強大な悪魔が実力を隠して潜伏していたのかと、ヴァールハイトは考えた。

 「新しい……?
  歴史上、最も新しい魔法は共通魔法だ。
  お前は悪魔なのか?」

 「違う。
  私は一般的な『新人類<シーヒャント>』……の中でも、劣った能力の者。
  他の多くの新人類と同じく、肉の体を持ち、悪魔としての自覚は無い存在」

淡々と答えるワーロックが不気味で、ヴァールハイトは混乱する。

 「それでも、お前が徒者で無い事は判る。
  新しい魔法使いとは何なのだ?
  お前の様な存在が、未だ地上には居ると言うのか?」

 「分からない。
  もしかしたら、居るかも知れない。
  唯一大陸に暮らす2億以上の人間の中に、私の様な存在が居ないとは限らない」

余りにワーロックが正直に答えるので、彼は自分の魔法が効いているのかと少し期待した。

 「……私の魔法が効いているのか?」

 「私の魔法は効いている」

その返答で絶対に効いていないと、ヴァールハイトは確信させられる。
だが、ワーロックの様子が奇怪しいのは事実だ。
ヴァールハイトは改めて質問した。

 「お前は何を企んでいる?」