ユージンが身体の中に入れば、椿も金色の『気』の鎧に守られ、寒くなくなる。
「そっか、それがいいな」ランは少し残念そうに言った。
「なんだと思ったの?」不思議そうに椿が振り返る。
問答無用にランは後ろから椿を抱き締めた。
「これでも寒くはないだろ?」
あっ、と驚いたような声をひとつ漏らしてから、椿は笑った。
「本当だ」
「でもこれじゃ泳げないから、後でユージン返す」
「……うん」
「その前に、少し話をしよう」
「うん!」
「楽しい話じゃなくて悪い。お前、学校行かないの、なんで?」
「あ……」椿は微かに逃げるような動作をした。