ここで象牙の塔の研究者達も現場に到着し、執行者達の攻撃に加わる。

 「先ずは、この腐蝕ガスをどうにかしなければなりません。
  魔力を遮る効果もある様で、中々厄介です」

執行者の説明を受けた禁呪の研究者達は、淡々と応えた。

 「では、『C』で行こう。
  所詮ガスはガス、魔法が通じずとも、理法たる物理法則には逆らえんよ」

禁呪の研究者達は、執行者よりも知識が豊富で分析が早い。
恐れずに、腐蝕ガスが充満する結界内に手を突っ込んで、自分の体で解析する。

 「どうやら複雑な分子構造の化学ガスの様だ。
  『海素<バールゲン>』、『変素<ミュートン>』、『融素<フルクスゲン>』の混合……。
  『燃素<ファラムトン>』も含まれているな」

猛毒のガスで皮膚が爛れても動じず、無反応で手を引いて回復魔法を使い、淡々と修復する姿は、
人間離れし過ぎていて、執行者でさえ怯んでしまう。

 「魔力を遮っているのは、モールの木の脂(やに)か?
  あれと似た様な性質の液体が、ガスに混じって飛散している」

 「それで、どの『C』で行く?
  水か、風か、火か、土か」

 「火が良い。
  周囲の被害が最も少なく済む」

 「良し、執行者にも協力して貰って、一丁派手にやったるか!」

禁呪の研究者達は頷き合い、執行者達に指示を出して、C級禁断共通魔法を実行する。