何も言わないが寒そうにしている椿の後ろからランは近づいた。
「寒いか?」
「さっむい……」椿は振り返らずに身体を寒そうに動かしながら答えた。
「じゃあ……」
「うん、ラン兄ィ……」
ランが後ろから腕を伸ばしはじめ、抱き締めてやろうとした時、椿が言った。
「ユゥ兄ィ返して?」
ランの腕がぴたりと止まった。