ジャンク屋「ロボットとかバトルとか」
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辺り一面を埋め尽くす機械の残骸の平原。
その中央で、二体のパワーローダーがガラクタ漁りをしている。
ジャンク屋「今日も今日とてガラクタ漁り〜♪」
?「なんか見つかったー?」
ジャンク屋「なんもねぇなー、そっちはどうだ、相棒?」ガションガション
相棒「んー、ボクの方もないねぇ。」ガションガション
相棒「あ、これなんかどうだろ?」つ マネキン
ジャンク屋「‥‥真っ赤なペンキがついてなくて、断末魔挙げてるみたいな表情じゃなけりゃあな。」ポイッ
相棒「じゃあ、これは?」つ 自転車
ジャンク屋「フレームが明後日の方向にひん曲がってるのと、タイヤがひしゃげてるのと、ブレーキワイヤーが千切れてるのと、サドルがないのが難点だなー、」
ジャンク屋「って全然だめじゃねぇかっ」ガシャッ
相棒「うーん、じゃぁこれどう?」つ 冷蔵庫
ジャンク屋「お、これいいかも、ドア開けたら吹き抜けになってて……って。」 ガシャーン
***
相棒「……どれもこれもガラクタばっかだね。」
ジャンク屋「“ガラクタ山”の名前は伊達じゃないわな。あー、今日も不作かー……。」
相棒「まぁそんな日もあるよー。」ポンポン
ジャンク屋「……お前はいいなぁ、気楽で。」
相棒「えへへ。」
ジャンク屋「飯にするかー。」
プシュー、ガチャッガチャッ
ジャンク屋「しっかし、作業用ローダーってもっと涼しい構造にならんもんなのかねー。」ヌギヌギ
相棒「そうだねー。」ヌギヌギ
相棒「ふー、あちー……シガニー・ウィーバーが乗ってた奴みたいなのだったらいいのにねー……」 パタパタヌギヌギ
ジャンク屋「ああそうだなー……ってうわッ」ササッ
相棒「どうしたの?」
ジャンク屋「……あのさぁ。」
相棒「うん?」
ジャンク屋「年頃なんだからもうちょっと恥じらいってものを持てよ」
相棒「えー?パワーローダー脱いだだけでオーゲサな……」
ジャンク屋「汗で透けてんだよッ!!」
相棒「ふぇえっ!?」
相棒「…………キ、きききキミ相手だったら、ボボボボボクは平気だよ!?」フンスー
ジャンク屋「嘘つくな、明らかに強がってんじゃねぇかっっっ!!」
相棒「だだだだだっていつかは見られるもんだし!?」
ジャンク屋「何言ってんだかさっぱりわからんがとにかく着替えろおおおおおおおおおおおッッ!!」
ジャンク屋「……あのさぁ。」
相棒「うん?」
ジャンク屋「年頃なんだからもうちょっと恥じらいってものを持てよ」
相棒「えー?パワーローダー脱いだだけでオーゲサな……」
ジャンク屋「汗で透けてんだよッ!!」
相棒「えっ!?」
相棒「…………キ、きききキミ相手だったら、ボボボボボクは平気だよ!?」フンスー
ジャンク屋「嘘つくな、明らかに強がってんじゃねぇかっっっ!!」
相棒「だだだだだっていつかは見られるもんだし!?」
ジャンク屋「何言ってんだかさっぱりわからんがとにかく着替えろおおおおおおおおおおおッッ!!」
***
相棒「あれ?」
ジャンク屋「ん、どうした?」
相棒「このトランクはなに?」
ジャンク屋「ああ、これか?中身入ってるっぽいから拾って来たんだ。」
相棒「ボクくらいだったら入るかも。」
ジャンク屋「そういや、昔じっちゃんと観た映画で、そんなのあったっけな。」
相棒「あー、あったあった!」
相棒「ハゲの宅急便の話だったよね。」
ジャンク屋「そう、それ。よく覚えてるなぁ。」
相棒「あの映画、好きだったしねー。」
相棒「鍵穴が塞いであるけど、どうやって開ける?バーナー?」
ジャンク屋「バールくれバール。中身が燃えたら困るし。」
相棒「これまた古風な事。ほいさっ。」ヒョイッ
ジャンク屋「おっと。じゃ、開けるか。」ガッ
相棒「頑張れー。」
ジャンク屋「ふんふんっ!!」グイッグイッ
ジャンク屋「 ど ぅ お り ゃ っ せ ぇ い っ っ っ !!!!」ベキーン
相棒「おー、開いた開いた。」
ジャンク屋「さぁーて、何が出るかね。金目のものだったらいいけれど。」
パカッ、ドサッ
ジャンク屋&相棒「「ッ!?」」
ジャンク屋「……。」
相棒「…………。」
ジャンク屋「………………。」
相棒「………………確かにボクら貧乏だけどさ。」
ジャンク屋「ああ……ああ?」
相棒「いくらなんでも“女の子を箱に詰めて誘拐”ってのはまずいんじゃない?」
ジャンク屋「いやいやいやいや、違うから。」
相棒「貧乏でさ、ご飯食べれない日もあるけどさ、それでも心まで貧しくなっちゃいけないよ!」
ジャンク屋「違うっての。聞けよ。」
相棒「…………そーいう趣味だっていうなら仕方ないけど」
ジャンク屋「だから違うって言ってんだろおおおおおおおおおお!!!!」
***
相棒「……調べ終わったよー。」
ジャンク屋「……どうだった?」
相棒「うん、このコ、アンドロイドみたいだね。」
ジャンク屋「だと思ったぜ。」
相棒「キミがそういうヤヴァイ嗜好の持ち主じゃなくてほっとしたよボクは。」
ジャンク屋「考えれば、髪の毛がこんなカラフルラジカルな女の子なんているわけねぇもんなぁ。」
相棒「萌えアニメじゃあるまいしね。」
相棒「よく出来てるけど、手首と後頭部にジャックとモデムがあるし、型番も入ってるみたい。」
ジャンク屋「ほほぅどれどrあいたァッ!?」パコーン
相棒「覗かないの!!」
相棒「じっちゃんのデータベース引いてみたんだけどさー。」
ジャンク屋「んー?」
相棒「この娘は“ボーカロイド”って言うんだって。」 ウィーンウィンウィン
ジャンク屋「ぼーかろいど?」
相棒「うん、イベント用エンターテイメント・アンドロイドだって。」 クパァ……
相棒「制限つきの自己学習AIが搭載されてて、音楽やダンスを学習して歌って踊るとかなんとか。」 ヌチュクチュクチュ……
ジャンク屋「ほう。」
相棒「もちろんそれだけじゃつまらないってんで、」
相棒「ぱっと見、人と同じ振る舞いが出来る程度の強いAIが搭載されてるんだとか。」 ジュルジュル……
ジャンク屋「おいおい、そんなもん積んだらやばいんじゃ?」
相棒「でもやっぱり愛玩用だしねぇ。」 ネトォッ‥…
ジャンク屋「へぇー……でも、そこまでよく出来てると、高いんだろ?」
相棒「でも捨ててあったわけだしねぇ。」 ヴィヴィヴィヴィヴィヴィ……
ジャンク屋「……ところで、さっきから何を?」
相棒「ちょっと中開けて調べてるだけだよ?興味あるし。」 ギュイーン!
ジャンク屋「!あ、ああ、そうか。」
相棒「‥‥ひょっとして、えっちい事期待してた?」 ウィーンウィーン!
