14 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 Mail: sage 投稿日: 2016/02/24(水) 22:16:06.52

この DSM―5 について,アメリカ精神医学会における DSM―IV の作成委員長であった Allen Frances
が,DSM―5 による診断の普及が,精神疾患の過剰診断と過剰投薬を招く危険性が高いという警告本を出
版し(Frances, 2013),すでにセンセーショ ナルな議論が起きている。

この Frances の本を注意深く読むと,単に DSM―5 だけでなく,既に定着していた DSM―IV への批判
的な見解も挙げられている。DSM―IV による過剰診断・過剰投薬の例として,小児双極性障害・双極性
障害・大うつ病性障害といった精神疾患,注意欠如・多動性障害等の薬物療法中心の医療を取り上げてい
る。注意欠如・多動性障害(ADHD)については,過剰投薬により精神刺激薬(中枢神経刺激薬)が過剰処方
された結果,大学生や高校生の間で違法入手による精神刺激剤の乱用や依存が広まった のではないかと
いう指摘をしている。勿論,これは日本の事情にはそのまま当てはまらない。

さて,議論の焦点をもとに戻して,なぜ DSM―5 の自閉症スペクトラム障害の診断 基準が,診断基準の高
度化・細分化を採らずに,大綱化の選択を採ったのかという一 番わかりにくい問題の背景についてであ
る。先に触れた Frances(2013)は,DSM―IV の診断基準により広汎性発達障害の診断例が急増し(自閉
症の診断インフレ),ここ 20 年間に 20 倍に増えた。その原因は,自閉症についての社会理解が広まった
ことにもよるが,アスペルガー障害という映画やドキュメンタリーで取り上げられたアスペ ルガー障害
という診断名称の魅力が,診断のインフレ,過剰診断を生んだ。自閉症や アスペルガー障害の診断基準が
再評価すると診断が異なってくるのに,そういう過剰 な診断の流行があったというのである。

ttp://ir.lib.sugiyama-u.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/828/1/宮川充司.pdf
アメリカ精神医学会の改訂診断基準 DSM―5:神経発達障害と知的障害,自閉症スペクトラム障害