マルチジャンルバトルロワイアルpart20
おそらく需要はないが支給品移動をまとめてみた
表記
数字:話数
(→○○) : 次の話でその人物に移動
(○○より) : その話でその人物から取得
* : 初登場
≪○○≫: 破壊or消滅
<○○> : 不明or放置
死亡後の(→○○) : 支給品が一括で移動 6/6【うたわれるもの】
○ハクオロ
026【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1〜3個(未確認)
042【装備】:(ミュウツーから)*ガイルの剣(血塗れ)@ポケットモンスターSPECIAL *スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み)
061【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:(トウカから)大型レンチ@BACCANO!、(トウカから)ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、
基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み)
070【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、
*クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
091【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE(→クロコダイル)
【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
0104【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
≪ガイルの剣は橋の上に落ちています →橋崩落≫
0123【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、 基本支給品一式×2<ハクオロ、魅音>、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL、 (魅音より)空気ピストル@ドラえもん (魅音より)メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、
(魅音より)排撃貝@ONE PIECE、 (魅音より)デリンジャーの残弾20
0136【所持品】:基本支給品一式×4、 (切嗣より)コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、(切嗣より)防災用ヘルメット、
(切嗣より)コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、(切嗣より)ロープ×2、(切嗣より)消火器、(切嗣より)防火服、 (切嗣より)カッターナイフ、
(切嗣より)黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、(→B-4河原(北岸)→美琴より)双眼鏡、
(→B-4河原(北岸)→美琴より)医薬品多数、(→B-4河原(北岸)→美琴より)ライター、 (→B-4河原(北岸)→美琴より)起源弾@Fate/Zero(残り28発)、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL、
空気ピストル@ドラえもん メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、排撃貝@ONE PIECE、 デリンジャーの残弾20、
(→B-4河原(北岸)→美琴より)鉄パイプ爆弾×4、(→B-4河原(北岸)→美琴より)*治癒符5枚@終わりのクロニクル
0148【所持品】:基本支給品一式×4、 コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、防災用ヘルメット、コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、
ロープ×2、消火器、防火服、 カッターナイフ、黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、
双眼鏡、医薬品多数、ライター、 起源弾@Fate/Zero(残り28発)、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL、 空気ピストル@ドラえもん
メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、排撃貝@ONE PIECE、 デリンジャーの残弾20 鉄パイプ爆弾×4、治癒符5枚@終わりのクロニクル
0160【所持品】:基本支給品一式×4、 コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、防災用ヘルメット、コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、ロープ×2、消火器、防火服、
カッターナイフ、黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、双眼鏡、医薬品多数、ライター、 起源弾@Fate/Zero(残り28発)、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、水)@ポケットモンスターSPECIAL、 空気ピストル@ドラえもん メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、
排撃貝@ONE PIECE、 デリンジャーの残弾20 鉄パイプ爆弾×4、治癒符5枚@終わりのクロニクル
0173死亡
(→佐山)
<大型レンチ@BACCANO! A-2古城跡・庭園に放置> ○エルルゥ
033[装備]:*悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に [道具]:基本支給品一式・首輪探知機(→バラライカ)、
*アミウダケ@ワンピース *サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、*庭師の如雨露@ローゼンメイデン
057死亡
(→E−2→クリストファー、沙都子)
○アルルゥ
015[装備]:*おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式、不明支給品(1〜3)
036[装備]:おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式、(一つ使用)*ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、
不明支給品(0〜2)
065[装備]おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]支給品一式、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0〜2)
078[装備]なし [道具]支給品一式、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0?2)
おはぎ@ひぐらしのなく頃に 完食
0118[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、 不明支給品(0〜2) <アルルゥ>(→クリストファー)、
(仗助から)不明支給品(0〜1)<仗助>
0130[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0〜1) <アルルゥ>、不明支給品(0〜1)<仗助>
0135[装備]なし [道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、 不明支給品(0〜1)<仗助> 、*ひらりマント
0150[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント
0156[装備](春日→F-2橋付近より)トウカの刀@うたわれるもの [道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、
不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント
0172[装備]無し [道具]無し
(→E-2林の何処か)
0177[装備]無し [道具](E-2林の何処かより)支給品×2<アルルゥ、仗助>、 (E-2林の何処かより)不明支給品(0〜1)<仗助> 、
(E-2林の何処かより)ひらりマント、(E-2林の何処かより)トウカの刀@うたわれるもの
0183[装備]無し [道具]支給品×2<アルルゥ、仗助>、 不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント、トウカの刀@うたわれるもの
0192[装備]無し [道具]無し
(→ライダー)
0193[装備]:無し [道具]:(ライダーより)支給品×2<アルルゥ、仗助>、(ライダーより)不明支給品(0〜1)<仗助>、
(ライダーより)ひらりマント@ドラえもん 、(ライダーより)トウカの刀@うたわれるもの、(グラハムより)サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL
0194死亡
(→ミュウツー) この予約はいったいどうなるのか予想できないな…!楽しみ! アルルゥ、レナ、梨花が死んで
放送で一番ダメージ大きいと思ったサトコがどうなるかも気になるな。
症候群再発なんてこともあるか? 列車とは人間が数多く発明した中でも素晴らしいものだと思う。
列車は地に寝そべった線路を伝い、どこまでも進んでいく。
道が続く限り、旅を求める人間が居る限り、列車は止まらない。
喜び、怒り、悲しみ、楽しみ。誰しもが持つ感情が、人の数だけ詰まっている。
社会的な身分や肩書による違いはない。列車は、ただ彼らを等しく迎えてくれる。
ただし、列車の運行を邪魔しなければという決まりはある。
もし、それが破られそうになった時は。
その時こそが、『車掌』の出番だ。
思えば案外と気に入っていたのかもしれない。
人の想いを乗せて走る、箱船の番人が。
たとえ本業である便利屋を忍ぶための、仮初の姿としてもだ。
今までの業務で手を抜いたことなど一度もない。
