なかなか攻撃が当たらないことに、公爵は怒りをつのらせて雷を落としますが、これも当たりません。
クローテルと公爵は、お互いにつかれを知らないままに戦い続けました。
このままではらちが明かないと思ったクローテルは、魔神像をこわそうとします。
あれこそが公爵の力を支えている源だと感じたのです。
ところが、公爵はクローテルの意図を分かっていました。

 「魔神様をねらっているな?
  そうはさせぬぞ!!」

公爵はクローテルを突き飛ばすと、わずかにひるんだすきに無数の魔物におそわせます。
クローテルが魔物を振り払うのに苦労していると、そこへ黒い雷を落としました。

 「どうだ、やみの雷は!
  そのままくたばれぇ!!」

公爵は雷を落とし続けて、魔物もろともにクローテルを攻撃します。
魔物どもは黒こげになって死んでしまい、クローテルも剣を地面に落としてしまいました。

 「やっと死んだか!
  しつこいやつだったが、このわしの敵ではなかったな!」

公爵は高笑いします。
雷に打たれ続けてクローテルも真っ黒にこげていましたが、まだ死んではいませんでした。
暗やみの中でクローテルの白い目が光ります。
それにオッカ公爵は恐れを感じて、身ぶるいしました。

 「な、何だ、お前……。
  お前の様な者が……。
  ええい、死ね、死なぬかぁ!」