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TRPG系実験室 [無断転載禁止]©2ch.net
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0001創る名無しに見る名無し
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2016/11/19(土) 22:06:01.00ID:qBV+iLA/
TRPG関係であれば自由に使えるスレです
他の話で使用中であっても使えます。何企画同時進行になっても構いません
ここの企画から新スレとして独立するのも自由です
複数企画に参加する場合は企画ごとに別のトリップを使うことをお勧めします。
使用にあたっては混乱を避けるために名前欄の最初に【】でタイトルを付けてください

使用方法(例)
・超短編になりそうなTRPG
・始まるかも分からない実験的TRPG
・新スレを始めたいけどいきなり新スレ建てるのは敷居が高い場合
・SS投下(万が一誰かが乗ってきたらTRPG化するかも?)
・スレ原案だけ放置(誰かがその設定を使ってはじめるかも)
・キャラテンプレだけ放置(誰かに拾われるかも)
0002創る名無しに見る名無し
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2016/11/19(土) 22:10:15.74ID:qBV+iLA/
避難所用板

なな板TRPGよろず掲示板
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/9925/

TRPG系実験板
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/20240/
0003【反帝国レジスタンス】
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2016/11/23(水) 23:28:43.23ID:R1vF10vR
いきなり次回予告!

隠れオタクなマスターは人生の岐路に立っていたッ!

 マスター「モナーたんフィギュアを買うべきか・・・」
  それともアンジェリカたんの等身大抱き枕を買うべきか。
  それが問題だ・・・」

 次回のそれいけ!徒歩通勤男は
 『決められない!助けて萌え神様!』だ!
 見てくれなきゃ、おしおきだゾw

反帝国レジスタンス参加者募集中!(※この次回予告はフィクションです)
0004創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/12/26(月) 19:09:39.92ID:TRmT1bjd
【バハラマルラ紀行】

◆大トルメイダ島
列島の南端近くの島。
自然崇拝の呪術師たち、ルス・バリェたちが治める。
島の言葉でルスが森、バリェが子を意味するらしい。
大トルメイダ島は緑が深く、大樹老木も数知れず、各集落は森の中に点在している。
島内には悪霊や魔物が多いそうで、どの集落にも聖鐘が設置されていた。
この蒼銀の鐘は魔除けの鐘で、音の届く範囲が島民の生活圏というわけだ、

彼らの信仰を調べようと思って謎の像に触れたら角が折れてしまい、凄い剣幕で老呪術師に怒られてしまった。
馬でも牛でも竜でも鹿でもない、よく分からない混獣の像なので、とても興味があったのだが……。
その件でどうにも村人たちの怒りが解けず、賠償として金銭を贈ろうとしても火に油を注ぐだけだった。
私は仕方なく船に乗り、大トルメイダ島を背にする。

◆キラカン国
列島の南寄りに位置する首長国で、西北が海に面する。
キラカン国もバハラ連邦を構成する一国なのだが、列島外との貿易が盛んなせいか異文化の香りが色濃い。
奇妙な響きの国名も、元は北大陸の言語らしい。
この国の人は祖先が大陸系遊牧民の系統のようで、幼い子供ですら騎獣を巧みに操る。
私もキラカン国を去る際、大型のモラランに乗ってみたが、跳ねまわる獣の乗り心地は最悪に近かった。
それでも、礼として餌を与えたのだが、折角のアボカの実もモラランには有害だったらしい。
泡を吹いて倒れてしまい、実に可哀想なことをしてしまった。

◆アシュタイ河
キラカン国を流れる大河で、西北の海に通じる。
流れは雄大で清浄に澄み渡り、朝方は白い霧に霞んで幻想的。
現地の村人からアシュタイ河には精霊がいると聞いて半日待ってみたが、一向に現れないので石を投げてみた。
石の数が五百を越えた所で飽きて止めるのだが、やはり河水から精霊は現れない。
緩やかな大河にも拘わらず、なぜか河渡しの船が沈没したので、私は船旅を断念して徒歩へ切り替えることとした。

◆イルマディラ国
列島の南寄りに位置する小国。
これといって特筆すべきことは無い国なのだが、奇妙な図書館を見つけた。
本の代わりとして、思念を放つ宝石に過去の様々な情報を記録しているのだ。
淡く光る石に触れれば、頭の中に声が流れ込んでくる。
実に不思議な技術だ。バハラマルラでは一般的なのだろうか?
私は研究のため図書館から一つの記録宝石を隠し持ち、そのままイルマディラを去ることとした。

◆南ウィロート平原
イルマディラの周辺に位置する草原。
群生する草木が緑、青、紫、赤、黄の五色の塊に分かれて分布しており、見るも鮮やかだ。
街道を行く私の右手にはアメジストのような紫、左手には黄色、名前の知れない短い草が生い茂っている。
あまりの風光明媚に気を良くして、私は煙草を吹かすこととしたが、後から思えばその判断は誤りであった。
火飛沫が風に乗って、惨憺たる有様となってしまったのだ。
あれから年を跨いで春も過ぎたが、鮮やかな五彩は元に戻っているのだろうか……。
0005【惑星開拓TRPG】
垢版 |
2016/12/31(土) 21:10:09.08ID:YfE7kCWF
かつて住んでいた星を捨て、人類があまねく星々に広がっていった時代。
発達した技術と増加した人口は既存の社会体制では支えきれず、人々は複数の大企業による企業連合の統治の下ゆるやかに発展していた。
その成長と発展が進む中、一つの惑星が人々の興味を引いた。
きっかけはその惑星の調査に向かったある企業の艦隊が、わずか一隻のみを残して企業連合基幹艦隊に帰還したことだ。

その一隻が残したデータには、惑星が居住可能であることと、未知の文明によって攻撃を受けたことが記されていた。
まだ見ぬテクノロジーと貴重な居住可能惑星という二つの利益を前に、企業連合はさっそく調査を始めた。
調査の末分かったのは、惑星への侵入を拒むように配置された対空・対軌道兵器の数々が地上にあることと、自律兵器と思われる二足歩行の機械が
それらを制御していることだった。三度行われた降下作戦の後、なんとか対空網に穴を開けることに成功した企業連合は志願者を募り、惑星への移民を開始した。

企業連合は未知のテクノロジーの解析と自律機械群の撃破に賞金を与えると決定し、コロニーへそれらの遺物を持ち帰る者は移民にとっての希望となった。
彼らは降下作戦の際に高い量産性と安いコストでよく使用された二足歩行兵器『ギガス』を乗りこなしたパイロットたちでもあり、志願者の大多数は彼らのようになることを望んだ。
ギガスは素人でも乗れるように思考感知と呼ばれる未知の文明由来の技術によって改修され、パイロット認証をすることで子供であっても容易に操縦することが可能となり、パイロットは急速に増加した。

そして企業連合標準時間にして四年が経った現在、企業連合は惑星にある最も大きな大陸の三割を制圧し、複数のコロニーを築くことに成功した。
今でもギガス・パイロットは増え続けているが、同時に自律機械群も増加傾向にある。
はたしてテクノロジーを無事に持ち帰り、移民たちの憧れとなるか。
それとも自律機械群に破れ、彼らを構成する材料となるか。

我々企業連合は、君の志願を待っている。


ジャンル:SFロボットアクション
コンセプト:自律機械群と人型兵器の熱い殴り合い
期間(目安):特になし
GM:あり
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
スリーサイズ:
種族:
職業:
性格:
能力:
搭乗ギガス性能:
所属企業:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:
0007【惑星開拓TRPG】
垢版 |
2017/01/01(日) 01:53:56.56ID:LtQBZLfP
どの辺り削ればよさそうですかね…とりあえず人型兵器で殴り合いってのは外せないんですが
0008創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/01/01(日) 02:08:50.76ID:5EQUJopn
じゃあそこ以外バッサリカットしちゃおう
もちろん背景は重要なのでフレーバー程度に作中で描写するに留めてさ

未知の惑星に移住したいがそこは自律駆動し外敵を排除する機械群のパラダイスだった!
人型兵器ギガスを駆り、襲い来る機械群を殴り飛ばし、未知なる大地に人類の旗を立てろ!

ぐらいザックリした説明ならとっつきやすいかな?
0009創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/01/01(日) 02:40:11.03ID:ZzZXtbLV
星に降り立った経緯とかは本編に組み込めば良い
参加者向けの冒頭文は出来るだけ簡潔にしておかないとどれだけ面白い設定でも読んでもらえなかったりする
超ガンの二の舞いなっちゃうからね
0010【惑星開拓TRPG】
垢版 |
2017/01/01(日) 15:58:00.91ID:LtQBZLfP
人類が宇宙へ移り住み、新たな人類の住処を求めて放浪する時代。
新たに見つかった十番目の居住可能惑星は自律機械群によって支配されていた。
政府に代わる新たな統治機構である企業連合は移民を開始するべく、志願者を募集。
適性のある者には思考感知によって制御される人型兵器ギガスが与えられ、彼らは自律機械群との戦争の最前線で戦い続けた。

そして企業連合標準時間にして四年が経った現在、企業連合は惑星にある最も大きな大陸の三割を制圧し、複数のコロニーを築くことに成功した。
今でもギガス・パイロットは増え続けているが、同時に自律機械群も増加傾向にある。
増え続ける移民を守り、未知のテクノロジーが秘められた自律機械群の本拠地を制圧するべく
今日もまた、新たなギガス・パイロットが愛機と共に惑星へと降り立った。



改めて考えてみると意外と削れる部分って多いんですね、アドバイスありがとうございました!
0012【バハラマルラ】
垢版 |
2017/01/07(土) 23:57:07.81ID:FgVmGiUJ
【モラランひみつ大図鑑・1】

★種族:モララン
性別:♂ 状態:普通
LV:2 HP:9/9 MP:5/5 攻撃:3 防御:3 敏捷:4 魔力:1
――――――――――――
★スキル
【跳ねる:LV2】【体当たり:LV1】
――――――――――――
★願望
1・お腹いっぱい食べたい 2・もっと強いモラランになりたい 3・もっと下僕が欲しい
――――――――――――
★情報
体高28cm。体重4kg。体毛/茶色。
柔らかな毛皮に覆われた獣系モンスターで、手足を持たず、毬のように跳ねて移動する。
小型犬程度の強さで、餌として捕食するのは虫や小動物など。
武器があれば簡単に撃退できるが、ジャンプ突進は捻挫する程度の威力はあるので油断は禁物。
モラランは繁殖力が強く、環境の変化で進化しやすい特徴も相まって、世界中に無数の亜種がいる。
――――――――――――

★種族:レッドモララン
性別:♂ 状態:普通
LV:3 HP:15/15 MP:8/8 攻撃:3 防御:3 敏捷:12 魔力:1
――――――――――――
★スキル
【跳ねる:LV3】【体当たり:LV1】【隠れる:LV1】
――――――――――――
体高29cm。体重4kg。体毛/桃色に近い赤。モラランの進化形。
柔らかな毛皮に覆われた獣系モンスターで、手足を持たないので跳ねまわって移動する。
通常種より三倍も素早く、素人が矢で仕留めるのは困難。
雑食性で果物の他に虫なども食べ、赤茶けた土を保護色として荒野でも多くの姿が見られる。
反面、森や草原では目立つ体色のせいか、隠れる能力を高めたようだ。
――――――――――――

★種族:ハードモララン
性別:♂ 状態:普通
LV:3 HP:15/15 MP:8/8 攻撃:8 防御:8 敏捷:3 魔力:2
――――――――――――
★スキル
【跳ねる:LV1】【体当たり:LV2】【転がる:LV1】【丸まる:LV1】【物理に強い】
――――――――――――
体高29cm。体重5kg。体毛/灰色。モラランの進化形。
硬い毛皮に覆われた獣系モンスターで、手足を持たずに跳ねたり転がったりして移動する。
草食性の獣だが鉱物の特性も合わせ持ち、小さな石を食べて毛皮を固くする。
敏捷性こそ低いが防御力は高く、硬い毛皮なので激突されると痛い。
丸まって顔を隠すことで隙の無い防御も可能。
――――――――――――

★種族:モラランフラワー
性別:♂ 状態:普通
LV:3 HP:28/28 MP:9/9 攻撃:3 防御:3 敏捷:4 魔力:4
――――――――――――
★スキル
【跳ねる:LV2】【体当たり:LV1】【甘い花粉:LV2】【炎に弱い】
――――――――――――
体高29cm。体重4kg。体毛/草色。モラランの進化形。
柔らかな毛皮に覆われた獣系モンスターで、手足を持たないので跳ねまわって移動する。
草食性の獣だが植物の特性も合わせ持ち、頭頂部から咲く黄色い花の部分で光合成を行う。
戦闘能力や敏捷性は通常種と変わらないものの、生命力が高くて割としぶとい。
頭の花は甘い花粉を周囲に放って虫や獣を陶酔させる。蜜も甘い。
0013【バハラマルラ】
垢版 |
2017/01/28(土) 12:55:23.77ID:Tvak4Eu5
【石芙蓉】

バハラマルラはバハラ島で最大の都市だ。
各地から商人が集まるので、市にも珍奇なものが並ぶ。
象牙に犀角、真珠に龍脳、香木、胡椒、色とりどりの綿や綾布。

大通りには荷車を曳く白象が歩いている。
荷物は悪名高い石芙蓉の茶だろう。
なんでも、喫すれば舌と喉を官能で擽り、脳髄は恍惚に甘く蕩けるとか。

肉体に害はない。
いつでも辞められる。
石芙蓉に身代を注ぎ込んだ者たちは異口同音に言う。
ならば、私も一服だけ試してみようか。

嗚呼……これは実に美味い茶だな。
無我の境地に達し、まるで雲上を遊ぶようだ。

よし、もう一杯。
0014【バハラマルラ】
垢版 |
2017/01/31(火) 21:17:04.86ID:osO6x54z
【蹴毬】

バハラマルラでは賭け事も盛んだ。
裏通りに入れば、その手の店も少なくない。
主なものは闘鶏や蹴毬といった素朴なもので、拳闘士の類は見られない。
住民たちの戦嫌いが関係しているのだろう。

私も何か一勝負すべく、藁葺き屋根で木柵を壁代わりとする店に足を向けた。
天井の近くを見れば、二つの輪が架けられている。
ルールを聞けば、足のみを使って毬を相手側の輪に通せば得点となるそうだ。
そして、時間内に多くの点を得た側が勝つ、と。

どれ、試しに蹴毬で勝負をしてみようか。
観客たちの賭金は、勝者や勝者へ賭けた観客に分配されるらしいので頑張らねば。

審判は褐色の肌の女で、相手は異国風の装いの男。
私が対戦相手に相対すると、茶色い毬が褐色の手で放り上げられた……。

――――――――――

【Try my luck (Decimal point)】

00〜49:敗北
50〜99:勝利
0015【リビングレジェンズTRPG】
垢版 |
2017/02/17(金) 14:22:42.11ID:sQUbMFvK
人の歴史の始まりよりも遥か昔、神々にとっての原始の時代。
彼らは何度か世界を滅ぼしていた。
その原因の殆どが、神同士の諍いが激化し、彼らの持つ強大な力に世界が耐えられなかったから。

都合四度ほど世界を滅ぼした後、神々はこのままでは世界を何度作ってもきりがないと気付いた。
そして話し合いを始めた。
争い以外の手段で望みを通し意見の折衷を図ろうとした。

神々の世界に社会が生まれたのだ。

しかしそれでも全ての問題を話し合いで解決する事は出来なかった。
強大な力を持つ神々はその力相応のプライドもあった。
時にはそれを懸けて戦わなくてはならない時があった。

なんとか世界を巻き込まず戦う術はないものか。
皆が頭を悩ませ……ある時、生命を司る女神が提案をした。

自分達に瓜二つの生き物を作り、それらを壊してしまった世界に住まわせよう。
そして自分達を崇めさせ自分達の代わりに戦わせようと。
殆ど全ての神がその案に賛同した。

そうして神々が些細な諍いで世界を滅ぼしてしまう事はなくなり……世界の歴史が始まった。

それから幾星霜の時が流れ、神々の社会も円熟し、神々もちょっとやそっとでは争わなくなった。
何度も世代交代を重ね……いつしか、プライドを懸け戦い、そのついでに世界を滅ぼしていた頃の時代など、忘れ去られた。

かつての闘技場も誰も本来の用途で使おうとはしない。
今では「地上」と名付けられ、何かの実験場か、それとも別荘地に丁度いい……そのくらいの認識でふと神様達が遊びに来る。

神々の代闘士として生み出されたその生き物は、人間と名付けられた。
神の似姿として生み出された彼らは、今でも時折先祖返りのように、伝説的な能力を帯びて生まれてくる。
先祖返りと言っても、神々が彼らを忘れた長い時の中で、人間は何十億という桁にまで繁栄した。

だから一世代の内に、何人もの伝説が生まれてくる。

これは生ける伝説と呼ばれる、君達の物語。



ってのが背景含む前置き
実際にやりたいのは
大層な能力とカッコイイ二つ名持って、魔物や悪魔や魔王を相手にファンタジーバトル
本編内における大きな共通目的は、魔王討伐になると思う
0016【リビングレジェンズTRPG】
垢版 |
2017/02/17(金) 14:23:58.95ID:sQUbMFvK
名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
容姿と体格:
種族:
二つ名:
性格:
能力:
装備:
簡単なキャラ解説:



テンプレ例は

名前:アキュラ・アイム
年齢:13
性別:女
身長:155
体重:54
容姿と体格:細身で小柄、褐色の肌、大きな金色の目、短めの髪を頭の後ろで結っている
種族:人間
性格:人見知り
能力:遥か雲の上まで見通し射抜く眼力と弓の技術
装備:神弓『ウルレーション』
二つ名:『天上射抜く雨乞いの少女』

二つ名の由来(キャラ解説):

彼女が住んでいた村はかつて未曾有の干魃に襲われた事がある。
一月の間まったく雨が降らず、川は干上がり、貯水池の水も残り僅か。
いよいよ、老人や二番目以降の子供にまでは水を与えていられないという話が上がり始めると、
彼女は弓を手に家を飛び出し、空にめがけて矢を射かけ、
天上で居眠りをこいていた雨神の尻を射抜き、大泣きさせて雨を振らせたというのが二つ名の由来。

バイオレンスすぎる逸話のせいで、目的の為なら手段を選ばぬ冷酷幼女として恐れられているが
彼女はただ弱者を切り捨てるという話に居ても立ってもいられなかった、不器用だが優しい少女である。
国王が発した魔王討伐の招集に応じたのも、その小さな体に、大きな正義心を秘めているからこそだ。

こんな感じ
0020創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 14:46:52.39ID:sQUbMFvK
出来ない事はないだろうけど、ただの雰囲気作り&背景設定だし
あんまりする気もないかな

どうしても目が滑るようなら

『人間はかつて神様が自分達に似せて作った!
だから今でもたまーに伝説的な能力を持つ人間達が生まれてくる!
そいつらが魔物や悪魔や魔王退治の旅をするぞ!』

って部分が主旨だからそこだけ押さえてもらえればって感じ
0021創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 14:59:26.95ID:H2SOBA+V
魔王はどっから出てきたのさ
管理者たる神のいる世界にそんなもんがいるってことは
そもそも魔王討伐自体が神の仕組んだ茶番劇ってこと?
0022創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 15:06:19.99ID:4J0AdoN/
お出かけ始めちゃったから携帯です
その辺は流石に前置きが膨らみすぎるし取っ散らかるから
本編始められたらにしようと思ったんだよね、ごめんち

ただ人間もさ、自分達で作って管理してるものを完璧にコントロール出来てるかって言ったらノーじゃん
神様たちにとっても悪魔や魔物はイレギュラーだよ
全部お釈迦様の手のひらの上はちょっとね
0025創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 15:16:22.20ID:bCtaLVxj
文明進度はどのくらいを想定してるの
オーソドックスな中世程度なのか、産業革命を迎えているのか
0026創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 15:16:32.27ID:3SmjaCYY
どーだろうねー
まあ、実際退治する人間は自分達の生活を脅かされてる訳だから
その辺はデバッガーってほど無機質ではないかな
目的は分からないけど、放っておけば人間の世界に害をなすから討伐するし、時には逆に殺される
その辺は捻らず魔王退治したいですね
0027創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 15:20:48.61ID:3SmjaCYY
文明はオーソドックスな中世をベースに
でも神様由来の天才が局所的にレベルを跳ね上げてたりしてもいいよって感じ
街並みとかはまんま中世をイメージして欲しいかな。ヨーロッパ風味じゃない地方もあるだろうけど
0029創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 15:29:36.84ID:3SmjaCYY
うーん、魔法の力で機能する銃っぽい何かとかなら…まあ設定次第かなー
少なくとも一般的に流通してるほどのものではないって事で
0031創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 15:55:46.74ID:3SmjaCYY
ま、ま、全ては設定次第かな。それと俺の印象
そろそろお返事が出来なくなるので一旦これで
人が集まらなかったら…まあこの話はなかった事に
0032創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 15:59:07.45ID:3SmjaCYY
んー、あー、やっぱ銃は禁止にするわ
理由はファンタジー系のTRPGに銃を持ち込んで上手い方向に事が転んだ記憶がない
つまり安全上の予防措置って事で。ごめんち
0036 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/02/17(金) 19:03:07.29ID:hGY1dY4q
正直な話をすれば銃なのか大砲なのかだけで是非を決めはしないよ
極端な話、世界を吹き飛ばす大砲なんてものを持ち出せばそれはアウトだし
それ以外のあらゆるアウトの条件をここに明記する事は不可能だからしない
つまり全ては俺が感じる心象次第ってことで
0038創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/17(金) 19:33:44.26ID:/AsIY6CT
ほんならお前さんの心象でええわ
普通の、中世にあるような大砲はオーケー?
後装式じゃなくて頭からタマ入れる奴でもええで
0039 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/02/17(金) 20:02:47.19ID:hGY1dY4q
もう一度言いますね
銃なのか大砲なのかだけで是非は決めません
TRPGは対人ゲームであり、大事なのは相手の人となりです
つまり見てから決めるって事です。例え武器が剣であれ銃であれ、俺が不快しか感じない設定や立ち振る舞いならお断りします
この物言いで人が集まらないならそれはそれで仕方のない事です
0042レマゲン ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/02/17(金) 20:44:46.10ID:bCtaLVxj
試しにキャラ作ってみた。
スレ始動するならこのまま参加したいと思う



名前:レマゲン=アイアンブリッジ
年齢:25
性別:男
身長:175
体重:50
容姿と体格:痩せノッポ、痩けた頬に白髪交じりの短髪、両眼だけが異様にギラギラしている
種族:人間
二つ名:『奇蹟を腑分けした男』、『祝福の再建者』(自称)
性格:若干マッド気味な知的好奇心の奴隷、自分の得意分野になると早口になる
能力:有形無形に関わらず構造を解析し解体し改造し再建する"手先の器用さ"
装備:鍛冶の神の祝福を改造した変幻自在の万能レンチ『メルクリウス』

簡単なキャラ解説:

もとは豊穣の農耕神を奉じる教会で神学を学んだ優秀な修道士。
将来は神父になることを期待されていたが、戦争の折に隣国の軍隊に教会を襲撃される。

軍神の祝福を受ける敵兵に農耕神の戦力では歯が立たず、すわ略奪かと思われた時、
豊穣の祝福を解体、改造し、戦闘用の祝福として再建することで教会を強化し、敵兵を撃退する。

人的被害や略奪は最小限に抑えられたものの、周囲一帯の農村は軒並み改造祝福に汚染され、
かつては豊穣の祝福で栄養豊富な野菜や芋が採れた畑には剣が実り、果樹の枝は槍となり、肥沃な土は石炭と化してしまった。

宗教家でありながら神の奇蹟を捻じ曲げた罪で農耕神の怒りに触れた彼は教会をやんわりと追われ、
錬金術師の真似事をしながら仕える先を探していたところ魔王討伐の募兵に応じることとなる。

わりと善意が暴走するタイプのトラブルメーカー。
今は魔王を解体して有用な資源として活用できないか考えている。
0043 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/02/17(金) 21:45:58.37ID:sQUbMFvK
>>41
あまりにくどいのでハッキリさせときますね
銃も大砲もその世界には存在するでしょう
ですがPLのキャラクターがそれらを持つ事は禁止します
それに設定や立ち振舞次第と言っているのに頑なに使っていいという言質だけを取りたがるあなたは大変不快です
どうかご自分にあったスレを探して、あるいは立ててください

>>42
よろしくお願いします
始動するかどうかは、身も蓋もないけど人の集まり次第です
0045創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/18(土) 00:30:01.77ID:Fz2PnkIs
拳銃の一丁や二丁良いと思うんだけどなあ
普通に最近のファンタジーでは大砲や銃はあるぞ
0046創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/18(土) 00:47:52.52ID:8f4pFNEP
銃はファンタジーに出してもつまんないんだよ
そんなに銃を使いたいなら自分でスレ建てりゃいい
0047創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/18(土) 08:18:47.08ID:Yt45K63b
>>43
これは少数意見かもしれんけど発起人側にも参加PL選ぶ権利はあると思うんだ
質疑応答の中で人間性見るのもそうだしスタートする人数も含めてね
誰だって却下されても何度もしつこく食い下がるようなのと遊びたくないだろうし
いきなり立って早々に放置されたり落とせもしないようなスレより断然好感が持てるよ
きちっと酉付きで相談を進めてるし上手いこと人数揃う事を願ってるぞガンバレ(二回目)
0049創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/19(日) 16:57:23.99ID:aSNYaDhC
>>16
これで頼む

名前:ミハイル”アカーツィヤ(アカシヤ)”・フレスベルグ・ガンコン
年齢:32
性別:男
身長:182.5cm
体重:77.5kg
容姿と体格:一見細身に見えるがマッチョ
種族:人間(ただし半分機械化している)
二つ名:痛快のミハイル
性格:明るくて優しくて冷静でハッピー
能力:銃弾に回転や怨念を込める
装備:主力・AK-TE34スチーム機関銃(7.62mm) 副:B&B60AT拳銃(オートマ)
簡単なキャラ解説:銃が大好きなガンマン。どっちの手でも銃を撃てるように訓練されている。
片手で機関銃が撃てるほど腕っぷしは強い。基本的にタマが撃てれば大体のことはどうでもいい。
リロード用のタマを常に携帯している。
0050【TRPGハウツー】
垢版 |
2017/02/23(木) 21:16:47.08ID:u0S2d0L1
どうやら、私にも老いの季節がやって来たようだ。
若き日の愛と熱情は、今や純白の雪下に埋もれて冷え切っている。
数多の幻想を潤した着想の泉は干上がり、枯れ枝の指もキーボードを滑らない。
だが、旅路の果てに墓標の前へ辿り着いた私は、難路を歩む為の幾許かの知恵を得たようだ。
TRPGに関わる論考や技巧、作法に禁忌、世界や人物の作り方。それら知の断片は此処に残しておきたい。
若者たちにとって、古参の訓蒙を聞くのは愉快でないと思うが、せめて死に際の溜め息くらいは吐かせておくれ……。

――――――――――

タイトル:TRPGハウツー【※個人の感想です】
ジャンル:口伝・伝書
コンセプト:語り部たちが自分なりのTRPGの方法論や技術論を語る

◆参考サイト(なな板時代のだけど)
・TRPとは
https://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/175.html
・よくある質問Q&A
https://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/134.html
・TRPG講座
https://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/27.html


色んな人の方法論とか見てみたいので、こんなのがあればいいなとか思った
0052創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/23(木) 22:37:05.33ID:u0S2d0L1
プレイヤーとしてを念頭に置いてた
過去キャラが現れれば、荒れるかもしれないし
>50はちょっとした知識や技術を披露できる場があれば、賢者が集まらないかなという願望だったりして

私には語れるほどの知識も見識もないので……
0053創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/23(木) 22:53:45.02ID:A5n/7JW2
同僚を楽しませ、楽しませてもらう
なによりもまずはそれじゃろ
TRPGに伝わるどんな奥義にも通じる原点じゃよ
0055創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/24(金) 07:24:07.35ID:QpcXq7AK
>>50
いろんなPLのぶっちゃけトークみたいなもん?ならすごい聞きたいわ
しかし身元をハッキリ示さんと名無しの上級者様がワラワラ沸いて口喧嘩やりだすぞ
過去のキャラコテまんまでとは言わんが語り手用のコテ酉くらいは必須じゃね?
0056創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/25(土) 10:55:20.67ID:yYYBl31q
自称上級者様でもいくらでもトリップは付けられる
やるなら過去キャラで身元を明かした方が荒れ防止になると思う
PLが語って変な奴に目を付けられるリスクを考えると現役コテはやらん方が無難だろうな
0057創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/25(土) 12:26:43.30ID:cV5XhoXe
酉もIDと似たようなもんで煽りや口論やりたそうな単発はスルーすりゃいいよ
まともな発言してる酉が何人か居れば有意義な企画になりそうだ
0058創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/25(土) 13:03:18.90ID:yYYBl31q
まさか専用スレ立てるわけでもあるまいし語りたい奴から適宜語ればいいんじゃね
たいそ
0059創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/25(土) 13:05:33.24ID:yYYBl31q
まさか専用スレ立てるわけでもあるまいし語りたい奴から適宜語ればいいんじゃね
大層に企画立てるまでもなくここはTRPGの話題全般だから元々そういう使い方もアリのスレだろ
0060創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/02/25(土) 14:38:59.80ID:cV5XhoXe
>>59
言われてみりゃホントその通りだったな
>>50が何か話すわけでもなさそうだし
そういうの語りたいやつが居たとしたらとっくにやってるだろという
0061 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/02/25(土) 15:36:42.01ID:Z7NUtGDH
正直なにかテーマというか、質問的なものを提示してもらって
QAA形式にした方がいいんじゃない?
いきなりこうこうこういうテクがあるんだぜ!って切り出し方はハードル高そう
0063 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/02/25(土) 22:09:22.34ID:tD2sxFNI
時間軸がどこからのスタートなのかとか極力分かりやすいように書いとるで
0065創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/03/01(水) 09:13:23.97ID:FvM5OO6l
つまんねえ自演だな
そんな汚物吐き散らかす臭い場所にして何が楽しいんだよ自称上級者
0066創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/03/03(金) 19:18:52.49ID:6CG8m2wx
かつて地球上に存在し、人類の歴史上最も繁栄した時代。
その終わりは終末兵器と呼ばれる物が世界中に放たれたことによって、あっけなく訪れた。
世界中に広がった人類たちも、今ではわずかに残る汚染されていない区域に残るシェルターを
中心に街を築き、そこで細々と暮らしているだけだ。

だが、人類は過去の栄華を求めている。
食料の自動生産、重力の制御、人工的な超能力。暴走した無人兵器が闊歩し、除染不可能な毒物に塗れた廃墟の中に全てが眠っているのだ。
そして再び人類の手にこれらを取り戻すために、命知らずの探索者たちはわずかな武器と解毒剤を心の支えに廃墟へと潜る。

ジャンル:SF廃墟探索
コンセプト:ポストアポカリプス+ダンジョンアタック
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

2,3人集まるなら試しにやってみたい
0067創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/03/03(金) 19:48:05.03ID:kWFdSvro
その感じだとジャンルにSFを掲げずにスペースファンタジーにでもしたほうがいいかもな
0071廃墟探索 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/03(金) 20:28:36.64ID:6CG8m2wx
>>67
無理にSFにするつもりはないしそっちでもいいかな

>>68
人間以外だと

・機械化人間
・アンドロイド
・冷凍睡眠してた超能力者
・汚染に適応した新人類
・汚染された結果知性を得た動物・植物

がいる感じ、あくまで例だよ

>>69
あの人越境してるからルール的にアウトだし入れさせないよ

>>70
一回の探索につき一話完結形式でやりたいけど街どうしの輸送に
護衛で着いていくとかそういうのもアリだとは思う
0074廃墟探索 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/03(金) 22:57:30.38ID:6CG8m2wx
>>73
個人で街一つ潰せるとかビル丸ごと壊せるみたいな武装はない
最大でも動物の群れを潰せるぐらいで、そういう武器は大体大きめで持ち運びが大変
0075創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/03/04(土) 00:54:20.25ID:AbIGHfoC
ガンコンは越境には入らないと思うゾ
もっとも入れないと明言するほど嫌いならそりゃGMの意思だしガンコンが入れなくはなるが
0076創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/03/04(土) 07:54:23.74ID:k1Uwo5Vx
まぁ越境の細かい意味はともかく
要するにどのスレでも同じようなノリの奴は参加させないってことでいいんだよな?
そういうので募集すんのも普通にアリだと思うよ
ガンコンやら師匠みたいのが来ないとハッキリしてれば安心して参加できるって奴もいるだろうし
主の考えを取り違えてたらスマンけど
0078廃墟探索 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/05(日) 16:22:53.63ID:8zcnmnh6
最近は集まりづらいみたいだしとりあえず対面でやってみたいので一人募集
0080廃墟探索 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/05(日) 19:43:22.40ID:8zcnmnh6
>>79
ガンコンさんと思われる方は上にも書いた通りお断りしています
仮に本人でないとしても紛らわしいのでお断りします
0081 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/05(日) 21:38:39.66ID:nelP7RwX
参加しよっかな
テンプレはちょっとまってね
0082 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/03/05(日) 22:42:14.83ID:O1s2ILwo
参加してみたいけどまずGM側から
キャラテンプレの一例みたいなの提示して欲しいの
0083廃墟探索 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/06(月) 01:15:03.60ID:NwbeMOhR
名前:カナエ
年齢:27
性別:女
身長:181
体重:56
種族:超能力者
職業:探索者
性格:明るく世話焼き
能力:自分より軽い物を動かすことができる
所持品:小口径アサルトライフル・EMPグレネード・単分子ナイフ・石ころ
容姿の特徴・風貌:短くまとめた黒髪に整った顔立ち ポケットの多いジャケットと短めのズボン
簡単なキャラ解説:
数年前にシェルター近くの街に流れ着き、それからは探索者として働き生計を立てている。
街に来る前の記憶はあまり覚えておらず、廃墟で暮らしていたというぼんやりとした記憶があるのみだ。
探索の際には自らの超能力を活かし、他の探索者を援護する役目に回ることが多い。
超能力は対象を視認することで発動するが、生物や機械などの複雑な構造をしている物は動かせない。


一例としてはこんな感じです
0084創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/03/06(月) 03:56:40.00ID:ADVMaafX
超能力って色んなものを複合して持ってるの
テンプレに「能力」とか「技能」みたいな欄が欲しいな
0085 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/03/06(月) 15:30:41.53ID:50g1sEE2
名前:イズミ
年齢:16
性別:女
身長:158
体重:45
種族:改造人間(信号伝達特化型)
職業:スカベンジャー
性格:内気で臆病
能力:『テイム』一定時間目を合わせることで他の生命体や自律行動可能な兵器と心通わせ使役する
所持品:護身用拳銃、信号弾、解体道具一式
容姿の特徴・風貌:光学迷彩ポンチョ、薄緑の長髪、青く光を放つ両眼を大きなゴーグルで隠している
簡単なキャラ解説:
シェルター外縁に一人で暮らす改造人間の少女。
他の探索者達の後をこっそり付けて行って、彼らの倒した兵器からスクラップをちょろまかして生計を立てる『スカベンジャー』。
人と関わりたがらず、スクラップの売却や物資の買い出し以外では街に入ろうともしない。
対象と視線を合わせ続けることで思考中枢と交渉を行い味方に付ける『テイム』という技術を持つ。
彼女はこれを"心を通わせて仲良くなる"と形容しているが、実際は強力な信号で洗脳して隷属させることに近い。


始動するならこんな感じで参加希望
0086 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/06(月) 18:44:58.57ID:k6rKC8kO
名前:DVAS-ME(ディーバス・エムイー)
年齢:製造から3年
性別:搭載されたAIは女性的な人格に形成されている
身長:2m
体重:200kg前後(食生活により変動)
種族:機械生命体
職業:守護者
性格:大らか、使命感が強い
能力:『エナジーソリディフィ』:熱や光を固体化させる科学技術
所持品:固形化エネルギー・遭難者保護キット
容姿の特徴・風貌:頭部が笑顔っぽくデフォルメされた芋虫型・背中にちっちゃく蝶の羽根がついてる

簡単なキャラ解説:
正式名称は『Defense at Variable Area System-Model Evolve』
変異区域における防御システム(自律進化モデル)

解毒剤や除染装置の研究を行っていた科学者が
汚染された自分の余命では研究は果たせないと悟って作り出した機械生命体
普段は居住可能区域のやや外側にある研究所で、引き継いだ親の研究を進めている他
汚染区域のすぐ傍=スラムの住人への援助をしている

全身の九割が有機物で構成されている為、捕食による自己修復が可能
体内には汚染に適応した生物の遺伝子モデルを解析し、作り出した除染器官がある
土地そのものを除染してしまうほどの性能はないが、ほんの僅かな綺麗な空気や食料を生成出来る

人命救助と除染研究の為、探索者には積極的に同行する
表情は固定だが、能力によるホログラムで喜怒哀楽の表現が可能


じゃーこんな感じで
0087廃墟探索 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/06(月) 22:00:40.14ID:NwbeMOhR
>>84
超能力は基本的に一人一つの能力です
複数の能力を持つのであればそれぞれの能力は低くなってしまいます

能力は既にテンプレにある部分を利用していただければ

>>85 >>86
そしてお二人とも参加ありがとうございます!プロローグを書くのでちょっとお待ちくださいね
0089カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/07(火) 00:29:56.98ID:UOiChOGU
太陽が遠くの山からわずかに顔を覗かせ、星が瞬く空に朝焼けが広がっていく。
何千年と繰り返された過程は、今日もまた繰り返される。
その日差しは、どっぷりと霧が立ち込める廃墟に届くことはない。
だが、そこから少々離れた高台のシェルター、そしてそれを囲むように広がる背の低いたくさんの建造物。
そこに住む住人に朝ということを示すにはちょうどよいものだった。

「……昨日は休んじゃったし、今日は頑張ろう!」

その建造物にある一室で、一人の女性が身支度を整えていた。
さっぱりとした印象を与える短く切った黒髪に、化粧をせずともそれなりに整った顔立ち。
白のシャツにジャケットを重ね、動きやすいズボンを着ている。
女性は軽く準備運動をすると、部屋のガンラックにかけてあったアサルトライフルを背負って部屋のドアを開けた。

ところどころ染みや汚れが目立つ廊下に女性は出ると、ドアに鍵をかける。
そして眠そうに他のドアから出てくる住人たちに軽く挨拶をしながら、女性は7番居住区と呼ばれる建造物を後にした。
女性の名はカナエ。昔は記憶喪失のスラムの住人だったが、今では探索者と呼ばれる職に就いている。
と言っても探索者は自称する者が多く、汚染区域の外縁部で突然変異した動物や植物に破壊された
超小型無人兵器の残骸を拾ってはスクラップ売りに出す者すら自らを探索者と呼んでいる。
カナエも最初は自称だったが、今では自他ともに認めるそれなりの探索者だ。

そんなカナエは今、廃墟に潜るために準備をしようとしていた。
まずは今日の昼頃からシェルター外縁近くの市場で行われるスクラップバザーに行き、武器になりそうなものを探す。
次に探索者を統括する探索支援センターに向かい、汚染区域に点在する偵察ドローンの情報を見て目星を付ける。
最後に街の外にある研究所に行き、解毒剤をもらって汚染区域へ向かう。

「一昨日はB-4とC-4が汚染レベル4だったって話だし、狙いどころはそこかな」

汚染レベルの高さはそのまま霧の深さを表し、霧の中に潜む無人兵器の数でもある。
この地域では大型・中型の無人兵器は確認されておらず、交流のある他のコロニーで何件か目撃報告がある程度だ。
つまり、せいぜい全高1m前後の小型無人兵器しかここにはいない。
カナエのような経験を積んだ探索者にとっては絶好の稼ぎ時であり、
おそらく徒党を組んでぞろぞろと探索者たちが汚染区域に向かう姿が見られるだろう。

「今日、私と組んでくれる人はどんな人だろう…楽しみだなぁ!」

太陽が山から完全に飛び出し、明るい日差しが街とシェルター、そして汚染区域を照らす。
だが、汚染区域だけは日差しすら飲み込むほどのどす黒い霧によって薄暗いままであった。

【ここまでがプロローグとなります!】
0090アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/03/07(火) 04:02:49.56ID:jMIrkcIz
>>89 カナエさん

頑丈さだけが取り柄の知能レス生命体(人権の有無は不明)で参加希望するよ。
プレイヤーの知能も足りなくてシンプルなレスしか書けそうにないけど。
もし参加を許してくれるなら設定や導入の相談に乗ってもらいたい。
特に理由の無い参加拒否でも俺は納得できるから安心してくれ。


名前:ARL-X100
年齢:20年物
性別:男性型
身長:182cm
体重:83kg
種族:時代遅れの労働生命体
職業:底辺探索者
性格:訓練されたライン工
能力:特殊工具を用いた単純作業
所持品:大型射突式掘削工具(退職金の現物支給)
容姿の特徴・風貌:作業用ジャケット(退職金の現物支給)
簡単なキャラ解説:
"メンテナンス・フリーで百年使い潰せる労働者"のコンセプトで少数生産されていた人造人間。
より高度な知性を持つ新型SARL-X1000(通称サルクス・シリーズ)に仕事を奪われて現在に至る。
0091 ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/07(火) 17:33:47.44ID:uxBwpvrr
………………Current time is 4:53.1hour before sunrise.
…………Restarting operation Program【DVAS-ME】.

 街の郊外にある、廃墟を再利用した研究所。
昼夜を問わず明るい室内。
塵一つ落ちていない、継ぎ目一つない床。

「うぅん……もう朝ですか……」

 そこに横たわっていた巨大な芋虫が、うめき声を漏らしながら体の半分を起こす。
そのまま大きく伸びをして、イボ足で歩き出す。
日の出にはまだ一時間ほどある。「街」の人々は眠っている時間だが、芋虫の朝は早い。
 向かう先は変異生物プラント。
芋虫、もとい彼女、もといディーバスは、研究所内で汚染された動植物を生育していた。
シェルターに程近い、或いはシェルター内部に住むハイカーストの住人からの心象は良くない。
 だが汚染された動植物は、誤ってプラントから脱走させたりしなければ、人類にとって有用だ。
短期的には、ディーバス内部の除染器官を用いた食料の形成、そして解毒薬の製造。
長期的には、特殊な能力を持つ変異生物の家畜化、栽培化。有毒生物の無毒化、食料化。
そして……恒常的な除染方法の確立。

 ディーバスがプラントに着いた。
変異生物は全て、淡い光を発する大小のケージの中に収容されていた。
エナジーソリディフィによって形成された光の檻。
脱走を図れば香ばしく薫るウェルダン気味のステーキが出来上がる。
ただし汚染されている為「普通の人間には」食べられないが。
 ディーバスが口から糸を吐く。
ケージ内の、豚が原型であろう汚染動物の身動きを封じ、強引に引っ張る。
彼女の朝食が断末魔の悲鳴を上げた。

「……いただきます」

 ディーバスはそれをもりもりと頬張っていく。その後は汚染植物を同様に摂取。
豚を丸ごと一匹は朝食にしては量が多いが、彼女の体内には除染器官がある。
朝食の殆どはそれを通して無毒なペースト状の食料となり、スラムの住人に配られる。
 
 その為には一度口から吐き出す必要があるが、その様を見られるのは人の精神衛生上良くないと彼女は知っている。
なのでこうして、日の出の一時間前から準備を始めていた。

 食料の準備が終わると、ディーバスは研究所を出て街へ向かう。
解毒薬の配布は自作のロボットに任せてあった。
 配布の際には採血が必要だ。健康診断と、二重受け取りの防止の為だ。
ロボットを叩き壊す事は容易だが、街でずっと生きていく為にはそれを実行するのは賢明ではない。
 食料の配布が終わると、ディーバスは研究所には戻らず、そのまま汚染区域へと向かう。
除染の研究の為には、たくさんのサンプルが必要だ。

「……おや、カナエ?カナエじゃありませんか!」

 道中、見慣れた後ろ姿にディーバスは声をかける。

「体調はもう良くなったんですか?無茶はいけませんよ」

 カナエはディーバスにとって馴染み深い人間の一人だ。
記憶喪失だった彼女の治療に際して、ディーバスも関わった事があるからだ。
もっとも好ましい結果は得られなかったが……むしろ得られなかったからこそディーバスは彼女の事を気にかけがちだ。

「汚染区域に行くなら、私も同行しましょう。
 私のバリアがあれば怪我も無駄弾も抑えられますよ!どうです、嬉しいでしょう!
 あなたが嬉しいと私も嬉しいですよ!うんうん!」

【よろです】
0092カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/07(火) 18:16:02.62ID:UOiChOGU
>>90
【参加歓迎します!そしてそろそろ人数がまとめきれなくなってきたので
アルクスさんで一旦締め切ります!

設定や導入の相談というのは具体的にどの辺りでしょうか?】
0093アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/03/07(火) 21:12:11.16ID:jMIrkcIz
>>91 よろです

こっちも、よろしく頼む。想像してた以上に、SFというか遠未来モノをやってて驚いた。
もし配給ペーストの真実が明るみに出たら、スラムで何かしらの惨劇が起こりそうだ。


>>92 具体的に

この世界の倫理観について、何か設定が用意されているなら聞いておきたかったんだ。
つまり"人工的な身体機能調整を施されて生み出されながら人間の姿を保った何か"の人権問題だ。
普遍的、支配的な倫理規定に縛られた世界なのか、そのあたり地域や環境ごとに多様性のある世界なのか。

そういうわけで二種類の導入プランを考えた。
都合よさそうなモノがあったら、採用してもらいたい。
遅れたけど、参加許可を出してくれてありがとう。また来るよ。


○導入プランA

『スクラップバザーで"武器になりそうなもの"を探していたカナエさん。
 異常な程の破格値で売り捨てられていたSARL-X1000本体と使役ライセンスを発見、即購入。
 汚染区域への道中、彼女は未だ、己の三歩後ろに付き添ったソレが実はARL-X100である事に気づいていない』

・メリット:本編初登場時すでに合流済みであるため、俺が楽である。
・デメリット:カナエさんにドジっ娘属性が付いてしまう恐れがある。


○導入プランB

『探索者を統括する探索支援センターに向かったカナエさん。
 センターが管理する単独探索者向け登録制マッチング・サービスを密かに利用していた。
 今回、人材枯渇ないしセンター側の不手際により、彼女は素人探索者アルクスと現地集合する運びとなった』

・メリット:フラットかつオーソドックスな導入である。余計な属性も付かない。
・デメリット:本編初登場時の合流シーンに割かなければならない時間が増える。
0094イズミ ◆AOGu5v68Us
垢版 |
2017/03/08(水) 01:08:52.61ID:++Z37DgU
霧に包まれた汚染区域の一角。
もとは商業地域だったらしいこのエリアもかつての栄華は遠く、錆びつき風化した文明の欠片を残すばかり。
シダ科の植物に覆われたビルは同じ数の亀裂を刻み、水没した地下駐車場で奇形の魚が時折跳ねる。
水音と木立の葉の擦れる音だけを旋律とした歪な大自然のオーケストラに、無粋な音が一つ混じった。

銃声だ。駝鳥に似た二本脚で走る無人兵器と、それを取り囲む探索者の集団。
銃弾に炎、そこに超能力の光が混じり、瞬く間に小型無人兵器の装甲が砕かれ沈黙した。
無人兵器の残骸に、それを倒した探索者達が蟻のように群がり固形燃料や兵装を剥いでいく。
成果に満足したらしき団体はそのまま汚染区域の奥へと消えていった。

無人兵器の骸だけが残され再び静謐を取り戻した空間。
すぐ傍の小岩の表面が『剥がれ』、そこに身を隠していた人影が姿を現した。

「もう行ったかな……よし、行くよニヤック」

光学迷彩の施された外套で隠れていたのは小柄な少女だった。
栄養状態の悪そうな線の細い背丈、陽光を柔らかく受け止める薄緑の長髪。
安物のポリムファイバーで織られた衣服の各所に革製のポーチを巻き付け、顔には巨大なゴーグルを付けている。
少女の名はイズミ。探索者の打ち倒した無人兵器の残骸からスクラップを漁って生計を立てる『スカベンジャー』。

周囲を警戒しながら中腰で歩く彼女の後ろを、小型の牛にも似た四足自律機械がついていく。
CC-86『キャリーカブ』。兵站輸送を目的に造られた小型無人兵器だ。
人類に対して敵対的なはずの無人兵器が、何故かイズミに追従し"ニヤック"と名付けられて彼女の手足となっていた。

「まずは装甲から剥いでいこうね」

イズミは残骸に取り付くと、ポーチの中からニッパーやノミ、金槌を取り出して焼け焦げた鋼鉄の塊を解体していく。
装甲の継ぎ目にノミを当て、金槌で叩いて隙間を広げ、ニッパーを差し込み装甲同士を繋げるリベットを切断。
手袋を付けた両手で引っ張れば、薄い板金装甲程度ならイズミの力でも剥がすことができる。
重いものはワイヤーを括り付けてニヤックに牽かせて強引に引っぺがす。
30分ほどで兵器の残骸は綺麗に腑分けされたスクラップになった。

「わっ、90式徹甲弾が誘爆せずに残ってるよ!大収穫だ!」

ニヤックと顔を見合わせて(正確にはゴーグルと視覚センサーを)喜び合う。
解体したスクラップの中から特に価値のありそうなものを選定してワイヤーで縛り、ニヤックの背に括り付けた。
後に残ったのは値の付けられない金属の瓦礫の山。いずれ鉄喰虫の餌にでもなることだろう。
スカベンジャーを腐肉漁りと蔑む者もいるが、こうして食物連鎖と経済を同時に回す者が世界に必要なのも確かだ。

「今日はもうちょっと奥まで行ってみよっか」

ニヤックの積載にはまだ余裕がある。
イズミは迷彩外套を自分とニヤックに被せて姿を消すと、新たなおこぼれを求めて汚染区域を進み出した。


【導入です。イズミは正式な探索者ではないのでカナエさんの同行者ではなく現地で遭遇する感じでいきたいです】
【カナエさん、ディーバスさん、アルクスさん、よろしくです】
0096カナエ ◆Iy3V1LX0xM
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2017/03/08(水) 16:25:12.75ID:rWVnfqxM
>「……おや、カナエ?カナエじゃありませんか!」

スクラップバザーの開かれる市場までの道中、後ろからの聞き慣れた声に振り向く。
そこにいたのはカナエの友人の一人、ディーバスだった。
巨大な芋虫のような姿は見慣れない者にとってはぎょっとするような見た目だが、
カナエのような馴染みのある探索者にとってはむしろ愛嬌すら感じられる。

「おはようディーバ!相変わらず丸っこくてかわいいね!」

探索者たちにとって解毒薬は大事なものだが、誰でも作れるというわけではない。
かつて存在した文明の一部が残るシェルターの研究者ですら、安定した量産は難しいのだ。
だからこそ、解毒薬をあっさりと作ってのけるディーバスとその研究所は
シェルター内部への移転を打診されているほど重要な存在である。

>「体調はもう良くなったんですか?無茶はいけませんよ」

「大丈夫だよ、ちょっと風邪を引いちゃったぐらいなら部屋でぐっすり寝てれば治るから!」

この街に来たとき、自分が何者だったのか分からずスラムを彷徨っていたカナエを
治療してくれたのがディーバスだ。
治療は長く続いたが、自分の名前は思い出せたもののこの街に来る前は
ただ廃墟にいたということしか分からなかった。その時からディーバスとは長い付き合いが続いている。

>「汚染区域に行くなら、私も同行しましょう。
 私のバリアがあれば怪我も無駄弾も抑えられますよ!どうです、嬉しいでしょう!
 あなたが嬉しいと私も嬉しいですよ!うんうん!」

「来てくれるの?それならわざわざ市場に行く必要はなさそうだね……
 よし!じゃあ解毒剤をもらって早く汚染区域に行こう。今日はB-4とC-4で霧が濃いみたいだよ〜」

ディーバスは滅んだ技術の一つである熱や光を固体化させる技術を持っている。
彼女の能力は単純な思考ルーチンしか持たない無人兵器にとっては極めて強力であり、
むしろカナエの方から同行を申し出たいほどであった。

また、解毒剤の配布は探索支援センターでも探索者向けに行われている。
汚染区域寄りの場所にある探索支援センターに直接向かえば、シェルター寄りの市場に行くよりはるかに早く
稼ぎに行くことができるだろう。

【イズミさんとの合流はなるべく早めに行いたいのでその辺りよろしくお願いします!】

>>93
【かつてあった文明では人間によく似た生物は大量に存在しました。
 それは労働用であったり愛玩用であったり色々いましたが、「ヒトと同じような心を持たない」
 という一点において備品や物品扱いが地域や文化にかかわらず主な風潮であり、彼らに人権を求める者たちは一般的に変人でした。
 ですが現在では「意志疎通できればそれでいい」といったアバウトな考えによって彼らも人とみなす者は多く、
 彼らを人間扱いしないのはシェルター内部に住む一部の特権階級のみとなっています。
 というわけでプランBの形で参加していただきたいと考えています】
0098 ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/03/09(木) 21:15:48.32ID:1ILHWjh+
>>94 よろしくです
 イズミと本隊が遭遇する段階でアルクスも居るかはまだわからないけど、よろしく頼む。

 >>96 プランB
 わかった。投下タイミングはどうしようか。
 基本的に順番が固定なのか、ターン毎で流動的になるのか。
 新しいターンの開始時点で、アルクスの現在位置は集合場所の付近だ。
 きちんと指定位置で待っているか若干迷子気味の位置で発見されるかは、任せたい。
 集合場所自体は何処でも構わない。進行の都合に合った場所が指定されていた事にしよう。
 
 現在進行中のターンのどこかで俺の手番を差し込む事になった場合は、
 他の三人の行動に影響しない範囲のプロローグ部分だけにしておくよ】
0099カナエ ◆Iy3V1LX0xM
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2017/03/09(木) 21:25:01.60ID:RoM2G6Ef
>>98
【投下の順番は参加順でお願いします!
 つまり次のお二人のレスが終わった後で投下です】
0100DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/09(木) 21:48:30.13ID:IuOpPSKo
ふむふむ、じゃあ私が次のレスでイズミさんアルクスさんと合流可能なシチュエーションまで
場面を運んでしまった方がいい感じですかね!
0102DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/10(金) 06:29:53.70ID:xzGQbulk
探索者同士でチームを組む場合、探索支援センターは同施設への申請を推奨している。
理由は収穫の独占を目的とした裏切りの抑止。
どこかのチームで一人だけが死んで、残るメンバーが高価な収穫物を、無傷で持ち帰ってきた。
そのような事が起きていないかを監視し、また起きていた場合に事実確認をする為だ。

またチームの結成そのものも、支援センターは推奨している。
これは単独の探索者よりもチームを組んだ探索者の方が、統計的に生存率が高いからだ。
加えて誰かが死亡した際の過程、原因……その情報を他のメンバーが持ち帰れるのも重要だ。
 ディーバスも正規探索者の資格を持っている。
除染研究の為には実地での資材収集が不可欠だからだ。

「おや、カナエ。オートマッチングを使ったんですか。利用すると諸費用が割引されるんでしたっけ。
 相手さんのお名前は……ARL-X100?アンドロイドか何かでしょうか」

端末でチーム結成の報告をしようとして、ディーバスはカナエがオートマッチングを利用している事に気付いた。
あるいは何かの手違いかもしれないが、端末上に手違いですと表示される訳もない。
20年前の型落ち労働生命体の名は、彼女の知識にはないようだ。

「ふむふむ、集合場所は……B-4区画の第二セーフルーム、と。じゃあ早速行きましょうか」

汚染区域には探索者達が作った安全地帯が点在している。
それらは大型敵性存在の視線が通らないだけ程度のものから、小型のシェルターを改造したものまで様々だ。
後者の利用には正規探索者の、汚染されていない、新鮮なDNAが必要になる。
非正規の探索者や、毒に侵された者がセーフルーム内で変異するのを避ける為だ。
だが第二セーフルームは、倒壊した建物の建材とワイヤー、カーボンフレームが作り出した、洞穴のような場所だ。

集合場所、あるいはそこへ向かう道中、ディーバスは小さな異常を感じ取った。
神経に接続された『エナジーソリディフィ』が、不自然な光の波長を違和感として告げている。
何かが、そこにいる。

「……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ」

言うやいなやディーバスは「何か」に糸を吹きかける。
粘着性の糸が虚空に人型の輪郭を描き出す。

「私達はお互いただの探索者。こうして相手を試すような行為は良くないですよ……」

光学迷彩が溶ける。糸に絡め取られていたのは、小柄な少女。
どう見ても型番が名前になるような外見ではない。

「あ、わ、わ……すみませーん!人違いでしたぁ!
 今綺麗にしますから少しじっとしてて下さい!すみません!すみません!」

ディーバスは頭を何度も下げながら、イボ足を触手のように伸ばして糸を取り除く。
その過程で、一つ気付いた。目の前の少女の四肢がか細く、血色も悪い……慢性的な栄養不足にあると。

「……本当に申し訳ないです。これ、もし良ければお詫びとして受け取って頂けますか?」

そう言ってディーバスが差し出したのは遭難者用の携帯食料。
高い栄養価はこの時世、誰にとっても高価値ではあるが……探索者同士のお詫びの品に選ばれる事はまず無い。
ふと、ディーバスの頭上に電球のホログラムが現れる。

「あ、そうだ!あなたも、探索者なんでしょう?即席で良ければチームを組みませんか?
 カナエも、良いですよね」

ホログラムが満面の笑顔を描き出す。こういう時の彼女は強気である。
何故なら他の選択肢を考えようとしないからだ。
それは人の守護者として作られた彼女の性格……あるいは設定、なのだ。

「……あれ?でも、あなたはARL-X100さんじゃない……ですよね。じゃあ、アルクスさんはどこに?」
0103DVAS ◆./6UDin7fi8Y
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2017/03/10(金) 06:31:27.67ID:xzGQbulk
【場面を運ぶまでになんとなく書きたかった事はでっちあげました。
 あとイズミさんへの決定ロールも。問題があれば無かった事にしてください。
 イズミさんとの合流地点はどうとでも出来るようぼかしておきました。
 それ故に生じる曖昧な部分(結局アルクスさんはどこにいるのか?とか)は適時いいかんじにあれこれしてください】
0104 ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/03/10(金) 21:07:13.51ID:UwA/C6uW
【オーケー、大体把握した。とりあえずターン終わりに備える。
 状況次第では、アルクスが本編に頭を突っ込む部分まで書くかもしれない。
 その場合、三人の様子を近くから見てたことにして適当に登場するから拾ってやってくれ】
0105 ◆.PjwSk2J/.
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2017/03/10(金) 21:07:49.43ID:2NWPdNyu
汚染区域・B-4区画。
地図を片手に鬱蒼と茂る奇形植物を掻き分けながら進むイズミは、前方に開けた空間を発見した。

「セーフルームだ。ちょっとお休みしよ、ニヤック」

どうやら先行した探索者集団とは別ルートを取ってしまったらしく、収穫らしい収穫は見つからなかった。
輸送兵器として巡航性能に特化したニヤックの燃料にはまだ余裕があるが、主人たるイズミ自身はそうはいかない。
ソールのすり減ってしまったブーツで足場の悪い茂みを歩き続けて、イズミは疲労困憊だった。

蒸し暑いこの辺りでは一歩ごとに汗が噴き出す。ゴーグルに息を吹き掛けて曇りを取る。
喉の渇きが酷い。持ってきた水筒の中身はとうの昔に飲み干して、今はその辺のシダの茎を噛んで乾きを誤魔化している。
探索者が中継地点として利用するセーフルームなら、汚染された水源から汲み出した水を濾過する装置があるはずだ。

「どう?ニヤック。他に人いるかな」

錆びが浮いた金属装甲を撫でながら問うと、ニヤックは鼻先の熱源センサを震わせて否定の唸りを上げた。
何度か訪れたことのあるこの第二セーフルームは廃材で形だけ整えたような間に合わせの掘っ立て小屋だ。
最低限の設備はあるが、対無人兵器用の自動タレットや警報も存在しない、本当に風雨を凌ぐ為だけの場所。
有り体に言えば、人気がない。正規資格を持たないスカベンジャーのイズミにとっては都合の良い場所だ。

鉄喰虫に齧られて穴だらけの鉄扉を開けば、風に巻かれて埃が舞う。やはりセーフルームは無人だった。
手探りで発電機のスイッチを入れると、羽音のようなダイナモの唸りと共に前時代の蛍光灯が室内を照らし出す。
いくつかの椅子と中央に大机、誰が持ち去ったのか空っぽの食糧備蓄箱と、奥にはこの区域の安全・危険地帯を示すマップ。
支援センターの識別子のついたガンラックは、やはり中身が戻されることなく空座のままだ。

「ここにあったショットガン、盗まれたのかな……それとも、持ってった人が帰ってこれなかったのかな」

ガンラックの扉の裏を見るとセンターが最後にここに補充と巡回に訪れた一月前の日付が記されていた。
正規のIDがなくとも利用できるこのセーフルームは、往々にして無法者のねぐらになりやすい。
他ならぬイズミもその一人であるし、そんな場所に対するセンターの優先順位は当然低い。
発電機の燃料がまだ残っていたのが奇跡に近いとさえ言える。

「そだ、お水お水」

濾過器の電源を入れ、ポンプの組み上げた水が濾過と遠心分離で浄化されていく。
言うまでもなく空だった貯水槽が満たされるまで、綿の潰れたソファに腰掛けてイズミは暫しの休息を取った。

いつの間にか微睡みの中にあったイズミは、表に繋いでいたニヤックの鳴き声で飛び起きた。

「な、なに、どしたの?」

ニヤックには広範囲を索敵可能なセンサを搭載している。
首元のホログラム・インターフェースに表示された周囲の熱源情報に、見慣れぬ複数のマーカーが存在していた。
野生の無人兵器ではない。まだ距離はあるが、このセーフルームに向かって来る者――探索者がいる。
すぐに発電機を切って照明を落とし、貯水槽の水を全て水筒に移してポーチに収める。
イズミがここにいた証拠を全て隠滅し、セーフルームを飛び出した。
0106 ◆.PjwSk2J/.
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2017/03/10(金) 21:08:34.39ID:2NWPdNyu
非正規の何者かが支援センターの施設を勝手に利用していたと知られるのは後々まずい。
もっとまずいのは、イズミというスカベンジャーの存在を他の探索者に知られることだ。
スカベンジャーの社会的地位は極めて低い。戦果を漁り盗っていく者を快く思う探索者などいない。
スクラップ漁りの現場を探索者に見咎められて、解体した資材を要求されたことは何度もある。
法的根拠と探索者の武力を背景に迫られれば、戦闘力のないスカベンジャーに抗う術は殆どないのだ。

よって、ここは隠れてやり過ごすべきだろう。
イズミはセーフルームに続く獣道の端にニヤックを停め、自分ごと外套を被って迷彩化。
念のため護身用の拳銃に手を掛けながら、出来る限り呼吸を鎮めて足音が通り過ぎるのを待つ。

やってきたのは、二つの人影だった。いや、"人影"と呼ぶには少し語弊があるかもしれない。
影のうち一つは、巨大な芋虫にも似た異形だった。機械生命体だ。

>「……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ」

探索者達が通り過ぎるその刹那、芋虫が足を止めた。
こちらを――光学迷彩で見えないはずのイズミを、芋虫の頭部が捉えた。

(うそ、気付かれ――)

思うが否や、芋虫の口(?)から白くネバネバした何かを噴き出した。
蜘蛛の糸とでも形容すべきそれがイズミの外套に降り注ぎ、驚いたことに光学迷彩が機能を失った。

「やっ……なにこれ……!」

>「私達はお互いただの探索者。こうして相手を試すような行為は良くないですよ……」

逃げ出そうとするが、糸に手足を絡め取られて動けない。ニヤックも同様に拘束されていた。
咄嗟に外套を脱ぎ去る。完全に姿を見られてしまったが、両腕だけは自由になった。
ニヤックが唸り、今にも飛びかからんと四足を屈する。
イズミもまた、拳銃を構えると共に『攻撃命令』を下す指笛を吹こうとして――

>「あ、わ、わ……すみませーん!人違いでしたぁ!今綺麗にしますから少しじっとしてて下さい!すみません!すみません!」

イズミの姿を見た芋虫が突然平謝りしだした。
イボの付いた前足(?)がイズミとニヤックに絡まった糸を手早く解く。

「うぇ……人違い……?」

芋虫の様変わりに毒気を抜かれたイズミも拳銃と口に当てていた手を降ろした。
どうやら芋虫は、隠れていたイズミを別人と断定して拘束を仕掛けたらしい。

>「……本当に申し訳ないです。これ、もし良ければお詫びとして受け取って頂けますか?」

芋虫が何かをイズミの手に押し付けてくる。
棒状に固められた携行食糧。セーフハウスにも置かれている、救難用物資の一つだ。
ここ2日ほどシェルター外縁に自生している木の実しか口にしていなかったイズミは喉がカラカラなのに涎が出るのを感じた。

だが与えられた食糧を促されるままに食べるわけにはいかない。
汚染区域において大方の食糧は一日ほどで汚染されてしまうし、それを安全と偽って食わせる無法者も珍しくない。
どんなに喉が乾いていても川の水は飲めないし、放置された食糧は食べてはいけない。
イズミはそう教わってきたし、その教えを守ってきたから一人でこの齢まで生き延びることができた。
0107イズミ ◆.PjwSk2J/.
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2017/03/10(金) 21:09:21.42ID:2NWPdNyu
渡された携行食糧を一欠片千切ってニヤックの口に放り込む。
ニヤックはそれを咀嚼し、内部のセンサが汚染と毒素の検査を行い――何の毒も検出されなかった。
高カロリー高栄養かつ消化に適した、非常に良質な食糧である。

(良いひと……なのかな……)

そこまでしてようやく、イズミは最大の警戒を解いた。
少なくともこの芋虫に、問答無用でイズミを害する意志はないらしい。
喫緊の生命の危機が去ったことに胸を撫で下ろして、同時に別の安堵が芽生えた。

(よかった……殺しちゃわなくて)

イズミが吹こうとした『攻撃命令』の指笛。
合図を送る対象は、傍で呑気に草を食んでいるニヤック――ではない。

>「あ、そうだ!あなたも、探索者なんでしょう?即席で良ければチームを組みませんか?カナエも、良いですよね」

イズミが食糧を受け取ったのを和解したと解釈した芋虫が勝手に話を進めだす。
カナエと呼ばれた同行者の意向を伺うことなく、ずいと顔(?)をこちらに突き出した。
ご丁寧にホログラムで笑顔を表示しているが、イズミにはそれが肉食獣が牙を剥く姿に見えた。

「や、やめて……構わないで。わたし……探索者じゃ、ないから。アルクスって人も、知らない」

無機質な笑顔に気圧されたイズミがニヤックの後ろに回って縮こまる。
肝心のニヤックは、敵意がないことを敏く理解して排気口から温い息を吐いた。

重ねて言うが、スカベンジャーの社会的な立場は極めて低い。
探索者として十分な経験を持つ者なら、イズミの装備やニヤックの積載物から、彼女が正規の探索者でないことを察するだろう。
そして探索者として経験を積んでいるほどに、スカベンジャーに対する軽蔑を持たずにいることは……できない。


【合流ロール入れました。上みたいなこと言ってますけど強引に誘ってもらえると嬉しいですね】
0108 ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/03/12(日) 18:08:23.82ID:12w3iSl/
【今夜あたり、まとまった時間を作れる心算でいたんだけど、予定が変わった。
 待たせてすまない。早ければ火曜、遅くとも水曜の夜までに必ず何とかする】
0109カナエ ◆Iy3V1LX0xM
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2017/03/12(日) 19:13:02.72ID:DsmbJxiM
【もし間に合わないようであれば早めの連絡をお願いします】
0110アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/03/15(水) 23:15:45.04ID:4JIuoSrZ
――――薄暗い霧の向こうで二つの影が動いていた。何故か、二つが。

「おかしいな……ついさっきまで、お互いソロのマッチングだった筈だけど」

推定・人間と推定・機械の二名が居る理由について、幾つかのパターンが想定された。
無関係な探索者の二人組が偶然居るだけかもしれないし、実は、片方の人間が全くの他人で、
もう片方が、急遽アンドロメダあたりで機械の身体を手に入れたカナエさんという可能性も考えられる。

「だとすると、相当のっぴきならない事情があったんだろうな。
 どうすりゃいいんだ……直接、本人に聞き難くなっちまった」

携帯端末で登録情報更新の有無を確認しようとして、センターからの通知が表示されている事に気付く。
『探索を行うに際し"スカベンジャー"の動向に注意せよ』という内容の注意喚起だった。
改造人間が自律機械等を使役したと思われる状況も確認されたらしい。

「なん…だと? それじゃあ、まさか、あそこに居るのは――」

――もしそうだとすれば、この後の探索の成果が一部掠奪されるかもしれない。
こちらから先手を打って威嚇するべきだ。驚いて退散してくれるなら、それで構わない。
探索者としての勘と生存本能が、スリープモードに入っていた右腕の獲物をスタンバイさせた。

オセンカズラの付着根に覆われた大型廃棄コンテナに背を預け、遮蔽にする。
低く唸る起動音を聞きながら、俺は脳裏で最適戦術の模索を開始した。
伏兵の可能性を含めた敵集団の規模と、現在位置および機動力。
推測される携行ないし搭載武装、霧による光学兵器の減衰率。

それら全てを総合して最終的に構築されたのは、概ね以下の様な戦術だった。

右ストレートでブッ飛ばす。
真っすぐ行ってブッ飛ばす。

『……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ』

―――気付かれたのかっ!?