ジャンク屋「……ちょっとだけ。」
相棒「きみ は じつ に ばか だな。」 ジジジジジ
相棒「さて、中はほとんど無事だったし、これで電源入れたら動くと思うんだけど……?」
ジャンク屋「頼むぜ相棒。」
相棒「電源は耳の後ろだったっけ。」
相棒「ポチっとな。」 ポチッ
ガリガリガリガリガリ……カチッ ウィーン
ボーカロイド「…………!」 パチッ
ボーカロイド「…………?」パチクリ
相棒「あっ!点いた!」
ボーカロイド「…………。」 キョロキョロ
ジャンク屋「えーっと、俺達の事がわかるか?」
ボカロ「…………」 コク
相棒「ねーねー、なんか唄ってみてよ!」
ジャンク屋「ばっか、いきなり唄えなんて無理に決まってんだろ。おい、なんか喋ってみてくれ。」
ボカロ「…………。………………。」
相棒「あ、あれ?」
ボカロ「……ッ!ッッ!?」 アタフタ
ジャンク屋「おいおい、まさか…………!」
…
ボカロ「……‥‥…。」 ショボーン
相棒「うーん、人工声帯が壊れてるみたいだねぇ。」
相棒「部品を替えればイケると思うけど、この手の部品はジャンクにするもんじゃないし。」
ジャンク屋「街まで連れて行かないと駄目か。」
ジャンク屋「というわけで、しばらくの間だけど、よろしく。」
ボカロ「…………。」 ペコリ
相棒「ボーカロイドがいる生活かー。なんかとってもわくわくするね!」
ボカロ「…………?」
ジャンク屋「なんだそりゃ?」
相棒「きみはほんとうにばかだなぁ!」
相棒「メカ娘と同居する事と巨大ロボに乗る事は、全國のメカ好きの男の子の夢じゃないかー!」
ジャンク屋「お前なあ……」
相棒「なんか言った?」
ジャンク屋「いや、なにも。」
相棒「ところで。」
ボカロ「?」
相棒「貴方のお名前を聞かせて欲しいな」
ボカロ「…………」パクパクパク
ジャンク屋「……って、聞いても無理に決まってんだろ。」
相棒「あ、そっか、ゴメン。」
ジャンク屋「ごめんなー、こいつ バ カ だから。」
相棒「ば、バカじゃないもん!バカっていう方がバカだもん!このバーカ!」
ジャンク屋「あ、言いやがったなバカのくせに!」
相棒「またバカって言った!このバーカ!」
ジャンク屋「うっせ、バーカバーカ!」
ボカロ「…………。」チョイチョイ
ジャンク屋「ん?下見ろって?」
わたしのなまえは
ジャンク屋「地面に書いたのか」
ボカロ「…………」カキカキ
・ ・ ・ 。
ジャンク屋「……よ、読めん……。」
ボカロ 「」ズコー
相棒「あ、これ知ってる!」
ジャンク屋「知ってるのか」
相棒「確か“カンジ”っていう、連邦の方の國の難しい字でしょ?」
ジャンク屋「わかった、読めないってオチだろ?」
相棒「失敬な、ちゃんと読めるもん!……言うほどじゃないけど。」
ジャンク屋「ほほう、ならば読んでいただこうか?」
ボカロ ゴゴリ……
相棒「えぇっとね……これが“3”と“9”だから……
「“ミク”かな?」
ジャンク屋「……それ型番じゃね?」
ボカロ「…………。」
*工場*
ジャンク屋「……も、もうちょいなんとかなりません?」
工場長「いやぁ、お前さん達とは馴染みだし、もっとあげたいのは山々なんだが。
最近取り締まりが厳しくなってなー。」
ジャンク屋「そんなぁ……」
工場長「お前さん達みたいなのと取引してんのが帝國軍にバレるとまずいんだ。」
ジャンク屋「で、でも貴重な連邦製の部品ですよ!?ほら、輸入制限掛かってる奴。」
工場長「最近輸入制限緩んだんだが……知らんのか?。」
ジャンク屋「え、なにそれこわい」
工場長「しかも輸入制限が緩んだ代わりに、連邦製のジャンク品に規制がかかっちまってなぁ。」
工場長「だから今欲しいのは、帝國系統のジャンクなんだよなー。すまんなぁー。」
相棒「……どうだった?」
ジャンク屋「駄目だった……他当たれだとさ。」 ズーン
相棒「ま、まぁ、次があるって!」
ミク「…………。」 ショボーン
ジャンク屋「ところで、ちょっと見て欲しいもんがあるんだ。」
相棒「なーに?」
ミク「…………?」
ジャンク屋「意思疎通が出来ないって不便だなー、と思ってさ。」
ゴソゴソ
ジャンク屋「ジャンクパーツから適当に見繕って作ってみたんだが……。」
相棒「あ、携帯用メッセージボードかぁ!気が効いてるじゃーん!」
ジャンク屋「はっ、俺はいつでも気が利いてんだろ!というわけで、チクッとしますよー、っと。」
カチッ
ミク「…………ッ!」
ジャンク屋「ジャックが見えるけど、長袖着てれば目立たんだろ。」
ミク <ありがとうございます。>ペコリ
ミク <よろしくおねがいします。> ペコリ
ジャンク屋「OK、任せろ!」
…
*スクラップ工場*
相棒「オヤジさんいるー?」
工員「ああ、相棒ちゃんか!オヤジさーん、あの子達が来ましたぜー!」
オヤジ「おー、お前らか!よく来たなぁ!二階の部屋を使ってくれ。」
ジャンク屋「また暫くお世話になります!」
オヤジ「久しく見ない内にお前さんは美人さんになりやがって!」ナデナデ
相棒「でへへへ…///」
ミク …
オヤジ「……で、そこのは?」
ジャンク屋「あ、この子はちょっと事情があって……」
オヤジ「……ふむ、お前らが連れて来るんだから変な奴ってこたぁないだろう。」
ジャンク屋「ありがとうございます、おやっさん。」
オヤジ「……お前もちゃんとお礼が言える真人間になったんだなぁ。オイラ感動で涙ちょちょ切れるわ。」
ジャンク屋「ちょ、昔の事は言わんで下さいよっ」
オヤジ「ま、いいってこった、お前さん達のじっちゃんには昔散々世話になったからよぉ。」
オヤジ「お前さん達ならいつでも歓迎だ。いつでも帰って来い、な?」ニッ
ジャンク屋「本当お世話になります。」ペコリ
…
ジャンク屋「ところでおやっさん。」
オヤジ「なんでェ?」
ジャンク屋「俺達、ボーカロイド用の人工声帯ってのを捜してるんだけど、安く扱ってるところ知りません?」
オヤジ「……あの娘の事か?」
ジャンク屋「あ、やっぱりわかりました?」
オヤジ「ああいうもんがあるっていうのは知ってたが、まさか実物を拝めるとはなぁ〜。」
ジャンク屋「成り行きで拾ったんスけど、声帯だけ壊れてるらしくって。」
オヤジ「相当珍しいもんだからなぁ、中古品でもなかなか手に入るもんじゃねェし…」
ジャンク屋「そうですか……。」
オヤジ「まぁでも、何かの拍子に手に入ったら真っ先にお前さん達に知らせといてやるよ。」
ジャンク屋「よろしくお願います。」
ジャンク屋「……俺がおやっさんと話し込んでいる隙に、お前ら何処行くんだ?」
相棒「!」ビクッ
オヤジ「……あーあ、バレちまいやがって。ほれ正直に言ってやんな。」
相棒「ミクちゃんの服買いに行くんだよ。」
ジャンク屋「……金は?」
相棒「刃桜の会の軍資金からー。」
ジャンク屋「何?」ギュー
相棒「いひゃいいひゃいいひゃいやめへやめへ……オヤジさんから貰ったんだってば。」
ジャンク屋「!またお前という奴はっ!」
相棒「てへっ☆」
ジャンク屋「おやっさん、すみません。」
オヤジ「まぁまぁ、気にすんな。おいらが好きでやったんだからよ。」
相棒「そうだよ、気にしない!」
ジャンク屋「お前が言うか……まぁ、いつまでもお前のボロツナギ着せとくわけにもいかないしな。」
相棒「……ボロってわかってるなら、ボクのも買ってくれてもいいのに。」
ジャンク屋「お前の場合どうせすぐ汚すじゃん。」
相棒「ケチ。」
ジャンク屋「なんか言った?」
相棒「いってきまーす。」スタスタ …
ジャンク屋「(というわけで、御茶でも啜りつつ、留守番してるわけだが。)」
ジャンク屋「(……なーんか見られているような。)」チラチラ
ユラァッ
ジャンク屋「(なんだ今の揺らぎ!?)!誰だお前!?」
刺客「……チッ」ダッ
ガシッ
ジャンク屋「ぐえっ!?」
刺客「…………。」グググ
ジャンク屋「(喉が絞まって……なんて馬鹿力だっ……!?)」
ガチャ
相棒「たっだいまー☆」
相棒「見てみて可愛いでsy……ええええええええええ!?」
刺客 ビクッ!
ジャンク屋「(今だっ!!)」
ガチャン
ばしゃあっ!
刺客「ッ!?」バチッバチバチッ バチッ
ドタッ
相棒「大丈夫!?」ダッ
ジャンク屋「げほげほっ……耐水性のなさ、ゆらぎ、やっぱり光学迷彩か!!」
刺客「………………。」スチャ
相棒「ちょ、誰さ、こいつ!?」
ジャンク屋「んな事俺が知るか!」
ばたん!
???「なーんかどったんばったんしてると思ったらよォー……」
刺客「ッ!?」
オヤジ「ウチの若いのに、何してくれてんだテメえええええええええ!!!!」ジャキッ
ジャンク屋「ちょ、おやっさん!」
刺客「!!」
ドォン!