だからこそ、途中で投げ出してしまった仕事は終わらせなければいけない。
決めたのだから。
この仕事は必ず最後までやり通すのだと。
車掌の仕事だからというわけじゃない。
そもそも、もう名前や肩書なんて大した意味は持たないのだから。
ただ、自分が決めた世界のルールを覆すような生き方はしたくない。
数々の名を捨て、一人の『“怪物(モンスター)”』は依然として世界に立っている。
◇ ◇ ◇ 身体の調子はある程度までは戻ってきた。
赤い毛髪を生やした男は、やや暗い表情を浮かべながらそう考えていた。
数時間前の戦闘が、鮮明に脳裏をよぎる。
勝ちはしたものの、彼が支払った代償は確かにあった。
数を減らした弾薬に、背負わされた疲労に、うちつけられた無数の傷。
だが、弾薬以外の問題は既にかなりといっていい程に解決している。
弾薬だって、新しいものがきっとその内手に入るだろう。
なにせこの世界は彼の一部のようなもの。
すぐには難しいとしても、自分の望みを無下にすることなんて出来やしないのだから、
「あー……どうにも調子が狂うよな。勉強にはなったけどさ」
両手を組み、そのまま頭上に上げて軽く伸びる。
伸ばされた身体と共に吐き出された一言は、内容とは裏腹に呆れるほどに軽い。
死線を潜り抜けてきたばかりとはとても思えない言葉だ。
先程のチョッパーだけでなく、彼はこの殺し合いで多くの参加者と戦った。
力を持つ者、持たない者と分け隔てなく戦った彼は、今までにない苦労を味わった。
力を持った者は誰もが一級であり、力を持たない者も最後まで抵抗をしてくれた。
身体が動かしにくい事も含め、ここでは全てが思い通りにいかないことがよく理解出来た。
「丸一日経ったしなぁ。うん、切り替えていこう。俺は――生まれ変わる!!」
不意に何かを振り切るように頭を左右に振り出し、続けて両手で軽く両頬を叩く。
よし、と自らを鼓舞するかのような勢いがそこにあった。
見る見るうちに表情には生気が戻り、両目にも光が浮かぶ。
ちょうど彼が生やしている、燃えさかる赤髪のような色だった。
たとえ本調子ではなくても、彼は『世界』のために止まるわけにはいかないのだから。
「俺を入れて、あと14人。先が見えないわけじゃない」
先程聞こえてきた放送の内容を想起する。
死者の数は今までの放送とあまり変わらず。禁止エリアとやらも既に記録は取ってある。
自分が殺した参加者の名前も聞いたが、今更抱く感情はなかった。
いくら自分に喰らいついてきたとしても、死んでしまえば意味はない。
この会場のどこかで知らぬ内に死んでいった幼馴染のように。
ただ、忘れることは決してしない。それが彼なりの彼らに対する敬意の現れなのだろう。
「そういえばギラーミンってヤツは死んだんだな」
死んだ人間はもう一人居るらしい。
この殺し合いの首謀者ではなく、進行役だった男、ギラーミン。
切り捨てられたのかはわからないが、彼にとってはどうでもいい。
まだ新しく進行役となった、キース・ブラックという人間の方が気にはなる。
先程の放送で色々と好き放題言ってくれた事を、彼は覚えていた。
いつかはお礼をしなければいけない。
キース・ブラックの話しに出た、願いを叶えてくれる存在を確認した後にでも。 「……まったく、どうしてこんなところに居るんだろうな」
思えば不思議な話だった。
便利屋である自分が、金も貰わずに誰かを殺し回っている。
一銭の金にもならないし、殺してやりたいやつらじゃない。
殺すだけでは飽き足らず、ヘンテコな銃を振り回して、奇妙な人形を引き連れている。
不意に幼馴染達が今の自分を見たらどう思うかを考えたが、直ぐに答えは出た。
きっと笑われて、ぶん殴られる。あいつらならそうに違いないと。
だが、彼はただ殴られるだけで終わる男ではない。
彼なら、殴り返す。殴って、取り戻す。
彼は自らが居るべき場所を取り返すために、人を殺している。
「さてと……しんみりするのはもうなしだ。生まれ変わった俺は一味違う」
死んだ者はもう戻ってこない。
『何でも願いを叶える』という言葉に彼は騙されるつもりはない。
死者が戻ってくる事など絶対に有り得ないと、言われるまでもなくわかっている。
だからこそ、残ったものは取りこぼしたくはない。
まだ生きている筈の幼馴染達の無事をこの目で確認する。
そのために自らの鍛え上げた技術と力以外に、傍らに立つ人形だって利用する。
段々と扱い方に慣れ、時間の止め方のコツも掴めてきたのだから。
やがて、彼の視界に大きな建築物が飛び込む。
どこへ行く理由も目的もなく、ただひたすらに南下し続けていた彼は、表情を崩した。
「“怪物(モンスター)”は“怪物(モンスター)”らしく、お城にでも攻め込むさ。
“騎士(ナイト)”の歓迎の一つでも、あったら嬉しいけどな」
A-2、古城跡。
名前を捨てた『怪物』は、奇しくも同じ『怪物』が待つ場所を見つけた。
そこで待つ『怪物』は、彼が喰らった『怪物』の仲間であることを彼はまだ知らない。
一人の『“怪物(クレア・スタンフィールド)”』は依然として世界を回し続けている。 【A-2/2日目 深夜】
【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】
[状態]:疲労(小)、全身に打撲
[装備]:スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険、スプリングフィールドXDの弾丸×7、拳銃の予備弾×30
二重牙@トライガン・マキシマム(20%、70%)、AMTオートマグ(0/7 予備弾×15)
[道具]:支給品一式×5<クレア、一方通行、レヴィ(一食消費、水1/5消費)、クリストファー、カルラ>、未確認支給品(0〜1)
クリストファーのマドレーヌ×8@バッカーノ!シリーズ、ミカエルの眼の再生薬×3@トライガン・マキシマム
噴風貝(ジェットダイアル)@ONEPIECE、応急処置用の簡易道具@現実、痛み止め
パ二ッシャーの予備弾丸1回分、ロケットランチャーの予備弾頭2個
○印のコイン、AK47カラシニコフ(0/40、予備弾40×3)、蓮の杖@とある魔術の禁書目録
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、キース・ブラック達から元の世界へ戻る方法を聞き出す。
1:優勝のために他の参加者を殺す。迅速に、あらゆる可能性を考慮して。
2:フィーロを殺した相手が分かったら、必ず殺す。
3:スター・プラチナに嫌悪感はあるがある程度割り切っている。
【備考】
※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明)
※ほんの一瞬だけ時間停止が可能となりました。
※名前を聞いていなかった為、カズマとクリスの死を知りません。
※もう一度ミカエルの眼の再生薬を服用すれば、命に係わるかも知れないため使用しないほうがよいと思っています。
※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。 投下乙です!
うお、ロワにきて味わった苦戦やコンクリートや悲しみや何もかも
一言で区切りをつけてしまえるとは…!
クレアの怖いところは天才的な戦闘力よりなによりこの精神の怪物的な強靭さだなぁ
残念、お城にいるのは騎士じゃなくて剣士だw
そういやチョッパーの最期を仇の口から語られることになるゾロの心境はいかほどか
古城勢にとって一番戦いの相性の悪そうな奴が最初にやってくる、
これは一体どうなるんだ 投下乙です!
クレアさっぱりと生まれ変わるの巻。一日経ったのをこう使うとは。
原作最新刊で達人10人相手に舐めプして遊んでたし、何人相手でもガチで負けるビジョンが見えないぞ、この怪物は。
ゾロの技とか佐山の細工とか全部見抜きかねない努力する天才に対して古城組はどう戦っていくのか… 投下乙!
生まれ変わった、凄い表現だ
今までの諸々を切り捨てるのではなく、切り替える
さてもう一人の世界の中心と出会っても、陽気な怪物は世界を回せるかな したらばの方にも書きましたがこちらでも。
このたび延長しましたが、遅れ気味だったところ諸事情により執筆時間がとれず
完成は困難だと判断いたしまして、予約を破棄させていただきます……
楽しみにされていた方、申し訳ありませんでした。 年始は色々忙しいですよね
また時間が出来たら予約して下さい! 小さいもの大好きな小鳥遊君が、小さいものに裏切られたのだから仕方ない そんなこと言ってたら予約来てたー!?
ヒャッハァアアア!! おお!バレンタイン仕様だ!!
アルルゥ可愛いなぁ。でも二枚目wwwwww
予約も楽しみ! うおおおおおお! 熱い支援が着ている!
これはテンションあがらざるをえない 可愛いなあ〜…!これは是非ほしい…が2枚目wwww ゲームで吉良の声が聖上&ケリィと同じだと聞いて、ここを思い出してしまった クエスチョン
小鳥遊宗太にとって、伊波まひるとはどのような存在ですか?
アンサー
――――。
##########
どうして、彼女が死ななければいけなかったんだ。
俺が第一に思ったのは、伊波さんの死の否定だった。
死。消失。デリート。
言葉では様々ではあるが、確かなことは一つ。
伊波まひるとは、もう二度と会えない。
悔しいに決まっている。悲しいに決まっている。
この胸を締め付ける鈍い痛みは、俺の思考力を削ぎとっていく。
君の笑顔をもう見れないという純然たる事実は、俺をへたり込ませるには十分だった。
出会いは碌なものではなかったけれど、俺にとっては思い出となっていたんだ。
そもそも、いきなり殴られるなんて予想もつかないって。
あれはすごく痛かったなぁ……。
ああ、戯言だ。
もう会えないとわかっていながらも、俺はこの戯言――逃避を抑えることはできない。
伊波さんのことを忘れて、前を向くことなんて出来はしない。
伊波さんはよくもわからない怪物に乗っ取られて、一度は助けられたと思ったのに。
結局、死んでしまった。いや、殺された?
殺したのは誰だ? あの銀色の小さな女の子?
殺されたらどうする? 復讐でもするのか?
「できる訳……ないだろッ!」
小さなものを愛する俺にはどうしても、それができなかった。
復讐に身を任せることが一番の逃げ道と理解しているのにもかかわらずだ。
どうあっても、超えてはいけない境界線を超えることを、俺は許せない。
畜生…………。
畜生、畜生、畜生。
俺は……俺は……っ! 「ああああっ、ぁぁアアア、がああああああああっ!」
口から自然と叫び声が上がる。
大きな声を叫び散らして。掠れた声を何度も何度も絞り散らして。
そうでもしないとやっていられない。
彼女を失った痛みを少しでも和らげる為にも。
そして、和らげるが故に、優勝という甘美な誘惑に一瞬、心を揺らされてしまった。
きっと、望まない。
伊波さんはこんなこと、望まない。
佐山君達を殺して、俺が優勝して。
君を蘇らせるという願い事を――否定するだろう。
そもそも、優勝するにしても……俺一人で残りの参加者達を倒せるのか?