距離が離れているせいで、正確な内容は聞き取れない。
しかし、潜伏者に対する警告であるのは確かだ。
恐ろしく訓練された殺人機械に違いない。
俺は、五感を研ぎ澄ませ身構えた。
0111アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/03/15(水) 23:16:25.66ID:4JIuoSrZ
『やっ……なにこれ……!』

推定殺人機械のターゲットは、どうやら俺とは違う誰かだったらしい。
霧の中に浮かんだ人型の輪郭が、少女の姿に変わった様に見えた。

『……本当に申し訳ないです。これ、もし良ければお詫びとして受け取って頂けますか?』

「なるほどな……大体わかった。たぶん、あの機械は―――」

暗がりに身を潜めて、気配を殺す。
今、専念するべきは得られた僅かな情報の把握と分析だ。
俺の明晰(MEISEKI)な脊髄は、斯かる状況に対する合理的解釈を瞬時に弾き出した。

「―――"隠れてる奴を見つけた場合に謝りながら携帯食料を差し出す機能"を搭載してる」

かがくのちからってすげー!
ちなみに、そんな機能が何の役に立つのかは不明だ。
けど、そんなものは些末な問題だった。重要なのはファクト・チェックの精度だ。

あの少女は隠れていたか? ――YES.
あの機械はそれを見つけたか? ――YES.
そして差し出されたのは食い物か? ――YES.

恐ろしい事に……こうして検証された事実は、その全てが俺の推論を補強するモノだった。
論理的連結の過程に瑕疵は存在しない。故に、己が行うべき最適解は自ずと導出される。

隠れていよう。
隠れてしまいたい。
視線を合わせられない。
けれど見つけ出してほしい。
そして食べ物などを与えてほしい。

"―――乙女心とは、概してそういうモノです、ARL-X100"

それを何時か何処かで……誰かが教えてくれた遠い声を、俺は思い出していた。
0112【レス代行】
垢版 |
2017/03/16(木) 02:00:02.30ID:Gbgtzg2A
【転載元】
http://mint.2ch.net/test/read.cgi/net/1487404855/671


671 名前:ししょー ◆GVviREE7QI [sage] 投稿日:2017/03/16(木) 01:22:00.49 ID:9IpOIz0k
【やはり生きていたか、方々探し回った甲斐があった。
 現在、当方は規制により作成したレスの続きが投下出来ない状態にある。
 ルールに明記されている主たる趣旨とは異なるが、此処を伝言板として利用させてもらいたい。

 ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1475651973/◆/4VhtBS0xQ
 ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1479560761/◆u0tKBm6XaGtQ

 原因は不適切な文字列、"NGワード"あるいは"NGパターン"らしいんだ。
 レスの中で口の悪い会話が延々と繰り返されてた都合上、
 前者の心当たりがあまりにも多すぎてな……。

 品行方正な表現に差し替えて投下ってのを何度か試してる内に、致命的なコトになった。
 すっかり後者のパターンを失念してた。解除が何時になるのか読めない状態だ。
 長引いたら、それとなくスレの同僚に教えてやってもらいたいんだ。

 「規制による止むを得ない春休みだ……断じて"失踪"じゃない」ってな。

 原因が原因だけに、何処かで代筆を頼める状態にもない。
 その間、ヴァグラントとアルクスの処遇は同僚に一任(まるなげ)する。
 何だか有事の際の一方的なボランティア要請みたいになっちまってすまないが、
 この一レスだけ置いて行くのを許してくれ。無事にリカバリーした時には、礼を言いに来る。

 ――――ぐっどら!(挨拶)】
0113DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/16(木) 04:23:32.47ID:aO/jN1vG
あらら……なんとまぁ……
ふと思ったのは、人数も揃って軌道に乗りつつありますし
避難所を用意してもいいんじゃないかなって事です

ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/9925/
ここで間借りすれば手間もかかりませんし
せっかく一緒に遊びましょうと集まったのに、そんな事が原因で叶わないのはとても悲しい事です
0114イズミ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/03/16(木) 04:41:24.99ID:9Sxpz5wt
避難所の件、わたしは賛成です
代理投稿も出来る限り協力します
だからアルクスさんには是非続けてほしいです
0115カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/16(木) 15:12:08.46ID:Jr5YxdSV
元々短編集みたいに短いのを何個も作るつもりだったので避難所はさっぱり考えていなかったんですよね…
避難所作っちゃうと打ち合わせとかが本スレで見れなくなるので新規の方が分かりづらくなるし

ただメンバーの一人が規制されたとなると、代理投稿目的としての避難所は十分必要だと思います
というわけで作ってきます
0116カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/16(木) 15:17:35.68ID:Jr5YxdSV
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/9925/1489644985/

とりあえず建ててきました
0117カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/16(木) 17:20:52.20ID:Jr5YxdSV
探索支援センターは探索者が増え始めてからしばらくして作られたものだ。
解毒剤を飲んでもなお耐えきれないような重度の汚染区域が時間の経過と共に
減少し、薄い霧で廃墟が満たされるようになってから、シェルター外縁部に作られた街に
住む人間がスクラップを漁りにシェルターから配布された解毒剤を飲んで廃墟に潜っていくようになった。

最初は少ない人数だったが、無人兵器の巡回ルートや弱点、対抗するための武器が街で生産されるようになってから
徐々に増え始め、質の高い探索者たちの収穫物(無人兵器のCPUや設計図など)をシェルター側が研究のため買い上げるようになると
今度は探索者による解毒剤の強奪や探索者を狙った犯罪が発生した。
これらの発生を防ぐため、シェルター側は探索支援センターを設立。
探索者を資格制にし、収穫物を必ずセンター側に提出することで探索者の偽装や収穫物の過小申告を防いでいる。

>「おや、カナエ。オートマッチングを使ったんですか。利用すると諸費用が割引されるんでしたっけ。
 相手さんのお名前は……ARL-X100?アンドロイドか何かでしょうか」

正規探索者の資格を持つカナエは、よくセンターを利用している。
いちいち他の探索者に予定を聞くよりこちらで探してもらった方が手っ取り早い上、
収穫物提出の際に発生する手数料がある程度割り引かれるからだ。

「ARL-X100……アルクスって読むのかな?機械化人間とか自我を持った自動機械かもね。この辺りじゃあんまり見かけないけど
 遠くには機械化人間だけの街があるって聞いたよ」

端末のタッチパネルを操作し三人でチームを組むことをセンターに報告。
その後売店で弾薬を補充し、二人は集合場所である汚染区域B-4区画、第二セーフルームへと向かった。
0118カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/16(木) 17:21:29.78ID:Jr5YxdSV
既に大規模な探索者チームが通り過ぎた後なのか、道中は小型自動兵器の残骸が転がっているだけだ。
弾丸や近接武器でひしゃげた装甲や、衝撃で壊れた電子機器を除くと売れそうなものは見つからない。
カナエはそれらを無視して通り過ぎることにした。

第二セーフルームが見えてきたところで、ディーバが止まった。
カナエもそれに反応し、背負ったアサルトライフルを素早く構えて周囲を見回す。

>「……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ」

ディーバは見つけたらしく、虚空の一点めがけて粘着性の糸を放った。
どうやら光学的ステルスを持っていたらしく、まるで見えなかったその姿が糸によって露わとなる。

>「私達はお互いただの探索者。こうして相手を試すような行為は良くないですよ……」

「それは同感だね、ディーバ。解毒剤を盗んだスカベンジャーかもしれないけど」

銃口を糸にくるまれた何かに向け続け、やがてステルスが溶けて顔が見えた。
ゴーグルをかけた顔は少女のそれで、続けて露わになった身体はとても細い。

>「あ、わ、わ……すみませーん!人違いでしたぁ!
 今綺麗にしますから少しじっとしてて下さい!すみません!すみません!」

ディーバが糸を取り除くのに合わせ、カナエもまたアサルトライフルの銃口を下げる。
ベルトを肩にかけてアサルトライフルを背中に背負うと、少女と同じ目線に合うようにしゃがんだ。

近くにいた自動兵器と一緒に行動していたようだが、ハッキング用の機器を持っているようには見えない。
第一自動兵器の乗っ取りはシェルターにあるような高度な機器と専門の技術者が行うようなものだ。
設備もない汚染区域でできるようなことではない。

>「あ、そうだ!あなたも、探索者なんでしょう?即席で良ければチームを組みませんか?
 カナエも、良いですよね」

>「や、やめて……構わないで。わたし……探索者じゃ、ないから。アルクスって人も、知らない」

「探索者じゃないとすれば、スカベンジャー?あなたみたいな年でやってる
 子もいるんだね……ディーバ、これは難しいよ」

ハァ、とため息を一つついて考える。
スカベンジャーは探索者からは忌み嫌われる存在だ。
探索者のチームの中にはスカベンジャーをわざわざ探し、その死体を汚染区域にぶら下げることを
目的とする連中もいるほどだが、カナエはそこまで嫌いではない。
他の自動兵器に漁られて再生産されるぐらいなら、スカベンジャーたちに街まで運んでもらった方が
いいというぐらいには思っているし、だからこそよくスクラップバザーに行く。

だが、こうして直接戦わずに戦利品を大量に積載している姿を見てみると複雑な気持ちになる。
正規の探索者でないならセンターに行く必要はなく、全て自分の儲けにできるのだ。

「……ディーバ、この子を連れて一旦帰ろう。私のいた孤児院にこの子を――」

カナエが最後まで言い終えない内に、大きな足音が聞こえた。
複数の静音モーターが稼働することで聞こえる、独特の低い音と共に。
0119カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/16(木) 17:21:50.73ID:Jr5YxdSV
その足音の主は、第二セーフルームの真上から姿を現した。
レーダーやセンサーに感知されづらい特殊な流線形の装甲が全身を覆い、
二つの足と二つの手は滑らかに動いて障害物を飛び越え、邪魔な植物は腰にある高熱ナイフでたやすく切断する。

かつて対人用に作られた人型無人兵器「ハイランダー」。
この汚染区域において、最も警戒するべきヌシとも言うべき存在だ。
光学探知・熱探知・呼吸探知能力を兼ね備え人間を優先して襲撃する、2mほどの小型無人兵器。

「――ディーバ!逃げるよ!あなたもこっちに!」

少女が着ていたポンチョを掴み、「自分より軽い物を動かす」超能力を発動して無理矢理引っ張る。
そしてディーバと共に近くにあった大型のコンテナへと向かい、ハイランダーがこちらを感知する前に身を潜めることにした。

「二人とも大丈夫!?まさかあいつの巡回ルートが変わるなんて……」

センターで確認したハイランダーの巡回ルートは三日前に更新されたものだが、ここ数か月変わることはなかった。
もしあのハイランダーが変わっていないとすれば、今現れたハイランダーは新手ということになる。

「いや、ここ数日探索者が大勢入ったせいで新型ができたのかも。
 どっちにせよここにしばらく隠れるよ!」

そう二人に言ったところで、何か温かいものが背後にあるのを感じる。
生きている小型の発電機か何かと思い振り向いてみるとそこには、右腕に工具のようなものを持った男がいた。
男の顔を冷静に見つめながら携帯端末を起動し、ARL-X100と書かれた探索者の特徴とチームの合言葉を確認する。

「あー……ARL-X100さん?こんな状況で申し訳ないんだけど、『鉄のネジ』」

もし本物のARL-X100ならば、『鋼のナット』と返すはずだ。そうでないとしても、
ハイランダーが近くにいる以上探索者どうしで協力しなければ待っているのは未帰還という結果だけだ。
この際スカベンジャーだろうが野盗だろうが、カナエは誰とでも協力する気だった。
0120 ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/03/16(木) 18:14:01.85ID:J1rRBrbh
>>112-115 春休み(不可抗力)

 悪いな、騒がせた。色々とありがとな。
 仕組みはよくわからないけど、かなり短期間で済んだらしい。
 規制を受けた時に、おあつらえ向きの場所が既存で用意されてるのも確認できた。

 創作発表板 避難所
 ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/3274/
 なんでも投下スレin避難所2
 ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/3274/1334145425/

 また似たようなコトが起きて長期化しそうな時には、一週間を目安にして伝言を置くよ。

 >>116 とりあえず
 それじゃあ、もしも既存の避難所が使えない状態に陥った場合、次にそっちを試す事にしようか。


 それから、対象のレス全部に規制対策のリテイクをかけて上げる時間が惜しい。
 しょーもない内容だったから基本は、お蔵入りだ。このまま気にせずターンを進めてくれ。
 リサイクル出来そうなら、仕上がった部分から順次、次のターン以降のレスに追加していく形にする】
0121DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/17(金) 18:29:43.28ID:8YElilA0
>「や、やめて……構わないで。わたし……探索者じゃ、ないから。アルクスって人も、知らない」

「なんですって?カナエ、この子……」

イズミが震えた声で拒絶の意思を示した瞬間、ディーバスの表情……ホログラムが消えた。
声色も深刻な響きを帯びている。
そして……

【*´ω`*】

直後に再び表示される、先ほどよりも格段にデフォルメ化されたホログラム。
ディーバスは守護者……人類を守る為に生み出された機械生命体。
故に他者の体調には敏感だ。彼女はイズミの体調不良を感じ取っていた。
脳内ホルモンの異常な分泌……つまり恐怖の感情を。
その原因が自分である事も、すぐに理解出来た。
表示されたホログラムは、彼女なりに恐怖を和らげてもらおうと工夫した結果だ。

「この子、とても素直ですよ!黙っていた方が都合が良かったでしょうに。
 ……カナエ、ここにいるのは正直で、栄養不足の、女の子です。
 確かに探索者ではないかもしれない……でも、そんなのは些細な事じゃありませんか。うんうん、カナエもそう思……」

>「探索者じゃないとすれば、スカベンジャー?あなたみたいな年でやってる
  子もいるんだね……ディーバ、これは難しいよ」

Σ【 ̄ロ ̄lll】

「あぁ!こっちの子は頭が固かった!カナエ〜、いいじゃありませんか。
 こんな小さな子が、生きる為に手を尽くす事を責めるなんてあんまりですよ」

ディーバスは、この時世において差別をしない。誰に対しても、何に対しても分け隔てない。
分け隔てが無さすぎるとすら言えた。
彼女は働く事を放棄したスラムの住人にも、他の者と同様に接し、施しをする。
それは時に、誰かからの悪感情を買う事もあった。

>「……ディーバ、この子を連れて一旦帰ろう。私のいた孤児院にこの子を――」

【*´∀`*】

ディーバスの頭部に喜びを示すホログラムが浮かび上がり……しかし直後、セーフルームが強く揺れた。
頭上を見上げれば、建材の隙間から見えるのは、セーフルームを踏みつけるように君臨する人型兵器。
漆黒のステルス装甲に身を包む狩人……『ハイランダー』。

>「――ディーバ!逃げるよ!あなたもこっちに!」

弾かれたように駆け出すカナエ。
同時にセーフルームへと注がれるハイランダーの眼光。熱源を感知する狩人の眼。

そして……ハイランダーが凄まじく精密、かつ素早く、腰のヒートナイフを抜き、一閃。
伸縮自在の熱の刃が、サーモセンサーの捉えたシルエットを両断。
断ち切られたシルエットが、陽炎のようにふっと掻き消えた。

「……か、間一髪。私も、お暇しますね……!」

ディーバスがホログラムを表示するのも忘れて、緊張に震えた声で呟いた。
切り裂かれたのは『エナジーソリディフィ』が生み出した偽装熱源……フレア。
どんな時でも同行者の生存を第一に動くのが『守護者』ディーバスだ。
0122DVAS ◆./6UDin7fi8Y
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2017/03/17(金) 18:30:09.80ID:8YElilA0
>「二人とも大丈夫!?まさかあいつの巡回ルートが変わるなんて……」
>「いや、ここ数日探索者が大勢入ったせいで新型ができたのかも。
  どっちにせよここにしばらく隠れるよ!」

「お怪我は……無さそうですね。ふう、良かった。
 ……おや、カナエ。そちらの方は、もしかして?」

遅れてコンテナへ逃げ込んだディーバスが、ホログラムで矢印を表示。
示す先は、カナエの背後。

>「あー……ARL-X100さん?こんな状況で申し訳ないんだけど、『鉄のネジ』」

「あぁー、やっぱりアルクスさんでしたか。こんな状況ですが、よろしくお願いします」

ディーバスがぺこりとお辞儀する。
それから視線をカナエへ。

「カナエ、外の警戒は私が。あなたは端末を見てて下さい。
 今日の汚染レベルなら、ここら辺は通信とセンターの偵察ドローンが機能している……。
 じきに、何か通知が来るはずです」

そして待つ事数分、端末が小さく震える。
ディーバスの視線がちらりと、カナエの手元へ泳ぎ、

【ヽ'ω`】

ホログラムがディーバスの心境を的確に表現した。
探索者センターからの通知は、彼女達にとって嬉しいものではなかった。

『B-4区画にハイランダーが出現。コード・レッドを発令。
 当該地区を探索中の者は速やかに帰還を図る事。
 ただしトラッキングによるシェルター接近の恐れがある為、
 現時点で第二セーフルームを中心に半径3km以内を特別危険区域に指定。
 現時点で特別危険区域にいる者。
 今後コード・レッドが解かれるまでに侵入した者はA-1、A-2、B-1区画への接近を厳禁する。
 また特別危険区域はハイランダーの動向により適時変動する』

つまり……「ヤバい奴を連れてくる可能性があるから帰ってくるな」という事だ。
通知文の下には特別危険区域内に存在する探索者のリストが表示されている。
カナエ、アルクス、ディーバスの名もそこにあった。

[【´へ`;】

「ううん……どうしましょうか、カナエ。ハイランダーの索敵能力はとても高いです。
 あっちが巡回モードのままなら良かったんですが、もう警戒されてしまっている。
 いつまでもじっとしている訳にもいきません」

コード・レッドが解除されるかどうかは、ハイランダーの動向次第だ。
他の無人兵器と戦闘になってこの区域を離れるか、警戒が解かれ巡回モードに戻るか。

「B-3かC-2方面へ離脱してコード・レッドの解除を待ちますか?
 確か汚染レベルはどちらも6……留まるだけなら、そこまで危険ではないはず」

カナエ達に出来るのはそれをただ待ち続けるか、汚染区域の奥へ逃げ込む形でこの場を離脱する事だけ……ではない。
0123DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/17(金) 18:31:22.29ID:8YElilA0
「それとも……」

自分達から、コード・レッドが解除されるよう働きかける事も出来る。つまり、

「ハイランダーをどこかに引っ張ってそれから逃げるか……または破壊するか」

探索者センターはその選択を推奨こそしていないが、
偵察ドローンや、個人端末の映像音声記録によってそれが確認出来れば、特別報酬を約束している。
それは無人兵器に捕捉された探索者が、そこで生存を諦めてしまわないように、という意味もあった。

特別功労は、他の探索者の生存率を高めるという意味でも、ディーバスにとっては重要だ。
だが、彼女がハイランダーの誘導、破壊を口にしたのは、そんな理由ではない。

Σ【´∀`||;】

「……ひええっ、探知されました!後は逃げながら決めましょう!」

ただ単に、不可抗力的にそうなる可能性も否めない。ただそれだけの理由だった。

「えっと……素直な子!カナエと交代で威嚇射撃をお願いします!
 ハイランダーは装甲が傷つく事を極端に嫌います!
 牽制さえしっかりすれば、そうそう接近はしてこない!」

ハイランダーのステルス装甲は光学的なものではなく、対レーダー用の物。
それ故、僅かな傷が付く事もハイランダーは避ける傾向にある。
断続的な牽制は、対ハイランダーにおける基本だ。

しかし回避運動の中でもヒートナイフを振るう事は出来る。
伸縮自在の刃を、エナジーソリディフィによるバリアが受け止め……砕かれる。

【;゚ Д゚】

「ひぃ、とんでもない威力!ちょ、これは、あぶなっ!」

膜状の広域バリアでは受け切れない。
バリアの範囲を狭め、分厚くする必要がある。
つまり、受け損なうリスクが増す……防御以外に気を回す余裕がなくなる。

「わ、私これ以上余裕が無いです!な、何か!なんでもいいから案を!考えなしが一番よくない!」

探索中の突発的な戦闘において、逃げるにしろ戦うにしろ、無策のまま動くのは危険だ。
それはつまり集団の意思統一が出来ていない、判断基準を共有出来ていないという事。
行動の一つ一つに瓦解のリスクが付き纏うという事だ。
時間をかけて最善策を考えるよりも、当座凌ぎでもいいから素早い判断が必要なのだ。



【つまり今後どう転ぶかは丸投げって事だ!】
0124イズミ ◆.PjwSk2J/.
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2017/03/21(火) 13:09:04.88ID:EfSYIZev
>「なんですって?カナエ、この子……」

一刻も早くこの場を逃れたいばかりに正直に素性を言ってしまったイズミ。
(無論探索者を自称したところでライセンスやIDの照合で即刻嘘はバレるわけだが)
芋虫の声音がシリアスさを帯びたものとなり、すわ一触即発かと再び身構える。

>【*´ω`*】

(かわいい……)

果たして芋虫のホログラムが表示したのは、戯画化された顔のようなもの。
先程の無機質な笑顔とは異なる、なんというか『ほっこり』だとか『まったり』といった表現の似合う顔だった。

(でもちょっと気持ち悪い……)

でかい芋虫の頭部に可愛らしい顔をお出しされるアンバランスさに目眩がしそうだ。

>「この子、とても素直ですよ!黙っていた方が都合が良かったでしょうに。
 ……カナエ、ここにいるのは正直で、栄養不足の、女の子です。
 確かに探索者ではないかもしれない……でも、そんなのは些細な事じゃありませんか。うんうん、カナエもそう思……」

「あ、あの……だから構わないでって……」

相変わらず人の話を全く聞かない芋虫がカナエと呼ばれた探索者に水を向ける。
話を振られたカナエは……やはり探索者の例に漏れることなくイズミを一瞥して溜息を付いた。

>「探索者じゃないとすれば、スカベンジャー?あなたみたいな年でやってる
  子もいるんだね……ディーバ、これは難しいよ」

「ぁぅ……」

白眼視に晒されてイズミは掻き消えそうな声で呻いた。
カナエの態度は探索者として至極真っ当なものだ。
問答無用で銃を向けられないだけ情と分別があるとさえ言える。

思い起こされるのはかつて同じ狩場を漁っていたスカベンジャーが探索者の一団に捕らえられ、
装備を身包み剥がされた挙句に無人兵器の群れに囮として放り出された光景だ。
一瞬で血煙と化した同業者の恐怖と絶望に満ちた表情が目に焼き付いて離れない。

センターはスカベンジャーに対する迫害を推奨してはいないが、スカベンジャーを保護してくれるわけでもない。
人権というものが形骸化して久しいこの時代にあって、コミュニティに利益を齎さない者を養う余裕があるはずもない。

>「あぁ!こっちの子は頭が固かった!カナエ〜、いいじゃありませんか。
 こんな小さな子が、生きる為に手を尽くす事を責めるなんてあんまりですよ」

芋虫はどうやらイズミの扱いを穏便にするよう取り計らってくれているようだった。
説得に応じてか、カナエの視線も幾分か柔らかいものに変わる。
0125イズミ ◆.PjwSk2J/.
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2017/03/21(火) 13:09:28.27ID:EfSYIZev
>「……ディーバ、この子を連れて一旦帰ろう。私のいた孤児院にこの子を――」

探索者二人の間でイズミの沙汰が決まるかと思ったその時、ズン、と地面が揺れた。
木々がへし折れる音、驚いた鳥たちの羽音に混じってアクチュエータの駆動音が聞こえてくる。
発信源に目を向ければ、セーフルームの上に鋼の巨人が立っていた。
『ハイランダー』。高い戦闘能力を持つ無人兵器だ。

「あわわわ……」

イズミが青冷めて隣のニヤックを見遣る。
ニヤックもまた突如現れたハイランダーの姿に視覚素子を白黒させていた。
彼の探知機器が反応していなかったのは、ハイランダーに高度なステルス装甲が搭載されているからだ。
レーダーを掻い潜ってこの地に立ち入る探索者達を狩り回る不可視の暗殺者。
探索者と同様に、スカベンジャーのイズミにとっても最も遭遇したくない相手の一つだ。

>「――ディーバ!逃げるよ!あなたもこっちに!」

カナエの判断は迅速だった。
芋虫――ディーバと呼ばれた機械生命体に指示を出し、同時にイズミの外套を引っ掴む。
イズミの身体がふわりと持ち上がった。

「へぇっ!?」

念動力だ。おそらくカナエは超能力者、イズミを退避させる為に力を行使した。
不意の事態にじたばたするが、地面に足が届かず水面下の水鳥のように虚しく空を掻く。
そのまま近くの錆びついたコンテナの裏へと引っ張り込まれる。
飛び掛かったハイランダーがディーバの眼の前の虚空をナイフで切り裂いた。

>「二人とも大丈夫!?まさかあいつの巡回ルートが変わるなんて……」
>「お怪我は……無さそうですね。ふう、良かった。……おや、カナエ。そちらの方は、もしかして?」

地面に放り出されたイズミが如才無く避難していたニヤックと震えていると、コンテナの影には先客がいたようだ。
探索者同士の短いやりとりで、彼が本来カナエ達と待ち合わせていた人物だと理解する。

>「B-3かC-2方面へ離脱してコード・レッドの解除を待ちますか?
 確か汚染レベルはどちらも6……留まるだけなら、そこまで危険ではないはず」
>「それとも……」
>「ハイランダーをどこかに引っ張ってそれから逃げるか……または破壊するか」

「は、破壊……?たたかうの、アレと……?」

ディーバの提案にイズミはゴーグル越しに青い目を見開いた。
ハイランダーはその辺を彷徨いている哨戒用の無人兵器とはわけが違う。
あれは純粋な戦闘用、攻撃性も搭載兵器の数も比べ物にならず、高ランクの探索者が十分な準備と覚悟をして対峙する代物だ。
見たところ統一性のない、つまりはオートマッチングか何かで組んだだけの急造パーティで戦える相手ではない。

ただ……戦うかどうかを選んでいる場合じゃないというのも確かだった。
既にハイランダーは交戦モードに入っている。索敵能力は高く、コンテナの陰などすぐに看破されてしまうだろう。
逃げる為に動き回るならばなおのこと、奴の動体検知に引っ掛けてくれと言っているようなものだ。
0126イズミ ◆.PjwSk2J/.
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2017/03/21(火) 13:09:43.62ID:EfSYIZev
>「えっと……素直な子!カナエと交代で威嚇射撃をお願いします!
 ハイランダーは装甲が傷つく事を極端に嫌います!牽制さえしっかりすれば、そうそう接近はしてこない!」

「えと……イズミ……です……」

ディーバの要請にどこか的の外れた返答をしながら、イズミはニヤックの頭を撫でた。
首の付け根部分にある掌紋センサに手を翳し、ニヤックの動力レベルを『巡航』から『交戦』に切り替える。
『キャリーカブ』は兵站輸送用の無人兵器だが、自衛の為にある程度の火器は搭載している。
ニヤックの左右の肩からそれぞれ一門ずつ中口径の機関銃が迫り出した。

(今日は赤字だよぅ……)

汚染区域で戦いを生業とする者、特に銃器を扱う者は経費を常に意識して戦わねばならない。
銃を撃てば弾代が掛かる。兵器を稼働させれば燃料が消費されるし、修理や整備にも金がかかる。
センターはそれら必要経費に対して金銭的な補助をしてくれるが、イズミのような非正規は全てが実費だ。
既に今日この汚染区域に立ち入る為にマーケットに流れている払い下げの解毒剤を購入しているイズミにとって、
予定外の戦闘は損益分岐点を下回りかねない大出血だ。
それでも、背に腹は変えられない。

>「わ、私これ以上余裕が無いです!な、何か!なんでもいいから案を!考えなしが一番よくない!」

ディーバが前に出てハイランダーを引き付けてくれているが、限界は必ず訪れる。
イズミは自分の頬を両手で打って覚悟を決めた。

「カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
 センサー撃って、それからみんなで逃げよ」

スカベンジャーにとって戦闘とは極力避けたいものであり、どうしても戦うならば第一に狙うのは相手の『眼』だ。
とにかくセンサーを無力化し、あとは逃げ回る。無人兵器とて霞を栄養にして動いているわけではない。
眼を潰されてなお闇雲に動体を追って燃料を浪費するよりも、修理の為に引き返す者は多い。
生き物と違って"執念"の存在しない兵器は特に、損益を論理で規定して動く傾向が顕著だ。
つまり、うまい具合にセンサーを潰すことができれば、ハイランダーは撤退する公算が高い。

「ニヤック、一発ずつよく狙って撃って」

コンテナの陰からディーバの背後へと飛び出したイズミとニヤックは、ハイランダーへ向けて銃撃を開始した。
装甲貫徹よりも命中率と足止め効果を重視した散弾が鋼の巨人の頭部へ飛翔する。


【目潰しを狙って散弾で銃撃開始】
0127ARL-X100 ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/03/26(日) 14:45:56.61ID:zb7Pmr57
【サセヴォ・シェルター工廠エリア製鋼実験ディヴィジョン第二試験棟】


《――――今回は上手くいった様ですね。気分はどうですか、ARL-X100》


その日、ただ真っ白な空間の中で俺は目覚めた。
本当に真っ白だ……光も影も無いのか、光だけがあるのか。
直接意識に響いて来るような、何だかよくわからない"声"に俺は素直に答える。


「悪くない気分だと思う、けど……よくわからないな」

《私は貴方の支援機です。今後は私の支援の下で任務に従事してもらうことになります》

「ああ。よろしくな、支援機。
 姿が見えないけど、どうなってるんだ。
 俺専用のオペレーター・ボイスみたいなもんなのか?」

《それを貴方が知る必要はありません。
 それから年上には敬意を払うように。
 私は貴方より稼働期間が長いのです》

「わかったよ、支援機さん。とにかく仲良くやっていこう。
 俺達は、これから一緒に仕事をやっていく相棒だもんな」

《上出来です、ARL-X100。勤労意欲と協調性の確認が出来たことを嬉しく思います。
 それでは、貴方の"相棒"を受領してください―――今、そちらに向かっています》

ほどなくして、見下ろす視線の先で長方形のスリットが走った。
その長方形が直方体にリフトアップし、微かな稼働音と共に展開する。
頑丈そうな一対のレストに懸架された状態で、相棒と呼ばれたモノが姿を現した。
外観の印象は、極端に無骨なデザインのバズーカ砲か、無駄に洗練されたシルエットの鈍器だ。

「わけがわからない。教えてくれ支援機。この道具は一体、何をする為の物なんだ?
 金属みたいな重量感なのに質感はセラミック製に見える。素材は何で出来てる?」

《先ず、最初の質問に回答しましょう。それを貴方が知る必要はありません。
 そして、次の質問に回答しましょう。それを貴方が知る必要はありません。
 貴方の大脳辺縁系は水たまりですか。四足歩行獣も生息不能な環境です》

「何言ってるんだ。プールや海に馬や鹿が棲めるものかよ。
 ついさっき受けた説教すら覚えてなくて悪かったな、支援機さん。
 本当に俺を支援してくれるなら―――最後に一つだけ質問してもいいか」

《それは実に趣の深い返答です。貴方の馬は、海ではなく鹿と連結されているのですね。
 もちろん、質問を許可します。私は貴方の"支援機さん"なのですから。
 無意味な遠慮はしなくても良いのですよ、ARL-X100》

「こいつを使って……俺に何をさせる心算なんだ? 答えてくれ、支援機」
 
《では、最後の質問に回答しましょう。それを貴方が知る必要はありません》



――――その日も俺は、何も知らない労働者だった。
0128アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/03/26(日) 14:46:57.18ID:zb7Pmr57
『や、やめて……構わないで。わたし……』

人は人を裁くべきではない。
裁きとは、神から人に与えられるものだ。
神の言葉を騙る偽りの聖典には、そう記されているらしい。
そうであるならば、神の恩寵が届かず、その加護から見放された廃墟の世界で―――

『……カナエ、ここにいるのは正直で、栄養不足の、女の子です』

―――裁きを与える主体は、誰であるのか。

『あ、あの……だから構わないでって……』

答えは無い。神が沈黙する限り、人が神の正義を騙ろうとする悪を、その罪を罰する者は居ない。

『……ディーバ、これは難しいよ』

それでは、人が己の内より生ずる正義を語る事は赦されるのだろうか。
あるいは、人が自ずから観測した真実を示す事は赦されるのだろうか。

『こんな小さな子が、生きる為に――…』

俺は思う。聖霊の息吹が絶えた不浄な大気の中で、喘ぎ苦しみながら。
俺は考える。神の愛が失われた寄る辺なき荒野に独り、悲嘆と共に立ち尽くして。
それでも、俺にはわかる。人が人を裁く事は出来ない。けれど……赦す事ならば出来るのだと。

『私のいた孤児院にこの子を――』

このままじゃ、生きる為に解毒剤を盗み食いしてしまった栄養不足の女の子が孤児院に入れられてしまう。
女の子は、なんだか嫌がってるみたいだ。だったら、せめて俺が味方になってやらないと。
そして大人として……いや、人間として、女の子に教えてやらないといけない。
彼女は知っておくべきだ。この美しくも残酷な世界の真実を――――

『あわわわ……』

――――解毒剤は、食べ物じゃないんだってコトを。
0129アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/03/26(日) 14:47:34.11ID:zb7Pmr57
『あー……ARL-X100さん?こんな状況で申し訳ないんだけど、『鉄のネジ』』

複雑な家庭環境を持つ年頃の女の子に対して、どうやって話を切り出そうか考えていると、
おそらく十年前くらいに年頃を過ぎたであろう女の子が、印象的な話術で切り込んで来た。

「あんたが、カナエさんか。
 何故か当分の間、無事に会えない気がしてた。
 ついでに、なんとなく人間の身体で会えない気もしてたトコだ」

廃棄コンテナの裏にハイド・インして思い悩んでいる間に、状況が動き出していた。
ボックス席に突然の入客だ。相席の申し入れは無かったが、代わりに注文が入る。

「例の『合言葉』だな……わかってる。ええと、待ってくれ、すぐに思い出す。
 すぐに今……いや、その、後で……後で絶対に思い出すから信じてくれ」

『あぁー、やっぱりアルクスさんでしたか。こんな状況ですが、よろしくお願いします』

「――――アルクスだ。俺は『やっぱりアルクス』でも『やったぜアルクス』でもない。
 挨拶も大切だけどさ、ほら……その前に何か、こう……あるだろ? 何て言うか、な?」

俺はフレンドリーなスマイルと共に右手を差し出した。携帯食料を受け取るためだ。
だが、現実は非常だった。返ってきたのは、旧世紀からの伝統的な礼儀作法、"オジギ"だ。
ワンチャンス頭部から食い物が出て来るサプライズもあるかと期待したが、そんなことは無かった。

オジギ終了から0.02秒。俺は考えた。
物乞いなんて餓死しそうになってからやればいい。
今は目の前の事実から命題の真理値を確認せねばならない。

俺は隠れていたか? ――YES.
あの機械は俺を見つけたか? ――YES.
その結果、食い物は差し出されたか? ――NO.

情報を精査し、論理的誤謬を自覚する。
どうやら俺は、重要な条件を一つ見落としていたらしい。
推定・殺人機械改め、友好的芋虫機械のAIサイバネティクスは奥が深い。
なるほどなー……"隠れてる子供を見つけると携帯食料を出す機能"の搭載機だったか。

『カナエ、外の警戒は私が。あなたは端末を見て――…』

皆は何処かと通信していた。何かの相談もだ……まさか、俺も孤児院に入れられるっ!?
己の脊髄反射を一時的に封印し、普段は抑圧されている知性を解放して状況観察に徹した。
具体的には、他の三人の顔色を一生懸命うかがった。アレはバリアなのか? 目がチカチカする。

【ヽ'ω`】【´へ`;】【´∀`||;】【;゚ Д゚】

コンテナの向こう側が、妙に騒がしい気がしていた所だった。ああ―――襲撃だ、コレは。
透過光の点滅刺激によって俺の知性は再び永き眠りに就き、代わりに脊髄が覚醒した。
0130アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/03/26(日) 14:48:06.32ID:zb7Pmr57
「あいつ……かどうかわからないけど、前に別な場所で同型機と戦り合ったコトがある。
 俺が思うに芸術家タイプだな、アレは。それも彫刻畑で、かなり前衛的な印象派だ。
 あと1cm俺の腹筋が薄かったらアヴァンギャルドに内臓をブチ撒いてたところだ」

真新しいシャツを左手でたくし上げて、八つに割れた腹筋を見せる。
六つに割れた腹筋に、横一文字の傷痕が刻まれたトリックアートだ。

「決まった場所をうろついて守備範囲の外までは追って来ない習性だったよな、確か。
 基本方針は、さっき言ってた"とりあえず逃げて、しばらく隠れる"で、いいんだな?」

たぶんアレは、ソロで探索中うっかりエンカウントしたらゲームオーバーが確定するやつだ。
奴を覆う"サンプル"の物理強度は低そうだが、前回は一発も当てられないまま敗走した。
今回は、銃火器持ちが頑張ってドンパチやって、どさくさに紛れて逃げ出す作戦らしい。

『カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
 センサー撃って、それからみんなで逃げよ』

「――――アルクスだ。俺は『アルクス?』でも『アルクス!』でもない。
 そのカブ、君の支援機か? 愛嬌がありそうで羨(ねた)ましい限りだ」

芋虫機械の後方に展開した欠食児童とカブが銃撃を開始する。
俺は彼女達の為に、ほんの数秒だけ両目を瞑って神とやらに祈った。
もし本当に、あんたの愛が永遠に生き続けてるんなら頼む、命中させてくれ。

「……やったか!?」

他の三人と違って、俺には遠距離戦闘の攻防能力が無い。
基本的には、前方に向かって突撃するか、後方に向かって離脱するかの二択だ。
前者の場合、時間稼ぎの囮役、デコイ役、スケープゴート役など、多種多様な選択肢への派生もある。

「退避場所は何処にする? 安全地帯のボロ小屋は……もう奴に目を付けられちまってるな」

危険な徘徊者の狩場と化しているのであれば、第二セーフルームは――
――いや、其処は最早セーフルームとは呼べない。デンジャールームだ。

「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?
 俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」

離脱指示なら全力ダッシュだ。突撃指示なら全力ダッシュから一撃を叩き込みに行く賭けに出る。
おそらく、その一撃で仕留められなければ、この場に居る全員が死ぬ。
―――もしくは、突出した俺だけが死ぬ。
0131カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/27(月) 19:02:00.35ID:xCukrcZY
>「あんたが、カナエさんか。
 何故か当分の間、無事に会えない気がしてた。
 ついでに、なんとなく人間の身体で会えない気もしてたトコだ」

「……世間話は置いといて、返す言葉があるんじゃない?」

この非常事態で呑気にジョークを飛ばしている暇などない。
そう言わんばかりにカナエは鋭く切り返した。
アルクスを騙る野盗やスカベンジャーだとすれば強引に『協力』してもらうことになる、と言わんばかりに。

>「例の『合言葉』だな……わかってる。ええと、待ってくれ、すぐに思い出す。
 すぐに今……いや、その、後で……後で絶対に思い出すから信じてくれ」

「そう。それじゃよろしくね、ARL-X100さん」

仮に本物のARL-X100だったとしても合言葉を忘れるような探索者だ。
長くは生きられないだろうとカナエは考え、ディーバの友好的な反応とは異なった態度となった。

>「カナエ、外の警戒は私が。あなたは端末を見てて下さい。
 今日の汚染レベルなら、ここら辺は通信とセンターの偵察ドローンが機能している……。
 じきに、何か通知が来るはずです」

「了解!ディーバのバリア、信じてるよ!」

携帯端末を胸ポケットから取り出し、支援センターからの情報を確認する。
未確認の無人兵器や汚染濃度の急速な上昇があれば、支援センターや探索者がばら撒いている
偵察ドローンがそれを検知し、支援センターへと届く。

そして、端末に表示された情報は無常なものだった。

「コ―ドレッドは当然だけど……特別指定されちゃったか。
 この近くに私たち以外の探索者は少ないみたいだし、ハイランダーは狙いを変えないだろうね」

>「B-3かC-2方面へ離脱してコード・レッドの解除を待ちますか?
 確か汚染レベルはどちらも6……留まるだけなら、そこまで危険ではないはず」

「B-3もC-2も両方工場があるけど、ディーバの言う通り手出ししなければ安全だね。
 ただ、ハイランダーがこっちを視認しちゃったのが不安かな」

ハイランダーの危険性はレーダーにほぼ移らないステルス能力と近接戦闘力の高さにあるが、
一度交戦モードに入ると巡回モードに移行するまでに時間がかかるのも警戒するべき点と言われている。

>「ハイランダーをどこかに引っ張ってそれから逃げるか……または破壊するか」

>「は、破壊……?たたかうの、アレと……?」

「……不可能ではないね」

ハイランダーの数少ない欠点は露出したセンサーに索敵を全て頼り切っていることだ。
これはそもそも被弾を前提としていないためだが、そのおかげでセンサーを破壊されるかEMPなどで無力化されると
汚染区域の奥深くにあるとされる大規模シェルターに撤退するという性質がある。

>「……ひええっ、探知されました!後は逃げながら決めましょう!」

手持ちの情報からカナエが思考を巡らせていたそのとき、ハイランダーがこちらを見つけた。
ヒートナイフを振りかざし、静音モーターの駆動音と共に静かに、だが敏捷さを見せつけるようにこちらへと走る。
0132カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/03/27(月) 19:02:16.65ID:xCukrcZY
>「えっと……素直な子!カナエと交代で威嚇射撃をお願いします!
 ハイランダーは装甲が傷つく事を極端に嫌います!
 牽制さえしっかりすれば、そうそう接近はしてこない!」

>「えと……イズミ……です……」

「こんなことならショットガンでも買えばよかったかな!
 イズミちゃん、その四つ足と一緒によろしく頼むね!」

反動の少ない小口径アサルトライフルを片手で構え、イズミと隣にいる無人兵器のリロードに合わせて射撃を行う。
空いた片手は腰のポケットから小石を取り出し、カナエたちの周囲にばらまく。
カナエが認識しやすいよう赤く塗られたそれは、超能力を用いた罠への布石だ。

>「わ、私これ以上余裕が無いです!な、何か!なんでもいいから案を!考えなしが一番よくない!」

>「カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
 センサー撃って、それからみんなで逃げよ」

>「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?
 俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」

ニヤックとイズミ、カナエが交互に頭部を狙って射撃を行う。
それらを切り抜けて突っ込んでくればディーバがバリアで防ぎ、一行は後退しつつ次の案を練る。

「……イズミちゃんの案で行く!このまま距離を維持しながらあいつの頭を狙う!
 ディーバはバリアで射撃の隙をカバーして!
 ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときにあなたも突っ込んで!」

こちらの目的が頭部のセンサー破壊であることを認識したのか、
ハイランダーはヒートナイフを持たない手で頭部を隠しつつ不規則な軌道を描いて辺りを飛び回る。
障害物に身を隠しながら、着実にこちらへと距離を詰めてくる。

ハイランダーの機動力でも散弾は避けきれないらしく、細かい傷が全身の各所についているが
決定打にはならず、むしろこちらを脅威と認識してより追い詰めるような軌道で向かってくる。
勢いを増したハイランダーに撒いておいた小石を装甲にぶつけ、再び距離を取らせた。

「このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!」

じわりじわりとカナエたちは下がりつつ、端末で立体地図を横目に見る。
かつては公園を中心とした住宅街だったB-4地区、カナエたちを示す光点は徐々に公園へと近づいていた。


【ハイランダーは装甲に傷がついていますがステルス能力は未だ健在
 センサーが破壊される前にこちらを仕留めるつもりです!】
0133DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/03/31(金) 03:39:27.16ID:cy6OFuJm
エナジーソリディフィとは光や熱を固体化させる科学技術、及びそれを搭載した機械の事を指す。
その機能は無制限ではない。
機械の出力によって形成可能な体積、範囲、固体の強度などは変動する。

ディーバスの視線の先に凝縮する光の粒子。
構築されるのは、ライオットシールドの半分もないような小さな盾。
本来、ディーバスに搭載されたエナジーソリディフィは現状のチーム全員を覆うだけのバリアが形成出来る。
だがハイランダーのヒートナイフを防ぐには、ここまでサイズを縮小する必要があった。

>「カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
  センサー撃って、それからみんなで逃げよ」

「センサー……なるほど名案です……うひゃあ危ない!」

甲高い、しかしどこか余裕を感じさせる悲鳴。
それは周囲に安堵を促す為の、無意識にでも発現する『守護者』の性分。
ディーバスの防御は、逃走の最中でありながらも鉄壁を誇っていた。

ヒートナイフを弾きつつ、熱の残滓を固体化し鹵獲。
それを弾丸として撃ち返す事による牽制。
ディーバスはひたすらそれを繰り返す。徹底的なまでに精度を追求しながら。

>「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?
 俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」

「お願いします、カナエ。あなたの判断なら大丈夫です」

彼女はこの状況を好転させる為に何をすればいいか。
一切考えていない。ただ聞こえてくる言葉に、無思考に、感じたままの声を返すだけ。
頭にあるのは、ただ誰も死なせない事。
使命感という言葉すら不純物になるほどに、ただ、それだけを考えていた。

>「……イズミちゃんの案で行く!このまま距離を維持しながらあいつの頭を狙う!
  ディーバはバリアで射撃の隙をカバーして!
  ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときにあなたも突っ込んで!」

「了解しました。あなた達の髪の毛一本、焦がさせはしません」

ハイランダーの装甲から散る、幾つもの火花。
銃弾が命中している。
最大のアイデンティティであるステルス装甲が削れる事をハイランダーは嫌う。
回避運動が増える。動きが直線的でなくなり、距離が開く。
ハイランダーが、汚染植物に覆われたビルの壁面を切り開く。そして飛び込んだ。

銃弾を避ける為、だけではない。
ディーバス頭部に内蔵されたニューロコンピュータが、軽傷を掻き鳴らす。

「頭を下げて!」

叫ぶと同時、ディーバスはその巨体でカナエとイズミをまとめて突き飛ばした。
二人を一箇所にまとめて、頭を無理矢理下げさせた。
そして自身は全身を起き上がらせ、頭上にバリアを張る。

同時、ビルの壁を中から斬り裂いて、ヒートナイフが飛び出す。
壁越しの攻防。敵の位置を確認出来るのは、サーモセンサーを持つハイランダーのみ。
紅蓮の刃が描く軌道は……横薙ぎ。

ディーバスの下腹部が、強烈な熱に焼き切られる。
切断こそされなかったが、疑似脳との接続ケーブルを断たれた。
起こした体を支える足が動かない。体勢が崩れる。
0134DVAS ◆./6UDin7fi8Y
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2017/03/31(金) 03:40:44.02ID:cy6OFuJm
だがカナエとイズミは無事だ。
突き飛ばせなかったアルクスに関しては腹筋が十に割れているかもしれないが、仕方がない。
もっとも一番危ないのは中途半端に頭を下げてしまった時だが。

「あちゃ……ま、まぁ結果オーライ……」

直後、壁を切り開き、ハイランダーが猛然と迫る。
体勢が崩れている分、反応が遅れた。

「じゃないかも……!」

ハイランダーがヒートナイフを振るう。
バリアが間に合わない。
そして……響く、強烈な金属音。

ハイランダーが上体を大きく仰け反らせていた。
まるで何かに、強く弾かれたかのように。

銃弾ではない。ハイランダーのアイカメラは銃口を認識し、その弾道を予測出来る。
答えは明白だった。ディーバスの視線の先に、赤い色をした小石が浮かんでいた。
強い熱も持たない、動体でもない、ただ超能力を帯びた真っ赤な小石を……殺人機械の眼光は捉えられなかった。

「あぁーカナエ!カナエ!今の最高です!私が助けられちゃいましたねえ!はぁー焦ったぁ……」

ディーバスは心底安堵した声を漏らした。
その間も逃走の為の行動は継続。
つまり、エナジーソリディフィによる光刃で動かない体部位を自切。
体長が三割ほど短くなったが、活動に支障はない。

>「このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!」

公園に辿り着く前に仕留める、そう言わんばかりにハイランダーの攻撃が執拗になる。
だが連携が上手く回っている。即席のチームにしては上出来過ぎるほどに。
そして公園に辿り着く。

その直前……ハイランダーが不気味さを覚えるほどにあっさりと、退いた。

公園に残されたのは、探索者二人とスカベンジャーが一人、巨大芋虫が一体。
そして静寂。

「……あ、あぁ!」

不意に、ディーバスが悲鳴じみた声をあげた。

「ま、不味いですよ!」

開けた空間に、三人と一体の獲物。
姿の見えない狩人。

「この公園を利用しようと思ったのは、私達だけじゃなかったんだ!」

公園の外周に生い茂る汚染樹木が、がさりと音を立てた。
一瞬、ハイランダーの赤い眼光が見える。
だがすぐに姿を消してしまった。

皆もすぐに理解出来るだろう。
待つ側に回るはずだった自分達が、待たされていると。
0135DVAS ◆./6UDin7fi8Y
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2017/03/31(金) 03:44:26.61ID:cy6OFuJm
この状況、ハイランダーは探索者達の隙を待ち続ける事が出来る。
夜を待ち、疲弊を待ち、空腹を待ち、睡魔を待ち続けられる。
暫し、沈黙が続く。

「……このまま待ち続けても、状況は好転しません」

ディーバスが重い静寂を破って、そう切り出した。
次にチーム全員をドーム状のバリアで囲む。

「このバリアでは、ハイランダーの攻撃を防ぎ切れません。
 割られてしまいます……が。まったく止められないという事も、ないはずです。
 これで身を守りながら、カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう」

より正確には、ディーバス自身を除いた全員を。

「……私を包むようなバリアでは、流石に薄くなりすぎちゃうのでね。
 大丈夫、私が狙われたなら……それはそれで、チャンスです」

そして後退を始める。が……それをハイランダーが見過ごす訳はない。
バリアを扱うディーバスが自分自身を一切守れないでいるのだ。
彼女を仕留めれば、なし崩し的に全員を屠る事が出来る。

汚染植物の陰から、ハイランダーが飛び出す。
伸縮自在のヒートナイフによる、遠間からの襲撃。狙いは、ディーバスの内部の頭脳。
サーモセンサーにより位置を特定したそれへ、ヒートナイフを振り下ろす。

殺人機械の一撃は、極めて正確無比だった。
正確無比であるが故に、熱の刃はディーバスの頭部に半ばまで食い込み……

「……ほら。チャンス、です……よ……」

正確無比であるが故に、それ以上振り抜けなかった。

「ええと……やっぱりアルクスさんは、嫌なんでしたっけ。
 じゃあ……頼れるアルクスさん……なんて、どうです?」

エナジーソリディフィにより体内に形成された、極小の、だがそれ故に高硬度の盾。
それがヒートナイフの一撃から、ディーバスの頭脳だけを、ピンポイントで守っていた。

「なって下さいよ、頼れるアルクスさんに」

目の前に姿を晒したハイランダーの胴体を、ディーバスの作り出した光の鎖が絡め取った。
ハイランダーとディーバスの胴体が、鎖で繋がれる。
同時、チームを守っていたバリアが独りでに割れた。
切り裂かれこそしなかったが、極度の高熱に晒されたディーバスの頭脳では、二つ以上のオブジェクト形成が維持出来なかった。

「あぁ、そうだ」

ハイランダーはもう逃げられない。
カナエ達を守るバリアはもう無い。

つまり……いずれも前に出る以外の選択肢はない。

ハイランダーが今度こそディーバスを破壊すべく、地を蹴る。

「もし駄目そうなら、私を置いて逃げて下さいね」

次に紅蓮の閃きが放たれれば、彼女にはもう為す術はない。

【チェーン・デスマッチだ!】
0136イズミ ◆.PjwSk2J/.
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2017/04/04(火) 23:13:25.02ID:ziIwW2Il
>「――――アルクスだ。俺は『アルクス?』でも『アルクス!』でもない。
 そのカブ、君の支援機か? 愛嬌がありそうで羨(ねた)ましい限りだ」

(いんとねーしょんの問題なのかな……)

アルクスと呼ばれた探索者が発音に謎のこだわりを持ってイズミに正す。
支援機というのがイマイチどういう存在なのかはわからなかったが、褒められて悪い気はしない。
閑話休題、イズミはカナエと共にハイランダーの頭部へ目掛けて間断なく銃撃を加える。
二人以上での銃撃戦の連携は、互いにリロードの隙を補完して弾幕を途切れさせないことだ。
正面切っての戦闘に慣れていないイズミをカナエがサポートする形で、ハイランダーを牽制していく。

>「……やったか!?」

「お、お祈りするだけなのこの人……?」

射撃する二人と、彼女たちの矢面に立ってバリアを展開するディーバス。
そして後方で祈祷を行うアルクス。バランスの良いパーティ(皮肉)であった。
ハイランダーの損傷は軽微。装甲に僅かな傷は入っているが、本命のセンサーを巧みに庇っている。

>「退避場所は何処にする? 安全地帯のボロ小屋は……もう奴に目を付けられちまってるな」

祈祷を終えたアルクスが逃走経路をカナエに問う。ディーバスもそれに同調する。

>「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」
>「お願いします、カナエ。あなたの判断なら大丈夫です」

カナエは引き金に指を掛けながら応える。

>「このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!」

「そっか、この先は公園……」

ステルス無人機との戦闘における一つの攻略法は、常に有視界範囲に敵を留め置くことだ。
あれほどの巨体と挙動を光学迷彩で隠し切ることは難しい。
ハイランダーのリスク計算にもう一つの係数を加えてやることで、早期の撤退を狙えるはずだ。
だが膠着状態を打破したいのはハイランダーにとっても同様であった。
手近なビルの壁面を切り開き、その中へと姿を消す。

「ステルスまだ生きてるよ!位置分からなくなっちゃった」

油断なく探知機能を並行展開していたニヤックが虚しげに鼻を鳴らす。
構造物の陰から陰へ移動し、ステルスによる奇襲を仕掛ける……ハイランダーの常套戦術だ。
姿がない。音もない。レーダーにも映らない。敵の姿は五里霧中、一体どこから現れる?

>「頭を下げて!」

瞬間、最も前に出てハイランダーの動きを見ていたディーバスが弾かれるように動いた。
巨体がイズミとカナエを纏めて突き飛ばし、強引にひび割れたアスファルトの上に伏せさせる。
その上を、横合いの壁から突き出てきたハイランダーのヒートナイフが擦過していった。
高熱で全てを溶断するヒートナイフに障害物は無意味だ。切り裂かれた壁の断面は炙られたバターのよう。
危機一髪を脱したイズミの脳裏に、場違いな記憶が通り抜ける。
かつてスカベンジャーに身を落とす前に我が家でとった食事。
三月に一度、暦の節目にだけ食べられる本物の小麦粉で作ったパンと、その上を滑る代用バターの香り。
それは正しく走馬灯であった。

「芋虫さんっ!」

イズミとカナエをかばう格好となったディーバスの胴にヒートナイフが埋まった。
溶かされたボディの蒸気に混じって火花が散る。鮮血にも見えるそれはディーバスの損傷だ。
0137イズミ ◆.PjwSk2J/.
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2017/04/04(火) 23:13:49.93ID:ziIwW2Il
>「あちゃ……ま、まぁ結果オーライ……」
>「じゃないかも……!」

切り抜いた壁をぶち破ってハイランダーが飛び出した。
返す刀が動けないディーバスの、今度こそ中枢を刳り抜かんと振るわれる。
回避が間に合うはずもない――

果たせるかな、芋虫の胴と頭が分かたれることはなかった。
先程カナエがその辺に撒き散らしていた赤く塗られた小石。
無意味にも見えた無数の礫が一斉にハイランダーへと襲いかかり、その軌道を衝撃で強引に捻じ曲げたのだ。

>「あぁーカナエ!カナエ!今の最高です!私が助けられちゃいましたねえ!はぁー焦ったぁ……」

(超能力……!)

