「椿が……俺に何を言ってた?」
チョウが聞くと、メイファンはニコニコしながら振り返り、言った。
「何も言付かってねーよ」
「は!?」
「私がお前に用があったんだ。騙してごめんなさい」メイファンはバカにするように頭をぺこりと下げた。
「なんだよ」チョウは逃げようとした。「じゃあ、俺、戻るわ」
しかし扉は開かなかった。よく見ると黒い『気』の楔でびっしりと打ちつけられてある。
「お前のこと、殺すね」メイファンはウキウキしながら言った。
「はぁ!? なんだよ、いきなり!? 意味わかんねぇ!」
「お前、人間界の扉開けるの、邪魔しそうだし」
「そりゃ……!」
「それにな、お前殺したらさすがにズーローも殺る気を出してくれるし」
「そりゃ……! ズーロー黙ってるわけねーよ」
「いいね。じゃ、殺そう」メイファンは舌なめずりをした。
「おいおい! ユゥだって黙っちゃいねーぞ!?」
「何? ユージンが本気になってくれるのか?」メイファンは夢見るように目を輝かせた。