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日本が異世界に転移した第1(84)章
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0347創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/06/13(水) 13:33:56.25ID:NWj3tL1r
「総督府に可能かどうか提案を問い合わせてみますよ。」

赤井達が侯爵家での晩餐を終えて用意された宿舎に帰っていく。
その様子を窓から眺めボルドーはフィリップのグラスにワインを注ぐ。

「洞窟や船の乗員の墓から、異世界の銃や肩掛け式大砲は回収しました。
倉庫に隠しています。
研究するにせよ、使用するにしろ、ほとぼりが冷めるまでは封印ですな。」
「財宝も将来的な投資に使えるから回収は必須だ。
未開拓地はマーマンの王国のそばとは予想外だったが上手く始末して、港の建設費用も新香港に出させた。
今回一番利益を受けたのは我々だな。
アンフォニーには代官を派遣する必要があるな。
人選は近日中に決めよう。」

二人はグラスを傾けて乾杯する。

「今回のマーマンやシーサペントの討伐は父上が家を飛び出して、冒険者をしていた経験が生きましたな。
そういえば父上、総督府の総督閣下に手柄首を送りましたが日本ではああいった風習はとうに廃れてると聞きましたが?」
「こちらを古臭い懐古趣味な田舎者と侮ってくれれば今後もやりやすかろう。
あとはそうだな・・・単なる嫌がらせよ。
ところで、儂もお前に言いたいことがある。
ヒルデガルドの教育についてじゃが・・・」
0348創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/06/13(水) 17:19:07.64ID:pzJCpdoQ
そこはこれから官公庁が集中する中央区にある大陸総督府の城での会議で決められることになる。
大陸総督府の城には連日のように大陸各所から貴族や街の代表者が陳情に訪れている。
開発の誘致や日本人とのトラブルの裁定、本領安堵の免許更新、再発行、モンスター退治の自衛隊の出動の要請など多岐に渡る。
総督府の執務室には多数のファンタジー小説やオカルト雑誌が本棚を埋め尽くす。
少しでも現状を理解してもらう為と頭を柔らかくしてもらう為だ。
他には江戸幕府に関する資料が本棚の一角を占めている。

「まさか、首獲りの恩賞を求められるとは思ってなかったな・・・」

大陸に存在する統一国家である王国を傀儡にする男、秋月春種総督府は机の上で頭を抱えている。
新香港の主席との会談などより気が重くなる。
何しろハイラインの代表がこの部屋にこれから生首を持って来るというのだ。
日本の古い文献を漁り、このような文化があったことを知られてしまったのだ。

「今後もこのような事態が続いたらどうしましょうか・・・部屋が生首で溢れるような事態は、ちょっと避けたいのですが・・・ああ、ここがよろしいかと。」

秘書官秋山も困り顔で書類を渡してくる。

「元帝国皇族天領アンフォニーか。
男爵領になるのかな?
ハイライン侯爵領からも比較的近くて、将来的な南北線の駅建設の候補地の一つか。
まあ、申し分ないんじゃないかな?
地下資源に関してはどうだ?」
「亜鉛、石炭、鉛の二号鉱山。銅に関しては三号鉱山の採掘が開始されています。現在は第6鉱山開発地域に指定されてました。
これは総督府直轄ですが、鉱山町に関する利権はアンフォニー領統治機関に委ねられるでしょう。」

数字の割り振りはこの九年で見つり、日本の管理下になった鉱山の順番である。
ちなみにアンフォニーが現在の調査対象としては最新のものだ。
南北線は南部地域に植民都市百済との間に引く列車の一つだ。
首一つの恩賞として、ノディオン元公爵に与える隠居地としては惜しくも無い。
ハイライン侯爵の申請によれは、将来的にこの新京に留学中の妹に分家として相続させる予定となっている。
公安からの報告では、その妹君は親日で進歩的らしい。

「進歩的という言葉に多少違和感を覚えるが承認しよう。
安堵状の手配は?」
「完成しております。」
「よろしい。
現地の総督府支所と駐屯の第六分遣隊への連絡はよろしくな。
しかし、・・・やっぱり生首は勘弁してくれないかな・・・」
0349創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/06/13(水) 19:15:14.95ID:NWj3tL1r
「ああ、お気になさらずに。
彼等は代官所のスタッフと研修生です。」
「研修生?」
「お気になさらずに。」

