0410創る名無しに見る名無し
2019/05/06(月) 21:02:11.22ID:P0miyObdそれがバニェスには気に入らないので、何とか理解しようとする。
「愛とは存在価値を認める事ならば……。
結局、貴様はマクナク公を愛していたのか、いなかったのか?
どちらなのだ?」
「愛される為に愛していた……と言うべきだろうか?
しかし、それは真実の愛では無い。
恐らく、嘗ての私はマクナク公を超える物が現れれば、そちらに靡いた事だろう。
それこそ下等な連中と同様に。
愛と言っても、その程度の物だったのだ」
「……今は違うのか?」
「どうかな……?
マクナク公を敬愛する気持ちは変わらない。
だが、昔の様に絶対的な物を仰ぐ気持ちでは無い」
「新たな『絶対的な物』を探しているのか?
今度こそ揺るがぬ物を」
「そうかも知れんし、そうでは無いかも知れん。
一つ言える事は、能力の強弱は本質では無いと思っている」
「貴様の言う事は解らん……。
丸で掴み所の無い、幻の様だ」
「……私は未だ真に愛すべき物を見付けていない。
それは愛を知らないのと、同じ事なのかも知れん……」
「何だ、真面目に聞いて損したぞ。
結局、貴様にも解らんのだな」
時間の無駄だったなと、バニェスは全身の羽毛を寝かせて落胆した。
フィッグは申し訳無さそうに言う。
「気を持たせる様な事を言って悪かったな」