その一つが嘘を吐かない事である。
詭弁だろうが何だろうが、嘘さえ吐かなければ、愚者の魔法も効果は無い。
詐欺師、又は詐欺を働こうとする者は、これを十分に承知している。
詐欺の実態を知らない第三者を介する事もある。
単純に使い走りを用意する場合もあるが、無限連鎖講――所謂「鼠講」も、これに該当する。
愚者の魔法に掛かったと見せ掛ける事もある。
魔法資質が十分に高く、魔法知識に優れた詐欺師は、これを得意とする。
最も厄介であり、魔導師崩れや元魔導師だけでなく、現役の魔導師が詐欺を働く事もあった。
理由は大抵、金に困っていたとか、仕事が無かったと言う物である。
結局の所、愚者の魔法も詐欺を完全に見抜ける物では無い為に、十分注意しなければならない。
究極的には、詐欺から自分の身を守るのは、自分自身の知恵と勇気なのだ。