0261創る名無しに見る名無し
2019/03/18(月) 19:09:29.06ID:nZDF9voD自らの内を巡る魔力が、意識を塗り替えて行く瞬間を静かに観察する。
それは自分を客観的に見る、第二の自分が居るかの様に。
彼の劣った魔法資質が、ヴァールハイトの魔力の流れを掌握する。
「私は敵では無い。
お前は私を信頼している。
私に隠し事は出来ない……」
ワーロックはヴァールハイトの言葉を繰り返した。
その言葉はヴァールハイトに返って行き、彼に同じ言葉を繰り返させる。
「私は敵では無い。
お前は私を信頼している……」
2人は互いの目を真剣に見詰め合って、どちらも逸らそうとしない。
傍目には、どちらが魔法に掛かっているか判らない。
先に動きを見せたのはワーロックだった。
彼は口の端に笑みを浮かべる。
ヴァールハイトは焦りを感じる。
「何故、効かない……?
お前は何者だ?
魔導師会の者か、それとも旧い魔法使いか!?」
「どちらでも無い。
私は新しい魔法使い」
堂々と答えたワーロックに、彼は動揺して蒼褪める。