「で、李さんの彼女、誰なんですか?」
林杏が目を潤ませながら周囲を見渡す。その一言と同時にさくらがぼふっ!と顔から煙を出し
耳まで真っ赤っかになり、俯く。
リアクションを起こさない小狼に、知世が横から軽く、苺鈴が後方から強めに肘鉄を入れる。
「あ、ああ。王、こちらが木ノ本さくら・・・で、俺の・・・」
言ってこちらも瞬間湯沸かし器のように赤面し、頭から煙を出す。

「変わらないわねー、二組とも。」
利佳が二人を見てにこやかに言う。さくらと千春の手を取り、ぐいっ、と引き寄せて耳打ち。
「もっと積極的にいかなきゃ、今時は草食系男子が多いんだから。」
「「え”・・・」」
積極的に、と言われてもかなり難しい。小狼も山崎も性格は違えど女子の方から距離を詰めるのは
なかなかに難儀なキャラクターだから。いろいろ妄想しながらもじもじと両手の人差し指を
胸の前で合わせる二人。
「だ・か・ら、これからプールでしょ、健闘を祈るわ♪」
ウインクして離れる利佳、どうやら恋愛に関しては遥かに上級者のようだ。

 残念ながらその目論見は外れた。更衣室から登場したステラのプロポーションたるや
お前のような中学生がいるかと言いたくなる迫力だ。赤青のワイヤービキニに身を包み
早くも周囲の注目を集めている。
さくら、秋穂、千春、奈緒子、そして林杏の5人は、胸に手を当てて、はぁ、とため息。
苺鈴はステラをジト目で見ながら毒を吐く。
「ホンッとに、何食べたらこんな体になるのかしらねぇ・・・」
「でもさくらちゃんも、水着似合ってますわ♪」
知世だけは他には目もくれず、早速さくらにビデオを向けている。