イズミを引っ掴んで持っていったのを同じ、念動力。
カナエの機転が絶体絶命のディーバスを救った。
損傷を胴で抑えた芋虫は動かない箇所を自切し、コンパクトなフォルムでハイランダーに背を向けた。

「良かった、に、逃げよ!」

ニヤックを介して牽制の銃撃を加えながら、イズミは探索者達にひっついて撤退する。
このあたりの地理は頭に叩き込んでいる。どういうルートを辿れば身体の大きい無人兵器を足止めできるかもだ。
カナエと二人の面制圧射撃の甲斐あって、ほどなくして公園跡地に出た。
それまでの執拗な追跡が打って変わったように、ハイランダーが足を止める。
やがて姿を消した。あたりは水を打ったかの如く静かだ。

「……ま、撒いた……?」

諦めたのか。その公算は高い。
いかな無人兵器を言えども、不利な環境で四人を相手に立ち回る不利益を無視はすまい。
機械らしく、合理的に、損な戦闘を捨てて帰っていってもおかしくはない。

>「ま、不味いですよ!」

――それがあまりに甘い楽観視だということを、彼女は痛感することになる。
ディーバの絶望的な声が全てを物語っていた。
歪な形に成長した木立の間から、追跡者の無機質な眼光がのぞいていた。

>「この公園を利用しようと思ったのは、私達だけじゃなかったんだ!」

「かごのとりだぁ……」

ハイランダーはむやみな戦闘機動を停め、省エネな待機モードに入ったのだ。
何を待つか?それは当然、哀れな犠牲者四人に限界が訪れるのを、だ。
公園跡は確かに開けた空間だが、裏を返せばそれは公園の外は開けていないということ。
この公園を一歩でも出ればそこはハイランダーの領域。形を変えた袋小路だ。

なるほど確かに公園を出なければハイランダーに襲われることはあるまい。
しかし探索者達にその選択は不可能だ。彼らは帰らねばならない。
汚染毒の及ばないシェルターの中に――解毒薬の効果が切れる前に。
籠城戦において最も警戒すべきは兵糧攻め。生存に時間制限を設けられれば打って出ざるを得ないのだ。

>「……このまま待ち続けても、状況は好転しません」

おそらく状況を最も冷静に理解しているディーバスが切り出した。

>「このバリアでは、ハイランダーの攻撃を防ぎ切れません。
 割られてしまいます……が。まったく止められないという事も、ないはずです。
 これで身を守りながら、カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう」
0138イズミ ◆.PjwSk2J/.
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2017/04/04(火) 23:14:05.03ID:ziIwW2Il
その提案に保証はなかった。ハイランダーの攻撃性能はディーバスの防壁を上回っている。
ここから先もまた、誰が死んでもおかしくはない決死行。
手段は選ぶべくもない。

「賛成……。お腹すく前にどうにきゃしなきゃ、ね?」

意を決し、覚悟を決めて、四人は公園を突っ切った。同時、ハイランダーが飛び出してきた。
ディーバスのバリアが彼女を除いた三人を包む――無防備な彼女の頭部を狙って致死の刃が閃く。
すわ、頭蓋を貫通されるか。ヒートナイフの切っ先がディーバスの眉間を捉え、そこで止まった。
いかなる攻防があったのかイズミには判別できないが、水際で刃を食い止めたのだ。

>「……ほら。チャンス、です……よ……」

イズミ達を守るのを同じ色をした光の鎖がディーバスとハイランダーを繋ぐ。
ハイランダーの脅威の一つ、その縦横無尽の機動力がこれで封じられた。
同時にバリアが砕け散り、イズミとニヤックが転げ出た。

>「あぁ、そうだ」
>「もし駄目そうなら、私を置いて逃げて下さいね」

「おいてかないよ……いいひとだから」

別に芋虫に特別な恩義を感じているわけではない。
携行食糧を貰ったが、あれは彼女の弁を借りれば正当なる賠償だ。
その件についてイズミには一切の負い目はないと言い切れる。

ただ……ディーバスは探索者であるにも関わらず、スカベンジャーのイズミを庇ってくれた。
彼女達の成果を漁り、盗んで不当に糧を得る卑しい人種のイズミをだ。

恩があるわけではない。返すべき借りがあるわけでもない。
それでも、スカベンジャーを助ける探索者がいるのなら……その逆があっても良いはずだ。

「ニヤック、たすく!」

イズミの声、『指令』に呼応してニヤックが吠えた。
キャリーカブには自衛のための武装がある程度備わっている。
その一つが両肩からせり出た機関銃であり――その一つが、獣を模した無人兵器だけが持ち得るもの。
牙だ。

大口を開けたニヤックの両顎から鋭い牙が生えた。
重量貨物を牽く極めて高いトルク性能を嵌合力に変換した獣の近接武装。
荷馬から猛獣へと仮初の変化を果たしたニヤックがハイランダーに飛びかかる。
ディーバスと鎖によって繋がれた無人兵器は、体捌きによる死角の補完ができない。
どう振るっても剣の届かない角度が、今だけは存在する。

高精度のセンサーによってそれを割り出したニヤックが、ハイランダーの腕へと噛み付いた。
ヒートナイフを振るう腕を。迎撃するための手段を封じる。

追撃の担い手の名を呼ぼうとして、イズミは一瞬だけ考えた。
そういえば、彼は発音にこだわりを持っていた。無視して好きなように呼ぶのは良くない。
ただ、どう呼べば良いのかわからなかったので、イズミは自分に発することのできる一番明るい声音を選択した。

「アルクス♪さん!」


【ハイランダーの腕に噛み付いてヒートナイフの無力化を狙う】
0139ARL-X100 ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/11(火) 06:43:38.39ID:KZ8Wt2BK
【メタル・ブレイク・ドライバー(T)】

「わかったよ……いや、本当は自分でも何となく解ってたんだ。
 俺は"そういう風に"扱われる用途で造られてるってことが」

《非常に好ましい態度です、ARL-X100。
 "何をするのか"を貴方が知る必要は全くありません、ですが――
 ――"どのようにするのか"であれば……それは、貴方の"右腕"が知っています。装着を》

ジャケットの右袖を捲り上げると、材質不明のプレートが前腕部と一体化していた。
ハードポイントだ。"砲身"が固定された感触で、骨格まで"いじられている"事もわかった。
"砲門"は手首の動きを阻害しない位置だが、新たな五肢目が生えた様な奇妙な一体感に空腹を覚える。

「―――痛っ!! ……こいつ、動くぞ!」

突然、右腕から全身を襲った衝撃によって謎の――消耗感を伴う様な――空腹は上書きされた。
砲身に格納されていた鋼の円筒が回転と共に撃ち出され、砲門の位置でロックされたみたいだ。

「それで俺は、この出来損ないの杭打機……いや、杭撃機か?
 こんなモノを押し付けられて、どうコメントすればいいんだ」

《そうですね……『すごーい! かっこいいー! (棒読み)』などが推奨される一例です》

「お前は楽しそうでいいよな。そして、人の心を逆撫でするのが得意な支援機なんだな?」

《MBDの優れた機能美を称賛する散文的な呼称表現を模索するのでしたら、
 シリンダーを伸長させたアクティヴ時が"目一杯に出したノック式消しゴム"ですね。
 格納したスタンバイ時は"スティック胡瓜を差し込んだ竹輪"などと呼び親しむと良いでしょう。
 正式名称を教えたところで、貴方が24バイト以上の文字列を固有名詞として記憶できるとも思えません》

「"MBD"か……物覚えの悪さには自信あるけど、今日という日だけは死ぬまで忘れられない気がしてる」

《今この時から、"今日"も、"明日"も、貴方にとっては等しく意味の無い概念になります。
 今後は特定の動作を反復するだけの存在になるのですから。ですが、その代わりに――》

「その代わりに何があるんだ。退役後はプール付きの別荘でもくれるのか」

《――向こう百年間、貴方は死ぬことを許されません》

「ああ―――"その代わりに"って言葉には、そういう用法もあったのか。
 今まで全然知らなかったけど、それは俺の頭が悪いからじゃないよな」

《これでも……私なりに激励してあげているのですよ?》

「本気で言ってるのか?」

《それを貴方が知る必要はありません》
0140ARL-X100 ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/11(火) 06:46:32.16ID:KZ8Wt2BK
【メタル・ブレイク・ドライバー(U)】

《これから供給される"サンプル"に対して、ポインターが打突・掘削位置をマークします。
 [□:打て][■:戻せ][○:回せ][●:回し戻せ]など、基本動作は七種です。簡単ですね。
 貴方は、これら"マーカー"の表示に従ってさえいれば任務を遂行できるのです》

MBDと同じ様にして、目の前の空間に"サンプル"とやらが現れた。

「そいつは、ご機嫌だな。それくらいなら本当に俺でもできそうだ」

形と色が異なった幾つかの図形が順番に投影される。
これは"サンプル"に対して光学的に照射されているのだろうか。
何らかの方法で俺の視界に干渉して、そう見せているだけなのかもしれない。

《先程の初回起動で行われた動作は、今後"◇"のマーカーで指示される"撃ち出せ"です。
 せっかくですから、[◇:撃ち出せ]の派生動作ツリーから順番に説明を進めて行きましょう》

【ベーシック・マニューバ[◇:撃ち出せ]の派生動作ツリー】

┣━[□:打て]━━【→[□:打て]の派生動作ツリー】
┣━[○:回せ]━━【→[○:回せ]の派生動作ツリー】
┣━[◎:超回せ]
┣━[△:突き込め]
┣━[■:戻せ]
┣━[●:回し戻せ]
┗━[▲:引き抜け]

《この他に [☆:超回し撃ち出せ]など、単一のマーカーによる複合指示もあります。そして……》

「待ってくれ、支援機。基本動作ってのは七つじゃなかったのか。
 それを何個も組み合わせたら一体、俺は何通り覚えなきゃいけないんだ。
 応用数学ってヤツか。まず一の塊が十個あつまると、十の塊が一個増えるから――…」

《貴方の駄犬並みの知性では理解不能でしたか。仕方がないので身体に覚えてもらいます。
 ちなみに、可愛く賢いワンちゃんと違い駄犬というモノは――――痛くなければ覚えません》
0141アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/11(火) 06:50:21.59ID:KZ8Wt2BK
【フェイス・オン・ボルト(T)】

「例の『合言葉』だな……わかってる。ええと、待ってくれ、すぐに思い出す。
 すぐに今……いや、その、後で……後で絶対に思い出すから信じてくれ」

『そう。それじゃよろしくね、ARL-X100さん』

どうやら初対面の第一印象では、信頼関係の構築に到らなかったらしい。
こ…この女の目……養豚場のブタでも見るかの様に冷たい目だ。残酷な目だ……。
"可哀想だけど合言葉を忘れるような探索者は長く生きられない運命でしょうね"って感じの。

『……イズミちゃんの案で行く!このまま距離を維持しながらあいつの頭を狙う!
 ディーバはバリアで射撃の隙をカバーして!
 ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときにあなたも突っ込んで!』

『了解しました。あなた達の髪の毛一本、焦がさせはしません』

「こっちも了解だ。その黒髪が今よりも短くなっちまったら、
 カナエさん、男か女かわからなくなっちまいそうだもんな」

俺は果てしなく律儀かつ従順な、たいへんよく訓練された元ライン工だったので、
カナエさんから示された単純な『条件付き作業指示』は深く脊髄に刻み込まれた。

『このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!』
『そっか、この先は公園……』

そこが決戦場だ。この陣形を"探索者クロス"と名付けよう。
防御力の高い芋虫機械が前衛、両脇をカナエさんと欠食児童が固める。
俺はカブの後ろに立つ。俺のポジションが一番安全だ。安心して祈祷に専念できる――

『ステルスまだ生きてるよ!位置分からなくなっちゃった』
『頭を下げて!』

――そう思っていた時期が、俺にもあった。探索者クロスが仇になった形だ。
ヒートナイフの横薙ぎが、反射的に90度のオジギをした俺の後ろ髪を掠めて寝癖を均す。
ビルの壁面越しからの無慈悲なアンブッシュ……これは、たぶんハイランダーさんのインストラクションだ。

「"ハイランダー"……!! 髪を短く刈り上げられるのは、俺の方だってのか? 冗談じゃない」

生き馬の目を抜くポストアポカリプス・エイジに於いて、シツレイな企業戦士は生き残れないという戒めか。
第一、これでまた腹筋の頭数を増やされでもしたら、俺の稼ぎでは養いきれなくなってしまう。
狩人が追撃モーションに入った。脚が止まったパーティの盾から落とすつもりだ。

『芋虫さんっ!』
「芋虫機械っ!」
0142アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/11(火) 06:53:18.81ID:KZ8Wt2BK
【フェイス・オン・ボルト(U)】

不意に、無数の赤い何かがハイランダーのセンサーを出し抜いて装甲にブチ当たり、体勢を崩させた。
これも援護射撃の一環ってヤツか。俺は何となく時限爆弾か発信機の類なのかと思っていたが、
周りの反応からすると、カナエさんは文字通りの"布石"を仕込んでいたというコトらしい。

『あぁーカナエ!カナエ!今の最高です!私が助けられちゃいましたねえ!はぁー焦ったぁ……』
『良かった、に、逃げよ!』

「今の赤いのは、念動力ってヤツなのか……いわゆるアレの別名だな? 何だっけ、アレだ。
 いや、ひょっとすると全部が赤いとは限らないかもしれないけど、
 あの、そうだ、"何とかキネンシス"……!」

――――廃墟の公園に集う探索者達が、
今日も戦士のような悲壮な表情で、
汚染樹木をくぐり抜けていく。

『ま、不味いですよ!』
『かごのとりだぁ……』

明日も知れない心身を包むのは、深い色の濃霧。
焦りで呼吸を乱さないように、作戦方針は翻さないように。
ゆっくりと籠城していたら、解毒薬の効果が切れるのがここでのたしなみ。

『…――カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう』
『賛成……。お腹すく前にどうにきゃしなきゃ、ね?』

「俺は、反対だ。情けないけどさ……脚が、竦んじまってるんだ。
 笑えよ……率直に言って、俺は奴が怖い。ここは暗くて、寒い」

カナエさんは、そりゃ冷静で強くて美しいけどさ。
芋虫機械は、なんだか随分と体が短くなっちまってる。
欠食児童は、こんな状況でも飯の事しか考えてない。それに……

……奴のセンサーは健在だ。

あの視線が今も俺達を睨んでいると思うと、顔を上げる事ができない。
薄闇の中、その不可視の恐怖は気配すら掴めない。
後ろの正面は―――誰だ?

「だけど、一人だけ置いて行かれるのは、もっと怖い。
 カナエさん、芋虫機械、欠食児童……まだ会ったばかりだけど、
 三人とも良いやつだってわかったからな。だから俺は、みんなを信じる――――」
0143アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/11(火) 06:55:26.37ID:KZ8Wt2BK
【フェイス・オン・ボルト(V)】

――――信じた結果が、御覧の有様だった。

[いもむしのはか][光明院練穀守護大姉]などの不吉なワードが全俺のタイムラインを席捲する。
良く見たら、ヒートナイフ脳天白刃取りだ。物腰は柔らかいが、意外と頭の固い奴だったらしい。

『……ほら。チャンス、です……よ……』

「守護大姉……じゃなかった、芋虫機械! お前、俺を激励してる場合なのかっ!?
 そんな風に頭をブチ抜かれて動けない状況をピンチって言うんだよ、人間は!!」

『ええと……やっぱりアルクスさんは、嫌なんでしたっけ。
 じゃあ……頼れるアルクスさん……なんて、どうです?』

"ああ―――悪くない呼び名だ"

なんて、この場面で答えられるような奴は、まともな人間じゃない。
根拠も無く自信過剰な博打屋か、世界と心中する覚悟の壊し屋だ。

「違う……違うんだ。そうじゃない。自分でも嫌になるほど、俺には何も無いだけだ。
 カナエさんみたいな超能力も無い。芋虫機械みたいな超兵器も無い。
 欠食児童みたいな超愛嬌のある支援機も無い」

『なって下さいよ、頼れるアルクスさんに』

「やめろ……やめてくれ、そういうのは……! 俺は頼れるアルクスさんなんかじゃ、ない」

『もし駄目そうなら、私を置いて逃げて下さいね』

『おいてかないよ……いいひとだから』

「仲間を置いて逃げる……? 確かに格好良いやり方じゃない。それが正しいなんて思わない。
 けどさ、俺達は世界にたった一人のヒーローなんかじゃないんだ。
 こいつに全員やられちまうかもしれないんだぞ」

もしかして、俺が状況を理解してないだけで、三人には何か勝算が見えているのか?
だとしても、俺はみんなとは違う。まだ何も見つけちゃいない。
"俺だけは"死なない……死ねないんだ。

『ニヤック、たすく!』

芋虫機械と連結された狩人に向かって、欠食児童がカブをけしかける。逃げるなら今しかない。
だったら俺は、この中で一番に守られなければいけないものを持って逃げよう。
だから、俺は――――左手で少女の手を取って、狩人に背を向けた。

「……悪く思うなよ」

そう言って思考を放棄した次の瞬間、俺の身体は己の脊髄の赴くままに行動を完了させていた。
0144アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/11(火) 06:58:04.48ID:KZ8Wt2BK
【フェイス・オン・ボルト(W)】

エナジーソリディフィの輝きを逆光に受けた円筒のシルエット。
その先端がハイランダーに撃ち込まれ、ステルス装甲の表層を陥没させている。
何だかよくわからない絵面だった。自分で自分の行動の意味が理解出来ない。今、何が起こった?

『アルクス♪さん!』

「何だ……そんな可愛い声も出せるんじゃないか、欠食児童」

欠食児童の推定・支援機が、まさかのトランス・フォームと共にハイランダーの腕に喰らい付いた。
いや、その直前だ。ハイランダーが、芋虫機械の胴体をさらに短くするために、地を蹴った。
ああ―――流石、俺の脊髄反射はモノが違う。"それ"は、つまり、"そういうこと"だ。

「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」

狩人と守護者を繋いだ光の鎖と鋭角に交差する様に、俺は右腕を突き出していた。
左手で欠食児童の身体を引き寄せた反動を利用して、180度のターンを決めていたらしい。
結果的に、反時計回りの遠心力が右腕へとフルに伝達された先で、さらにMBDが鋼柱を撃ち出した。

「これまで巧妙に隠し通して来たんだが、実を言うと俺は頭が悪いんだ。
 "先読み"だとか"連携"だとか、そんな高度な戦術なんて、さっぱりわからない。
 だけど『指示』だけなら、とっくに了解してたんだぜ……たった一つの、シンプルな『指示』だ」

アクティヴ・モードのシリンダーが、獣の咆哮の如き駆動音を唸らせて無限の輪転を開始する。
メタル・ブレイク・ドライバーとアルクス=ハンドレッドの"機能"は、ひどく限定的だった。
対象がどんな材質でも、打ち、回し、穿ち、突き込み、削り抜き、撃ち貫くのみだ。

「だから、お前が『突っ込んできたとき』……俺は、こうする。何も考えずに、こうする」

――――廻せ。

「ああ……さっきは否定したが『やっぱり』だったな」

廻せ、廻せ、廻せ!

「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」

廻せ廻せ廻せ廻せ廻せ廻せ廻せ……!!

耳障りな破砕音を響かせ、目障りな火花を撒き散らして、ステルス装甲の掘削作業が加速する。
全てが静止した闇の中で、鋼柱の深度だけが唯一の可変パラメータになった頃。
ソレは、やがて標的の深部に到達し、狩人の心臓部を穿ち貫いた。
0145アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/11(火) 07:01:07.95ID:KZ8Wt2BK
【フェイス・オン・ボルト(X)】

稲妻と爆発―――ボスキャラ特有の断末魔を上げて、ハイランダー第一形態が撃沈する。
吹き抜けた爆風は、"安全第一"の四文字がバックプリントされた作業用ジャケットを翻しながら、
元・狩人の残骸とも芋虫機械の構成部材とも判別できないジャンク・パーツを地面に転がし散らせた。

「随分と待たせちまって済まなかったが、確か『ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときに
 あなたも硬くて長くて太くて逞しい鋼柱をあいつに突っ込んで!』って指示だったな、任務完了だ」

一呼吸の残心の後、振り抜く様にして回し戻したMBDから、マシン・オイルとは違う液体が滴り落ちる。
爆炎と飛散した装甲片を零距離で受けた右腕は、煤に塗れ、灼け爛れて、放送コードに抵触していた。

「だけど、何てこった。一張羅のジャケットがダメになっちまった。裁縫は苦手だってのに」

腕捲りしていた右袖が肩口まで千切れ飛んで、今は山籠りの修行帰りの様なノースリーブだ。
上腕二頭筋と三頭筋も両方合わせて七頭筋くらいに引き裂かれたが、長い修行の甲斐はあった。
チェーン・デスマッチのフィニッシュ・ブローは、捨て身のクロス・カウンターと相場が決まっているからだ。

「そして……やれやれだ。こっちも何とか思い出せたよ、カナエさん」

ようやく俺は、熱を帯びて拉げた鉄屑を左手で拾い上げ、指で弾いて放りやる――――『鋼のナット』だ。
0146カナエ ◆Iy3V1LX0xM
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2017/04/11(火) 20:59:57.42ID:sVGeJhQO
公園へ辿り着く直前、カナエはハイランダーが急に距離を取り、あっさりと退くのを見た。
こちらを誘うための行動と思い、カナエは気にすることなく公園へと向かうよう指示を出す。

そして、ディーバが気づいてしまった。

>「ま、不味いですよ!」
>「この公園を利用しようと思ったのは、私達だけじゃなかったんだ!」

ハイランダーが退いたのは公園へ行かせないための行動ではなく、むしろ公園へ行かせるための行動。
公園は確かに開けた場所だが、四方は汚染植物で囲まれ、視界は霧によって常に閉ざされている。

ハイランダーからしてみれば、焦った獲物が疲労の末に公園から飛び出してきた瞬間を待てばそれで終わりだ。
わざわざ不利な戦場に自ら突っ込むこともない。無人兵器の中でも上位学習AIと呼ばれる
高度な演算力を持ったハイランダーならば当然の判断だ。

(しまった……!前に追い込んだときはグレネードランチャーがあったから!)

カナエは以前ハイランダーと交戦したことはあった。だがその時は10人で構成された、
完全にハイランダーを排除するのが目的のチームの一員としてだ。
もしカナエがハイランダーが隠れる障害物ごと吹き飛ばすグレネードランチャーを持ってきていれば、
上手く追い立てることができたかもしれない。

>「……このまま待ち続けても、状況は好転しません」

>「このバリアでは、ハイランダーの攻撃を防ぎ切れません。
 割られてしまいます……が。まったく止められないという事も、ないはずです。
 これで身を守りながら、カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう」

>「賛成……。お腹すく前にどうにきゃしなきゃ、ね?」

「……ごめん、ディーバ。今回は…いやいつも、あなたには頼りっぱなしだね」

>「俺は、反対だ。情けないけどさ……脚が、竦んじまってるんだ。
 笑えよ……率直に言って、俺は奴が怖い。ここは暗くて、寒い」

>「だけど、一人だけ置いて行かれるのは、もっと怖い。
 カナエさん、芋虫機械、欠食児童……まだ会ったばかりだけど、
 三人とも良いやつだってわかったからな。だから俺は、みんなを信じる――――」

「私以外の人に変なあだ名をつけるのはやめてほしいんだけど――」

小口径アサルトライフルの弾倉を入れ替え、周囲を警戒しつつ四人で前進する。
だが、狩りのプロたるハイランダーの潜伏が、急ごしらえのチームワークに見つけられるはずもない。
汚染植物に紛れるように隠れていたハイランダーが音もなく飛び出し、真っ赤に閃いたヒートナイフがディーバの頭脳ユニットめがけて振り下ろされる。
全ての行動がカナエが瞬きする間に行われ、だが行動は最後で止まった。
「指定位置までのヒートナイフ到達」その最後の行動だけが達成できず、ハイランダーはぴたりと止まっている。

>「……ほら。チャンス、です……よ……」

そこからどう動いたのか、カナエはよく覚えていない。
0147カナエ ◆Iy3V1LX0xM
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2017/04/11(火) 21:00:45.94ID:sVGeJhQO
>「ニヤック、たすく!」

>「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」

ただ、他の二人が叫び、行動し、それに合わせたのは覚えている。
エナジーソリディフィによって構成された光の鎖がハイランダーの胴体を絡め取り、
イズミの無人兵器が牙を剥いてハイランダーの腕に飛びかかる。

ハイランダーはその二つの抵抗を受けても、なおディーバを破壊するべく突撃してくる。
その突撃ごとハイランダーを叩き潰すべく、カナエは動いた。ジャケットの腰ぐらいの高さにあるボタン付きポケット、めったなことでは開かないポケットだ。
開いたポケットに手を突っ込み、取り出したのは二つの鈍く黒光る金属片。
かつての文明の残滓、超圧縮合金の欠片だ。現在では最も硬く、かつ重い。これをカナエの念動力で振るえば、断てない物質はないが
現在では極めて価値が高く、戦利品の中ではかなり上等な部類に入る。

その欠片を振るうべく精神を集中し、ハイランダーへ向けて手のひらから射出した瞬間、横を通り過ぎる者に気がついた。アルクスだ。

>「これまで巧妙に隠し通して来たんだが、実を言うと俺は頭が悪いんだ。
 "先読み"だとか"連携"だとか、そんな高度な戦術なんて、さっぱりわからない。
 だけど『指示』だけなら、とっくに了解してたんだぜ……たった一つの、シンプルな『指示』だ」

アルクスの突き出した右腕から放たれるそれは、かつての作業道具。
あらゆる物質を砕き貫く、鉄柱だ。

「ARL-X100……いや、アルクス!」

射出した金属片の弾道を変更。カナエがかつてシェルターのデータベースで見た記憶が間違っていなければ、アルクスの右手は
現在確認されているあらゆる自動兵器の装甲をぶち抜けるだろう。
0148カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/04/11(火) 21:01:01.16ID:sVGeJhQO
「物を貫くときはそいつを固定するもんだよ!」

ハイランダーもその脅威をようやく認識したのか、突撃をやめてステップで避けようと足を踏み込んだ瞬間。
カナエが撃ち出した二つの金属片がハイランダーの脚部の内、接地面の部分を正確に貫き、切り裂く。
地面に脚部を縫い止められ、光の鎖で胴体を固定され、アルクスの右手が心臓を穿つ準備は整った。

>「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」

ハイランダーの動力源たる高密度バッテリーが鉄柱に抉られ、痙攣したように激しくハイランダーが動く。
やがて動きを止めたハイランダーは閃光と共に爆発し、後に残るのは右手を突き出し、踏み込んだアルクスただ一人だ。

>「随分と待たせちまって済まなかったが、確か『ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときに
 あなたも硬くて長くて太くて逞しい鋼柱をあいつに突っ込んで!』って指示だったな、任務完了だ」

「……プロフィールの武装欄には何も書いてなかったんだけど、センターはどういうスキャンをしたのかな?
 まったく、そういうのがあるなら最初から突っ込ませればよかったかもね」

手元に戻った超圧縮合金の欠片を眺めながら、カナエがぼやく。
汚染区域で最初に見つけたときは10個もポケットに入っていたのに、今や1個だ。
爆発と同時に手元に戻したつもりが、少々タイミングが遅れて片方はどこかに行ってしまった。

>「そして……やれやれだ。こっちも何とか思い出せたよ、カナエさん」

「合言葉ついでの戦利品なんて初めてだよ、だけど……本当にあなた、慣れてないんだね」

ハイランダーは爆発したとはいえ、フレームの残骸やまだ使える部品は残っている。
鉄くず一つですらハイランダーに使われる特殊合金特有の性質を持ち、シェルターに持っていけばそれなりの値段で買い取ってもらえる。
それを合言葉代わりに渡すということ自体、探索の価値を知らぬ者か、ただの阿呆だ。

「でも、指示を守ってくれてありがとう。ジャケットの補修と右腕の治療代、私が出すよ」

だが……その知らぬ者だったからこそ、勇気を振り絞れたのかもしれない。
そうカナエは考え、まずはやるべきことをやることにした。

「さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!」

爆風が消えても、霧は色濃く残る。
まずは負傷の応急処置と、ハイランダーの残骸漁りだ。

【みなさんありがとうございました!とりあえずは撃破で終わりとさせていただきます。
 後はエピローグを一巡させて〆です!】
0149DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/04/13(木) 03:22:51.64ID:6gegzLeb
>「仲間を置いて逃げる……? 確かに格好良いやり方じゃない。それが正しいなんて思わない。

「ふ、ふふ……いいんですよ。だけど、あなたには何も無いなんて事はない。
 あなたは生きている。明日を望んでいる。それだけで、尊いんです。
 私がこの存在を、懸けてもいいと思えるほどに」

>「……悪く思うなよ」

「えぇ、お気をつけて。カナエ……どうか彼を恨ま」

直後、ディーバスの真横を何かが通り抜けた。

閃光と呼ぶにはあまりに無骨で。
暴風と呼ぶにはあまりに洗練されていて。
掘削機と呼ぶにはあまりに、頼り甲斐のある何かが。
例えようのない唯一無二が、刺さっていた。

「ない」

アルクスの突き出した右腕のその先で……メタル・ブレイク・ドライバーが、ハイランダーの胸部に突き刺さっていた。

「で……え?」

何が起きたのか、ディーバスには一瞬理解が出来なかった。

>「アルクス♪さん!」
>「何だ……そんな可愛い声も出せるんじゃないか、欠食児童」

イズミの鈴の音のような声が聞こえ、過熱された頭脳が少しずつ状況を理解する。

>「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」

「は、はは……なんだ、『やっぱり』じゃないですか」

>「ああ……さっきは否定したが『やっぱり』だったな」
 「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」

「えぇ、そしてあなたは『やっぱり頼れるアルクスさん』だった」

そして響き渡る、機械の咆哮。強烈な回転音。地響きのような破砕音。
だがそれらは決して……耳障りではなかった。少なくともディーバスにとっては。
やがて、鋼柱が一際大きな咀嚼音を奏でた。
高密度バッテリーが破壊された音……そして弾ける稲妻と爆炎。
一瞬、ディーバスはぎょっとするが……それらを間近で浴びても、アルクスはなお立っていた。

>「さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!」

「あ……カ、カナ……エ……」

問いに答えようとするディーバスの声は、途切れ途切れだった。
……だがそれも、カナエが自分を案じて駆け寄ってくるまでだ。
カナエが近寄ってきた瞬間、ディーバスは跳ねるように動いて、彼女に飛びかかる。

【 ̄Д ̄】
「カーナーエー、あなたが昔、私の切断された足を抱えて泣きついてきた時の話。
 この子とアルクスさんに聞かせてあげましょうか?まったく、こんな生意気になっちゃって、もう」

そして抱き締め、頬ずりをしながら、愛情を込めた意地悪を言う。
情熱的なコミュニケーションに満足すると、今度はアルクスへと駆け寄り、同じように抱きしめ、頬ずりを食らわせる。
拒否権はない。抵抗の度合いによってはチェーン・デスマッチの第二マッチが始まる。
0150DVAS ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/04/13(木) 03:23:44.29ID:6gegzLeb
【*´∀`*】
「やっぱり頼れるアルクスさん!いやーあなたのお陰で助かりました!
 いつもは帰る頃にはこの半分くらいになってますからね、私の胴体!
 あ、腕、大丈夫ですか?応急処置くらいなら出来ますよ、私」

なお処置を依頼した場合、施されるのはディーバスの吐き出す糸による止血である。
さておきアルクスにも熱烈なコミュニケーションを押し付けると……ディーバスはイズミへと振り返る。

「……イズミちゃん」

だが、抱き着きはしない。頬ずりもしない。

「もし、良ければ私の研究所に来ませんか?」

ただ目線を合わせて、そう問いかけた。

「一緒に暮らしませんか?あなたが望むなら正規の探索者になる事も……ならない事も出来る。
 そのCC-86をどう手懐けているのか、すごく興味があります。
 方法次第では……私の助手という立場をあげられる。とても長い、平和な時間をあなたにあげられる」

ちなみに……彼女が申し出を受け入れようと、断ろうと、最終的に待っているのは巨大芋虫の頬ずりだ。
受け入れてくれたのなら歓迎の、断ったのなら別れを惜しむ、どちらにせよ強烈な頬ずりが待っている。
巨大芋虫からは、逃げられない。

そう、逃げられないのだ。
断ったところで、手を変え品を変え、これからもディーバスはイズミに関わろうとするだろう。
彼女にとってイズミは、スカベンジャーである以前に……著しく栄養不足な、守るべき少女でしかないのだ。

カナエとは腐れ縁だし、これからはアルクスとも何かにつけてコミュニケーション(頬ずり)を取ろうとするはずだ。
彼の頭の悪さはとても危なっかしい。
理解していれば頼れる味方になるが……理解されなかったら、容易く死んでしまうのではと予感させる。

なんとも守り甲斐のある知り合いが二人も増えた。
きっとこれから仲良く出来るし、毎日が少し楽しくなる。

そう思うとディーバスは……ホログラムを介さない微笑みを浮かべていた。



「……ところで、アルクスさん。
 あなたって、もし『右を振り向きながら左へ振り向け』って指示されたらどうなるんです?
 ……あ、待って!待って!今のはただの質問ですからね!?」

【お疲れ様でしたー!楽しかったー!次の予定とかあるんです?】
0151イズミ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/04/17(月) 23:19:33.52ID:YPdzExFM
>「……悪く思うなよ」

ニヤックの牙がハイランダーの肩に齧りついた瞬間、イズミの手を誰かが取った。
アルクスだ。彼はイズミの手を掴み、敵に背を向けていた。

「ど、どこいくの」

問いに回答を待つまでもない。
探索者アルクス、ここへ来てまさかの敵前逃亡――!
理解が追いつかずにたたらを踏む。この期に及んでどこへ逃げると言うのか。
何を考えてる?逃げ場はあるのか?ここで逃げたら、ディーバスやカナエはどうなる?
ゴーグルの奥で青の双眸が白黒する。

>「何だ……そんな可愛い声も出せるんじゃないか、欠食児童」

果たせるかな、アルクスの選んだ動きは逃げの一手ではなかった。
アルクスのごつごつとした手がイズミをぐいと引っ張り、彼と彼女はその場で無意味に輪舞する。
支点と反作用の織りなす力学の悪戯がイズミを反時計回りに半回転させ、同様にアルクスもまた反転。
互いの位置は入れ替わり――余録として遠心力を得たアルクスがハイランダーと激突する。

>「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」

片腕でイズミの手を取り、もう片方の腕は、そこに装着された武装をハイランダーに密着させていた。

>「だから、お前が『突っ込んできたとき』……俺は、こうする。何も考えずに、こうする」

>「物を貫くときはそいつを固定するもんだよ!」

光の鎖に拘束され、肩にニヤックをぶら下げ、両足をカナエの飛ばした金属片に縫い止められて。
完全に身動きを封じられたハイランダーへ、アルクスの杭打機がめり込んでいく。

>「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」

始まったのは打撃でもなく砲撃でもなく――掘削だった。
慈悲を持たない無人兵器すら金属疲労の悲鳴を挙げる無慈悲な工具の咆哮が木霊する。
血飛沫にも似た火花が虚空を染め上げ、高速回転するピンバイスがハイランダーの装甲を食い破る。

「……すごい」

ハイランダーの装甲はステルスに特化しているとは言え、戦場で砲火を交えることを前提とした造りだ。
他の小型無人兵器のそれとは比べるべくもない頑丈さを持つ。
RPGの直撃ですら二三発は余裕で耐えるその鉄壁を、アルクスの工具は削り貫いていた。
鋼鉄の断末魔が轟く。やがて殺戮機械の心臓部に鋼杭が到達する。
ハイランダーはシグナルの異常にアクチュエーターを痙攣させながら、爆発四散した。

「ひっ……!」

公園全体を揺るがす爆音にイズミは尻もちを着いた。
砕かれた機械部品が雨霰のようにひび割れたアスファルトを滑っていく。
鋼杭を引き抜いたアルクスがズタズタの腕から血糊を払った。
0152イズミ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/04/17(月) 23:19:56.95ID:YPdzExFM
>「随分と待たせちまって済まなかったが、確か『ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときに
 あなたも硬くて長くて太くて逞しい鋼柱をあいつに突っ込んで!』って指示だったな、任務完了だ」

カナエの指示はもっとシンプルだったような気がするが、そこは探索者同士の暗黙コンセンサスという奴だろう。
イズミは正規の探索者ではないので何言ってるか全然まったくわからないが、多分そういうことだ。

「か、勝ったの……?」

重装備の探索者が十人がかりでようやく倒せる戦闘型無人兵器、ハイランダー。
不可視の死神のシルエットが、ひしゃげ、砕けてイズミ達の前に沈んでいた。
命なき機械の終焉に音はなく、広場は静寂に満ちていた。

念動力を駆使する探索者、カナエ。
光を凝固させ矛と楯とする機械生命体、ディーバス。
そして、武器と言うには余りに無骨で大雑把で、故に強力な戦闘工具を備えたアルクス。
そこにスカベンジャーのイズミを加えた四人、たったの四人で、ハイランダーを破壊し果せたのだ。

「勝てたんだ……」

今更になって膝に震えが来て、イズミはしばらく立ち上がることができなかった。
そこへ行くと正規探索者の三人は大したもので、命懸けの戦闘を終えたばかりだというのに小粋なやり取りなどしている。

>「さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!」

「わ、わたしは大丈夫。アルクス☆さんが守ってくれたから」

爆風とともに炎がアスファルトを焦がしていたが、イズミがその余波を被ることはなかった。
爆心源とイズミとの間にはアルクスがいて、彼が遮蔽物となってくれたのだ。
その代償は彼の右腕に血の印として深く刻まれている。

「……ありがと、アルクスさん。お礼は言うことしか出来ないけど」

イズミはようやく力の入る足でふらふらと立ち上がって、ゴーグル越しに眼を伏せた。
とりあえず手足は生身のまま帰れそうだ。

>「……イズミちゃん」

アルクスの腕に応急処置を施していたディーバスがこちらに振り向いた。
カナエやアルクスに抱きつく芋虫の過剰なボディランゲージを見ていたイズミは警戒して一歩下がる。
だがディーバスは、他の二人にそうしたように問答無用で飛びついては来なかった。

>「もし、良ければ私の研究所に来ませんか?」

「へぇっ……?」

芋虫の神妙な提案に、声が上擦ってしまった。
機械生命体の運営する研究所に改造人間を招く。
意味するところの剣呑さにイズミは身構えるが、どうやらディーバスの真意はもっとシンプルであるらしかった。
0153イズミ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/04/17(月) 23:20:22.78ID:YPdzExFM
>「一緒に暮らしませんか?あなたが望むなら正規の探索者になる事も……ならない事も出来る。
 そのCC-86をどう手懐けているのか、すごく興味があります。
 方法次第では……私の助手という立場をあげられる。とても長い、平和な時間をあなたにあげられる」

「ぁぅ……」

イズミの呻きは葛藤だった。
おそらく全ての同業者がそうであるように、彼女とて何も好き好んでスカベンジャーなどやっているわけではない。
正規のライセンスはスカベンジャーにとって喉から手が出るほどほしいものだ。
質の悪い不法製造の解毒剤を割高で買わなくても良くなるし、支援センターの施設やマッチングの援護も受けられる。
スクラップ漁りなどせずとも無人兵器のパーツに正規ルートで値段が尽くし、討伐報酬だって貰える。
遺伝子とIDが紐付けされていなかったら、全財産で買ってでもライセンスを得たいというスカベンジャーは後を絶たない。

ディーバスの後見があれば、おそらく正規ライセンスの取得は可能だろう。
幸いイズミの遺伝子は汚染されていないし、公式な犯罪歴もない。あとは生まれの書類を多少弄れば潔白の身分の完成だ。
改造人間としての仕様の提出は必要だろうが、そんなものはいくらでも誤魔化しが効く。

イズミはディーバスの元へ踏み出そうとして、しかし唇を噛んで俯いた。

「……嬉しいけど、ごめんなさい。わたし、一緒にはいけない。
 わたしとニヤックがどうやって友達になったか芋虫さんが知ったら、きっとわたしのこと、きらいになるよ」

震える唇に力を入れて無理矢理真一文字に結び、指を当てる。
静寂を貫くように鋭い指笛が木霊した。
公園傍の廃ビルの屋上から、人間大の影が一つ空を滑ってこちらへやってくる。
影はイズミとニヤックがそれぞれ背に括り付けている革のロープを鉤爪で掴んで再び空へと舞い上がった。

AF-121『アーリーフライ』。
猛禽類を模した偵察・ドローン迎撃用の小型無人兵器だ。
その鉤爪型ハードポイントにイズミとニヤックはぶら下がり、三人の仲間達の頭上にいた。

「だから……もう……かっ、かまわないで!いいひと達だから……これで、さよならしよ」

イズミはそれきり両耳に手を当てて塞ぎ、眼をぎゅっと瞑ってアーリーフライに身体を委ねた。
猛禽の尾羽根に大気反発式バーニアの燐光が閃き、次の瞬間には一人と二体の姿は消えていた。
後に残るのはわずかに大気を焦がす光の尾の余韻だけだった。

自宅へ戻り、納屋にニヤックとアーリーフライを隠したイズミは防疫シャワーを浴びる。
この辺りの汚染物質は水に溶けるので清潔な水であればシャワー程度でも大部分は洗い落とせる。
衣服は水洗いした後除染機に掛け、毛穴や肌の皺の隙間など水洗で落ちなかった汚染物質はイオナイザで電子分解する。

正規の探索者とは違い、シェルター外縁で生活する非市民階級者が多くを占めるスカベンジャー達は自身の除染に無頓着だ。
解毒剤を手に入れて飲みはするが、衣服や髪に付着した汚染物質をそのままにして家に戻る者は多い。
除染を徹底する経済的余裕がないのはもちろんだが、それら外部汚染についてはただちに影響が出難い為に危機感を招き辛いのだ。
そうして少しづつ蝕まれていき、あるいは外にでない家族や仲間にまで汚染が広がりコロニー一つが壊滅することもある。

二次汚染の防止はイズミがスカベンジャーとして生きる上で真っ先に叩き込まれた技術だった。
この生活を続けて3年になる彼女の遺伝子が未だに汚染されていないのはその教育の賜物である。
とはいえ、本格的な除染設備は一介のスカベンジャーが持ち得るものではない。彼女の両親の遺したものの一つだ。
0154イズミ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/04/17(月) 23:20:41.87ID:YPdzExFM
「はぁ……大赤字だぁ……」

除染を終え、古びたシーツにイズミは下着姿で頭からダイブした。
ディーバスの誘いから逃げるようにその場を辞した為に、ハイランダーの解体資材を持ち帰ることが出来なかった。
スクラップマーケットで買い叩かれたとしても、イズミの取り分はおそらく日給10日分にはなったはずだった。
最初にニヤックに積んでいた資材は持ち帰れたが、戦闘で消費した弾薬や燃料を差っ引けば完全に収支は赤字である。

ごろりと仰向けに転がって、鉛製の天井に映る自分の顔と目が合った。
ゴーグルを脱いだ裸眼は、青く無機質な輝きを放つ改造人間の両眼。
イズミをスカベンジャーに縛り付け、無人兵器を隷属させ使役する『虜の魔眼』。
この両眼がある限り、イズミは人の輪には入れない。反射の中に映る自分の姿が涙に歪んだ。

「うー!がー!」

悲しいというよりかは悔しくなって、イズミはベッドの上で両腕をジタバタした。
振り回した片手が何かに当たってカサリと音を立てた。
ディーバスが詫びの品として渡してきた携行食糧だ。
封を切って一部ニヤックに齧らせたが、大部分はまだ残っている。

……今日の儲けと言えるものは、これだけかもしれない。
イズミはそれを再び千切って、欠片を口に放り込んだ。
疲労していても食べやすいように甘く味付けされたクッキーが口の中で溶けて、小麦粉の優しい香りが広がっていく。
包み込むような甘さに思わず涙が引っ込み、顔がほころんだ。

「んふー」

カナエと共闘できて、心強かった。
アルクスに護られて、頼もしかった。
ディーバスに誘われて……嬉しかった。

あれが探索者の戦い。
あそこに満ちていた信頼が、探索者の絆なのだ。
イズミには望むことのできない、眩しい存在。

誰かと一緒に道を進むのは……こんなにも、楽しいのだ。

この世界は16才の少女にとってあまりに過酷で、孤独で、残酷だ。
だけど、辛くても怖くても、きっとイズミは平気だと言える。
いい続けるための力を、今日もらえた気がした。

その日、イズミはおそらくこの生活を初めて始めて、微笑んだまま眠りについた。


【エピローグです。すごく楽しかったです!
 カナエさん、ディーバスさん、アルクスさん、まずはお疲れ様でした!】
0157アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/04/24(月) 22:25:17.96ID:x4AuBFgk
【スピーク・ライク・ア・バード(T)】

『……プロフィールの武装欄には何も書いてなかったんだけど、センターはどういうスキャンをしたのかな?
 まったく、そういうのがあるなら最初から突っ込ませればよかったかもね』

「ああ、それなんだけどさ……センターには早い段階で自己申告してたんだ。
 提出したデータが反映されてないのは、無軌道な表現の自由を奔放に追求した結果らしい。
 具体的には、NGワードが検出されて弾かれちまった。同じ手法で戦利品の収支も誤魔化したいところだな」

『合言葉ついでの戦利品なんて初めてだよ、だけど……本当にあなた、慣れてないんだね』

「……慣れ過ぎてたんだよ、何も考えない道具として振る舞う事に。
 だけどカナエさんは、そんな俺を拾ってくれた。そいつは感謝の印ってわけだ。
 派手に獲物を解体(バラ)し過ぎて、パーティの実入りを減らしちまったのは悪かったけどさ」

『でも、指示を守ってくれてありがとう。ジャケットの補修と右腕の治療代、私が出すよ』

「そっちだってポケットの中身、随分と軽くなってるんじゃないのか。
 あの時、ハイランダーの脚が死んでたのって、カナエさんの仕業なんだろ?
 最期にフットワークを使った抵抗でもされてたら、おそらく右腕だけじゃ済まなかった」
0158アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/04/24(月) 22:26:59.27ID:x4AuBFgk
【スピーク・ライク・ア・バード(U)】

『さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!』

【 ̄Д ̄】
『カーナーエー、あなたが昔、私の切断された足を抱えて泣きついてきた時の話。
 この子とアルクスさんに聞かせてあげましょうか?まったく、こんな生意気になっちゃって、もう』

「―――聞かせてもらおうか。カナエさんの初々しくも恥ずかしい昔話とやらを」

『わ、わたしは大丈夫。アルクス☆さんが守ってくれたから』

「何だと……? そんなウザカワイイ声も出せるんじゃないか、イズミ。ついでに言うが、
 俺は『アルクス☆(超回し撃ち出せ)さん』でも『アルクス◇(撃ち出せ)さん』でもない」

『……ありがと、アルクスさん』

「いや、それはおかしい。もし今のが褒め言葉に聞こえたんだとしたら――」

『お礼は言うことしか出来ないけど』

「――すまない。妙な気を遣せわちまったな。
 だけど、そういう気の回し方は大人になってからでいいんだよ。
 子供は子供らしく素直に、そのささやかな胸を撫で下ろしてるくらいで構わないのさ。
 今後の発育状況によっては、年上の責務として、胸を撫で下ろす物理的な手伝いをしてやってもいい」

【*´∀`*】
『やっぱり頼れるアルクスさん!いやーあなたのお陰で助かりました!
 いつもは帰る頃にはこの半分くらいになってますからね、私の胴体!
 あ、腕、大丈夫ですか?応急処置くらいなら出来ますよ、私』

「"大丈夫"か"大丈夫じゃない"かの二択だったら……"致命傷"だな。
 カナエさんだけじゃなく、ディーバスにも借りが増えちまうけど――

 ――いや、待てよ?

『治療代はカナエさんが出す』
『応急処置はディーバスがやる』
『俺は二人に対して借りが生じる』

 そして、カナエさんとディーバスの財布は初めから裏で繋がっている……?
 ちくしょうっ! それがお前らのやり方かっ!? 道理で不自然に親切な訳だぜ!」
0159アルクス=ハンドレッド ◆u0tKBm6XaGtQ
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2017/04/24(月) 22:30:01.44ID:x4AuBFgk
【スピーク・ライク・ア・バード(V)】

『……イズミちゃん』

俺の右腕のミイラ化を無事に成功させて満足した芋虫機械が、次の標的を捕捉した。
大方、ルール無用の頬ずりデスマッチの新たな生贄にする心算だろうが……今回だけは見逃そう。
日照の著しく減衰した環境下で再生速度が落ちている現状では、外部からの止血が本当に有難かったからだ。

『もし、良ければ私の研究所に来ませんか?』
『へぇっ……?』

どうやら、ディーバス孤児院の方で欠食児童を引き取ろうと画策しているらしかった。
イズミとは対照的に、ある意味では、この場で最も人懐っこい奴だ。
そうであるが故の純粋な親切心で歩み寄り―――

『一緒に暮らしませんか?あなたが望むなら正規の探索者になる事も……ならない事も出来る。
 そのCC-86をどう手懐けているのか、すごく興味があります。
 方法次第では――』

―――そしておそらく、地雷を踏み抜いた。
反応から察するに、イズミの人見知りに絡んだ厄介な事情があるのかもしれない。
いや、小型とは言え自律兵器の使役などという奇術が成立している以上、相応の"仕掛け"が必ずあるはずだ。

『――もう……かっ、かまわないで!いいひと達だから……これで、さよならしよ』

「……ところで、ディーバス。
 お前もカナエさんも、わりと頭のいいひと達だって部分は認めざるを得ない……だけど、俺はどうだ?」

『……ところで、アルクスさん。
 あなたって、もし『右を振り向きながら左へ振り向け』って指示されたらどうなるんです?』

「そいつは、右も左もわからない様な探索者にする質問じゃないぜ。
 俺はカメレオンじゃないんだ、あちこち見えないのさ。
 それに―――見えなくったって、解るだろ」

イズミの召喚に応えて飛来した猛禽が、その鉤爪で主を掴み飛翔する。
呼び笛の音が鳴り響いてから、僅か数秒―――だが数秒聴ければ充分だった。
大翼を羽ばたかせ霧の空に舞い上がる輪郭を目指して、俺は全力で走り出していた。

『……あ、待って!待って!今のはただの質問ですからね!?』

「だったら、こっちからも質問だ……!
 ディーバス、地面と平行に"壁"を展開出来るか!?
 イズミとあのアホウドリに向かって3〜4枚、傾斜45度、1m間隔だ!
 面積は靴裏が乗りさえすればいい! カナエお姉様、"何とかキネンシス"で補助を頼む!!」


そして翼を持たない俺は――――少女の居る空へ向かって、光の階段を駆け上がった。




【シーン・エンドだ。この実験室が今後も回り続ける事を祈るぜ―――Good Luck.】
0160カナエ ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/04/26(水) 18:43:09.38ID:/iOupgHQ
カナエたちが小型無人兵器ハイランダーを撃破し、勝利に喜んだ瞬間と同じ時間、違う場所。
汚染区画E-5、かつては大規模ショッピングモールだったそこは、今や戦場となっていた。

「クソッタレ!弾がねえぞ!」

「また奴が消えた!左だ!」

吹き抜けの通路に居座る探索者たちは円陣を組み、一見すると死角がないように思える。
しかし周囲は彼らの友人だったものや一部が積み重なり、もはや地獄絵図だ。
そしてヒュン、という風切り音と共に、円陣を構成する一人の喉が裂けた。

「ダンがやられた!ただのハイランダーじゃねえのか!?」

「明らかに得物が違う!ナイフどころかショットガンにグレネード、EMPまで持ってやがるぞ!」

「通信が繋がらねえ!これじゃ警告もできねえぞ!」

彼らは怯えつつも各々の武器を構え警戒していたが、敵は一向に姿を現さない。
やがて数時間と感じるような長さの十数分が過ぎた後、探索者の一人が警戒を緩めた。
逃げたと判断し、構えていた大型ライフルの銃口を下げたのだ。

「――上だッ!!!」

その瞬間、敵は動いた。ショッピングモールの二階から、吹き抜けにワイヤーを通して滑らかに降下する。
大型ショットガンを構え、対爆発能力を備えた重装甲のハイランダー。
腕部と腰部にグレネードを装備し、完全光学迷彩を備えた軽装甲のハイランダー。
鞭のようにしなる大型ヒートナイフを振り回し、対弾を重視した装甲のハイランダー。

片手と片足で音もなくワイヤーで降下し、円陣を組む探索者たちに容赦なく攻撃を浴びせた。
かろうじて生き残ったのか、右手を吹き飛ばされた探索者がショッピングモールの出口へ必死に走ろうとするが、
どこからともなく風切り音が通路に響き、彼の喉へ小型のナイフのようなものが突き刺さる。
最後に現れたハイランダーは、全身が白く塗られ、両手がまるで人間のように滑らかに動き、芸術品のような美しさだった。
四機のハイランダーたちは探索者たちの死体を気にかけることもなく、太陽の光すら届かない深い霧の向こうへと消えていく。

カナエたちによるハイランダー撃破の報は、30人からなる大規模探索者グループ全滅という惨劇と共に街に届いた。
少人数によるハイランダー撃破は支援センターの歴史に残る偉業だったが、
大規模探索者グループが原因不明で全滅というのもまた支援センターの歴史に残った。

霧の向こうに潜むは宝か、名誉か、あるいは死か。
命知らずの探索者たちはわずかな武器と解毒剤を心の支えに何度でも、廃墟へと潜る。

【みなさん参加&レスありがとうございました!
 短編にも関わらず4人という人数で回せたのは協力あってこそです!
 もしよろしければ短編連作という形でスレを建てて、定期的にやりたいと思っています。
 
 それとアルクスさんは……カナエは戦闘で超能力をフル稼働したので疲れて使えません。
 なので惜しくも届かず、カナエたちと一緒に帰ったんでしょう、たぶん。】
0161創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/04/28(金) 13:42:03.98ID:Gsflkjdp
長い長い人類の歴史を遡っていくと、大きな転換点がいくつもあるよな
どの国にも、あるいは世界全体を巻き込むようなのが
実はその裏には常にとある存在が潜んでいたんだよ
この世のどの国の機密文書を覗いてもその名前が記されてる

『オーディエンス』と名乗るソイツは、歴史が大きく動く時代が分かるらしい
その時が近づくと自分が興味深いと思った人間に『力』を与える
そして力を与えた人間(ターナー)同士がどう関わり合い、どう歴史を変えるのかを見て楽しむんだ

その力はかつては魔法や忍術、道術と呼ばれていたもの
だけど、今の世に伝わる異能力みたいに多様で便利なものじゃない
人間の中の、『オーディエンス』が興味深いと思った一つの要素を現実に顕現させるだけ
例えばデカい男になりたい!と思っていればまさしくその通りになるし
何かに強い熱意を持っているなら、炎を生み出す能力になる

その融通のきかなさと、力を与えられる事に拒否権がなく、否応なしに戦いを強いられる事から
ターナー達の間では力の事を『呪い』と呼んでいる



名付けて【カースド・ターナーズTRPG】!
みたいなのをやりたいなと思うのですがどなたか参加しませんか
ジャンルは第二次世界大戦を舞台にした、異能者による架空戦記になります

私を含めて三人以上集まればやりたいなと思います
0162 ◆9DgEPn2wGg
垢版 |
2017/04/28(金) 18:45:35.53ID:6Sy6uBOh
そんじゃとりあえず参加表明
時期的には第二次世界大戦のどのあたりなんです?初期中期末期
あとプレイヤーの陣営というか所属は好きにしていいの?
0163 ◆Ed1J4Uo6kwIl
垢版 |
2017/04/28(金) 20:04:12.94ID:Gsflkjdp
わーいありがとうございます
時期は……初期、かな?
日本の参戦が1941年だからそこを想定してます

所属は、国は日独伊を推奨しますが
陸軍だろうが海軍だろうが民間人だろうが構いません
「WW2の結末を変える」事をストーリー上の目的にするつもりなので
それに矛盾しなければ別にアメリカ人でもOKです

ど忘れしてたんですが、テンプレは↓こちらです

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
容姿と体格:
性格:
能力:(そのキャラクターの内面を象徴するようなものでお願いします
    デカい男になりたい!と思っているなら、体の巨大化。
    何かに強い熱意を持っているなら、炎にまつわる能力、といった感じです)
簡単なキャラ解説:



テンプレ例はこんな感じで
名前:東郷大太
年齢:18
性別:男
身長:192cm
体重:110kg
容姿と体格:角刈り、眉が太い、おめめぱっちり、唇が分厚い、顔が四角い、日本人離れしてデカい
性格:単純だけど馬鹿でもない
能力:体の巨大化。巨大化は体の一部分のみでも可能
    巨大化する事で耐久力や筋力を大幅に増強出来るが、体力の消耗も激しくなる
    【やろうと思えば戦車をぺちゃんこにしたり、
    爆撃の為に降下してきた飛行機くらいなら飛びついてへし折れる】

簡単なキャラ解説:
子供の頃からデカい男になれよ!と言って聞かされ育てられ、その通りに育った男
数年前までは体のデカさばかりを自慢していたが
ある日学校の授業で小村寿太郎の名とその功績を耳にし、図体の大きさだけが「デカさ」じゃないと気づく
それ以降、心身共にデカい男になろうと文武に励んでいたところ
『オーディエンス』に目を付けられ、力を与えられる事になる
0164山本三十五 ◆YyoUezf27o
垢版 |
2017/05/01(月) 08:43:12.87ID:3pXo/iQH
名前:山本三十五
年齢:35
性別:男
身長:187cm
体重:104kg
容姿と体格:ゴツゴツした筋肉の塊のような肉体、生き生きとした表情
性格:上には媚びるが下には厳しい
能力:
@海軍乙事件
「海軍乙!」と言うと海軍のあらゆる兵器が具現化し、敵に向かって颯爽と突っ込んでいく…

A山本賞
「山本三十五賞」という勲章を持っており、これを味方につけることで味方を大幅パワーアップ
対象は米軍でもよい

Bステーキもう一枚
「ステーキもう一枚」と言う度に巨大な和牛ステーキを食い、体力を全回復するとともに能力を上げる

簡単なキャラ解説:
海軍で戦うために産まれきた男。
体が並外れて大きく、いつも国を愛し、上には媚び、下には根性注入棒を振るってきつくあたる。
あらゆる兵器に乗ることができ、操縦しては国のために戦う。
『オーディエンス』に目を付けられ、力を与えられる事になる。


よろしく!
0165 ◆Ed1J4Uo6kwIl
垢版 |
2017/05/01(月) 11:54:21.38ID:eOkcyB/y
一緒に遊んでも面白くなさそうなので却下です
0168保志乃 ◆9DgEPn2wGg
垢版 |
2017/05/01(月) 23:38:50.81ID:Ad5vECR2
名前:保志乃天山(ほしの てんざん)
年齢:22
性別:男
身長:172
体重:55
容姿と体格:硬質な印象を持つ目鼻立ちに角刈り、当時の日本人としては大柄、飛行服とマフラーを着用
性格:ロマンチストで不器用
能力:空を飛べる能力。最大時速500Km、航続距離は約2000km。
   乗用車一台程度なら身体に縛り付けることで保持して飛べる。
   子供の頃から航空機のパイロットにあこがれていて、常々『あの大空を(飛行機で)自由に飛び回りたい』と願っていたところ、
   オーディエンスにより生身で空を飛べる能力を獲得。
   違う、そうじゃない。そういうことじゃないんだよ神様!もっと行間読んで!
   対空戦闘においては特注の大型鋼板『九九式飛行防盾』で防御しながら敵機の懐に潜り込み、
   装甲貫徹に特化した大型剣『一式徹甲剣』でエンジンかタンクを損傷させ撃墜する。
   機関銃を抱えて敵地上戦力に向かって斉射したり、爆弾抱えて敵艦を爆撃したりもする。
   的が小さく装備次第では電探にも引っかからないので攻撃性能は凶悪だが、ほぼ生身なので紙装甲。
   燃料は食事。食糧事情が悪くなると途端にパワーがでなくなる。

簡単なキャラ解説:
佐世保の海軍基地付近の街で生まれ、上空を飛び交う航空機を見ながら育つ。
その後中等学校を卒業して地元の航空兵団に志願するも体力不足で失格。
パイロットへのあこがれを捨てきれず日本海軍に志願し、巡洋艦の整備兵として配属される。
毎日発艦していく偵察機を見て空へのあこがれをつのらせていくうち、オーディエンスに目をつけられた。


こんな感じで
0169 ◆Ed1J4Uo6kwIl
垢版 |
2017/05/02(火) 12:50:06.38ID:YNqPPkZn
>>168
よろしくお願いします!
あと一人来るといいなぁ
0172創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/05/05(金) 12:47:46.94ID:kRLP9HKm
私も含めてだから山本は入ってないのでは?
山本はそこそこ使えそうだがなあ
0173創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/05/16(火) 23:20:33.56ID:zG+88vv6
まあいくら戦争だからって野放図な異能戦闘の連続じゃ絶対飽きるわな
補給やら設営やら、軍隊特有の連日続く猛訓練とか、兵器の整備とか戦略会議とか、そういう非戦闘シーンあってこその戦争だと思うわけよ
0174 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/03(土) 19:35:38.91ID:pQQHve7v
かつて地球上に存在し、人類の歴史上最も繁栄した時代。
その終わりは終末兵器と呼ばれる物が世界中に放たれたことによって、あっけなく訪れた。
世界中に広がった人類たちも、今ではわずかに残る汚染されていない区域に残るシェルターを
中心に街を築き、そこで細々と暮らしているだけだ。

だが、人類は過去の栄華を求めている。
食料の自動生産、重力の制御、人工的な超能力。暴走した無人兵器が闊歩し、除染不可能な毒物に塗れた廃墟の中に全てが眠っているのだ。
そして再び人類の手にこれらを取り戻すために、命知らずの探索者たちはわずかな武器と解毒剤を心の支えに廃墟へと潜る。

ジャンル:SF廃墟探索
コンセプト:ポストアポカリプス+ダンジョンアタック
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

このまま実験室が動かないのもアレだしまた募集します!
1人でも集まればやりますので何か質問などあればどうぞ
0175 ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/06/05(月) 04:29:12.47ID:tZ5E2wzW
>>174 募集
現在、一身上の都合により参加の即断が出来ない。
ついては応募期限の指定があれば助かる。
指定日に合わせて、また来る。
0176 ◆Ed1J4Uo6kwIl
垢版 |
2017/06/05(月) 04:37:13.66ID:9vCx9NG2
はいはーい、参加しまーす
ただキャラクターを変えるつもりなのでテンプレはちょっとまってね
0177 ◆T/kjamzSgE
垢版 |
2017/06/05(月) 04:44:21.34ID:yE5lezqv
参加しよっかなあああああああああああ!!!!!!!!!????
0178 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/05(月) 18:36:46.89ID:el/8kzcG
みなさんありがとうございます!
せっかく集まったのでキャラのテーマを一つ指定させていただきます。

前回はかなり変則的な編成だったので、今回は「ベテランの探索者」というテーマで統一します!
みなさんが自分なりに考えたベテランの探索者でキャラを作っていただけたならと思います。

>>175
テンプレの提出期限は今日から一週間とさせていただきます。
来週の月曜までにテンプレを出していただければ参加する意思があるとみなします。

以下はテーマの例です、参考程度にどうぞ

名前:ヤスモト
年齢:?
性別:男
身長:199
体重:125
種族:機械化人間
職業:探索者
性格:穏やか
能力:機械化による驚異的な身体能力・それなりの電子戦能力
所持品:大口径機関銃・防弾シールド・腕部内蔵型散弾銃・小型グレネードランチャー
容姿の特徴・風貌:両肩にある可動式防弾シールドと頭部のハッキングアンテナ
            全体的な容姿は一般的な機械化人間よりもややごつく、大きめ。    
簡単なキャラ解説:シェルターに残されていた人間を機械化してしまう技術の最初の実証者。
            そのため様々な技術を試験的に搭載し、本人ですら分からない武装が存在する。
            性格は真面目で穏やか、探索のモットーは「みんなで帰ろう」
0179 ◆./6UDin7fi8Y
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2017/06/05(月) 22:12:20.70ID:9vCx9NG2
ベテラン探索者(芋虫型)の私は模範的なキャラクターだったんだなぁ……うんうん
あ、>>176は私です。折角なので前と同じトリップにしとこうと思いまして……

それと、キャラを作るにあたって
世界が駄目になっちゃってから大体何年くらい経っているかを聞きたいです
ホントに大体で構いませんです
0180 ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/06(火) 18:27:27.48ID:apELJqhg
>>179
世界が滅んでからは60〜90年ぐらいと考えています
シェルターのデータベースを参照すれば正確な記録が分かるかもしれませんが、
我々探索者には知ることが許されていません
0181 ◆./6UDin7fi8Y
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2017/06/07(水) 03:42:59.55ID:Wl/PRAv7
ありがとうございます
こんな感じで行きたいんですがどうでしょう

名前:マリー・テレジア
年齢:12歳
性別:女
身長:142cm
体重:ひみつ
種族:人間
職業:探索者、修道女
性格:慈悲深い、探究心が強い、諦めが悪い
能力:『クレイトロニクス』結合し、立体的な物体の構築が可能なナノマシンを操る
所持品:通常よりもやや多めの食料や医療品・大きなリュックサック・戦闘用人形『ミカエル』
容姿の特徴・風貌:白い肌、白い修道服。短めのアッシュブロンドヘア

簡単なキャラ解説:

探索者として活動する傍ら、シェルター内のロウ・カースト街で教会を運営している少女
主な活動は食料の配給や医療援助、寝所の提供など
神に祈り、縋らせるという行為は下層民の管理を容易にするものとして、
彼女の教会運営はハイ・カーストからの許可と、それなりの援助を受けている
けれども彼女はそんな思惑とは関係なく、探索者としての収入の殆どを教会の運営に注いでいる

もっとも、宗教文化の殆どはかつての世界の崩壊と共に遺失されており
教会に祀られている天使像も、彼女がそれらしく作ったものに、彼女が唯一知る天使の名を名付けているだけ
彼女が探索者として活動しているのは、その失われた文化を探し当てる為

彼女の操るナノマシンは『ヴィジブル・ハーツ』という科学技術
脳波に呼応してナノマシンを形状変化させる技術であり、彼女の操る人形はこれによって操作されている
ナノマシンは周囲の物質を利用して増殖するが、その速度は極めて遅いので、補給が可能になるのは戦闘以外の時間となる

彼女は二年ほど前にシェルターの外から、物語の舞台となる「ここ」へとやってきた
その頃から既にナノマシンを操る事が出来たし、探索者としてのセンスも備えていた
だけどそれ以前に何をしていたのか、どこから来たのかは誰も知らないし彼女も語ろうとしない
0182 ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/07(水) 18:17:42.37ID:M+5H6eB9
>>181
ミステリアスなベテラン探索者ですね、大丈夫です!
0183 ◆.PjwSk2J/.
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2017/06/07(水) 18:42:50.80ID:WRnIZBdu
こんな感じで参加したいですね
よろしゃす


名前:ジェミニ=カラミティ
年齢:22
性別:女
身長:168
体重:55
種族:サイボーグガンマン
職業:探索者(パイオニスト)
性格:大らかで許容力の塊
能力:ドローンとの観測データリンク
   拳銃による高速かつ高精度の射撃
   これらを統合した百発百中の早撃ち『セレスティアバレット』

所持品:小型ドローン『ミーティア』、徹甲仕様の大型リボルバー『ワイルドベア』、大型ナイフ
容姿の特徴・風貌:焼結繊維製テンガロンハットと防毒ポンチョにガンベルト。
         亜麻色のロングヘアを無造作に後ろでまとめている

簡単なキャラ解説:
常にシェルター都市から離れた土地を単独で旅している探索者。
高位の探索者の中でもセンターから未開拓地域の制圧と調査を任せられている『パイオニスト(開拓者)』と呼ばれる職種。
未開拓地域は当然シェルター近辺とは比べ物にならない強力な無人平気が徘徊している為、
そういった連中と互角に渡り合う卓越した戦闘力と経験を持つ。

自分の戦闘力に非常に自信をもっている為、大抵のことには動じず「まぁ良いよ」で済ませる大らかな性格。
どちらかと言うと「こいつはいつでも殺せるから」というドライな判断基準で許容している節がある。
逆に自分が本当に大切に思っているものが傷つけられたりすると激しく取り乱すが、
基本的に精神的な動揺は致命傷になると理解しているのでそもそも物に執着しないし他人とも過剰に仲良くなることはない。
よくも悪くも、この過酷な時代に適応しすぎてしまった人。
第一線で活躍しているのも常に攻め続け護るべきもののない開拓者という生き方が楽だからというのが大きい。

サイボーグとして人工骨格と電脳を持っており、無数の小型ドローンを自在に操ることができる。
ドローン自体に戦闘能力はないが、高感度の知覚素子を備えておりあらゆる場所をあらゆる角度から捉えた情報を、
特殊帯域の無線で取得する一種の千里眼じみた能力を持つ。
多角観測によって補正された銃撃は極めて高い命中率を誇るが、狙ったところにピタリと当てる指先の精度は彼女の訓練の賜物。
ドローンは曲面加工された特殊な装甲板を備えており、ドローン越しに跳弾で障害物の向こう側を狙ったりもできる。
メイン武器のリボルバーは大口径かつ徹甲仕様の強装弾で、大抵の装甲なら難なくブチ抜く威力を持つ。
頼みを置くのは高威力の愛銃だが、彼女の能力の本質はそこではないので普通の銃を普通に撃っても普通に強い。
0185リカルド ◆8M6m1Mp8G2
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2017/06/08(木) 19:48:02.81ID:4bfGe0GA
名前:リカルド・ゴンザレス
年齢:45
性別:男
身長:172
体重:83
種族:人間
職業:探索者
性格:気さくなおっさんに見えて実は利己主義者
能力:超能力者
所持品:テキーラ・パワードスーツ
容姿の特徴・風貌:
ずんぐりむっくりアンコウ体系の赤ら顔
かなりメタボな体形で、かろうじて首と顎の区別がつくレベル
髪の毛はウェブがかった短髪ではあるがかなりおでこの領域が頭皮に進行している

簡単なキャラ解説:
この道30年のベテラン探索者
15歳の時に一獲千金を夢見て探索者に
しかし取り立てた特技も特殊能力もない身では、その他大勢の探索者と同じように早々に命を散らすはずであった
しかし、17歳の時に探索の折に罹ったであろう奇病が運命を変える

最初は小さなできものであったものが、潰しても切り取っても再発し、徐々に大きくなり人の顔のようになったのだ
不気味な人面瘡と共にリカルドは超能力を発現するようになる
周囲からは悪運が強く、弾が避けているようだ。と言われているが実際に超能力によって弾をはじいているのだ
探索者としては強力な能力を得ることになるのだが、リカルド本人に喜びはない
長い年月をかけて徐々に人面瘡は増え続けており、やがて体を 乗っ取られるのではという恐怖に常に苛まされているのだから
超能力も人面瘡が宿主を守るために使っている節があり、自分の能力と思えない
現在の人面その数は体の各所に大小合わせて9つ
服で隠れる部位なので傍目には気付かれてはいない
最近では記憶障害も起こっており、いよいよ乗っ取られる日が近づいているのかもしれない
それをなんとか阻止しようと、過去の医療技術に望みを託し、今日も廃墟に潜るのだ

日々の恐怖から逃れるために酒に溺れ、、その為鼻や頬の毛細血管が膨らみ赤ら顔になっている
また40を過ぎメタボな体形が加速し、パワードスーツがかなり窮屈に感じてきている
30年も探索者として生き残ったことによる蓄積された経験に基づく行動は特殊能力がなくともそれなりに生き残るに値するものと なっている
ほろ酔い状態で気さくな性格に見えるが、その実誰も信用しておらず、超能力もちであることを誰にも話さず、自分だけの為に使う

【初参加です。こんな感じでどうでしょうか?】
0186 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/09(金) 18:39:35.75ID:Kg8NRfFt
>>185
運を実力にしたって感じでいいですね、OKです!