刺客「」ノビー
ジャンク屋「顔面にもろに食らった……!?」
相棒「ちょ、死んじゃった!?」
ジャンク屋「おい生きてるか!?しっかりしろ!!」ユサユサ
刺客「…………うう……」
ジャンク屋「よ、よかった、死んd」ふにっ
ジャンク屋「……ん?『ふにっ』?」
相棒「……マスクの下とってみたら?」
ジャンク屋「あ、ああ。」
パコッ プシュー
女剣士「…………」クター
ジャンク屋「こいつ女だったのか……!?」ゴゴリ
相棒「……鼻の下伸びてるよ?」ジトー
ジャンク屋「な、ば、馬鹿言え!殺されかかったんだぞ!」
相棒「へぇー?」ジトー
女剣士「………………?」パチ
相棒「あ、起きた。」
女剣士「………………???」パチクリ
ジャンク屋「おい、アンタ大丈夫か?」
女剣士「!」
バキョッ
ジャンク屋「ふらばっ!?」
女剣士「……。」ダッ
相棒「ああっ逃げちゃう!?」
オヤジ「おい、待ちやがれ……どわっ!!」ドカッ
がしゃーん! その夜
ジャンク屋・相棒「「……お世話になりましたー。」」ペコリッ
オヤジ「おいおい大丈夫か?さっきの事気にしてんだったらおいらぁ別に……」
ジャンク屋「いやいや、これ以上おやっさんに迷惑はかけられないっすよ。」
相棒「それにまたライフル持たせたら危……げふんげふん」
オヤジ「そういうなら仕方ねぇけどよぉ……また近くまで来たら顔見せてくれ。」
カチッ brrr……
相棒「ありがと、おやっさーん!」ノシ
オヤジ「また来いよー!」ノシ
……
相棒「……とは言ったものの、行くアテはないんだよねー……。」
ジャンク屋「まぁ、いざとなれば野宿出来るからいいけどな。」
ミク<すみません……。>
ジャンク屋「いや、そこでなんでお前が謝るんだよ、お前何も悪くないじゃん。」
相棒「そーだよ。ボクらもおやっさんも何したってわけじゃないんだから気にしなくてもー。」
ミク「……」
ミク<実は、>
相棒「……どうしたの?」
ミク<お二人に話しておきたい事があるんです。> …
ドンドンドン!!
オヤジ「ったく、今何時だと思ってやがるんだ……。」ガチャ
ずかずかずかずか
オヤジ「‥‥…これはこれは軍服さんがお揃いで、一体何の御用事ですかい?」
部下1「おい貴様、ここに、ボーカロイドを一体連れた若い男女が来ただろう?」
オヤジ「さぁ?ウチには若い衆がいっぱいいるんでね。どれの事を言ってるのやら。」
部下2「おい、隠し立てすると為にならんぞ!?」
オヤジ「……で、そいつらは一体、何の罪なんです?」
部下1「窃盗、國内における違法な破壊活動、國家反逆、スパイ行為、及び敵國との取引の容疑だ。」
オヤジ「おいおい、そんな御大層な奴ァ、おいらの知り合いにゃいませんぜ?」
??「もういい、お前達、下がれ。」
部下1「し、しかし!」
??「下がれと言ってるんだ。」
部下2「はっ!……。」
??「……先程は部下達が失礼した。」
オヤジ「どこのどちらさんなのか、名乗りもしないのが最近の軍人さんの礼儀って奴なんですかい?」
??「……それもそうだな。」フッ
??「私は帝國陸軍第0721支部所属、陸軍将軍付副官の“中尉”だ、よろしく。」
オヤジ「へへぇ、将校にしてはお若いんですな。見た感じ、一番の下っ端だと思ってましたが。」
部下2「おい貴様、侮辱する気k」
中尉「下がれと言っただろう?二度も同じ台詞を言わせるなよ阿呆が。」
オヤジ「……で、そんなお偉いさんが何の御用事で?」
中尉「端的に言おう。貴方のその若い友人達について、軍の重要機密を盗んだ疑いがかかっている。」
オヤジ「そんな馬鹿な〜。」ヘラヘラ
中尉「無論、私も信じたい。信じたいが、これもまた仕事でね。」
中尉「そこで、私が彼らと直に会ってみたいと思ったわけだ。」
オヤジ「で、そのままサツへ引き渡すと?」
中尉「いやいやいや、それは違う。彼らのような職業も法的には認められているからな。」
中尉「どうやら指定外の企業とも取引しているようだが、それとこれとは別問題。」
オヤジ「だったらなんで……?」
中尉「だから言っただろう、これは軍の重要機密に関連する問題だと。」
中尉「会ってみて、疑いが晴れればそれでかまわない。それ以上接触する理由がない。」
中尉「それに、もし協力してくれるなら、個人的なお礼として、貴方に中央技術部の友人達を何人か紹介しよう。」
オヤジ「!!」
中尉「おぉっと、もちろん彼らにも、だ。無論、人格的に問題がなければの話だが。」
オヤジ「!!!」
中尉「もっとも、協力する気がないなら、それはそれでかまわんよ。」ニヘラ
中尉「だが、その場合、その友人達の身の安全を保証する事は出来ないだろうが。」
オヤジ「…………ッ」
中尉「よく考えてもらいたい。」
中尉「貴方の若い友人達はおそらく、浮浪児のような生活を送っているんじゃないか?」
中尉「あるいは、連邦のスパイに騙され、利用されているのかもしれない。」
中尉「彼らを庇いたい貴方の態度もよくわかる。だがしかし、」
中尉「そうした“悪”から若者を守り、救ってやるのも、私達大人の義務だと私は思うが、いかが?」
オヤジ「……。」
… …
ミク<思い出したんです、私の持ち主<マスター>の事を。>
ジャンク屋「おぉ、マジか!?」
相棒「どんな人どんな人!?」
ミク<いつも白衣を着ている男の人で、皆からは「ハカセ」「ジュンさん」と呼ばれていました。>
相棒「なんかニュー速VIP辺りでいつも面白いスレを立ててそうな名前だね。最近見ないけど。」
ジャンク屋「気のせいだろ。続けて続けて。」
ミク<「ハカセ」は私の事をとても可愛がってくれました。それこそ気色悪いくらいに。>
ジャンク屋「き、気色悪い?」
ミク<ちょっとだけ。>
相棒「うーん、その人の気持ちもわからなくもないけど、流石に気色悪いまでいっちゃうとねぇ」
ジャンク屋「お前が言える台詞じゃないな。」
相棒「どういう意味さ?」
ジャンク屋「さぁな。で、その「ハカセ」氏たぁ、ナニモンだ?」
ミク<「ハカセ」は“衛星”に関連する研究をしている人でした。>
ミク<どんな研究なのかは知りませんし、教えてもらえませんでしたが、>
ミク<でも大事な研究だそうで、「ハカセ」のところには毎日毎日、いろんなお客さんが来ていました>
ミク<ある時期から、お客さんの中に“茶色い服を着た人”が来るようになりました。>
ミク<ソリが合わない、とでも言うのでしょうか、>
ミク<茶色い服を着たお客さんと「ハカセ」は、研究の事で度々口論になっていました。>
ミク<そんな事が何度か続いたある日、「ハカセ」が私に、>
ミク<『大掛かりなメンテナンスをしたいからスリープモードにさせて欲しい』と、言いました。>
ミク<今思えば、おかしな話でした。そこまでの故障があれば私自身わからないはずがないのに。>
ミク<そして、それが私の見た「ハカセ」の最後の姿でした。>
ミク<「ハカセ」はこうも言っていました。>
ミク<『目覚めた時、ひょっとすると僕は傍にいないかもしれない』>
ミク<『信用出来る人に見つけてもらったら、この事を話すんだよ』>
ミク<『例の茶色い服を着た人達とは絶対に関わっちゃ駄目だよ』って。>
相棒「……なんか複雑なんだね、ミクちゃんも」
ジャンク屋「茶色い服……ねぇ。」
ミク<心当たりがあるのですか?>
ジャンク屋「あ、いや、気のせいだ。」
すたすた
??「やぁ青年少女の諸君、随分捜したよ。」
ジャンク屋「……誰だあんた?」
中尉「君らが連れ回しているボーカロイドを探していた者だ。見ての通りの軍人、階級は中尉さ。」
相棒「ミクちゃんを?」
中尉「そのボーカロイドは我々帝國陸軍の所有物でね。渡してもらおうか。」
ジャンク屋「証拠は?」
中尉「そのボーカロイドのシリアルは『VL三十九−01983457』じゃないかね?」
ジャンク屋「……ああ。そうだったかもな。」
中尉「そして声帯部分に故障がある…………だろ?」
相棒「(ホントの持ち主かなぁ?)」ヒソヒソ
ジャンク屋「(いやー、まだわかんねーぞー?)」ヒソヒソ
ジャンク屋「……こちらもショーバイなんでね。」
ジャンク屋「ジャンク屋が“規定領域”で回収したもんはジャンク屋の商品だ。ただで商品を渡すわけにはいかないな。」
中尉「ふむ。金なら相応の額を用意してある。おい、例の物をここへ。」
部下1「はっ。」
パチッパチッ
ジャンク屋「!」
相棒「す、凄い大金……!」
中尉「悪くない取引だと思うが……どうかね?」
ミク チョイチョイ
ジャンク屋「……ん、なんだ?」
ジャンク屋「ちょ、ちょっと話をさせてもらっていいか?」
中尉「かまわんよ。じっくり相談してくれたまえ。」
ジャンク屋「……どうしたんだ?」ヒソヒソ
