バーティは真面目にバニェスに尋ねた。

 「どうして彼女との子が欲しいと思ったのか、その経緯を教えてくれ」

 「経緯と言われてもな……。
  サティが日の見塔の一室に篭もり切りだったので、どうしたのかと思って訪ねに行ったのだ。
  そうしたら、子を抱いているから離れられないと言う。
  私は子を知らなかったので、子とは何かと聞けば、配下の様な物だと。
  だから、私とサティとの子を配下に持とうと考えたのだ」

 「配下に持って、どうする気だったのだ?」

 「否、深い意味は無い。
  どんな子が生まれるのか興味があった」

バーティは何度も頷きながら、バニェスの内心を推し量る。

 「詰まり、子自体に然して興味は無かったのだな。
  それではサティが頷かないのも解るよ」

 「どう言う事だ?」

 「そなたは本気で子が欲しかった訳では無いと言う事だ。
  頑是無いかな、丸で愛玩物を欲しがる様だよ。
  本気で子が欲しいと思うならば、子をも愛さなければならぬ。
  何と無くでは駄目だ。
  猛烈に欲して堪らぬと言う位でなくてはな」

 「……そこまで強くは思っておらぬ……」

 「では、諦め給え」

バニェスは子に対して、そこまでの熱情を持っていない。
バーティは冷淡に打ち捨て、呆れた様に溜め息を吐く。