
「……ッ、ローズマリィィ!!」
そのままデーリッチに抱きつかれて押し倒される……と思ったけど、
誰かが私を支えてくれていたので最後まで倒れなかった。
「間に合ってよかったわ、マリー」
振り向くと、こっちもクマをこさえたエステル。
ごめん二人とも、迷惑をかけたね。
そう言うと、やさしい顔を意地悪な顔へ変えてエステルは笑った。
「二人だけ? ノンノン。皆よ、皆」
皆?
意識を外に向けると、スカイドラゴンと戦闘している仲間達。
ハピコ、マッスル、ヅッチー、大明神の背中が見えた。
0335創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/07(月) 00:26:58.81ID:5/AMJr+V
ふいに、口の中に何かが飛び込んだ。
不思議な味のする小さい丸いナニカが二つ。
「暇だから来てやったゼ。異世界旅行なんて珍しいからな」
見上げると不敵な笑みを浮かべたイリス。
ということは、口の中のこれは飴なんだろう。
甘いでも苦いでも辛いでもない、不思議な味。
何か言おうとして口を開いたとたん、横から飛び出してきた指が私の口の中をかき混ぜた。
「そんな得たいの知れないモノ食べたらお腹壊しますよ〜。ぺっしましょうね、ぺっ」
プ、プリシラ!?
口の中から飴を取り出してそこらに捨てたプリシラは、
これ今月の新作なんですよ〜感想くださいね、っとまたもや私の口の中に食べ物を突っ込んだ。
私の口は君達の玩具じゃないんだが。
何故か私の好みに合った新作とやらを咀嚼していると、
いつものようにイリスとプリシラがガンを飛ばしあっていた。
この二人、どうしてか相性がすこぶる悪い。
同じ氷属性同士、仲良くすればいいのに。
「ちょ、そろそろ誰か加勢してくれませんかね!?」
前線からマッスルの悲鳴が聞こえると、二人は盛大に舌打ちをした後、前線に向かった。
「マァいい、既にオトシマエはつけさした。後はストレスでも発散させてもらおうカ」
「異世界のドラゴンですか、高く売れるといいですが」
0336創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/07(月) 00:28:02.48ID:5/AMJr+V
「私も加勢してくるわ! 頼んだわよ、デーリッチ!」
そう言って走り去っていくエステルを眺めていると、再びセカイはぼやけだす。
涙が止まらない。
「まだどこか痛いでち!?」
違う、違うんだよ、デーリッチ。
私は、役立たずなんだ。
薬学も無い、知識も無い、国の運営も出来ない。
私は、皆のために、君のために、なにも、なにも……
「ローズマリー、デーリッチを見るでち」
…………え?
涙でぼやけたこのセカイで、何故かデーリッチだけは、はっきり見えた。
「デーリッチは、ここに居るでち」
そんなことは分かっている。当たり前だ。
「違うでちよ、マリー。もっとよく見るでち」
分からない。君が何を言っているのか分からない。
君がデーリッチでなければ、一体誰だと言うんだ?
「ローズマリーの見ているデーリッチは、居ないでちよ」
0337創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/07(月) 00:28:57.24ID:5/AMJr+V
ローズマリーには、デーリッチがどういう風に見えてるでちか?
「わ、私の見ているデーリッチ……?」
目の前のローズマリーは困惑した表情で自分を見ている。
本当に分からないようだ。
ローズマリーの乱れた髪を手ぐしでゆっくりとといであげる。
「デーリッチは……仲間思いで、意思が強くて、頼りになって……」
うーん、ローズマリーにはデーリッチがそんな風に見えてたんでちか。
思わず冷や汗がたらり。
これはもっと精進せねばならんでちね。
でも、それは不正解。
この前もヅッチーとプリンで喧嘩になったし、
大学の勉強中にはお昼寝して怒られたし、
いつも皆に頼りっぱなしでち。
デーリッチは、ローズマリーが想ってる以上に、しょうもないんでちよ。
0338創る名無しに見る名無し
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2018/05/07(月) 00:30:16.93ID:5/AMJr+V
「ち、ちが! そんなはず、ない、ない!」
震える背中をやさしく撫でる。
たぶん、なんとなく分かった気がする。
ねぇローズマリー、君の見ている君は誰なんでち?
震えが大きくなった小さな体を精一杯抱きしめる。
ローズマリーはデーリッチを通して誰かを見ていた。
きっと、ローズマリー自身も、
自分のようで自分じゃない誰かを見ていた。
追いかけてた。成り代わろうとした。
自分自身が嘘で、何もかもが信じれないんだ。
初めてあった時、ローズマリーは言った。
私はハグレじゃないと。
でも、実際はそうじゃない。
体はここにあるのに、心だけがハグレてしまってたんだ。
辛かっただろう、苦しかっただろう。
気づくのが遅れてごめんね、ローズマリー。
だからもう一度。
見て欲しい、デーリッチの姿を。
アイテムポケットからボロボロの帽子を取り出して、ローズマリーにかぶせてあげる。
うん、やっぱりよく似合ってる。
ローズマリーは、もっと綺麗な帽子が似合うローズマリーが好きなのかもしれないけど、
デーリッチはこっちのローズマリーの方が大好きでち。
皆で迎えに来たよ。
「…………ありがとう、デーリッチ」
デーリッチ達が出会ってから一年以上たったけれど、
異世界に咲いた花は、今まで一度も見た事が無い美しい花だった。
初めまして、ローズマリー。