ミク <この人、“茶色い服を着ているお客さん”と同じ服を着ています>
ジャンク屋「……やっぱりそうか。」
ジャンク屋「一つ教えてくれよ軍人先生。」
中尉「なにかね?」
ジャンク屋「何に使うのかぐらい、教えてもらってもかまわねーよな?」
中尉「!」
ジャンク屋「あんたらは知らんだろうが、アンドロイドってのは下手すりゃ犯罪の道具にもなる。」
ジャンク屋「俺らにも信用ってもんがあってね。犯罪の道具売り付けたって評判が立つとこっちが困るんだ。」
中尉「んーそれは出来ない相談だな。ま、ある種の“実験”に使われるとだけ言っておこう。」
中尉「だが、それで君らが害を被る事はない。私が保証してもいい。」
ジャンク屋「ふーん……じゃぁ渡せねぇなぁ。」
中尉「……。」
中尉「……図に乗るなよ社会のゴミが。」ボソッ
ジャンク屋「なんだと?」
中尉「図に乗るなと言ってるんだ。こちらが下手に出ればつけ上がりやがって。」
中尉「陸軍将軍付副官という私の役職の意味がよくわかっていないようだから、教えてやるが。」
中尉「私がその気になれば強制執行で無理やり奪う事も出来る。」
中尉「それどころか、君達を公務執行妨害、スパイ容疑でぶち込む事さえ出来るわけだよ。」
中尉「……ここで交渉に応じてやっているのが私の善意だって事をどうしてわかってくれない?」
ジャンク屋「なんだt」
部下 チャキッ
ジャンク屋「……チッ。」
中尉「……とまぁ、ここまで言ったんだから、いくら育ちと頭と諦めが悪くてもわかるよな?」
中尉「これ以上ごねるなら“交渉”は無しだ。あとは……言わせないでくれ。」
ジャンク屋「(……なるほど、そこまでして手に入れたいってわけか。)
ジャンク屋「まぁあんたの言い分もわk」
相棒「 異 議 あ り !!」ズイ
ジャンク屋「おいこら、お前邪魔すんな!」
相棒「だってそうでしょ?拾い主に言えないなんて、どーせろくな事じゃないに決まってるって。」
中尉「ほほう、これはこれは随分強気なお嬢さんd……!!」
相棒「……なにさ?」
中尉「お、お前は……?」ジリッ
相棒「ボクの顔に何かついてるの?」
中尉「いや、馬鹿なそんなはずが……!?」
部下1「いかがなされましたか中iどわっ!?」バキッ
部下2「ぎゃっ!?」ガッ
中尉「なんだ!?」
ジャンク屋「あ、あんたはっ!?」
女剣士「……間に合った。」スゥ…
中尉「その光学迷彩と長剣、それに強化外骨格鎧……貴様、“帝國秘密警察”だな?」
女剣士「……そう。」
中尉「摂政殿の走狗がこんな辺境まで、何の用事かね?」
女剣士「彼らは我々の保護対象。こちらに渡してもらう。」
相棒「(なんか、変に話が拗れて来てるけど……?)」ヒソヒソ
ジャンク屋「(とりあえず様子を見るか、動いたら何されるかわかんねーし。)」ヒソヒソ
相棒「(そうだね…。)」ヒソヒソ
中尉「保護対象……ねぇ?」
女剣士「こちらとしても目立ちたくはない。事を荒立てたくはない。」
中尉「目立つも何も。」
中尉「我々は我々の管轄下において、法的手続きを取った上で、物品の押収を行なっているだけだ。」
女剣士「摂政閣下の勅命が出ている。貴方達“軍部”の出る幕ではない。」
中尉「ほほう、“摂政閣下の勅命”とやらが、陸軍大将閣下の命令も法律も無視するもんだとは知らなかったよ。」
女剣士「摂政閣下の勅命はすなわち帝國皇帝陛下の勅命。素直に渡して欲しい。」
中尉「陸軍の指揮権も先帝陛下から大将閣下へ直接委任されている。摂政閣下とは同格の扱いのはずだがね?」
女剣士「……貴方と話していても無駄。」
女剣士「これ以上妨害するなら“超法規的措置”を取らせて貰う。」
中尉「ほほう。それはそれは奇遇だな……」
シャッ!
女剣士「ッ!」
中尉「ちょうど同じ事を言おうとしていたところだッ!」ヒュンッ
ジャンク屋「今だ!逃げるぞ!!」
相棒「う、うん!!」
ミク コクッ
女剣士「逃げられる……!」
金的!
中尉「おうほぉっ!?」
部下1「ちゅ、中尉殿!!」
中尉「た、タマッ!たまが!たまげたああああああああああああ!!」ゴロゴロゴロ
ジャンク屋「おい、早く出せ!」
相棒「わかってるってば!」ガチャガチャ
女剣士「まって!」
カチッ brrrrrrrrrrrr…
相棒「点いたッ!」
キキィィーッ
女剣士「……っ。」ダッ
中尉「わ、私はいいからッ……バイクで、早く追えェェ……!!」
部下2「は、はっ!」
ジャンク屋「お、おい、追って来たぞ!?」
相棒「任せて!ポチっとな。」ポチッ
ギゴガゴギゴガゴ
ミク<変形してる?>
相棒「合言葉はッ!!」
「『 速 さ が 足 り な い !!』」
ドヒュンッ!
部下1「な、なんだあのスピードは!?」
部下2「作業用バギーだよなアレ!?」
部下1「なんでバイクの俺らが追い付けねェスピードで走ってんだアレ!?」
ジャンク屋「なんかすげぇスピード出てねぇか!?」
相棒「そりゃそうだよ、僕が直々に魔改造したんだもーん。」フンス
ミク<強度とか大丈夫なんですか?>
相棒「だいじょーぶだいじょーぶ、ヅダみたいにならないからー!」
ジャンク屋「加速し過ぎてブッ壊れた奴と一緒にすんなよ、縁起でもない。」
ミク<その発言も大丈夫なんですか?>
*バスの車窓から*
子供「……おかあさん、おかあさん!」
母「どうしたの坊や?」
子供「向こうからすっごい速さで車が走ってくるよ!」
母「あらやだ、危ないわねぇ。」
子供「おかあさん、おかあさん!」
母「どうしたの坊や?」
子供「この バス から となり の 車 の やね に 人 が とびのったよ!」
母「……悪い夢でも見たのね、可哀そうに。」ナデナデ
子供「ほんとうだって!見てよ!」
母「はいはい。」
子供「ほら!見てってばー!」
母「まったく、そんなわけないでs……!!」
…
がんっ!
相棒&ミク「「!」」
ジャンク屋「なんか屋根の上で音が!?」
ズバンッ!ズバズバッ!
ジャンク屋「ゲゲェーッ!屋根付きバギーがあっという間にオープンカーにトランスフォーム!?」
がしゃーん
女剣士「…………みつけた。」チャキッ
相棒「あーッ!!こいつ、車の屋根を!!」
ジャンク屋「ってちょ、おま!!」
相棒「何さ!?」
ジャンク屋「前前前!前見ろ前ええええええええええ!!」
相棒「へ?」
相棒が視線を戻した先はT字路で、
相棒「わあああああああああああああああ!?」
その正面は八百屋が客と談笑しているところであった。
ジャンク屋「うおおおおおおおおおおおおお!?」
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!
女剣士「ッッッ!!!」
どかーん!
クルマ カラ ヒト ガ オチタゾー!ギャー!ウワー!
相棒「さーてもう一発ブーストかけて一気に逃げきっちゃうよー……って、あれ?」カチッ
ジャンク屋「……嫌な予感がすっげぇするんだけど、どうした?」
相棒「アクセル掛かんない……」カチッカチッ
ジャンク屋「え?」
相棒「さっき上でゴチャゴチャやってたせいかも……」タラー
ミク<どういう事ですか?>
相棒「バギー
止まる
オワタ\(^o^)/」
ミク<把握>
プスン……
ジャンク屋「ヤバいな、よりによって検問所の前で……!」
相棒「ヤバイ、止まっちゃうよ……!」
??「おい、そこの屋根全開バギー、脇に寄せろ!」
相棒「げっ」
??「この時間の、この街を、この通り沿いに、このスピードで抜けよう、というお前達の読みは間違っちゃあいない。」
??「この辺りの道と交通事情に詳しい人間だからこそ出来る芸当だ。」
ジャンク屋「んなっ!?」
中尉「だが、私もこの辺りの出身でね。先回りさせて貰ったよ。」ニヤァ ジャンク屋「……クソッタレ。」
中尉「んっんー、聞こえたぞー青年ー?」
バキッ
ジャンク屋「ぐほっ!?」
相棒「ちょ、乱暴しないで!!」
中尉「おおっと、これは失礼。手が滑った。」ニヤニヤ
中尉「全員、本部に連れて行け!」
部下s「はっ!」 *その頃、T字路の八百屋*
八百屋「おいおい、大丈夫かッ!?」バタバタッ
女剣士「……」むくり
八百屋「アンタ、車から放り出されたんだぞ?」
女剣士「野菜が……。」
八百屋「そ、それもそうだが……大丈夫かあんた?」
女剣士「……平気。」 コキッコキ
八百屋「ぶ、無事ならいいんだがよ……」
女剣士「……ごめんなさい。」ダッ
……
*独房*
ジャンク屋「(捕まっちまった……)」
ジャンク屋「(相棒の方もどこ連れて行かれたかわかんねーし、ミクもどうなったかわかんねぇし……)」
ジャンク屋「クソ、なんて厄日なんだ……。」
オ、オイ キサマ ナニモノd ドガッ バンボッビィ!
