ジラは再びマキリニテアトーに目を向けると、ローブのポケットに収めたメモ紙を取り出して、
彼に見せ付け、残る疑問を打付けた。

 「ここにある『最終試験』とは何ですか?
  どうしてシャンリー班長は死ななければならなかったのですか?」

マキリニテアトーは表情を変えずに答える。

 「文字通りの『最終試験』だ。
  これより後は無い」

 「だから、シャンリー班長は死んだと?」

信じられないと眉を顰めるジラに、彼は無言で頷くのみ。
ジラは激昂した。

 「そんな馬鹿気た理由でっ!」

 「魔法使いとは、そう言う物だ」

怒る彼女をマキリニテアトーは強い言葉で制する。
その勢いにジラは圧されて、思わず口を閉ざした。
マキリニテアトーは静かな、しかし、迫力に満ちた声で語る。

 「予知魔法使いになるからには、予知を外してはならない。
  外れる予知に意味は無いのだ。
  それは最早、予知とは呼べない」

 「だからって、死ななくても!
  予知魔法使いに成れなかった位で!」

ジラは正論を吐く。
予知魔法使いに成れない事と、自殺する事には全く繋がりが無い。