「ところでそんな大きな猫いないよ、メイファン。アハハハ」
「うん、私もそう思ったー。ウフフフ」
メイファンはなるべくこの世界の住人に見つからないよう、大きな猫に姿を変えていた。
「大きすぎるってぇー。まるでイノシシー」
「やだーズーローったらぁ。キャハハハ」
「しかも近く寄るととんでもなくきくらげ臭いしー」
「それレディに言う言葉じゃないー。モホホホ」
「じゃ、今日も……」
「うん、ズーロー。しよ?」
「しなーい」
「おい」メイファンの口調が変わる。「この私が稽古つけてやるって言ってんだ。大人しくヤらせろ」
「お?」ズーローが何かに気づき、声を上げた。
「ム?」メイファンも同時に気づき、そちらを向く。
下半身を鹿に変えたルーシェンが、森の中を蹄の音とともにやって来た。