ジャンク屋「!」
ケ、ケイビヲヨb バギョッ オプティマース! ガンッ
女剣士「……。」ストッ
ジャンク屋「あんたか……こんなとこまで殺しに来るとは、随分律儀なこった。」
女剣士「……殺す?」
ジャンク屋「どうしてもロシナンテもねぇよ。勅命だのなんだの言ってたじゃねーか。」
女剣士「……わたしは殺し屋じゃない。」
ジャンク屋「……………………………は?」
女剣士「今回のわたしの任務は無力化、あるいは破壊。殺人ではない。」シャキン
ジャンク屋「今更何言ってんだよ。さっき俺を殺そうと……!」
女剣士「当初、あなた達にはスパイ容疑が掛かっていた。」
女剣士「わたしの使命は皇帝陛下、そして帝國市民の害悪になる物を隠密の内に排除する事。」
女剣士「だからあなたに見つかった時、あなたを何らかの方法で排除せざるを得なかった。」
ジャンク屋「ジョーダンきついぜ。勘違いで殺されるとかたまんねぇよ。」
女剣士「……ごめんなさい。」
女剣士「これからあなたを脱出させる。」
ジャンク屋「何だって?」
女剣士「元々あなた達は巻き込まれただけの被害者。」
女剣士「こうなったのはわたしのミスが原因。貴方の相棒も必ず助け出す。」
ジャンク屋「……そんな台詞、俺が信用すると思うのか?」
女剣士「とにかく今はわたしを……」ヒュンッ
兵士「動くな貴様達ひでぶっ!」スカーン
女剣士「……信用して欲しい。」
ジャンク屋「(あ、あっぶねEEEEEEEEE!!!)あ、ああ、わかったよ。」
ジャンク屋「いや、それで俺と相棒は助かったとして……ミクはどうなるんだ?」
女剣士「?」
ジャンク屋「さっきの陸軍の糞野郎もそうだが、アンタらの本当の狙いはミクなんだろ?」
女剣士「……あなたには関わりの無い事。知らない方がいい。」
ジャンク屋「いや、あるね。」
女剣士「何故?」
ジャンク屋「あいつは俺のダチだ。よしんば俺が平気でも、相棒の方が黙ってない。」
女剣士「……彼女の正体は───────────。」
…
中尉「“最終兵器”の起動コード……ですか?」
将軍「そうとも。帝國軍が大戦中に開発、完成までこぎつけていたが、摂政派に先を越され、起動コードを封印されてしまった。」
中尉「そして、最終兵器は夢のまた夢と消えた……はずだった。」
将軍「そうだ。近年、摂政派のデータベースから、開発者の作業日誌が見つかった。」
中尉「失われたはずの起動コードは、実はボーカロイドにインプラントしてあったわけですね。」
中尉「それで作戦名が“唄わない歌姫”というわけですか……」
将軍「ふふ、いいセンスだろう?」
中尉「ええ、なかなかロマンティックな事で。」
中尉「衛星軌道上から太陽光を集束し、ピンポイントで目的地点を焼き払う……まさに無敵の兵器ですなぁ。」
中尉「しかもナノテクを利用した自己防衛システムと自己修復システムを搭載しているから、劣化や撃墜の恐れもない。」
将軍「……当時わしは階級が低かった。力が足りなかったのだ。」
将軍「あの“兵器”さえあればあの屈辱の講和条約を結ぶ事も、先帝陛下も退位なさる必要なかった。」
中尉「そして女子供に帝位を汚されるような事も、摂政派に牛耳られる事もなかった!……ですよね?」
将軍「そうだ、よくわかっているではないか。」
中尉「まぁ、将軍閣下、ひいては先帝陛下の御意志ですからね。当然です。」
将軍「時は満ちた。今度こそは摂政ごとき愚物に付け込まれる隙など与えん。」
将軍「戦争の傷も癒えた今こそ、前大戦の雪辱を晴らすのだ。」
…
…
ジャンク屋「そんな事ほいほい喋っちまっていいのか?」
女剣士「貴方が聞いたのに。」
ジャンク屋「……確かにそうだけどさ。」
女剣士「わたしは貴方に借りがある。」
ジャンク屋「借り?勘違いして殺しかけた事か?」
女剣士「それもある。」
ジャンク屋「それも、って、それ以外に何かあったっけか?」
女剣士「……その後貴方が助けてくれなかったらわたしは射殺されていた。」
ジャンク屋「ああ、その事か……アンタも律儀ってか、大概御人好しだな。」
女剣士「貴方ほどじゃない。」
ジャンク屋「は?」
女剣士「何でもない。」
*独房*
兵士1「いやー、眼福眼福。」
兵士2「最初この仕事任せられた時はめんどくせぇと思ったが、なかなかどうして俺自身の籤運を褒めたくなるね。」
相棒「むーむー!」
兵士1「ホントけしからん身体しているぜ。スリーサイズいくつだこいつ?」
相棒「むぐぐー!!」
兵士1「確か資料だと未成年らしいが、それでこのスタイルは反則だろ〜。」
兵士2「しかもこいつあれだぜ、幼馴染設定あるらしいぜ。」
兵士1「どうせあれだろ?鈍感でウブな男と二人暮らし〜みたいな設定なんだろ?」
兵士2「いや、そうと見せかけて実はヤリまくりかもしれないぜ?」
相棒「むぐう、むぐうー!!///」 ブンブン
兵士2「そういえばよぉ、ちょっと気になってたんだけど。」
兵士1「ん?」
兵士2「こいつをとっ捕まえた中尉殿って中央、“帝國軍中央司令本部”の人だよな?」
兵士1「ああ、それが?」
兵士2「なんでこんなとこに来たんだ?」
兵士1「お前は新入りだから、知らねえんだよな。」
兵士1「あの中尉殿は元々この地方出身でな。」
兵士1「この支部での実績を認められて、さらに将軍の推薦で本部へ異動したらしい。」
兵士1「言うまでもなくエリート街道への仲間入り、栄転中の栄転ってわけだ。」
兵士2「……で、なんでそんなエリート様がこんなド田舎に戻って来たんだ?」
兵士1「……これはあくまでも噂なんだが、」
兵士2「ふむふむ?」
兵士1「あの中尉殿、実は将軍のスパイだったらしい。」
兵士2「えっ、マジで!?」
兵士1「今回この支部で新兵器の大規模演習やるって話も、
中尉殿が集めてきた中央のお偉方の弱味を将軍が利用したから実現したんだとさ。」
兵士2「ひぇ〜……やんごとなき方々のやりとりってのは怖いねぇ」
兵士1「ま、本当のとこは知らんよ。単にヘマして左遷食らっただけかもしんねーし?」
兵士2「いや、待てよ、そういや家族の話も聞かんなぁ……こっちにオンナでもいるのかな。」
兵士1「ははっ、そうかもしれんなぁwあの人まだ若いみたいだしなww」
??「なるほどなるほど、お前達はそう思っていたわけか。」
兵士1「は、へっ、ちゅ、中尉殿!?」
兵士2「い、いつ頃からそちらに!?」
中尉「んっんー。お前達がそこの捕虜について下劣な品評に熱中していた頃からだな。」
中尉「私に関する評判も、実に興味深かったよ。」
兵士s「ひ、ひぃっ、ご、ご勘弁を!!」 ワタワタ
中尉「今しがたの暴言は聞かなかったことにしておいてやる。一つ頼みを聞いてくれないか。」
兵士1「は、はいっ、なんでございましょうっ!?」
中尉「そこのメスガキに幾つか尋ねたい事がある。20分程度で構わん、少し外せ。」
兵士1「ははーっ!!では、調書を持って参りますので……」
中尉「ああ、要らん。」
兵士1「へ?」
中尉「そこまでする事じゃない。あぁ、そうだな、あと、監視カメラとマイクも切っておけ。」
兵士1「!ははぁ〜、なるほど。」 ニヤリ
兵士2「し、しかし、お言葉ですが、それは規定違反になってしまうのではないかと…?」
兵士1「バカ!中尉殿の仰られている意味がわからんのか!!」 ゴツッ
兵士2「あいてっ!」
兵士1「中尉殿は、 そ こ の 女 と 二 人 っ き り に な り た い 、と仰られてるんだ!」
中尉「オホン……言い方はアレだが、まぁ、そういう事だ。」
兵士2「あ、あぁ〜……なるほど。」 ニヤニヤ
兵士1「しかし、中尉殿もなかなかスミに置けませんなぁ。」 ニヤニヤ
中尉「……そうかそうか、最果て支部への“栄転”がご希望か。」
兵士1「!!」