ノーだ。断言できる。
怪我をしている佐山君にさえ敵わない俺が、できるわけがない。
それでも。それでも。それでも……っ!
俺は君の笑顔を、もう一度見たいんだ。
こんなにも辛いなんて思わなかったんだ。
君がいない世界が寂しいと思ってしまうなんて、ね。
それは何故?
どうして、俺はこんなにも伊波さんの笑顔を見れないことが辛いんだ?
もう一度――彼女の蘇生を考えてしまうくらいに、恋焦がれてしまうんだ?
「もしかして?」
そう、あるはずのない可能性。
俺が小さなもの以外で、12歳以上の年増を好きになる訳がない。
だけど。伊波さんともう会えないと知った今、俺は何を考えていた?
どうにかして、彼女の笑顔を見たいと思わなかったか?
また一緒に、君とワグナリアで働きたいと考えなかったか?
少し顔を赤く染めて微笑む彼女を可愛いと思わなかったか?
「……気づくな、気づくなっ!!!! 気づいたら、戻れなくなる…………っ」
――もう遅い。遅すぎた。
散らばっていたパズルのピースは全て揃ってしまった。
もう、気づいてるはずなんだ。
確かめようがないなんて嘘っぱちだ。
そんなの、俺が作った逃げ道でしかない。
彼女の想いの行方はわからずとも、俺の想いの行方はわかるはずだ。
俺自身が認めたくなくて、逃げているだけ。 「俺は、俺は……っ! 伊波さんのことが」
自然と、口から言葉が漏れだしてしまう。
もう、出してしまうしかない。
だって、仕方がないだろう? これ以上は誤魔化しがきかないんだから。
小鳥遊宗太が伊波まひるに対してどう思っていたかって?
そんなの、決まってるだろ……!
「すき、だったんだ――――!」
好きだよ! ああ、好きだったよ!
彼女のことが心の底から好きだった!
そんな彼女が目の前で崩れていくのを見て、俺は思ったさ!
どうしてって! まだ、俺は君にハッキリと好きだって伝えていないのに!
「ごめんっ……ごめん……! 好きって言えなくて、ごめん……!」
もっと、速く。この殺し合いに呼ばれる前に伝えていれば。
俺が勇気を出して、君に向き合っていれば。
「……くそっ。クソっっ!!」
もう過ぎたことだ。伊波さんは死んで、俺はまだ生きている。
俺だけが生きているのだ。
だから――。
「生きてやる……絶対、最後まで生き残ってやる!」
――俺は生きるよ。君が繋いでくれた分まで。
後追い自殺? それだけはやってはいけない。
俺が死んだら、誰が伊波さんの死をワグナリアの皆に、伊波さんのお父さんに伝えられるのだ。
この役目は俺しかいない。否、俺だけしかやってはいけない“仕事”だ。
「このまま不貞腐れてちゃ、いけないよな……!」
結構、時間はかかったけれど。
立ち上がろう。横に君が並び立ってくれないのは悲しいけれど。
心に、君を強く刻み込む。それで、今は我慢しよう。
君の好きなままの小鳥遊宗太でいるから。
他の誰が君を忘れることになったとしても。忘れない、君のこと。
「俺は……伊波さんが好きでした!」
もうすぐ、現実――どうしようもないぐらいにクソッタレっている世界に意識は戻るだろう。
きっと、辛い。何度も君がいない事実に、俺は苦しめられると思う。
ずっと、ずっと。俺は――君を想って痛みを抱えてしまうかもしれないけど。
もう少しだけ、頑張ってみようと思うんだ。
いつか、俺が君の元へと向かう時。
今度は俺から、君に好きだって伝えるまで。
だから、今はまたねって。さよならなんかじゃない、こういう時はいつか会えることを考えた方が楽しいから。 「またね、伊波さん」
――うん。またね。
だから、気のせいだろう。
振り返った瞬間、君の笑顔がほんの数秒だけ。
俺の視界に映ったのは……気のせいだ。
だけど。そんな幻でも。
嬉しいと思ってしまった自分の現金さに少し笑ってしまって。
「行ってきます」
君の分まで、俺は進むよ。
ゆっくりでも、前に。
##########
クエスチョン
小鳥遊宗太にとって、伊波まひるとはどのような存在ですか?
アンサー
俺が好きだってハッキリ言える女性です。
【A-2 居館一階 応接間/1日目 深夜】
【小鳥遊宗太@WORKING!!】
[状態]:全身に痛み、気絶中(もうすぐ目覚め?)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、地下の地図、伊波まひるのヘアピン@WORKING!!
[思考・状況]
1:絶対に生き残る。
※獏の制限により、過去を見る時間は3分と長くなっています。このことに気づきかけています。
※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。
※放送は聞いていません。 投下乙です!
小鳥遊君がついに認めよったぁああああ!
ああくそ、いなみんが生きてる時に落ちてればいいものが見れたかもしれないのに…いや、性格上無理だなぁ
認めるまでの思考が甘酸っぱい、しかし取り返しのつかない思いを
きちんと正面から受け止める所が男前だよ小鳥遊君!
しかし改めて、殺意を抱くこともできないレベルの小さい物好きって筋金入りだ
モヤモヤ組最後の一人、小鳥遊君も吹っ切れて
古城組を待ち受ける波乱に対する準備が出来た、といえるかな
どうなるか楽しみだ 投下乙!
小鳥遊君ふっきれたか!
いなくなってから気づくとは皮肉だが、ここまでしっかり前を向けたならよかった
いやーでもまさか「俺が好きだってハッキリ言える女性です。」とまで吹っ切れるとは
佐山先生の荒療治がきいたかな 投下乙!
小鳥遊ついに認めよった!