強調されて困惑する浅井にヒルデガルドは、クスクスと笑っている。

「ヒルダでいいですわ。
楽になさって下さい。」
「・・・、お言葉に甘えて・・・」

ようやく座席に座ることが出来た。
ギスギスした車両はたいへん居心地が悪かった。
ヒルダとの会話には支障はなかった。
大貴族ほど日本語を学んでいるし、ヒルダは新京に留学出来るくらい優秀なようだ。
日本人の方が大陸での言語を学ぶのに苦労している。
大陸の統治に旧帝国の貴族や役人を排除出来なかった一因でもある。
会話は進み、旅程について話が進むとヒルダが浅井の赴任地について訪ねてくる。

「浅井様が赴任するマディノというと、旧マディノ子爵領の?」
「はい、『横浜広域魔法爆撃』で改易となったマディノ子爵の領地だった場所です。」
「確か金、銀、銅の鉱山があったかしら?
日本の鉱物資源の欠乏は切実のようね。」
「まあ、そんなところです。」

今度は浅井が斉藤達を睨み付けるが、斉藤は意にも介さない。

「姫様は新京の留学生ですからその辺りは授業で習いますよ。
我々が教えるまでなくね。
二尉殿は我々が大陸技術流出法に違反してないか心配のようですが、あの法律は木材を使った技術は規制してないし、農業に関しては奨励しているくらいですからご心配なく。」

確かに木材技術は日本としては眼中に無いし、食料生産の向上は望むところなのだ。

「単刀直入に言おう。
大陸総督府は今回の代官就任に注目している。
君たちが危険かそうじゃないかだ。
だいたい君らは一体何者なのだ?」

斉藤は自信満々に答える。
たぶん、用意してあったような発言だった。

「ただの就活中の大学生ですよ。」

そのどや顔をおもいっきり殴りたかった。
睨み付ける浅井をヒルダが話掛けてきて会話が変えさせられる。

「浅井様、前々から疑問だったのだけど、日本は、鉱山を発見したり開発するの早すぎないかしら?
どうやって見つけてるの?
あと、やたらと金、銀、銅に片寄ってるのは何故なのかしら?」

答えていいものなのか浅井は迷ってしまっていた。
金、銀、銅、それに加えて鉄が多いのは最初から帝国や貴族たちが発掘したのを接収したからだ。
それ以外、石炭、亜鉛、鉛、ボーキサイト、ダイヤモンド、ニッケル、カリウム、リチウムに関しては、帝国が設立した学術都市での調査記録に基づいている。
他にも色々発見はしているのだが転移当時の鉱山労働者の数が少なかった日本には手がつけられなかったのだ。
現在は鉱山労働者を教育、経験を積ませて順次鉱山に割り振っているのが現状だ。
同時に冒険者を雇って、未開発鉱山からサンプルを持ち帰らせたりしている。

「私は自衛官なので専門外のことはわかりませんな。」

お茶を濁すことにした。
0350創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/06/13(水) 19:19:16.57ID:NWj3tL1r
「自分も聞いていいですか?」

斉藤からの質問である。
身構えるが内容はたいした質問でじゃなかった。

「なんで分遣隊の隊員さん達は東側の装備なんですか?」


転移6年目
南樺太道
大泊郡深海村(旧サハリン州ダーチェ)

日本に返還された南樺太は食料増産を目論む日本政府によって、幾つもの開拓団が組織された。
中心となるのは転移前に廃業した農家や漁師達で、第三次産業に従事していた者達である。
もちろん一朝一夕に畑は出来ないし、漁船だって足りてるわけじゃない。
それでも南樺太に駐屯する陸上自衛隊第2師団の隊員達が手伝いに来ることもあって、ようやく東京への出荷が出来る規模の生産が可能となっていた。
そんなある日、人口四千人ほどの豊原市に隣接する深海村に三千人ほどの第二師団の隊員が展開していた。
動員されているのは豊原の第2普通科連隊、第2後方支援連隊。
住民達は普段は地引き網や開墾を手伝ってくれる隊員達が怖い顔をしてある倉庫のような建物を包囲しているのに驚愕していた。
隊員の中には村の娘と恋人関係或いは結婚した者も多いが誰もが家族にも理由を明かさない。
不安がる住民を代表して、村長と駐在が村の代表数人を引き連れ自衛隊の仮設司令部を訪れていた。
「お騒がせして申し訳ない。」

開口一番、第二師団団長穴山友信三等陸将が頭を下げてくる。
三等陸将は自衛隊の大幅な増員を受けて、予てより計画されていた将・将補の2階級制度を4階級制度にした為に出来た階級だ。
だが呼びにくいので部下達すらいまだに陸将としか呼称してくれない。