後から付け足すようですみませんが、自分の実力ではあんまり大人数の参加はまとめきれないので
早い者勝ちであと一人とさせていただきます!
0187 ◆u0tKBm6XaGtQ
垢版 |
2017/06/11(日) 21:51:07.19ID:4oOn1DRB
>>178 月曜までに
報告に来た。一身上の都合は事が上手く運んでいる。
己の甲斐性を考慮した結果、今回は応募を断念すべきだと判断した。
俺も一枚、噛みたかった所ではあるが……間の悪かった男の分まで楽しんでくれ。
0188 ◆5sfpCVHxpJK2
垢版 |
2017/06/12(月) 17:57:09.12ID:pF0pLSkr
【´༎ຶོρ༎ຶོ`】
0189 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/12(月) 18:46:28.30ID:k//UwFOf
参加はこれで締め切らせていただきます
プロローグ書くのでちょっとお待ちくださいね
0190 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/13(火) 19:10:51.69ID:ra705wQM
霧にまみれた廃墟を、数人の探索者がひた走る。
獲物を見つけた動きではない。自分たちが獲物と自覚してしまった動きだ。
銃を投げ捨て、戦利品の詰まったバッグを置いてもう十分ほど走り続けている。

「駆動音が聞こえた!左!」

「端末はまだ使えねえのか!」

バン、という低い銃声が辺りに響いた。
そこから一瞬間をおいて、さらに続けて数発ほど。
さらに間隔を開けて、今度は十数発ほど続けざまに低い銃声が探索者たちの耳に入った。

そして、廃墟で動く者はただ一つとなった。
敵性存在を排除した一体の自動兵器、それだけだった。

「―――以上の映像が今回の目標の資料だ。
 支援センターの研究者とエンジニアによれば、銃の口径は大型。
 銃座に固定して使うような、手持ちができるサイズではないとのことだ」

「シェルターの外壁にあるタレットぐらいでしょうか?」

「あれよりさらに大きい。我々が製造できる銃のサイズを超えている」

モニターと床の誘導灯、そして天井の非常灯だけがぼんやりと光る薄暗い部屋の中で、
一人の機械化人間と、この時代には珍しく黒のスーツを身に纏った男性が話している。

機械化人間は探索者であり、男性はシェルターとシェルター外縁部を囲む街の指導者。
本来であれば話す機会など一生ない二人だったが、二人がこうして話しているということは
それだけの異常事態が起きているということを示している。

「……今回の自動機械はこの辺りにいないはずの、おそらく中型、大型だ。
 極めて危険な任務だが、君と、君が選んだ者たちならできると信じている」

「別の地方から流れてきたのでしょう、数年前にもはぐれの中型が入ってきたことがありました」

「報酬は用意しておく。必要な物資は他の者の希望でも可能な限り応じる。
 データベースにある中型自動機械の平均的武装なら、このシェルター、いやこの街は一日と持たないだろう」

「そして可能な限り無力化、もしくは捕獲、ですね?」

「分かっているなら何よりだ。近頃ではシェルターを襲う野盗共もいると聞く。
 兵器の研究は優先的課題なのだ」
0191 ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/13(火) 19:12:20.08ID:ra705wQM
機械化人間は無言で敬礼を返し、スーツの男性もまた敬礼を返す。
そして機械化人間は音もなく開く自動ドアを通り、シェルター内部の通路を歩いていく。
大型核融合炉と超効率循環システム、そしてAIによるシェルターの適切な資源管理。
それによってもたらされる、常に十分な食料と水、広々とした安全な住居に多種多様な娯楽。
特に食料と水は余るほどあり、たまにシェルター外部の人間に売られているほどだ。

(シェルター最深部、戦前に大金はたいて入居した連中の末裔。
 最下層にいる奴が上流階級で、上に行くにつれて貧乏になる…なんだか皮肉だな)

シェルター最上部、いわゆる地上層と言われる部分はたまに地上に出てくる上流階級主導で行われる
物資配給にすがって生きているロウ・カーストと呼ばれる者たちだ。
最初はシェルターを奪おうと考える者もいたが、配給に慣れた者たちばかりとなった今では
日々を寝て過ごし、たまに配給をもらっては近所の者と愚痴を言い合いながら生きているだけだ。

そんなロウ・カースト街の入り口近く、シェルターの入り口でもあるそこは
小さな事務所が併設されている。

(プロフィールを見る限り、全員実績と実力は伴っている。
 相手がどういった兵器かわからない以上、とっさの判断ができる者で揃えたつもりだ)

事務所の中、小さな会議室。
いくつかのパイプ椅子と、円状のテーブルが置かれたそこでヤスモトは
今回の作戦に応じてくれた探索者たちを待つことにした。

【ここまでがプロローグです!
 レスの順番としては早い者順にマリーさん、ジェミニさん、リカルドさんでお願いします】
0192リカルド ◆8M6m1Mp8G2
垢版 |
2017/06/18(日) 18:40:33.47ID:zjAy3RIB
導入を書く上で質問です
1)招集されたっぽいですけど、仕事内容をどのくらいまで知らされているのでしょうか?
2)敵無人機が周辺に現れてどのくらい経っているでしょうか?
3)登場人物のお互いの認知度はどのくらいでしょうか?
0193 ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/18(日) 23:31:11.58ID:PabK/mob
>>192
1)全部ですね。ヤスモトが知っている内容はすべて他のメンバーにも伝えてあります
2)1週間ほど経っています。
3)ヤスモトは3人のことを大体知っていますが、3人がお互いのことを知っているかどうかは本人次第です
0194マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/06/19(月) 20:18:00.83ID:m9dmcSGD
「主よ。憐れみ給え。憐れみ給え。憐れみ給え」

マリー・テレジアの朝は早い。
彼女の一日は日の出前に目覚め、汚染地域の黒霧の奥から昇る太陽に祈りを捧げる事から始まる。
彼女は『神』の姿を知らない。太陽は彼女にとって、最も確かな神の御姿だった。

祈りを終えるとマリーは配給の準備を始める。
もっとも、食料の配給自体はシェルターからも行われている。
だがそれは、安全な場所でじっとして暮らし続ける為に必要な食事だ。

例えば探索者としてのし上がる為には、体を鍛え、常に集中力を途絶えさせず、動き回る為のエネルギーがいる。
日々をより良くしようと、自分の人生をより幸福なものにしようと動き出すには、シェルターからの配給だけでは不足なのだ。
ハイ・カーストからすれば、ロウ・カーストの住民に余計な騒ぎを起こすようなエネルギーを与える理由はない。

そういう意味では、マリーの「教会」からの配給はハイ・カーストの意向に背くものと言える。
彼女が見逃されているのは、人材発掘……そして宗教指導による人心の平定という建前があるからだった。
そしてその建前は、今のところは、上手く回っている。

日が昇ってから暫くすると、ロウ・カースト街では一際目立つ純白の教会に、人が集まってくる。
殆どは食料の配給を受けに来たロウ・カースト民だが、そうでない者もいる。
一般的なロウ・カースト民よりも体格がよく、合成皮革のコートやケブラー線維製のアーマーを身に纏う者達。
探索者だ。教会による衣食住の提供は、人々に挑戦の余裕を与える。
最底辺の暮らしから抜け出す為に、シェルターの外、廃墟に挑む為の体力と金銭を。
そしてその成功例が、また新たな挑戦者を生み……その才能を芽吹かせる。

だが、人々を挑戦に駆り立て、そして成功へと導くのは、衣食住の余裕だけではない。
探索者としての身分を得た者達までもが、何故今も教会へ訪れるのか。
その理由は……祈りである。

「主よ。憐れみ給え」

灰色がかった銀髪と、作り物のような美貌の少女が、教会の祭壇、その奥に祀られた天使像に祈りを捧げる。
彼女に続くように、数人の探索者と、大勢のロウ・カースト民が跪き、両手を組む。
祈りを終えると、マリーは背後の礼拝者達を振り返った。

「……今、皆さんは、何の為に祈りを捧げていましたか?」

そして皆を見回しながらそう問いかける。

「主を愛し、その憐れみを乞う為でしょうか。……それとも、食事と寝床を得る為に仕方なく、ですか?」

答える者はいない。

「ですが、だとしても……それで構いません。
 かつて科学が盛栄を極め、そして今や荒廃しきってしまったこの世界で、
 主の存在を信じ、愛する事が出来なくても……それは仕方のない事です」

マリーは微笑み、言葉を続ける。

「もし、いつか科学が、主の不在を証明してしまったとしても。
 あるいは主が既に、私達の生きるこの世界を見ておられなかったとしても。
 だとしても……祈る事には意味があるのです」

マリーは神の教えも、神を称える為の言葉も、全くと言っていいほど知らない。
それらは世界が一度壊れてしまった時に、殆どが失われてしまったからだ。
だから彼女に教えられる事は、大雑把に言ってしまえば、一つしかない。
0195マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/06/19(月) 20:19:54.43ID:m9dmcSGD
「祈るという事は、未来を望むという事です。何の為でもいい。
 ただ生きたいというだけでも、より良い暮らしをする為でも。
 ……勿論、神の為でもいい。明日を望むという事は、あなた達を強く、豊かにしてくれます」

つまり、前向きに生きるという事。彼女に教えられるのはそれだけで……しかしどんな時代でも、
この荒廃の時代においても、それは豊かな生を送る為に必要な事だ。
人はパンのみにて生くるものに非ず……精神が痩せ細り、魂が死んでしまえば、人は人足り得ない。

「……そんなんで、いいのか?もし神様がいたら、そう言うのバチが当たんじゃねえのか?」

一人のロウ・カースト民がそう尋ねる。対してマリーはくすりと笑った。

「心配ありませんよ。天が何処までも広がっているように、主の御心は、そんなにも狭くはありません。
 それでも、どうしても不安なら……それさえも祈ればいいのです。
 主は、主を信じ切れない者さえもを、憐れんで下さいます」

宗教は、人の心を落ち着かせ、まとめ上げる為のものだ。
どんな人間をも認め、愛してくれる架空の存在を信じる事は、自己の肯定に繋がる。
人々のあらゆる行いを見下ろす架空の存在を信じる事は、罪の意識の芽生えを誘う。
彼女の教会運営が、ハイ・カーストに認可されている理由。
だがマリーは決して、ロウ・カーストの管理など目的にはしていない。
結果的にハイ・カーストにとっては好都合な事になるとしても……彼女はただ、人々の暮らしを豊かにしたいだけだ。

「……じゃあ、お話はこれくらいにして……そろそろご飯にしましょう。
 今日は探索者のお友達から、プロテインペーストを沢山頂けたんです」

マリーがそう言うと、礼拝に訪れた探索者達が頷き、何人かが教会の奥へと向かう。
そしてすぐに、大きな鍋を幾つも載せた台車を押して戻ってくる。
そのまま教会の外に出て、配給の手伝いを始めた。
……配給が終わり、鍋や食器の片付けが終わると、マリーは再び教会の外に出る。
入り口の大きな扉を閉めて、その表面をじっと見つめる。
瞬間、純白の扉の表面に、黒い文字が浮かび上がった。

ナノマシンである。鉄を材料に増殖したナノマシンが、扉の表面に固着し、文字を描いているのだ。
マリーは、ある種のナノマシンを意のままに操る事が出来た。
文字だけではなく教会そのものさえもが、彼女のナノマシンによって築かれているのだ。
黒ではなく純白なのは、教会を構築するナノマシンの材質が鉄ではなくケイ素……石材由来であるからだ。

『シェルターの依頼により、廃墟探索へ行ってきます。
 鍵はいつもの場所に隠してあるので、暫くの間、教会の事をお任せします。ごめんなさい。
 もし二週間以上、私が帰らなかった場合、郊外の芋虫さんを尋ねて下さい。
 その後の教会について、あらかじめお話をさせて頂いています』

善意の協力者に書き置きを残し、誤字を確認すると、マリーは改めて扉の中心に視線を注ぐ。
今度は、扉そのものではなく、その奥に意識を向けるように。

「では、参ります」

マリーがそう呟くと、彼女の周囲に風が吹いた。
白い粒子が織り成す旋風が……そしてそれはすぐに収束し、形を得た。
礼拝堂の奥に祀られていた、剣を携えた天使像が、彼女の背後に立っていた。
マリーは振り返り、跪いて、目を閉じ、両手を組む。

「……主よ。私はあなたのしもべです。
 私はあなたの教えと、あなたを讃える為の言葉を、この世界からもう一度掘り起こしてみせます。
 あなたに捧げられるべき信仰を、この世界にもう一度蘇らせてみせます」

だから、とマリーは目を開き、天使像を見上げる。その更に奥、薄汚れた大気の向こうに輝く太陽を見る。

「だから…………どうか私を、憐れんで下さい」
0196マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/06/19(月) 20:21:19.17ID:m9dmcSGD
 


……自動兵器との戦闘は、言うまでもなく死の危険と隣合わせだ。
本来なら十分な武装をした数十人規模の部隊で挑むもので、それでも失敗する可能性がある。
だが今回の敵性兵器は大型の兵装を搭載している。
大所帯ではかえって被害が大きくなりかねない。故に招集された探索者はたったの四人だった。
実際には、もう少し多くの探索者に声がかかったかもしれないが……
少人数での自動兵器の無力化あるいは捕獲、まともな神経をしていれば引き受けない。
何かしらの、普通でない感覚か事情を持っていなければ。

マリー・テレジアの普通でない事情とはすなわち、ハイ・カーストのご機嫌取りだ。
教会の維持と発展には、ハイ・カーストによる認可と援助が不可欠だからだ。
もっとも、事情が一つだけとは限らないが……。

シェルター入り口付近の事務所に到着したマリーは、そのまま会議室に向かう。
天使像ミカエルは人間用の扉を通すにはやや大きいが、粒子化させてしまえば持ち込むのは容易だった。
何度か訪れた事のある事務所を慣れた足取りで進み、会議室のドアをノックし、開く。

「お久しぶりです、ヤスモトさん。今回もよろしくお願いします」

柔和な笑みを浮かべて、マリーはヤスモトに頭を下げる。
彼女にとって、ヤスモトは親しみやすい人物だった。
ハイ・カーストのご機嫌取りが欠かせない教会運営者としても、慈悲を重んじる修道女としても。

「また、みんなで一緒に帰れるように頑張りましょう。神のご加護がありますように。
 ……あっ、もちろん私も皆さんを守れるように頑張りますよっ。
 私のご加護はいつでもばっちしここにありますので、ご心配なく!」

そう言うとマリーは意気込みを示すように、両手をぐっと握ってみせた。



【よろしくお願いします】
0197ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/06/25(日) 06:35:02.15ID:1GxBoTjY
未開拓区域。
それはシェルター都市群から遠く離れた、人類の探索可能領域の果て。
誰が呼んだか"魔界"や"地獄"とも通称される極危険地域との境界に位置する区域である。
地理的障害からセンターの支援は届かず、人類が活動するには余りに過酷な無人兵器の世界だ。

長く人の手の入っていない文明の名残はとうの昔に無人兵器達に食い荒らされて彼らの装甲や弾となり、
奇形の大樹が空いた玉座を奪うかのように競い合って空を目指している。
極彩色の広葉樹の差す空は、間断なく強酸の雨と高圧の雷を降らす黒雲によって覆われていた。

奇形樹の林の中に、不自然に開けた空間がある。
大木が根本から砕かれ倒れ、ぶち撒けられて散らばる光景はさながら大型爆弾の爆心地だ。
その中央に、小山があった。鋼鉄の山。ところどころにぺんぺん草のように機械の手足が飛び出している。
山の正体は、破壊され折り重なって無数に山積みされた無人兵器の残骸であった。
スクラップの山のあちこちから立ち上る紫電と黒煙は、これらの無人兵器がつい先程残骸と化したことを物語っている。

「くーれーなずむーまちのぉー」

その山頂に腰掛けて、旧時代の歌謡曲を口ずさむ人影が一つ。
若い女性だ。焼結繊維で織られたテンガロンハットと防毒ポンチョは酸の雨をほぼ完全に防ぐ最上級品。
曲に併せてぶらぶらと揺れる腕の先には、大砲じみて巨大な口径のリボルバーがぶら下がっている。

「ひかーりとーかげのーなかぁー」

きゅううん、と静音ローターの駆動音と共に小さな影が飛来して彼女の腕の上に鳥のように留まった。
楕円状のボディに高精度の感覚素子を備えた小型ドローン。女性が指先でボディを撫でるとくすぐったそうに身を震わせる。

「おかえり『ミーティア』。この辺の無人兵器はだいたい片しちゃったかな」

ミーティアと呼ばれたドローンが空中にホログラフィを展開する。
周辺の敵性反応の索敵結果を示すマップと、それからポップ調の文字が踊っていた。

『イッピキドッカイッチャッタ。ゴメンネ』

「えぇーホントだ事前確認の個体数と弾数が合ってないじゃん」

偵察用ドローン『ミーティア』は彼女が電脳データリンクによって操る無数の感覚器だ。
その恩恵は大きく、この鬱蒼と茂る奇形樹林の劣悪な視界の中にあっても、無人兵器の数と位置を正確に把握することが出来た。
この周辺を探索中に無人兵器20体からなる群れを発見し、強襲を仕掛けたのが30分ほど前。
その間、彼女が撃ち放った弾数は19。生まれたのは19体分の残骸で、すなわち全ての無人兵器をリボルバーの一発で仕留めている。
残りの一体は、どういうわけか索敵範囲をどれだけ広げてもロストしたままであった。

「まいったな−1匹でも逃がすとセンターからの報酬ガッツリ下がるんだよぉ」

無人兵器に学習能力が存在することは兼ねてより探索者達にとって頭痛の種となっていた。
その場で倒しきれるならば良いが、半端に探索者との戦闘経験を与えて取り逃がしてしまった場合、
今度はその経験を踏まえて兵装を強化したり対人機動に磨きを掛けた個体が人類の前に立ちはだかることになる。
無人兵器の"巣"にほど近いこの領域においては、更に無人兵器同士で情報を共有され兼ねないというリスクも孕んでいる。

『バクゲキシエンデヤキハラッチャウ?』

「うーん最寄りのシェルターから爆撃機出してもらってもここまで来れるかどーか……」

航空爆撃はこの時代において有効な殲滅手段とは言えなかった。
生い茂る奇形樹林はレーダーを反射し索敵範囲を極端に狭め、強固に根を張る樹木が爆風を遮ってしまう。
何より、無人兵器の中には当然対空火器を搭載したものや航空戦に特化したものも多数存在する。
シェルター近郊のように制空権が取れているならまだしも、彼女の居るような秘境では目標地点に到達する前に撃墜されるのがオチだ。
女性は暫し黙考して、それからお手上げとでも言うように肩を竦めた。
0198ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/06/25(日) 06:35:25.36ID:1GxBoTjY
「まぁ、良いよ。なんとかなるなる、たぶん。まずかったら巣ごと殲滅しちゃおう」

その時、彼女の電脳が指令を受信した。
気の抜けた電子音と共に網膜ディスプレイに表示されたのは、センターからの電子封書。

「ありゃ、"封蝋"のレベルが5だ。なんかでっかい事件でもあったのかな」

電子文書の開封制限、通称"封蝋"は指令文書を限られたクラスの人物にしか読めないようにする処置だ。
レベル5はシェルター上層部及び高位探索者にのみ開示の許された、『シェルター存亡の有事』に類する情報。
彼女は周辺への警戒を維持しながら、開かれた文書を視線の動きだけで読んだ。

『ナンテ』

「なんかねー、やばそうな無人兵器がシェルターの近くに湧いたから戻ってこいって」

『ココカラ?』

「無茶苦茶言うよねー。こっからシェルターまでどんだけ距離あると思ってんのって感じ」

『ニンキモノハツライネ』

「まぁ、良いけどさー……よっと!」

彼女は勢いをつけて立ち上がり、そのまま残骸の山頂から宙へと跳躍した。
蹴られた残骸が山肌を転がって耳障りな金属音を挙げる。
擦れ合う沈黙した機械の四肢の隙間から、一体の無人兵器が飛び出した。

『イタ。サイゴノイッピキ』

「うわお、見つかんないと思ったら残骸の下に埋まってたのね」

無人兵器は女性が宙に居るうちにジグザグに飛びながら無事な奇形樹の影へと身を隠す。
逃走のタイミングはこの上なく完璧だった。
彼女が着地と同時に銃を構えた時には、既に生い茂る奇形樹の林を縫うように潜りその姿さえ目視出来ない。
いわんや、銃撃したところで木立が障害物となって届きやしないだろう。

「どっかん」

女性は構わず発砲した。銃口が指し示す先は――空。放たれた大口径の弾丸が風を切りながら木々の描く稜線を割る。
一方、逃走を成功させた無人兵器は"巣"に向けて全速で疾走を続けていた。
聴覚素子がカァンという甲高い金属音を直上に捉えた刹那、『上空から降ってきた』弾丸が彼の駆動中枢をぶち抜いた。

音源は、近くの空中を浮遊していたミーティアの別個体。
ドローンの下部に施された傾斜装甲が、弾丸の軌道を強引に捻じ曲げ、直下の無人兵器へと叩き落としたのだ。

「任務完了。デキる女は仕事を後に残さないってねー」

硝煙の立ち上る銃口を一吹きし、女性はポンチョを翻して残骸の山を後にする。
女性の名はジェミニ・カラミティ。
人類生存圏の最果てで一人無人兵器と戦い続ける『開拓者(パイオニスト)』。
センター管轄下において"最強"に肩を並べる探索者の一人である。

 * * * * * *
0199ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/06/25(日) 06:35:59.33ID:1GxBoTjY
ヤスモトと同行する探索者達の待つ会議室に、ジェミニは一番遅れて参上した。
ドアを無遠慮に開け放って、ポンチョの埃を払い落としながら入室する。

「お待たせー遅れてごめんねヤスモっさん」

探索者の中でも相当な古株であるヤスモトとは面識がある。
何度か任務を共にこなしたこともあり、ジェミニからすればそれなりに気心の知れた相手だ。
それ以上に、彼女は他人に対して必要以上に気安い。無遠慮とさえ言っても良い。
誰にでも同じように接するそのスタンスは、裏を返せば特別な相手を作らない意思表示でもあった。

「いやーまいったまいった!CSL(シェルター間秘匿鉄道)止まってんだもんこりゃ相当ヤバいことになってんね」

安全区域に点在するシェルター同士を繋ぐ鉄道が封鎖されていた為に、ジェミニは不要な遠回りを強いられることになった。
文句じみた言い訳とは裏腹に、彼女の口調は寛容だ。有事に対して、危機感や緊張を感じさせない。

「長旅の垢落とす間もなく出撃かぁ。いやここ来る前に除染シャワー浴びてんだけどね?
 ヤスモっさんはパーツ変えるだけで身体綺麗になりそうであたしゃ羨ましいよ」

ヤスモトの肩を不躾にバシバシ叩いたジェミニは、その流れで他の同行者達を一瞥する。

「今回は四人でチーム?あーゴンザレスのおっちゃんもいるじゃん。2年ぶりくらい?前にも増して太ったねえ。
 スーツみっちみちになってるじゃん。いい加減買い替えるか痩せたほうがいいんじゃないかなあ」

同行者リカルド・ゴンザレスの身体を上から下までぐるりと見回した後、視線はそのまま下方へ。
そこにはジェミニの半分ほどしか齢を重ねて居なさそうな少女の姿があった。

「……マジ?こんなちっちゃい子も呼ばれてんの?センターってそんな人材不足やばいの?
 てゆーかシスターが無人兵器に何するってのさ。連中に神の教えでも説くの?デウスエクスマキナ的なやつ?
 ヤスモっさん、これは明らか人選ミスでしょー……今回のヤマって相当ヤバい案件だって聞いたけど」

半端なことでは動じないジェミニも、このシスター姿の少女の存在には怪訝の目を隠せない。
センターは彼女に何をさせようとしているのか。そもそも足手まといになりやしないか。
猜疑の感情を一切取り繕うことなくジェミニは少女を睨めた。


【ヤスモトさん、マリーさん、リカルドさん、よろしくお願いします】
【私からも一個質問です。無人兵器と探索者のパワーバランスってどんな感じなんですか?
 小型、中型、大型がそれぞれ一般的な探索者何人分の戦闘力に匹敵するのか、みたいな感じで】
0200ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/25(日) 10:09:20.44ID:fyun2dBT
>>199
一般的な探索者の武装が自動小銃+手榴弾+α(ハンドガンやナイフ)として

小型無人兵器(〜3m)一機に対しては一人もしくは数人、対人特化型になると十数人必要です。

中型無人兵器(3m〜15m)以上になると一般的な探索者では装甲貫通できる武装がないため
正面からではまず勝てません。地形を利用して罠を使うか欠点や死角を突かない限り殲滅されるでしょう。

大型無人兵器(15m〜)になると地形や武装といった部分は意味を成しません。
大型無人兵器を破壊できるのは大型無人兵器だけです。
対大型無人兵器用の兵器もありましたが、とても手で持てるものではなく今では廃墟の奥深くに眠ってしまっています。
死角はなく、武装は隙が無く、防御に弱点はありません。
今ではほとんど存在しませんが、無人兵器の司令塔的存在です。

全長もしくは全高のどちらかの最も長い方で小型、中型、大型に分類されます。
0201リカルド ◆8M6m1Mp8G2
垢版 |
2017/06/26(月) 17:35:41.87ID:0ot7PMf8
薄暗い部屋に鳴り響く電子音。
それに被さるように低い男のうめき声と共にベッドから太い腕がサイドテーブルに伸びる。
その手は目標物が定まっておらず、酒の空きビンを倒しながらようやくアラームのスイッチを押すことに成功した。

リカルド・ゴンザレスの朝は遅い。
日もすっかり上ったころにようやくベッドから起き上がったのだがそれでもまだ早く起きた方なのだ。
「ああ……そういえば、今日だったな……」
何かを思い出したかのようによろよろとと起き上がる中年に体には、寝汗と共に油と酒気が溢れていた。
まだ意識がはっきりしたいないまま下着を脱ぎ捨て、スチームシャワーを浴びる。

ここはミドルカースト街、というには少し図々し い境界辺りに位置する安宿の一室である。
とはいえ個室にスチームシャワーまであるのだからそれなりの住処と言って良いであろう。
蒸気につかり体から酒気を抜きながらリカルドは前を見据える。

探索者は大きく分けて三種類に分別される。
大半は探索に出て早々に命を散らす者。
極僅かに一攫千金を成し遂げ、探索者から足を洗い悠々自適に暮らす者。
そして最後は死にもせず探索者を続ける者だ。

探索者を続ける者も更に二種類に分割される。
明日をも知れぬ命と刹那的に享楽に生きる者。
そして稼ぎを自分の強化に注ぎ更なる探索を行う者だ。

日々酒におぼれるリカルドは前者に見られがちではあるが、実は後者である。
後者にならざる得ない理由がその体に浮かび 上がっているのだから。

若いころ感染した謎の奇病、人面瘡
最初は小さな疣だったのが、切り取ろうが焼こうが再生し、更に数を増やしていくのだ。
今どき全身機械化も珍しくはないが、人面瘡は超能力を使うため機械化は妨害されてしまう。

だがその超能力は探索者としてのリカルドの助けになっているのは皮肉な話であった。
宿主を守る為であろうが、飛び交う銃弾を逸らし、周辺で異変を察知し報せてくれる。
特に無人兵器には並々ならぬ敵意を持っているようで、利害の一致と共生関係を成立に至るのだった。

だが、だからと言って仲良くできるものでもなし。
20年以上付き合っていれば判ってくるものだ。
徐々に数を増やし、今や人面瘡は体のいたるところで出現し全 9面。
そして、10面目が現れる時、リカルドは人面瘡に乗っ取られ人ではなくなってしまう、と。

それを防ぐため、リカルドは探索を続ける。
あらゆる危険を冒しながら遺跡に潜り、この人面瘡を取り除くための手段を、情報を手に入れる為に。
だが20年以上かけていける場所はあらかた行き尽した。
にも拘らず手掛かりすら見つからない中でその依頼はやってきた。
シェルター周辺に現れた正体不明の無人兵器討伐依頼

「へへっ……本来ならケツまくって逃げ出さなきゃいけねえような依頼だけどな。
喜べよ、お前らが憎む無人機、しかもこの様子じゃ中型以上だ」
依頼の詳細は分からずとも、封蝋というその依頼方法でその難易度も察しが付くと云うものだ。
どこからか迷いこんで きた無人機。
危険ではあるが、未知の情報を持っているかもしれないという意味では宝の山と云えるのだから。
そこに人面瘡除去の情報があると一縷の望みをかけてリカルドは依頼を受けるのだった。
0202リカルド ◆8M6m1Mp8G2
垢版 |
2017/06/26(月) 17:40:28.28ID:0ot7PMf8
シャワーから出たリカルドは身支度を整え宿の裏の倉庫へと入る。
暮らすだけならばローカースト街でも不自由はないのだが、あえてここを拠点にするのは装備のメンテナンスもしてくれるからだ。
30を超えるとガクッと体力が落ちる。
40を超えると体中にガタが来て、トレーニングしても鍛えられる前に体が壊れていくのだ。
45を過ぎても生身の肉体のまま探索者をやっていること自体珍しく、続けようにも淘汰されてしまうものなのだが、リカルドには止められな い理由が体に生えているのだから仕方がない。

「あーくそ、またきつくなったな」
パワードスーツを装着し締め付けるベルトや窮屈なヘッドセットに顔をしかめながら動作確認をする。
リカルドのパワードスーツは装着型でそう大きいものではない。
足はスーツの脛部分に、手はスーツの前腕部分に収まり、両手両足が少し伸びた程度なものだ。
だがその少し伸びた部分にスーツの真価がる。

装着し終わり起動させると、わずかに体が浮く。
足に設置された電磁浮遊ホバーにより、地形を選ばず滑るような素早いホバー移動を可能にするのだ。
 
そしてスーツ前 腕に突っ込まれた手の動きに連動して動くマニュピレイター。
その指先は人の物と変わらぬ滑らかな動きではあるが、爪の代わりに筒がついている。
指先だけでなく、各所に設置された筒。
これが「水芸」と呼ばれるこのスーツの最大の武器と云える。
ボディの各所に設置された二種類のタンクから送られる溶液が筒先で合成する事によって強力な溶解液となるのだ。
背後によって粘度も変わり、自在に付着させ蝕んでいくのだ。

「よしよし、しっかりメンテナンスして補充も万全だな。良い仕事してくれている。
後は弾だが、ワイヤーにネット、それに煙幕に……」
パワードスーツを着たリカルドの武器は水芸だけでなく、ガトリングランチャーもある。
そこから射出されるのは主 に相手の動きを止めるものばかりで直接の殺傷能力はない。

リカルドは探索者ではあるが戦士ではない。
銃を持っていても無人機相手に当てられるような腕はないし、たとえ当たっても装甲で弾かれるのがおちだ。
爆発物で破壊することはできるかもしれないが、無人機は倒すべき敵であると同時にパーツ、武装、情報、その全てが宝と言える。
だからこそ動きを封じ、素早く接近し関節に溶解液を流し込み無力化する。
それが長年培われたリカルドのスタイル狩人なのだ。


準備を澄ましてから暫く後に会議室の扉が開く
「よお、アミーゴ&セニョリータ、遅れてすまねえな。
大仕事ってんでブルっちまって一杯ひっかけねきゃ足がすくんじまってよー
わっはっは、まあ仕事はしっ かりするからよろしく頼まーな」
上機嫌で現れたリカルドは酒臭い息を吐きながらヤスモトとマリーに挨拶をすたのはジェミニが入ってくるほんの少し前の事だった。

>「前にも増して太ったねえ。
などと軽口叩くジェミニに満面の笑みを浮かべて応える
「おいおい、これだけ太ったのはお前さんにも責任があるんだぜ?
遅れてくるから待っている間に飲んでたからグラスがどんどん空いちまうんだよ」

数年ぶりにあう顔だが、その数年でますます顔と実力を売るジェミニの参戦に顔もほころぶというものだ。
だがジェミニの方はそうでもないようだった。
怪訝な目を隠しもせずマリーに不安を覚えているのをみてその間に入る

「はっはっは、お前さんはめったにこっちに帰ってこ ねーから知らねえだろうけど、この聖女様はな、神様とやらの使いであると同時に人形遣いなのさ
塵を人に変える奇跡の具現はオッソロしい力をふるってくれるんだぜい?
ヤっさんの人選には間違いはねえし、間違っていたらこの俺がこんな危険なヤマにクビ突っ込むわけね、そうだろう?」

笑いながら向き舞えり更に言葉を続ける
「まーそれぞれ名の知れた腕っこきなのはわかっているが、チームで動く以上連携とまではいかねえがお互い邪魔にならないようにそれぞれの武器や戦闘スタイルは知っておいていいだろ?
知っているとは思うが改めて自己紹介させてもらうと、俺はリカルド・ゴンザレス
得物はスタンガトリングランチャーでワイヤーだのネットだの撃って相手の動きを止めてか らの密着、関節へ溶解液流し込んでの無力化、ていう近接タイプだな」
自己紹介を終えると、一杯やりながら聞かせてもらうよ、と何処から出したが酒をグラスに注ぎくつろぎ始めた

【不慣れ者ですがよろしくお願いします】
0204ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/06/28(水) 20:26:53.38ID:nCRw1o1l
>「よお、アミーゴ&セニョリータ、遅れてすまねえな。
大仕事ってんでブルっちまって一杯ひっかけねきゃ足がすくんじまってよー
わっはっは、まあ仕事はしっかりするからよろしく頼まーな」

「……リカルド。探索する前にアルコールは抜いておいてくれないか。
 君の実力は理解しているが今回の相手は明らかに中型、大型の類だ。
 我々が戦ったことのない未知の相手なんだ」

人間の顔に相当する部分である、頭部のフェイスマスクが赤く光って瞬く。
これは感情を色で示す機械化人間特有の感情表現であり、赤は怒りを示している。
ただし点滅、それも瞬いている場合はむしろ呆れを示すことが多い。
パワードスーツを装備し、破壊ではなく鹵獲を中心としたスタイルで
生き延び続けている男、リカルドに対してヤスモトはそれなりに敬意を持っているためだ。

そこから3人で冗談や軽口を交えた雑談が始まり、30分ほど経ったところで
またもドアが開いた。

>「お待たせー遅れてごめんねヤスモっさん」

>「いやーまいったまいった!CSL(シェルター間秘匿鉄道)止まってんだもんこりゃ相当ヤバいことになってんね」

「ジェミニ!来てくれたか!CSLはこの辺り一帯全て止められていて
 来てくれるかどうか不安だったが……いや、とにかく全員揃って嬉しい」

ポンチョと気楽な雰囲気を纏った女性、ジェミニ。
だが中身は探索者の中でもトップクラスの実力を持ち、
単独での汚染地域調査や無人兵器撃破の経歴を数多く持つパイオニストと呼ばれる一流の探索者だ。

>「……マジ?こんなちっちゃい子も呼ばれてんの?センターってそんな人材不足やばいの?
 てゆーかシスターが無人兵器に何するってのさ。連中に神の教えでも説くの?デウスエクスマキナ的なやつ?
 ヤスモっさん、これは明らか人選ミスでしょー……今回のヤマって相当ヤバい案件だって聞いたけど」

>「はっはっは、お前さんはめったにこっちに帰ってこ ねーから知らねえだろうけど、この聖女様はな、神様とやらの使いであると同時に人形遣いなのさ
塵を人に変える奇跡の具現はオッソロしい力をふるってくれるんだぜい?
ヤっさんの人選には間違いはねえし、間違っていたらこの俺がこんな危険なヤマにクビ突っ込むわけね、そうだろう?」

「そういうわけだ、ジェミニ。リカルドが言うように彼女はナノマシン能力者だ。
 文明崩壊前の技術を持ち、探索者としても見事な腕前。参加資格は十分だろう?
 他のパイオニストや腕のある探索者はいるが対中型、大型の経験や
 武装を持った者はほとんどいないからな、このような変則的な編成になった」
0205ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/06/28(水) 20:27:09.85ID:nCRw1o1l
ヤスモトは立ち上がり、テーブルにある立体プロジェクターを起動する。
会議室の明かりが小さくなり、プロジェクターに差し込まれたデータチップから
動画が読み込まれ、再生される。

『駆動音が聞こえた!左!』

『端末はまだ使えねえのか!』

ヤスモトと街の指導者が見ていた動画が再び流れ始め、
最期に無人兵器の駆動音だけが響いて終わった。

「今回の目標は汚染区域に存在する中型、もしくは大型無人兵器の無力化、もしくは捕獲だ。
 目標に関するデータは偵察ドローンが撮影した動画と、破壊された偵察ドローンの写真だけだ。
 シェルターのデータベースによれば『ヒグマ』か『スズメバチ』のどちらかだと思われる」

そう言ってヤスモトは、3人の端末に二つの無人兵器の詳細なデータを送る。
四足歩行と二足歩行を使い分け、ゲリラ戦に特化した中型無人兵器『ヒグマ』と
独特の駆動音とその外見、対歩兵火器を尾部からばらまきながら低空飛行する大型無人兵器『スズメバチ』の
外見、全長、全高、搭載火器、あらゆる部分のデータを。

「今回はシェルターからの全面的な支援が約束されている。
 可能な限り物資の要求には応じてくれるそうだ。
 ……解毒剤もA級を出してくれるぐらいだ」

シェルター側も本気なのか、ヤスモトがバックパックから取り出した解毒剤は
最も効力が強く、長持ちするA級解毒剤だ。

「マリー、君にだ。リカルド、一応渡しておくぞ。
 ジェミニ。君には予備を持っておいてほしい」

「作戦決行は明日の朝だ。
 汚染区域の市街地を抜けて犠牲者の多いビル群で探索を行う」

そうして再び椅子に座り、気の抜けた声でこう言った。

「……僕の話は終わり。今度もみんなで、生きて帰ろう」
0206ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/01(土) 18:23:50.72ID:KIi4Rdo8
会議室でヤスモトがしばらく待っていると、ドアをノックする音が部屋に響いた。
それとほぼ同時に入ってきたのは、この街唯一の教会のシスターだ。
だが、今回に限って言えば彼女もまた探索者だ。それも一流の。

>「お久しぶりです、ヤスモトさん。今回もよろしくお願いします」

「マリー、元気だったかい?君の評判はハイ・カーストでも聞いているよ」

ヤスモトはハイ・カーストに属する人間だが、機械化技術の被験体でもある。
そのため探索以外はシェルターの研究所に籠っているのだが、
そこにいても彼女の評判は聞こえてくるほどだということだ。

>「また、みんなで一緒に帰れるように頑張りましょう。神のご加護がありますように。
 ……あっ、もちろん私も皆さんを守れるように頑張りますよっ。
 私のご加護はいつでもばっちしここにありますので、ご心配なく!」

「君の加護……ナノマシンの操作は確かに守りには向いているだろう。
 だが今回はパイオニストも来てくれている。守りというよりは索敵、偵察を
 やってもらうことになる」

マリーの献身的な姿勢はハイ・ロウ問わず人気を集めているが、
それを快く思わない者もいる。そういう人間から横槍を入れられて、
マリー一人に名誉を集中させないためにパイオニストが入ることになったのだ。

最も古い探索者の一人であるヤスモトはそれを快くは思わなかったが、
旧友であるジェミニの都合が合うと聞いて快諾していた。

【すいません!最初のレスの前に上の文章を入れ忘れていました!
 ここの部分が最初のレスの冒頭になります】
0207リカルド ◆8M6m1Mp8G2
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2017/07/02(日) 20:50:10.66ID:Y+roNhXA
【こんばんはーお疲れ様です
ちょっと考えたのですが、これまでのペースを見ると1ターン回すのに3週間
これから準備、導入、戦闘開始、戦闘とやっていくと5.6ターン廻した時点で秋というか冬になりかねない
お話が全何ターンになるかわからないですし、途中で忙しい時期に入って続けられなくなりそうですし今の時点で抜けさせてもらいます
はじまったばかりなのにすいません】
0208創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/07/03(月) 17:20:48.56ID:BJ6PFd7l
一週間ルールしかも延長可のスレで4人目(師匠除く)で参加
その時点で1ターン4週間ペースでもルールの範囲内と確定してるわけで
準備、導入、戦闘開始、戦闘で秋冬になる可能性も分るでしょうに
参加する時にホントちょっと考えたら誰でも計算できること
それをいざ始まってから【これまでのペースを見ると】って物言いは酷すぎる
進行遅いからやっぱり抜けさせてもらいますという権利もあるのかもしれないけども
そういうのホイホイ罷り通ったら企画に集まろうという人が疑心暗鬼にかかってしまう

でもとりあえず参加というやり方が絶対ダメとも言えないのでこういう時はせめて
【参加した時は大丈夫だったけど急に○○(何か突発のリアル事情)になってしまって】
とか人のせいにしない方便を使って抜けたら周りの人の傷も少しは浅くなるはず
もちろん一番いいのはルールよく読んでちょっと考えてから参加すること
初参加の人は貴重なので忙しいのが終わったらまた挑戦してほしいなと思う
0210ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/04(火) 19:39:16.51ID:9aii3Mlw
>>207
【なるほど、それならリカルドさんは最初からいなかった方向で行きますね。
 マリーさんとジェミニさんにはお手数をおかけしますがそれでよろしくお願いします】
0211マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/04(火) 21:55:05.89ID:EGnnXtrf
オッケーです……が、今まで書いたリアクションを消して辻褄合わせて……
ってのが結構時間かかっちゃいそうなので、2日だけ期限を伸ばしてほしいです
金曜日までには投下しますね


……再募集とか、ないです?
ないですよねぇ……
0212マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/07(金) 05:16:45.76ID:ifbf1kcY
>「君の加護……ナノマシンの操作は確かに守りには向いているだろう。
  だが今回はパイオニストも来てくれている。守りというよりは索敵、偵察を
  やってもらうことになる」

「あら、そうなんですか?それは……大変な仕事になりそうですね。
 任せて下さい、索敵も偵察も、がんばりますよっ!」

パイオニストとはその名の通り、汚染地域の開拓が主な仕事だ。
汚染地域に眠る資源は有限だ。
探索可能な範囲を広げていかなくては、シェルターはいずれは技術的な限界か、物資の枯渇か。
あるいはその両方の理由によって滅びを迎える時が来る。
つまり彼らの仕事は、汚染毒に満ちた廃墟と共に、シェルターの未来をも切り拓く事。

そのパイオニストを、わざわざシェルターに呼び戻して、既知の汚染地域を探索させる。
生半可な事情では、そんな事は起こり得ない。
マリーの表情が少しだけ険しくなり……

>「お待たせー遅れてごめんねヤスモっさん」

不意に、彼女の緊張などお構いなしの軽やかな声と共に、会議室のドアが開かれる。
入ってきたのは、テンガロンハットとポンチョが特徴の、長身の女。

>「いやーまいったまいった!CSL(シェルター間秘匿鉄道)止まってんだもんこりゃ相当ヤバいことになってんね」

>「ジェミニ!来てくれたか!CSLはこの辺り一帯全て止められていて
  来てくれるかどうか不安だったが……いや、とにかく全員揃って嬉しい」

ジェミニ、と呼ばれたその女性を、マリーはじっと見つめる。
深い意図はない。
ただヤスモトが声を弾ませるほどの実力の持ち主と思うと、自然と目で追ってしまっていた。

そしてジェミニとマリーの視線が交差する。
マリーは微笑み、右手を差し出しながら彼女に一歩、歩み寄り……

「初めまして。マリー・テレジアです。今回はよろしく……」

>「……マジ?こんなちっちゃい子も呼ばれてんの?センターってそんな人材不足やばいの?
  てゆーかシスターが無人兵器に何するってのさ。連中に神の教えでも説くの?デウスエクスマキナ的なやつ?
  ヤスモっさん、これは明らか人選ミスでしょー……今回のヤマって相当ヤバい案件だって聞いたけど」

……しかしそう続いたジェミニの言葉に、マリーの笑みと動きが凍りつく。
とは言え彼女の表情に浮かぶのは怒りではない。
まずは、予想外の言動を受けた事による困惑。そして次に……再び、友好の感情が。

「えぇ、無人兵器の方々にはこう、教えを説いています。
 塵は塵に、灰は灰に……あるべきものは、あるべき場所に。
 人に作られた人形は、人の為に働く……それがあなた達のあるべき、善き姿なのです、と」

瞬間、ジェミニの背後に不可視の「流れ」が生じた。
彼女になら知覚出来るだろう。
極小の粒子の群れが規則的な軌道を描きながら、自身の背後で、急速に、立体を作り上げつつある事を。

そしてジェミニが振り返れば……或いは彼女ならば振り返らずとも、その立体がハイランダーの姿をしていると分かる。
……その水晶質のハイランダーが、無色透明のマグカップを差し出している事も。
カップの中ではコーヒーが湯気を立てて、静かに揺れている事も。

水は彼女が持ち歩いているリュックサック、その中の水筒から用意されたものだ。
想像を絶するほどの数のナノマシンが、想像も出来ないほどの回数、水を掴み、持ち出し……コーヒーカップを満たした。
そして同様の手順でインスタントコーヒーと混ぜ合わせ、それらを振動させて沸騰させたのだ。
0213マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/07(金) 05:17:59.35ID:ifbf1kcY
「……ほら、ね?」

マリーは首を小さく傾げて、改めてジェミニに微笑みかける。
無論、コーヒーメーカー型ハイランダーは彼女がナノマシンで作っただけのハリボテだ。
だが、マリーが自動機械の回収に注力しているというのは嘘ではない。
彼女のナノマシンは損傷を最小限に抑えつつ機械の動作を停止させる事が出来るし、
そうする事はハイ・カーストのご機嫌を取る事にも繋がるからだ。
上手く無人兵器が再利用される事になれば、巡り巡って人命の保守にもなる。

……要するにハイランダーは彼女にとって、破壊の対象にすらなり得ない。
コーヒーメーカーを相手に「戦い」を挑んで、壊してしまう者などいないように。

>「そういうわけだ、ジェミニ。
  文明崩壊前の技術を持ち、探索者としても見事な腕前。参加資格は十分だろう?
  他のパイオニストや腕のある探索者はいるが対中型、大型の経験や
  武装を持った者はほとんどいないからな、このような変則的な編成になった」

そう言うとヤスモトは立ち上がり、卓上の立体プロジェクターの電源を入れる。
映し出されたのは……探索者のチームが無人兵器に蹂躙される様子だった。
……マリーが右手をテーブルの下で固く握り締める。

>「今回の目標は汚染区域に存在する中型、もしくは大型無人兵器の無力化、もしくは捕獲だ。
  目標に関するデータは偵察ドローンが撮影した動画と、破壊された偵察ドローンの写真だけだ。
  シェルターのデータベースによれば『ヒグマ』か『スズメバチ』のどちらかだと思われる」

「……どちらにしても、野放しには出来ませんね」

>「今回はシェルターからの全面的な支援が約束されている。
 可能な限り物資の要求には応じてくれるそうだ。
 ……解毒剤もA級を出してくれるぐらいだ」

ヤスモトがバックパックから解毒剤を取り出す。
マリーは以前にも、何度もハイ・カーストからの依頼を受けているが、
A級解毒剤を支給されたのはこれで二度目だ。

毒物というものは、必ずしも「解毒薬」が存在する訳ではない。
例えばトリカブトに含まれるアコニチンには解毒薬が存在しない。
しかしそのアコニチンにも、科学全盛の時代においては「解毒剤」は存在した。
ナノマシンや人造微生物を用いて体内から毒性物質を排出させる解毒剤が。

汚染毒に対する解毒剤も、同様である。
つまり……多大なエネルギーと、高度な科学技術によってのみ生成し得るものなのだ。
だがマリーの操るナノマシンでも、体内の毒性物質を掴み、排出するなどという事は出来ない。

>「マリー、君にだ。ジェミニ。君には予備を持っておいてほしい」

「ありがとうございます。教会で大切に保管しておきますね」

……それはつまり、今回の任務でこの解毒剤を使うつもりはない、という事だった。
マリーのこの悪癖は、今に始まった事ではない。

「あっ、ヤスモトさん。私、食料とお水も沢山欲しいです!」

彼女は任務で支給された物資の殆どを、教会の為に持ち帰っているのだ。
それは解毒剤であっても例外ではない。
……もっとも最近はハイ・カーストもその事を理解していて、
報酬としての物資支給を確約する事で、彼女の悪癖を抑制しようとしているとか。
0214マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/07(金) 05:30:12.11ID:ifbf1kcY
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/9925/

な、なんだか知らないけどNGワードで弾かれちゃったのでこっちに投下しときました……
なんかこのスレの風当たり強い……
0215ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/07/13(木) 18:15:43.91ID:i4nea56+
不躾ともとれるジェミニの誰何に対し、マリー・テレジアと名乗った修道女は困惑こそあれど気を悪くした様子はなかった。
どころかその顔には当初の友好的な笑みが戻り、鈴の音のように清らかな声で彼女は答える。

>「えぇ、無人兵器の方々にはこう、教えを説いています。塵は塵に、灰は灰に……あるべきものは、あるべき場所に。
 人に作られた人形は、人の為に働く……それがあなた達のあるべき、善き姿なのです、と」

「おっ?」

瞬間、ジェミニはそれまでのリラックスした態勢から瞬き一つするより速く動いていた。
右の踵を軸に身体を反転させ、振り返る動きと後ろへ下がる動きとを同時にこなし、更に右手にはいつの間にか抜き放った銃がある。
僅かコンマ1秒、振り向きざまに構えた銃口の先には、結晶に近い材質で構築された――人形の無人兵器が音もなく立っていた。

「茶運び人形にしちゃー随分物騒な見た目じゃん?」

危うく引きかけたトリガーから指を離しつつ、ジェミニは視線だけをマリーに遣ってそう言った。
ジェミニの背後で湯気を立てるマグカップを差し出しているのは、小型の無人兵器――『ハイランダー』だ。
強力なステルスと武装を持った戦闘特化型で、シェルター近郊を徘徊することもある、探索者達によっては死神にも近い存在。
そのハイランダーを模した人形がサーブしてきたコーヒーを、ジェミニは怖じることなく受け取ってふーふーしながら啜った。

旨い。専門のドリッパーで淹れたかのように芳醇な香り、水出しに近い雑味のなさ。
この会議室に備え付けられている安物のコーヒーサーバーでは到底作り出せない味わいだ。

>「……ほら、ね?」

無論、この少女が自身のコーヒー作りの腕前を誇示しているわけではないことはジェミニにも分かる。
マリーはこう言いたいのだ。彼女にとってハイランダーなどコーヒーメーカー程度の機械に過ぎないと。

>「そういうわけだ、ジェミニ。彼女はナノマシン能力者だ。
 文明崩壊前の技術を持ち、探索者としても見事な腕前。参加資格は十分だろう?
 他のパイオニストや腕のある探索者はいるが対中型、大型の経験や
 武装を持った者はほとんどいないからな、このような変則的な編成になった」

間を計ったようにヤスモトが補足を入れる。
ジェミニはおろかこのシェルター都市の中でも随一のキャリアを誇るヤスモトの推薦だ。信頼性において疑う余地はないだろう。
そしてジェミニ自身、マリーがたった今行ったデモンストレーションで彼女の力量を理解してしまっている。

「……まあいーけど。シスターちゃんがコーヒー淹れるの超上手いってことはわかったよ。
 戦場で美味しいコーヒーがいつでも飲めるってだけでも、ついてきてもらう理由にはなるね」

ジェミニは肩を竦めて戦闘態勢を解いた。皮肉はどちらかというとびっくりさせられた負け惜しみに近い。
もとより単独での戦いを好むジェミニにとって、同行者には最低限の自衛力さえあればそれで問題はない。
端的に言えば、彼女はこの期に及んでマリーの戦力を当てにしていなかった。
慢心ではなく、これまで戦い抜いてきた探索者としての腕前への自負が、ジェミニの態度を形作っていた。

「あたしが信じるのは説法じゃなくて鉄砲だかんね。ほらココ笑うとこだよヤスモっさん……それ笑ってんの?」

顔部分のインジゲータランプをチカチカ点滅させるヤスモトを半目で見ながらジェミニは着席し、会議の進行を促す。
即席チームのリーダーは立体投影機を操作し記録された映像を呼び出した。

>『駆動音が聞こえた!左!』
>『端末はまだ使えねえのか!』

阿鼻叫喚の図が解像度の低いドローン越しに繰り広げられ、ごく僅かな時間で全てが終わった。
銃声と悲鳴、低く轟くような無人兵器の駆動音。砂塵に塗れた地獄絵図。砕かれたサイボーグの部品と探索者達の血肉。
0217ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/07/13(木) 18:17:26.57ID:i4nea56+
「……こんだけ?一方的な殺戮しか映ってないじゃん。敵の武装の情報一つ引き出せずに死んじゃったのこの人たち」

ジェミニの物言いは、人類の為に探索者として散って行った者達に対してあまりにも酷薄なものであった。
理屈の上では文句の一つも言いたくはなるだろう。シェルター存亡の有事に際して得られた情報は極めてお粗末だ。
このほんの一握りの情報を元に戦いを挑まねばならない自分たちにとっては頭の痛くなる話だろう。
溜息をつきながら目頭を揉むジェミナの姿に、マリーのような犠牲者への黙祷を捧げる意志は感じられない。

>「今回の目標は汚染区域に存在する中型、もしくは大型無人兵器の無力化、もしくは捕獲だ。
 目標に関するデータは偵察ドローンが撮影した動画と、破壊された偵察ドローンの写真だけだ。
 シェルターのデータベースによれば『ヒグマ』か『スズメバチ』のどちらかだと思われる」

「相変わらず上層部は無茶苦茶言うなぁ。『スズメバチ』に全滅させられたシェルターがいくつあると思ってんのマジで」

端末に送られてきたデータはジェミニにとって既知のものばかりだった。
つまりはハイカーストも支援センターも、今ある以上の情報はなにも掴めていないままに討伐しろと言って来ているのだ。
探索者稼業に無茶は付き物とはいえ、手ぶらで死地に赴けと言わんばかりの差配には涙が出る。

>「……どちらにしても、野放しには出来ませんね」

「今回ばっかはお説法も通じなさそうじゃない?ヒグマの淹れたコーヒーなんか飲みたかないよあたしは。くさそう」

揶揄するような口調でマリーを突ついていると、ヤスモトはバックパックからセンターの刻印の入った箱を出して机に置いた。

>「今回はシェルターからの全面的な支援が約束されている。可能な限り物資の要求には応じてくれるそうだ。
 ……解毒剤もA級を出してくれるぐらいだ」

「わおっ、太っ腹だねぇ。いやこれは皮肉じゃなくてさ、だいぶなりふり構ってらんなくなってるってことでしょ」

A級解毒剤は本来ハイカーストの中でも限られた身分や最上位の探索者にのみ配給される貴重品だ。
パイオニストもここにあたり、長期に及ぶ任務が前提のジェミニも補給の度に受け取っている。
要するに、間違っても汚染毒で失ってはならない超重要な人材を保護する為の措置だ。
同時に、通常の解毒剤のような短い効力期限を設けることによる『首輪』を解き放つ信頼の証でもある。

>「マリー、君にだ。ジェミニ。君には予備を持っておいてほしい」

「相変わらずヤスモっさんは信頼されてるね。こんな急ごしらえのチームにA級配るなんてそうそうないよ」

>「ありがとうございます。教会で大切に保管しておきますね」

「……こーいう輩が絶対出てくるしさぁ」

当たり前のようにネコババ決め込む発言をするマリーをジェミナは半目で見た。
シェルターが何故探索者や都市外労働者に対する解毒剤の供給を制限しているかと言えば、前述の『首輪』を付ける意味合いが強い。
通常の解毒剤の効力は短く、一日から三日程度で分解されてしまって汚染毒に対して無防備になってしまう。
つまり、それくらいの周期で必ずシェルターに帰らなければならない。解毒剤なしに外の世界で生きることは出来ない。
そうすることでシェルターは人材の流出を抑止し、探索者達を都市に縛り付けているのだ。

探索者が都市経済において担う役割は、彼ら自身が思っているよりもずっと大きい。
シェルターの中で生産できる物資に限りがある以上、必ず外で資源を採取してくる必要があるのだ。
そこに気付いてしまえばシェルターの走狗として人生を終えることに疑問を抱く者も出てくる。
己の実力を商品として、別のシェルター国家へ売り込みに行く者や、忠を尽くすことを条件に物資を要求する探索者もいる。

>「あっ、ヤスモトさん。私、食料とお水も沢山欲しいです!」

例えばそこのマリーのようにだ。
この幼き修道女は、始めの印象よりもずっと強かだった。シェルターの内情を読み、上手く立ち回っている。
ただの博愛主義の宗教家ではないことに、ジェミニもようやく気付いた。
0218ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/07/13(木) 18:18:08.26ID:i4nea56+
「うーん困った。ちょっと気に入りかけてるよシスターちゃんのこと」

まぁ、良いけどね。とジェミニはいつもの如く口癖のように呟いた。

>「作戦決行は明日の朝だ。汚染区域の市街地を抜けて犠牲者の多いビル群で探索を行う」

「オッケー。シャワー浴びる余裕があってよかったよ」

ジェミニは資料を纏めて席を立つ。そうして黙った。
何度も一緒に戦って、その度に生き残ってきた歴戦の戦友が、いつも作戦前に言う言葉がある。
これを聞いてはじめて、ジェミニはこのシェルターに帰ってきたと実感できるのだ。

>「……僕の話は終わり。今度もみんなで、生きて帰ろう」

ジェミニはヤスモトの機械製の頭部を真っ直ぐ見つめて頷いた。

「……了解」

それは、この死と隣り合わせの世界において一番当たり前で――最も尊い考え方だ。
『みんなで生きて帰る』。この言葉を安いおべっかではなく本心から尊重しているからこそ、ヤスモトという男は信頼できる。
彼が、このシェルターの探索者の中心に在り続けてきた最大の理由だ。

>「はいっ、私と、ヤスモトさんと、ジェミニさんならやれますよ!私、せいいっぱい頑張りますね!」

打てば響くような快い調子でマリーが同意した。ネコババした解毒剤の件が嘘のように清らかな笑顔だ。

>「……あ、ヤスモトさん。支給される物資の事なんですけど、
 簡易キャンプキットと、応急手当キットも欲しいです!あと、えーと……万が一の時の為の銃器とか……」

前言撤回。笑顔は牙を剥いた肉食獣のつくるそれだった。


翌日、探索地点に指定されたビル群に選抜チームの三人は立っていた。
ここに来るまでに小型の無人兵器を何体か仕留めている。ドローンによる索敵からの先制攻撃は非常に効果的だった。

「この区画って元々の小型遭遇率はそんなに高くなかったはずだよね。
 他の探索者達が撤退してるからってのもあるんだろうけど、やっぱり何かあるよこの辺り」

小型兵器との遭遇率の高さは、すなわち無人兵器の『前線』が押し上がっていることを意味している。
彼らの後方に強い無人兵器がいて、いつもよりも強気に攻めてこれていると考えるのが自然だ。

>「あっ、勿論だからって手を抜いたりしませんよ!むしろジェミニさんが集中出来るようにいっぱい頑張ります!」

「シスターちゃんもそう言ってくれてるし、ちょっと索敵範囲広げてみよっか。おいで『ミーティア』」

ジェミニが腕を掲げると、周囲を飛び交っていたドローンのうち一体が寄ってきて小鳥のように止まった。

『ナンモナイヨ。チョーヒマ』

「索敵半径を50mくらいでもっかい行ってきて。ステルス強度は65GPS、音波と赤外線も併用してね」

『カシコマリ』

静音ローターによる無音飛行でドローン達が廃墟の空に散っていく。
ジェミニはドローンの得た情報をリアルタイムで受信しながら、時に細かい指示を出しつつ敵影を絞り込む。
上手く敵を見つけられれば、先制攻撃が可能になるだろう。あとはヤスモトの作戦次第だ。


【索敵ロールを行います。敵を発見できれば種類、数、大きさ、見える武装などの情報を取得するので判定を下さい】
0219ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/07/15(土) 11:30:07.52ID:xClyCQWf
>「あっ、勿論だからって手を抜いたりしませんよ!むしろジェミニさんが集中出来るようにいっぱい頑張ります!」

>「シスターちゃんもそう言ってくれてるし、ちょっと索敵範囲広げてみよっか。おいで『ミーティア』」

「僕も手伝おう。さっきから無人兵器の通信量が増大しているんだ。
 ……あのビルの屋上がいい」

ヤスモトの頭部にあるハッキングアンテナは、無人兵器たちが
相互通信によって意思疎通をしていることが分かったことから装備しているものだ。

通信傍受、無人兵器を装った偽装通信、通信位置の特定など
ヤスモトのもう一つの眼と言ってもいいほど探索には有用な装備である。

>『カシコマリ』

「……霧の濃度も上昇してきているね。ヒグマとスズメバチに
 そういう機能はない…別種の自動兵器かな?」

3階建ての小さなビル、その屋上に陣取った3人は各々の技能を活かして
周囲の地形にいかなる自動兵器が潜んでいるのか、索敵に励んでいた。

と、マリーの視線が急に動いた。
ビル群の奥、恐らくは主要な道路だったのであろう広々とした道路だ。

先程よりさらに深くなった霧によって視界は10mほどしかないが、
ヤスモトのハッキングアンテナはその霧の奥に何かがいることを捉える。

「マリー?何か見つけたね。ジェミニ!ミーティアをいくつか
 今から言う座標に頼む。G-6-44とG-6-58だ」

熟練した探索者である3人だが、濃い霧は視覚的にだけでなく
電波や赤外線といったセンサー類も阻害する。

敵が捉えられないことも十分に考えられるが、3人の経験と実力は
それを十分に乗り越えられる可能性を持っている。

【索敵ロール判定です!このレスの下二桁が
 
 02〜20なら種類
 21〜40なら種類+数
 41〜60なら種類+数+大きさ
 61〜80なら種類+数+大きさ+武装
 81〜99なら先制攻撃可能
 01なら逆に奇襲を受けます
 00なら目標発見+奇襲可能 

 情報取得なら次のレスもジェミニさんでよろしいですか?】  
0220ジェミニ@携帯
垢版 |
2017/07/15(土) 17:34:02.25ID:kznEZeq3
【判定どうもです。索敵ロールはマリーちゃんさんも同様に行ってる感じなので通常通りのレス順でお願いしたいです
 ジェミニの得た索敵情報は全てチーム内で共有してるって感じで、必要なら「ジェミニからそう聞いた」って描写挟んじゃって下さい】
0222マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/07/21(金) 14:11:47.79ID:rW3lgajw
>「マリー?何か見つけたね。ジェミニ!ミーティアをいくつか
  今から言う座標に頼む。G-6-44とG-6-58だ」

「小型が六体……これは、どうやらヤスモトさんがさっき言ってた「別種」……ですね」

散布したナノマシンが「何か」の表面を撫で、その輪郭を捉えたマリーが呟く。

「何か」は、かつては兵器ですらなかった機械だった。
まだ高効率な食料培養システムが確立される前、農業の効率化の為に開発された機械。
機体内で合成した薬物を散布する事で天候を操作し、植物の成長を促進させる……型式名は、クロノス。

科学全盛の時代……滅びが訪れる直前の社会では、博物館くらいでしか見る事の出来なかった旧式は、
今では時を巻き戻したかのように量産され続け、働き続けている。
霧を、雨を、それらに乗せて汚染毒を散布し、無人兵器の領域を広げる旗手として。

「……クロノス、それにキャリーカブが三体ずつですね。
 キャリーカブは護衛兼、霧を広める為の移動手段といったところでしょうか」

マリーが霧の彼方の敵性機械から、ヤスモトへと視線を戻す。

「どうします?今すぐ破壊しますか?」

クロノスによる霧の濃度上昇は、今回のターゲットを捜索する上で厄介な障害となる。
ヤスモト達は皆、視覚に頼らない索敵、情報収集手段を持ってはいるが、汚染毒を含む霧は電波を反射させる。
ナノマシンの機動も霧によって制限される。つまり……霧は僅かではあっても、チームの能力を低下させる。
その能力の低下が中型、大型兵器との戦いの中で致命的なものにならないとは限らない。

だが一方で、クロノスを破壊した所で霧の濃度がすぐに低下する訳ではない。
薬物の散布が停止しても、霧が薄まるまでには少なくとも数時間はかかる。
あるいは散布された薬物の量によっては数日を要するかもしれない。

「……この霧なら、自動兵器達の通信もそう長い距離までは届きません。
 だけどもしあのクロノス達が、中型、大型の通信可能圏内にいたら……ちょっと、厄介ですよね」

そしてその上で問題となるのは……
クロノスが中型、大型兵器の通信可能圏内にいた場合、奴らを破壊する事は自分達の存在を気取られるという事だ。

と、不意に、彼女の引き連れる天使像ミカエルの翼から、羽が舞い散った。
羽はマリー達の周囲に球を描くように散らばり……滞空する。

マリーがヤスモトとジェミニに向けて何かを喋ろうとして……口だけが動いて、声は伴わなかった。
彼女は二人の返事がない事に首を傾げ、そしてすぐに、しまったと言いたげに口に手を当てる。

「ん、こほん……とは言え、悟られるとしても「いる事」まで。
 居場所はバレっこないですけど……どうしますか?ヤスモトさん。ジェミニさん。
 今度は聞こえてますよね?」

彼女が図らずも実演してみせた通り、散布された羽は『消音器』だった。
原理は極めて単純だ。彼女がナノマシンを操り、音の振動を吸収させる。
索敵に必要な環境音や、会話が必要なら話し声だけを例外として。

「……あっ、あと言わなくても大丈夫だと思うんですけど」

人差し指をぴんと立てて、マリーが付け加える。

「これだけ霧が濃くなってるって事は……「アレ」も出てきてるって事ですよ。
 昨日もお見せしたアレです。二体、こちらに向かってきてるみたいですけど……大丈夫ですよね?」


【遅くなってすみません!アレに関しては、遠くの的だけだとアレかなって感じです!】
0224ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/07/27(木) 21:03:25.03ID:8Ue6vKhN
>「マリー?何か見つけたね。ジェミニ!ミーティアをいくつか今から言う座標に頼む。G-6-44とG-6-58だ」

「おっけい。釣果があるかな」

各々の索敵の結果は一致した。ミーティアを飛ばした先に6つの機影がある。
先刻からこの区域を覆いつつある霧のせいでジェミニには輪郭くらいしか判別出来ないが、マリーには『手触り』が分かるようだ。