知力1のバラ 終わり
0339創る名無しに見る名無し
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2018/05/07(月) 00:31:42.41ID:5/AMJr+V
後書
祝!完結!
ひとまず無事本編を終了出来ました。
脳内妄想ではメニャーにニャと絡んで(意味深)スパークを覚える
最強の魔法使いにする設定でしたが、
実際に絡ます中身が思いつかずポシャリ。
締める場所を異世界に決めたら終わり方を構想してこのような形に。
マッスルが急に鉱山に召喚されたように、
想定外の場所にハグレが召喚されると前提の上で、
ここのローズマリーさんはローズマリーの肉体に精神だけが召喚。
肉体と精神、理想と現実の不一致で揺れ動くハグレのローズマリー君の物語。
果たして、デーリッチ(知力7)の活躍により、
異世界にてハグレとなったローズマリー(肉体)とハグレの精神が一致する。(後付)
……これを本編で書ける技術さえあればなぁ。

お目汚し大変失礼しました。
長々とお付き合いありがとうございました。
0340創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/07(月) 07:16:13.21ID:FvQYF8Tn
完結お疲れ様でした
ボキャ貧ゆえにつきなみな感想で申し訳ないけど、一月以上に渡り楽しませて頂きました
大きなお世話とは思うけど、こんな人目につかないところよりもっとフィードバックのある場所に投稿しなくてよかったんですかね?
0341創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/08(火) 23:40:54.65ID:3HulyE3x
シェイプシフター達にやられる女の子達の微エロリョナ思い浮かんだがあのスライム達の背景考えるとエロにしづらい
0342創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/11(金) 09:46:43.95ID:pEuNDH4K
スライム達に四肢拘束され記録更新さんにネチョネチョされる女の子達下さい
0349創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/17(木) 11:53:15.39ID:9Zu+qSim
屈強な男とかモンスターに組み伏せられてまんぐり返しされるのも興奮するわね
0350それもらった>>347
垢版 |
2018/05/19(土) 01:41:41.69ID:mTvt2KtC
「あはは……困っちゃったなぁ……」
人気の無い緑の中を、ひとり歩きつつ雪乃は苦笑した。
いや、ひとりではなかった。
「なーなー、さっきのどうやったの?」
「ねーちゃんすげーな!あんなの初めて見たぜ!」
「もっかいやって見せてよ!」
その周囲で、デーリッチとさして年の変わらぬ少年達が輪を作っていた。
「……どうしよう。助けてヤエちゃん」
0351創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/19(土) 01:43:01.59ID:mTvt2KtC
ほんの数分前のことである。
ハグレ大祭りを親友のサイキッカーさんと仲良く楽しんでいた雪乃だったが、その友人が花を摘みに行くとの事でひとり待ちぼうけを食らっていた。
暇を持て余す雪乃の目に入ってきたのは、冥界の悪魔が営む射的場である。
「ヤエちゃん戻ってくるまで暇だし、ちょっとやってみよっかな?」
いつだったかヅッチーが、ここの景品だという駄菓子の袋を両手に抱えていたことがある。
射的に覚えがあるわけではないが、わたあめか何かのひとつも貰えればヤエと食べながら歩くのも悪くない。
そう思い、足を踏み入れた雪乃だったのだが。
「アンビリーバブル!新記録デス。仕方ない、持ってけドロボー!」
「ど、泥棒はやめてよ!人聞き悪いなぁ!」
まさかまさかの初挑戦でレコードホルダーになってしまったのである。
雪だるまキックやカタナシュートで狙いを定めるのは慣れているつもりだったが、射的にまでそれが生きるとは予想外である。
「お前、何気にワタシの天敵だったりするのか……?氷のヴェールといい……」
何だかよく分からない事を宣うイリスを尻目に、大量の景品を抱えて店を後にする雪乃。
そんな彼女を追って、慌てて店から出てきた一団があった。