中尉「最果て支部はいいぞー?空気が綺麗だし、自然は豊かで。」
兵士2「失礼しましたァァ〜!!」
スタコラサッサ〜
中尉「……さて、邪魔はいなくなったな。」ニヤ
相棒「むぐううううううーっっ!!!」 ジタバタ
* * *
モブ兵士「将軍殿!」
将軍「どうした?」
モブ兵士「例のジャンク屋に脱走されました!」
将軍「なんだと!」
モブ兵士「報告によれば手引きした者がいる模様です。」
将軍「中尉の報告にあった“摂政の狗”だな。ジャミングシステムを起動しろ。」
モブ兵士「はっ!」ダダッ
将軍「いい機会だ、摂政の奴もこれで終わりにしてやる。」
中尉「……遅くなりました!」
将軍「愚か者め、実験前にネズミをなんとしても捕らえろ!」
中尉「はっ!」ダダッ
将軍「この数十年の成果が実るこの時を、よりによって社会のクズ如きに……!!」 …
女剣士「…………っ!」がくっ
ジャンク屋「お、おい、どうしたんだ!?」
女剣士「……ジャミングウェーブが外骨格に干渉している。」
ジャンク屋「それやばいんじゃ?」
女剣士「大丈夫、問題ない。」
ジャンク屋「大丈夫じゃないだろ!?」
女剣士「脱げばいい。」
ジャンク屋「何を言って……どわぁっ!?」
パチッパチンッ ジジジー
ガシャッ
ジャンク屋「ちょ、おま、やめ!!」
ジャンク屋「やめやめやめえええええええええええい!!!」
女剣士「……何か?」
ジャンク屋「スマした顔して何が「……何か?」だ!あんたはルソーさんか!!」
女剣士「下が見えなければ問題ない。どうせぼかしが入る。」
ジャンク屋「上も気にしろ!っていうか、ぼかしって何の話だ!!」
女剣士「光学迷彩が使えず、単なる重りにしかならない以上、外骨格を着ているメリットはない。」ヌギヌギ
ジャンク屋「だったらせめてシャツぐらい着てくれ、さっきノした奴の服あるだろ!」
女剣士「……了解。」ファサッ
ジャンク屋「……ったく、なんで俺の周りの女はどいつもこいつも変なのばっかりなんだ……」ブツブツ
女剣士「……?」
ジャンク屋「……さっきから気になってたんだが。」
女剣士「何?」
ジャンク屋「あの身のこなしといい、タフさといい……あんた、サイボーグって奴なのか?」
女剣士「厳密には異なる。しかし、人間から改造されたという意味でなら、そう。」
ジャンク屋「それってどういう……?」
女剣士「……レプリロイド。」
ジャンク屋「レプリ……なに?」
女剣士「レプリロイド。遺伝子操作を加えたデザイナーベビーを素体に、改造を施された。」
ジャンク屋「そ、そんな事が……」
女剣士「……ボーカロイドの事はどう思う?」
ジャンク屋「え?」
女剣士「ボーカロイドも、わたしも、目的があり、所有者があり、その為だけに存在している。」
女剣士「違いは素材、もっと言えば無機と有機の比率の差でしかない。」
女剣士「ボーカロイドが持ち主を喜ばせる為に存在するなら…わたしは戦う為に存在している。」
女剣士「帝國の敵と闘う事、それがわたしの生きる理由。わたしの存在意義。」
ジャンク屋「……あんた、本当にそれでいいのか?」
女剣士「……何?」
ジャンク屋「いや、なんか無理してんのかなー、って思ってさ。」
女剣士「無理……とは?」
ジャンク屋「こうして話してみると悪い奴でもなさそうだし。」
ジャンク屋「言われてみれば確かにアンタ、人を殺してはいないんだよな。」
ジャンク屋「車の屋根をスライスするような物騒な刀振り回す癖に、人に対しては峰打ちしかしてないし。」
女剣士「……これがわたしの任務だから。」
ジャンク屋「それでいいならいいけどさ。」
??「やあ、待っていたよ侵入者のお二人さん。」
ジャンク屋・女剣士「「!」」
中尉「ここで待ってれば会えると思っていたんでね。」
ジャンク屋「くそっこんな時に……!」
女剣士「…………。」
中尉「君達には随分苦い汁をなめさせられた。」
ジャンク屋「通して……は、くれないよな」
中尉「“交渉はなしだ”と言っただろう?」
ジャンク屋「ですよねー。」
女剣士「ここはわたしにまかせて。」スッ
中尉「ほほう。」
ジャンク屋「……わかった!」ダダッ
中尉「……行ったか。」
女剣士「…………。」
中尉「まァ、わざと行かせたんだけどな。」ニヤリ
女剣士「……何が狙い?」
中尉「ははは。“リベンジ”、とでも思ってくれればいいさ。」チャキッ
女剣士「のぞむところ。」ダッ
… …
ジャンク屋「(……とまぁ、ここまで潜り込んだはいいものの、)」
兵士達「〜〜〜〜〜〜♪(軍歌斉唱中)」ずらああああああ─────────────…………………っ
ジャンク屋「(……どうしてこうなった)」←口パク中
中尉「申し訳ありません、遅くなりました。」
将軍「遅かったぞ、貴様今までどこで何をしていた!?」
中尉「侵入者確保に時間がかかりまして……おい。」
部下1・2「はっ!」
女剣士「……。」ドサッ
ジャンク屋「(あ、あいつ……!)」
将軍「くくく、サイボーグ兵士もこうなっては形無しだな。」
女剣士「……。」
将軍「貴様には後でたーっぷりと聞きたい事がある。」グイッ
女剣士 ペッ
将軍「……ちっ、機械人形め!」ごっ
女剣士「うぐっ!」どさっ
将軍「これから、起動実験を開始する!……気分はどうだ木偶人形?」
ミク「…………。」 ツーン
ジャンク屋「(……ミク!)」
将軍「あくまでも拒絶するつもりか。まぁそれもよかろう。」
将軍「だがしかし、実験の前に、ゴミ掃除をしておかねばならんようだ。」 ニヤ
将軍「おい、そこの貴様!」 ビシッ
ジャンク屋「(お、俺か!?)は、はっ!」
将軍「見慣れん顔だな、どこの所属だ?」
ジャンク屋「……ちっ!」 ダッ
将軍「おい、そこの侵入者を取り押さえろ!」
兵士達「「「はっ!」」」 ダダッ
ガシッ
将軍「くっくっく、灯台下暗しとはまぁよく言ったものだ。どこの手の者だ?」
将軍「大方、連邦の工作部隊か何かだろうが。」
将軍「対抗馬としては、我々の敵対派閥の奴らかもしれんな。大穴で、トチ狂ったコスプレ狂か。」
ジャンク屋「……」 ギリッ
将軍「まぁ答える気がないなら仕方あるまい。」 スチャッ
中尉「将軍!いくらなんでもそれは!」
将軍「敵に子どもも老人もあるか。だから貴様は甘いというのだ。」
ダンッ
ジャンク屋「うがああああっ!?」
ミク「ッッ!?」
将軍「おい、39番!!」
将軍「貴様が駄々こねていると、貴様の大事な色男の風穴が増える事になるぞ!」
??「そんな事させないよッッッ!!!」
一同「!?」
ドゴオオオオオオオン
一同「のわあああああああああ!!!」
プシュー プシュー ガシャコン ガシャコン ガシャコン
ジャンク屋「く、蜘蛛のお化け!?」
将軍「あれは、あれは、まさかァァッッ!?」
ガシャコン
プシュゥー
相棒「二人とも乗って!!」
兵士「に、逃げられる!」
兵士「だ、誰か緊急停止装置w……がはっ!?」ゴンッ
女剣士「邪魔させない……!!」
モブ兵士A「さ、サイボーグ女が手錠を破りやがっデス!?」ベキッ
モブ兵士B「おい、ジャミングシステムが効いてないぞゴック!?」バキッ
モブ兵士C「それ以前にこいつ一体どうやって手錠をやぶルデュエルッ!!」ドカッ
モブ兵士D「な、なんだこいつ、マジで強過ぎャン!?」ガンッ
モブ兵士E「あわわわわ……」
女剣士「わたしの装備を返して。」ズイッ
モブ兵士E「は、はいィッ!!わかりましたから命だけは命だけはンムラビッ!!」ポカッ
女剣士「……殺してないって言ってるのに。」スタスタ
ジャンク屋「お前捕まってたはずじゃ……!?」
相棒「実はね……」
* * *
中尉「……さて、邪魔はいなくなったわけだが。」
相棒「むぐううううううーっっ!!!」ジタバタ
中尉「おっと、静かにしていろ。」