普段なら絶対に認めなさそうだけど、気絶中だからこれはありえる。
これからの佐山との絡みが気になります! 『人の存在、もしくは消失は、他者に認識されることで初めてその事実を浮き彫りにする』
◇ ◇ ◇
劇場。
老若男女の役者によって、華やかさをもたらす大道具によって、アクセントを加える小道具によって、あっと驚く様々な仕掛けによって。
恋した少女と結ばれる喜びを、最愛の夫を喪う哀しみを、裏切った親友への怒りを、ハッピーエンドで締めくくられる楽しみを。
そして、それ以外の大げさな細やかな、ありとあらゆる感情さえも。
観客たちに見せて、聞かせて、感じさせる、人が創り上げてきた文化の拡散場。
そんな世界が、壊されていた。
このホールの主たるステージ。その壁はへこみ、幕は穿たれ、床は抉られた上に一部は『消失』している。
ガンマンたちによる決闘の爪痕は、整えられていた演劇の場をいっそ芸術的なまでに戦いの場へと仕立てあげていた。
一方、客席を汚しているのは折れたり曲がったり絶たれたりしていて元の管の形を保てていない鉄や、もはや誰にも座ってはもらえない千切れたクッション材だ。
砕け散り、散乱している材料たちをよくよく観察すれば、それらが魔王の力によって散らされたパイプ椅子のなれの果てだと分かる。
舞台裏では、男女を助ける役を請け負う人形(デウス・エクス・マキナ)が地面に這いつくばっていた。
とある参加者を殺人鬼から救った見返りを求めることもなく、天から現世へと落とされた天使(大道具)は温和な微笑みを地の底に向けて浮かべ続けている。
まるで小さな戦争が起こったかのような、荒れ果てた様相を露わにする空間だった。
舞台は荒らされ、武器の欠片が打ち捨てられ、天からの遣いは神託を寄越すこともなく沈黙を保っている。
無惨に破壊されたモノたちは、この場で行われた戦いの激しさ、苛烈さを己らの欠損した身体を以て語っている。
しかし、それでもまだ足りないと言わんばかりに、この空間に充満しつつあるモノがあった。
ただの戦いではないと、単なる争いではないと。
まるで戦争のようだと表現し得る、行われたのは殺し合いだと証明し得る要素。
死の香りだ。
それは、人と人とが傷つけ合った結果、外界へと剥き出しにされる命の証。
生を奪い合う戦いの、死を与え合う争いの果てに流出し、戦場を赤黒く染める色。
血の匂いだ。
夥しい量の血液が、一人の人間の身体中から零れ落ちていた。
数々の気に食わない人間を殴り倒してきた、両の腕が断たれていた。
死体を踏みつけ生きている人間を足蹴にしてきた、両の脚が切られていた。
いわゆる四肢たる部分が、本体と永遠の別れを余儀なくされ、客席に転がっている。
作り物では決して有りえない生々しいヒトの残骸が、劇場という優雅たるべき世界を完全にぶち壊していた。 壊れた世界の隅っこで、彼は空(くう)を見上げていた。
スポットライトの当たらない位置で。
見上げる先には、天井がある。
飽きることなく、何かを求めるかのように。
彼は、届かない高みへと獰猛な笑みを送った。
「なんで」
『落ちていた』彼を見つけ、嘆きを漏らした少女の声がした。
男は返答を行えない。いつもの軽口も、狂ったような叫びも、発しはしない。
当然だ。
彼――ラッド・ルッソは「頭と身体を切り離されて」喋ることのできる存在ではない。
不死の力を以てしても、力が制限されるこの空間では五体不満足で生きてはいられない。
四肢が奪われるのみならず一首を切り離されてしまっては、彼に出来ることなど何も残されてはいなかった。
「なんで――――死んでるのよ!」
結論を言ってしまえば。
御坂美琴の、目の前で。
同行者だった一人の男が、世界を壊され、死んでいた。
◇ ◇ ◇
「余は人ってもんを王として束ねる上で、沢山の人間を見てきた」
時間がないのはここに来るまでの話で分かっていた。
ここでただ混乱しているだけでは、征服王が追っていたもう一つの命をも取りこぼしてしまいかねない。
「中には、愛する者に先立たれて屍のようになってしまった者もおった」
それでも、何もせずに立ち去るのはどうしても気が引けた。
死んだらおしまい、さようならなんて別れは、したくなかった。
「ただ死に場所を探して、我武者羅に戦場を駆け抜けた兵もいた」
そんなこちらの空気を敏感に感じ取ったのか、ライダーは一歩を踏み出す。
何をしていいのか分からない、それでも何かしたいという私の想いを代行するかのように。 「それで、だ」
埋葬をする時間はない。
その代わりに、とでも言わんばかりに。
「こやつは行く先々で誰彼構わず噛みついていたらしい」
物怖じすることなく生首に手を伸ばし、死者の顔を眠りの形へと変えていく。
いつもやっているように。自然な手つきで。
「グラハムの坊主によれば、最初に集められた場所で殺された女はこやつの恋人だったそうだ」
ホールに響く言葉は、決して私に対する慰めなどではないだろう。
ただ、彼自身が感じたことを、そのまま口に出しているだけのこと。
「これはただの憶測にすぎんが、もしかしたらこの男は」
だけど
瞼を閉じ、永遠の眠りについたラッドの顔は
「死にたかった、のかもしれんなあ」
安らかなものに、見えてしまって。
「それでも、私は」
「アンタに生きていて欲しかった」
◇ ◇ ◇
その森は生命に満ち溢れていた。
草木は生い茂り、緑を飾るように色取り取りの花がぽつぽつと咲いている。
虫は地を這い小鳥が空を舞っている。湖を調べれば小魚の影を見ることもできるだろう。
元気いっぱいの少年少女が駆け回り、暇を持て余した大人たちが散策を行うに相応しい、健全な自然環境。
そう。健全すぎる、自然環境。 お手本のように澄んでいる大気。
誰かに見せるように整えられた景観。
排除されたかのように存在していない害獣、害虫、毒花。
穿った見方をしてしまえば。
参加者たちが不自然だと思わない程度に。
まるで、一つの目的をもってして造られた実験場のような。
まるで、神の手をして完璧たる形に創られた箱庭のような。
『意図をもって互いに殺し合わなければ死人が出ない』ように設計されたような、理想の世界。
つくられた世界の中心で、彼女は空(そら)を見上げていた。
ガサガサと茂みをかき分ける音がしても、彼女は何の反応も起こさなかった。
例え「王様」が迎えに来ようとも、耳をパタパタさせて近づくことも人見知りを発症し離れることもしない。
起き上がることのない彼女の様子を見て、大きな男の陰から息を呑む声がした。
『殺し合い開始から、ついに丸一日が経過した』
無機質な声が難しいお話を始めようとも、彼女の瞳が興味深げに輝くことはない。
なにかを呟くように半開きになった口は、もはや何の呼気も発しはしない。
蟻が、障害物であるかのように彼女の身体を登って、降りていく。
「…………………」
王は何も言わず、悟りきった表情で彼女の前までやって来た。
目線を合わせるようにしゃがみこんだ彼の背中は、普段よりもずっと小さく見えた。
木の枝にとまった小鳥が、淋しげに囀りを奏でる。
「―――――」
男が大きな口から小さく漏らしたのは、いかなる思いを込めた囁きだっただろうか。
彼の言葉は少女に届かず、諦めたかのように開かれた掌の上に零れ落ちていく。
触れた瞼は、生者の手の温かさを拒絶するかのように、冷たかった。
ぱたぱたと動いていた獣の耳は、もう動かない。
ふんわりした尾は、だらりと力無く垂れたまま。
小さな小さな身体は、汚れのない綺麗なままで。
ただ魂だけが散歩に行ってしまったかのようで。
『では、死者の発表に移るとしよう』
結論を言ってしまえば。
征服王イスカンダルの、目の前で。
『アルルゥ』
同行者だった一人の少女が、世界に絶望して、死んでいた。 ◇ ◇ ◇
「……あの」
「そっちはそっちの思惑があって余を止めようとしたのだろ。誤解は互いに存在した」
それでも。
私の放った電撃によって、探知機という便利な道具が壊れてしまったのは確かな事実であり。
もしもイスカンダルが何の邪魔もされずにこの場へ駆けつけることが出来ていたならば、彼女は死なずに済んだのかもしれない。
それに、私が軽率な行動に出なければ、ラッドだって死なずに済んだかもしれない。
それをいうなら真紅だって。ブレンヒルトだって……。
放送という名の、主催者からの絶対的宣告によって。
死なせてしまった、救えなかった仲間のことを思い出してしまう。
仲間のおかげで何度立ち上がることが出来ても、また新たな重みが私を押し潰していく。
仕方のないことだと、どうしようもなかったのだと。
開き直れるほど、私は強くはなかった。
「懺悔も、謝罪も、後悔も、いくらでも後でするが良い」
気弱な考えを、見透かされたのだろうか。
野太い、芯のある言葉が私を現実に引き戻した。
ライダーは、アルルゥの頭を一撫でして立ち上がり
「トニートニー・チョッパー。
ニコラス・D・ウルフウッド。
竜宮レナ。古手梨花」
己が胸に確認するように、静かに彼らの名前を呼んだ。
放送で呼ばれた彼ら彼女らは。死んだと伝えられた彼ら彼女らは。
いずれも、志を同じくする仲間だったのだと。
イスカンダルは毅然とした態度で語った。
彼だって、死んでしまった仲間たちのことを悼んでいるに違いない。
救えなかったおのれの不甲斐なさを、痛感しているに違いない。
だけど、彼は真っ直ぐな眼差しを私に向けた。
「仲間の死から、逃げるのではない。目を逸らすのではない。
背負った上で、進み続ける気概を見せよ!」
叫びは、イスカンダル自身に言い聞かせているようにも感じた。
きっと今まで、この場に呼ばれる以前にも王として沢山の死を、見てきたのだろう。
それでも、何があっても。何十、何百、それ以上の屍を得ながら。
夢を諦めることなく、悲しみに足を止めることもなく。
沢山の想いを抱いて、背負って、進み。
これからもそのつもりで、生き抜いていく。
これはその証明だと言うかのように。
今まで歩いてきた大地の感触を確かめるように、強く一歩を踏み出し。
見たこともないどこかに声を届かせんとするかのごとく、大きく一呼吸を済ませ。
イスカンダルは空に向かって――――吼えた。
