「お姉ちゃぁん」
幼い頃のムーリンが砂利の上を駆けている。
「お姉ちゃ……あっ!」
砂利に足を取られて転んだ妹に、モーリンが振り返った。
「もう……。本当にアンタは私がいないと何も出来ない子ね。本当にタオ家の一員?」
姉の白い手がムーリンの手を握り、立たせてくれた。
「タオ家の家業を継ぐ者なら一人で立ちなさい。そうなれるまでは……仕方ないから私が面倒見てあげる」