時と所は変わり、ガーディアンは再び元仲間の自己防衛論者と接触を図っていた。

 「よぅ、態々呼び出したって事(こた)ぁ、何か分かったんか?」

自己防衛論者は今回は執行者を連れていない。
一対一での対面だ。
ガーディアンは人目を気にしながら、神妙な面持ちで告げた。

 「途んでも無い爆弾ニュース、持って来たったで。
  協和会は本殿地下で、女囲っとる。
  お偉いさん等の相手させとんのや」

 「本真の話か?」

 「嘘は吐かんて」

 「証拠は……?」

証拠の有無を尋ねられたガーディアンは沈黙する。
彼は何の証拠も握っていない……が、強気に押し切ろうとした。

 「この目で見たんや。
  魔法でも何でも使えば良え」

実際は見てはいない。
僅かに聞こえた声から、それらしい事をしていると判断したに過ぎない。
張ったりはガーディアンの特技なので、臆面も無く嘘を言う。
だから、元仲間も彼の言う事を安易には信用しない。

 「そやのうてなぁ、証拠が無いと動かれへんがな」

 「打(ぶ)っ込み掛けりゃ良えやろ」

 「何ぼ魔導師会でも、そら無理やで……」

緊急事態以外で執行者を動かすには、確実な証拠が無ければならない。
この2人は未だ共和会の影に潜む、恐ろしい物の正体を知らない。