>『観客は刺激を求めるものなのだが……では、次の章に移るとしよう。
 喜劇か悲劇かは君たち次第――"終わりよければ全てよし"』

用意された状況は、口減らしのために捨てられた老人や子どもが村人を脅して食料を奪っているというものだった。

>『さて、世界を救いたいと願う指環の勇者たちはどちらを救うのか?
 あるいはどちらも等しく滅ぼすのか?役者の演技に期待するとしよう』
>「……クソ、どっちをぶん殴ればいいってんだ……!」

「落ち着け、所詮は全竜の茶番劇だ――セオリー通りにやればよい」

ティターニアはそう言って、混乱の渦中からは少し外れたところの村人と呑気に話をしている。

「五年前に食料が片っ端から持っていかれたそうだが……帝国が急に税を増やしたということか?」
「いや、その年から急に作物がとれなくなったのに税は減らなくて……」

『引き延ばしはいけないよ、退屈するからね。どちらを救うのか、どちらも滅ぼすのか――決断を』

「気が短い奴だな。時間制限付きクイズじゃあるまいし……」

決断を煽ってくる全の竜にぶつくさ言いつつ、ティターニアは抗争している村人達に向かって杖を構えた。

「双方ともいい加減にせぬか――」

杖を一振りしてファイアボールを放つ。すわ全員吹き飛ばすのかと思いきや、着弾したのは横の畑。

「早く逃げねばそなたら自身が食料になるぞ!」

爆発が巻き起こり、地中から鋭い歯の生えた大きな口を持つ巨大なミミズのような虫――サンドワームが現れた。
作物が取れなくなったという情報から、大地の指輪に宿るテッラの力で見抜けたのだ。
村内は先刻までとは別種の阿鼻叫喚となり、逃げ惑う人々。

『何等かの理由で狂暴化したサンドワームが土の中で作物を食い荒らし
ついには地上に出て人間を食べようとしていた――というわけですね』

サンドワームがすぐに無力化されると、ティタ―ニアは虫と会話できるフィリアに要請。

「フィリア殿、事情を聞いてみてくれ。もしかしたら黒幕の名でも聞けるかもしれぬな」

そう言った後、明後日の方向に向かって全の竜に語り掛ける。