相棒「むぐぐ!むぐぐぐ!!!むーむー!!!」ジタバタジタバタ
中尉「騒がなければ危害を加えるつもりはない。」
相棒「むぐむむー!!!」
中尉「だーもうめんどくせぇな!何もしないって言ってるだろうが!!」
相棒「むー!!!!…………むぅ?」
中尉「だから落ち着け。」
中尉「……あー。」ボリボリ
中尉「勘違いしているようだから言ってやるが、私はお前が思っているほどゲスな奴じゃないぞ?」
相棒「……むぅー?」 ジトー
中尉「やれやれ、信用がないらしい。いや、あれだけの事をしておけば当然か。」
中尉「これが証拠に、今から脱走の手引をしてやる。」
相棒「!!」
中尉「今から拘束具と猿轡を外してやるが、騒げばどうなるか……わかるよな?」 スチャ
相棒「…………」 コクコク
中尉「それでいい……」 カチャカチャッ
相棒「ぶはっ!!」 ケホケホ
中尉「どうだね、少しは楽になったろう?」
相棒「ねえ、なんで助けてくれたの?」
中尉「…………お前、出身はどこだ?」
相棒「え?」
中尉「いいから答えろ、出身はどこだ?」
相棒「さ、さぁ……じっちゃんに育てられたから……。」
中尉「さっきからつけてるその胸のペンダント、どこで手に入れた?」
相棒「え、これ?」ジャラッ
中尉「そう、それ。」
相棒「じっちゃんがくれたんだよ。『お前と一緒に拾った、だからお前のもんだ』って……それがどうかしたの?」
中尉「……いや。」
中尉「さて、脱走の件だがな、」
相棒「ほうほう。」
中尉「この独房を出た先に、開発中の新型戦車の格納庫がある。それを奪え。」
メタルギア
相棒「 戦 車 ?」
中尉「ちゃうわ。新型戦車といってもお前の乗ってた運搬車と大差はない。」
中尉「お前の技量なら運転できるはずだ。部下がお前の運転テクを褒めていたよ。」
相棒「そ、そんな褒められても……///」
中尉「別に褒めてないさ。そしてこれが鍵だ。」 ヒョイッ
相棒「おっと。随分、変わった形の鍵だね。」 トスッ
中尉「技術部で開発中の電子キーだ。これがなければ戦車は起動しない。」
中尉「あと15分程度か……この後すぐここの人員の入れ替えがある。」
相棒「そのどさくさに紛れろ、って事?」
中尉「そういう事だ。」
中尉「監視も緩めておいたから、独房を出たら見張りに見つからんように格納庫へ向かえ。いいな?」
相棒「わかった。」
相棒「ところでさ。」
中尉「なんだ?」
相棒「ひょっとしてアンタとボクって、どっかで会ったりしてない?」
中尉「……どうしてそう思う?」
相棒「いやー、何か目的があるにしたってミョーに親切だなぁー、って。」
中尉「勘違いするな。別にお前の為じゃない。」
相棒「ツンデレ乙」
中尉「あ?」
相棒「ううん、なんでもないっ。ありがとね。」ペコッ
中尉「……ふん。せいぜい頑張れよ。」
カツッ カツッ カツッ …
* * *
ジャンク屋「あの中尉がか?」
ミク「意外ですね。」
相棒「案外、悪い人じゃないのかもねっ!しっかり掴まってて!」 ガコンッ
ジャンク屋「おぉっと!」 ダキッ
ミク「ッッ!?」
ジャンク屋「離すなよ!あと相棒、もう少し安全運転で頼む!」
相棒「おっけー!」
ミク「…… ///」
ガシャコン ガシャコン ガシャコン ガシャコン
兵士「や、奴ら多脚戦車を奪いやがった……!」
将軍「ひ、怯むな!撃てー!」
ダダダダダダダダダダダダダ!!キュンチュイーンカイーンコンアイーンチューン
相棒「そんなひょろひょろ弾、効かないよっ!」 ガシャッ ガコンッ
ギゴガゴ ギゴガゴ
兵士達「「「ひ、ひぃっ!?」」」
相棒「これはミクちゃんに酷い事した分!」
ドバババババババババババババババ (ミニガン)
兵士達「「「「うわあああああああああああ!!!!」」」」
チュインチュインチュイーン
ドシュンドシュンドシュンドシュン (グレネード)
相棒「これはさっき足を撃たれた分!!」
兵士達「「「「ぎええええええええええええええええ!!!!!!」」」」
チュドーン!チュドーン!チュドーン!チュドーン!
ドォン!ドォン! (大口径衝撃砲)
相棒「そしてこれは、さっきのセクハラのお返しだァァァァァーッッ!!!」
兵士1、2「「うひえええええええええええ!!!!!!」」
ズドーン!ズドーン!
ジャンク屋「馬鹿ッ、あんまり人を撃つんじゃねぇよっ!」
相棒「大丈夫大丈夫、当ててないって!ヒャッハー!」
ギャー!ワー!ズドーン!ドカーン!
相棒「ヒィハァァーッ!!いいぞベイベー!戦場は地獄だぜ!!」
ジャンク屋「……お前の将来が心配になってきた。
相棒「何で?」
ジャンク屋「そんな事やってるのが心底楽しそうだからだよ。」
相棒「だってホラ!
相棒「巨大ロボだよ?」
相棒「おまけに多脚歩行戦車だよ!?」
相棒「それを自分の思う通りに動かせるんだよ!!??」
相棒「メカ好きの夢満載じゃん!!わくわくしないわけないじゃん!!」キラキラー
ジャンク屋「……すまんが、それの一体何がいいんだ?」
相棒「別にわかんなくてもいいもーん。君は機械いじりが専門で操縦の楽しさを知らないしねー。」
ジャンク屋「ははっ、まったくお前らしいや……ぐっ!」
相棒「だ、大丈夫!?」
ミク「大丈夫ですか!?」
ジャンク屋「へ、平気平気、かすり傷だ……」 …
ガシャコン ガシャコン ガシャコン ガシャコン
相棒「ここまでくればもう大丈夫でしょー、もうそろそろ出口だよ!」
ミク「貴女は最高のパイロットです。」
相棒「い、いやーそれほどでもー!」デレデレ
ジャンク屋「……。」
ミク「どうかなさいましたですか?」
ジャンク屋「い、いや、ミクって、こんなにいい声してたんだなーって。」
ミク「……ボーカロイドは唄って踊って人間を楽しませる為に造られた物です。」
ミク「唄う事、踊る事、そしてそれを見た人に楽しんでもらえる事、それが私の喜び。」
ミク「……私は生まれてきてはいけなかったのでは?」
相棒「そ、そんな事ないよ……!」
ジャンク屋「……そんな事、あってたまるか。」
ドカーン!
相棒「何事!?」
将軍「フハァァ────ハハハハハハハハハハハハハ!!!」
将軍「どうやってくすねたか知らんが、新兵器が一台だと思うなよクソガキどもめ!」
ジャンク屋「しつこい奴……!」
相棒「大型パワーローダー……!」キラキラキラキラ
ジャンク屋「おい、しっかりしろ。」ツンツン
相棒「……はっ!?」ズビビッ
ジャンク屋「涎拭け。」
ミク「ハンケチどうぞ。」
相棒「あ、ありがとう。」フキフキ
相棒「ちょ、ちょッと待って、衝撃砲で吹っ飛ばすから!」カチカチ
ドゴォォン!!
将軍「効かぬわっ!」ヌンッ
相棒「き、効いてない!?」
将軍「わしの専用機のパワーと装甲ならば衝撃砲ごとき造作ないわァ!!」
ドガシーン!
相棒「すっごいパワーだ、やられちゃうよぉ……!」メキメキメキメキ……
prr!prr!
ジャンク屋「(通信!?)……もしもし!?」
女剣士『……ザザッ……聞こ…え……ザーッ…聞こえてる……?』
ジャンク屋「……あんたか!!無事か!?」
女剣士『……わたしが援護する……ザザッ……指示が欲しい……ザザッ』
相棒「そ、そんな事言われても……」
ジャンク屋「基本的には俺らが使ってるのと同じ設計っぽいな……って事は……」
ジャンク屋「おい聞こえてるか!!」
女剣士『ばっちりと。』
ジャンク屋「あれの弱点は……─────!」
将軍「ぬわーはははははははは!!!!」
将軍「くたばれい売国奴めえええええええ!!!!」
ズバンッ!
将軍「!?」
ガシャコン プシュー……
将軍「な、い、いきなり出力が……!?」バチチッ
女剣士「…………油断禁物。」シャキン
ジャンク屋「よっしゃ、膝突いたぞ今だッ!!」
相棒「隙ありぃいいいいいいいいいいい!!!」
ドカーン!!