「聞いておるのだろう、胸糞悪い神気取りよ!」 あの放送で、新たに放送を行った男は言った。
この殺し合いにはギラーミンなど駒のように扱い、殺してしまえる首謀者がいるのだと。
さながら演劇を楽しむ観客のように、語り部にさえもならずに、遥か高みで嗤っているだけの存在がいるのだと証明された。
イスカンダルが行うのは、そんな未だ姿の見えない黒幕に向けた、雷鳴のように響く宣言だ。
「貴様のような臆病者なんぞが『我ら』を折れると思うなよ!」
一転、ニヤリと笑い、大きすぎる手でばしりと私の背中を叩いてくる。
その衝撃に思わずつんのめり、悪態をつきながらも、私は嬉しかった。
ただ、何もかもを失っただけじゃない。新たに得た繋がりもあったのだと。
ヒリヒリする背中の痛みで、実感出来たのだから。
「せいぜい、ぬくぬくと温まったせまーい穴蔵で怯えながら、我が軍勢の到来を待つが良い!」
死んでいった仲間たちの遺志を継ぎ。
生きている仲間たちと力を合わせながら。
立ちはだかる全ての壁を制覇し、蹂躙した暁には。
きっとその場に、到達すると。
征服の限りを尽くしこの世の果てを夢見た、と豪語する『王』は
「貴様は――――――余が首を取る」
高々と、宣戦布告を告げた。 「さて、余は往くぞ。着いて来れるか、小娘?」
イスカンダルはこちらに向き直りながら、わざとらしく意地の悪い笑みを浮かべた。
同盟者を試すかのように、いまさら小娘なんて記号で呼んで見せて。
この宣言を聞き、お前の方は何もせずにあとを着いて来るだけか、と。
落ち込み、悲しみ、いつまでも燻っているだけなのか、と。
彼なりに発破をかけているのだと分かってはいるけど――――火が付いた。
もう、大丈夫だ。
「私には『御坂美琴』って名前があんのよ、おっさん」
努力の末に辿り着いた学園都市第三位という肩書を。
超電磁砲≪レールガン≫と渾名される御坂美琴を。
「ナメんな!!!」
いつものようにコインを弾く。
今はまだ届かない高みからこちらを見下ろしてる、誰だか知らないムカつくヤツを狙うように。
散り散りになりながらも未だ残っている、私たち以外の12人の参加者に見せつけるように。
『超電磁砲』として放つ先は、星が輝く夜空の向こう。
轟音を置き去りにして撃ち出されたコインは燃え上がり、闇を切り裂き、光となって。
数瞬の後には、儚く大気に溶けていった。
これが、こんなゲームを思いついた大馬鹿野郎に送る、私なりの宣戦布告。
そして「私はここにいるぞ」とこの世界に見せつける、御坂美琴の存在証明だ。
それでこそ我が同盟者に相応しいと呵呵大笑する大男を見上げ、私はふと、この『王』の有り様を思った。
言葉も、行動も、自分の言いたいことしたいことばかりで、理屈も何もあったもんじゃない。
でも、だからこそ人は彼に惹かれ、魅かれていくのだろう。
奪い取った何もかもを受け入れ、背負っていく巨大な旗頭に、みなが集まっていくのだろう。
脳裏をよぎるのは――――何故か、アイツのツンツン髪だった。
「良い顔になったな、美琴よ」
「とーぜん。負けてなんか、いられないんだから」
出来る限り不敵に、力を籠めて笑ってみる。
子供みたいに夢を追い続ける男に。
どんな時でも諦めず、前を向いて進む馬鹿に。
追いつこうと、そう思った。 【F−4 湖岸/一日目 深夜】
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:疲労(小)、胴体に貫通傷×3(小)、全て再生中
多大な喪失感、強い決意、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫
[装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。
[道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、不明支給品0〜2個(未確認)、病院で調達した包帯や薬品類
コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り88枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ)
真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン
ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ
[思考・状況]
0:ライダーの同盟者と合流。
1:首輪を解体できそうな人物(第一候補はグラハム)を探す。
2:一人でも多くの人を助ける、アイツの遣り残した事をやり遂げる。
3:人は絶対に殺したくない。
4:自分と関わり、死んでしまった者達への自責の念。
5:上条当麻に対する感情への困惑。
6:ライダーと行動する。
【備考】
※参加者が別世界の人間、及び参加時期が違う事を聞きました。
※会場がループしていると知りました。
※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました。
※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。
※地下空間の存在を知りました。地下にループ装置があるのではと推察しています。
※会場は『○』の形に成っているという仮説を立てています。
※全て遠き理想郷(アヴァロン)が体内にあることを知りません。
※ラッドの事を『原石』(天然の能力者)かも知れないと考えています。
※参加者についての情報は以下の通りです。
協力できそうな人物:レナ、沙都子、梨花、ゾロ、チョッパー、アルルゥ、佐山、小鳥遊、グラハム、ウルフウッド
直接出会った危険人物:ゼロ、ラズロ(リヴィオ)、メイド(ロベルタ)、宇宙人(ミュウツー)
要注意人物:白仮面の男(ハクオロ)、ヴァッシュ、水銀燈(殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める)
※首輪の機能について、以下のように考えています。
確実に搭載されているだろう機能:「爆弾」「位置情報の発信機」「爆破信号の受信機」「脈拍の測定器」
搭載されている可能性がある機能:「盗聴器」「翻訳機」
※首輪は何らかの力によって覆われていて、破魔の紅薔薇にはその力を打ち消す効果があると考えています。 【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(やや大)、疲労(小)、腹部にダメージ(小)、全身に傷(小)および火傷(小)、腕に○印
[装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、破魔の紅薔薇@Fate/Zero
[道具]:基本支給品一式×3、無毀なる湖光@Fate/Zero
イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
探知機(故障中)、エレンディラのスーツケース(残弾90%)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
0:グラハム、沙都子との合流地点へ向かう。
1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。
2:首輪を外すための手段を模索する。
3:北条沙都子を守る。
4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。
5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
【備考】
※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
※レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※自分は既に受肉させられているのではと考えています。
※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します。しばらく召喚出来ません(詳しい時間は不明)。
※北条沙都子、アルルゥもまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。
※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません
※別世界から呼ばれたということを信じました。
※会場のループを知りました。
※オープニングの映像資料を確認しました。 以上で投下を終了します。支援くださった方ありがとうございました。 投下乙です!
熱い、これは熱い…!
亡くしたものを受け止め、後悔と無力感で暗く沈む気持ちを吹き飛ばす宣戦布告
喪失によって背負った重さを捨てるのではなく、ただ力に換えて前に進む二人がなんとも眩しい
作中にもある通り、何百の夢を束ねて突き進んでいた王だからこその宣言
これは共についていきたいと思わせる王だ!
ビリビリも今までの散々な道のりを乗り越えての真っ直ぐな決意が、強さを感じさせる
両者ともにこぼし続けた美琴とライダーだからこそ、この宣戦布告は映える…!
しかし語り部にさえならない黒幕は臆病者か
原作でマスターに対して共に戦うことを重視していたライダーからしてみれば、なるほど相当な軽蔑の対象だ
黒幕は謎に包まれまくっているけど、二人には頑張ってほしいなぁ 久々の投下乙!
ライダーかっこいいなぁ!
対主催の要待ったなしの存在感が凄い。
仲間を沢山失った○同盟だけど、ライダーと美琴には頑張って欲しいな 投下乙です。
かっこいい…これぞ、漢の姿ですわ。
真っ直ぐなライダーにそれを追いかける美琴。
いいコンビになっているなあ。
それと、ラッドの死を悲しむってのも胸に来る。 避難所にエイプリルフール来てたー!
Dルートはドリームルートだったのか
いい夢見せてもらいました!
