0063創る名無しに見る名無し
2019/01/12(土) 20:39:52.22ID:2Yllsqvt兵士たちは本来は彼に礼を言うべきところでしたが、それよりも恐れが先に立ちました。
「あ、あなたは一体……」
マルコ王子も彼を怪しみます。
「クローテル殿、あなたは本当に人間なのか……?
こうもきせきを見せつけられると、あなたを聖君や神王と呼ぶ事さえおそれ多い様に思う」
「大げさですよ……。
とにかく今は出来る事をしましょう。
この城は危険です、王子はみなさんを連れて脱出を。
私が道を開きます」
「分かった。
だが、公爵は放っておくのか?」
「みなさんを安全なところまで送り届けるのが先です」
とにかく今は頼れるのがクローテルだけなので、王子は反対しませんでした。
「みなの者、クローテル殿に続け!
……レタート、何をしている!
それでも十騎士の後継者か!」
マルコ王子の一行は脱出を決めましたが、レタートだけは正気に返りません。
クローテルは怒るマルコ王子を抑えて、レタートに歩みよりました。
「レタート殿、ベルをお借りします」
レタートが抱えているベルにクローテルが触れると、ひとりでにベルがゆれて鳴り出します。