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白い月の下で、あなたを食べたい
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0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/12(土) 22:35:56.46ID:1733Jzh5
ここは愛する人を食べたくなる世界。
愛していない人はどうでもいい通行人。
嫌いな人はただ殺し、愛する人を味わって食べるのみである。
愛し合う二人は互いを食べ合う。

髑髏のように白い月がいつでも空にあるから、
人間の影は後ろ暗く、紅く染まってしまう。

こんな世界で人々はどう愛し合うのだろうか?
0002創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/12(土) 22:36:42.43ID:1733Jzh5
瑪依瑠(メイル)は今日も駅でそのひとを見る。
いつも清潔なスーツを着た、20歳代後半ぐらいの平凡な会社員。
恋なんかしたことがなかった。だからこんな気持ちは知らなかった。
食べたい、あのひとを。無性にそう思う。
0003創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/12(土) 22:39:36.47ID:1733Jzh5
奥さんはいるのだろうか、でもどうでもいい。
愛し合って結婚する夫婦はいない。
愛し合ったことがあればこの世にはいない。

瑪依瑠は彼と恋人になりたい。
いきなり食べるのはただの変態だ。
0004創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/12(土) 22:43:14.15ID:1733Jzh5
でもどうやって仲良くなればいいのだろう?
彼女は正しい恋の仕方など知らなかった。
毎日、彼の姿を遠目に見るだけの繰り返し。

0005創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/12(土) 22:52:54.58ID:KIYLmub7
友達の定子が昨日、死んだ。
付き合っていた彼と遂に結ばれたのだ。
皆が定子のことを羨んだ。

今、生きている人間は、すべて愛し合っことのない屑だ。
つまらなく、何の感動もなく、ただヴァーチャルな愛の経験を与えられ、
味気ない生という名の拷問を受けている。
それを自覚することないように己をコントロールし、日々を浪費している。
0006創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/12(土) 22:55:44.13ID:KIYLmub7
カルシウム質の白い月の下で、定子はどんな風に彼の内臓を食べただろう。
きっとその時彼は、定子の下半身を完食していた。
0007創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/12(土) 22:59:19.11ID:KIYLmub7
互いの血をコップになみなみと注ぎ、乾杯しただろうか。
白い月の下で、それはどんな色だったのだろう。

瑪依瑠は自分のまだ知らない世界を妄想することしか出来なかった。
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