ここはウィローの結界の中で、フェレトリの能力は抑えられる筈だが、瞬く間に周囲が闇に染まる。
光を遮るフェレトリの結界が、ウィローの結界を塗り潰したのだ。
しかし、ウィローも一方的な展開にはさせない。
自ら光を発して、一部ではあるが闇を振り払う。

 「あんたは光に弱い。
  日光でも、月光でも、『提燈<ランタン>』の灯でも、凡そ眩しい物は全て嫌った」

 「中々の光量であるな。
  月に成り代わろうとしただけはある。
  然し、弱い!
  我を追い詰めるには及ばぬ」

暗闇の中でフェレトリの正体を掴む事は出来ない。
彼女は結界内を覆う闇その物と化しているのだ。
ウィローが強い光を保っている内は、フェレトリは手を出せないが、それはウィローも同じ事。
では、互角なのかと言うと、そうでは無い。
ウィローはフェレトリの結界の中に閉じ込められている。

 「その儘、命を削りながら明かり続けるが良い!
  兄妹達の様に『燃え尽き』、『消し炭になる』までな」

今のウィローの魔法資質では、闇と同化したフェレトリを一気に払えない。
外部からの魔力の供給が断たれている現状、ウィローの力は次第に衰え、圧殺されてしまう。
打つ手は無い様に見えるが……。