…
*要塞の外*
ガシャコンッ プシュー……
相棒「あいたたた……」
ジャンク屋「派手にブッ壊したなー……大丈夫か?」
ミク「私は大丈夫です。」
相棒「ちょ、ちょっと足捻ったかも……ま、平気だけどね。」
ジャンク屋「しょーがねーなーもう……いててっ」
相棒「無理しなくていいって!」
ガタッ
将軍「この糞ガキがああああああああああああああああああああ!!!」スチャ
カチリ
ジャンク屋「!?」
相棒「あ、危ない!!」
ジャンク屋「(やべっ、足がッ!)」ガクッ
タ────── ── ─ ─ - -………ン
ミク「…………!」バタッ
将軍「な、なにィっ!?」
ユラァッ
ドガッ
将軍「……き、きさま……!!」ドサッ
女剣士「峰打ち。」
女剣士「……殺す価値もない。」
金属の部品を飛び散らせながら倒れるボーカロイドと、彼女に手を伸ばすジャンク屋。
ジャンク屋「───────ッ!」
彼らの頭上の曇り空は、いつからか雨空に変わっていた。 エピローグ
部下1「……中尉殿、“例の物”の回収が完了致しました。」ビシッ
中尉「よくやった。」
部下1「将軍の件は如何しましょう?」
中尉「“事故”だ。中央にもそう伝えろ。」
部下1「はっ!」ビシッ
部下2「例の“侵入者”の件は如何いたしますか?今ならまだ追えますが。」
中尉「放っておけ。社会のクズ二匹ごとき、知られたところでどうって事はない。」
部下2「……よろしいのですか?」
中尉「何がだ?」
部下2「あのペンダント……?」
中尉「……余計な事を。」
部下1「如何なさいますか?今なら引き留められますが……。」
中尉「今回の件は“事故”だ。侵入者など始めからいなかった。そうだな?」
中尉「……雨が強くなってきたな。さっさと片付けて引き上げるぞ。」
部下s「はっ!」ビシッ
*街中*
相棒「ぶえええええええっっっくしょいぶるあああああああっっっ!!!」
ジャンク屋「……ったく、バカでかい声でくしゃみしやがって。」
相棒「なんか、どこかで誰かがボクの噂をしている気が……?」ズズ
ジャンク屋「気のせいだろ。」
相棒「だよねぇ。」
女剣士「……」
ジャンク屋「アンタには世話になったな。ありがとよ。」
女剣士「こちらこそ礼を言わせて欲しい。」
相棒「いやいや、お礼だなんてー。」テレテレッ
女剣士「……“彼女”の事は、わたしの力不足だった。申し訳ない。」
ジャンク屋「いいや、アンタが謝る事じゃない……むしろ俺のせいだ。」
ジャンク屋「俺があの時ヘマしなければ、いいや、あいつの事を見つけなかったら……。」
女剣士「……これはわたしの意見なのだけれど。」
ジャンク屋「……なんだ?」
女剣士「誰がどうしたところで、彼女の事を救う事は出来なかった。」
女剣士「陸軍が回収しようが、わたしが回収しようが、同じ事が起きた。」
女剣士「それにもしわたしが彼女の立場なら……貴方達には幸せになって欲しいと望むはず。」
ジャンク屋「……アンタ、ホントいい人だな。」
女剣士「……では、わたしはこれで。」スタスタ
ジャンク屋「お、おい。」
女剣士「何か?」クルッ
ジャンク屋「……行っちまうのか?」
女剣士「次の任務がある。」
女剣士「それに…」チラッ
相棒「ん?ボクの顔に何かついてる?」
女剣士「……。」
女剣士「……お幸せに。」ニコ
スッ……
相棒「……行っちゃったね。」
ジャンク屋「……俺らも行くか。」
相棒「うん。」
… *要塞の外*
将軍「おのれガキどもめ……ただではすまさん……ッ!」
カツッ カツッ カツッ カツッ カツッ カツッ
中尉「…………。」
将軍「!お前か、ちょうどいい、あの売國奴を殺して来い!」
中尉「……売國奴ですか。」スチャッ
ターン
将軍「んな…………!?」
中尉「悪く思わないでくださいよ将軍閣下、これも“お國の為”ですから。」
将軍「何故…………ッ!?」
中尉「……中央のお偉方の考える売國奴と、貴方の考える売國奴は違うという事ですよ。」
将軍「よ、よせ、やめ……──────ッ!」
… …
帝居。
帝都の中心にその宮殿は立っている。
歴代皇帝の住居でもあり、現帝政の中枢でもある。
???「でやぁっ!」
??「だぁっ!!」
カキンッ
ヒュンッ
???「ぎゃっ!」
キィンッ
???「あいたたた……もう少し加減してよ。」
??「お言葉ですが皇帝陛下、」
摂政「貴女様を狙う刺客は、決して加減などしてはくれませんよ?」
皇帝「で、でも、あんたほどの達人が相手じゃ鍛錬なんて……!」
摂政「何をおっしゃりますのやら。この摂政めは、陛下の御為を思ってこそ……」
皇帝「わかってるわよ。それぐらい!」
摂政「そこまでおわかりならば、鍛錬がまだ足りないのもおわかりいただけますね?」
皇帝「そりゃ、そうだけど……。」
摂政「まだまだ余裕があると御見受け致しますが、陛下?」
皇帝「ぐぬぬ……!」
コンコン
女剣士「……失礼いたします。」
摂政「なんです?」
女剣士「例の件でご報告が少々。」
摂政「ならば仕方ありませんね。陛下、しばし休憩といたしましょう。」
皇帝「…………(`・ω・´)」グッ
摂政「ああ、戻り次第再開いたしますので。」
皇帝「…………(´・ω・`)」
… …
摂政「なるほどなるほど……」
摂政「そういう展開ですか。ま、そういう事なら問題ありませんね。保険も効いたようだから。」
女剣士「……?」
摂政「いやいや、こっちの話。例の彼らは、しばらく様子見て、何か異変がなければそのまま放置で。」
女剣士「はい。」
摂政「……気になるならそれはそれで構いませんがね。」
女剣士「っ!?」
摂政「くつくつ、貴女も女の子だという事ですよ。」
女剣士「…………」///
摂政「あの戦争が終わってからもう随分経ちますね。」
女剣士「……。」
摂政「……この國は未だ危うい均衡の上で成り立っている。」
摂政「軍部には今もなお魑魅魍魎が蠢き、議院や地方では老害や害虫どもがこの國を食い物にしようとしている。」
摂政「陛下も先帝陛下に似て、とても聡いお方ではあるが、まだまだお若い。」
摂政「もうしばらくは私達のような人間が手を汚す必要がある。例えこの両手が血に染まろうとも。」
摂政「貴女も辛いでしょうが、それもこれも全てはこの國の未来の為。」
摂政「もう少しだけ頑張ってください。」ニッコリ
女剣士「……仰せのままに、閣下。」 …
prr!prr!
「ええ。はい。」
「無論、“新兵器の起動実験における事故”です。例の衛星兵器は完全に破壊されました。」
「……ご安心ください。目的の物は回収済みです。」
「新型多脚歩行戦車の駆動データも、大戦中最も手こずったレプリロイド兵士の戦闘データも。」
「……。」
「くくっ、流石の将軍サマも摂政殿も、この私がそちら側のスパイだとは見破れなかったようで。」
「これを機に武断派も大人しくなり、摂政派との交渉もやり易くなるでしょうな。」
「せっかくですから摂政派に恩を売っておくのも悪くないかと……あ、いえ、出過ぎた事でしたね。」
「……。」
「ええ、全て閣下のご意向通りに。」 推奨BGM。これ聴きながら書いた。
ttp://www.youtube.com/watch?v=izTqawUYBPc
ttp://www.youtube.com/watch?v=ysSxxIqKNN0
VIPで見ている内に台詞系SSが書きたくなり、好きな物をごった煮して自分なりに試行錯誤しながら書いた。
書き上げたはいいが、次に待ち構えていた忍法帖のレベル上げが本当にだるかった。
やっとこさレベル11に達してVIPでスレ立てたのに、運が悪くてすぐ落ちた。
俺は、キレた。
確かに、人数とか勢い(ついでに罵倒も)とかはVIPの方が凄かったかもしれない。
が、それでもやっぱ誰か観ててくれるってのはいいものですね。創作発表でやってよかったと思ってます。
徹夜の支援、ありがとうございました。
一応続きの構想もあるのでこのスレは使える限り使いたいと思います。
ただ、帰って来なかったら乗っ取りでも何でも再利用してやってください。 八巻正治教育学博士は【好きな人のパンティ】を被ると変態仮面となり、父譲りの慎重さと母譲りのスタイリッシュを武器に悪者を懲らしめ、ピンチの際は仮面姿+キャミソールを身に付ける事で究極の変態パワーを解放するのだ!! _
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| \ キリキリ
∧|∧ \ キリキリ
ググゥ>(;⌒ヽ \
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( ( ( ´・ω・)、
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⊂_)∪ 家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。
グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"
Y3CJA0WXVZ 知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』
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暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
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