「お前、名前なんだっけ」
「チョウだよ」
「チョウか。チョウ、お前、物凄く臭ぇぞ」
「なんだよ、それ」
さんざん『きくらげ臭い』と言われてる復讐かな、とユージンはこの時は思った。
「とりあえず」メイファンは鼻をつまみながらチョウに言った。「お前、ちょっとこっち来い」
「は?」
「あっちの部屋、一緒に行こう。付き合え」
「な、なんだよ?」
「話があんだよ、お前だけに」
「俺はねーよ。お前なんかと二人きりになってたまるか」
「椿からお前に伝えてくれって言われてることがあんだよ。それ伝えてやっから、いいから来い」
「椿から?」
チョウはユージンのほうを振り向きもせずにメイファンについて行った。
ユージンはなんだか嫌な予感がして、声をかけた。
「ぼくも行く!」
「お前は来んな」メイファンが目だけで振り向いた。「チョウだけに伝えてくれって言われてんだよ」