◇ ◇ ◇
ミュウツーは、これまで以上の速度で森林を飛行していた。
先ほどの放送の内容を振り払うかのように、飛行するのに念動力を集中させる。
そんな思惑とは裏腹に、彼の聡明な頭脳は考えてしまう。
『ギラーミンは――殺された』
聞いたこともない声の男が、自分と約束をしたはずのギラーミンの死をあっさりと告げた。
さらに、人を疑うことを覚えたほうがいいと続けた。
はたして、約束は果たされるのだろうか。
考えたくないのに、意図せず考えてしまう。
一度浮かんでしまえば、もう永遠に消えることのない疑問だった。
(わかっていたことだ)
そういう可能性は、それこそ二十四時間前から考えている。
それを踏まえた上で、行く道を決めた。
いまさら、いったいなにを迷うことがあろう。
――こきゃっ。
やけに軽い音。
柔らかな感触。
子ども特有のぬくもり。
小枝でも折るかのようなたやすさ。
硬い機穀剣を持っているはずの手が、未だ彼女の元にあるかのように錯覚しそうになる。
(……わかっていたことだ)
勢いよく頭を横に振って、さらに飛行速度を上げる。
加速した甲斐あってか、ほどなくして森林を抜けて市街地が見えてくる。
そうしてエリアE−5に足を踏み入れるやいなや、脳内にすっかり慣れた例の声が響く。
・━━━見えぬところに真実がある。
ミュウツーは首を傾げる。
エリアE−5には半日ほど前にも来ているが、その際はこのようにいきなり声が聞こえてくることはなかった。
そんな疑問は、すぐに氷解してしまう。
デイパックに入れていたはずの二つの鍵が浮かび上がり、これまで放っていなかった念動力を帯びているのだ。
カギを両方揃えた上でこのエリアに来て、初めて作用する仕掛けであったのだろう。
宙を舞う二つの鍵が空中のある点に突き刺さり、ともに四十五度ほど右に回転する。
次の瞬間、鍵が刺さった箇所にドアノブが一つずつ出現すると、遅れて巨大なドアが姿を現す。
怪訝に思うミュウツーをよそに、ドアノブが勝手に回転してドアがゆっくりと開いた。
ドアに呑み込まれたミュウツーは、いつの間にかこれまでとはまったく異なる世界に立っていた。
眼前にはこれまで見てきた二つの湖とは比べ物にならないほど大きな湖があり、周囲には青々とした木々が生い茂っている。
ドアをくぐっただけなのだから、さきほどまでいた場所と遠く離れていないはずなのに、市街地の面影はまったくない。
高く飛び上がって周囲を眺めても森が広がるばかりであり、また漂っていた血の臭いも掻き消えてしまっている。
いままでいた場所とはまったく異なる場所で、巨大なドアだけがどこまでも異質だった。
――三つの湖に隠された力を解き放て。
(ここがそう……なのか?)
疑問に水を差すかのようなタイミングで、首輪から電子音声が響いた。
概念空間に入ったとき特有の警告――ではなかった。
『宣告。宣告。あなたは概念空間【第三の湖】へと入りました』
さらに、首輪ではない別の方向から声が響く。
首を動かそうと、念動力を張り巡らそうと、音源は見当たらない。
かといって、テレパシー特有の感覚もない。
『参加者No.58【ミュウツー】を確認しました』
そうして――ミュウツーの首輪が外れた。
やけに呆気なく、すんなりと。
ミュウツーを二十四時間縛り付けていた首輪は、真っ二つに分かれて落下した。
「……なっ!?」
思わず声を漏らしてしまったミュウツーだったが、力が漲る感覚で我に返る。
否、これが本来の彼の念動力が。
これまでが制限されていたのであって、いまの状態こそがベストコンディションのミュウツー。
幻のポケモンの遺伝子からカツラが作り出した戦闘特化ポケモン。
同時に足元に出現したポケモン用の回復アイテムにも驚くべきなのだが、そんなものに驚いている場合ではない。
首に手をやっても、なんの異物感もない。
地面に落ちている二つの金属片をわざわざ拾い上げてみると、これが首輪なのは間違いない。
(力を解き放て、とはこういうことなのか!?)
意図が読めない。
いったい、なにがしたいというのか。
しかし、ミュウツーはすぐに心を落ち着ける。
関係ない。いまさら枷が外れたところで、やることに変わりはない。
怪訝に思いながらも、すぐに視線は湖の中央へと向かう。
そこに白銀の刀身と黄金の鍔が鮮やかな宝剣があるのは、先ほど飛び上がったときにすでに確認済みだ。
辿り着いてみれば、やはりいかなる原理かはわからないが、水面に宝剣が浮いている。
手に取ってみると――その『真名』が頭に流れ込んできた。
(…………なるほど、な)
――第1、第2の湖を解き放つ事により、約束された勝利へと導くだろう』
テレパシーがフラッシュバックする。
得物はすでにいくつもあると思っていたが、脳裏に流れ込んできた『真名』とは比べ物にならない。
まさしく約束された勝利と言っていい。
(約束――勝利。
そうだ。エクスカリバー、俺は)
ミュウツーは勝利せねばならない。
交わした約束のために。
交わした相手がすでにこの世にいなかろうと、果たされることを信じねばならないのだ。
ゆっくりと飛んで、湖のほとりまで戻って着地する。
飛行中は超能力で引き寄せていたエクスカリバーを自らの手で握り、決意を新たにする。
その瞬間――だった。
湖が振動し、先ほどまでエクスカリバーが浮かんでいた中心部から機械が飛び出す。
空中に映像が映し出されたことで、ミュウツーはようやくその機械の正体が投影装置だと気付く。
『ご苦労様。中々の名演技だったよ。
君のために個室を用意してある。放送までは時間があるからね、それまでは休むといい』
スクリーンもない空間に映し出すことなどできるのだろうか。
そんな疑問を抱いたが、すぐに掻き消えた。
『シルバー兄さん……これで良かったの?』
解決したのではない。そんな疑問が吹き飛ぶ代物が映し出されたのだ。
『ああ。バイオレット、お前にも手間を取らせたな』
聞き覚えのある声だった。
かつて、湖になにかがあると仄めかしたテレパシーの主だ。
最初に映った青年とよく似ているが、彼より一回り年上のようで落ち着いた印象を醸し出している。
『なるほどね。いつの間に人質なんか取ったのかと思ってたけど――――【ホログラムでそう見せかけてただけ】か』
「…………は?」
遺伝子ポケモンたる彼らしからぬ、あんまりにも人間じみた声が漏れた。
明かされた真実は、予想だにしないもの――ではなかった。
予想していた。
それも相当前から。
可能性の一つとして。
わかっていたのだ。
その可能性もある、と。
その上で行く道を選んだ。
その上で殺し合いに乗った。
その上で――
――こきゃっ。
知らず、エクスカリバーを握る力が弱まる。
先ほど決意を新たに握り締めたはずの剣が地面に触れる寸前で、どうにか念動力でもって宙に浮かせる。
再び手元まで戻そうとしたが制御が覚束なく、思いのほか上空まで行ってしまう。
いつもならば、それこそ両手を動かすように念動力を使えるはずだというのに。
ましてや首輪が解除されて、本来の力を取り戻しているというのに。
(オレは――どうしてここにいる……?)
あんな映像を見せられるまで、ミュウツーには確固たるものがあった。
なんのために生きて、なんのために他を切り捨てるのか。
胸を張ってとはいえないが、それでも断言できる回答は心のなかにあった。
主のためにここに在る。その確信があった。
しかしいまとなっては、そんなものはない。なにもない。
――なんのためにここに在る?
わからない。
前なら違った。
けれど、いまはわからない。
いままでの葛藤はなんだったのか。
たったの一日、たったの二十四時間。
その一言では流せぬほど、手を罪で染めてしまった。
――なんのために……
わからない。
考えたくない。
考えたところで答えが出るとも思えない。
それだけはわかっているのに、考えてしまう。
『教えてくれ……マスター……』
テレパシーを飛ばす。
返答があるはずもない。
送った相手がいないのだから。
返ってくるワケがない――のに。
『ふん、またか』
無意味であるはずのテレパシーに、返答が届く。
「――ッ!?」
聞き覚えのある声だ。
湖へとそそのかし、そして主のホログラムを見せた、あの――
『貴様――ッ!』
『くだらないな。俺のせいだと言うのか?
