故にバニェスは首を横に振る。

 「愛するか愛さないか、その位は自分で決めたい」

それに対し、サティは途端に冷たい声になって言う。

 「では、貴方に子は預けられない」

彼女に断られても、バニェスは余り落胆しなかった。
どちらかと言うと、子を愛すると言う義務を押し付けられるよりは良いと、安心していた。
所詮その程度の物だったのだと、バニェスは自分を納得させる。
元より、この世界で己より大切な物がある訳が無いのだと。

 「仕方が無い。
  所でサティよ、その子は何時生まれるのだ?」

 「私が十分に魔力を注ぎ終えたら」

 「それは何時頃になるのかと聞いている」

 「……もう20日程」

 「長いな。
  その間、私は退屈だ」

バニェスは今になって、バーティの言っていた事が少しだけ解った。

 「……サティ、どうやら私は、お前を愛しているらしい」

 「そうなの?
  どう愛しているの?」

サティの問にバニェスは答え倦ねる。