しかしチョウはそれ以上何も言えなかった。
「あのお魚さん」秀珀が言った。「今、急速に大きくなってるわよ」
「わかるのか?」メイファンが酒を呷りながら聞いた。
「ネズミちゃんが知らせてくれるの。ぐんぐん目に見えて膨らんでるって」
「おい!?」チョウが口を挟む。「それ、椿も一緒か!?」
「いいえ。椿ちゃんはまだお魚さんを探してる。どこにいるかは知らないけど」
「でもなんでそんな急速に?」
メイファンの問いに秀珀は答えた。
「たぶんだけど、椿ちゃんが心配してるからね。離ればなれになって、より強い想いをお魚さんに向けてるから……」
「あぁ」ユージンが言った。「ランは椿の愛を栄養として育つんだもんね」
「しかも成長を促す冷たい水の中に閉じ込めてあるから、本当、素晴らしい勢いで大きくなってくれてるわ」
「は?」チョウが突っ込んだ。「もしかしてアンタ、ランをさらって監禁してる?」