「穴山団長、我々としても朝っぱら自衛隊さんが大挙して押し掛けてきた困惑している。
村の中じゃ、ここにもモンスターが出たのかと怖がっている者も多い。
機密とかに縛られてるあんたらの事情も理解は出来るが、村の者を安心させる発表を欲している。
そこらを説明してくれないだろうか?」

村長は元は大阪の住民だ。
樺太開拓は様々な地方から集まった住民がいるため、極力標準語で喋っている。
北海道ではいまだに存在する『隣の町の人間が何を喋ってるか判らない』問題を南樺太にまで持ち込まない為だ。
故郷への郷愁を断ち切る為でもある。

「そうですな・・・、皆さんはニコラス・ケイジが昔主演した武器商人の映画を観たことがありますか?」

唐突に始まる映画鑑賞会。
ソ連崩壊によりウクライナで将軍の叔父を訪れた主人公は、叔父が管理する基地で膨大に保管されている兵器を売却して富を築いていく。

「この保管基地がですね。
実はこの村にもあったんです。」

名称は第230保管基地。
2008年、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領が承認した「ロシア連邦軍の将来の姿」に従い、ロシアの各師団は一度全て旅団に改編された。
さらにもう一歩進めて、第230保管基地は平時には基幹部隊と装備のみ維持し、戦時に完全編成の第88独立自動車化狙撃旅団として展開する予備旅団の基地となった。
そして日本転移に巻き込まれ、日本政府の支援の代償に千島列島と南樺太を返還すると、各地に点在していたロシア軍北サハリンに集まり統合された。

「ところがですな問題はもう1つありまして、樺太にも千島にもロシア製、いや東側の武器弾薬を造る工場なんてこの世界にはどこにも無いわけです。
さらに新設の部隊を創設出来るほど、ロシア人人口に余裕があるわけでもない。
ならばいっそ我々に造らせてしまえと。
この保管基地はそのサンプルとして譲渡されたわけです。
これには同系統の装備をしている新香港の意向でもあるわけですな。
まあ、我々も武器弾薬の消耗は悩みの種でしたからな。」
0351創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/06/13(水) 19:23:53.18ID:NWj3tL1r
「自分も聞いていいですか?」

斉藤からの質問である。
身構えるが内容はたいした質問でじゃなかった。

「なんで分遣隊の隊員さん達は東側の装備なんですか?」


転移6年目
南樺太道
大泊郡深海村(旧サハリン州ダーチェ)

日本に返還された南樺太は食料増産を目論む日本政府によって、幾つもの開拓団が組織された。
中心となるのは転移前に廃業した農家や漁師達で、第三次産業に従事していた者達である。
もちろん一朝一夕に畑は出来ないし、漁船だって足りてるわけじゃない。
それでも南樺太に駐屯する陸上自衛隊第2師団の隊員達が手伝いに来ることもあって、ようやく東京への出荷が出来る規模の生産が可能となっていた。
そんなある日、人口四千人ほどの豊原市に隣接する深海村に三千人ほどの第二師団の隊員が展開していた。
動員されているのは豊原の第2普通科連隊、第2後方支援連隊。
住民達は普段は地引き網や開墾を手伝ってくれる隊員達が怖い顔をしてある倉庫のような建物を包囲しているのに驚愕していた。
隊員の中には村の娘と恋人関係或いは結婚した者も多いが誰もが家族にも理由を明かさない。
不安がる住民を代表して、村長と駐在が村の代表数人を引き連れ自衛隊の仮設司令部を訪れていた。
「お騒がせして申し訳ない。」

開口一番、第二師団団長穴山友信三等陸将が頭を下げてくる。
三等陸将は自衛隊の大幅な増員を受けて、予てより計画されていた将・将補の2階級制度を4階級制度にした為に出来た階級だ。
だが呼びにくいので部下達すらいまだに陸将としか呼称してくれない。

「穴山団長、我々としても朝っぱら自衛隊さんが大挙して押し掛けてきた困惑している。
村の中じゃ、ここにもモンスターが出たのかと怖がっている者も多い。
機密とかに縛られてるあんたらの事情も理解は出来るが、村の者を安心させる発表を欲している。
そこらを説明してくれないだろうか?」

村長は元は大阪の住民だ。
樺太開拓は様々な地方から集まった住民がいるため、極力標準語で喋っている。
北海道ではいまだに存在する『隣の町の人間が何を喋ってるか判らない』問題を南樺太にまで持ち込まない為だ。
故郷への郷愁を断ち切る為でもある。

