ムーリンのうなじに注射針が刺さった。
刺されたことにも気づかぬように、ムーリンの瞼が垂れると、あっという間に眠りに落ちた。
「あっ……、あれっ? 寝たぞ?」ジェイコブが不思議そうにしながら安堵の息を漏らす。
「僕だよ、僕」四男が注射器を持ったまま存在をアピールする。
「なんだ、お前、いたのか。よくやった」
「ムーリン……」父は眠る娘の金髪を撫でながら、言った。「これからはキム姉さんにあやして貰うんだ、いいな?」