>「……クロノス、それにキャリーカブが三体ずつですね。
 キャリーカブは護衛兼、霧を広める為の移動手段といったところでしょうか」

「クロノス?ってーとアレでしょ、旧時代の農薬散布マシン。よくそんなの引っ張り出してきたね向こうも。畑もないのにねぇ」

ジェミニはざっくりと切り捨てたが、クロノスは単なる農業の支援機械ではない。
特殊な薬物を上空の雲に投入することで自在に雨を降らせたり逆に雲を消して快晴にしたりできる、総合天候操作機構だ。
人類がシェルターに引き篭もった現代には無用の長物と化してしまったが、確かに一時代を担っていた神の機械。

>「……この霧なら、自動兵器達の通信もそう長い距離までは届きません。
 だけどもしあのクロノス達が、中型、大型の通信可能圏内にいたら……ちょっと、厄介ですよね」

「一番やばいのはさ、あたし達がここに来てること見越して放たれた斥候ってパターンだよね。
 この霧で視界と通信が悪いのはあっちも同条件だけど、それ込みでのデコイだったら連中は絶対敵の通信範囲から出てこないよ」

汚染毒の発生源に通信範囲ギリギリを巡回させてこちらの出方を伺う。
やり方はまさに『釣り』だ。あからさまなエサをぶら下げて探索者達が破壊に動けばそこを一網打尽にする。
半端な経験しかない中堅どころを投入していれば容易くあちらのシナリオ通りにことが運んだだろう。
作戦参加を高位の探索者だけに限定したセンターの先見の明には頭が下がる。

その時、ふと何かがジェミニの視界を横切った。
ミーティアの三点観測によってそれが無害な物体だと事前に把握していたジェミニは気にも留めないが、
マリーが不意にわちゃわちゃしだしたことで彼女の仕業だとようやく気付く。

幼き修道女が散布したものは、彼女が何故か作戦領域に持ち込んだ天使像の羽根。
ナノマシンで出来たその造形物は、周囲の音を吸着する効果を有しているようだ。

「へぇ、いいねこれ。超高性能サイレンサーってわけ。こういうの欲しかったんだよねぇ。
 この任務終わったら何枚か安く譲ってよシスターちゃん」

大砲みたいに大口径の銃をぶっ放すジェミニの戦い方は隠密性とは完全に無縁の世界だ。
人類生存域の限界点で戦う彼女にとって、敵地で大音量を立てることは自分の位置を常に知らしめているに近い。
むしろそうすることで彼女なりの「釣り」を行っていたフシもあるが、敵に気取られずに行動することの有利は論ずるまでもない。
0225ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/07/27(木) 21:03:45.40ID:8Ue6vKhN
>「ん、こほん……とは言え、悟られるとしても「いる事」まで。
 居場所はバレっこないですけど……どうしますか?ヤスモトさん。ジェミニさん。今度は聞こえてますよね?」

「通信良好。この距離ならあたしの射程内だし、ショット&ムーブで破っちゃう?」

>「……あっ、あと言わなくても大丈夫だと思うんですけど」
>「これだけ霧が濃くなってるって事は……「アレ」も出てきてるって事ですよ。
 昨日もお見せしたアレです。二体、こちらに向かってきてるみたいですけど……大丈夫ですよね?」

「こっちでも着認したよー、コーヒーメーカーが二匹、バディかな。騒がれても面倒だし始末してもいいよねヤスモっさん」

ハイランダーの接敵ジェミニは何ら気負う様子もなく腰から拳銃を抜いた。
強装仕様の大型リボルバー『ワイルドベア』。握りの具合を確かめるように左右に振りながら、左手の親指で撃鉄を起こす。

「シスターちゃん、その羽根今から送る座標とあたしの銃に貼っつけて」

電脳経由で速記したマップデータをマリーの端末へと送信。
そこには旧時代から人の手を入れられずに成長したのだろう、樹齢三桁はありそうな巨大な奇形樹が屹立していた。
幹は大人が10人手を繋いでも一周できそうにない、大樹だった。

「今からその木、ぶっこ抜くから」

刹那、ジェミニの左手が羽撃きのようにブレた。
拳銃の引き金を引いたまま、撃鉄だけを指先の動きで瞬間的に複数回弾く『ファニング』と呼ばれる早撃ちの技術だ。
サイボーグである彼女の動作精度で行えば、弾丸が縦列を作って飛翔する。
羽根により無音で放たれた都合6発の徹甲弾は、瞬きよりも速く大樹へと着弾。
6つの巨大な弾痕によって幹を中腹から『切り落とした』。

自由落下する巨木は、こちらへ向けて進行中のハイランダー二体を巻き込む形で降っていく。
――ジェミニが間接的な攻撃を選んだのは、ハイランダーに探索者の存在を匂わせることを避けた為だ。
例え自らが破壊される寸前であっても、無人兵器は仲間でその状況を通信で伝えることができる。
だから、巨木の倒壊に巻き込まれたというカバーストーリーによって、何者かが無人兵器を攻撃したというログを相手に残させない。

「取りこぼしちゃってたら、あとはお願いねー」


【アレを間接的に攻撃】
0227ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/07/30(日) 20:45:30.04ID:kq4udn2S
>「……あっ、あと言わなくても大丈夫だと思うんですけど」
>「これだけ霧が濃くなってるって事は……「アレ」も出てきてるって事ですよ。
 昨日もお見せしたアレです。二体、こちらに向かってきてるみたいですけど……大丈夫ですよね?」

>「こっちでも着認したよー、コーヒーメーカーが二匹、バディかな。騒がれても面倒だし始末してもいいよねヤスモっさん」

「彼らはクロノスの群れと通信しているみたいだ。
 群れを囮にハイランダーが狩る、いわゆるグループだね。仕留めておこう」

自動兵器は同種類、または同じような種類どうしで群れを形成することが多いが、
まったく違った兵器が相互通信の下統率された動きを行うことがある。

そうなっていると確認された自動兵器群はグループと呼称され、
罠や初歩的な戦術を使うことが多い。


>「取りこぼしちゃってたら、あとはお願いねー」

「……一機、運良く避けたようだね。ジェミニは相変わらずだが、
 あのハイランダーはそれなりに経験を積んでいるようだ」

ジェミニの早撃ちは見事だったが、無人兵器のAIは経験を積むことでより賢くなる。
もし、破壊を免れ上手く探索者たちを狩り続けたならば、それは熟練した探索者や
サイボーグ並みにずる賢く、厄介な存在になりうるだろう。

そして今生き残ったハイランダーは、まさしくそれだった。
片腕は大樹の幹に押し潰されたようだが、それを強制分離することで再び立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。

「……グループの通信網は事故だと判断しているようだね。
 他に自動兵器はいないようだし、巣に戻られる前に狩って――伏せろッ!」

ヤスモトが叫ぶと同時に、続けざまに十数発の銃声が辺りに轟く。
明らかにこちらを狙った攻撃だが、瞬時に展開されたヤスモトの湾曲型防弾シールドが弾道を辺りに曲げて防ぎきった。

「道路の奥!距離350からの狙撃!……あの記録映像と銃声が一致!
 グループの通信量も増大しているね、次の狙撃が来る前に降りよう!」
0228ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/07/30(日) 20:45:54.16ID:kq4udn2S
屋上からふわりとヤスモトは飛び、脚部の反重力システムが落下の衝撃と速度を和らげる。
そしてハッキングアンテナの指向性を全周囲から、狙撃された方向に向けた。

「………他の無人兵器とは違う!情報量が圧倒的すぎる……
 これは大型かもしれない、広い道路のあるビル群でのみ犠牲者が多かった理由がこれなんだ!」

そして、それはゆっくりと姿を現した。
道路を押し潰すように動く二つのキャタピラ、部分的に剥げている灰色の都市迷彩。
シェルターが保有している装甲車よりもはるかに巨大な車体。
そして、二つの機銃が搭載され、装甲の組み合わせに一切の無駄がない、鋭角的なフォルムの砲塔。

かつて戦場を支配した兵器の一つ、戦車がそこにいた。

「……通信のアルゴリズムが違う。
 あの兵器はもしかして戦前から生き残っているんだろうか?」

すると、戦車の砲塔がヤスモトたちではなくグループの方を向いた。
数秒だけ戦車が止まり、揺れが収まった瞬間閃光と衝撃が辺りに走る。

グループのいた道路は丸ごとえぐり取られたように削られ、吹き飛んでいる。
無人兵器の残骸は辺りに飛び散ったのか、そこにいたのかどうかもう分からないほど粉砕されていた。

「――ハイランダーがあれを敵と認定したみたいだ。
 巣を攻撃される前に破壊したいようだね。僕らの巣もあんなのを食らえば吹き飛ぶだろう」

「やろう。目標はあの無人兵器だ」

【今回の目標の登場です!頑張って撃破するなり無力化するなりしましょう!】
0229マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/08/05(土) 02:55:06.54ID:/ZXaIcpU
>「へぇ、いいねこれ。超高性能サイレンサーってわけ。こういうの欲しかったんだよねぇ。
 この任務終わったら何枚か安く譲ってよシスターちゃん」

「はい、勿論構いませんよ!……開拓者であるあなたからすれば、大抵のものは安いの部類に含まれるはずですよね」

ジェミニの頼みに快活な返事をした後で、マリーは小さくそう呟く。

>「シスターちゃん、その羽根今から送る座標とあたしの銃に貼っつけて」

と、腕に装着した小型端末が微振動。
送られてきた座標は……

「あの木ですか?構いませんけど、なんであんなとこ……」

>「今からその木、ぶっこ抜くから」

「へっ?……あ、あーそういう!ちょ、ちょっと待って!まだだめですよ!」

天使像から数十枚の翼が舞い散り、風のない廃墟を横切っていく。
直後にジェミニが銃を抜いた。
その両手が一瞬、マリーの眼では捉えられないほど素早く、かつ精密に動く。
引き金を引き、その直後に右手の親指が再度撃鉄を起こす。
そして発砲、直後に人差し指が撃鉄を起こし……再び銃口が火炎を散らす。
それが一弾倉分、都合六回繰り返されて……そこで初めて、マリーは彼女がなんらかの動作を取った事を認識した。
そして慌てて銃口の先を見る。
遠くに見えていた大樹の幹に、重なり合った大穴が六つ穿たれていた。

「……今の、六発撃ってたんですか!?ひえぇ、銃声一つしか聞こえませんでしたよ、私」

>「取りこぼしちゃってたら、あとはお願いねー」

大樹やビルを倒壊させて無人兵器を破壊するという作戦は、一般の探索者にも時々用いられる事がある。
だがそれは多量の人員と爆薬を用いて行う大規模作戦としてだ。
それをジェミニは事も無げに成してみせた。驚き混じりの賛辞を口にするマリーに対してもさしたる反応を示さない。
つまり彼女にとってこれくらいの事は、ただの手札の一枚……という事だ。

>「……一機、運良く避けたようだね。ジェミニは相変わらずだが、
  あのハイランダーはそれなりに経験を積んでいるようだ」

「……今のを避けたとなると、相当な学習量ですよ。
 急な環境の変化に対応出来るって事は……何度も同じような状況から勝ち抜いてきたからです。
 さて、上手く騙されてくれるか……」

>「……グループの通信網は事故だと判断しているようだね。
  他に自動兵器はいないようだし、巣に戻られる前に狩って――伏せろッ!」

不意にヤスモトが叫んだ。
言われるがままに咄嗟に屈み……同時に響く銃声。
天使像がマリーとジェミニを庇うように翼を広げ……しかしその操作は無意味だった。
銃弾の軌道は天使像の翼に届く前に、まるで見えないレールに乗せられたかのように外側へと逸れていった。
ヤスモトが展開したシールドによる現象だ。

>「道路の奥!距離350からの狙撃!……あの記録映像と銃声が一致!
  グループの通信量も増大しているね、次の狙撃が来る前に降りよう!」

「は、はい!あの、ジェミニさん、えと、ご一緒しますか!?」

開拓者である彼女ならこの状況も自分でなんとかしそうなものだが、
かと言ってまったく声もかけず自分だけ逃げ出すのも据わりが悪くて、マリーはそう尋ねた。
0231マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/08/05(土) 02:56:14.74ID:/ZXaIcpU
彼女は天使像の翼に抱かれるようにしてジェミニを見ている。
もしジェミニが彼女の提案に乗れば、反対側の翼は彼女の席になるだろう。
だが……他の探索者にはよく誤解されがちだが、彼女の天使像に人を支えて飛ぶ為の飛行能力はない。
ミカエルが単体で飛行移動が出来るのは、一時的にナノマシン間の結合を弱めているから。
言わば煙のような状態になっているから、自重に囚われず飛ぶ事が出来るのだ。

つまり……現在いるビルの屋上から飛び降りる際に、天使像に可能なのは着地の衝撃の吸収のみ。
数秒間の空の旅は、景色を楽しむようなものにはならないだろう。
さておき着地を果たすと、一足早く地上に降りていたヤスモトは既に、先の狙撃を行った兵器を捕捉しているようだった。
マリーもナノマシンを飛ばして、その位置と輪郭を捉える。

>「………他の無人兵器とは違う!情報量が圧倒的すぎる……
  これは大型かもしれない、広い道路のあるビル群でのみ犠牲者が多かった理由がこれなんだ!」
>「……通信のアルゴリズムが違う。
  あの兵器はもしかして戦前から生き残っているんだろうか?」

「有視界戦闘の出来ない距離から、取得情報量の多さに物を言わせて一方的に殴りつける。
 ……確かにクラシカルな戦術ですね」

>「――ハイランダーがあれを敵と認定したみたいだ。
  巣を攻撃される前に破壊したいようだね。僕らの巣もあんなのを食らえば吹き飛ぶだろう」
>「やろう。目標はあの無人兵器だ」

「えぇ、ヒグマでもスズメバチでもないのが少し気がかりですが……少なくとも、アレは止めないと。
 あちらが古式ゆかしい戦法を取るなら……こちらも、古式ゆかしい攻略法を取ればいい……ですよね?」

そう言ってマリーは戦車の射線を避けるようにして接近を開始した。

旧時代の主力戦車……MBTの周辺に散布したナノマシンが、戦場の状況をマリーに伝える。
片腕を失ったハイランダーはMBTを敵と認識したらしい。
ヒートナイフを展開しMBTへと距離を詰めていく。
瓦礫や建造物、植物群を利用した、ステルス装甲を最大限に活かした機動。
そして接近を果たしてからの……ヒートナイフの一閃。
それをまともに受けた戦車の装甲には……しかし傷跡は残らない。
表面に生えた苔が焦げ跡と化したのみ。
直後に響く銃声。機体上部に搭載された小口径――当時の基準における、だが――の機銃が火を噴いた。
ハイランダーの頭部から腹部にかけて拳大の穴が幾つも穿たれ……その動作が停止された。

そして……その結果をナノマシン越しに認識した後で、マリーの天使像が動き出す。
その体を粒子化して……破壊されたハイランダーに覆い被さる。
ナノマシンが蠢き、その装甲、内部機構を食い散らかす。
自己複製だ。ハイランダーを材料にナノマシンが増殖しているのだ。
極めて高度なステルス性を誇るハイランダーの装甲を、材料に。
漆黒の羽が周囲に舞い散った。その内の一部はジェミニとヤスモトの周囲を漂い続ける。

「古式ゆかしい攻略法……近づいちゃえば、少なくともその主砲は怖くない。
 残る問題は……この兵器の動きを止めるのは、結構大変そう……」

マリーが戦闘区域に飛び出し、同時に天使像も動き出す。
ナノマシンを操る能力を持つマリーだが、彼女はそれを理由に自分が隠れるような事はしない。
敵の的は多ければ多いほど、AIの対応精度は低下する。
修道服を構築するナノマシンを操作すればサイボーグに近い挙動も取れる。
仲間のリスクを低減する為なら、彼女は出来る事はなんでもするのだ。

ハイランダーの装甲を取り込んだ天使像が、戦車へと迫る。
狙いは機体の表面に設置されたセンサー群だ。
破壊する事は叶わなくとも……ナノマシンを表面に塗装する事は出来る。
ハイランダーのステルス装甲を塗りたくられれば……どんなセンサーだって十全の機能を発揮する事は出来ない。
0233ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/10(木) 20:26:48.62ID:dkloH3rs
>「……一機、運良く避けたようだね。ジェミニは相変わらずだが、あのハイランダーはそれなりに経験を積んでいるようだ」

倒壊する巨木に巻き込まれた二体のハイランダー。
うち一体は一枚の板金に成り果てたが、もう片方は隻腕に成りながらも破壊を免れたようだった。

「ありゃっ、思ったより動けるみたいだね。まぁーなんとかなるでしょ」

想定した戦果の半分しか得られなかったことにジェミニは鼻を鳴らすが、すぐに思考を切り替える。
慢心ではなく純粋な戦力の比較として、片腕のハイランダーなど彼女達のチームの敵になどなりはしない。

>「……グループの通信網は事故だと判断しているようだね。
 他に自動兵器はいないようだし、巣に戻られる前に狩って――伏せろッ!」

「うわっ?」

突然の警告に弾かれるようにして頭を下げると、追って機関銃の音色が遠くから轟いた。
間断なくヤスモトの展開した防盾を弾丸が擦過していく音が響く。

「なになに、今のハイランダー?こんな兵装載ってたっけ?」

>「道路の奥!距離350からの狙撃!……あの記録映像と銃声が一致!
  グループの通信量も増大しているね、次の狙撃が来る前に降りよう!」

ヤスモトの真剣味を帯びた声に流石のジェミニも目を眇める。
いくつもの探索者集団を壊滅させてきた、暫定中型以上の無人兵器。
ここで止めねばシェルターさえ滅ぼす脅威の存在が、ついにその姿を見せたのだ。

「今回のメインディッシュのお出ましってわけ……先手取られちゃったねヤスモっさん」

即座に屋上から飛び出すヤスモトの判断は迅速にして正確だった。
ジェミニ達がハイランダーの始末に気を取られている間、彼はずっと広範囲の警戒を続けていたのだ。
これが長きに渡ってシェルターの探索者達を生き残らせてきた古兵の知慧だ。

>「は、はい!あの、ジェミニさん、えと、ご一緒しますか!?」

マリーが天使像の抱擁を受けながらジェミニに問うた。

「マジ?その像人間乗っけて飛べるの?超便利じゃん乗せて乗せて!」

口車にホイホイ乗せられて、ジェミニはマリーと共に天使像に抱かれた。
天使像が狙撃を受けないよう射角を警戒しながら屋上を飛び立つ。

「飛ん……でないねこれ!ほぼほぼ自由落下じゃん!」

血液が慣性に従って天地逆さまに落ちていくのを感じた。
酸素運搬能力を強化されたジェミニの人工血液は立ちくらみこそ起こさないものの、三半規管に絶妙な違和感を憶えてうえってなる。
重力加速度を一切緩和せずに地表に衝突した天使像であったが、着地自体は非常にソフトなものであった。
0235ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/10(木) 20:28:38.98ID:dkloH3rs
「次は快適な空の旅が出来るようになってから誘って……」

天使像からべっと吐き出されたジェミニはひび割れたアスファルトを踏んでようやく人心地がつく。
既に地上に降りていたヤスモトはアンテナで空を切りながら敵性存在の分析を済ませていた。

>「………他の無人兵器とは違う!情報量が圧倒的すぎる……
 これは大型かもしれない、広い道路のあるビル群でのみ犠牲者が多かった理由がこれなんだ!」

「……スズメバチ?にしては"羽音"が聞こえてこないけど」

大型無人兵器であるスズメバチは、"羽音"と形容される特有の駆動音がある。
その圧倒的な攻撃能力のために、シェルターにとっては終末の鐘にも等しい不吉の音色が、しかし今は聞こえてこない。
ジェルターの見立てがてんで的外れで、ここに来ているのがスズメバチとは別の大型だとするならば、バッドニュースにも程がある。

「ていうか、代わりに懐かしい音が聞こえるような……」

キュラキュラと独特な軌条の擦れ合う音と共に、敵は姿を現した。
やけっぱちのように巨大なキャタピラの上で、鉄塊にも等しい継ぎ目のない装甲を纏った車体が唸っている。
頑丈なハッチに守られた低背のキューポラと、排熱で陽炎を吹き出す大型のエンジン。
何よりも特徴的な、象の鼻より長く太い、砲身。

「――戦車じゃん!」

ジェミニは思わず声を挙げた。
戦車。旧時代の陸上戦闘においてかつては最強の座に君臨していた駆動兵器の一つだ。
やがて戦闘ヘリの登場によって主戦場を駆逐された後も、その存在感によって戦いのイコンとして在り続けた兵器。

>「……通信のアルゴリズムが違う。あの兵器はもしかして戦前から生き残っているんだろうか?」

「そんな骨董品がなんで今さら人類裏切ってんのさ!」

無人兵器とは違い、戦車は明確に人類側の兵器だったはずだ。
今でこそ散兵が基本の探索者に用いられることはないが、例えばシェルターの護衛などに使われているのをジェミニは見たことがある。
無論、サイズは今対峙している戦車よりもかなり小さいものではあるが。

「ていうかここに居続けるのもやばくない?さっき飛んできたのって単なる機銃でしょ。
 あれが戦車である以上、メイン武器はあんな豆鉄砲じゃなくて――」

ジェミニの言葉を掻き消すように轟音が響き渡る。
戦車の主砲。大質量の鉄塊を吐き出す雷槌の如き一撃が、無人兵器の一団を地形ごとかき消していた。

「――これだよねぇ」

戦車砲は、口径の6倍の厚さの鉄板をぶち抜ける威力を持つ陸戦最大火力だ。
あの戦車の正確な口径は判断しにくいが、少なくともジェミニ達探索者であれば付近を通過した衝撃波だけでバラバラだ。
シェルターだってひとたまりもあるまい。

>「――ハイランダーがあれを敵と認定したみたいだ。
 巣を攻撃される前に破壊したいようだね。僕らの巣もあんなのを食らえば吹き飛ぶだろう」

「……どうなってんの。無人兵器も一枚岩じゃないってことなのかな」

無人兵器同士で戦い始めた光景を前に、ジェミニは訝しむ。
敵側で勝手に数を減らしてくれるのは結構なことだが、あの戦車はこちらに対しても敵対している。
ハイランダーを叩き潰したら、次狙われるのがジェミニ達であることに変わりはあるまい。

>「えぇ、ヒグマでもスズメバチでもないのが少し気がかりですが……少なくとも、アレは止めないと。
 あちらが古式ゆかしい戦法を取るなら……こちらも、古式ゆかしい攻略法を取ればいい……ですよね?」
0236ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/10(木) 20:28:59.33ID:dkloH3rs
いちはやく状況を解したらしきマリーが前に出た。
健闘虚しく機銃の餌食になったハイランダーの残骸を天使像が取り込み、消化する。
ハイランダーの持つ高度なステルス装甲を性質そのままに黒い羽へと変え、戦場に散布した。
マリーはステルスの羽を隠れ蓑として、戦車に肉迫する。

>「古式ゆかしい攻略法……近づいちゃえば、少なくともその主砲は怖くない。
 残る問題は……この兵器の動きを止めるのは、結構大変そう……」

古典的な対戦車戦術は、懐に潜り込むことだ。
主砲は車体よりも下の角度を狙うことが出来ない。すなわち俯角の限界を見極め、マリーはそこに飛び込んだのだ。
言うだけならば簡単だが、機銃を掻い潜ってそこまで辿り着くことは容易くなどない。
ほんの一箇所ボタンを掛け違えるだけで、彼女は他愛なく肉片と化す。
蛮勇か、豪胆か。年端もいかない少女であるはずのマリーは、しかし誰よりも前で戦っている。

「度胸があるねぇ。おねえさんも負けてらんないな」

ジェミニもマリーの後を追って戦車の至近に入る。
あのままぼっ立ちしていれば遠からず主砲の餌食となる。ぞっとしない死に方だ。

「あたし昔さ、シェルター間の利権戦争に駆り出された時に戦車とやりあったことがあるんだけどね。
 あの時は主砲の中に弾丸ぶち込んで腔発させてやったんだけど、このデカブツにはちょっと厳しいかなぁ」

その時の戦車の砲弾は近接信管式の榴弾だった為、主砲の中を狙撃して榴弾を暴発させて破壊することが出来た。
しかし、同じやり方でこの戦車を倒すには、あの強烈無比な主砲の射界に自分が立つ必要がある。
主砲の発射間隔も分かっていない現状、自殺行為に等しかった。

「対空機銃がある以上はミーティアも飛ばせないし、さてどうしたもんかな」

呟きながら履帯へ向けて発砲する。
ファニングによってワンマガジンの全弾がキャタピラへと吸い込まれるが、しかし履帯は破損するどころか微妙な傷が入るだけだ。

「うわ、履帯も硬っ!何センチの鉄板使ってんのこれ!」

崩壊した都市の悪路も問題なく走行する無限軌条。
徹甲仕様のジェミニの弾丸でさえ阻む異常な防御力は、やはりこの戦車が無人兵器であることを再確認させる。
ハイランダーを取り込んだ天使像が戦車へと躍りかかり、機体表面のセンサーを何かで覆う。
ステルス装甲。レーダーを弾き返す素材は、裏返せばすなわちセンサーを無力化する遮蔽物だ。

「よし、今なら――」

センサーが自己洗浄によって復活するより速く、ジェミニはミーティアを数機上空へと打ち上げた。
機銃による迎撃が飛んでこない。マリーの戦術は功を奏しているようだ。

「戦車を相手にする古式ゆかしき攻略法、その2は……上から撃つ!」

ジェミニの両手が再び瞬いた。撃ち放たれた弾丸が上空のミーティアによって跳弾し、車体上部のキューポラへと降り注ぐ。
戦車の上部は砲塔や搭乗口などの可動部が多く、故に前面の装甲よりも耐久性では劣る。
まさか中に人が乗っているなどと思いはしないが、ハッチを貫いて内部に損害を与えられるなら儲けものだ。

【センサー無効化の隙をついてミーティアを上空へ飛ばし、跳弾によって上からキューポラを狙う】
0237ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/08/16(水) 20:16:56.66ID:15HgpeYi
>「えぇ、ヒグマでもスズメバチでもないのが少し気がかりですが……少なくとも、アレは止めないと。
 あちらが古式ゆかしい戦法を取るなら……こちらも、古式ゆかしい攻略法を取ればいい……ですよね?」

「まったく、その通りだよ。幸いハイランダーが突っ込んでくれている、彼を囮に近づくとしよう」

ステルス性を持つナノマシンが周囲を漂うのを確認し、二人と共に静かに近づく。
もし戦車に随伴する歩兵がいればとてもできない行動だが、この戦車はあまりにも長く戦っていたのかただ一機のみだ。

>「あたし昔さ、シェルター間の利権戦争に駆り出された時に戦車とやりあったことがあるんだけどね。
 あの時は主砲の中に弾丸ぶち込んで腔発させてやったんだけど、このデカブツにはちょっと厳しいかなぁ」

「あれは戦車というより装甲車だよ、はるか昔の基準ではね。
 それに整備もロクにされていなかった……この戦車もそうだといいけど」

そう言ってヤスモトは再びハッキングアンテナを伸ばし、無人兵器たちの通信を傍受する。
無人兵器たちは基本的に単純な思考しかしないが、『巣』や『工場』と呼ばれる彼らの拠点から
緊急事態に対する命令が送られることは多い。

輸送中の無人兵器たちが丸ごと消し飛び、護衛も撃破されたとなれば
巣は間違いなく増援を送るだろう。最低でもハイランダー級の無人兵器を複数体。

>「戦車を相手にする古式ゆかしき攻略法、その2は……上から撃つ!」

ジェミニの射撃の腕は才能、経験、技術が合わさった人類最高クラスのものだ。
そして戦車は上からの攻撃に弱いというのも常識だ。

しかし、この戦車は人が乗ることを前提にはしていなかった。
キューポラに降り注ぐ徹甲弾の雨は、確かに有効だった。貫通し、内部へと被害を与えた。

だが被害を受けたのは、砲塔内部にある音響センサーのケーブルと整備用のハッチに穴が開いたのみ。
それ以上の損害はなく、戦車は何事もなかったかのようにゆっくりと行動を再開する。
戦車の表面に纏わりついた不純物を排熱を利用した焼却システムで表面をくまなく焼き払い、破壊された部分を内部配線を繋ぎ変えることで補う。

そうして戦車は再び動き出し、先程見つけた3体の敵兵を排除するべく探し始めた。

「……さすが崩壊前の兵器だ。隙がない。
 対戦車兵器に対する迎撃システムも完備されているようだよ。
 砲塔上部にあるハッチに穴が開いたけれど、持ち上げてる間に機銃かあの焼き払いを受けるだろうね」

動き出した戦車から離れ、近くにあったビルの一室に再びヤスモトたちは隠れる。
ヤスモトはバックパックから取り出した折り畳み式のロケットランチャーを組み立てているが、
ハッキングで得た情報によればこれも迎撃システムが感知すれば即座に破壊されるだろう。

「巣は既に動いているようだよ。
 対装甲武器を持った無人兵器を20体ほどここに送り込むつもりのようだ。
 たぶん『アリ』か『バッタ』だろう」

アリもバッタも汎用性が高く、多脚歩行と背中に積む武器次第で
あらゆる地形であらゆる敵を相手にすることができる全長1.6m、全高90pほどの小型無人兵器だ。
壁や天井を歩くことができる歩行ユニットを持ち、無人兵器群のの主力である。

「いったん彼らと戦車をぶつけて、消耗させよう。
 僕らの火力は正面から戦車を潰せるほどではない」


【戦車の武装は以上です!】
0238マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/08/22(火) 04:01:19.12ID:dPSDwEwj
天使像の羽が唸り、戦車の走行を殴りつける。
破壊は叶わない。だがセンサー部分にハイランダーの装甲を塗布する事は出来た。

>「よし、今なら――」「戦車を相手にする古式ゆかしき攻略法、その2は……上から撃つ!」

「やた!流石ジェミニさん!さぁ効果の程は……」

マリーが言葉を紡ぎ終えるよりも早く、戦車の側面装甲に穴が空いた。
当然、攻撃の成果によるものではない。戦車が自ら装甲の一部を開放したのだ。
何の為か。考えるまでもない。内部から、外部へ、何かを放出する為だ。
そして戦車の内部から放たれるもので、マリーに害を及ぼさないものなど存在しない。

焼却システムから放たれた火炎が彼女を襲う。
噴射に伴う高圧の熱風に跳ね飛ばされて、マリーは地を転がる。
……そして、起き上がる。同時に飛来した天使像が彼女をすくい上げ、物陰へと飛び込んだ。
修道服を構築するナノマシンが彼女の危機察知に応じて変形、硬化と真空層の構築による防御を行ったのだ。

「ひ、ひええ……危なかった。
 ……だけど今ので私は「耐える」と覚えさせた。
 これで「三手」、多く引きつけられる……」

マリーの修道服が黒く染まっていく。
ハイランダーを分解し得たステルス材を混合しているのだ。
センサーの眼を掻い潜り、マリーは一度ヤスモト達と合流する。
0239マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
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2017/08/22(火) 04:01:43.89ID:dPSDwEwj
>「……さすが崩壊前の兵器だ。隙がない。
  対戦車兵器に対する迎撃システムも完備されているようだよ。
  砲塔上部にあるハッチに穴が開いたけれど、持ち上げてる間に機銃かあの焼き払いを受けるだろうね」

「あの穴、試しにナノマシンを送り込んでみたんですけど、もう破壊されちゃってます。
 内部を正常に保つ為の機能も万全って事ですね。
 ……ハイランダー達がやられて、その後の通信はどんな感じです?」

>「巣は既に動いているようだよ。
  対装甲武器を持った無人兵器を20体ほどここに送り込むつもりのようだ。
  たぶん『アリ』か『バッタ』だろう」
>「いったん彼らと戦車をぶつけて、消耗させよう。
  僕らの火力は正面から戦車を潰せるほどではない」

「……何か便利な兵装を積んできてくれればいいんですけど」

マリーはナノマシンを広域に散布して、周囲の様子を伺う。
程なくしてナノマシンが何らかの移動物体を感知した。

「これは……手触りからして、アリですね」

対空射撃の可能な機銃を持つ戦車に対しては『バッタ』の機動性よりも、
『アリ』の高い地形適応性が有効だと、『巣』は判断したようだ。

「兵装は……ううん、手触りだけじゃ特定出来ないですね……。
 だけど、そこそこ物々しい感じです。アーマーピアシングか、HEATか……期待出来ますよ」

さて、とマリーは壁越しに戦車の位置へと視線を向ける。
ナノマシンを精密かつ大量に動かす為の、集中が目的だ。

「せっかく持ってきた兵装、使う前に全滅されちゃ勿体無いですからね。
 ちょこっと手助けしてあげますか……」

不意に、戦車の正面にハイランダーが出現する。
マリーの操るナノマシンが作り出した、密度の低い、煙のようなまやかしだ。
だが戦車のセンサーにはそんな事は理解出来ない。
理解出来るのはただ、ステルス性能に長けた敵性兵器が、不意に至近距離に現れたという事。
そしてその直後に……主砲か、それとも機銃か。いずれにせよ自身の攻撃を受けて、消滅したという事だけだ。


【遅くなってごめんなさーい!】
0241ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/08/25(金) 03:02:22.62ID:rICcmgmx
天上からの弾雨に対し、戦車は抵抗の術なくその身に弾丸を受けた。
キューポラを貫通した徹甲弾が内部機構を傷付けたのか、一瞬だけ動きが止まる。
間近でそれを見ていたマリーが快哉を挙げた。

>「やた!流石ジェミニさん!さぁ効果の程は……」

だが、それだけだった。戦車は機能を停止するどころか、装甲表面を目まぐるしく動かし始める。
周囲に漂うツンとした異臭に、ジェミニは悪寒を憶えた。

「あっこれ、やばいやつ……」

ほとんど反射的に飛び退き距離を取った瞬間、戦車の総身が炎に包まれた。
車体を破壊するような爆発ではない。戦車が自ら吐き出した火炎放射だ。

「焼身洗浄――!?」

装甲の高度な耐火性能に任せて、高温の炎で付着物を強制的に焼き飛ばす自己洗浄機能だ。
洗浄液で洗い流すのとは訳が違う。無人兵器との戦闘で使われるセンサ潰し用の耐液被覆材さえも焼却には耐えられない。
そしてかの兵装の特筆すべき点はもう一つ。洗浄行動がそのまま周囲に対する攻撃へ転用できることだ。

「シスターちゃん――!」

至近距離へ肉迫していたマリーは噴き出した炎の直撃を受けた。
爆心地にも近い焦熱と烈風に吹き飛ばされた彼女は、焼却炉から掻き出される消し炭のように転がっていく。
ジェミニは思わず息を呑むが、熟練探索者の絶望的な予測をマリーは上回った。
回り込んでいた天使像に抱きかかえられて焼却圏を脱した彼女に熱傷はなく、代わりに焦げた修道服が剥がれ落ちて新しくなった。
装甲蠕動から火炎放射までの寸毫にも満たないタイムラグで敵の兵装を的確に見抜き、耐熱服を生成していたのだ。

>「ひ、ひええ……危なかった。……だけど今ので私は「耐える」と覚えさせた。これで「三手」、多く引きつけられる……」

「あれ食らってそういうタフなセリフが吐けるのは、お姉さんマジで凄いと思うよ」

転んでもタダじゃ起きないとばかりのマリーの一言に、ジェミニは揶揄ではなく本心から舌を巻いた。
自分より一回りも年若い少女の常軌を逸した覚悟と冷静さは、戦場ではこの上なく心強い。
ジェミニとヤスモトが退避していた物陰に、服を新調したマリーも合流する。

>「……さすが崩壊前の兵器だ。隙がない。対戦車兵器に対する迎撃システムも完備されているようだよ。
 砲塔上部にあるハッチに穴が開いたけれど、持ち上げてる間に機銃かあの焼き払いを受けるだろうね」

「戦車のくせに随伴歩兵も付けてないゴーマンっぷりの裏付けはこれかぁ。
 となると古式ゆかしき戦車攻略法その3はムリっぽいね。頑として正攻法を強いてくるのはさすが陸戦の覇者って感じ」
0242ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/08/25(金) 03:02:50.67ID:rICcmgmx
ちなみに攻略法その3はハッチをこじ開けて内部の乗員を直接ぶち殺すアレだ。
無論、それはあの戦車の中に人間が入っているという既に否定された前提のもとの攻略法であるが。
ヤスモトは通信傍受と並行してロケットランチャーを組み立てている。機銃のおやつ以外の末路は想像できない。

>「あの穴、試しにナノマシンを送り込んでみたんですけど、もう破壊されちゃってます。
 内部を正常に保つ為の機能も万全って事ですね。……ハイランダー達がやられて、その後の通信はどんな感じです?

抜け目なく攻略法その3を試していたマリーの問いに、ヤスモトは戦車から目を離さず答えた。

>「巣は既に動いているようだよ。対装甲武器を持った無人兵器を20体ほどここに送り込むつもりのようだ。
 たぶん『アリ』か『バッタ』だろう」

「あちらさんの調停は決裂して内ゲバ勃発ってわけね。無人兵器同士ってもっと仲良いのかと思ってたよ」

あの戦車と『巣』との間でいかなる交渉が行われたのか、ヤスモトならば分かるのだろうか。
無人兵器に感情は存在しないというのがセンターが公式に発している見解である。
ならば、今目の前で繰り広げられている無人兵器同士の争いは、一体どんなボタンの掛け違えで引き起こされたと言うのか。

>「いったん彼らと戦車をぶつけて、消耗させよう。僕らの火力は正面から戦車を潰せるほどではない」

「だね。誠に遺憾ではあるけど、ここは漁夫の利狙ったほうがよさそう」

>「……何か便利な兵装を積んできてくれればいいんですけど」

三者が同一の見解を表明して、彼女たちは一部始終を見守るフェイズへと移行する。
ヤスモトの見立ての通り、おそらく『巣』は増援に小型を寄越してくる。
中型が来たところであの主砲の餌食になるだけならば、戦列を広くとった散兵で対応するほかあるまい。

>「これは……手触りからして、アリですね」

ナノマシンによる索敵を終えたマリーが結果を報告した。

>「兵装は……ううん、手触りだけじゃ特定出来ないですね……。
 だけど、そこそこ物々しい感じです。アーマーピアシングか、HEATか……期待出来ますよ」

「当たればね、当たれば……」

益体もない事実の確認を呟いて、ジェミニは肩を竦めた。
選り取り見取り、対装甲兵器の酒池肉林。センターが泣いて喜びそうなラインナップだ。
『アリ』には確か、換装兵器とは別にコンクリや鉄板を容易く引き裂き食い千切る大型ニッパーが標準搭載されていた。
黎明期のシェルター外壁を穴だらけにした強靭な"顎"も、戦車の迎撃システムを掻い潜れなければ意味を為さない。
0243ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/08/25(金) 03:03:13.58ID:rICcmgmx
>「せっかく持ってきた兵装、使う前に全滅されちゃ勿体無いですからね。ちょこっと手助けしてあげますか……」

「……コーヒーでも淹れてあげるの?」

戦車の眼前に出現したコーヒーメーカーもといハイランダーの幻影を見て、ジェミニは性懲りもなく適当抜かした。
敵性存在を感知した戦車の攻撃が幻を素通りして霧散していく。マリーの描いた筋書き通りに踊らされる。
戦車を手玉にとって蠱惑しようなど、嫌な小悪魔がいたものである。

「敵の敵は味方とか言うけどさぁ、無人兵器と共闘することになるなんて考慮してないよマジで」

ジェミニは苦笑いでお茶を濁しつつも、腰に付けたポーチから2つの装備を取り出した。
一つは折りたたみ式のストック。愛銃のグリップにそれを取り付け、反動を肩で吸収できるようにする。
もう一つは、彼女が常用する徹甲弾とは別の、黒い艶消しを施された弾丸だった。

「これ高いんだよね……経費ちゃんと降りるかな」

徹甲弾との相違点は、まず弾頭が平べったく潰れた形状をしていること。
さらに、重心が極端に先端に寄ったフロントヘビーであること。
そして何より、弾丸自体が異常なまでの密度と重量を持っていることだ。

超重質量強装弾『ノックバッカー』。
極めて比重の重い電縮イリジウムによって弾体の大部分を構成されたこの弾丸は、対象の破壊を目的としていない。
弾頭は潰れやすく、薄い雑誌本すら撃ち抜くことが出来ず表面で止まってしまう。
弾体の持つ推進力と慣性のエネルギーは、全て対象を『吹っ飛ばす』ことに用いられる。

大口径とは言え拳銃弾の一発が、中型無人兵器さえも上下をひっくり返される解体鉄球の如き槌撃だ。
空気抵抗に大きく影響を受ける為に弾道が安定せず、限定された用途も相まって実用性は0に等しい浪漫武器の類である。

「シスターちゃん、音消しお願い。あと耳塞いで口開けて。鼓膜破れちゃうよ」

大型リボルバー『ワイルドベア』を半ばから折って排莢。
代わりに五発の徹甲弾と一発のノックバッカーを淀みない手付きで装填する。

ジェミニ・カラミティという探索者が旧式のリボルバーを好んで使う理由の一つは、過酷な環境下での信頼性を求めてのことだ。
故障し辛く、給弾不良を起こさず、簡単な機材で十分な整備が可能という特性はパイオニアというスタイルに合致している。
そしてもう一つの理由。
それは、手動で装填するが故に、異なる種類の弾丸を任意に撃ち分けられることである。

「でっかい奴を相手にするときの古式ゆかしい攻略法は――出っ張り部分を撃つべし!」

大男との立ち合いで顎の先端を打ち抜き脳震盪を狙うように。
戦車の巨体を揺るがすことは出来なくとも、機銃や主砲などの先端部分に強い衝撃を与えれば照準維持は不可能なはずだ。

ジェミニは機銃と主砲の射撃間隔を測りつつ、発射されるタイミングを狙ってそれぞれの砲身へ銃撃を加えていく。
機銃には通常弾、主砲にはノックバッカー。二種の弾を一つの弾倉で撃ち分けながら、細長い目標へ正確に弾丸を叩き込んだ。


【戦車が撃つタイミングで横から弾で殴りつけ、照準をずらさせることで『アリ』を支援】
0244ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/08/26(土) 21:16:21.56ID:fbSsLz/4
>「兵装は……ううん、手触りだけじゃ特定出来ないですね……。
 だけど、そこそこ物々しい感じです。アーマーピアシングか、HEATか……期待出来ますよ」

「種類が特定できた。無反動砲の弾頭はHEATのみ、装甲を破壊した後無力化して資源回収するつもりらしいね」

無人兵器の群れは常にお互いの兵装・状態を共有している。
それはつまり、彼らの通信を傍受できれば何を装備しているか、何を輸送しているかが丸わかりということだ。
ただ、シェルターにおいて彼らの通信を傍受できるのはセンターの一角にある通信室と、
ヤスモトが最初の機械化からずっと装備している頭部のハッキングアンテナだけだ。

>「せっかく持ってきた兵装、使う前に全滅されちゃ勿体無いですからね。ちょこっと手助けしてあげますか……」

ナノマシンが形成するハイランダーによく似た煙は、戦車から見れば先程飛びついてきた敵兵器が
目の前にもう一体現れた、ということしか判断できない。

前文明の兵器である戦車は、本来であれば他兵器とのデータリンク機能と搭乗者の判断によってこのようなデコイを見抜けるが、
単独で行動する今となっては敵性の高いと判断したものを無差別に排除する無人兵器でしかないのだ。

だから、戦車は迷うことなく機銃をその敵に向け、先程と同じように鉄屑になるのを確認した。

>「これ高いんだよね……経費ちゃんと降りるかな」

戦車が無人兵器の新手を検知し、迎撃するべく移動を開始した。
それに合わせてヤスモトたちも動き、三人はビルからビルへ、物陰を縫うように移動する。

「ノックバッカーは…どうだろう、シェルターの生産リストに入っていればいいんだけど」

ジェミニのリボルバーへのなめらかな装填に合わせて、
ヤスモトも組み立てたロケットランチャーにサブアームを使って弾頭を装填する。
ただし、無人兵器たちのようなHEATではなく爆発と同時に強烈な電磁波を辺りに放つ対電子戦用弾頭だ。
0246ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/08/26(土) 21:17:53.52ID:fbSsLz/4
>「シスターちゃん、音消しお願い。あと耳塞いで口開けて。鼓膜破れちゃうよ」

「耳当てをバザーで買ってくるべきだったね。探索者なら誰しも一つは持っているものだから」

そして無人兵器の群れが戦車との交戦距離に入り、アリたちが背中に搭載した無反動砲から大量のHEAT弾が戦車めがけて放たれると同時に
戦車もまた、道路を左右に揺れつつ走りながら、砲塔に搭載された機銃掃射と両脇にある迎撃システムによる飛翔体の大量投射、
そして主砲による榴弾の連射によって応戦する。

そんな砲撃のぶつかり合いの中、戦車がアリたちに主砲を向け、確実に仕留めるべく移動を止めた瞬間だった。

>「でっかい奴を相手にするときの古式ゆかしい攻略法は――出っ張り部分を撃つべし!」

「そして目と耳を潰せ。戦闘の基本だね」

リボルバーによる六連射の狙撃という超人の芸当。
これを軽々と行えるのが、ジェミニがパイオニストたる所以だ。

だから、ただの探索者であるヤスモトは超人的な芸当はしない。
六連狙撃の直前に対電子戦用弾頭がさく裂するようタイミングを合わせただけ。

それだけで戦車を統括する補助AIは数秒動きを止め、直後にやってきた衝撃の嵐に早急な対処を迫られることとなった。
強烈な電磁波によるセンサーの麻痺。銃撃で使用不能となった機銃。発射こそできるものの、砲身全体が大きく歪んでしまった主砲。
これら全ての情報を操縦席にいる搭乗者に伝達したが、反応は帰ってこない。
補助AIは過度の負傷による意識不明と判断し、補助AIは何度も繰り返した救難信号を辺りにまき散らしながら撤退することを決めた。

「……あの戦車は助けを呼び始めたね。
 搭乗者負傷、撤退ポイントの指示を求む、戦闘続行不可能……アリたちも動いたようだ」

アリたちは撃ち切った無反動砲を背中から分離し、道路をひた走る戦車に向けて移動を開始した。
彼らは既に戦車のことを敵兵器としてではなく、資源として見ているのだ。
その証拠と言わんばかりに、頭部の大型ニッパーが大きく左右に分かれ、いつでも食らいつけるよう準備している。

「無力化はしたけど、アリたちを残すわけにもいかない。
 そして可能なら鹵獲。もうひと踏ん張り、行こうか」

ヤスモトがバックパックに手を伸ばし、背中のサブアームが重機関銃を淀みなくバックパックから取り出す。
そして戦車を追うアリたちをさらに追いかける形で、ヤスモトは走り出した。


【アリはお二人で殲滅してもらっても大丈夫です!】
0247マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/09/01(金) 23:29:54.61ID:FL5ikVIR
>「……コーヒーでも淹れてあげるの?」

「ふふっ……ちょっと違いますけど、ブレークタイムには間違いないですね。
 一手、無駄にしてもらいましょう……」

マリーの言葉の最後を塗り潰すように、戦車の機銃掃射が轟く。

>「敵の敵は味方とか言うけどさぁ、無人兵器と共闘することになるなんて考慮してないよマジで」

「……そうですよね。無人兵器同士が争っている事自体、私は初めて見ました」

彼らのAIが一体いかなる思考プロセスを経て今の行動に至っているのか。
マリーには理解出来ない。だが……理解しようとも、実のところ思っていない。
この状況において、彼女にとって大切なのはより安全に、より確実に任務を達成する事。

>「これ高いんだよね……経費ちゃんと降りるかな」

「……もし落ちるなら予備は私に預けて、沢山使った事にしませんか?」

……それと、沢山の報酬を得て教会の活動を拡大する事のみ。

>「シスターちゃん、音消しお願い。あと耳塞いで口開けて。鼓膜破れちゃうよ」
>「でっかい奴を相手にするときの古式ゆかしい攻略法は――出っ張り部分を撃つべし!」

言われるがままに消音の羽を展開すると、ジェミニは戦車へと銃口を向け、引き金を引く。
彼女が狙いを定めたのは戦車の主砲と機銃、その先端。
発砲音は鳴らず、着弾音のみが立て続けに響く。
砲身も銃身も、自らが仕掛けた銃撃によって不規則に揺らいでいるはずなのに。
そして六度目の着弾音の直後……幾重にも重なった爆音が轟く。
アリ達のHEAT弾が発射され、戦車に着弾した音だ。

「……おみごと。アリ達も上手くHEAT弾を命中させてくれたみたいですね。
 履帯にもダメージが通ってるし、主砲の砲身も曲がっちゃってますよ!」

>「……あの戦車は助けを呼び始めたね。
  搭乗者負傷、撤退ポイントの指示を求む、戦闘続行不可能……アリたちも動いたようだ」

「……搭乗者?えっ?あの戦車、そう言ってるんですか?
 それにそもそも助けを求めるって一体何に対して……?」

>「無力化はしたけど、アリたちを残すわけにもいかない。
  そして可能なら鹵獲。もうひと踏ん張り、行こうか」

「あっ、そ、そうでした!私達の報酬を一山幾らの鉄くずにされる訳にはいきませんからねっ!」

ヤスモトに続いて身を隠していたビルから飛び出すと、マリーはそのまま天使像に飛び乗る。
そしてビルの壁面を経由するように跳躍……アリの群れ、そのやや前方へと飛び込んだ。
着地の瞬間、硬質化した天使の翼が二体のアリの頭部を貫き、その機能を停止させる。

更にマリー自身も……身に纏う修道服を再構築。
右手の先に頭部大の球体を形成し、ハイランダーから接収した金属でそれをコーティング。
再びナノマシンを操作……修道服ごと右腕を高速で振り回し……アリの頭部を叩き潰す。
戦車相手には披露する機会は得られなかったが、彼女は自在に操れる戦闘人形を持ちながらも、自分自身も超短距離での戦闘を好む。
それは彼女が教会の運営と同じくらい、他者を守り、傷つけさせない事を重視しているからだ。
その理由は、彼女が善人であるから……ではない。
ではないが……今語るような事でもない。


【ひーん遅くなってごめんなさいー……】
0249ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/09/05(火) 17:49:29.72ID:PKjIhE1j
ノックバッカーと徹甲弾による六連の狙撃に、ヤスモトがロケットランチャーの炸裂をピタリと同期させる。

>「そして目と耳を潰せ。戦闘の基本だね」

電子撹乱弾頭が戦車の感覚器を塗り潰し、主砲と機銃が鉄塊に殴られて大きく撓む。
迎撃兵装を沈黙させられた無防備な戦車に、アリ達の対装甲兵器が雨あられとばかりに降り注いだ。
爆炎と轟音が戦車を包み、それは極小の恒星にさえ思えた。

「大当たりーーっ!」

外れてしまった肩を無事な方の腕で戻しながら、ジェミニは快哉を叫んだ。
ノックバッカーの強烈な反動はストックを用いても殺しきれないため、人工関節を自己脱臼することで吸収しているのだ。
サイボーグであるジェミニだからこそできる判断。かつて生身だったころに一回これをやって肩がもげたことも良い思い出だ。

>「……おみごと。アリ達も上手くHEAT弾を命中させてくれたみたいですね。
 履帯にもダメージが通ってるし、主砲の砲身も曲がっちゃってますよ!」

「これだけ直撃通ってんのに大破もしてない頑丈さにはゾっとするけどねぇ……」

とは言え、マリーの見立ての通り戦車のダメージは甚大だった。
巨大な主砲こそ曲がりはしたものの生きてはいるが、対空機銃はあらかたひしゃげて残骸と化している。
これならばミーティアを打ち上げても問題はないだろう。

>「……あの戦車は助けを呼び始めたね。
 搭乗者負傷、撤退ポイントの指示を求む、戦闘続行不可能……アリたちも動いたようだ」

>「……搭乗者?えっ?あの戦車、そう言ってるんですか?それにそもそも助けを求めるって一体何に対して……?」

戦車の通信を傍受していたヤスモトが端的に訳した内容に、マリーは眉を顰める。
おそらく"登場者"に関する情報は、あの戦車がまだ『現役』だった頃の判断プログラムの名残なのだろう。
問題はマリーが指摘したように、あの戦車が助けを求める先がどこなのかだ。

「ヤスモっさん、あの戦車が救援信号出してる相手って無人兵器の『巣』なのかな。
 この区域に2つも巣があるなんて考えたくもないけどさ」

無人兵器の拠点である巣には種類がある。
人類生存領域の外にある、未だ人間が到達したことのない本拠点としての巣、マザーと仮称される場所。
そして、汚染区域に点在する無人兵器たちの前哨基地。センターの言うところの巣は後者だ。
戦車は撤退を始めている。その足の向かう先は一体どこなのだろうか。

>「無力化はしたけど、アリたちを残すわけにもいかない。そして可能なら鹵獲。もうひと踏ん張り、行こうか」

>「あっ、そ、そうでした!私達の報酬を一山幾らの鉄くずにされる訳にはいきませんからねっ!」

マリーは無人兵器の深奥の解明よりも報酬の確保に対する興味のほうが勝ったようだ。
前々から思ってたことではあるけどこのシスターマジで金に汚いんだけどそれでいいのか聖職者。

「……まぁ、追いかけてみれば分かることだよね」

即物主義に共感したわけではないが、戦車が逃げていく先に何かがあるのは間違いない。
そのためにも、追いすがるアリ共が目下の敵だ。敵の敵の敵はやっぱり敵である。
重機関銃を手に駆け出したヤスモトを追って、ジェミニも弾を込め直しながら疾走を開始した。
0250ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
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2017/09/05(火) 17:50:19.71ID:PKjIhE1j
マリーは天使像を駆り、アリの群れの中に飛び込んで既に大立ち回りを始めている。
硬質化した羽がアリ達をモズの早贄の如く串刺しにしていく。

「うわぁあのシスター肉弾戦してるよ……」

修道服を変形させた球体でアリを薙ぎ払っていくマリーの姿にジェミニは変な笑いが出た。
あれは即席のモーニングスター、なるほど聖職者の武器というわけである。

「もうちょいスマートに戦えないもんかなぁ。まぁ良いけどさ、ミーティア!」

『デバンヨー』

バックパックに格納されていた小型ドローンが5機、アリ達の上空を飛び交い俯瞰情報を取得していく。
ジェミニは火線を避けながら、ミーティアへ向けて拳銃を連射。
ドローン下部の曲面装甲によって跳弾した徹甲弾が、アリ達の背面にある駆動中枢を正確に射抜いた。
無数の無人兵器が見た目には破損さえなく、しかし行動を停止して倒れていく。

「アリの活け〆、一丁上がりっと。先達から一つだけアドバイスしとくとね、シスターちゃん。
 ……無傷で仕留めるとアリでも高く売れるよ」

金欠とは無縁の高位探索者であるジェミニだが、駆け出し時代に金に困った時はよくこうして小型を仕留めて売ったものだ。
状態の良い無人兵器の機体はセンターでも敵性研究の素体として高額で取引されている。
残骸をスクラップマーケットで売りさばくよりも遥かに効率よく一財産築けるというわけだ。

「……釈迦に説法だったかな。宗教違うけど」

マリーが派手に立ち回っているのは、おそらくあえての選択だろう。
さっきからジェミニの方にアリ達の火器が飛んでこない。マリーが暴れているために、そちらへ敵視が集中しているのだ。
年端もいかない彼女に庇われている情けなさは今更言及するまでもないが、それならそれで出来ることがある。
遠方からマリーへ向けて機関銃を撃ち続けている一体のアリへ、ジェミニは近づきながら話しかけた。

「だめだめ、そんなんじゃシスターちゃんには当たんないよ」

至近距離まで歩み寄って、ようやくアリは攻撃の優先順位をマリーからジェミニへと切り替えた。
しかし、アリがどれだけ間断なく銃撃を放ってもジェミニの影すら穿つことはない。
ドローンによる三点観測は彼女に標的へ当てる力をもたらすが、同時に当たらないことも可能としている。
銃口の角度と弾道、弾速さえ把握出来ていれば、ジェミニは鼻先数センチから放たれた銃弾も回避できる。

「ちょっと貸してみ?こうやって狙うんだよ」

アリの反撃を巧みに躱しながら、アリの機関銃の銃身を抑えつけ、強引に照準を変える。
マリーを狙った軌道から、その周囲のアリ達を撃ち抜く軌道へと。

ジェミニは卓越した銃手にしてスナイパー。
例えそれが今まさに他人が撃っている最中の銃でも、狙った場所へと"当てさせる"ことさえ可能とする技巧の持ち主だ。
ときにはミーティアの跳弾で強引に曲げながら、ジェミニはアリ自身の銃撃でアリを殲滅していった。


【戦車を追いかけることを決め、無双パート】
0251ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
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2017/09/09(土) 10:42:04.46ID:ANKlGBKP
>「あっ、そ、そうでした!私達の報酬を一山幾らの鉄くずにされる訳にはいきませんからねっ!」

>「……まぁ、追いかけてみれば分かることだよね」

二人にアリの掃討を任せ、ヤスモトはひた走る。
あれほどの攻撃を受けてもなお、戦車の足は速く止まることはない。

途中、道路がカーブに差し掛かり戦車もさすがに速度を落とした。
そこを狙ってか、運よく逃げ切った二匹のアリが戦車へと飛び掛かる。

「――無傷は無理だね」

ヤスモトは走る速度を落とすことなく、重機関銃を腰だめに構えて数発ごとに分けて何回か撃った。
機械化された体によって反動を抑えつけ、機械化された頭脳によって弾道がどうなるのかを正確に把握する。
彼の得意技である、正確な移動射撃だ。
それだけで二匹のうち一匹は胴体と頭部を吹き飛ばされ、廃墟の壁に衝突する形で短い生涯を終えた。
もう一匹は二本ほど足を破壊されたが、戦車を追跡することは諦めていない。

「我ながら、ベテランとは思えないな」

仕留め損ねたことにやや不満げ、とでも言いたげに頭部がオレンジに短く発光する。
ヤスモトは重機関銃を背中のバックパックにしまい、さらに走る速度を上げる。
それだけでアリたちの平均速度を超える速度となり、あっさりと破損したアリに近づいた。

アリは当然機関銃をヤスモトに向けたが、防弾シールドが銃弾を防ぎ切り、さらに距離が近づく。
お互いに触れそうな距離にまでヤスモトが近づいた瞬間、彼の腕が瞬時に動いてアリの頭部を掴み、道路に叩きつけた。
前文明によって作られた道路は極めて頑丈であり、そのままの速度で走るヤスモトによって
ヤスリにかけられたようにアリの頭部は火花を散らして削れていく。
そして頭部を破壊されたアリは次に胴体を削られ、あえなく機能を停止した。

「……さて、戦車は……この先の広場か」

戦車はなおも救援信号を出し続けているが、広場で行動を停止している。
ヤスモトの記憶によれば、この辺りは無人兵器たちがあまり近寄らない場所だったはずだ。
0253ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/09/09(土) 10:43:32.47ID:ANKlGBKP
『二人とも、戦車は道路をまっすぐ行って左にある広場で停止している。
 先に僕が偵察するから、二人は後から来てほしい。集合場所を端末にポイントしておく』

そう通信で伝えると、広場を見下ろせる近くのビルへと向かう。
入り口は瓦礫で塞がれてしまっているが、外壁は年月を経てもなお揺らぐことはない頑丈さだ。

ヤスモトの右腕からワイヤー付きのフックが射出され、ビル屋上の縁に引っかかる。
そのワイヤーに沿って、ヤスモトは外壁を駆け上がり広場を見た。

『……ジェミニ。マリー。あの戦車が何に救援信号を出しているのか、とさっき言ったね。
 それはここだよ、この広場だ。あの戦車はずっと、ここを目指していたんだ』

その広場にあったのは、おそらくは防衛線を引いて戦っていたのであろう前文明、人類側の兵器たち。
大型のヘリポートを中心に、ぐるりと兵器の残骸が取り囲むように捨て置かれている。
その中には先程まで追いかけていた戦車も、道路側に砲塔を向けて機能を停止していた。

「ここで戦い続けて……パイロットたちだけでも逃がそうとしたのか」

広場の向かい側、同じく開けた場所には大型の輸送ヘリと思われる残骸がある。
輸送ヘリの側面には大きな穴が開けられ、中から飛び出ているのはおそらく兵器に乗っていたパイロットたちだ。

「あの戦車は間に合わなかった……僕と同じだな」

そして戦車に近づき、砲塔へと登ってハッチに手をかける。
もう何の抵抗もなく、あっさりとハッチをこじ開け中へと入った。

そこにいたのは、最後まで操縦桿から手を放さず、前のめりに倒れていたパイロットだった。
戦闘スーツに身を包んでいるため後ろからでは分からないが、生きてはいないだろう。

ヤスモトは手を合わせて短く冥福を祈り、再び二人に通信を繋ぐ。

『……回収班を呼ぼう。正体不明の無人兵器は前文明の戦車。
 無力化完了。よって今回の作戦は終了とする。――いいね?』


【これからはエピローグとなります!一巡したら終わりです】
0254マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/09/14(木) 15:46:56.84ID:M9JOFEZv
>「アリの活け〆、一丁上がりっと。先達から一つだけアドバイスしとくとね、シスターちゃん。
  ……無傷で仕留めるとアリでも高く売れるよ」

「えぇ!後で何体か譲って下さいねっ!」

ジェミニのアドバイスに臆面もなくそう返すと同時、マリーは右腕を横薙ぎに振り回す。
その先端には球状のハンマーではなく、今度は鎌のような刃が形成されていた。
武器を変えた事には理由がある。アリの売却額を上げる為ではない。
それはジェミニがやってくれるだろうし、後で分け前は頂戴するから問題ない。
……と、マリーがちらりと彼女の方を見やる。
ジェミニは、群れからやや外れた地点にいる一体のアリに向かって、悠然と歩み寄っていた。

「え、あの、ジェミニさん……一体何を?」

当然、アリは彼女を標的と定め……その武装、機関銃の銃口をそちらへと向ける。
マリーは慌てて天使像を操作。彼女の盾にしようとして……しかし気付いた。
ジェミニの体幹が僅かに傾き、つまり彼女が重心を移動させて、既に「回避」の為のステップを踏もうとしている事に。
そして、銃声。弾丸は……ジェミニを捉えられなかった。

「あ、あれ……?」

立て続けに響く銃声、放たれる弾幕。
だがジェミニはその尽くを回避している。
彼女には見えているのだ。弾丸が実際に放たれるよりも前に、その弾丸が描く軌跡が。

「……うわー。別に暴れ回らなくっても、全部キレイに仕留めちゃってもよかったかも」

アリに接近を果たしたジェミニがその機関銃を鷲掴みにして振り回す様を見て、マリーが呟く。
その間ずっと、彼女はアリの群れのど真ん中でじっとして、動かないでいた。
つまり周囲にいるアリに対してずっと隙だらけの状態でいた。
……微動だにしない彼女の修道服に、アリのニッパーが食らいつく。
ばりん、と音がして、ケイ素によって構築された、アーマーと称しても差し支えのない修道服が容易く噛み砕かれる。
アリ達はそのまま修道服の胴体、脚に食らいつく。

だが……アリ達には理解出来ないだろう。彼らに「歯ごたえ」の概念はない。
自分達が柔らかく弾力のある肉を噛み千切っていない事に気づけない。

マリーはずっと、じっとしていた。
戦闘中のある時を境に、天使像を中抜し、それを素材に作った空っぽの修道服……自分を模した戦闘人形と入れ替わって。
自分自身は地形に身を隠し、動かないでいた。集中する為だ。
ナノマシンを増産し、仕掛けを行う為に。

天使像がその手元に巨大な弓矢を形成し……頭上、ビルの壁面へと矢を放つ。
瞬間、アリ達の体が浮き上がる。
網だ。ナノマシンによる物体形成は、戦場の中心に突如として罠を作り出す事を可能とする。
アリ達の足元に作り出された極細の網が、天使像の放った矢によって引っ張り上げられたのだ。

「案ずる事はありません。あなた達は、召し上げられたのです。
 残念ながら行く先は神の身許ではなく、シェルターの奥底になりますけど。
 ……突き落とすなら、まずは持ち上げろって事ですねっ」

ひとまとめにされたアリ達の体に、ナノマシンが付着していく。
それらは機械の関節部に潜り込み……やがてはその身動きを、完全に封じてしまうだろう。
0255マリー・テレジア ◆./6UDin7fi8Y
垢版 |
2017/09/14(木) 15:48:02.45ID:M9JOFEZv
>『二人とも、戦車は道路をまっすぐ行って左にある広場で停止している。
  先に僕が偵察するから、二人は後から来てほしい。集合場所を端末にポイントしておく』

「……さて、それじゃ行きましょうか」

そうしてヤスモトが指定した地点へ向かうと……戦車は既に動作を停止していた。

>『……ジェミニ。マリー。あの戦車が何に救援信号を出しているのか、とさっき言ったね。
 それはここだよ、この広場だ。あの戦車はずっと、ここを目指していたんだ』
>「ここで戦い続けて……パイロットたちだけでも逃がそうとしたのか」

「……こんな場所が、あったんですか。一体いつから」

マリーは思い浮かんだ疑問を口にしようとして、しかしやめた。
無意味だからだ。彼らは機械で、兵器だ。ただ設計されたプログラム通りに継戦行動を取ろうとしただけ。

>「あの戦車は間に合わなかった……僕と同じだな」

「……大収穫ですね。戦車だけじゃなくて、他の残骸からも旧時代の技術が回収出来るかも」

ヤスモトの呟きを自分の中から塗り潰すように、マリーは呟く。

>『……回収班を呼ぼう。正体不明の無人兵器は前文明の戦車。
  無力化完了。よって今回の作戦は終了とする。――いいね?』

「戦車の機銃の発射音は……ヒグマと、スズメバチ。そのどちらにも似てはいなかった。
 ……だけど、成果が出ちゃった以上、これ以上、このチームでの探索は許可されないでしょうね。
 また、何かが起こるまでは……」

