翌日、雨は止む所か益々激しくなっており、囮作戦は一旦中止になった。
雨の中では、獣も濡れるのを嫌がって出歩かないのだ。
しかし、ヴェロヴェロは提案する。

 「今こそヴェラとか言う奴を探す好機じゃないか?」

 「どうして?」

アジリアの疑問に彼は淡々と答える。

 「雨が降っていれば、獣は出歩かない。
  それは詰まり、監視の目が緩むって事だろう?」

 「向こうから来るのを待つんじゃなくて、こっちが奴を探しに出向くって訳かい?」

 「ああ、この雨なら、どこか屋根のある所で休んでいる筈」

 「しかし、『この雨』だよ」

蛙のヴェロヴェロと亀のコラルは、雨を問題にしないが、他の者達は違う。
アジリアもヤクトスも雨に濡れるのは好きでは無い。
序でに、ニャンダコーレも。
ビシャラバンガは目的の為ならば、多少の事は苦では無い性格なので、気にしない。
こう言う時はビシャラバンガが意見の纏め役を買って出るべきなのだが、彼は人の和に疎かった。
ヴェロヴェロが熱弁を振るう。

 「雨が何だよ。
  俺達は何の為に、この街に来たんだ?」

 「自棄に張り切ってるじゃないか?」

一体どうした事だと、アジリアはヴェロヴェロの態度に驚いた。