「こんにちは」
雪の国の大聖堂の大扉を開けて、メイファンは言った。
「だれかいませんか」
するとすぐに赤黒い『気』が糸のように上からゆっくりと降りて来、つららが落ちるようにメイファンめがけて襲いかかって来た。
避けるまでもなく盾にした右手で払うと、メイファンは言った。
「だれかいませんかぁ」
「おりません」と奥のほうから女の声がした。
「じゃ、勝手に奥へ入りますよ」
そう言うとメイファンは短い足をちょこちょこと動かして奥へと進んだ。