10分ほどで海へは着いた。崖の上を海と呼ぶならば、だが。
ここから泳ぎに海へ入るためには、30mほどの杣道を下ればある狭い砂浜まで行くか、あるいはここから飛び込むかである。
兄弟達は小さい頃からここから飛んでいた。もちろん母親のララは知らない。
しかし今日は少し寒すぎた。椿が自分の身体を抱いて震えている。
ランは寒くなかった、透明の『気』の鎧を着ているので。
チェンナも寒くなかった。メイファンが何も言わず黒い『気』の鎧を着せて、危険からも寒さからも四歳の小さなチェンナを守っていた。