「そうですな・・・、皆さんはニコラス・ケイジが昔主演した武器商人の映画を観たことがありますか?」

唐突に始まる映画鑑賞会。
ソ連崩壊によりウクライナで将軍の叔父を訪れた主人公は、叔父が管理する基地で膨大に保管されている兵器を売却して富を築いていく。

「この保管基地がですね。
実はこの村にもあったんです。」

名称は第230保管基地。
2008年、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領が承認した「ロシア連邦軍の将来の姿」に従い、ロシアの各師団は一度全て旅団に改編された。
さらにもう一歩進めて、第230保管基地は平時には基幹部隊と装備のみ維持し、戦時に完全編成の第88独立自動車化狙撃旅団として展開する予備旅団の基地となった。
そして日本転移に巻き込まれ、日本政府の支援の代償に千島列島と南樺太を返還すると、各地に点在していたロシア軍北サハリンに集まり統合された。

「ところがですな問題はもう1つありまして、樺太にも千島にもロシア製、いや東側の武器弾薬を造る工場なんてこの世界にはどこにも無いわけです。
さらに新設の部隊を創設出来るほど、ロシア人人口に余裕があるわけでもない。
ならばいっそ我々に造らせてしまえと。
この保管基地はそのサンプルとして譲渡されたわけです。
これには同系統の装備をしている新香港の意向でもあるわけですな。
まあ、我々も武器弾薬の消耗は悩みの種でしたからな。」

安全が確認され、保管基地の地下倉庫の扉が開けられる。
そこには無数のロシア製兵器がところ狭しと鎮座している。
その規模には同行した村長や駐在はともかく穴山団長や隊員達も驚いている。
0352創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/06/13(水) 19:30:23.95ID:NWj3tL1r
「とても旅団用の数じゃないな。」

自分達第二師団はずっとこんな連中と対時していたのだと冷や汗が流れた。


転移から九年目
大陸中央部
東西線『よさこい3号』

「その後、山口の第17普通科連隊にロシア製兵器の転換訓練が行われた。
大陸派遣を命令させて6っの分遣隊が同連隊から組織されて今に至るわけだ。」

あれだけ敵意を向けていた斉藤やスタッフ達が、浅井の話を聞き入っていた。
久し振りの本国の話も聞けたからというのもあるだろう。
次はこちらが彼等に聞く番と考えていると、全員の携帯から一斉に着信音が鳴り響く。
浅井や斉藤達だけでなく、車両に乗り合わせた日本人乗客からもだ。

「安否メールか。」

浅井が携帯から確認したのは、新京から出た日本人に配布された総督府からの安否確認を行うサイトに繋がるメールだ。
災害やテロが発生した時に一斉に送信される。
もとは警備会社が顧客サービスに使用していたシステムだ。
そして、内容も書き込まれている。

「テロ警戒か・・・君らは護身用の武器を持ってきたか?」


大陸中央部
旧皇室領現子爵領マッキリー

町の片隅で一頭のケンタウルスが弓を構えていた。
傍らには商人エリクソンから派遣された男が目標を指差して頷いている。

「あいつを殺ったら俺は一族に復帰できるとトルイの叔父貴は行ってたんだな?」

ケンタウルスはトルイの甥でセルロイ。
素行の悪さから一族を追放され、マッキリーの鉱山で荷車を運ぶ日雇い人夫をして過ごしていたが、ようやくチャンスが巡ってきた。
セルロイは一撃離脱の騎射の名手である。
ビルの路地から飛び出し、一騎駆けで目標の陸上自衛隊第四分遣隊隊長朝倉三等陸佐が軽機動車の後部座席に乗り込もうとするところを騎射する。

「往生せいや!!」

肩を射抜かれた朝倉三佐の部下達が離脱しようとするセルロイを銃撃で蜂の巣に変える。

「隊長!?」
「大丈夫だ。
肩に刺さったがこれくらいなら・・・」

だが朝倉三佐は青い顔をして口から泡を吹いて倒れる。

「これは・・・毒か!?
救急車だ、救急車を呼べ!!」

慌てる隊員達を尻目に見届け役の男は人ゴミの雑踏に紛れ込んで消えた。


大陸中央部
旧天領トーヴェ第5分遣隊分屯地
第5分遣隊は各分屯地の中でも最小で僅かに50名しかいない。
分屯地も小規模であるがT−72戦車、2К22ツングースカ自走式対空砲、2S19ムスタ-S 152mm自走榴弾砲などが1つずつ格納庫に鎮座している。
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