違うな。あくまで誘導しただけで、決めたのは貴様だ』
『なにを……ッ』
なにを。
なにを――
なにを、なんだというのか。
そこから先が、一向に出てこない。
言い返せないのを待って、男はテレパシーを送ってくる。
『俺は貴様に興味を抱いていた。
同じく他者に作られた存在であり、そして同じく戦闘生命としての生を強要された貴様に』
戦闘生命という単語に、ミュウツーの肩が跳ねる。
前にテレパシーを送ってきたときにも、この男は同じ単語を使っていた。
『かつての俺――いやキース・シルバーは、籠のなかの鳥に過ぎなかった。
父たる兄に導かれた、母によって定められたすでに決まっている運命に従うだけの、な』
『なにを……言っている』
これは、ミュウツーの本心だ。
そのはずなのに、すでに決まっている運命という響きが、やけに頭に残る。
『それは違うな。わかるはずだ。貴様なら。
父に捕獲されて以来その父の命令に従い戦いに投じ、父と己を縛る呪縛から解かれ自由の身になっても、その有り余る力を持て余していた貴様なら――』
無言。
なにも言わないというよりも、なにも返せない。
『己の意思がない。
父や気を許した存在の指示に従うことはあっても、自らの意思でその力をどのように振るえばいいのかわからない。それが貴様だ』
『ちが――』
う、と。
たった一文字を送れない。
ちょっと念じるだけだというのに。
なぜか、できない。
制限などすでにないのに。
あったところで影響ないほど短い言葉だというのに。
『ここに来てから、貴様の根幹にあったものはなんだ?
時間は腐るほどあった。
二十四時間あれば、貴様の頭脳ならどれだけのことを考えられる?
にもかかわらず、ただテレパシーを飛ばすだけだ。マスターマスターと。
行動の指針を求めるばかり。教えてもらうばかり。道を聞くばかり。戦闘生命と呼ぶにも値しない。機械となにも変わらない。
戦闘機械であるのなら、それは単なる兵器に過ぎない。使い手の手を離れて自動的に動くというだけで、その実は使い手を離れていない。繰り人形だ』
反論を送らねばならない。
そんなものではないと主張したい。
それなのに、ミュウツーには歯を噛み締めるしかできない。
『仮に俺がなにもしなかったとして、お前という存在に、他にやることでもあったのか?』
『…………』
たっぷり五分経過する。
そんな風に数えられるくらいには冷静なのに、飛ばされる疑問には答えられない。
いや、考えたくないだけだ。
考えているクセに。
考えていないことにしている。
『ふん。やはりな』
一拍置いて、男が飛ばしてきたテレパシーは荒い口調であった。
『ならば、改めて考えろ。
他の参加者に二十四時間遅れてッ!
父はいないッ! 気を許した存在もッ、憎むべきカタキもッ、息絶えたッ! いまッ!』
改めて、ミュウツーは実感する。
目を逸らしていた事実と向き直る。
いまこの場には自分しかいない。
殺し合いの会場に戻っても、以前からよく知る存在は誰一人としていない。
『たとえ作られた存在であろうと、思考する力があるのならッ! お前にも、自分が心から欲している何かがあるはずだッ!』
同盟を組んだ相手がいるものの、彼もまた迷っている。
彼は向き合っていた。
向き合っているフリをしていたミュウツーとは違う。
彼に遅れること数時間、いま――目の前にあるものに直面せねばならない。
『オレ、は――』
考える。
初めて。
いまになって。
二十四時間が経過して。
ようやく、第一歩を踏み出す。
マスターにどう在るべきか訊くのではなく。
自らの意思で。
なにをしたいのかを。
どう在るべきなのかを。
なにをするべきなのかを。
『オレは――!』
まず、過去を思い出す。
ミュウツーの最初の記憶は、巨大なフラスコのなかから培養液越しに見る世界だ。
誰もかれもが自分を見ているようで見ていない、そんな冷たい視線。
唯一、時おりやさしい視線を向けてくれたのが父だった。
アレがどれだけの期間であったかは定かではないが、とても長かったように思う。
あの研究所から飛び出し、追っ手を撒き、ハナダシティ郊外に逃げ込んで、静かに暮らそうとした。
そんな計画は一日と持たなかった。
研究所以外のところで過ごしたことのないポケモンが、いきなり屋外で過ごせるはずもない。
生まれ持った戦闘欲と、持て余す念動力が制御できずにいた。
どうにか払拭しようと、野生のポケモンや通りがかったポケモントレーナーに襲いかかる日々。
そんな苦しみを終わらせてくれたのは、父とレッドだった。
そこからの日々は、それまでの日々がやけに長く感じるのとは対照的に、妙に短く感じる。
対等の存在として触れ合ってくれる一方、将来別れるときのために屋外での過ごし方まで教えてくれた。
レッドだけでなく、彼の後輩であるイエローも同じように接してくれた。
そして、いまを見つめる。
レッドはいない。
イエローはいない。
そうして、ミュウツーは人殺しとなった。
もう、人を殺していない状態には戻れない。
自己再生で怪我は塞がっても、全身に染み込んだ見えない血は永遠に取れない。
たとえ帰ることができたところで、これまでと同じ日々は過ごせない。
帰ることが可能だからといって、帰れるとは限らない。
あの世界に、いまのミュウツーの居場所は――ない。
『オレは――――!!』
◇ ◇ ◇
御坂美琴は、現在進行形で引いていた。
引いていたと言っても、クジや綱をではなければ、人目でもない。
いや、ナース服とかいう人目を引く格好はしていたのだが、それはこの際関係ない。
そういうのではなく、いわゆるドン引き的な意味で引いていた。
「……うわぁ…………」
「どうした、美琴よ。早く乗らぬか」
「あーうん……わかってるわよ、うん」
「……お前、もしかしてびびっ」
「はあーーーーー!? そんなワケないじゃない! 私びびらせたら大したもんよ!」
「此奴はなかなかに大したもんだがな」
「…………うん、見りゃわかる、うん、マジ」
ライダーが召喚した彼の愛馬・ブケファラスを前に、御坂美琴はドン引きだった。
彼女の名誉のために言うが、別に馬を見たのが初めてだとかそういうワケではない。
パッと見それっぽくはないものの、彼女は常盤台中学というかなりお嬢様学校に通っており、乗馬自体に抵抗があるのではない。
実際に乗ったこと自体はないとはいえ、すぐ近くで見たりはしている。
ならば、なぜ引くことがあろうか。
ましてや、このような非常事態である。
速く移動できるのならば、それに越したことはないではないか。
美琴自身もそう思っていた。
そもそもライダーがブケファラスを再召喚をするだけの魔力を回復したと告げた際、急かしたのは美琴である。
だったら、なおさら乗れよ。失礼だろ。ご飯まだーを連呼しといてすぐ食わねーみたいなもんだろ。
そう思うだろう。
正しい。
すごく正しい。
それでも、美琴にだって言い分がある。
考えてみれば当然なのだが、ブケファラスは身長二メートルをゆうに超えるライダーの愛馬である。
だから、まあ、ね。
うん。
すっごいデカいんだ。
(これ、馬じゃないでしょ! いや、さっきも見たけど!! 間近で見ると余計に!!!)
再び彼女の名誉のために言うが、御坂美琴はバカじゃない。
レベル5足りうる演算能力とかはおいておいて、普通に一般的な知識はある。
だから馬を知ってる。
美琴、馬、知ってる。
そしてブケファラスの名誉のために言うが、断じてブケファラスが馬っぽくないワケじゃない。
カバのようにずんぐりむっくりしているワケでも、ヘビのようにぬめってるワケでも、クジャクみたいに妙な色してるワケでもない。
むしろ美しい。
見るからに速く走りそうなほど優れた引き締まったボディに、艶やかな漆黒の毛並み、纏う馬具はそのすべてが高級品。
まさしく馬。
馬そのものである。
なんなら馬オブ馬と言っていい。
ただ、全体的に普通の馬の三倍くらい大きいだけだ。
「…………ふむ」
ブケファラスを前に視線を上げたり下げたりするのを繰り返す美琴を見て、イスカンダルはため息を吐いた。
この反応が意外だったワケではない。
予想していたのだが、外れて欲しかっただけだ。
(まあ現代日本の小娘であれば、普通はこのようなものか)
とはいえこのまま時間を浪費する余裕もないので、首根っこ掴んでやろうかと思った――そのときだった。
――――東から太陽が昇ってきた。
六時間ほどフライングしたことに気付いたのか、すぐに再び夜に戻る。
(……なワケあるかッ!)