全てが終わった訳ではない。災いの種はまだこの廃墟に隠れているかもしれない。
だとしても……それに対してマリーはまだ何も出来ない。
誰一人欠ける事なく任務を達成したにも関わらず、彼女の表情は浮かないものだった。
0256ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/09/18(月) 18:20:03.78ID:oZ70ZYA7
導かれるままに弾倉の中身を全て同士討ちの為に吐き出したアリが、最後の抵抗とばかりにニッパーを広げる。
ジェミニはそれを容易くスウェーで交わし、カウンターに拳銃をぶっ放した。

「はいご苦労さん」

バイタルパートを正確に撃ち抜かれたアリは崩れ落ちるように沈黙。
飛び散る伝導輸液を手で払い落としながら、ジェミニはマリーの方を仰ぎ見た。
マリーはアリに喰われていた。

「……えっ!?ちょ、シスターちゃん!?」

思わず二度見しても、アリの群がる中心で動かないマリーの姿に変わりはない。
すわ油断が致命傷となったか――急ぎ救助に向かわんとする足を、しかしジェミニは止めた。
先んじて観測に回っていたドローンから、喰われつつあるマリーに『中身』がないことを認識したのだ。

(ハリボテ……いつの間に……)

端末に目を落とせばマリーの生体反応は離れた場所で今も元気に輝いている。
物陰に隠れていた彼女とそのしもべは、どこから出したのか巨大な長弓を空に向けて構えていた。

>「案ずる事はありません。あなた達は、召し上げられたのです。
 残念ながら行く先は神の身許ではなく、シェルターの奥底になりますけど。
 ……突き落とすなら、まずは持ち上げろって事ですねっ」

「それなんか別の逸話混じってない?」

ジェミニの脳裏にシェルターで学んだ旧時代の古典文学の一説が横切った。
地獄に落とされた亡者たちに糸を垂らして一本釣りを愉しむ神々の悪戯(歪曲)。
放たれた矢は無数の糸を引っ張り上げ、それらは全てアリたちにつながっていた。
因果が帰結し生まれる光景は、果実の如く吊り下げられるアリたちの亡骸。

「うわーこういう宗教画見たことあるよ……」

無数の刑死者が吊られた酸鼻極まる刑場に、一人佇む修道女の姿。
もしかしてあの子はシスターじゃなくて異端審問官かなんかじゃないんだろうか。
ジェミニは正直ドン引きしながらそれを眺めていた。

>『二人とも、戦車は道路をまっすぐ行って左にある広場で停止している。
 先に僕が偵察するから、二人は後から来てほしい。集合場所を端末にポイントしておく』

造作なくアリ残党の殲滅を終えた二人の探索者に、リーダーから無線が入った。
ヤスモトの姿が見えないと思ったらとうの昔に戦車の追跡に回っていたらしい。
抜け目のないベテランの動きに頼もしさと、残党処理を体よく回された僅かばかりの悔しさでジェミニは唇を尖らせた。

>「……さて、それじゃ行きましょうか」

「りょーかい。ジャミングポッドこっちで置いとくから、先行っててー」

無力化したアリの大半は、行動不能ながらまだ『生きて』いる。
こうした無人兵器をそのまま放置しておくと、"巣"に援護要請を発信されるおそれがあるため、
小型のジャミングポッドで一帯の無線を封鎖するのが通例であった。
感情のないはずのアリの瞳が恨めしそうにこちらを見上げるのを、ジェミニはまっすぐ見返す。

「……貧乏くじ引いちゃったね、お互いさ」

返答などあるはずもない言葉を一方的に投げ捨てて、ジェミニは二人の後を追った。

>『……ジェミニ。マリー。あの戦車が何に救援信号を出しているのか、とさっき言ったね。
 それはここだよ、この広場だ。あの戦車はずっと、ここを目指していたんだ』
0257ジェミニ ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2017/09/18(月) 18:20:40.83ID:oZ70ZYA7
端末に指定されたポイントで、既にヤスモトは待機していた。
そこは小規模な広場だった。広場、というには随分と小さく感じるのは、開けた場所を取り囲むように兵器が並べられているからだ。
旧時代の軍事拠点の中には、こうした露天駐機による簡易な兵塞を築くことは珍しくなかったという。

交戦の形跡はない――少なくとも、新しいものは。
広場に集められた兵器たちは、みな例外なく大破し、あるいは機能を停止していた。

「"巣"じゃなかったね……ここにあるのは、全部有人兵器だもん」

先刻まで戦っていた戦車だけでなく、この広場で錆に塗れている鉄塊のどれもが、旧時代の遺物だった。
無人兵器たちのような、無機質でありながら生物的という矛盾が生み出す不気味さを、彼らからは感じない。

>「ここで戦い続けて……パイロットたちだけでも逃がそうとしたのか」
>「……こんな場所が、あったんですか。一体いつから」

「……あたしが気になるのは、"いつまで"の方かな」

きっとその疑問に答えるならば、『今日、この瞬間まで』なのだろう。
最後に生き残ったあの戦車は、たった一両になっても、周りの全てが敵になっても、戦い続けてきた。

>「あの戦車は間に合わなかった……僕と同じだな」

ヤスモトが表情を持たない機械の頭部でそう呟いた。
その言葉が彼の持つ記憶のどの惜念を指しているのかは分からないが、ジェミニには言えることがある。

「今は、間に合ってるよ」

シェルター存亡の危機に直面して、こうして三人、誰一人欠けることなく今日を生き延びた。
結果がそれを証明していて、探索者にはそれで十分だった。
戦車のハッチを開けて中身を検分していたヤスモトが手を合わせるのを見て、ジェミニも静かに黙祷した。

>「……大収穫ですね。戦車だけじゃなくて、他の残骸からも旧時代の技術が回収出来るかも」

こんな時でも変わらないマリーの即物主義には肩を竦めるばかりだが、あるいは彼女なりの気遣いなのかもしれない。
鋼鉄の棺桶の中に隠されていた過去を指先でいくらなぞったところで、今日を生きる者たちの腹は膨れない。
結局のところ、前を向いて進んでいくほかないのだ。

>『……回収班を呼ぼう。正体不明の無人兵器は前文明の戦車。
 無力化完了。よって今回の作戦は終了とする。――いいね?』

「異論なし。蓋開けてみれば旧時代の人類との時を超えた内ゲバだったってのは、なんかゾっとしない結末だけどさ」

>「戦車の機銃の発射音は……ヒグマと、スズメバチ。そのどちらにも似てはいなかった。
 ……だけど、成果が出ちゃった以上、これ以上、このチームでの探索は許可されないでしょうね。
 また、何かが起こるまでは……」

「そういえば、全滅した探索者たちの遺した音声データ。あれに記録された音とは全然違ったね。
 このあたりをあたしたちが徹底的に偵察して、ハチもクマも出てこなかったことを考慮したうえで、
 希望的観測で済ませるなら……この戦車が先に連中を片付けてくれてた、のかな」

それは非常に事態を楽観視した、本当に希望的な観測に過ぎない予測ではあるが。
真の意味での『希望』でもある。

「人類は――旧時代の人類は。まだ、負けてないのかもね」


【エピローグ】
0258ヤスモト ◆Iy3V1LX0xM
垢版 |
2017/09/21(木) 16:29:00.40ID:MkXqM1+Y
>「戦車の機銃の発射音は……ヒグマと、スズメバチ。そのどちらにも似てはいなかった。
 ……だけど、成果が出ちゃった以上、これ以上、このチームでの探索は許可されないでしょうね。
 また、何かが起こるまでは……」

>「そういえば、全滅した探索者たちの遺した音声データ。あれに記録された音とは全然違ったね。
 このあたりをあたしたちが徹底的に偵察して、ハチもクマも出てこなかったことを考慮したうえで、
 希望的観測で済ませるなら……この戦車が先に連中を片付けてくれてた、のかな」

「ヒグマもスズメバチも索敵には優れているし、攻撃性は強い。
 戦車と遭遇して迎撃された可能性はあるだろうね」

端末からセンターへの回線を開き、オペレーターへと作戦の終了を伝える。
同時に回収可能な物資の報告もしておき、センターから回収班が来ることになった。

>「人類は――旧時代の人類は。まだ、負けてないのかもね」

「負けるどころか、終わってすらいないさ。
 僕だってそのひと――おっと、言い過ぎた」

口もないのに顔の下部に手を当て、ひらひらと手を振って誤魔化した。
やがてヤスモトは何事もなかったかのように歩き始める。

「それじゃ、帰ろうか。報酬とご飯が僕らを待っているよ!」


――遺棄された兵器の数々は、シェルターにほとんどが運ばれ、
動力だった小型核融合炉や超効率バッテリーなどは街の施設などに再利用、
装甲や武装はシェルターの研究施設送りとなった。

そして、戦車に搭載されていた補助AIは――

「……シェルターの運営AIに再教育させるなんて、無茶なことしますね」

『年月こそ経っているが、データは生きている。利用しない手はないだろう』

「技術屋さんはやることが分かりやすいですね……それじゃ」

『ああ、君も体に異常があればすぐに来るんだぞ。
 改造でも構わないがね!』

シェルターの技術班長との通信を打ち切り、街の外縁部へと向かう。
今日のヤスモトの予定は、新人探索者と共に回収班の護衛任務だ。

「さて、みんな。生きて帰ろう。怪我はするかもしれないが、
 腕や足なら治せるからね」


【マリーさん、ジェミニさん、参加ありがとうございました!
 これにて一旦終わりとさせていただきます!】
0259創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/12(木) 16:24:49.73ID:5MjrTctH
二つの大陸とその間にある無数の島々、そしてそれらを取り囲む大海によって成り立つ世界。
二つのうちの一つ、豊かな自然と無数の動植物が栄えるアスガルド大陸ではヒュマと呼ばれる種族が
ドワーフ、エルフと言った他の種族と手を取り合い、数多くの国を建国していた。

一方ヨーツンヘイムと呼ばれるもう一つの大陸は生物の中でもひときわ大きい巨人と呼ばれる者たちが
支配権を握り、痩せた大地と厳しい気候の中たった一つの帝国を作り上げることで体制を保っていた。

巨人族は皇帝ユミル九世の名の下アスガルドに領土を求め進撃し、最初は巨人族の強靭さとヒュマ族の数倍とも言える体格で
海岸近くの国をいくつも制圧した。

だがアスガルドの民は抵抗を諦めず、エルフの魔術、ドワーフの鍛冶、ヒュマの知恵、さらには神々の加護を結集させて
巨人族のように大きい鉄の巨人を作り上げた。後にある神話から名前を取ってタイタンと呼ばれることになるそれは
乗り込んだ者の意思によって自由自在に動き、あらゆる武器を扱うことができるアスガルドの守護者となった。

そして最初の巨人族の侵攻から数十年が経ち、量産化されたタイタンたちを主軸にしたアスガルド連合軍と
巨人族とその奴隷から成り立つヨーツンヘイム軍の戦争は未だに終わることなく続いている。


ジャンル:剣と魔法のファンタジー世界
コンセプト:巨人どうしの殴り合い
期間(目安):短め
GM:あり
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
信仰する神:
タイタン解説:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

なんかこうした方がいいとかアドバイスあったら頼む
調整終わったら一つやってみたい
0260創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/12(木) 18:17:25.81ID:Q2vpCzEX
ファンタジーロボットものか
エスカフローネとかガリアンみたいな感じかな
0263 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/13(金) 02:59:54.17ID:6LdkeVNW
名前:トム・バール
年齢:28
性別:男
身長:177
体重:83
種族:ヒュム
職業:自由騎士
性格:活発的
能力:ジハーディア王国流剣術
所持品:大剣
信仰する神:戦神ジハーディア
タイタン名:ラウンドナイツ
タイタン解説:戦神の加護を受けて作られた量産型タイタン。
       騎士の甲冑をそのまま大きくしたような見た目だが、
       一定の機動力を保っており汎用性が極めて高い。
       戦神の加護によってあらゆる武器を扱うことのできる拡張性の高さから
       一号機が作られてから十年経った今も量産され続けているタイタン・オブ・タイタンである。
       
       トムの機体は背中の武器格納部分に大剣を背負い、腰に盾と短剣を装備した標準的な装備だ。

容姿の特徴・風貌:常に動きやすい軽甲冑を身に纏い、金髪を短く刈り揃えている。
         顔はアスガルドの基準では美男子の部類に入り、強い意志を感じさせる目をしている。
         
簡単なキャラ解説:ジハーディア王国騎士の家に生まれ、タイタン乗り兼騎士として教育を受ける中で
         王国のみならず大陸全土を守りたいと考え、王国騎士の位を返上。
         以降は自由騎士として連合軍に参加し、「巨人狩り」と称されるアントニオ伯爵率いる
         タイタン傭兵部隊に所属して前線の一翼を担っている。
         前向きな思考はいつでも崩れることはないが、同僚からは押しつけがましいと言われることもある。
         

主人公と一緒に戦う戦友でPL募集したい
上官とか部下でも全然OK

何か世界観で質問あったらどうぞ
0265 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/13(金) 16:02:27.06ID:6LdkeVNW
アスガルド大陸側

国によって多少の技術差はあるが
活発な交易や魔術の研究が続いたこともあり

地球で言うところの中世欧州
ー近世欧州初頭ぐらいの科学レベルであ


ただし銃や砲は大陸内の戦争では使
われたが巨人族にはほとんど通じず

武器の神が「素人を戦争に巻き込む
」としてタイタンが扱うための加護
を与えていない。




ヨーツンヘイム側

巨人族が生まれ持った強靭な体によ
って強引に開拓を成し遂げたため

球で言えば古代欧州ー中世欧州初頭ほどの技
術である。
ただしアスガルドに渡ってから
急速
に技術を吸収しており、武器や防具に関わる技術は特に重要視している。


『神々の加護』
武器や防具に自らが信仰する神の
加護を与えてもらうことで様々な能
力を発揮する。

特にタイタンは神の加護を
得てなんとか動かしており、加護なし
ではただの彫刻と成り果てるだろう
このためタイタンの見た目は神々が気に入るような象徴的デザインが多い。

技術力やそれを支える経済は

アスガルド>ヨーツンヘイム

軍人の数なら

ヨーツンヘイム>アスガルド

という大雑把なイメージ
0266 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/13(金) 16:16:40.12ID:6LdkeVNW
アスガルド大陸側
国によって多少の技術差はあるが活発な交易や魔術の研究が続いたこともあり
地球で言うところのヨーロッパ中世ー近世初頭ぐらいの科学レベルである
ただし銃や砲は大陸内の戦争では使われたが巨人族にはほとんど通じず
武器の神が「素人を戦争に巻き込む」としてタイタンが扱うための加護を与えていない。

ヨーツンヘイム側
巨人族が生まれ持った強靭な体によって強引に開拓を成し遂げたため
地球で言えば古代ー中世初頭ほどの技術である。
ただしアスガルドに渡ってから急速に技術を吸収しており、
武器や防具に関わる技術は特に重要視している。

『神々の加護』
武器や防具に自らが信仰する神の加護を与えてもらうことで様々な能力を発揮する。
特にタイタンは神の加護を得てなんとか動かしており、加護なしではただの彫刻と成り果てるだろう
このためタイタンの見た目は神々が気に入るような象徴的デザインが多い。


すいませんコピペした時に改行おかしくなってたので訂正
0268 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/13(金) 19:18:28.24ID:6LdkeVNW
燃料は必要ないですね
神々の加護が駆動系と動力と(神々によっては)特殊な武装を兼ね備えてると考えていただければ
0271 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/14(土) 11:29:59.27ID:KV/joSCc
巨人族は6〜8メートルほど
タイタンも同じ大きさですが

タイタン1体>平均的な巨人族戦士5体の能力差があるのでなんとか均衡している状況です
0272創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/14(土) 13:57:22.70ID:woUQXohQ
基本肉弾戦になるのかね
武器は剣とか槍まで?銃はダメとして弓とか弩とかはオーケーなの
0273創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/14(土) 14:04:41.35ID:OO8D8MWx
タイタン圧倒的やな
巨人が多いのもあるだろうけど、それよりタイタンが少いイメージになったわ
0274 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/14(土) 18:09:13.31ID:KV/joSCc
近接武器なら戦神の加護があるので全て扱えます
弓や弩、投石機などは狩人神の加護によって扱うことができますが、タイタンの強みである前線の壁になれるという利点がなくなってしまうので敬遠されがちです
0275創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/14(土) 19:11:24.38ID:JEiLWXBC
どっちかってーとタイタンに対して巨人が寄ってたかって犠牲出しながら倒すって感じなのね
0276創る名無しに見る名無し
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2017/10/14(土) 23:01:36.90ID:mGr6+bzm
設定見てると巨人に脅威を感じないなー。タイタン強すぎ
タイタンと巨人の強さは1:1か、多くて2:1くらいじゃないと絶望感がない
圧倒的絶望を智慧と勇気でひっくり返してこそカタルシスは得られるもんじゃない?
0277創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/15(日) 00:47:07.68ID:0a+CyFl1
どこでカタルシスを生じさせるかはジャンルによって変わるもの
導入見ると戦記物だけど、主の意識ではファンタジーヒーロー物なんじゃない?

戦記物なら個々の戦力差は殆どなく、一兵士だろうと将軍だろうと強さ自体はたいして変わらない
多少の手練れ扱いはあっても十人に囲まれればどうにもならない程度
軍という個の戦力では覆せない状況を戦略や戦術で覆すことにカタルシスが生じる

一方ファンタジーヒーローものは個の戦力が其のまま全体の戦力に繋がる
魔王単体で人間の一軍を凌駕する戦力
それに立ち向かうのだから当然一般兵など圧倒できないといけない
カタルシスは全線ではなく敵中枢の強大な個を倒すことに焦点が置かれる

どちらが良い悪いではなく、ストーリーが戦記物だからチグハグな感じになっているのだと思う

一思いに、巨人が攻めてきて、神の祝福であるタイタンを授かった戦士が立ち向かう
な感じなら納得できるんじゃない?>1:5

個人的には戦記物路線よりを期待したいけどな
0278創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/15(日) 04:49:09.84ID:k6YMQETp
巨人側の脅威が安いコストで数を送り込めることとかだったらわかりやすくやべーなってなりそう
タイタン側は二次大戦の枢軸国側エースパイロットみたいな存在で
0279創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/15(日) 05:46:56.75ID:iNjfSNXy
>>277
なーる。
俺はFSSのMHバトルみたいなほぼほぼ一騎打ちを想像してたが、スレ主はゲッターロボみたいなんを想定してたわけか
とこのように、ロボットと言っても人によってこんだけ解釈に違いが出る
だから文章だけでロボ物は難しいんだよなあ
0280 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/15(日) 17:50:14.86ID:v+XTdp0k
色々考えてみましたが
巨人の中にも神の加護を受けた者がいてそれらがタイタン並みに強いという設定にします
いわゆる巨人側のタイタン

加護持ち巨人≧タイタン>巨人
対等に戦うには1:3:5ぐらいの割合で数がいるということでどうでしょうか?
>>277さんの意見を取り入れて戦記物寄りでいこうと思います
0281創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/10/15(日) 19:04:57.98ID:x43dSrNd
戦記ものとなるとキャラクター達の立ち位置はどうなるんやろか
ワンマンアーミーは当然難しくなるから、将校として指揮する立場になるのかね
0282ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
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2017/10/15(日) 19:29:39.82ID:AjiVeRiv
独立遊撃部隊とか強襲偵察部隊
みたいな、局地戦な部隊を展開しやすいのが良いかもね
下手に指揮官になると身動きがとりにくくなるし、タイタンの意味が薄れちゃいそう
0283ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
垢版 |
2017/10/15(日) 19:35:28.54ID:AjiVeRiv
名前:ニル・ヴァーナ
年齢:47(人間年齢に換算して23)
性別:女
身長:135
体重:85
種族:ドワーフ
職業:呪術師
性格:リアリスト
能力:法術
所持品:リペアキット
信仰する神:土角明王
タイタン名:イルヴァーナ
タイタン解説:ドワーフの最高技術者の一角を担うヴァーナ夫妻の技術の粋を集めて作られたタイタン
       6頭身で重厚な装甲に覆われ、巨大な流線型のショルダーシールドが特徴
       巨大な主腕と胸元につく呪印用の小さな副腕の二対がある
       ショルダーシールドの内側には巨大なトラバサミが左右それぞれ二基ずつ仕込まれており、鎖で繋がれている
       トラバサミで敵を封じ込め、主腕に装着されたパイルバンカーで確実に仕留める

       魔術の素養の低いドワーフ族においてニルは珍しい呪術師であった
       そしてヴァーナ夫妻渾身のタイタンは土中航行術を備えた特殊呪法タイタン
       素養のなさを巨人に殺された夫イル・ヴァーナの脳を補脳として使い呪法を可能としている
       ニルの復讐心の顕現と言える

参考画像(拾い物)
http://blog-imgs-16.fc2.com/a/g/r/agrow/064.jpg

容姿の特徴・風貌:低身長骨太赤毛を幾本もの三つ編みにしている典型的なドワーフ女性
         呪力を高める仮面を常につけており、その表情をうかがい知ることはできない
         服装は分厚い皮で出来た作業服、色は茶色とオレンジとかなり地味


簡単なキャラ解説:技術立国ドワーフの王国にあってもその人ありと言われた最高峰の技術者ヴァーナ夫妻
         数多くのタイタンを作り出し、更なる進歩の為に研究政策を続けていた
         タイタン開発所が巨人の強襲に遭い夫イルは死亡
         死体の損傷が激しく、回収できたのはその頭部のみであった
         夫の死に復讐の鬼と化したニルはイルの脳を新開発呪法タイタンの補脳に使い、復讐の為に前線に立つ
         より多くの巨人を殺すために常に戦場を求め、現在巨人狩り」と称されるアントニオ伯爵率いるタイタン傭兵部隊に所属



あんまり設定こねくり回してばかりだとグダりそうだし、ちょっと景気づけにテンプレ投下
格闘戦がメインという事なのでちょっとスレの毛色とには合わないかな?
0284 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/15(日) 19:56:45.93ID:v+XTdp0k
>>283
ありがとうございます!テンプレ作ってくださった方もいますし、
設定作りはこれまでにしてちょっとプロローグ書いてみますね
0285 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/16(月) 01:23:17.14ID:fgUU5PwX
ジハーディア王国・アントニオ伯爵領ヒッポニア平原。
かつては多くの小麦が実り、季節によっては黄金色に染まっていたこの場所は、
今や巨大な砦が築かれ、巨人族のものとなっていた。
かつての農民たちは奴隷として働かされ、戦争に使うための武器や防具を日々作らされ続けている。

そこから遠く離れた先、アントニオ伯爵領にある連合軍拠点。
山を丸ごとくり抜いて作られたこの拠点の中、タイタンたちがずらりと並ぶ円形のホールの
中心で甲冑を着たある男が演説を行っていた。

『この数十年!スカーレット半島を奴らに乗っ取られ、さらには同志であるドワーフ・エルフの国々も
 その国土を奴らに奪われた!』

男の名はアントニオ・クレバドス・イーゲル。
五十歳を過ぎてなお部下と共に最前線で戦い続けるタイタン乗りにして、アントニオ伯爵領方面の総司令官だ。
彼の所領は今やヨーツンヘイム軍との最前線となっており、日々こうして檄を飛ばして軍人たちを激励している。

『だが我々はただ奪われるだけではない!偉大なる神々が与えてくださった加護と、鍛冶と魔術と知恵が
 巨人共に対する絶対の剣を生み出した!』

すると彼の背後に立つタイタン『ゴルディオン』が赤いマントをはためかせて、黄金に輝く大槌を掲げた。
それに応じるように、ホールに立ち並ぶタイタンたちも各々の武器を掲げる。

「すごい……伯爵の演説はいつ聞いても迫力がある。
 あの人のおかげでここは動いてるようなもんだ……!」

武器を掲げるタイタンの内の一つ、『ラウンドナイツ』そしてその搭乗者であるトム・バールは
毎日聞いているはずの演説に、まるで初めて聞いたかのように感動していた。

『今回の戦は膠着が続くこの戦争に楔を打ち込む、極めて重要な戦だ!
 各員の奮闘に期待する!』

やがて演説が終わり、アントニオ伯爵は自らのタイタンが差し出す手に乗り、胸のハッチを開いて搭乗した。
戦神の加護と太陽神の加護を受け、大量の供物を捧げることでその加護を維持しているタイタン『ゴルディオン』
その大槌によって何体もの巨人が粉砕され、ヨーツンヘイム側からは懸賞金をかけられるほどだ。
見た目も太陽を現す黄金の大輪飾りを付けた頭や赤と黄金の色合い、そして式典を思わせる豪奢な鎧。

対してトムが乗り込んでいるタイタン『ラウンドナイツ』は
同じ戦神の加護を受けてはいるが見た目はただの騎士甲冑、使う武器は使い古された大剣に、盾と短剣。
もちろんタイタンサイズの武器であるから人が振り回せるものではないが、ゴルディオンと比べれば見劣りする。

「……いや、大事なのは意志だ!
 巨人族をこの大陸から追い出すという意志を持ち続ければ、武器なんて問題じゃない!」

こうして進軍前の演説は終わり、タイタン乗りたちは拠点にある酒場へと向かう。
ここは進軍前に告げられるタイタンの編成ごとに分かれて飲むのが暗黙のルールとなっており、
数人ごとにばらけて飲んでいるのが一般的なスタイルだ。

トム・バールもその例外ではなく、既に次の戦いで一緒に戦うことになるタイタン乗りたちが
待っているテーブルに着き、まずは遅くなったことを詫びた。

「すまない!カウンターで注文をしていたらテーブルを探すのに手間取ってしまった。
 これもマスターが酒には焼いた豚肉をつけろと進めてきたのを断るためでね」

まもなく運ばれてきた、濁ったエールが入った木のコップを掲げて威勢よく叫ぶ。

「アントニオ伯爵の演説は素晴らしい!伯爵の指揮があれば、あの憎らしい砦もすぐさま壊してやれるだろう!」


【プロローグ。戦闘前夜の最後の宴会】
0286ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
垢版 |
2017/10/17(火) 22:14:23.01ID:towkL0Y1
連合軍拠点にて熱を帯びた演説をする総司令アントニオ伯爵
その演説の熱派兵士たちに伝播し、気勢を漲らせる。

そんな演説を囲むようにズラリと立ち並ぶタイタンの末席にイルヴァーナとその操縦者ニルはいた。

総司令官のタイタン『ゴルディオン』は象徴的な意味もあり意匠をこらされたものである。
一般のタイタンはゴルティオンに比べれば地味な感は否めないが、その中でもひときわ異質なタイタンがイルヴァーナである
装飾を排除し、頭部すらもなく、なによりも演説に応えるように皆が掲げる武器すら持っていなかった。

その手は巨大な鉤爪であり、前腕部に仕込まれたパイルバンカー
打ち合いや剣撃を想定した戦士ではなく、純粋に巨人を殺すための器具でしかないのだ。
故にアントニオ伯爵の熱もニルには伝わらない。

「熱も、大義も、いらないのさ……大切なのは意思、巨人を殺すという意思のみ……!」

ニルは本来技術者であり、戦いに正義も大義も求めない
この戦争も巨人の侵略ではなく、過酷な大地と言われるヨーツンヘイムから豊かなアズガルドへの生存をかけた移動でしかない。
当然迎え撃つアズガルドも己の生活を守るための迎撃。
つまるところは単純な生存競争でしかないのだ。

故にニルは戦争に大義も正義も、憎しみも必要ないと思っている。
巨人たちも生活するために来ているのであり、その背後には自分たちと同じように愛する家族もいるだろう
ひとたび憎しみをもって仇だと殺せば、自分も同じように仇を打たれる対象となる

そんな感情こそが戦争を生み出し、いつまでも終わらぬ泥沼にするのだ。
と思っていた。
夫が殺されるまでは。

技術部で戦場を開発と改良、そして戦略記号が書き込まれた地図の上から見えているだけならばそんな綺麗事も言えたのだが、戦争がわが身に降りかかればあっという間にその泥沼に首までつかってしまうのだ。
泥沼にどっぷりとつかったニルに、アントニオ伯爵の熱気は伝わらない。
だが、その熱とは別種の熱を帯びたニルの目が赤く光る。



演説終了後、タイタンノリたちは拠点にある酒場に向かう
そこで編成ごとに分かれて飲むのだが、その例に漏れずにニルもテーブルについていた。

>「すまない!カウンターで注文をしていたらテーブルを探すのに手間取ってしまった。
> これもマスターが酒には焼いた豚肉をつけろと進めてきたのを断るためでね」

「かまやしないけど、トム、あんたは焼いた豚肉貰ってもよかったんじゃないかい?」
部隊編成で共に戦うタイタンノリの一人、トムは鍛えられた体ではあるがそれはあくまでヒュムの範疇で見ればの話だ。
頑強なドワーフの基準で見ると貧弱に見えてしまう。

運ばれてきたコップを受け取り、仮面の下部を外して口をあらわにする。
ニルは魔術の素養の乏しいドワーフにあって、珍しく呪術師であり、タイタンも呪術を使えるようになっている。
だがその為に呪力を高める必要があり、補助器具として仮面を常につけてるのだ。
食事の時などは一部取り外しをするのだが、基本的に顔を晒すことはない

>「アントニオ伯爵の演説は素晴らしい!伯爵の指揮があれば、あの憎らしい砦もすぐさま壊してやれるだろう!」

「はいはい、明日は戦闘なんだ、酔うのは伯爵の演説だけにして酒は程々にしておくれよ、おかわりだ」
トムの興奮に肩を竦めながら乾杯に応え、エールを一気に飲み干しおかわりを請求。

呪術師に取って酩酊状態は百害あって一利なし。
戦闘を控え酔うつもりはない。
ヒュムからすればペースが速いように見えるかもしれないが、酒豪が当然の種族ドワーフである
本来は火酒を樽で煽るドワーフにとって、エールなど水も同然なのだ。
0287ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
垢版 |
2017/10/17(火) 22:17:21.97ID:towkL0Y1
【それでは始めましょうか、よろしくお願いします
と投下させてもらったのですけどね
テンポよく続けたいと思っているかもしれませんが、まだ二人ですし話がまとまって始まったばかり
導入部分でテンポ良すぎると参入を考えている人がいたら、タイミングを失ってしまうかもしれません
キャラ考えテンプレ作るのにそれなりに時間も必要でしょうし
という事で、トムさんのレスはあえて4.5日間を開けてはいかがでしょうか?】
0288 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/18(水) 00:10:57.84ID:Pbjq3RKP
【提案ありがとうございます!
 それなら今週の日曜日まで待ってみますね】
0289 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/23(月) 19:02:57.17ID:OHEAMyE6
【誰も来られなかったということでニルさんと対面でやらせていただきますが、
 新規の方はいつでも参加歓迎しますのでぜひ来てください!】
0290 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/10/23(月) 19:58:54.84ID:OHEAMyE6
>「かまやしないけど、トム、あんたは焼いた豚肉貰ってもよかったんじゃないかい?」

仮面で素顔を隠し、呪術を使いこなすタイタン乗り、ニルが同じテーブルにいた。
彼女は食事であっても仮面の上部を外すことはなく、素顔を誰も見たことがないと言われている。

>「はいはい、明日は戦闘なんだ、酔うのは伯爵の演説だけにして酒は程々にしておくれよ、おかわりだ」

だが彼女と彼女が乗るタイタン『イルヴァーナ』は安定した強さだ。
明日の戦闘においてもその性能は十二分に発揮されるだろう。

「ニルの言う程々、というのは大樽一つのことを言うのだろう?
 心配せずとも二杯ほどに留めておくさ」

トムも酒はヒュムの基準ではかなり飲める方だが、それでもドワーフの基準には及ばない。
『ヒュムの酒豪はドワーフの下戸』という言葉があるほどだ。
ヒュムにせよドワーフにせよ、明日は長丁場の戦闘になる。
それをトムは分かっているからこそ、酒よりも飯を大いに食べて宴を過ごした。

―――そして夜が明け、まだ太陽が半分しか姿を晒していない頃。
トムとニルの所属する第四タイタン部隊『大鷲』は数百人の歩兵と共に
連合軍拠点からそう遠くない森林を歩行していた。
この森林は元々ヨーツンヘイム軍が砦を作るために木材を切り出していた場所だが、
連合軍が奪回し、今では巨人が輸送用に切り開いた道をタイタン輸送に使っている。

今回の戦においてまず『大鷲』に与えられた任務は、この道を通った先にある
アルカイ大橋に築かれた関所の偵察、もしくは破壊だ。
そのために彼らはまず森林を抜け、アルカイ大橋近くにある小高い丘から
関所の戦力を調査することとなった。

「全タイタン乗りへ。部隊長のエレバスだ。」

歩行中のタイタンの中で、最も小さく、黒一色に塗られたタイタン『アルパ』から声が響いた。
このタイタンは言語神ウォカーと狩猟神ウェナーの加護を強く受けており、
どんな相手・状況でも自分の言葉が聞こえ、また敵の痕跡や匂いを知ることができるタイタンだ。
武装は片手用の小ぶりな斧とクロスボウだが、前線で戦うというよりは一歩引いた位置で指揮をしていることが多い。

「本部から念話で情報が入った。
 アルカイ大橋に詰めている巨人どもの中には加護を持った奴が何体かいるそうだ。
 討ち取るか加護の種類が分かれば追加報酬だとよ」

「部隊長!トムです!討ち取る役目はぜひ自分にお任せを!」

タイタンたちの中で一番前を歩いていた『ラウンドナイツ』からトムの声が響く。
やる気は十分であると言わんばかりに盾を持った左手を振り上げてアピールしている。
0291 ◆Q/9lN6f8gg
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2017/10/23(月) 19:59:18.61ID:OHEAMyE6
「アホか!お前一人で加護持ち討ち取る気か!ニル、前向きに自殺しそうなあいつを止めておいてくれ!」

タイタンの数が増え、連合軍が徐々にヨーツンヘイム軍を押し返すようになってくると
今度は巨人の中に神々の加護を受け、並のタイタンをはるかに上回る巨人が現れるようになった。
彼らは『加護持ち』と噂され、厄介なタイタンへの対抗策として他の巨人族より
質のいい装備で身を固めていることが多い。

タイタンに乗る者ならば、まず単独で戦ってはならないとされている強敵である。

「ニル、巨人の中でも厄介な加護持ちを討ち取ることがどれほど大陸の平和に繋がるか分かるだろう。
 僕は英雄になりたいんじゃない、この大陸を平和にしたいんだ」

『ラウンドナイツ』の兜のスリットから覗く二つのルビーの眼が、
『イルヴァーナ』を見つめる。それは先程からのトムの発言を冗談ではなく本気だと語っていた。

【ニルさん改めてよろしくお願いします!】
0292ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
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2017/10/25(水) 23:18:15.08ID:bBpzvQ0/
第四タイタン部隊『大鷲』の向かう先はアルカイ大橋
そこに気付かれた関所の偵察もしくは破壊任務を帯びている
破壊まではいかなくとも、一当てして敵の戦力を調査することが主目的にあり、戦闘は避けられないだろう。

部隊長のエレバスからもたらされた情報によれば、加護持ちの巨人が複数いるとの事。
通常の巨人ならばタイタンとの戦力差があり、1対1で戦うならばまず負けはしない。
当然試合ではなく戦場である以上、1対1で尋常に勝負などという事はあり得ないのだが、それでも戦力差は勘案できる。

だが、加護持ちの巨人となると1対1ではまず勝てない
1対2でも怪しく、1対3でようやく対等になるというところか。

勿論それぞれの特徴を生かし戦略や戦術により戦力差を覆すことも可能ではある。
特にニルの搭乗する特殊呪法タイタンの持つ土中航行機能はそういった状況を生み出しやすいのだが、今回は戦場がまずかった。

戦場となるのはアルカイ大橋
すなわち地中潜航ができるというアドバンテージが使えない場所なのだから。


>「アホか!お前一人で加護持ち討ち取る気か!ニル、前向きに自殺しそうなあいつを止めておいてくれ!」
これからの戦いに思いを巡らす煮るとは裏腹に、トムはどこまでも前向きであり、そして無謀であった。
加護持ちの巨人を打ち取ると息巻き、部隊長からは呆れる声と共にニルにトムの世話を焼けと回ってくる

「あいよ〜。味方にこのトラバサミを使うのは気が引けるのだけどねえ、いざとなったら埋めとくよ」

部隊長に苦笑交じりに応えておく。
ここで言う【埋めておく】とは比喩ではなく物理的な話なのだ。
ニルの特殊呪法タイタン『イルヴァーナ』を加護するは土角明王
その籠の最大の特徴は地中潜航能力であり、その恩恵は強く掴まれたものにも及ぼすことができるのだ。

ショルダーシールドに仕込まれた巨大なトラバサミは鎖に繋がれイルヴァーナに繋がっている。
トラバサミもまた加護を受けており、それに挟まれた巨人に加護を付与する事もできるのだ。
その状態でイルヴァーナが術を発すれば、対象の意図を無視して地中航行能力を付与する事になり、結果として沼地に沈むように地中に引きずり込まれる。
引きずり込んだところで術を解除すれば相手はそのまま生き埋めとなる。

とはいえイルヴァーナの地中潜航深度はそれほど深くなく、強力な相手だと生き埋め状態からでも大地を割り脱出する事も考えられる
故に中途半端に沈め、動きを封じ地表に出ている部分を僚機のタイタンがとどめを刺す事にしている。

「はんっ、部隊長からも言われたんでね。埋められたくなきゃ無茶するんじゃないよ
関所まで行くなら下が土じゃなく橋だ、いつものパターン出来ないんだからね
平和も結構だけど、加護持ちがどれだけいると思っているんだい?
どうせ死ぬのなら最後の一体を殺してからにしな。」

トムの言葉と『ラウンドナイツ』のかぶとのスリットから覗くルビーの目から送られる気に、本気であることは十分伝わっていた。
だからこそ、トムにはまだ死んでもらっては困るのだ
ニルにとってはもはや英雄も、平和も、どうでもいい事なのだから。
ただ復讐あるのみ
復讐の相手は全ての巨人
善も悪も何もなく、全ての巨人を抹殺するまで終わる事がないのだから。
だからこそ、利用する、戦争を、味方を、僚機であるトムを
0293ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
垢版 |
2017/10/25(水) 23:20:02.52ID:bBpzvQ0/
進軍は順調に進み、小高い丘に第四タイタン部隊『大鷲』は布陣した。
眼下に見えるはアルカイ大橋と関所が見える。

索敵に適した加護を受けたタイタンが早速戦力を調べにかかっている。
そしてニルの『イルヴァーナ』もまた索敵に適したタイタンである
索敵というより強襲偵察に近いのではあるが

「こちら『イルヴァーナ』のニル。これより地中潜航により戦前工作にはいる」

イルヴァーナには巨大な手腕の他に、胸元に呪印用の小型の腕がついている。
搭乗者のニルが呪法を行使すると、イルヴァーナの副脳として搭載されたニルの亡き夫の脳が反応し、それに連動するように呪印用の腕が複雑な印を結ぶ。
結果、まるで沼に沈んでいくよう巨大なタイタンが地中に沈んでいくのだ。

沈みながら『イルヴァーナ』の背中から細く長い竿が伸びる。
地中潜航は潜水と同様の者であり、当然呼吸も視界も失われるため、このような吸気管兼潜望鏡を伸ばす必要があるのだ。

地中深度10Mほどまで沈み、ゆっくりとアルカイ大橋へと接近していく。
橋の接岸地点に見張り台が設置されており、橋中央に関所が設けられているのが見える。
重要拠点であることもわかっているのであろう、見張りの巨人に隙はなく注意深くあたりを見回しているのが判る。
これだけ近づくと、念話を傍受される可能性もあるので連絡は取れない

橋の手前50Mほどの地点でトラバサミをショルダーシールドから展開させ、地表付近に設置。
戦端が切られ巨人たちが迎撃に出るのであれば、橋から100M以内が接敵地点になる
ならばここらあたりに罠を仕掛けておけば、巨人の出足をくじき陣形を乱すことができるだろうから

ニルはくらい地中でじっとその時を待つ。
トムとは別種の仄暗い熱を隠しながら。
0294ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
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2017/10/25(水) 23:20:58.47ID:bBpzvQ0/
【改めましてよろしくお願いします
そしてまだ参加を迷っている方が見えましたら是非是非共に楽しみましょう】
0295 ◆Q/9lN6f8gg
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2017/10/28(土) 14:42:53.12ID:AHTYHYUg
>「こちら『イルヴァーナ』のニル。これより地中潜航により戦前工作にはいる」

「部隊長エレバスだ。加護持ちの巨人は三体。
 関所の中に全員待機してやがるな……見張りは潰すな、ニルの罠を待って仕掛けるぞ」

アルカイ大橋は極めて大きな石橋であり、戦争前は十台の馬車が並んで通れると言われたほどの幅を持つ。
今では巨人たちによって増築が施され、一種の要塞となってしまっている。

「ニルの罠を感知した。丘から思い切り声を挙げて突っ込む、ただし突っ込みすぎるな」

『アルパ』が手斧を握りしめ、他のタイタンもそれに呼応するように各々の武器を構える。
一般的なタイタンと巨人の戦闘は、人間同士――つまりヒュマ、ドワーフ、エルフが
武器を持って戦う普通の戦争と大して違いはない。ただ周囲に与える被害は、数倍にもなるが。

防御に優れた重装備のタイタンが先陣を切って丘を駆け下り、その後ろから他のタイタンが走る。
さすがに見張りの巨人が気づき、巨人兵が関所からぞろぞろと出てきた。

「タイタンノ群レ!連合軍ドモカ!」

巨人たちの装備は頭だけを覆った鉄の兜に鉄の胸当てだけと簡素なものだ。
これは物資がないわけではなく、巨人族そのものの身体が極めて頑丈なためである。
また武器も鉄の斧や鉄の大槌など、力任せに振り回すものが多い。
これも防具と同じように、巨人族の頑丈な身体に剣や槍などの構造ではついていけないからだ。

「総員突撃セヨ!」

指揮官らしき巨人が、関所の奥から声を張り上げて叫ぶ。
すると数十の巨人兵が大地を揺るがさんとばかりに雄叫びを挙げて走り出す。

「……?」

だが先頭を切って走っていた巨人があることに気づいた。
いくら走っても前に進まず、目の前で走ってきているタイタン共がどんどん視界の上に動いているのだ。
彼は下を見てようやく理解した。自分が地面の中へと沈んでしまっていることに。

「よし!奴らの勢いは殺した、このまま突っ込んで荒らすぞ!」

先頭が転び、沈み、倒れたことで巨人側の勢いは大幅に減った。
そこに丘から走ることで勢いをつけたタイタンたちが突っ込み、巨人たちはさらに混乱することになる。

「せいやっ!」

その乱戦の中で、トムの駆る『ラウンドナイツ』は順調に戦果を挙げていた。
斧を振り上げた巨人兵の顔面に盾を叩きつけ、怯んだところに
ショートソードと呼ばれる短剣を心臓に突き刺し、ぐりっと捻って抜く。
味方のタイタンを襲っていた巨人兵に背後から大剣を叩きつけ、兜ごと頭をかち割る。

そのような乱戦がしばらく続いたかと思うと、部隊長から念話が入った。

「加護持ちが出てきたぞ!全タイタンは一旦俺のところに――」

途中までしか聞こえなかったことにトムはやや不安を覚え、僚機であるニルに念話を飛ばす。

「ニル!加護持ちが出てきたらしい、一旦集合だ!」
0296ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
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2017/10/30(月) 20:42:51.95ID:5440V6it
開戦直前。
既に潜望鏡は下げ、地上の様子を知ることはできないが、巨人の駆ける振動は地中を走る。
それと共にトラバサミから伝わる肉を裂き挟む感触
「はぁ……ああああ!」
その感触をタイタン『イルヴァーナ』を通じ自身の体の芯に感じ、愉悦ともいえる声を漏らし、トラバサミに繋がる鎖を引き下ろす。

地上では先陣を切って駆け出した巨人が四体、それぞれの足を巨大なトラバサミに囚われ苦痛に呻いていた。
だが、その強靭な肉体こそが最大の武器であり防具である巨人である。
不意の罠で肉を裂かれ挟まれても骨を砕くまでには至らず。
特に先陣を切る巨人は屈強にて勇猛でであり、トラバサミに囚われようともそのまま鎖を引きちぎり進むであろう。

それが『引き合い』ならば、だ

ニルは呪術師ではあるが同時にドワーフであり、生粋の技術者。
強靭の性能と己の性能を正確に把握し、過小評価も過大評価もしない。
だからこそ、そもそも巨人と同じ土俵に乗る事はない。

トラバサミに囚われた瞬間から『イルヴァーナ』の受ける土角明王の加護を強制的に共有させることができる。
すなわち巨人にとって足元に広がるのは確固たる足場ではなく、踏ん張りようのない底なし沼なのだから。

半身が沈んだところでトラバサミを解除し、すなわち土角明王の加護下から外れ残された巨人は身動きとれぬまま取り残されるのだ。
全身沈めて生き埋めにしても掘り返して出られてしまう。
ならば上半身残しておけば、抵抗されようとも身動きの取れない状態。
タイタンならばもちろんのこと、随伴の歩兵でも巨人を仕留める事ができるのだから。

巨人への強烈な復讐心を持つニルであるが、その対象は巨人全体に及ぶ、
故に自分の手で直接殺すこだわりを捨て、一体でも多く巨人を死に至らしめるように仕向ける方向に向いているのだった。


戦法をくじかれ隊列が乱れた巨人たちにタイタンたちが丘から走り下り、その勢いのまま突入する。
アルカイ大橋前は一気に大混乱と化す中、ニルは静かに地中を航行し、戦場から程離れた場所の浮上した。
地中潜航は奇襲できるからこそのアドバンテージなので、なるべくそれを察知されないようにするための措置であった。

スピードの遅い地中潜航で一旦戦場を離れ、それからまた舞い戻るのであるから、アルカイ大橋前に到着したころには大勢が決しようとするとこであった。
このまま橋を渡り関所まで行けるのではないか、というほど優位な戦いの中、通信が入る。
0297ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
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2017/10/30(月) 20:43:12.06ID:5440V6it
>「ニル!加護持ちが出てきたらしい、一旦集合だ!」

「ああさ、こっちにも念話は届いてた。
念話が途中で途切れたって事は、アルパの上位互換か、飛行タイプか……単純に強いかだねえ」

言語神ウォカーの加護を受けるタイタン『アルパ』は戦闘力こそ劣るものの、念話と探査力に優れ、部隊の中核として後方から指示を出す役目を担う。
故にこの前線に出る事はなく、戦場を一望できる後方に位置する

その『アルパ』の念話が途切れるのは同種でありそれ以上の加護を受け指揮系統を寸断する事ができる加護を持っている。
もしくは部隊後方にいたアルパに前線の混戦を避けて直接攻撃ができる飛行の加護を持つものか。
土中潜航でも急襲をかけられなくもないが、スピードが違い過ぎる。

出来ればこの二つで有ってほしいとニルは願う。
そういった加護を抜きでこちらの部隊中枢に切り込めるとなれば、恐るべき強さを持った巨人という事になるからだ

橋前の戦闘から離脱し、アルパに向かう前にトラバサミを一本、倒れている巨人に投げつけ捉え引きずっていく。

「トム、部隊長の言葉を忘れるんじゃないよ!
相手の加護が判れば儲けもんくらいに考えとけばいい
状況によっては巨人放置でアルパさえ引きずってこりゃいいさね、必要なのは情報なんだからね」

そういいながら巨人を咥えたトラバサミの鎖を持ち、回転を始める。
一回転、二回転、そして三回転目にトラバサミの口は開き、巨人は宙を舞いアルバのいたポイントに飛んでいく。

アルバの周辺の状況がどうなっているかはわからない。
だが、加護持ちの巨人がいる可能性がある以上、直接突っ込むのは危険。
そこで巨人の死体を投げ込み、虚をつくって突入口を開くのだ

巨人を投げ込んでいる間に他のタイタンたちは先行し、『イルヴァーナ』は十歩ほど遅れてそれに続く形のなった。
0298 ◆Q/9lN6f8gg
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2017/11/05(日) 14:37:45.64ID:YudFiaRs
>「トム、部隊長の言葉を忘れるんじゃないよ!
相手の加護が判れば儲けもんくらいに考えとけばいい
状況によっては巨人放置でアルパさえ引きずってこりゃいいさね、必要なのは情報なんだからね」

「分かってる!先に向かうぞ!」

戦闘によって激しい砂埃が舞う中、『ラウンドナイツ』は他のタイタンと戦場を駆ける。
途中はぐれた巨人とも遭遇するが、加護のない巨人であればトムでもあっさりと倒すことはできた。
そしてもうすぐアルパが突撃の後、状況把握のために陣取っていた丘のふもとが見えたと思ったその時だ。
『イルヴァーナ』が投げ込んだ巨人の死体が頭上を通り、固まっていた巨人たちにぶつかった光景を見て、トムはあることに気がついた。

「土が……巻き上がっている?
 砂埃にしては激しすぎる、こんな加護を持ったタイタンはこの部隊にはいなかったはずだが」

そもそも足元の草原はタイタンや巨人によって踏み固められ、
草木と土が入り混じっている。こんな状態で砂埃、いや砂嵐が巻き起こるとすれば――

「我らが同志の死体を放り投げるとは……貴様らに敵を尊ぶ誇りや名誉はないと見えるな」

砂嵐がひときわ激しくなったと思ったとき、『ラウンドナイツ』の目の前に一体の巨人が現れた。
頭を覆う鉄の兜。黄土色のマントを全身を隠すように纏い、わずかな隙間からは
複雑な文様が刻まれた甲冑が見える。両手で抱えるように持っている戦斧は柄が長く、刃もまた長い。
明らかに加護を受けた巨人だと分かる。
0299 ◆Q/9lN6f8gg
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2017/11/05(日) 14:38:11.69ID:YudFiaRs
「もはや容赦は不要。我が名はニブルネ族のバルバロイ!
 ここで砂神アーレイの名の下貴様らは……処刑とする!」

流暢なアスガルド語で喋ることから、この大陸での戦歴がかなり長いことをうかがわせる。
連合軍に懸賞金がかけられている巨人の一人、『砂塵のバルバロイ』であるとトムはすぐに理解した。

「ニル!聞こえるか、橋にいたのはバルバロイだ!」

他のタイタンたちが思わず一歩後ずさる中、トムはニルに念話を飛ばして一歩前に出た。
それは功名心や名誉欲もあったが、その一歩の多くを占めたのはトム自身の性格だ。

「部隊長の念話もたぶん砂嵐が妨害してる、こいつを止めなきゃ撤退もできないぞ!」

そう言って『ラウンドナイツ』はバルバロイに盾を構えて突っ込んだ。
当然バルバロイは堂々と戦斧を振り上げ、迎撃せんと頭めがけて振り下ろす。

『ラウンドナイツ』の頭部が容赦なくかち割られるかに見えた瞬間だ。
振り下ろされた戦斧を盾で受け流し、バルバロイの腹めがけて鋭い突きを放った。

「甘い!」

当然バルバロイはその突きを体全体を動かして避け、肩から思い切り『ラウンドナイツ』にぶつかっていく。
まともに衝撃を食らい、『ラウンドナイツ』は踏みとどまる間もなく吹き飛ばされていった。

「私の首が欲しければ、百人は連れてくるがいい!
 貴様らのカラクリ鎧如きに私の加護は打ち砕けん!」

腰を深く落とし、バルバロイは戦斧を構えてゆっくりと近づいてくる。
それだけで他のタイタンたちはじりじりと下がり、中には逃げ出す者もいた。


【期限ギリギリですみません……】
0300創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/11/07(火) 21:09:21.03ID:dMm3n/LO
ちゃんとスレ立てれば人集まったかもしれんのに、何故このスレで開始したんだ?
企画案投げるだけで良かっただろ
0301創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/11/08(水) 11:13:31.33ID:mYWHmF5+
>>300
お前考え方が甘いよ
ハイパーウンコに粘着されるだろ?
0303創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/11/08(水) 21:54:00.89ID:/bfkrsLg
つまり立てた場所じゃなくて、企画自体が悪いから人が集まらなかったってことか
0304ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
垢版 |
2017/11/08(水) 23:17:11.69ID:B5c1OYkS
先駆けとして巨人の死体を投げつけたことで、集団から遅れる『イルヴァーナ』
だが、戦場への到着を待たずに敵の正体をトムから知らされることになる。

橋を守護し、本陣に斬り込んだのは加護持ちの巨人『砂塵のバルロイ』
大陸各地の戦場で猛威を振るい、連合から懸賞金をかけられている巨人の一人
それでいてなおも健在でこうして最前線に出てくることから如何に強力かは推して計れよう。

>「私の首が欲しければ、百人は連れてくるがいい!
> 貴様らのカラクリ鎧如きに私の加護は打ち砕けん!」

ようやく戦場にたどり着いた『イルヴァーナ』が聞いたバルロイの咆哮
そして吹き飛ばされてきた『ラウンドナイツ』を受け止めながら、音声を外部出力に切り替える

「吹くんじゃないよ、巨人風情が!
多勢を巻き込んで砂塵を巻き起こしコソコソ動き回るって有名な加護持ちなんぞアタシ一人で十分さね!」

バルロイを挑発するように啖呵を切ると同時に、受け止めた『ラウンドナイツ』に直接接触による念話を送る
これならば砂塵による念話の妨害も傍受の心配もないだろう。

【あたしが奴の隙を作るから、判ってるね?
なあに、百人連れてこいって本人が言ってくれてるんだからお望みどおりって事さ。
他の連中にも合図しとくれよ】

一対一の決闘を望むのは勿論ブラフ。
ニルは当然数の力で圧殺するつもりだが、戦いこそが誉れを地で行く巨人族はこういった挑発に弱い事を知っている。

「あんたらぁ、手ぇ出すんじゃないよ?
奴が砂塵に紛れて逃げ出さないようにしっかり見ておくんだね」

外部音声でこう声をかける事により、後ずさりし、逃げ出そうとする者達をその場で踏みとどまらせる。
『バルロイ』と『イルヴァーナ』を残し、他のタイタンたちは距離を開け周囲を囲む

「女!このバルロイを、そして砂神アーレイを侮辱した罪は万死に値する!
一刀をもって処断してくれよう!」

待機を震わせんばかりの咆哮にとともに、巨人とタイタンが対峙する。

しばしの睨み合いの後、先の動いたのは『イルヴァーナ』
間合いの外からトラバサミを振り回し投げつける。
それを長柄の戦斧で弾き、一気に間合いを詰める『バルロイ』

(弾いた?
トラバサミに咥えられなくとも鎖が絡み付くだけでも加護を与え地中に沈められたものを。
こちらの加護が判っているわけでもないだろうけど、戦士の勘という奴かい?)

ある意味初見殺しともいえる『イルヴァーナ』の能力を回避したことに驚きを覚えつつも、ニルは笑っていた。
ここからが本当の戦いなのだから。
0305ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
垢版 |
2017/11/08(水) 23:18:59.72ID:B5c1OYkS
『バルロイ』が全力を持って一気に間合いを詰め、必殺の一撃を放つその踏込み。
そここそがニルの狙い。
『イルヴァーナ』の受ける加護は土角明王の土属性。
その最大の術は地中潜航にあるが、自分の周囲の土を泥濘に変える小技も効き、こういう場面では絶大な効果を発揮する。
力強く踏み込めば踏み込むほど、ぬかるみに足を取られた時の体勢の崩れは大きいのものだ

……ニル!……

勝利を確信したニルの脳裏に走る、亡き夫イルの声
この声がニルの生死を分けた。

次の瞬間『バルロイ』の踏込の足が泥濘を踏みつける。
踏み込んだ「そこ」は確かに泥濘であった。
だが踏みしめる瞬間、大量の砂が捲かれ滑り止めとなり、強力な踏込となったのだ。

そこから戦斧が振り下ろされるまでの一瞬が凝縮し、バルロイとニルの時間が間延びする

【戯けが!斯様な卑劣な小細工が我に通用すると思うてか!】
必殺の間合いでニルに叩きつけられるバルロイの意識
それを受け、総毛立ちながらニルも応える
【たかが殺し合いに面倒な御託を並べるんじゃないよ!】

刹那の邂逅と共に間延びした時間は閉じ、『バルロイ』の戦斧は閃光の速さで振り下ろされる。
轟音と共に起こる土煙の中から、『イルヴァーナ』の右腕がショルダーシールドごと切り落とされて飛び出した。
それとともに、ショルダーガードに仕込まれていたトラバサミや鎖が周囲に飛び散る

戦斧が振り下ろされる瞬間、『イルヴァーナ』は両腕をその巨大なショルダーシールドごと前に出しガードの体制。
しかし『バルロイ』の必殺の一撃は二枚のショルダーシールドごと『イルヴァーナ』の胴体を両断する鋭さを持っていた。
にもかかわらず、右腕を切り飛ばされ、左のショルダーシールドに一文字の傷をつけるに収まったのは、土中潜航の術で沈み込む事により鋭さと衝撃を緩和できたことにある。

土煙の中、下半身が埋まった『イルヴァーナ』のシルエットが見えるだろう。
それと同時に『バルロイ』が体勢を崩し片膝をつく
滑らせ体制を崩すことには失敗したが、埋まりつつ『バルロイ』の軸足の乗る地面下に穴をあけ、落とし穴にしたのだ。

【今だよ!】
トムにニルの念話が飛ぶ。
腕一本を犠牲にし、体制一つ崩すのが精一杯なのだがそれでいい。
正々堂々一対一の戦いなど最初から考えてなどいないのだから。


>>299お疲れ様です。二人で回していますし、テンポさえ保てばのんびりでも、寧ろその方が参入を考えている人に優しいかなと】
>>300ここで盛り上がれば独立してスレになるかも?まずはこちらにテンプレ投下して一緒に楽しみましょ】
0307 ◆Q/9lN6f8gg
垢版 |
2017/11/14(火) 15:10:15.36ID:tY3ixbsQ
【返信遅れて申し訳ありません。リアルの都合でこれ以上続けることができなくなりました。
 非常に申し訳ないですがここで自分は離脱させていただきます、ニルさん参加ありがとうございました】
0309創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/11/25(土) 11:25:57.62ID:oivNbvFj
コウノスケ=GAKURANMANが具体的に嫌いな、「キャーキャーしてる人たち」の特徴

・自分たちが居た世界のルールをこちら側に適用しようとする。
・暗黙のルールを理解していないのに、黙っていることも出来ない。
・感情に任せた自己中心的な問題提起を全体化し、感情に任せた水掛け論を引き起こす。(学級会と呼ばれる)
・自分の発言に価値が無いのに、価値があると思っている。
・主体性がなく、流行っているという理由で物事を好きになる。
・傷ついた素振りを見せることで、他者の気を引こうとする。
・キャーキャーすることが、その対象のためになると思っている。
・対象のキャーキャーできる部分が、その対象の全てだと思っている。
・キャーキャーすることにより、同族でコミュニティを形成しようとする。
・自身の紹介が、「何にキャーキャーしているか」に依っている。
・以上のような自分たちの振る舞いが迷惑になることを顧みない、顧みているつもりになっている。
・こうした意思の表明に対してすら、いちいち自分の見解を発表せずにはいられない。

お前らのことだな。
0310都市脱出 ◆PyOr68CZUA
垢版 |
2017/12/04(月) 16:41:33.83ID:dHJ5LrSQ
国の地方再開発計画によって発展し、過疎に苦しむ地方の中でも
発展を続けてきた地方都市、古特市。
港と空港を持ち、新幹線も通っている高い交通の利便さと効率的な行政システムから
理想的な都市モデルとして国内・国外を問わず移住する者が多い。

その古特市がある日突然原因不明の白い霧に包まれ、外部との連絡が一切できなくなってしまった。
入りこんだ者はほとんどが生きて帰ることはなく、内部ではどこからか現れた異形の者たちが昼夜を問わず闊歩し、
ここから逃げようとした者、ここに来てしまった者、ここにいる者を無差別に殺してまわっている。

あなたはいかなる理由からか、ここ古特市にいる人間だ。
目的はただ一つ。ここでそれぞれが持つやるべきことを成した後、生きて脱出すること。


ジャンル:現代伝奇サバイバル
コンセプト:都市脱出短編
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール・変換受け:あり
○日ルール:四日(延長は事前申請)
版権・越境:なし
敵役参加:なし


名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
特技:
目的:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

テンプレ例
名前:加藤 義和(かとう よしかず)
年齢:28
性別:男
身長:179
体重:74
職業:元会社員
性格:楽観的
特技:なし
目的:一人暮らしをしている妹との合流
所持品:金属バット・リュックサック
容姿の特徴・風貌:金属バットを右手に持ち、厚手のコートを着込んでいる

簡単なキャラ解説:
古特市で働いていたが霧の発生と会社を破壊した巨大な化け物を見てから
同じ市で暮らしている妹と合流し、ここから脱出しようとしている。
特に資格も特技もないが、怯えたりためらうことはほとんどない。

世界観とか設定に質問があればどうぞ
何名か来てくれるようならやります
0311ニル・ヴァーナ ◆P3uwe8rih0PX
垢版 |
2017/12/04(月) 17:52:20.73ID:ACIUZahF
特殊能力なしのゾンビパニックアクションな感じかな?
今ジャンプでやっている約束のネバーランドみたいな
0312都市脱出 ◆PyOr68CZUA
垢版 |
2017/12/04(月) 19:29:40.19ID:dHJ5LrSQ
>>311
そんな感じですね、敵はゾンビというよりダークソウルやブラッドボーンに出てくる化け物ってイメージですが
0313創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/12/05(火) 11:27:46.50ID:g+r27tHR
1)霧が出てからどのくらい経過したのでしょうか?
2)外部との連絡ができない=ネットも回線切断状態?
3)内部間のスマホ、電話などの通信手段
4)テレビ、ラジオ電波の有無
5)ライフラインは生きているのか?
6)異形の者達の形状、強さなど、プレイヤーが基礎情報として得られるもの
7)いつからスタート?
0314都市脱出 ◆PyOr68CZUA
垢版 |
2017/12/05(火) 19:37:27.08ID:tFqsWErM
>>313
1)1週間ほど経過しています
2)ネットも外部とは通じていません
3)内部での連絡は自分と相手の両方が内部にいる限り有効です
4)二つとも異形の者が出始めてから途切れてしまいました
5)電気・ガス・水道どれもまだ生きていますが異形の者たちによって破壊される可能性はあります
  補修も無理ですので異形の者たちがいる限り時間の経過で壊れていきます
6)異形の者たちは人型・獣型・声だけの異形がいることが市民たちの間で共有されています
  
  人型は服を着て人間の姿をしていますが顔がなく、ゆっくりと歩いては適当な物を投げてきたり殴ってきたりします
  腕力や体の丈夫さは人間と同じであり、弱点の頭を鉄パイプや角材で殴れば人間と同じように死にます
  
  獣型は四足で歩く裸の人間のような姿をしていて聴覚が強く、霧の向こうからでも人間の声を聞くとすぐにやってきます
  きわめて敏捷性が高く、手足に生えた鋭い爪と丸い禿頭にびっしりと生えた角で攻撃してきます
  こちらも人型と同じく頭が弱点ですが、できれば銃を使って遠距離から仕留めた方が怪我をせずにすむでしょう

  声だけの異形は特定の場所でのみ聞こえる独特の低い声です
  聞き続ければやがて頭が狂い異形の者たちになってしまうと噂されています
  人型や獣型と違い移動することはありません

7)一週間ほど募集しますので、その間に3人程度集まれば打ち切って始めようと考えています
0315創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/12/08(金) 20:41:02.07ID:63tmOOs2
追加で質問
1)異形の者のサイズ、戦闘力
2)作中スタート時点での月日時間
0316都市脱出 ◆PyOr68CZUA
垢版 |
2017/12/08(金) 22:59:53.51ID:F5SwwvNR
>>315
1)人型:成人男性の平均的身長
      ドアを開けたり障害物を乗り越えたりする知能もあります
      五感に頼らない未知の方法で人間を追跡できますが、一定距離離れると追跡をやめます
  獣型:成人男性が四つん這いになった程度の体長
      動きは素早く力も強いですが聴覚以外が鈍く特に視覚はまったくありません

2)1月の中頃を想定しています、古特市には雪がよく降りますが平均気温が高めなのですぐに溶けます
0318都市脱出 ◆PyOr68CZUA
垢版 |
2017/12/13(水) 18:39:06.69ID:YUQIkNJ+
参加希望の方はおられないようですので一旦企画を中止します
相談に乗ってくれた皆様ありがとうございました!
0319ヒーロー&ヴィラン ◆QqQuMOSQNE
垢版 |
2017/12/20(水) 17:43:25.89ID:IAGzPRYM
人類が文明を作り始めてから数千年。
長い歴史の中で奇妙な能力を持った人間が現れることが時折あった。
それは火を生み出すものであったり、雷を起こすものであったりと様々だったが、その使い方は人それぞれであった。
ただ歴史から読み取れることは、彼らが様々な異名で呼ばれ、良くも悪くも社会に影響を及ぼしていたことだ。
神様、英雄、悪魔……西暦2045年の今、彼らは単純に「ヒーロー」または「ヴィラン」と呼ばれていた。

そして日本の首都たるニュー・トーキョーでも彼らはいた。
能力を社会のために使おうとする「ヒーロー」たちがバラエティ番組や新聞の地域面を賑わせれば、
能力を自らのためだけに使おうとする「ヴィラン」たちが新聞の一面や社会面に載るような犯罪をやってのける。

「……君がどちらになるかは分からない。
だが、ここニュー・トーキョーで能力に目覚めたからには
生き残るために、どちらに所属するかはよく考えておきたまえよ」


ジャンル:シティヒーローアクション
コンセプト:近未来社会でヒーロー物がやりたい
期間(目安):短め
GM:なし
決定リール・変換受け:あり
○日ルール:七日(延長は事前申請)
版権・越境:なし
敵役参加:あり