「まってよお姉ちゃん!どうやったらあんなうまくなれんの?」
年端もいかぬ子供が五、六人ほど。
どうやら雪乃のスナイプテクニックに感動してくっ付いてきたようである。
目を輝かせて質問を投げかける少年に、しどろもどろに返答を返す。
「どうやってって……練習しかないんじゃない?」
「えー、だってお姉ちゃん、さっき初めてって言ってたじゃん!」
「それはそうなんだけど……じゃあマグレだよ。たまたまだって」
「えー、ケチー!コツくらい教えてくれよー!」
遠慮なく距離を詰める子供達に気圧される雪乃。
実はこれでも子供の相手は慣れているつもりだった。
風太や、その友人達と一緒に遊ぶことも多かった雪乃は、年下の少年のあしらい方など百も承知のつもりでいたのだ。
だがその風太が一緒にいたからこそ、のらりくらりと子供と一緒に遊べていた事を、今になって思い知らされる。
(ダメダメ、何を弱気になってるんだ、私。こんな時は、そう……)
雪乃にだってプライドがある。子供相手に押し負けてどうするというのだ。
満を持して、子供相手の秘密の奥の手を繰り出した。
「みんなー、お菓子食べるー?」
「「たべるー!」」
奥の手、プライドを捨てて物で釣る。
まあキャッチよりむしろリリースを狙っているのだが。
「はーい、じゃあひとりひとつずつねー!」
ともあれ、先程射的で当てた駄菓子を配ってやる。
どうせ多過ぎて困っていたくらいだ、むしろ貰ってくれれば有り難いくらいである。
子供たちがお菓子に気を取られている隙に、どうにかこっそりその場を離れる事に成功した。
「……でさー、さっきの射的なんだけどさー!」
「追いつかれたっ!?」
意外に隙がない子供たちである。少なくともヘルラージュなら今ので撒けていたと思われる。
「なー、聞いてんのかよー?」
「あはは……困っちゃったなぁ……」
そうして今に至るのだった。
0352創る名無しに見る名無し
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2018/05/19(土) 01:47:10.43ID:mTvt2KtC
「おねがい、もっかいもっかい!あんな点数見たことねーもん!」
「そ、そうかなぁ……?多分、すぐ誰かに抜かれちゃうと思うよ?」
纏わりつく子供に曖昧な笑みを返しつつ、雪乃は歩みを進めていた。
本当は射的屋の近くでヤエを待たなければいけないのだが、半ば子供たちから逃げる様に歩いている内にどんどんそこから遠ざかってしまっている。

(あーもう、何やってんの私!さっさと戻らないと……)
頭ではそう思っているのだが、何故か強く押しきれない自分がいる。
もう辺りには出店どころか人通りも無い、会場外れの野っ原に差し掛かりつつあった。
言いし得ぬ嫌な予感に胸をざわつかせつつも、雪乃は流れのままに相槌を打つ。
「おねーさん射的の天才だな!」
「う、うん。ありがとう」
「お菓子ごちそうさまー!」
「はいはい、どういたしまして」
「ねー、なんで海でもねーのに水着なの?」
「これは水着じゃないよ!」
「じゃあ下着?」
「そ、そんなわけないじゃない!」

