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高速道、はみ出し防ぐ 県内、中央部にワイヤ付きポール導入期待
http://yamagata-np.jp/news/201803/25/kj_2018032500502.php

 本格的な行楽シーズンを前に、県内高速道路の暫定2車線区間への安全対策を求める声が高まっている。先月、米
沢市内の東北中央自動車道で車線はみ出しによる重大事故が相次いだ。国土交通省は全国で事故抑止の効果が高
いとされるワイヤ付きポールの設置を検討。地元観光関係者などからは早期導入への期待が高まっている。
 「『危険な道路』というレッテルが広がらないといいが」。米沢観光コンベンション協会の担当者は来月20日の道の駅
『米沢』のオープンや大型連休が迫る中、危機感を口にする。
 昨年11月に開通した東北中央道福島―米沢間で相次いだ重大事故が関係者の頭をよぎる。米沢市の水窪第1トン
ネル内で先月18日、軽ワゴン車が中央線を越え、対向してきた乗用車と正面衝突。同27日には栗子トンネル内で、乗
用車が反対車線にはみ出し、大型トラックに正面からぶつかる事故が起きている。
 現場に共通するのは「暫定2車線」。限られた費用でより早く高速ネットワークを拡大するため、中央分離帯を設けな
いまま開通させた区間を指す。中央線に設置されているポリウレタン製の簡易ポールは視覚的に本来の車線に誘導す
るのが目的で、はみ出す車に対して抗力はないに等しい。
 物流関係者も不安を口にする。「ワイヤがあるのとないのとでは安心感がまるで違う」と県トラック協会の担当者。ワイ
ヤ付きポールは金属製ポールの間にワイヤを張り、衝突の衝撃を吸収する。「暫定2車線区間で事故が発生すると、上
下線とも通行止めになるケースが多い。高速道の安定性や信頼性のためにもワイヤ付きポールを一刻も早く導入して
ほしい」と話す。
 県内の自動車専用道を含む高速道約225キロのうち、暫定2車線区間は9割以上。このうち、ワイヤ付きポールが設置
されているのは東北中央道米沢北―南陽高畠間の1キロに限られる。国交省の調べでは、暫定2車線区間での重大事
故の発生確率は4車線区間の約2倍とし、県警高速隊は「簡易ポールで仕切られている区間が事故リスクを高めている」
と指摘する。
 国交省は昨年、全国の暫定2車線区間の一部で中央線にワイヤ付きポールを試験的に設置。はみ出し事故が激減す
るなど効果が上がっている。東北中央道福島―米沢間を管轄する同省福島河川国道事務所の担当者は「今後、事故の
発生リスクなどを考慮し、設置区間を広げたい」と話す。
 2018年度中に東北中央道南陽高畠―山形上山間が開通するなど、高速交通網がようやく整いつつある本県。早急な
安全対策に期待する声は日に日に強くなっている。

【メモ】
 県警高速隊によると、県内の高速道路の暫定2車線区間で、反対車線に車がはみ出して起きた事故は2015〜17年の
3年間で70件を数え、うち6件で大けが以上の重大事故につながった。今年は既に11件起きており、発生場所の大半を
東北中央自動車道福島―米沢間が占めている。