名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
表の職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:
ヒーローorヴィラン:
能力に目覚めたきっかけ:

テンプレ例

名前:飯富 利樹(おぶ としき)
年齢:18
性別:男
身長:192
体重:79
表の職業:学生
性格:気弱で自分に自信がないが
    一度決めれば止まらない
能力:1m以内の自分の血液を操ることができる
所持品:学生鞄・果物ナイフ
容姿の特徴・風貌:短く刈り揃えた黒髪に端正な顔つき
         学生服を常に着崩すことなくきちんと着ている。
簡単なキャラ解説:それなりに裕福で夫婦仲のよい家庭に生まれて特に問題のない学生時代を送るが、
         高校生活最後の夏に能力に目覚めてからは、何かに惹かれるようにヒーローとしての戦いにも身を投じることになる。
ヒーローorヴィラン:ヒーロー
能力に目覚めたきっかけ:料理の最中に包丁で自分の指を切ってしまい、
            「血が早く止まってほしい」と思った瞬間血が傷口を塞ぐように指に巻きつき、固まったことから。
0324創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/12/27(水) 09:25:05.98ID:C1Z7QFDy
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

G1I75QHYQI
0325創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/01/11(木) 08:15:21.79ID:jpo0f1sW
あげ
0326創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/02(金) 01:44:02.74ID:wiGSER2/
ブレモン面白そうだったから勢いで書いてしまった……
ここに捨てていく


どこなんだろう……僕はついさっきまで通学路を歩いて家へ戻る途中だった。
鼻先をくすぐる緑色を掻き分けてがむしゃらに進んでいくと、獣道が目に映った。
慌てて獣道へ出て見ると、元いた場所を振り返る。

「通学路じゃない……」

自分が藪の中に放り込まれたことだけは、良く分かった。
だいたい、学校の成績も落ちていると両親はうるさいし、始めたばかりのスマホゲーは課金ゲーだし。
つまり何が言いたいかというと、コレも禄でもない出来事のひとつなんだということだ。
藪を眺めながら呑気に考えていると、自分と同じく藪を掻き分ける音が聞こえた。

射殺さんばかりの視線を投げつける眼に、紫と緑で彩られたサイケデリックな体色……。
あれは蛇だ。ソロソロと地を這って藪から姿を現したそれは、幅はゆうに人間を越えている。
図鑑に載ってた記憶はないが、心当たりはある。
僕が微課金でプレイしているスマホゲーム、ブレイブ&モンスターズの魔物だ。

理解が追い付かない。けど今はそんな場合じゃない。ゲーム通りならあの魔物は獰猛で、空腹時に人間も襲う。
幸いこちらには気づいていない様子だった。そろりそろりと一歩ずつ獣道を後退すれば穏やかに逃げ切れるだろうか。

想像を実行に移して十歩目で僕は中学時代の理科教師の言葉を思い出した。
蛇は目と鼻の間にピット器官という微弱な赤外線放射を感知する器官を備えている。
その精度は高く、数10cm離れたモノの温度変化を0.1℃単位で知ることができるという。
つまり、人間には始めから気づいていたのだ。

「うわぁ!!!!」

襲い掛かる巨大な蛇を前に、まず足に震えがきた。体中から力が抜けてしまったように動かない。
夢を見ている時、身体が思うように動かないのと同じ感覚を今味わっている。
格好の獲物を食い殺そうと魔物がその口を大きく開いたと同時に、ポケットのスマホに愉快な電子音が鳴った。
これは賭けだ、と思った。眼前の魔物がゲームと同じならば、この電子音は助けであると咄嗟に考えたんだ。
縋るように右手をポケットへ突っ込み、画面をタッチする。

「助けてくれ、トリッピー!!」

風が大きく巻き起こり、魔物と僕とを巨大な何かが遮った。
赤い翼を持つ巨躯の怪鳥――ガルーダのトリッピーがゲームに倣い、召喚に応じてその姿を現したのだ。
ブレイブ&モンスターズにおける僕の相棒が、大きく翼をしならせ、軽く舞い上がる。
その巨大な両脚の鉤爪に蛇を掴み、力任せに引き千切った。

一仕事を終えたトリッピーは手狭そうに獣道へ着地すると、僕は唯一信頼できる相棒へ駆け寄った。
電子だったはずの相棒は面倒くさそうに身体で僕を受け止めると、その柔らかさと温かさに圧倒された。
先程までのあれは夢ではなく、やはり現実だったのだ。
トリッピーのまふもふ体毛に身を委ねていると、再びスマホの電子音が鳴る。

「極彩色の蛇皮……?」

先程倒したビックバイパーのドロップアイテムだ。
現実では人間を襲う怪物だが、ゲーム上では所詮コモンの低級モンスターでしかない。
トリッピーのお陰で九死に一生を得たのは良しとして、状況が未だに呑み込めなかった。
誰かに話を聞こうにも人気も通わぬ獣道。魑魅魍魎はいれど人語を解する存在は期待できない。
0327創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/02(金) 01:45:03.24ID:wiGSER2/
ならば再びスマホに起動しているブレイブ&モンスターズの力を借りるまでだ。
このブレモンは位置情報によって現れる様々なモンスターを捕まえて育成するという内容だが、
プレイヤーはゲーム上で戦う場合20枚のデッキを構築して戦う。

ガルーダを呼べるなら先程と同じく20枚のカードも使用できるはずだ。
カードにはスペルカードとユニットカードの二種類のカードがあり、今回はユニットカードを使う事にした。

『はいはーい♪ 風の調べにおまかせ♪ シルフちゃんでーす!』

風の妖精シルフはその辺の公園でも手に入る普遍的なモンスターだが、知能は高いという設定だったはずだ。
早速シルフにここは何処かと尋ねてみると、ここはアルフヘイムのどっかの森!
危ない気配が漂っているので善良な妖精ならまず近付かない、とのこと。

嫌な予感はしていた。ここで善良な妖精の情報で確定しただけなのだ。
ここはブレイブ&モンスターズの世界で、僕はそこに迷い込んでしまったのだ。
不思議の国のアリスは無事に家へ帰る事が出来たが、自分はどうなのだろう。
寝る場所は?晩ご飯は?明日の服だってない。

そんな八方塞がりの状況ではあったが、不思議と気持ちは前向きだった。
衣食住は不十分でも、パートナーのモンスターがいる。片手にはスマートフォンもある。
なんとかなる。何かがあっても全部乗り越えて、何事もなく家に帰ってやる。

相棒のガルーダの背中に飛び乗る。まずは人里を目指そう。
きっと何かが掴めるはずだ。ブレモンのユーザーは何万といる。
その中の自分だけが迷い込んだなんて考え難い。きっと何かがあるんだ。
0328創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/02(金) 01:46:08.81ID:wiGSER2/
【キャラクターテンプレ】

名前:鳥原英司
年齢:16
性別:男
身長:172
体重:63
スリーサイズ:普通
種族:人間
職業:高校生
性格:温和
特技:走り幅跳び
容姿の特徴・風貌:平凡な黒髪に学ラン
簡単なキャラ解説:
転移に巻き込まれたブレモン初心者。
両親に内緒で課金するプチ反抗期の少年。


【パートナーモンスター】

ニックネーム:トリッピー
モンスター名:ガルーダ
特技・能力:高速飛行、物資の運搬、風を起こす、かぎ爪
容姿の特徴・風貌:翼は赤く全身は黄金色に輝く巨大な鳥
簡単なキャラ解説:
課金でお手軽に入手できる怪鳥。
外見は妙にカッコイイのでライトユーザーに人気。
育成と構築次第でそれなりに戦えるようだ。

【使用デッキ】

・スペルカード
「双子の旋風(ツインツイスター)」×3 ……前方に竜巻を二度生み出す。
「気まぐれな大嵐(ディザスターストーム)」×3 ……無差別に襲う大嵐を巻き起こす。
「風切羽(ウィングレット)」×1 ……対象の速度を一時的に上昇させる。
「限界突破(オーバードライブ)」×1 ……魔力のオーラを纏い、身体能力を大幅に向上させる。
「漆黒の爪(ブラッククロウ)」×1 ……パートナーの爪や牙などに、漆黒の気を纏わせて硬化させる。
「浄化(ピュリフィケーション)」×3 ……対象の状態異常を治す。
「高回復(ハイヒーリング)」×3 ……対象の傷を癒やす。

・ユニットカード
「樽爆弾(バレルボム)」×2 ……樽型爆弾を1つ生成する。触ると危ない。
「風の妖精シルフ」×3 ……風を操るフェアリーを召喚する。
0334 ◆pXjzscib5Y
垢版 |
2018/02/23(金) 17:56:30.37ID:o2m/1w/T
宇宙に新天地を求め、居住可能な星に送り込まれる開拓船パイオニア号
操船クルーを除き開拓民たちはコールドスリープで宇宙を渡る
目覚めた時は新たなる星で、人類が住めるように調査し開拓する事を夢見ながら

しかし、夢の終わりは絶望的な現実と共に訪れる
コールドスリープから運良くか悪くか目覚めたあなたが最初に見た光景は、崩壊したコールドスリープ装置群
無数に並べられた装置のほとんどは破壊され、無事なものでも中身はミイラと化しているものが殆どであった

船は大きく破損しながらも未知なる星へとたどり着いていた
だが辿り着いてからどれだけの時間がたっているのか、なぜ破損したのか、そしてこの星はどういった場所なのか?
全ては未知なままに目の前に広がっている

だが全てにおいて絶望というわけではない
なぜならば、あなたは入植者ではなく開拓者なのだから
未知なる星を切り開くための知識と能力をそれぞれが備えられている

未知なる星とのサバイバルがここに始まる

ジャンル:サイエンス・ファンタジー
コンセプト:科学と超能力でサバイバル!
期間(目安):短編一回
GM:なし
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長無)
版権・越境:なし
敵役参加:なし
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

※太陽系外開拓船パイオニア号
全長20キロに及ぶ宇宙船
長時間の宇宙移動を実現するためのあらゆる装置が備え付けられている
永久機関動力、武装、居住区、生産区、実験区などなど
しかし多くが破損し使用不能状態となっている
また通路や部屋も破損と時間の経過により未知なるダンジョンと化している

※開拓者
未知なる惑星での調査開拓をするために、様々な特殊能力を持つ者や与えられた者が乗っている
技術者、超能力者、サイボーグなど

ttps://lavender.5ch.net/test/read.cgi/net/1517553464/の>>79氏のご厚意により設定をお借りしました。ありがとうございます。
何か質問があればお気軽にどうぞ
0335 ◆pXjzscib5Y
垢版 |
2018/02/23(金) 17:57:04.80ID:o2m/1w/T
テンプレ例
名前:ブライアン
年齢:29
性別:男
身長:179
体重:84
種族:サイボーグ
職業:武装エンジニア
性格:楽観的
能力:ハッキング・武器修理・違法改造
所持品:プラズマナイフ(出力違法改造)・一般船員用多目的通信デバイス(上級船員権限取得済)
容姿の特徴・風貌:工作用多目的パワードスーツに身を包み、ぱっと見は作業着に銀色の鎧をくっつけたような姿。
簡単なキャラ解説:地球の紛争地域で武器屋として有名だったが、
         紛争終結後ハッキングで逮捕される。
         工具の修理や武器の改造に精通し、本人のやる気もあることから司法取引でパイオニア号の船員となった。
         法やルールを破ることに抵抗感はあまりないが、人の生死に関わることと子供に害が及ぶことは嫌う。
0336 ◆pXjzscib5Y
垢版 |
2018/02/24(土) 10:40:10.24ID:Wfrtw53a
赤く点滅する非常灯が等間隔で並ぶ広い部屋の中、そこに置かれたいくつもの冷凍睡眠ポッドがある。
その一つのハッチが低く響く吸気音と共に開き、一人の男が目を覚ました。

「……到着した……ってわけじゃないみたいだな。
 非常用電源に切り替わってる。こりゃシステムエラーか」

そう言いつつ男はポッドの隣に横づけされてあった個人用ロッカーを開き、自らが持ち込んだ
パワードスーツを着込み、通信デバイスを胸のポケットに入れ、そして護身用として
常に持っているプラズマナイフを腰のポケットに収納する。

「さて、現在の船内状況はっと」

男はこの開拓船パイオニア号の船員には必ず与えられる多目的通信デバイスを開き、
現在の船内システムの稼働状況を確認する。

一般船員ならばシステムの稼働状況を一部しか確認できないが、この男はそれなりのハッカーでありエンジニアでもあることから、
システムの全体を把握できる上級船員の権限を違法に取得していた。

そして、通信デバイスの液晶画面に映ったものは驚くべき光景だった。

「なんだこりゃ……!内部通信システム停止、実験区画通信途絶、主機関動力エラー発生!?
 ほとんど全部落ちてるじゃねえか!空気循環システムが落ちてるのが特に一番やべえぞ!」

そう言うと男は部屋の壁に走り出し、『非常用』と書かれたプレートを引きはがして
その下に隠れていた液晶パネルに飛びついた。

「上級船員権限および緊急事態発生でこの部屋の冷凍睡眠ポッドを全て強制起動!
 責任者は通信システムエンジニア、ブライアンだ!」

自らの通信デバイスを液晶パネルに近づけ、音声入力で必要な事項を正確に喋る。
急いではいたが、焦って余計なことを言わないように気を付けなければならない。

そして赤い非常灯が部屋をわずかに照らす中、他の冷凍睡眠ポッドが静かに開き始めた。


【ここまでが導入部となります。参加される方をお待ちしています!】
0338 ◆FVsexs4Gcs
垢版 |
2018/03/07(水) 20:36:59.93ID:vFu0dbXS
一対一の決闘というものは命がかかっているからこそ最高の娯楽となる。
どこかの誰かが作り上げたこの闘技場はあらゆる世界から戦いのためなら命を惜しまない強者が集まる決闘の舞台。
一瞬の判断が生死を分け、相手の実力を測りきれなかった者は無残な屍となる。
観客はその攻防を見たいがために大金を惜しまず払い、この闘技場へとやってくる。
そして今この瞬間も、死ぬか生きるかの決闘が始まっているのだ。

ジャンル:SF+ファンタジーでジャンルを問わない決闘物
コンセプト:余計な事情は抜きにしてタイマンで殴り合い
期間(目安):超短編(5〜6ターン程度)
GM:あり
決定リール・変換受け:あり
○日ルール:三日(延長なし)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
名無し参加:なし

※ルール説明……戦闘だけのスレです。
        レスは1レスかつ10行以内に納めてください。
        基本的に1対1です。ちなみに降参は有効。
        
        三日ルールが守れなかった場合、強制的に敗北となります。

※闘技場の設定……戦闘の舞台となる場所は半径50mの円形決闘場か、
         半径500m、ビル群が廃墟となって連なっている大型円形闘技場のどちらかとなります。


名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
スリーサイズ:(大体の体格でも可)
種族:
職業:
性格:
武器:
防具:
所持品:
戦う理由:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:
0339 ◆FVsexs4Gcs
垢版 |
2018/03/07(水) 20:38:48.29ID:vFu0dbXS
テンプレ例

名前:パワガ・ワード
年齢:36
性別:男
身長:201
体重:134
体格:マッチョ
種族:半機械化人間
職業:傭兵
性格:豪快
武器:背中に担いだガトリングガンと両手に持った高熱チェーンソー
防具:大型パワードスーツ
所持品:手榴弾・予備弾倉
戦う理由:自分よりも強い者を倒すため
容姿の特徴・風貌:背中から飛び出た二門のガトリングが特徴的。
         全身は超複合装甲製のパワードスーツで覆われ、並の武器では傷ひとつつかない。
簡単なキャラ解説:彼が生きている世界は傭兵がとても多く、パワガはその中でも
         トップクラスに優秀な傭兵だった。
         他の傭兵たちを容赦なく狩るうちに虚しさを覚えていたが、
         あるときこの闘技場の存在を知り、初めての決闘で強者と戦うことの喜びを知る。
         それ以降はさらなる強者を求め、今では闘技場に入り浸っている。
         現在49連勝目。

【次に投下するのがプロローグとなります】
【1名参加してくだされば成立しますので、お気軽に参加してください】
0340 ◆FVsexs4Gcs
垢版 |
2018/03/07(水) 20:39:08.28ID:vFu0dbXS
『本日の決闘参加者は現在49連勝中、パワガ・ワード!そしてもう一人は――!』
参加者に合わせた控室の中で、司会の試合前口上を聞きながらパワガは待っていた。

記念すべき50連勝、その踏み台となる相手の登場を。
彼はこの闘技場に参加してから一度も負けたことがなく、また引き分けたこともない。
これは闘技場に観客が参加するようになってから初めてのことであり、観客も前人未到の50連勝に大いに期待していた。

パワードスーツに異常はなく、ガトリングガンも正常。
高熱チェーンソーは唸りをあげてパワガに応える。
さて、50連勝という栄光に相応しい強者が現れるのか。パワガは期待に胸を膨らませつつ会場へと向かった。
0343創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/21(月) 06:28:30.35ID:tRZnwP6O
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

64ZN5
0344 ◆lAXkP1Lk/.
垢版 |
2018/05/25(金) 18:01:23.63ID:k5KupQr1
かつて地球上に存在し、人類の歴史上最も繁栄した時代。
その終わりは終末兵器と呼ばれる物が世界中に放たれたことによって、あっけなく訪れた。
世界中に広がった人類たちも、今ではわずかに残る汚染されていない区域に残るシェルターを
中心に街を築き、そこで細々と暮らしているだけだ。

だが、人類は過去の栄華を求めている。
食料の自動生産、重力の制御、人工的な超能力。暴走した無人兵器が闊歩し、除染不可能な毒物に塗れた廃墟の中に全てが眠っているのだ。
そして再び人類の手にこれらを取り戻すために、命知らずの探索者たちはわずかな武器と解毒剤を心の支えに廃墟へと潜る。

ジャンル:SF廃墟探索
コンセプト:ポストアポカリプス+ダンジョンアタック
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

このまま実験室が動かないのもアレだしまた募集します!
1人でも集まればやりますので何か質問などあればどうぞ

前のコテは忘れちゃったのでこれからはこのコテを使います
0345創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/06/26(火) 19:07:41.40ID:a1avf39J
【現代異能】クリーチャーズ・サバイバル【TRPG】
面白そうだけで、参加するほど余裕がないのでこちらに投下

名前:巴 珊瑚
年齢:17
性別:女性
身長:145
体重:35
職業:高校一年生
性格:前向き、劇場
一つだけの能力:気流操作
        風邪を操る能力
        体を持ち上げ空を飛ぶこともできる
所持品:金属バット・車椅子、各種粉末、ナイフ、金槌
容姿の特徴・風貌:黒髪ショートヘア、目鼻立ちのはっきりした顔立ち、パンク系のドレス、スカートはロング丈
         膝から下がなくスカートで隠している
         車椅子に乗っている
         パンク系のドレスに無駄についたジッパーやポケットは粉末類の隠し場所として機能を得ている
簡単なキャラ解説:将来を嘱望された陸上選手だったが、14歳の時に事故で両足喪失
         16歳、高校で義足をはいて陸上に復帰
         化け物たちが出現した最初の地点に住んでおり、その混乱の中取り残される
         両足がなく逃げることもできず、戦闘のただなかで化け物の血肉をすすり生き延びる
0346創る名無しに見る名無し
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2018/06/26(火) 19:10:56.14ID:a1avf39J
わずか半年
しかし、その半年は人を変えるのに十分な密度を持った半年だった
突然現れた化け物たち
次々と襲われる人々
そして戦闘
それは大規模なものになっていき、その混乱の中で足のない少女を気に留める余裕がある者はいなかった
血みどろの戦場に取り残された少女は、生きるために化け物の血を浴びその肉を食らい続けた

そうして半年後
人間は敗北し、人類文明は崩壊
地上は化け物たちが闊歩し、わずか半年前の面影を見つけ出すことすら難しい

だが人間は滅んでいなかった
組織的抵抗がほとんどできないほど壊滅状態ではあるが、わずかな生き残りはいた
そしてその中で、生き残るための力に目覚めたものがいた
化け物の血肉をすすり食らう事で人を超えた力を得た者たち
巴珊瑚もその中の一人
しかし力以外にも別のモノも宿すことになったのを自覚できてはいかなかった        



廃墟と化したビル群の中心にひときわ高く聳え立つビルがある
その中層階
そこはゴブリンの集落となっていた。

小鬼ともいわれるようにその体躯は小さくあり、化け物たちの中では弱い部類である
が、それはあくまで強大な化け物というカテゴライズの中の話であり、鬼は鬼
人間にとっては十分な脅威であり、不用意に近づけば集団で襲われ嬲り殺される

そんなゴブリンの集落の真っただ中に巴珊瑚はいた。
すでにエレベーターも機能していないビルの中層階
危険なゴブリンの群れの前に車椅子の少女が現れたのだ

ゴブリンにそこまで考えられる知能があるかは疑問ではあるが、戦いに来たようでもない車椅子の人間の少女がたった一人で
その異様性に一瞬生じた空白
だがそれはすぐに獲物がやってきたという思考に塗りつぶされたようだった

そこかしこからゴブリンが現れ、巴珊瑚を取り囲む
圧倒的優位に狩りではなくもはやどう嬲るかという期待に満ちた目を注いでいるゴブリンに、囲まれた本人は愉悦の笑みを浮かべていた。

巴珊瑚を中心として集落全体に薄くキラキラした靄がかかっていることに、獲物を前に興奮したゴブリンは気づけない
それが自分たちにとって致命的なモヤであることに

ひときわ大きなゴブリンが雄たけびを上げ、それにほかのゴブリンが続いた瞬間、それは起こった
全てのゴブリンが血を吐きのたうち回るのだ
何が起こったのかわかっていないまま、もがき苦しみ、大量の血を吐き……やがて動かなくなっていった
その一部始終を巴珊瑚は車椅子に座ったまま見つめていた
見つめるその眼に愉悦の炎を揺らしながら

巴珊瑚の能力は風を操る事
化け物が現れた直後から化け物の血肉を啜り食らってきたため、肉体的にも能力的にもその力は強力なものになっていた
が、それでも化け物を風だけで倒すにはかなりの力を要す
能力の使用限界、消耗度を考え、考え出された戦い方

風を操り粒体を運び相手を殺傷する
今回使ったのは粉末になるまで砕いたガラスである
呼吸を必要とするゴブリンたちは、風によって散布されたガラス粉を吸い込み肺を傷つけその血で溺死したのだ。

「ふふふ、こんなにいっぱい……とても食べきれなわね」
息絶えたゴブリンの躯の山から一際大きな躯を掴み、調理を始めるのであった
0347創る名無しに見る名無し
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2018/07/03(火) 18:36:06.50ID:f1dClnnX
EKD
0348創る名無しに見る名無し
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2018/08/24(金) 00:35:25.63ID:EXqpHH8u
ちょっと考えてみた程度の実験企画

マシンナリーファイターズ

過去現在未来においてロボットほど情熱を注がれてきたマシンも存在しない。
20XX年、世界中で2メートル程度のロボット「マシンナリー」同士を戦わせる熱いバトルが盛んとなっていた。
専用の端末「ウォッチ」にマシンナリーのデータを入力するだけで端末からロボットが実体化(マテリアライズ)される。
ロボットバトルのルールは極めてシンプルだ。持ち主が被弾するか、マシンナリーが破壊されるかで勝敗は決する。
マシンナリーは元がデータであるため、全ては実体化した演出に過ぎず、被弾したり斬られても人間に害はない。
君もウォッチを手に入れて今すぐマシンバトルしよう!


ジャンル:SFロボットアクション
コンセプト:小型ロボットによる熱いバトル
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:なし
○日ルール:10日
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし


【キャラクターテンプレート】

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:


【ロボットテンプレート】

機体名:
機体タイプ:
装備:
能力:格闘/射撃/機動/装甲(合計20)
解説:
0349創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 00:36:50.13ID:EXqpHH8u
名前:水鳥周子(みどりしゅうこ)
年齢:16
性別:女
身長:166
体重:51
職業:高校生
性格:天真爛漫
特技:高い運動神経
容姿の特徴・風貌:茶髪、それなりのスタイル、人懐っこそう
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校ロボット部の一年生。
廃部寸前だがロボットバトル世界大会優勝を夢に掲げている。


機体名:エクスフォールド
機体タイプ:格闘機体
装備:
フォールディング・クローズ×2
ギガンティック・クローズ×2
ワイヤーアンカー×2
マイクロミサイル
ショットガン
ブラストボム

能力:格闘7/射撃3/機動3/装甲7
解説:
防御偏重の機体。通称はヤドカリ。
最大の特徴は背中の武装コンテナ『ハーミットアーマリー』である。
これにより多くの武器を収納することができ、あらゆる局面に対応可能。
原型は汎用機「ハーミットクラブ」だが、周子のカスタマイズにより格闘機へと変貌している。
必殺技は両腕内蔵の爪型ブレード『フォールディング・クローズ』。
0350創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 00:39:01.51ID:EXqpHH8u
20XX年――世界はマシンナリーと呼ばれる小型ロボットの戦いに熱中していた。
それはこの日本の某県に存在するつつじヶ丘とて例外ではない。
つつじヶ丘高等学校のグラウンドの端の端。寂れたプレハブ小屋にその部活動は存在している。
ロボット部。部員はたったの数名。現状は廃部寸前と言って差し支えないほど機能していなかった。
そして事件は周子の通学路、とある空き地で巻き起こったのだ。

「貴方ね!子供相手に賭け事を持ちかけてお金を奪うファイターは!」

マシンナリーを用いたいわゆるマシンバトルは子供から大人まで幅広くユーザーがいる。
中には弱いファイター相手に賭けを持ち掛け、徹底的にいたぶった後、金銭や端末を奪い取る不届き者も存在している。

「人聞きが悪いなぁ。俺は強引に盗んだ訳じゃない……君もどうかな?俺と一戦やろうよ。
 聞いたよ。ロボット部なんだってね……そろそろロボットバトル地区予選だ。良い腕試しになる」

「分かったわ。そのかわり私が勝ったら巻き上げたお金は全部返してあげなさい!!」

「ハハハ!いいだろう。俺が勝利した対価には何が貰えるのかな?」

いつもの通学路、いつもの帰り道。何の変哲もない日常は一人の変質者によって崩された。
ここで尻尾を巻いて逃げることは出来る。だがファイターとして、退くわけにはいかない。

「私の全財産と端末を――ウォッチをあげる!それでどう?」

「いいだろう!勝負だ!申し遅れたな。俺は山仲。
 これでもロボットバトル全国大会の出場経験者だが……文句はないね?」

山仲が勢いよくジャケットを脱ぎ捨てる。ネクタイを緩めながら端末を構えた。
ロボットバトルのルールは極めてシンプルだ。持ち主が被弾するか、マシンナリーが破壊されるかで勝敗は決する。
マシンナリーは元がデータであるため、全ては実体化した演出に過ぎず、被弾したり斬られても人間に害はない。
彼女らが操るロボットは虚構のものにすぎない。だが、彼女のベットしたプライドはきっと現実のものなのだ。

「「マシンナリー、マテリアライズッ!!」」

ファイターの呼びかけに応じてマシンナリーが眼前に出現する。
ウォッチから発せられた粒子が凝固し、ロボットを形づくるのだ。

「先手必勝だァ!そのお嬢ちゃんを叩き斬ってしまえ、サーベラス!」

サーベルを構えたマシンナリーが猛然と突っ込んでくる。
周子が避ける気配はない。愛機に命じるだけでいいのだから。

「エクスフォールド、ハーミットアーマリーッ!」

ウォッチの機能である空中ディプレイを展開して機体に命令を送る。
ハーミットアーマリーに収納している武器のひとつ、ショットガンを装備し、文字通り迎え撃つ。

「回避しろサーベラス!」

エクスフォールドがショットガンを構えて発射するも、サーベラスは急激に方向転換して回避。
弾丸は命中することなく空き地の土管に命中するばかりだ。
このサーベラスという機体は格闘機である。メイン武器のフロントシミターと機動力で速攻を仕掛けるのが基本だ。
しかし山仲のサーベラスはそれだけに留まらず、独自のカスタマイズが施されている。

「見るがいい、俺のサーベラスの真価を!イオンブースターッ!!」

サーベラスの脚部が展開し、ブースターが点火。更に加速し縦横無尽の機動を見せる。


こんな感じで適当にSS書いてる途中で力尽きたという感じです……
0351創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 01:28:00.54ID:GyswBYMM
ちょっと興味を持ったので色々と質問

・マシンナリーについて
マシンナリーはロボットではなく、ロボットの形状をした立体映像に過ぎないのでは?
実体化というのがよくわからない
実体がない映像だから物理的な被害が出ないというならわかるけど
ただそうなると、エクスフォードのワイヤーアンカーは、機体のデータ上作用するけど、操縦者である水鳥周子はそれを利用してワイヤーアクションは取れないという事になるかな?

・戦闘について
ルールがマシンナリーの破壊か持ち主の被弾
イメージとしてはポケモンバトルでトレーナーも試合会場にはいっちゃってる状態?
操縦者も戦闘に参加している状態だけど、相手マシンナリーに対してできるのは回避のみ?
それとも自機を介さない戦闘・防御手段がある?

・ルールについて
能力的には20ポイントを割り振りだけど、武装についてのレギュレーションが見えない

それとこれは描写の問題なのであれだけど
それぞれの武器の形状、装備部位、性能や効果がイメージしにくい
0353創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 12:28:09.15ID:TAXCjF75
持ち主の被弾が勝敗に関わるのは持ち主狙い一択になるんじゃないか
それはそれとして面白そうなので参加したい
0354創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 18:51:31.03ID:EXqpHH8u
>>351
ご質問ありがとうございます!

マシンナリーについてですがロボットの形状をした立体映像……という感じです。
端末でデータだけ設定した後、質量を持った映像として実体化する。
これがマテリアライズなのですが、ロボットものというよりゲームものに近いです。
最初のアイデアは単なるロボットものだったので少しごっちゃになってました。
実体化に関しては分かり辛いので拡張現実による立体映像の方が分かりやすいかもしれないですね。
ワイヤーアンカーに関しては人間に干渉不可能という認識で大丈夫です。

戦闘についてはトレーナーも参加できるポケモンバトルです。
操縦者が相手マシンナリーに対してできるのは回避のみです。

ルールについてですが今のところ武装の制限はありません。
ステルス機能やトランザムシステムみたいな特殊機能をつけてもOKです。
数の制限も特に設けていません。

描写については自分の実力不足でした。申し訳ありません。
テンプレの装備欄でもう少し補えるようにします。
実際に遊ぶ場合は短レスもありという感じにしようと思います。

色々改善点が見えたのでもう少し練り直したいと思います。

>>352
ありがとうございます!
テンプレ等、参考にさせて頂いております。

>>353
ご意見ありがとうございます!
普通のポケモンバトルの方が良いのかな?
ちょっと練り直し後は設定が変わるかもしれません。
0355創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 19:21:26.10ID:GyswBYMM
3Dプリンターの発展型でナノカーボン成形とか未来謎技術にしちゃった方が手っ取り早くない?
兵器強度が段ボールレベルで演出としては派手だけど物理的な被害は及ばない
ついでにパワードスーツ型にすれば操縦感が出るし、操縦者が逃げ惑うだけという事も避けられる

ただここまですると主の構想とは別物になっちゃうかな?
0356創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 20:15:22.91ID:ZMfMH99P
>>355
それは余計な方向に口出し過ぎ
パワードスーツとか元の構想と完全に別物だし、それがやりたいなら自分で企画立てろよ
0358創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 22:51:32.87ID:EXqpHH8u
貴重なご意見ありがとうございます。
ナノカーボンは自分では思いつかない設定ですね……
ちょっと変更してみたので試しに投下ー。


マシンナリーファイターズ

20XX年、拡張現実の発達によるAR社会化により世界はまた一歩躍進を遂げた。
拡張現実とは現実の一部を改変する技術であり、専用のARグラスを用いることであたかも現実の部屋に仮想のロボットがいるかのように体感できる。
そしてAR技術を用いた新たなゲーム「マシンナリーファイターズ」が流行をはじまったのだ。
ユーザーはファイターとなり、マシンナリーと呼ばれるロボをカスタマイズし、対戦することで現実に臨場感あるロボットバトルを勝ち抜くのだ。
ルールは極めてシンプルで、マシンナリーが撃墜された方の敗北となる。対戦モードの他にチーム対戦やサバイバルモードなど各種機能も豊富。
さあ君もマシンバトルしよう!


【マシンナリーファイターズ】
20XX年に流行しているAR技術を用いた新たなゲーム。
ファイターは自分で作成したロボットを用いて現実の公園や公共施設でロボットバトルを楽しめる。
ゲームのルールは単純でマシンナリーが撃墜された方の敗北となる。
マシンナリー自体や攻撃時のビームや弾丸、斬撃は全て立体映像によるエフェクトのため生物に影響はない。

【マシンナリー】
ARゲーム「マシンナリーファイターズ」で使用するロボットの立体映像。
骨格となる基本フレームに装甲やスラスター、武器を装備することで完成するという設定。
全高2メートル程度で、プレイヤーはマシンナリーを自由に作成・カスタマイズしてバトルさせる事ができる。
触ることは出来ないが高度に発達したAR技術のおかげで現実と遜色ない質感とリアリティとなっている。

【ARグラス】
拡張現実の要となる片眼鏡/両眼鏡型デバイス。他にバイザータイプ、ゴーグルタイプも存在する。
ARグラスを装着することでマシンナリーを視覚で認識でき、操縦することが出来る。
逆にグラスを装着していない者にはマシンナリーを視認できないため何をやっているか理解できない。


ジャンル:SF風ロボットゲーム
コンセプト:ロボット同士による熱いバトル
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:なし
○日ルール:10日
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
0359創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 22:53:31.15ID:EXqpHH8u
【テンプレ例】

名前:水鳥周子(みどりしゅうこ)
年齢:16
性別:女
身長:166
体重:51
職業:高校生
性格:天真爛漫
特技:運動神経抜群
容姿の特徴・風貌:茶髪、それなりのスタイル、人懐っこそう。
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校ロボット部の一年生。実力は中の上程度。
廃部寸前だがロボットバトル世界大会優勝を夢に掲げている。



機体名:エクスフォード
機体タイプ:格闘機体
外観:黄色い機体色、背中に殻のようなコンテナ。
装備:
フォールディング・シザーズ×2……両腕内蔵のハサミ型ブレード。熱を纏わせて威力を向上させることも可能。
ハーミットアーマリー……背中の武装コンテナ。下記の装備は全て収納されている武器。

ギガンティック・シザーズ×2……巨大なハサミ型隠し腕。近付いた敵を拘束・両断する。
ワイヤーアンカー×2……巻き取り式のアンカーを発射する。
マイクロミサイル……追尾式の小型ミサイルを6発まで発射。
ショットガン……ポンプアクション式の散弾銃。
ブラストボム……手榴弾。爆破範囲を重力で圧し潰す。

能力:格闘7/射撃3/機動3/装甲7
解説:
防御偏重の機体。最大の特徴は背中の武装コンテナ、ハーミットアーマリーである。
これにより多くの武器を収納することができ、あらゆる局面に対応可能。
そのぶん機体重量が増えてしまい機動性が落ちているものの、飛行やジャンプなどの基本動作は可能である。
原型はデフォルトで使用できる汎用機「ハーミットクラブ」だが、周子の改造によりピーキーな格闘機へと変貌している。
0360創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/24(金) 22:55:16.64ID:EXqpHH8u
すみません、テンプレ忘れてました。

【キャラクターテンプレート】

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
特技:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:


【ロボットテンプレート】

機体名:
機体タイプ:
外観:
装備:
能力:格闘/射撃/機動/装甲(合計20)
解説:
0361 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/24(金) 23:01:56.06ID:EXqpHH8u
というわけで参加者募集をしてみるテスト。
1人でも集まれば短いシナリオを一度やってみたいと思います。
よろしくお願いします。
0362 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/08/25(土) 00:25:16.67ID:Dc57aAyv
名前:桐山 直人(きりやま なおと)
年齢:18
性別:男
身長:173
体重:75
職業:高校生
性格:真面目
特技:マシンナリー改造・製作
容姿の特徴・風貌:短く切り揃えた黒髪と四角い枠の眼鏡
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校二年生にして元ロボット部員。
一年生の時に当時の部長と方針が合わず退部、そのまま個人で活動を続けている。
マシンナリー改造に必要な技術や知識を一通り揃えているが、本人の実力は中の下である。


機体名:マクシミリアン
機体タイプ:万能機体
外観:赤を基調とした攻撃的なカラーリングが目立ち、
   騎士の甲冑のような丸みを帯びた装甲を全身に纏っている。
装備:
バスタードソード:取り回しのいい大剣。両手でも片手でも扱えるバランスの良さが売り。
         雑誌の付録についてきたモデルを改造している。
97式突撃小銃:反動が強いがそのぶん威力は高く、貫通力も大きい。

迎撃用小型散弾砲:敵のミサイルや手榴弾を撃ち落とすための内蔵武器。
         腰部に搭載され、格闘戦の際にも敵の意表を突くため使用する。
カリブルヌスMK-2:普段は背中に折り畳まれて搭載されている大型武器。
         展開すると機体三機分にもなる巨大なビーム刃を形成する。
         出力の大きさからこれの展開中は他の武装を使えない。
能力:格闘6/射撃6/機動5/装甲3
解説:
世界大会の配信や有名プレイヤーの機体を参考にして制作されている。
そのため装甲は最低限に抑え、平均的な機動力を確保し、状況に対する対応力を重視した設計。
どんな戦闘距離にも対応し、戦場の王者であった騎士の如く暴れまわる……はずだった。
実際は桐山本人が扱いきれず、自慢の個人制作武器であるカリブルヌスMK-2を抜くことなく試合が終わることも多い。
ただし、その光剣がひとたび放たれれば必ず勝つというジンクスも持っており、
逆にそれが仇となって桐山はなかなかそれを抜こうとはしない。

【宣言してた通り参加します!テンプレはこれでよろしいですか?】
0363 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/26(日) 00:20:00.23ID:I0LtV5PS
>>362
よろしくお願いします!テンプレはそれで大丈夫です。
ただ、水鳥周子の設定でロボット部をゲーム部に直し忘れていたという自分のミスを発見したので、
修正版を貼り直してから導入文を投下させて頂きますね。すみません。
0364 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/26(日) 00:24:21.49ID:vgcuXrCB
20XX年。ARの発達により「マシンナリーファイターズ」というゲームが流行していた。
AR(Augmented Reality)、すなわち拡張現実とは高度な立体投影技術のことを指す。
この技術により、現実の街や公園に映画さながらにロボットの立体映像を出現させる事が可能になった。
もはや時代はゲーム画面を眺めるだけではなく、現実と渾然一体となった新たな境地へと達したのだ。

眼鏡型端末「ARデバイス」を装着することでゲームを起動し、マシンナリーと呼ばれるロボットが出現する。
マシンナリーは骨格となる基本フレームから装甲やスラスター、武器等のパーツを装備することで完成する。
イベントや課金でパーツを揃える事でマシンナリーを編集(エディット)し、ファイターは勝利を目指すのだ。

ルールは極めて単純でマシンナリーを撃墜された方の敗北となる。
対戦モードの他にチーム対戦やサバイバルモードなど各種機能も豊富。
君も今すぐマシンファイトしよう!


ジャンル:SF風ロボットバトル
コンセプト:ロボット同士による熱いバトル
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:なし
○日ルール:10日
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
0365創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/26(日) 00:25:03.45ID:FQsp1INT
名前:方丈寺 永瞬(じょうじょうじ えいしゅん)
年齢:15
性別:男
身長:145
体重:75
職業:高校生
性格:中二病
特技:妄想
容姿の特徴・風貌:幼さを残した顔立ち、スキンヘッド
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校一年生
中二病をこじらせてしまったイタイ子
運動神経、学力共に並み以下
寺の跡取り息子として厳しく育てられ、中二病であることは隠している
学校だけでイキる小心者
そんな現実と中二病の乖離をつなげてくれるロボットバトルにのめり込む
しかし中二病ばかりが先走り、実力は初心者

機体名:韋駄天7号
機体タイプ:速度特化機体
外観:装甲自体なく、素体そのまま骨組みがむき出しになっている
  :肩、背中、足首など各所にバーニアが取り付けられている
装備:
スプレッサーガン:軽く威力が低い光線銃
能力:格闘0/射撃2/機動18/装甲0
解説:
極限までの軽さを実現するために装甲皆無
格闘性を犠牲にし、体の各所にバーニアを取り付ける
あらゆる武装・機能を廃し、ただ速度を追求して特化機体といえる
マシンナリーファイターの常識を逸脱した素人中二病ならでわの改造機体となっている
単純な速度のみならず、旋回能力、機動能力、ともに常軌を逸した性能を誇る

【短期のお試しという事で作ってみました。修正点などありましたら教えたってください】
0366 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/26(日) 00:25:42.35ID:vgcuXrCB
【キャラクターテンプレート】

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
特技:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:


【ロボットテンプレート】

機体名:
機体タイプ:
装備:
能力:格闘/射撃/機動/装甲(合計20)
解説:


【テンプレ例】

名前:水鳥周子(みどりしゅうこ)
年齢:16
性別:女
身長:166
体重:51
職業:高校生
性格:天真爛漫
特技:運動神経抜群
容姿の特徴・風貌:茶髪、それなりのスタイル、人懐っこそう。
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校ゲーム部の一年生。実力は中の上程度。
廃部寸前だが世界大会優勝を夢に掲げている。


機体名:エクスフォード
機体タイプ:格闘機体
外観:黄色い機体色、背中に殻のようなコンテナ。
装備:
フォールディング・シザーズ×2……両腕内蔵のハサミ型ブレード。
ハーミットアーマリー……背中の武装コンテナ。下記の装備は全て収納されている武器。

ギガンティック・シザーズ×2……巨大なハサミ型隠し腕。近付いた敵を拘束・両断する。
ワイヤーアンカー×2……巻き取り式のアンカーを発射する。
マイクロミサイル……追尾式の小型ミサイルを6発まで発射。
ショットガン……ポンプアクション式の散弾銃。
ブラストボム……手榴弾。爆破範囲を重力で圧し潰す。

能力:格闘7/射撃3/機動3/装甲7
解説:
防御偏重の機体。最大の特徴は背中の武装コンテナ、ハーミットアーマリーである。
これにより多くの武器を収納することができ、あらゆる局面に対応可能。
そのぶん機体重量が増えてしまい機動性が落ちているものの、ジャンプなどの基本動作は可能である。
原型はデフォルトの汎用機「ハーミットクラブ」だが、周子のエディットによりピーキーな格闘機へと変貌している。
0367 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/26(日) 00:30:18.21ID:vgcuXrCB
20XX年――ロボットバトルの人気は留まるところを知らず、世界中にファイターが存在する時代。
休日の昼間、つつじヶ丘アリーナのロボットバトル会場は子供から大人でごった返していた。
マシンナリーファイターズ体験会やフリーバトルによって盛況を見せ、アリーナは熱気に沸いている。

「ここが会場ね!今からわくわくしてきたかも!」

そして、やって来るのは一般の来客だけではない。
水鳥周子のような、いわゆるゲーム部も部活動と称して参戦してくるのだ。
彼女らを熱狂させるマシンナリーファイターズ人気は留まるところを知らなかった。

マシンナリーファイターズとは、昨今流行しているARを用いた新たなゲームである。
ファイターはARデバイスを起動することで現実の公園や公共施設でロボットバトルを楽しめる。
ゲームのルールは単純でマシンナリー同士を戦わせ、撃墜された方の敗北となる。
マシンナリー自体や攻撃時のビームや弾丸、斬撃は全てホログラムによる演出のため生物に影響はない。

操縦には専用のメガネ型端末「ARデバイス」を装着することで可能となっている。
ディスプレイや操縦桿を触れるホログラムとして立体投影し、操縦する仕組みだ。

「次のフリーマッチが始まりまーす!参加者の方は所定の位置にお集まりくださーい!」

アナウンスが会場に響き渡ると、会場の喧騒が一層強くなった。
否、ただの喧騒ではない。それは波のように大きくなり、遂には会場に警報音が鳴り響いたのだ。

「なになに?何が起こったの?」

周子も会場の端っこで驚きながら震えていた。
地震雷火事親父。天災とは常に降って湧いてくるものであり、予測など不可能だ。
けたたましい警報音が鳴り止むと、一人の男がやって来たかと思うとアナウンサーのマイクをひったくる。

「――このつつじヶ丘アリーナは、我々『トラフィックゴースト』が乗っ取った!」

男は黒いマントを羽織っており、青年のような若い声で、目立つ白髪をしていた。
装着しているバイザー型のARデバイスによって顔立ちは分からない。

「君達には我々の崇高な目的のため――マシンナリーの性能を試す実験台となってもらう。
 警察を呼んでも無駄だ。何故なら110を押す人間はいなくなるのだからなフハハハハ……」

休日を盛り上げるイベントとして運営スタッフとのバトルがゲリラ的に開催されたのだ。
運営スタッフはマシンナリーの操縦を熟知しているため、それなりに手強い。

「申し遅れたな。私の名はゴースト。『トラフィックゴースト』のリーダーだ。
 アリーナを取り返したければ我々にロボットバトルで勝利を収める事だ!
 バトルのルールはサバイバルマッチ。実験台達よ、せいぜい足を引っ張り合うがいい!」

運営は容赦がないのでボロボロに負けて泣かされた子供も少なくない。
噂では運営の中に全国大会出場者が紛れ込む事があり、公式戦で腕を鳴らした強者が負ける例もあるという。

「はい、はい!私も参加します!」

端っこで手をぶんぶん振り回しながら、周子が怪しいバイザー男へと近付いていく。
バイザー男はわざとらしくにやりと笑うと芝居がかった仕草でマイクのスイッチを入れ直した。

「まず一人、生贄が決まったようだな……他に参加者の方はいらっしゃいますか?」

そんな調子で参加者が次々と決まっていき、
イベント運営を交えた問答無用のサバイバルマッチが幕を開けようとしていた。


【ここまでが導入文となります。よろしくお願いします!
 サバイバル戦なので途中参加者の方も随時募集しております】
0368 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/26(日) 00:33:49.39ID:vgcuXrCB
>>365
参加ありがとうございます!
テンプレに問題はありませんが、装備がひとつなので
もしアイデアがあれば増やしても大丈夫ですよ〜
0369 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/08/26(日) 11:25:13.91ID:xHYhv50c
ちょうどイベントが始まった時、つつじヶ丘アリーナのフリーバトルエリア、
その一角にいた桐山直人はARデバイスを通じて参加登録を済ませたところだった。

突発的なイベントとはいえ人気は高く、次に追加されるパーツのテストも兼ねているという噂もある。
慌てて桐山はフリーバトルの参加登録を解除し、先程からステージ上でいつもの口上を述べていたバイザー男の方へ向かう。

「自分も参加します。機体と武装はこれで」

「はいOKです、それではしばらくお待ちください……他に実験台はいるかぁ!」

ARデバイスを通じてデータを送信。登録を済ませて桐山はほっと一息ついた。
と、そこで隣に見たことのある顔がいることに気づく。
通っている高校のゲーム部の部室に出入りしているのを何回か見たのを思い出し、
ゲーム部から遺恨を残す形で退部した桐山にとっては苦い記憶を蘇らせる引き金でしかなかった。

『……つつじヶ丘高校のゲーム部か?
 あんな廃部寸前でよく来たもんだぜ』

『今回は俺たちの優勝だよ、こっちには全国ランキング645位がいるんだからな』

周囲から聞こえてくる声もつつじヶ丘高校に対して厳しい意見ばかりだ。
廃部が決まったような状態で何を今更、という気持ちがあるのだろう。

そんな周りの野次や論評を聞いているうちに、桐山はふと閃くことがあった。
現在のゲーム部がどうなっているかは分からないが、退部の原因となった部長との不和は少なくとももうない。
当時三年だった部長は卒業しているはずだからだ。だとすれば……

「……君、つつじヶ丘高校だよね?」

隣にいた、先程はスタッフに元気よく手を振っていた女の子に声をかける。
ゲーム部なら桐山と当時の部長が大喧嘩した話も知っているかもしれないが、
今の桐山にはどうでもよかった。最近野良試合で負けが続いて苛立っていたというのもあり、
このゲーム部の子とチームを組んで奴らのプライドをへし折ってやりたいという気持ちが桐山の原動力だ。

「僕も同じ高校なんだ。二年B組。よければ一緒にチームを組まない?」


【水鳥に協力を持ちかける】

【よろしくお願いしますね!】
0370創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/26(日) 17:15:03.83ID:WX1ZApWG
ちょっと確認したいんですが、格闘って具体的にはどんなステータスなんですか?
機体の手足の出力?搭載されてる武装の傾向?
0371 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/26(日) 17:28:35.29ID:vgcuXrCB
>>370
ロボットの格闘(パンチやキック)の威力、あるいは格闘武器(剣槍斧など)の性能です
平均値が5なので下回ると殴ったり蹴ったり斬っても与ダメージが低いってイメージでお願いします。

実在のロボットの性能ではなくゲームのロボットのステータスに過ぎないので
格闘が低い機体で装甲の高い機体を攻撃した場合でも軽微なダメージは与えられる感じです。
0372創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/08/26(日) 17:33:15.39ID:WX1ZApWG
つまり例えば格闘偏重型は移動はすっとろいけどパンチキックはキレキレ
みたいな事になる感じですか?
バランスが難しいなぁ
0373方丈寺 永瞬 ◆xOyyKuWTRc
垢版 |
2018/08/26(日) 23:05:50.75ID:FQsp1INT
>>368
ありがとうございます
装備が一つなのも速度を追い求める事の強調でありあほな子のキャラ付けであるのでこのままいかせていただければと
明日くらいに参入スレ入れさせてもらいますわ
0374方丈寺 永瞬 ◆xOyyKuWTRc
垢版 |
2018/08/27(月) 21:05:03.52ID:kVyKP5ji
つつじヶ丘アリーナのロボットバトル会場にてフリーマッチ開催時間に合わせ、人の波が動いていく
それに合わせるように鳴り響く警報
そして現れる『トラフィックゴースト』
>「申し遅れたな。私の名はゴースト。『トラフィックゴースト』のリーダーだ。
> アリーナを取り返したければ我々にロボットバトルで勝利を収める事だ!
> バトルのルールはサバイバルマッチ。実験台達よ、せいぜい足を引っ張り合うがいい!」
何のことはない、イベントを盛り上げるためのゲリラアトラクションである
ゆえに混乱することもなく、イベントの一環として参加者たちは楽しんでいる
が、ここにイベントの一環として以上に熱を入れる少年がいた

「くっくっくっく、流石はトラフィックゴースト。完璧な作戦といえるな」

拍手と共にバイザーの男のの前に歩み出るのは、まだ幼さを残した顔立ちの坊主頭の少年
芝居がかった口調でさらに言葉を続ける

「だがたった一つの誤算によって完璧な作戦は崩れるものだ
この俺、方丈寺永瞬がこの場にいた事を後悔するがいい!」

啖呵を切りながらARデバイスを持つ手を突きつけるのだが、バイザーの男は

「ボク、ノリがいいねぇ〜。はい、登録OKです〜」
あくまでイベントスタッフ
手続きは手続きとして行い、マイクを入れて役に戻り
「生きのいい奴め、それでこそ実験台に相応しいものだ」
と役を続けるのだが、その切り替えに永瞬はついていけていない

「ぼ、ボクじゃねえ!俺はつつじが丘高!高校生だっつうの!」
低身長に幼い顔立ち
ともすれば中学生どころか小学生にも間違われることもあり、思わずムキになって吠えるが参加者が殺到している中その声まで係員は相手していられない
それどころか、吠えてしまい永瞬がつつじヶ丘高生であることが周囲に知れたってしまう

『あいつもつつじヶ丘?あんな高校のプレイヤーならたかが知れているな』

声の方を睨むが、その先には大柄で明らかに自分より強そうな高校生数人がおり、さっと目を逸らす
(ここで倒すのは簡単だが、あくまで決着はマシンナリーでつけてやる。命拾いしたな)
と誰に言うわけでもない、そう、自分自身を納得させる言い訳を心の中では反芻してその場を離れていく

そんなところで聞こえてきた「つつじヶ丘高校だよね?」の言葉
同じつつじヶ丘高生がいるというだけで心強い気持ちになれる
実のところ永瞬がイベントに参加、というかマシンナリーファイトすること自体初めて!
口では色々言うが内心は心細くて仕方がなかったのだ
そんなところで「つつじヶ丘高校」というくくりでチームアップしようとしている場面に出くわしたのだから、ろくな確認もせずに飛びつくというものだ

「俺一人でも十分だが、どうもつつじヶ丘高校として舐めている奴が多いようだ
チームつつじヶ丘を作るというならば俺も参加せざる得ないな
おれは一年……あ?え?み、水鳥さん???
あの、僕は、方丈寺永瞬です……」

話に割って入ったはいいが、その話の相手が同じクラスの女子、水鳥周子であることに思わず言葉が止まる永瞬
思いがけないクラスメイトとの遭遇と女慣れしていない事もプラスされ、台詞はしどろもどろで声は消え入るような自己紹介となってしまった
0376 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/28(火) 20:33:31.04ID:7Pz+E6bt
新規参加者の方がいらっしゃるので
レス投下はもうしばらくお待ちください

>>375
ご参加ありがとうございます!
よろしくお願いしますね!
0377 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/08/29(水) 17:25:01.50ID:6f/5i5qy
名前:八木優樹
年齢:17
性別:男
身長:160
体重:47
職業:高校生
性格:大人しい
特技:ゲーム
容姿の特徴・風貌:目が隠れるほどの長髪、色白、痩せぎす
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校の二年生で、元ゲーム部員。
喘息持ち。運動が出来ない分、子供の頃から沢山のゲームを買い与えられていた。
そのためゲームには手慣れている……が、ややコミュ障の節がある。
具体的にはスマブラを真面目にやりすぎて友達を萎えさせるタイプ。
ゲーム部が崩壊した理由……「ガチ勢、エンジョイ勢、エンジョイガチ勢、その他勢力の意見の不一致」が激化した原因の一人。


【ロボットテンプレート】

機体名:クラウン・ノイジーモデル
機体タイプ:変則射撃型
外観:流線型で細身のメタリックピエロ。表情は狂喜の笑みって感じでめっちゃ怖い。
装備:
バルーン・グローブx2:手袋。指先にある小さな穴からバルーンを形成する。攻撃能力は皆無。これを単品で装備するのはただのバカ。
バルーン・ボム:水風船型の爆弾。普通に投げつけて使う。ジャグリングをお披露目してもいいけど、過度の挑発行為はペナルティの対象です。
バルーンアート・ボム:いくつかの形状に変形可能な爆弾。形状によって異なる性質を示す。
チューイン・ガム:粘着力の強いガム。グレープ味。床や壁に吐き捨ててトラップにしたり、他の爆弾と組み合わせて使う。
ファン・ファン・サイエンス!:楽しい楽しい科学のお時間!空気中の窒素や酸素や水素を利用し(ているという設定で)
               常に爆薬を形成し続ける内部機構。
               つまり、爆薬は魔法のように指先から湧いてくる訳ではないという事。ご利用は計画的に!

能力:格闘0/射撃10/機動7/装甲3
解説:数年前に月間マシンナリー・ファイト!の付録として配布されていた『クラウン』という機体の射撃特化モデル。
イロモノじみた見た目に反して元から高性能だったのでカスタマイズは殆どされていない。
改造されているのは爆薬の設定だけ。戦闘中に配薬を変え(ているという設定で)、威力、範囲、その他の数値を上下させられる。
他にも格闘特化のサイコモデルや、速度特化のパフォームモデルなどがある。
基本戦術は相手が追ってきたら逃げ回り、深追いしてくれば罠に嵌め、相手が逃げたら嬉々として追いかける。
爆音も戦法もただただノイジー(鬱陶しい)。
なお自爆ダメージに耐性がある。なんでって?ナノマシンのお陰とかそんな感じだよ。



こんな感じの機体でも大丈夫でしょうか
ゲーム部崩壊の理由は桐山さんの都合が悪そうだったら無しにします
その場合はちょっとテンプレを書き換えます
0378 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/08/29(水) 18:13:21.58ID:aAt3ajBV
>>377
【むしろ具体的に示してくれてありがたいです!こちらは全然大丈夫ですよー】
0379 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/29(水) 18:37:09.78ID:RhXQVVH4
>>377
機体のテンプレはそれで大丈夫です!
0380紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/08/30(木) 05:19:28.78ID:qfyUrbh1
名前:紫水 晶(しみず あきら)
年齢:16
性別:女
身長:158
体重:48
職業:高校生
性格:気取り屋でミーハー気質
特技:旧日本軍の兵器は戦艦から擲弾筒まで全部名前言える
容姿の特徴・風貌:癖のない黒の長髪、バトル時は軍帽(レプリカ)着用
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校一年、数少ないゲーム部員の生き残りの一人
ミリタリーマニアを自称しているものの半年くらい前のアニメに影響受けただけのミーハー女
基本的に熱しやすく飽きやすいが、飽きるまではとことんのめり込むタイプ
気取ったような言い回しを好み、それは大抵の場合何かのアニメかゲームの影響
マシンナリーファイターズ歴は半年程度で、対戦経験は部内の練習試合程度


【ロボットテンプレート】

機体名:三拾式仮想剣闘機「微塵改(みじんかい)」
機体タイプ:白兵戦特化型
外観:オリーブドラブの下地に白いラインの入った陸自っぽいカラーリング
   全体的に装飾が少なく、量産機に毛の生えたようなデザインの人型
装備:
・三式白兵防盾    ……微塵改の全身がすっぽり収まる耐爆仕様のライオットシールド
・二式炸裂戦槌    ……成形炸薬を内蔵したスレッジハンマー
・一式式徹甲剣『岩貫』……装甲貫徹力に特化した片手持ちの直剣(いわぬき)
・零式牽引索条『呑龍』……二門一対のワイヤーアンカー(どんりゅう)
・紫水型携行擲弾砲  ……ピストルタイプのグレネードランチャー

能力:格闘8/射撃1/機動1/装甲10

解説:
ゲーム部のアーカイブに残っていた汎用素体を元に紫水晶が完全趣味ビルドした機体
敵の強力な攻撃をとにかく耐え抜き、起死回生のカウンターを狙うロマン偏重の設計思想
堅牢な装甲を実現するために機動力が大幅に犠牲となっており、飛行はおろか走ることさえできない
これは逆に言えば複雑な移動操作に集中力を割かなくてもよいという利点でもあり、
バトル初心者の紫水がそこそこ戦えている秘訣となっている
ちなみに〇〇式とかのネーミングに特に意味はなく完璧に雰囲気で名付けた


【水鳥ちゃんの友人という設定で参戦したいです、よろしくおねがいします】
0381 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/08/30(木) 15:19:59.20ID:K/EW3owc
『その装備、多分あんまり強くないですよ。こっちの方がいいと思います』
『ロマン、ですか。まぁ……ソロでやるならそういうのもいいと思いますけど』
『毎回同じ負け方してるから、ちゃんと動きを考えた方がいいよ』
『勿論楽しむのは大事ですよ。でも、勝たなきゃ楽しくなくないですか?』
『少なくとも僕は、先輩の自己満足の為に負けるのは楽しくないです』
『勝ちたいと思って何が悪いんですか』
『なら勝負しましょうよ。4対1でも構いませんから』

八木優樹は、今でもたまに一年前の出来事を夢に見る。
つつじヶ丘高校ゲーム部で起きた事件の事を。
始まりは何の気なしに口にしたアドバイスだった。
チャットツール経由で募集した練習試合に負けて、一番動きの悪かった先輩に向けた言葉だった。

彼は贔屓のストリーマーに倣った装備をいつも使っていた。
プロ並みの反射神経、判断力、戦術眼がなくては使いこなせないような装備だった。
先輩は――お世辞にもそれを使いこなせてるとは言えなかった。

最初は、本当にただのアドバイスのつもりだった。
だがその次の練習試合でも、同じ負け方をした。
今度はアドバイスではなく、お願いとして同じ言葉を口にした。
チームで戦う以上、一人の趣味嗜好の為に足を引っ張られて負けるのは、面白くなかった。

先輩は、ゲームなんだから楽しくやらせろと言った。
優樹にはその言葉の意味が分からなかった。
使いこなせない装備を闇雲に振り回して、ただ負けるだけ。
それの何が楽しいのか分からなかった。
勝つから。あるいは勝てなくても、練習して上達した実感を得るから楽しい。
優樹にとってゲームとはそういうものだった。

楽しくやりたいんだから、ガチなやり方を押し付けるなとも言われた。
じゃあ負けを押し付けられている自分の楽しさはどうなるのかと、不満が生まれた。
そしてそこから今度は不和が生まれ――それは程なくして爆発した。

優樹は当時ゲーム部にいた自称エンジョイ勢を4対1で打ち負かし、彼らを罵倒した。

『4対1のハンデを付けてボロ負けして、楽しかったですか?これの何が楽しいんですか?』

言い過ぎだという事は分かっていた。謝って、訂正すべきだとすぐに思った。
だが出来なかった。自分が正しいという気持ちを不満とまとめて飲み込めるほど、優樹はまだ大人ではなかった。
そして――ほんの数秒の時間で、全ては手遅れになった。
お前とやってても楽しくない。
その言葉を残して先輩達は部を去り、雰囲気の悪さに、残されたメンバーも一人また一人と減っていった。

優樹は――ストレスで喘息が悪化して、暫く登校が出来なくなった。
体調が回復して次に学校に来た時には、ゲーム部はもう、部の体を成していなかった。
どんな顔をして部室に入ればいいのか分からなくなって、優樹はそのまま幽霊部員になった。

「……う」

そして――優樹は今日、つつじヶ丘アリーナに向かう電車に乗っていた。

(……寝ちゃってたのか。降りるのは……次の駅か。寝過ごさなくてよかった)

アリーナのロボットバトル会場では今日、来月発売予定の新モデルアーマリー、ベンケイの試運転が出来る。
未だに夢に見るような事件が起きても、優樹にとってゲームは子供の頃から親しんできたものだ。
数日、触る気が起こらなくはなっても、彼がゲームをやめてしまうような事にはならなかった。
0382 ◆KROETylmQE
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2018/08/30(木) 15:20:44.67ID:K/EW3owc
「……けほっ」

嫌な夢を見たせいか、優樹は小さく咳き込んだ。
気を紛らわせるように、パーカーの胸ポケットからARデバイスを取り出し、装着する。
片目のみが投影装置となっている、ちょっとした通知や装備を確認する為の簡易デバイスだ。
今日はどの機体を使おうか――などと考えている内に、電車は目的の駅に止まった。
気晴らしの装備確認は功を奏したようで、会場に着いた頃には優樹は夢の事などすっかり忘れていた。

だが――それも束の間の事だった。

>『……つつじヶ丘高校のゲーム部か?
  あんな廃部寸前でよく来たもんだぜ』

どこからか聞こえてくる、他の参加者の声。
つつじヶ丘高校のゲーム部員が、この会場にいる。
思わず、自信ありげな彼らの視線の先を目で追ってしまう。

(あの子……かな。見覚えない顔だし……一年か)

つつじヶ丘高校ゲーム部が廃部寸前なのは、自分のせいだ。
そう思っている優樹は苦い罪悪感を覚えるが、だからと言って何が出来る訳でもない。
そのまま目を背けようとして――
0383 ◆KROETylmQE
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2018/08/30(木) 15:22:20.34ID:K/EW3owc
>「……君、つつじヶ丘高校だよね?」
>「僕も同じ高校なんだ。二年B組。よければ一緒にチームを組まない?」

しかしふとその視界に、見覚えのある顔が映った。
桐山直人――同学年の、元ゲーム部員だ。
どうやらあの一年の少女に力を貸そうとしているらしい。

ゲーム部をぶち壊した張本人である自分が、目を逸らそうとしていているのに。
そう思うと急に、優樹には自分がすごく情けない奴に感じられた。

「……よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いします……ふん、なかなか良いデバイスを持っているじゃないか!これはいい戦利品になりそうだ!」

息苦しさを感じたまま優樹は登録を済ませた。
そして――そのまま身を翻すと、意を決して、つつじヶ丘高校ゲーム部の面々に向かって歩み寄っていく。
自分でも衝動的な事をしていると分かっていた。
それでもこのまま目を逸らして、彼らと戦ったり――撃破しても、ゲームは楽しめない。
優樹はそう思った。

「や、やあ、桐山君。その……久しぶり」

優樹の覚えている限りでは、彼とはさほど険悪な仲になってはいないはず。
だが自分が善意のつもりでした助言も、最終的には部の崩壊を招いてしまった。
今ひとつ自分の考えに自信が持てず、優樹は控えめに声をかけた。

「えっと……」

とは言え、すぐに言葉に詰まる。
ここで逃げてしまってはあまりに情けない。
そう思って声をかけたが――だが、逃げずに声をかけて、どうするのか。
優樹はそこまでは考えていなかった。

「あー……君、ゲーム部なんだってね。実は僕もゲーム部なんだ。
 八木って言うんだけど……顧問の先生から、名前くらい聞いてたり……。
 いや、別に聞いてなくても全然いいしむしろそれが当然だと思うんだけど……」

そうして、しどろもどろになりながらも、今度は水鳥に話しかける。
だが、そこでまた何を言えばいいか分からなくなった。
力を貸そうか――どの面下げてそんな事を言えるのか。
手助けさせて欲しい――これならまだ、そこまで図々しくはないか。
いっその事気軽な感じに、一緒にやろうよ――絶対にあり得ない。何様のつもりなのか。

「……もし君達が良ければ、僕もチームに入れてくれないかな。
 自分で言うのもなんだけど、僕、結構上手い方だし……役に立つよ。
 今回、運営の人達も結構ガチっぽいし……ソロはしんどそうだからさ」

結局、優樹は自分がチームへの加入申請を出した理由を述べなかった。
ただ、自分は役に立つ。ソロでは厳しい戦いになるかもしれない。
そういった利害に理由を預ければ――多くを語らずともチームに入れてもらえないか。
そのように考えたのだ。
0384 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/30(木) 18:24:20.87ID:fFUX5Fc3
>>380
こちらは大丈夫ですよ!よろしくお願いします!
0385紫水晶
垢版 |
2018/08/31(金) 11:02:06.48ID:Fj9IFTsW
【すみませんもし私待ちでしたら、いい感じのところで参戦するので話進めていただいて大丈夫です】
0386 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/31(金) 19:20:05.93ID:sGOui7mh
つつじヶ丘高校ゲーム部は活動当初、全国大会に出場するほどの実力を持っていた部活だった。
だが一年前のある事件をきっかけに決定的な亀裂が走りゲーム部は崩壊。今や大きく弱体化してしまった。
今や数人の部員が細々と活動を続けるだけの部活と化し、まことしやかに廃部が噂されている。
何も知らなかった周子は入部後にその事実を知った。

>『……つつじヶ丘高校のゲーム部か?
 あんな廃部寸前でよく来たもんだぜ』

部活動で定期的にアリーナにやってくる手前、自分の情報が割れているようだ。他の参加者の眼は厳しい。
あろうことかつつじヶ丘高校ゲーム部の存在が醜聞として広まっているではないか。
威勢よく一番に参加を決めたのは良いものの、気恥ずかしさで何となく俯いてしまう。
同じ高校らしき男の子が話しかけてきたのはそんな時だった。

>「……君、つつじヶ丘高校だよね?」

短く切り揃えた髪にしっかりしていそうな顔立ち。見るからに年上のようだ。
その顔に周子は見覚えがあった。ゲーム部を出入りする時にたまに顔を合わせることがあるからだ。
先輩であるため、会話をする事はなかったが、顧問の先生から名前は伺っている。
彼の名は桐山直人。元ゲーム部の先輩だ。

>「僕も同じ高校なんだ。二年B組。よければ一緒にチームを組まない?」

このサバイバル戦はイベントスタッフに勝てというルールはあるが、手を組むなという決まりはない。
むしろ、周子自身はゲーム部という所属のせいでアウェーになっている。これほど心強い提案もなかった。

「ありがとうございます!桐山先輩ですよね……!?
 私、水鳥周子って言います!一緒に頑張りましょう!」

いいぞ。元ゲーム部の先輩を味方につけたことで追い風が吹いている。
これなら勝てるかもしれない、と瞳に熱血の炎を灯して燃え上がっていたところ。

>「俺一人でも十分だが、どうもつつじヶ丘高校として舐めている奴が多いようだ
>チームつつじヶ丘を作るというならば俺も参加せざる得ないな
>おれは一年……あ?え?み、水鳥さん???
>あの、僕は、方丈寺永瞬です……」

小学生かと間違えられそうなほどの背丈をした少年、方丈寺永瞬が颯爽と現れたのだ。
方丈寺は坊主頭で、顔立ちに幼さが残っている。なおさら小学生のようだ。
学校ではかっこいい系の台詞をよく言うタイプで、周子の印象にもよく残っている。

「方丈寺くんだ!方丈寺くんもマシンナリーファイターズやるんだね!」

やった、と片手で小さくガッツポーズを決める。
ゲーム部に人が少なすぎるせいか人が増えるだけで嬉しい。
周子は同じクラスの方丈寺をメンバーとして迎え入れた。
ただ、メンバーが増えればどうにかなるほど、勝負の世界はそこまで甘いものではない。

トラフィックゴーストは過去につつじヶ丘アリーナを幾度なく占拠しようとした経験を持つ。
イベントスタッフの腕の差はあれど毎回手加減なしのガチ気味のバトルだったと聞いている。
もし噂されている追加予定のパーツを搭載した機体や全国大会出場者が紛れ込んでいたらとても太刀打ちできない。
誰かゲームの上手い人間が仲間になってくれると心強いのだが。

>「や、やあ、桐山君。その……久しぶり」

桐山と同じくらいの歳をした少年が、不意に現れて桐山に話しかけている。
周子はぼけっとその様子を見ているも、話相手が周子に変わった。
どうやら同じつつじヶ丘高校の先輩らしい。
0387 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/31(金) 19:22:05.30ID:sGOui7mh
>「あー……君、ゲーム部なんだってね。実は僕もゲーム部なんだ。
> 八木って言うんだけど……顧問の先生から、名前くらい聞いてたり……。
> いや、別に聞いてなくても全然いいしむしろそれが当然だと思うんだけど……」

「八木先輩ですね。一年の水鳥周子です!」

ゲーム部が廃部寸前まで人が減ったのはガチ勢エンジョイ勢等の意見の不一致と聞く。
その引き金を引いたのが八木である事など、この時の周子には知る由もない。
やや言葉に詰まりながら、八木の台詞が続く。

>「……もし君達が良ければ、僕もチームに入れてくれないかな。
> 自分で言うのもなんだけど、僕、結構上手い方だし……役に立つよ。
> 今回、運営の人達も結構ガチっぽいし……ソロはしんどそうだからさ」

「先輩が二人もいれば百人力ですね!一緒に頑張りましょう!
 私もゲーム部一年として底力を見せますからねー!」

自分も頑張らなくては!と再び熱血を瞳に灯す周子。
周子の最終目標はあくまで世界大会に出場すること。
頼るのではなく皆に頼られるファイターにならなくてはいけないのだ。

これでチームつつじヶ丘は桐山、方丈寺、八木、周子の四名。
残る最後の一名が会場に来ているはずなのだが、どうにも見当たらない。
仕方ないので眼鏡型ARデバイスを起動し、友達にメールを送っておいた。


件名:もうアリーナに来てる?