当たり前だ。
それほど大規模な時間操作など、できてたまるものか。
ただ、『太陽と錯覚してしまうほどの光』が放たれただけだ。
先ほど美琴が射出したレールガンとは比べ物にならないくらいに、強烈な光が。
唖然としている美琴をよそに、イスカンダルは思考を巡らす。
あの輝きには見覚えがある。
というのも、二度も至近距離で見ているのだ。
さらに言えば、そのうち一度は自分に目がけて放たれている。
ゆえに、見紛うはずがない。
ようやくここまで届いた魔力の残滓が、まさしくあの魔力放出だと雄弁に語っている。
もはや間違いないという確信が、イスカンダルのなかにはある。
だからこそ――おかしいのだ。
いま現在手元にあるランサーの宝具は、常時発動している宝具である。
対して、『あの宝具』は真名を解放しなくては発動しない宝具なのだ。
だというのに、使い手である『彼女』はこの場にいない。
真名解放とは、真名を知っていれば使えるという簡単なものではない。
特に『あの宝具』のような代物は。
であるならば、『彼女』がこの場にいるとでも言うのだろうか。
いや、それもまた考えにくい。
サーヴァントのクラスではない名で名簿に記されている可能性や、名簿に書かれていないだけの可能性自体はあるが、『彼女』のような参加者がいれば耳に入ってこないはずがない。
もっと言ってしまえば、出会っているはずなのだ。
得体の知れぬ殺し合いの首謀者が用意した名簿は信用していないが、イスカンダルはイスカンダル自身の縁を信じている。
このような狭い会場に、もしもイスカンダルとギルガメッシュとともに『彼女』が詰め込まれていたのならば――引き合わぬはずがない。
だとすれば、やはり『彼女』以外が使用したことになる。
本来不可能にもかかわらず、何者かがやってのけたのだ。
(しかもこのタイミング――か)
残り参加者は十四名。
死者のペースからすれば、もう殺し合いも終わる寸前だと勘違いしかねない。
だが、実際はそんなに簡単な話ではない。
参加者が減れば出会う確率も減る。
禁止エリアというシステム自体はあるが、会場が狭くなるペース自体は緩やかだ。
他者の宝具を強引に使用するほどの魔術師ならば、そんなことはよくわかっているはずだ。
にもかかわらず――真名を解放した。
魔力を膨大に消費する対城宝具を。
よりによって、周囲が暗い分だけ余計に目立つ深夜に。
さて、どうするべきか――
(……む?)
ここまで考えたところで、イスカンダルは背中に微かな違和感を覚えた。
振り返ってみれば、美琴がうしろに跨ってぎゅうっと手を回していた。
どうやら今後の方針を議論する必要も、首根っこを掴んでやる必要もないらしい。
「うむ……まあそうするわな、フツー」
素っ気なく返したはずなのに僅かに頬が緩んでしまっているのに気付き、イスカンダルはすぐに前に向き直ると思い切り手綱を引いた。
◇ ◇ ◇
エリアE−5に、市街地であった名残はほとんどない。
戦闘の跡がいくつもあるとはいえ、ほんの少し前まではたしかに市街地であったというのに、いまとなっては瓦礫の山だ。
電柱は倒れ、電線は引き千切れ、街灯は砕け、街路樹は折れ、車は引っ繰り返り、屋根は剥がれ、壁は粉と化し、標識は歪にねじ曲がっている。
病院などの強固に作られたと思しき建物はいくつか残っているが、それらも表面は焼け焦げてしまっており、ガラスに至っては割れていないものを探すほうが難しい。
そんな一瞬にして荒廃した街の中心に、ミュウツーは悠然と立っている。
エクスカリバーの真名解放によって消耗した体力は、すでに回復薬で取り戻した。
一つしかない道具を使用してしまったが、断じて惜しいとは思っていない。
戦闘中にあんなものを使う隙はそうそうないので、使えるときに使っただけだ。
これまでのミュウツーならば、回復薬を保管して身体を休めただろう。
しかし、いまとなってはその必要はない。
――すでに制限は解除されているのだから。
両手両足がもぎ取られたり、腹に大穴が開く程度ならば、『自己再生』で十分だ。
回復薬を消費したマイナスよりも、真名解放をすれば根こそぎに念動力を持っていかれることを知れたプラスのほうが大きい。
あそこまで消耗してしまえば、自己再生でもすぐには追いつかない。
多少時間をかければ問題ないだろうが、その多少は戦闘においては大きすぎる。
それに――狙い通りの結果はもたらされた。
見覚えのある二人の男女が巨大な黒馬を駆って、凄まじい勢いで接近してきているのだ。
『もはや、どこにもオレの居場所はない。
故郷には帰れないし――過去には戻れない』
二人と一匹にテレパシーを送り、黄金の剣を持たぬ左手を微かに上げる。
直後、ミュウツーの周辺が一変した。
雰囲気などという曖昧な感覚ではなく、見て分かるほど明らかに『変質』した。
深夜の肌寒い空気が生温かいものとなり、先ほどまでほとんどなかった風と化す。
その勢いは見る見る増していき、さらに吹く方向までもがことごとく異なっている。
ほどなくして風は巨大な竜巻を形成し、周囲の瓦礫をも持ち上げてしまう。
――――『サイコウェーブ』。
元来、その名は超能力で形成した波状光線の総称だ。
いまミュウツーが行っているものとは、似ても似つかない。
どちらかと言えば、飛行タイプの『風起こし』や、ドラゴンタイプの『竜巻』に近い。
しかしながら威力が雲泥の差である上に、全体にミュウツーの強大な念動力を帯びている。
だから、『呼ぶしか』なかった。
たとえ、同じ名前をした他の技と大幅に異なっていようと。
『サイコ(超能力)』の『ウェーブ(うねり)』という大枠に、無理やりにでも『当てはめるしか』なかった。
『だから帰らないし――戻らない。
これまでの二十四時間のように死を振り撒いて、生を終わらせるだけだ』
無数の瓦礫を持ち上げる巨大な竜巻の中心で、ミュウツーはエクスカリバーを前に突き出す。
剣を向けられた先では、巨馬がすでに瓦礫なき大地に蹄を埋め込んで、漆黒の体毛をなびかせながら強引に踏ん張っている。
その上に跨る巨漢は、竜巻にうろたえる素振りすら見せずに涼しい顔で切り出す。
「余は、貴様が何者なのか知らん。
いかなる経緯でそのような結論を出したのかも知らん。
知る気もないし、考えを改めるよう説教してやるほど物好きでもない。
貴様がその剣の持ち主のように王ならば話は別だが、そうでないのならな。
ただ単に……この征服王・イスカンダルと考え方が違って気に喰わないという、それだけよ」
吹きすさぶ強風でさえ、その声を掻き消すことはままならない。
何千人もの民衆が一堂に会していようと聞き取れるほど通る声で、巨漢・イスカンダルは高らかに宣言する。
「いかなる失態を犯そうと、王ならば帰還して民に武勇伝を語らねばなるまいッ!
余は帰るし戻るッ! この下らぬ殺し合いは終わらせても、余の夢は終わらせぬッ!!」
巨漢のまったく臆さぬ声に応えるように、イスカンダルの背中に必死で掴まっている少女もどうにかこうにか首を前に出す。
暴風に煽られて髪が全部持ち上げられるわ、ナース服がばっさばっさなびいてるわでえらいヴィジュアルになりつつも、やっとこさミュウツーを睨みつける。
風に負けないようにという気持ちの表れか、二回深呼吸してから大きく口を開いた。
「こちとら、終わりたいとか知ったこっちゃねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーわよっ!!!」
その後大きく開けた口に砂埃でも入ったのらしくやたらむせていたが、とにもかくにもミュウツーまで彼女の声は届いていた。
【E−5 /2日目 深夜】
【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:全快、首輪解除、制限解除
[装備]:約束された勝利の剣@Fate/Zero
[道具]:基本支給品×3<アルルゥ、仗助、ミュウツー>、どこでもドア@ドラえもん(残り1回)、
第一の湖の鍵(E−)第二の湖の鍵(−5)
不明支給品(0〜1)<仗助>、ひらりマント@ドラえもん
トウカの刀@うたわれるもの、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、機殻剣『V−Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル
[思考・行動]
1:戦って死ぬ。
【備考】
※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
※V−Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。
使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、
理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。
第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。
※概念空間の存在を知りました。
※首輪解除による制限解除により、支給品に課せられた制限まで解除されるかは後続の書き手に任せます。
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:だいぶ再生した
多大な喪失感、強い決意、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫
[装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。
[道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、不明支給品0〜2個(未確認)、病院で調達した包帯や薬品類
コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り88枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ)
真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン
ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