何か、問答の雲行きが怪しくなってきた気がする。
「そりゃ暑いけどさー、お外で下着になっちゃだめだぜ?俺も母ちゃんに怒られたもん」
「聞けよ!だから、これは下着でも水着でもなくて、こういう服なの!」
「おれ知ってるぜ!こーゆー人はろしゅつきょーって言うんだぜ!」
「ろしゅっ……!!」
反射的に辺りに目を配らせるが、幸い周囲に人の影はなかった。
ほっと息をつくと、憤然たる面持ち(あまり怖くないが)で間違いを正しにかかる。
「露出狂じゃないよ!こういう服だって言ってるじゃない!それに、そういう事を女の子に言っちゃ駄目でしょ!すっごく恥ずかしいんだからね!」
「えー、お姉さんの格好の方が恥ずかしいと思うけどなー」
「だからそういう事を言うなあ!大体ね……ひゃあっ!」
0353創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/19(土) 01:49:31.40ID:mTvt2KtC
突然悲鳴をあげ、体を仰け反らせる雪乃。
背後に回っていた悪ガキのひとりが、ハーフパンツ越しにお尻を撫で上げたのだった。
「ちょっと何すんのよ!!」
「へへーん!タッチー!」
「何がタッチよ!エッチ!」
「あ、おねーちゃんうまいこと言ったな」
「茶化さないで!本気で怒ってるんだから!」
「わー、逃げろー!」
ちょこまかと走り回る狼藉を働いた悪ガキを、雪乃も必死に追い回す。
やがて悪ガキは、別の少年を盾にしてその後ろに隠れた。
年の割に上背のあるその少年越しに、ずんずんと距離を詰める雪乃。
間に挟まれた彼はちょっと居心地悪そうに顔を赤らめるも、今の雪乃はそれに気付く余裕はなかった。
「こら!悪い事したらごめんなさいでしょ!」
「へん!やーだねー!」
「もう、お母さんはどこにいるの!?ちゃんと叱ってもらうからね!」
お母さん、という言葉を口にした時、ほんの少しだけ、ちくりと胸が痛んだ。
みんな、元気にしてるかな。きっと、ううん、絶対に、また会いに行くから。
そんな事を思ったからだろうか、雪乃の顔から怒りが一瞬消えていた。
それが隙だった。

もみっ。
「っっきゃあああああっ!!」
間に挟まれていた少年が、その両手で雪乃の双丘を思いっきり鷲掴みにしたのだった。
反射的に手を払い除けたものの、それで触られた事実が消えるわけでもなく。
「やったー!おっぱい触った―!」
「あ、ずりーぞお前!」
「姉ちゃん、俺にも触らせてくれよ!」
「い、い、い、いい加減に……」
いくら子供でも、やっていい事と悪い事がある。
まして、少年とはいえ男性に胸を掴まれるなど、雪乃にとって生まれて初めての事である。
直接じゃないからどうとか、服越しだからどうとか、そんな問題ではなかった。
気色ばむ表情を携え、目の前の少年の顔を真っ直ぐに見据える。
「もう本当に本気で怒ったから!少し痛い目見て……」

そこで、雪乃の時間は止まった。

「風太……!?」
0356創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/19(土) 23:19:48.75ID:ohKP+Y0C
pixivで投稿するとあまり評価されないんじゃないかという不安と
予想よりも閲覧数が多かったりコメントがもらえたりすると嬉しくてまた投稿しようかと思う
あれは意外と病みつきになるね
0358創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/20(日) 13:45:05.70ID:N/3Rno0l
水着メニャかゆきのんが女性雑魚モンスターに微リョナエロされるの考えてるが水着イベだけで
該当探すと

・サイコーハイツの退魔忍もどき
・貧乏教のアカオニと女幹部
・水麗層のスライム経ち

ぐらいしかおらんな。
0359創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/21(月) 08:39:19.90ID:tRZnwP6O
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
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