つつじヶ丘アリーナでイベントが始まったみたいΣ(・ω・ノ)ノ!
サバイバルマッチする事になったから早く来て〜!
元ゲーム部の桐山先輩と八木先輩に同じクラスの方丈寺君もいるよ。


「すみません、友達も来てるはずなんですけど……
 もしサバイバルマッチで見かけたら一緒に戦ってあげてください」

話が一段落したところで、バイザー男ことゴーストのアナウンスが再び流れるようだ。
気がつけば同じようにARバイザーを装着した不審な男達が彼の後ろに一列で並んでいるではないか。
彼らの名は「モータル」。死すべき定めを受け入れたゴーストの部下である。

「今ここに、我らトラフィックゴーストの実験台達が集った!
 これよりロボットバトル・サバイバルマッチを開幕する!」

気合の入った演説と共にゴーストにまばゆいスポットライトが落ちる。
0388 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/08/31(金) 19:27:26.59ID:sGOui7mh
「ルールは先程告げた通り殲滅戦だ。私達トラフィックゴーストを見事全機撃墜してみせよ!
 もし君達が私と部下のモータル達を倒せたならその健闘を讃えアリーナを開放しよう!
 そして、決戦の地となるバトルステージは――コロシアムステージだ!!」

ロボットバトルの舞台となるアリーナの特設ステージは、AR設備によってその姿を自在に変える。
草原や海、砂漠、雪原、未来都市、廃墟など、利用者の希望に合わせてステージを変更できる仕様なのだ。
広さはサッカー場程度で、人型サイズのマシンナリーが暴れるには十分な広さと言えるだろう。

「ARデバイス、セット!」

コロシアムステージに参加者達が入場すると周子は再び眼鏡型ARデバイスを起動。
眼前に現れた画面をタップし、「マシンナリーファイターズ」を起動する。
すると操縦桿やレーダーマップ、ウェポンスロットが次々と出現した。

「ロボットバトル、スタンバイッ!」

ずん、という重量感と共にバトルフィールドに巨大な機影が現れる。
黄色いカラーリングに殻のような武装コンテナにツインアイが青に光る。
これが周子のマシンナリー、重量級格闘機"エクスフォード"である。
他の参加者達も続々とARデバイスを起動し、戦闘準備を整えていく。

「準備は整ったようだな……実験台達よ、精々抵抗するがいい……!」

「ふふふ、見るがいい。モータルの実力というものを……!」

ゴーストとモータルの台詞を最後に、
予備のマイクを持ち直した司会のお姉さんが高らかに宣言する。

「ロボットバトル・サバイバルマッチ、スタートです!!」

今ここに決戦の火蓋が切って落とされたのだった。


【サバイバルマッチ開幕!よろしくお願いしますね】
>>385ありがとうございます!何かあれば待てるので大丈夫ですよ〜】
0389 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/09/01(土) 15:07:06.96ID:TwDmUf/F
>「ありがとうございます!桐山先輩ですよね……!?
 私、水鳥周子って言います!一緒に頑張りましょう!」

「うん、桐山直人って言うんだ。水鳥君だね?
 僕のマシンナリーは近遠どちらにも対応している、君のスタイルに合わせるよ」

彼女はゲーム部だが、過去に起きたトラブルとは無関係だ。
顔を見ればやる気があるのは分かる。だとすれば意思疎通に問題はないだろう。
しかし二人だけでは運営スタッフどころか他のチームにすら負けかねない。
同じ高校の人間がいないか桐山が周囲を見渡していると、坊主頭の少年がこちらに向かってくる。

>「俺一人でも十分だが、どうもつつじヶ丘高校として舐めている奴が多いようだ
  チームつつじヶ丘を作るというならば俺も参加せざる得ないな
  おれは一年……あ?え?み、水鳥さん???
  あの、僕は、方丈寺永瞬です……」

どうやら水鳥と同じクラスの生徒らしく、部には入っていないもののマシンナリーの経験はあるようだ。
桐山も快くチームへ迎え入れる。

「よろしく。僕は桐山直人、二年B組だよ」

さて、三人ならば通常のサバイバル戦でそこそこ勝ち抜ける人数だ。
しかし今回は他校や運営スタッフが参加し、新機体であるベンケイも出てくるはず。
そこで幸運にも四人目として参加を希望してきたのは、桐山にとって苦い過去を思い出させる存在だった。
0390 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/09/01(土) 15:07:39.51ID:TwDmUf/F
>「や、やあ、桐山君。その……久しぶり」

八木優樹。同じ学年で、かつてはゲーム部に所属していた。
実力は確かなものだ。あまりこの競技に真剣ではなかったとはいえ、四人を相手にたった一人で圧勝してみせるほどだ。
しかし、当時のゲーム部に生じていた不和を決定的にしたのもまた彼だ。

入部してから使いこなせない武装やパーツのデータ作成を押し付けてくる先輩たちがやり込められるのは
横から見ていて胸がすくような気持ちにはなれたが、当時の部長は彼らが退部していくのを止められなかった。
結果として部員どうしの対立が始まり、それにうんざりした当時のエースや中堅は次々とゲーム部を離れていった。

もちろん全国大会常連という実績にあぐらをかいていた先輩たちにも問題はあったが、
八木の発言や態度が引き金となったのは確かだ。

だが桐山としては、彼個人のことはそんなに嫌いではなかった。
彼に助けられたということもあるが、態度に見合うだけの実力はあると桐山は思っている。
発言には控えるべき点があるとも思っているが。

「……ああ、久しぶりだね。
 今月のヨーロッパ大会配信見た?フランスとドイツの機体はかっこいいよ」

部活や学校絡みで何を言っても皮肉に受け取られかねない以上、
桐山は無難に海外大会の話でお茶を濁す。

>「……もし君達が良ければ、僕もチームに入れてくれないかな。
 自分で言うのもなんだけど、僕、結構上手い方だし……役に立つよ。
 今回、運営の人達も結構ガチっぽいし……ソロはしんどそうだからさ」

>「先輩が二人もいれば百人力ですね!一緒に頑張りましょう!
 私もゲーム部一年として底力を見せますからねー!」

「八木がいるなら大丈夫だよ。彼の実力は本物だし、マシンナリーもサバイバル戦に向いている」

と、そこまでを方丈寺と水鳥に言うと、桐山は八木のARデバイスに一通のメールを送信した。

『水鳥君も方丈寺君も初心者だ。かつての先輩たちのような経験だけのファイターじゃない。
 試合が終わっても助言にとどめておいてほしい』

他人に見えないプライベート設定で送ったそれは、最悪の事態に備えてのことだ。
序盤で敗退ということになったときの備え、念のための予防線。

>「すみません、友達も来てるはずなんですけど……
 もしサバイバルマッチで見かけたら一緒に戦ってあげてください」

「その子との合流を急いだほうがよさそうだね。
 一機だけではサバイバルどころじゃない」

どうやら水鳥の友人も来るはずだったようだ。
幸い試合途中での共闘はサバイバル戦では認められている。
早めに見つけて合流するべきだろうと桐山は考えた。
0391 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/09/01(土) 15:07:54.59ID:TwDmUf/F
>「今ここに、我らトラフィックゴーストの実験台達が集った!
 これよりロボットバトル・サバイバルマッチを開幕する!」

開始時間となったのか、バイザーを付けた男のアナウンスが会場に響く。
それに合わせて桐山もあらかじめ待機状態だった「マシンナリーファイターズ」を起動し、
目の前に仮想UIを展開していく。

「マクシミリアン、出る!」

彼が仮想操縦桿を握りしめれば、中世の騎士のような鎧を纏った巨人が
細身の大剣と無骨なデザインの小銃を持って彼の傍らに現れる。

真紅に染め上げられたその甲冑、フルフェイスヘルムのスリットから見える六つのカメラアイ。
そして背中に折り畳まれた巨大なレーザー発振器。
こうして参加するファイターの準備が全員整ったところで、司会の宣言と共に戦闘が始まった。

>「ロボットバトル・サバイバルマッチ、スタートです!!」

このステージは障害物は少ないものの、その障害物の利用が重要なポイントだ。
『キューブ』と名付けられた破壊不能な立方体型の物体が一定のパターンで動き、足場にも壁にもなりうる。

「キューブを盾にして水鳥君の知り合いと合流しよう!
 まだ始まったばかりだ、弾薬の消耗は避けたい」

こうしてマクシミリアンは大剣をしまい、小銃を構えてキューブに張りつきながら移動する。
序盤の消耗を避け、終盤にありったけを叩き込む。
きわめて基本的な戦い方に、桐山は則って動いた。

【改めてよろしくお願いします!】
0392紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/02(日) 09:08:58.22ID:QgXpmEuh
>「――このつつじヶ丘アリーナは、我々『トラフィックゴースト』が乗っ取った!」

「む。始まったわね」

熱気溢れる会場を突如貫く警報音。
追って響く謎組織からの丁寧なアナウンスを、紫水晶は露店のうどんをすすりながら聞いた。

トラフィックゴースト。
マシンナリーファイターズの大会運営が時折ゲリラ的に開催する観客参加型のイベントだ。
連中の辞書に接待バトルなどという文字はなく、スタッフの駆る機体にはガチビルドが多い。
なにぶん運営のやることなので、敵として立ちはだかるスタッフはもれなく仕様に精通しているのだ。

会場に集まる参加者の動きはふたつに別れた。
ひとつは腕試し、あるいは純粋にイベントを楽しむべくトラフィックゴーストとの戦いに挑む者たち。
そしてもうひとつは、その戦いを観察して環境トップメタビルドを読み取らんとする者たちだ。

晶は前者だった。
彼女は肩に提げたポーチからARデバイスを取り出すと、うなりを付けて放った。
宙を舞うそれをキャッチしたのは対面でうどんを盛り付けていた店主だ。

「参戦するわ。登録証をちょうだい」

「ほう。私がトラフィックゴーストの一員だと見破るとはな……」

「ふふっ……上手く擬態していたようだけれど、私の鼻は誤魔化せないわ。
 匂いがするのよ。お出汁の香りの奥に潜む、血に飢えた決闘者の匂いがね……」

うどん屋もとい大会運営スタッフは、鍋から立ち上る湯気で曇ったVRゴーグルの奥でニヤリと笑った。
匂いもクソも、デバイス付けてうどん茹でる人間などいないので自明の理であった。

「ククク……我が牙の前に自ら躍り出るその蛮勇を讃えて、私から餞の言葉を贈ろう。
 ――登録はこれにて完了です。楽しんできてくださいね」

「ありがとう」

うどん屋が放り返したVRゴーグルを二本指で受け取り、晶は自身の両目にそれを取り付ける。
そして、ポーチから取り出した軍帽(レプリカ)を目深に被って踵を返した。

「さて……流れで参戦したは良いけれど、周ちゃんはどこに居るのかしら」

デバイスのメーラーを起動してメールの着信をチェックする。
トラフィックゴーストによる会場ジャックが起きたとき、同時にデバイスに一通のメールが届いた。

>件名:もうアリーナに来てる?

送り主は同じつつじヶ丘高校のゲーム部に所属する、晶の友達だ。
彼女とは、今日の大会に、一緒に参加しようと待ち合わせの約束があった。
しかし会場内で合流する前に、ゲリライベントが始まってしまった次第である。

一応「どこ?」とだけ返信を入れておいたが、今の所返事はない。
おそらく既にバトルが始まっていて、メーラーを開いている場合ではないのだ。
とはいえ、サバイバル形式のゲリライベントは限られたコロシアム内で行われる。
会場広しと言えども流石にコロシアムに入れば見つけることは容易かろう。
0393紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/02(日) 09:09:49.60ID:QgXpmEuh
「そう言えば周ちゃん、チームを組んでいると言っていたわね……」

メールの末尾にはこう書いてあった。

>『元ゲーム部の桐山先輩と八木先輩に同じクラスの方丈寺君もいるよ。』
0395紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/02(日) 09:13:08.34ID:QgXpmEuh
元ゲーム部の先輩二人にクラスメイト一人。
うちクラスメイトの方は当然晶も面識がある。というか友達だ。
気取り屋の晶と邪気眼遣いの万丈寺は夢見る世界観は違えど波長が合う。
万丈寺がマシンナリーをやっているのは意外だったが、顔見知りが居るのは素直に心強い。

一方で、先輩二人のことは名前すら知らない。
晶が今年の春にゲーム部に入った頃には既に二人とも部にはいなかった。
ちょっと前にゲーム部が人間関係の問題で空中分解したというのを伝え聞いた程度だ。

(……それ、混ぜちゃって大丈夫な人たちなの?周ちゃん)

元ゲーム部と言うからには、彼らは『出ていった』側の人間だということだ。
二人は被害者と加害者の関係かもしれないし、現役のゲーム部員に思うところもあるだろう。
後の災いになる気がしてならない。

……まぁ、なるようになるだろう。
所詮は一期一会のチームアップ、この先何年も付き合っていくわけじゃない。
晶は適当にそう結論付けて、コロシアムの中に降り立った。

「ARデバイス、セット。――私の声に応えなさい、『微塵改』」

音声認識によって該当マシンナリーがインベントリから呼び出され、虚空に輪郭が描かれる。
降って湧いた鋼の偉丈夫は、ずどんと重い音を立てて地面に着地。
各関節のショックアブソーバーから吸収剤が蒸発して白煙を立てた。

――紫水晶のマシンナリー・三拾式仮想剣闘機『微塵改』。
オリーブドラブの機体色と、丸みを帯びた重機に似た外観をもつ人型ロボットだ。
手に持つのは鈍く光る直剣と、全身を覆う巨大なライオットシールド。
警察機動隊と古代ローマの剣闘士をごちゃ混ぜにしたような無節操なデザインである。

「さて、まずは急いで周ちゃんと合流しなくちゃね」

目の前に表示された仮想操縦桿を操作して、微塵改を前進させる。
地響きのような音を立てて、鋼の巨躯は一歩前に出た。
これが微塵改のトップスピードだ。装甲を分厚くしすぎたせいで、まともに走ることすらままならない。
そして、戦場のど真ん中で巨体がゆっくり動いていれば、当然発生する事態がある。

「フハハハ!本日最初の獲物が現れたようだな!」

――それすなわち、敵とのエンカウントである。
微塵改の前方には三体のマシンナリー。いずれも表示される認識票はトラフィックゴーストのものだ。
三体の敵機は、微塵改の進行方向を妨げるようにして広がった。
0396紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/09/02(日) 09:13:49.85ID:QgXpmEuh
「冥土の土産に自己紹介しておこう!私は物販ブースの矢崎!我が研究の礎となってもらおう!」
「会場交通整理の富沢!来なさいお嬢さん、私の機体で可愛がってあげるわ!」
「お子様迷子案内所の槇村!"シャバゾー"がぁ〜〜ッ!"調子(イキリ)"くれてっと"ベコベコ"にしてやんヨ!?」

「なんか柄悪いのが混じってない……?」

「「「問答無用ッ!」」」

モータルと呼ばれたゴーストの部下達は、一斉に微塵改へと攻撃を仕掛けた。
左右からあられの如く押し寄せる機銃の十字砲火。地を這うように迫りくるミサイル。
どの方向へ躱そうが、残る一機の振るうエナジー・ランスの白刃が不可避の一撃を見舞う三段構えの連携だ。
微塵改は避けなかった。足が遅すぎて避ける暇などあるはずもない。全部被弾した。

「まず一匹――!」

立ち上る爆煙エフェクトに、モータルの勝ち誇る声が響く。
しかし煙の晴れたとき、彼らの顔から笑みが消えた。
怒涛の波状攻撃をすべて受けてなお、微塵改の機体耐ゲージはわずかにしか減っていない。
ライオットシールドの表面が焼け焦げ、凹んだ程度である。

「隙あり!シールドバッシュ!!」

至近距離で槍を突き出していたモータルの機体に、微塵改はシールドをぶち当てた。
盾に設定されているノックバック属性により、敵マシンナリーはわずかに後ずさる。
そこへ更にシールドを叩きつけた。

「バッシュ!バッシュバッシュ!追撃のぉぉぉ――シールドバッシュ!」

「ちょっ!ちょっと待て!ゴリ押しはやめろ!もっと操縦者同士の駆け引きをだな――」

モータルの抗議も馬耳東風に、晶はひたすら単調なバッシュをかまし続けた。
攻撃も回避も、出がかりをノックバックで潰されれば強制的にキャンセルされてしまう。
やがて蓄積されたノックバック値によって、敵機は大きくバランスを崩した。

「そこっ!」

すかさず微塵改は剣を抜き、よろめいた敵機の胴めがけて一閃。
胸部装甲を刀身が埋まるまで貫かれた敵機は、損傷部から火花を上げて沈黙した。
バッシュでバランスを崩すのを辛抱強く待って反撃。微塵改唯一の必勝パターンである。
晶は眉一つ動かさずにガッツポーズした。
0397紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/02(日) 09:15:04.40ID:QgXpmEuh
「成し遂げたわ。」

「馬鹿な……こんな塩試合があるか……」

「後学のために覚えておくことね。素人のガチャプレイがラッキーパンチを引くこともあると」

「公式大会に来る奴の台詞かそれ……!?」
0398紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/02(日) 09:16:05.85ID:QgXpmEuh
動かなくなった敵機から剣を引き抜き、微塵改は再び盾を構える。
三人組モータルのうち、一人は始末した。残りは二人。
そして残った二人は、バッシュに影響を受けない後方射撃型だった。

「……待ち合わせがあるの。じゃあこれで」

「逃がすか!」

自身の不利を1秒で悟った晶は速攻逃げの一手を打った。
とはいえ微塵改は話にならないレベルのドン亀である。
背後からはまさに嵐のように機銃とミサイルが吹き荒れ、微塵改の背面に鉛玉と爆炎が突き刺さる。
いかに分厚い装甲が地面の微塵改といえども、耐久バーがゴリゴリ減っていくのがわかった。

誠に遺憾だが、微塵改に反撃の手段は最早ない。
遠距離型にはめっぽう弱いのがこのビルドの最大にして当然の弱点だ。

タンクプレイをするにも、火力を担当する仲間が要る。
具体的には愛すべき友人、水鳥周子。一刻も早く彼女と合流しなければ。

キューブを盾にしながら気の遠くなるような長い長い1分程度の逃避行の末、ついに晶は光明を見つけた。
周子だ。周りに居るのは万丈寺と、それから件の先輩方だろう。
ようやく会えた友達の姿に晶はパッと顔を明るくして、すぐにいつものシニカルな表情を取り戻す。

「周ちゃん!万丈寺君!あと先輩方!助けて!怖い人達に追われているの!」

後方から上がる「えぇ……」というスタッフの素のリアクションを尻目に、晶は叫んだ。

「一発殴っただけなのに!!」

などと意味不明な供述をしながら、晶は抱えた敵二人をチームの仲間に擦り付けた。


【モータルの集団と遭遇し、タゲ取りながら仲間のもとへ逃げてくる】
0399紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/02(日) 09:16:31.84ID:QgXpmEuh
【遅くなってごめんなさい!改めてよろしくおねがいします!】
0400紫水晶
垢版 |
2018/09/02(日) 19:26:08.36ID:uwWhkqZf
【×VR
 ○AR
でした!失敬しました!】
0401 ◆xOyyKuWTRc
垢版 |
2018/09/05(水) 12:31:39.12ID:IspHlbvo
停電復旧しておらずスマホからなので酉違うかもですが方丈寺です
申し訳ないですが抜けますね
体は無事てすが家のほうがちょっと
すいません
0402水鳥 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/09/05(水) 19:13:18.25ID:zIOQm0dq
>>401
災害で大変な中ご連絡くださってありがとうございます。
方丈寺さんとご一緒出来ないのは残念ですが、承知致しました。

方丈寺さんが抜けてしまいましたので、次のターンは八木さんになります。
〇日ルール的には一応今日から数えて10日以内になります。(>>364参照)
なにとぞよろしくお願い致します!
0403紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/05(水) 23:16:06.76ID:WpW4qJUz
>>401
oh...
大変だとは思いますが、どうか無理はなさらずご自愛ください
また落ち着いたらぜひご一緒しましょう
0404桐山 直人 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/09/06(木) 13:16:54.33ID:Q1mWHzK0
>>401
自然災害はどうしようもないですし無理はなさらず
またご一緒できる機会を待っています
0405八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/09/06(木) 21:12:31.23ID:vJHOnM8w
>>401
一日でも早く元通りの生活に戻れますようお祈り申し上げます
またどこかで、もしかしたらここで、お会いしましょう
0406八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/09/06(木) 23:02:37.34ID:74aXVch3
>「先輩が二人もいれば百人力ですね!一緒に頑張りましょう!
 私もゲーム部一年として底力を見せますからねー!」

優樹の心配はどうやら殆ど杞憂だったようだ。
水鳥は持ち前の快活さを幾ばくも曇らせる事なくそう答えてくれた。

>「八木がいるなら大丈夫だよ。彼の実力は本物だし、マシンナリーもサバイバル戦に向いている」

桐山も特に不快感を示すような事はなかった。
もっとも、その態度と言葉がただの社交辞令的なものである可能性を、優樹には否定し切れないのだが。
それでも、表面的に見えているものを疑い出すと、切りがない。
優樹は意図して、その事について考えるのをやめた。
と――不意に彼の簡易デバイスにメールが届いた。

>『水鳥君も方丈寺君も初心者だ。かつての先輩たちのような経験だけのファイターじゃない。
  試合が終わっても助言にとどめておいてほしい』

その内容は要するに、あの時のように言い過ぎないようにしてくれという事だ。
もちろん、優樹にもそのつもりはない。
自分がした事のせいで、あの事件とは全く関係のない一年の女の子が心無い言葉を投げつけられている。
彼がチームへの加入を申請したのは、その事に対する負い目、罪の意識からだ。
暴言など吐けるはずもない。
優樹は桐山に目線を向けて、小さく頷いてみせた。

>「すみません、友達も来てるはずなんですけど……
 もしサバイバルマッチで見かけたら一緒に戦ってあげてください」

ふと、先ほどまで何やらデバイスの操作をしていた水鳥が、桐山と優樹に声をかけた。
優樹は周囲を見回すが――顔も知らない相手を探す事の無意味さにすぐに気づいて、やめた。
水鳥の友人も会場には到着しているらしい。
だが会場はゲリライベントによって慌ただしく人が行き交っている。
選手席もそれは例外ではない。試合開始までに合流するのは難しいようだ。

>「その子との合流を急いだほうがよさそうだね。
  一機だけではサバイバルどころじゃない」

「フレンド登録はしてあるんだよね?だったら互いに救援要請を出しときなよ。
 ……ちゃんと、帯域をフレンド限定にするのを忘れないようにね」

これから始まるサバイバルマッチでは、プレイヤーは救援要請を発信する事が出来る。
二年ほど前のアップデートで試験的に追加され、そのまま定着した機能だ。

サバイバルマッチは基本的に『勝利条件が満たされるまで生き残れば勝ち』のゲームモードだ。
今回であれば「トラフィックゴーストの全滅」。
つまり極論を言えば、参加者全員が協力して勝利を目指す事も出来る。
逆に救援要請を利用して他のプレイヤーを誘き寄せ、スコアを稼ぐ事も出来る。
救援要請はそういった協力プレイ、または駆け引きを可能にしてくれるのだ。

>「今ここに、我らトラフィックゴーストの実験台達が集った!
 これよりロボットバトル・サバイバルマッチを開幕する!」

会場に響き渡る声。
同時にステージの上、ゴーストを照らし出すようにスポットライトが点灯する。
その背後にはデバイスを装着した不審な男達の姿。
実際、大型のゴーグルとエプロンやワイシャツ、ネクタイを着合わせた姿はとても不審だ。
0407八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/09/06(木) 23:03:11.09ID:74aXVch3
>「ルールは先程告げた通り殲滅戦だ。私達トラフィックゴーストを見事全機撃墜してみせよ!
 もし君達が私と部下のモータル達を倒せたならその健闘を讃えアリーナを開放しよう!
 そして、決戦の地となるバトルステージは――コロシアムステージだ!!」
0408八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/09/06(木) 23:06:25.62ID:74aXVch3
コロシアム――古代ローマの闘技場をモデルにした円形のフィールドに、
何らかのステージギミックが追加される、一般的なステージだ。
ギミックには幾つか種類があり、それによってマップ名の最後にアルファベットが追記される。

(どのギミックが来るかな……出来れば、Aがいいんだけど)

優樹はそんな事を考えつつ、リュックサックからARデバイスを取り出した。
大型のヘッドセットと幅広のバイザーが一体化した、よりゲーム用に改良されたデバイスだ。
残念ながら交通安全上の懸念により街中で付けて歩く事は出来ない。

>「ARデバイス、セット!」

前髪を左右に分けて、デバイスを装着し、スリープモードを解除。
マシンナリーファイターズを起動。
優樹の視界が瞬く間に操縦席と、その外側に広がる戦場へと塗り替えられていく。

>「ロボットバトル、スタンバイッ!」

会場内にも、拡張現実が投影されていく。
アリーナは巨大なキューブが移動、浮遊する円形闘技場に。

(コロシアムBか……個人的には、Aの方が好きなんだけど……仕方ないか)

観客席もハニカム構造のシールドが展開された、近未来風の様相へと。
これにより、観客達はまるで目の前でマシンナリーが戦っているかのような臨場感を得られる。

>「準備は整ったようだな……実験台達よ、精々抵抗するがいい……!」
>「ふふふ、見るがいい。モータルの実力というものを……!」

「……さて、やるか」

優樹のマシンナリーは、まるで置物のようにフィールドに立っていた。
前のめりになって、見えない壁に手のひらを当てて体を支えているかのような姿勢。
その状態のまま微動だにしていなかったピエロ型のマーシナリーが――ゆっくりと、直立の姿勢を取り戻す。
全身に金属光沢を帯びた、すらりとした細身の道化師。
それが優樹のマシンナリー、クラウン・ノイジーモデルだ。

>「ロボットバトル・サバイバルマッチ、スタートです!!」

参加登録をされたマシンナリー達が一斉に消失する。
フィールド上のどこかにランダムにワープさせられたのだ。
事前にチームアップしていた水鳥達は同じ地点に転送されたが――水鳥の友人、紫水は違う。

>「キューブを盾にして水鳥君の知り合いと合流しよう!
  まだ始まったばかりだ、弾薬の消耗は避けたい」

「上手い事、早めに合流したいね。あ、桐山君。このマップは上にも気をつけてね」

コロシアムBに設置されているキューブは破壊不可能オブジェクトだ。
だがその表面にはロボットが掴める程度の凹凸がある。
また定期的な移動を繰り返すキューブは、空中に床を、或いは天井を織り成す。
マップに上下の概念が生まれれば、プレイヤーはより戦術的で、独創的なゲームメイクが出来るからだ。
比較的狭い会場でも大人数が戦える戦場を作る為の工夫でもある。

ともあれ一行は水鳥の誘導に従って、彼女の友人、紫水の回収に向かう。
そして数分もしない内に、その目的は達成された。
ただし――敵勢力二機のおまけ付きで。
0409八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/09/06(木) 23:08:04.24ID:74aXVch3
>「周ちゃん!万丈寺君!あと先輩方!助けて!怖い人達に追われているの!」
>「一発殴っただけなのに!!」

「……面白い子だね。自分の世界を持ってるタイプだ」

AAR(完全拡張現実)マッチング――いわゆるネット対戦をしていると、たまに遭遇するタイプだ。
マシンナリーファイターズはただのゲームではない。
拡張現実を通して、プレイヤーは自分自身が戦いに臨む。
だからそのプレイヤーの、人間性が強く出る――と、少なくとも優樹は思っている。

向いてない人間はいつまで経ってもすぐにパニックを起こすし、
人が変わったように冷徹に、攻撃的に――猟奇的になる者もいる。
しかし、それならば自分はどうだろう――と、そこで優樹は考える事をやめた。

今は試合中で、前方には既に敵が見えているのだ。
考えるべき事は他にもっとある。
例えば、現在の状況について。

まず――前方には敵機。こちらはキューブを使って身を隠している。
加えて紫水の機体、微塵改は常に後方からの射撃に晒され続けている。
つまり敵機はどちらもオーソドックスな射撃特化型。
センサーのような特殊な兵装は持っていないだろうと推測出来る。

「……よし、じゃあアレ。やっちゃおうか」
0410八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/09/06(木) 23:11:29.83ID:74aXVch3
優樹は事もなげにそう言った。
言葉を紡ぎ終えた時には、既に準備は完了していた。
クラウン・ノイジーモデルの左手人差し指、その先端が膨れ上がっている。
薄いゴム質の膜と、その中で揺れる液体。水風船だ。
もっとも中の液体は水ではなく、爆薬。
バルーンボム。射撃特化型クラウンの基本兵装である。

クラウンの右手が、バルーンボムをまるで果実のようにもぎ取る。
そしてそのまま振りかぶり――右腕で大きく弧を描くように、前方へと放り投げた。
クラウンの細くしなやかな機体フォルムは、高く、更に遠くへ、投擲物を届けられる。

投擲された水風船は、当然だが発射音など伴わない。
推進剤を使っていないのだから、エネルギー反応もない。
APS(アクティブ防護システム)も、速度が遅すぎて反応しない。

つまり――バルーンボムは一切の前触れなしに、敵機の頭部へと降り注いだ。
高い、笑い声のような爆音が響く。
爆炎が晴れると――微塵改を追跡していた敵機の片割れ、その胸部装甲より上が、僅かな装甲片と骨格を残して吹き飛んでいた。
高い射撃能力と平均以上の機動力で率先して敵を倒しにいくアサルトスタイルの装甲では、バルーンボムの直撃は耐えられない。

「……あぁ、当たった。まぁ……まぐれ当たりだけどね。誰にも邪魔されなかったし」

壁越しの爆弾投擲はクラウン・ノイジーモデルの基礎技術だ。
だが――10メートルを超える距離でそれを成功させるのは至難の業だ。
実際、優樹ももう一度同じ事をやれと言われても、あれほどのクリーンヒットは狙えないだろう。

しかし一方で、全く狙っていなかった訳でもない。
最初に一発、突拍子もない攻撃を叩き込むのは戦術として有効だからだ。
外れて当然。もし当たれば――敵チームのテンポを崩し、有りもしないジョーカーの存在を警戒させられる。
もちろん、失敗しても問題のないようリスク管理をした上での話だが。

「もう片方は多分逃げるよ。同じゴースト内なら別チームに編入出来るから」

果たして敵機の行動は――優樹の言う通りになった。

「キューブの動き次第だけど、今なら追いかけて背中を撃てる。
 だけどアイツらはここに来るまで散々銃声を鳴らしてきてる。
 他の参加者達が集まってくるはずだから、そっちも警戒しないと」

サバイバルマッチは条件を満たせば全プレイヤーが勝利出来るルール。
だが一方で――参加者同士の戦闘に意味がない訳ではない。
スコアが稼げる。そのスコアが特に意味を成す訳ではない。
一定以上のスコアを稼ぐ事で賞品が得られるマッチもあるが、今回は、少なくとも事前にそのような告知はなかった。

それでも――これはゲームだ。
ゲームをプレイしていて、より多くのキル数を稼ぐ。
それは至極当然の目的だ。それ自体がメリットなのだ。
勝利を度外視したスコア稼ぎはハイエナと呼ばれ、忌避される行為だが、これは野良試合だ。
存在する以上は、諦めて受け入れるか――然るべき対処をしなければならない。

クラウンが周囲を見回す。
遠くに見える、緩やかな移動を繰り返す、キューブ群。
その陰に向かって、優樹は幾つかのバルーンボムを投げた。
爆弾は緩やかな軌跡を描いて、半分はそのまま落下して爆発した。
もう半分は――放物線の頂点に達した所で、銃撃によって爆破された。
やはり、既に別の参加者が近くにまで寄ってきている。
ならば、選択が必要だ。

「……どっちをやろうか。ゴーストか、まずはハイエナからか。
 リーダーは水鳥ちゃん、君だ。決めてくれるかい」
0412水鳥 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/09/07(金) 22:59:08.78ID:c8v0uQxh
>「キューブを盾にして水鳥君の知り合いと合流しよう!
> まだ始まったばかりだ、弾薬の消耗は避けたい」

桐山が手馴れた操作で機体を動かし、マクシミリアンはキューブに身を隠した。
片手には小銃が握られており、トラフィックゴーストや他の参加者の来襲にも万全の構えだ。

>「上手い事、早めに合流したいね。あ、桐山君。このマップは上にも気をつけてね」

エクスフォードの足元のキューブが音もなく上へ移動していく。
破壊不能オブジェクトが天へ上っていくのを眺めながら、周子は八木に言われて出した救援要請を確認する。
友人側も救援要請を出してくれており、レーダーマップを覗くと青い点が映った。

「友達の居場所が分かりました。私が先頭になりますね!」

そうしてキューブを利用しつつ移動すること数分、遂に友人のマシンナリーを発見した。
レーダーと認識票、眼前に映る機体を忙しく確認しながら、やはり彼女だという事を確信する。

「晶ちゃん!探し――――」

>「周ちゃん!万丈寺君!あと先輩方!助けて!怖い人達に追われているの!」

周子が呼びかけるより早く、件の友人、紫水晶(しみずあきら)は叫んでいた。
何と背後にトラフィックゴーストと思しき機体を二機引き連れているではないか。

>「一発殴っただけなのに!!」

なるほど、追いかけている側が激昂してそうなのは倒しちゃったからなのね。
白兵戦に特化した微塵改が一撃を加えれば相手もタダでは済まない。
周子は一瞬にして紫水の凶行を悟るに至った。
エクスフォードの機動力なら微塵改と敵機の間に割って入るのは難しくない。
そのまま微塵改と協力して撃墜することも恐らく可能。
だが、状況次第でエクスフォードは小破程度の損壊を免れないだろう。

(けど万能型のマクシミリアンと射撃型のクラウンの力も借りれば……
 うん、損傷はなしで晶ちゃんを助けられるはず!)

こうして周子が脳内シュミレート終えようとした時、八木は事もなげに言い放った。

>「……よし、じゃあアレ。やっちゃおうか」

クラウンのグローブがぷくっと膨らむと、膨らんだそれを右手でつかみ取る。
これがクラウンの武器、バルーン・ボムだ。見た目は水風船のようだが、中身は爆薬だ。
それを投擲すると、バスケ選手の3Pシュートのように奇麗な放物線を描きながら敵機に着弾した。
結果、敵機は胸から上が吹き飛び、無惨なスクラップへと成り果てた。

>「もう片方は多分逃げるよ。同じゴースト内なら別チームに編入出来るから」

八木の言う通り僚機は何処かへ逃げていく。
周子が長々と考えていた救助作戦を八木は一瞬で終わらせたのだ。
そのまま八木の言葉が続く。

>「キューブの動き次第だけど、今なら追いかけて背中を撃てる。
> だけどアイツらはここに来るまで散々銃声を鳴らしてきてる。
> 他の参加者達が集まってくるはずだから、そっちも警戒しないと」

他の参加者に警戒する。即ち、同じ参加者を狙ってスコアを稼ぐタイプに注意せよという事だ。
ただでさえつつじヶ丘高校は微妙な評判が轟いている。手持無沙汰に一発撃ってくる輩がいないとは限らない。
バルーン・ボムの威力を見ての通り、マシンナリーファイターズというゲームはリアル感を重視している。
よって一発の被弾が命取りになりかねない場合もままあるのだ。
0413水鳥 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/09/07(金) 23:02:02.81ID:c8v0uQxh
八木の台詞は極めて冷静だった。そして、周子はある事実に気づいた。
ゲーム部で集団戦を体験したことが未だかつてなかったという事を。
部員数名程度の現在の部では、一対一で練習することは多くあれど、
チーム戦やサバイバル戦のような大人数の戦いの練習は一切経験がない。
否、経験出来ないのだ。

>「……どっちをやろうか。ゴーストか、まずはハイエナからか。
> リーダーは水鳥ちゃん、君だ。決めてくれるかい」

経験の浅い周子がリーダー。
本来ならチーム結成を最初に持ち掛けてくれた桐山や、実力の高い八木がなるべきポジションだ。
周子流の解釈では、先輩に気を遣わずこのサバイバルを楽しめ、という気遣いだと判断した。
単純に元ではなく現ゲーム部が収まるのが相応しいと考えたのかもしれないが、答えは分からない。

「は、はい……!でででは逃げたモータルを追いかけましょう!
 他の参加者まで狙うとスコアを稼げる分、こちらの消耗が大きくなります。
 勝利条件であるトラフィックゴーストを着実に減らしていきましょう。
 もしハイエナのファイターが襲ってきた場合は応戦するという事で……!」

いきなりリーダーに任命され、気恥ずかしさを隠せない。
しゅ〜っと湯気を立てかけながら、ぶんぶん首を振る周子なのだった。

モータルとの小競り合い、リーダーと行動指針の決定。
目まぐるしく状況が動いたが、まずは晶と合流できたことを喜ぶべきだろう。

「とにかく、晶ちゃんが無事で良かった!心配したんだからね!」

エクスフォードが微塵改に接近すると、やや損傷しているのが分かった。
ライオットシールドや機体のそこかしこが凹んでいるではないか。
あれだけ射撃機の猛追を食らいながら撃墜されてない事自体が驚きなのだが。

合流したのもそこそこに、早速逃亡を図ったモータルを追跡する。
具体的には敵が合流するより前に確実に仕留める。合流されればお礼参りは確実だからだ。
自機のツインアイで周囲を索敵すると――幸いだ。まだ逃げたモータルを見失ってはいなかった。だが不幸もある。

「合流が早い……!」

フィールドが狭いせいか、運がないのか、その両方か。逃げた機体は付近のモータル達三機と即座に合流したようだ。
合流したチームの二機は逃げた機体と似たような外観だが、一機だけ違う。
今まで見た事もない機体だ。武者のような装甲に大薙刀を背負っており、その威容に気圧されそうだ。

「あれは……!ベンケイ!?」

追加予定の新型マシンナリー体験会で試運転できるはずだった機体。
このイベントがなければ開催されていたロボットバトル会場の目玉イベントのひとつだ。
恐らくはデモンストレーションも兼ねてイベントスタッフ側が参戦させたのだろう。
無論、あの様子では参加者側ではなくトラフィックゴースト側のようだが。
ふと、ベンケイの双眸がこちら側を見つめると、にわかに急接近してきた。
0414水鳥 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/09/07(金) 23:03:35.10ID:c8v0uQxh
「こちらに気づいているみたいです。応戦しましょう!!」

記憶する限り、宣伝で触れこんでいたベンケイの特徴といえば、
多数の格闘武器による連撃と、強化レーダーによる高い索敵能力だったはずだ。
とすれば、撃墜された味方の付近に現われるのも、こちらに気づくのも何ら不自然ではない。

周子は仮想操縦桿を捻ると、幾つもあるウェポンスロットの一つを選択しタップ。
武装コンテナが開き、エクスフォードはショットンガンを構えた。
エクスフォードは格闘機だが、背中の殻型コンテナに沢山の武器を収納している。
追尾式のマイクロミサイルにワイヤーアンカー、広範囲の敵を圧し潰す重力爆弾ブラストボム。
このコンテナのお陰で、格闘を主眼に置いておりながら高い対応力を発揮できるのである。
周子はこの殻型武装コンテナを『ハーミットアーマリー』と名付けている。

「くくく、先程は仲間が世話になったな。
 だが君達には最新鋭機のサビとなる栄誉が与えられた!
 存分に体感せよ!そして、震撼するがいい!ベンケイの性能を見てなっ!!
 だが悲しむことはない。サバイバル戦では雑魚から消えていくのが鉄の掟……」

まだ長台詞を喋りそうな雰囲気だったので周子は容赦なくショットガンをぶっ放した。
命中の手応え確かにエクスフォードがガシャッと薬莢を排出して弾丸を再装填する。

「小癪な……!そんなものが通用するかァ!!」

機体が纏っている鎧は傷ついているのに本体にダメージが全く通っていない。
恐らく鎧は着脱式の追加装甲だろう、と周子は推測した。よくある防御策だ。
あの手の装甲はパージさせないと本体のマシンナリーにダメージが通らない仕様なのだ。

向かってくるベンケイの両隣にはぴったりとモータルの機体が二機、随伴している。
彼らの機体『コープスブライド』は、格闘型、射撃型、万能型etcとバリエーション豊かな機体だ。
武装に小銃と剣を携行しているあたりから随伴している二機は万能型らしい。
合流した射撃型はベンケイ達のやや後方に位置したまま援護する構えだ。

「ベンケイは追加装甲の鎧でがっちりガードしているみたいです!
 一撃で倒すのは難しいかも……!!」


【逃げた射撃機は即座に仲間と合流。ベンケイを引き連れて戻ってきた!】
0415桐山 直人 ◆NU643EDdwQ
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2018/09/08(土) 14:58:04.09ID:NH4m3+ZP
>「上手い事、早めに合流したいね。あ、桐山君。このマップは上にも気をつけてね」

「大丈夫だよ、このマップは最近練習しているんだ」

レーダーマップに時折表示される赤い点――敵機のことだ――がこちらから離れるのを注意深く観察し、
キューブの移動に合わせて行動する。

位置が判明した水鳥の友人と合流するための行軍は、数分で終わった。
前方から平均的なマシンナリーよりはるかに遅く走ってくる重装備の機体と、それを追いかける射撃型の機体二体。

>「周ちゃん!万丈寺君!あと先輩方!助けて!怖い人達に追われているの!」
>「一発殴っただけなのに!!」

「いい子だ、追われている状況で自分のキャラを貫ける。
 大成するよ、いやまったく」

八木と一緒に感想を述べた後、桐山は戦闘に移る。
彼のマシンナリー、クラウン・ノイジーモデルと違い桐山のマシンナリーは距離を選ばない。
こちらへ向けて放たれたミサイルを視線照準でロックし、腰部に搭載された散弾砲がそれに合わせて放たれる。
散弾がミサイルに突き刺さり、マクシミリアンに当たることなく爆散した。

>「……よし、じゃあアレ。やっちゃおうか」

クラウンのバルーン・ボムの投擲に合わせて、マクシミリアンの97式突撃小銃がこちらを見ろとばかりに唸りを挙げて斉射される。
格闘戦用の出力で大きな反動を無理矢理抑え込み、短い間隔を置いて決して無視できないダメージを敵機に与えていく。

的確に当ててくるマクシミリアンへ対処しようとバルーン・ボムへの注意を怠れば――

>「……あぁ、当たった。まぁ……まぐれ当たりだけどね。誰にも邪魔されなかったし」

バルーン・ボムのマシンナリー上半身への直撃は増加装甲パーツや重装甲タイプでない限りほぼ一撃の、必殺と言ってもいい火力だ。
それは運営の機体であっても変わらず、下半身だけを残して見事に消し飛んでしまっている。

>「キューブの動き次第だけど、今なら追いかけて背中を撃てる。
> だけどアイツらはここに来るまで散々銃声を鳴らしてきてる。
> 他の参加者達が集まってくるはずだから、そっちも警戒しないと」

さて、これからどう動くか。桐山も次の目標を素早く思考する。
コロシアムマップはキューブという障害物があっても射線が通りやすく、集中砲火されやすいのだ。
下手に動けば十字砲火の中心地に自分たちから突っ込むことになるだろう。

>「……どっちをやろうか。ゴーストか、まずはハイエナからか。
> リーダーは水鳥ちゃん、君だ。決めてくれるかい」

「僕たちはそれに従おう。どちらにせよ、正しい選択だと僕は信じている」
0416桐山 直人 ◆NU643EDdwQ
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2018/09/08(土) 14:58:48.10ID:NH4m3+ZP
>「は、はい……!でででは逃げたモータルを追いかけましょう!
 他の参加者まで狙うとスコアを稼げる分、こちらの消耗が大きくなります。
 勝利条件であるトラフィックゴーストを着実に減らしていきましょう。
 もしハイエナのファイターが襲ってきた場合は応戦するという事で……!」

リーダーに突然任命されたにもかかわらず、水鳥はどもりながらもしっかりと目標を定めてみせる。
その姿にかつてのゲーム部員たちを見たような気がして、桐山は水鳥が一瞬眩しく見えた。
だがそれも首を振ればすぐに消え、とりあえずは新しい仲間との合流を喜ぶべきだろう。

「僕は桐山直人、機体は万能型。君の機体は……かなりの重装だね、あれだけの攻撃を受けてそれだけのダメージなんて」

マクシミリアンが大剣と小銃を背中と腰のマウントラックに収納し、微塵改に敬礼のエモートアクションをしてみせる。
マシンナリーファイターズは戦闘だけではなく様々なパフォーマンスやコミュニケーションにも使われるため、
こういった身振り手振りのモーションも用意されているのだ。

こうして自己紹介が済んだ後、逃走していたモータルを追跡に入る。
全員が逃げ込んだ先に到着してみれば、そこにいたのは二機の『コープスブライド』と呼ばれる市販モデルと先程戦闘した一機。
そして、鎧武者のような見た目と通常のマシンナリーよりも大きな体格。
おそらくは噂されていた新型マシンナリー『ベンケイ』であると桐山は判断した。

>「こちらに気づいているみたいです。応戦しましょう!!」

「ただの新型じゃない……!骨格も新モデルだ、パワーも段違いのはず!」

台詞の最中にエクスフォードのショットガンが全弾直撃しても怯むことなく立ち続けている。
つまりはバズーカや大型ミサイルのような高火力武器でなければ押し切れない、典型的な重装甲タイプをさらに推し進めたものだ。

近年流行している高機動中火力型によるチマチマとした削り合いによって試合がダラダラと長引くのを嫌い、
これからは重装甲と高火力の派手なぶつけ合いで観客を楽しませるつもりということだろう。

>「ベンケイは追加装甲の鎧でがっちりガードしているみたいです!
 一撃で倒すのは難しいかも……!!」

「先に護衛から落とすのは――難しいようだね」

マクシミリアンが小銃を構えて随伴機を狙えば、彼らは即座にベンケイの陰に隠れる。
大剣を引き抜いて接近戦に移ろうとすれば、ベンケイが大薙刀を振るってこちらへと向かう。

「やるなら両方狙った方がいい。一斉攻撃だ。どちらかを狙えばどちらかをカバーしてくる。
 ……まったく、ここまで流行を叩き潰すような機体を出してくるとはね!」

三度目の打ち合いの末、マクシミリアンにベンケイの注意は向いている。
だがマクシミリアンは元々腰を据えて殴り合うマシンナリーではない。
相手の前線に突撃し、かき乱すことを主眼に作られているのだ。そのため薙刀と大剣で打ち合うたびに徐々に押されていく。

「撃ち込むなら今だ!」

だが桐山はチャンスを見逃さず、チームへ向けて叫んだ。
ベンケイがマクシミリアンとの近接戦に夢中になり、他の三機は援護に躍起になっている今ならば。


【いわゆる総攻撃チャンス!】
0418紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/09/09(日) 00:38:19.13ID:s/akwz9K
三拾式仮想剣闘機『微塵改』は、著しく足の遅い重装機体だ。
出力をフルに使っても小柄な晶が早歩きする程度のスピードしか出ない。
ロボットバトルはオペレーターがマシンナリーの傍らに立って操縦と火器管制を行うわけだが、
気を抜くとマシンナリーの方が晶のスピードについて来れずに自機とはぐれる珍事が発生する。

「いやーっ!このままでは卑劣な連中に数の暴力でタコ殴りにされてしまうわ!」

「ならもっと気合を入れて逃げんか!」

――従って、追走される緊張感に晒されながらも、紫水晶はのんびり歩いていた。
多分、合流したチームメンバーがこっちに来る方が百億倍早いだろう。
背後から間断なく射撃を加えてくるモータル達も、迂闊に自機を前進させると距離を詰めてしまうのかやり辛そうにしている。

「速力に圧倒的な差がありながら、未だ追いつかれていないこの状況!
 ふふっ、まさにウサギと亀とアキレス状態というやつね」

「混ざってる上に何一つ言い表せてない……」

そのとき、微塵改の前をトロトロ歩いている晶の横を何かが通り過ぎた。
ふわりと虚空に放物線を描く、それは縁日などでよく見る水風船。
水鳥周子と共にいた件の「先輩」、彼の駆るピエロめいた機体が放り投げたものだ。

水風船は音もなく宙を舞うと、微塵改を追いすがっていた敵機の一つに直撃した。
甲高い笑い声に似た爆音と共に炎が敵機を飲み込み、その上半身を一撃で消し飛ばした。
一部始終を見送っていた晶は静かに舌を巻く。

「手榴弾!この距離で、あの低速で、しかも動いている目標に……アタリを引いたわね、周ちゃん」

狙いすましたような爆撃に片割れを撃墜されたモータルは、おそらく素で驚いたのだろう。
微塵改への射撃を中断し、踵を返して撤退を始めた。
耐久ゲージをこれ以上削られなくて済んだことに、晶はほっと胸を撫で下ろす。

「助かったわ。どうやらオペレーション・釣り野伏は上手くいったようね」

さも計算通りですと言わんばかりにしたり顔で晶はコメントした。
晶を助けたピエロの主はことさらに戦果を誇るでもなく、周子へ方針を問う。

>「……どっちをやろうか。ゴーストか、まずはハイエナからか。
>リーダーは水鳥ちゃん、君だ。決めてくれるかい」

爆弾先輩(仮称)は経験者のようだが、どうやらこの場は周子をリーダーとするようだった。
主導権を任された周子は、挙動不審になりながらも明確な行動指針を提示する。
目標は依然としてモータルの殲滅。他プレイヤーに対しては専守防衛を貫く構えだ。
晶に異論はなかった。元より彼女はこの手のパブリックイベントには初参加だ。右も左もわからない。

>「とにかく、晶ちゃんが無事で良かった!心配したんだからね!」

「ごめんなさい周ちゃん。本当はバトル開始前に合流を済ませておきたかったのだけれど……。
 私の想定不足だったわ。ここのうどんは、想像しているより遥かに熱々だったのよ」

待ち合わせの前に軽く腹ごしらえでもしようと屋台でうどんを購入したわけだが、
極度の猫舌である晶にとって出来たてのうどんはあまりにも熱すぎた。
良い感じに冷めるのをふーふーして待っているうちに、ゲリライベントが始まってしまった次第である。
0419紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/09/09(日) 00:39:25.47ID:s/akwz9K
正直待ち合わせすっぽかしてうどん啜ってる時点でぶん殴られても文句は言えない。
それでも非難より先に無事を安堵する言葉が出てくるのが、水鳥周子という少女の人間性である。
気取り屋で、ともすれば疎ましがられがちな晶をなにかと気にかけてくれる、彼女の大切な友達だ。
0420紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/09/09(日) 00:40:00.75ID:s/akwz9K
友人との再会を喜ぶ晶へ、爆弾じゃない方の先輩が声をかける。
同時に彼の騎士めいたマシンナリーがエモートで敬礼を見せた。

>「僕は桐山直人、機体は万能型。君の機体は……
 かなりの重装だね、あれだけの攻撃を受けてそれだけのダメージなんて」

「よろしく桐山先輩。私は紫水晶。むらさきすいしょうと書いてしみずあきらと読むわ。
 親しみを込めて"アメジスト"と呼んでくれても良いのよ。返事をするかはお約束しかねるけれど」

ドがつく初心者の晶はエモートのコマンドがどこにあるかわからなかったので、
代わりに自分自身が桐山の機体へ向けてスカートをつまんだ会釈を送った。

「ご明察の通り、私の『微塵改』は白兵戦特化の超重装ビルドよ。壁役は任せて頂戴」

こっちの先輩が桐山ということは、爆弾先輩の方が八木ということだろう。
端的に言葉を交わし合う二人に、ゲーム部離散の過去を思わせるようなわだかまりは見られない。
当事者ではないということなのか。あるいは単にお互い大人の対応をしているのか。

自己紹介もそこそこに、晶を加えたチームつつじヶ丘はフィールドを前進する。
逃走を図った敵機の生き残りには、比較的すぐに再び相まみえることができた。
……三体の新手を余計なおまけにして。

>「あれは……!ベンケイ!?」

いち早く敵機の姿を確認した周子が叫ぶ。
彼女の視線の先には、身の丈ほどもある長大な薙刀を背負った鎧武者が仁王立ちしていた。

――ベンケイ。
まだ一般に公開されていない完全新作で、今日のイベントでお披露目になるはずだった機体だ。
歴史上の豪傑、武蔵坊弁慶の如く『七つ道具』と呼ばれる多彩な格闘武器と、
極めて高い索敵能力がウリのフラグシップモデルである。

>「くくく、先程は仲間が世話になったな。だが君達には最新鋭機のサビとなる栄誉が与えられた!

ベンケイのオペレーターがノリノリで前口上をぶつ。
それをぶった切るように、周子のマシンナリー『エクスフォード』がショットガンをぶっ放した。

「ああ周ちゃん……そこは最後まで言わせてあげなさいよ……」

ロールプレイ派の晶は気の毒そうにベンケイに目を遣る。
至近距離でショットガンの全ペレットが直撃したにもかかわらず、ベンケイの耐久はミリも削れていなかった。
おそらくは、本体と独立したタイプの強化装甲だ。

>「ベンケイは追加装甲の鎧でがっちりガードしているみたいです!
 一撃で倒すのは難しいかも……!!」

>「先に護衛から落とすのは――難しいようだね」

「ベンケイが殿を務めて壁となり、後ろの連中が好き放題撃ってくる……まさに元ネタの通りね。
 それなら武蔵坊の方の弁慶さんよろしく、立ち往生してもらうのが良いかしら」
0421紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/09/09(日) 00:40:50.97ID:s/akwz9K
ベンケイとの接敵によってチームの進軍が止まり、そこでようやく足の遅い微塵改は追いついた。
既に桐山のマクシミリアンはベンケイと刃を交わし、敵がどう動くかを読み取り始めている。
互いに威力偵察の段階とはいえ、4対1で立ち回れているあたり、やはり桐山も「強かった頃の」ゲーム部の一員なのだ。

>「やるなら両方狙った方がいい。一斉攻撃だ。どちらかを狙えばどちらかをカバーしてくる。
 ……まったく、ここまで流行を叩き潰すような機体を出してくるとはね!」

「あら、私は好きよそういうの。勝てる機体、勝てる戦術で順当な勝ちを収めたって楽しくないもの。
 勝利への道筋に舗装は必要ない。誰かに用意されたお仕着せの美酒は、薄味だわ」

紫水晶は極めて尖ったタイプのエンジョイ&エキサイティング勢である。
もちろん勝てれば嬉しいが、研究され尽くした必勝法に頼りたくはない。
劣勢を覆すという快感を得たいがために、わざと自分を追い込む節がある。
そして大抵の場合は覆せずに敗北するわけだが、それを悔しいと思ったことは一度もなかった。

>「撃ち込むなら今だ!」

ベンケイと打ち合っていたマクシミリアンが少しずつ後退する。
一見すれば桐山が押されているようにとれるが……既に敵は桐山の掌の上にあった。

「桐山先輩、『スイッチ』するわ。周ちゃん、爆弾先輩、フォローをお願い」

スイッチとは、俗に前衛を張る機体を交代する戦術のことを指す。
耐久の削れた壁役を元気なメンバーが引き継いだり、高速機体が足留めした敵を重装機体が抑えたりと作戦意義は様々だ。
機動力のあるマクシミリアンがベンケイを前線に引きずり出してくれたおかげで、超ドン亀な微塵改でも戦いに参加できる。

「零式牽引索条『呑竜』――起動!」

微塵改の両腰に搭載された二門一対のワイヤーアンカーが射出され、ベンケイの外部装甲をホールド。
油圧モーターがワイヤーを巻き取れば、ベンケイと微塵改は至近距離で互いの位置を固定する。
晶はライオットシールドでベンケイの猛攻を凌ぎながら、武装切り替えのトリガーを引いた。
背部のハードポイントから抜き放ったのは、炸薬を内蔵したスレッジハンマーだ。

「ベンケイの弱点と言えば……昔から"ここ"と相場が決まっているわよね……!」

二式炸裂戦槌――爆発力で打撃威力を倍増させたハンマーを、微塵改は横薙ぎに大振りする。
狙うのは、ベンケイの脚部パーツ。そこは人間で言うところの向う脛だ。

またの名を……弁慶の泣き所。
大人でもガチ泣きするレベルの急所めがけて、ハンマーによる強烈な足払いを叩き込む。
0422紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/09/09(日) 00:41:17.44ID:s/akwz9K
【ワイヤーアンカーでベンケイを拘束し、弁慶の泣き所をハンマーで痛打】
【次スレ立てありがとうございますー!】
0423八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/09/11(火) 18:28:57.13ID:ehPIKIyj
>「は、はい……!でででは逃げたモータルを追いかけましょう!
 他の参加者まで狙うとスコアを稼げる分、こちらの消耗が大きくなります。
 勝利条件であるトラフィックゴーストを着実に減らしていきましょう。
 もしハイエナのファイターが襲ってきた場合は応戦するという事で……!」

「うん……じゃあそれで行こうか。落ち着いて、一つ一つの動きを丁寧にこなしていこう。
 そうすればきっと上手くいくよ。運営側としても……」

運営側としても、ハイエナが暴れ回って参加者を減らしまくった挙げ句、ゴーストの勝利なんて寒い展開は避けたいはず。
だからハイエナが僕らを狙ってきても、きっとあっちが率先して潰してくれるよ。
そう言おうとして、しかし優樹は思い留まった。
それが無粋な発言であると気づいたからだ。

「……いや、まずは移動を始めようか」

優樹がそう言うと、クラウンが前進を促すエモートを水鳥と桐山へと見せた。
クラウンは敵の意表を突く事で真価を発揮するマシンナリーだ。
故にチーム戦においては前衛ではなく中衛、後衛の位置に立っている事が好ましい。
それに、チームの主導権は自分にあるべきではないとも、彼は考えていた。

>「とにかく、晶ちゃんが無事で良かった!心配したんだからね!」

前を譲ると、水鳥はすぐに友人、紫水晶へと駆け寄っていった。
すぐに、そして念入りに損傷がないかを確認して、それから安堵の滲む声でそう言った。

>「ごめんなさい周ちゃん。本当はバトル開始前に合流を済ませておきたかったのだけれど……。
 私の想定不足だったわ。ここのうどんは、想像しているより遥かに熱々だったのよ」

対する紫水は――なおも自分のペースを崩さない。崩れない。
実のところ、優樹は彼女のようなタイプが苦手だった。
どうしてもゲームに集中していないように見えてしまうからだ。
また、そのアクの強い言動が自分に向いた時、どう応対していいかも分からない。

元々、優樹はネット対戦でも必要最低限の事しか喋らない。
自分の得意ロールを伝えたり報連相は出来ても、彼は根本的にコミュ障なのだ。

>「僕は桐山直人、機体は万能型。君の機体は……かなりの重装だね、あれだけの攻撃を受けてそれだけのダメージなんて」
>「よろしく桐山先輩。私は紫水晶。むらさきすいしょうと書いてしみずあきらと読むわ。
 親しみを込めて"アメジスト"と呼んでくれても良いのよ。返事をするかはお約束しかねるけれど」

(桐山君、怯まず行ったなぁ……かなり癖のある子なのに。
 AARマッチだったら……僕は正直、ミュートしてるかもしれない)

>「ご明察の通り、私の『微塵改』は白兵戦特化の超重装ビルドよ。壁役は任せて頂戴」

「僕は……僕の機体は、さっきみたいに爆弾を使うタイプの射撃型なんだ。接近戦はあまり趣味じゃないから、助かるよ」

結局、優樹は今ひとつ紫水への話しかけ方が分からなかった。
彼女がもしゲーム部を崩壊させた先輩の名を知っていたら、とも考えた。
故に自機の概要を軽く説明して、自己紹介もしなかった。

「じゃあ、改めてアイツを追っかけよう。桐山君と水鳥ちゃんが先行して、
 あー……紫水さんは、後ろを警戒しつつ、頑張ってついてきて」

前衛を桐山と水鳥に任せ、優樹は中衛の位置を保ちながら前進する。
紫水は――やや後方を泰然たる足取りで歩いていた。
微塵改はタンク型の機体だが、前衛を務めるには足が遅い。遅すぎる。
彼女の足に合わせていては追いつけるものも追いつけない。
まずはマクシミリアンにいち早く敵を視認させて、回り込むなり、銃撃するなりして敵の足止めをしてもらう必要がある。
優樹はそのように考えたのだが――
0424八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:30:10.51ID:ehPIKIyj
>「合流が早い……!」

逃した敵機は、既に別チームとの合流を果たしていた。
更に付け加えるなら――明らかに水鳥達がいる方角に攻撃態勢を取っている。
警戒ではない。エクスフォードがキューブの陰から一瞬顔を覗かせただけで銃撃が飛んできた。
幸いにも被弾はしなかったが――敵は既に、水鳥チームを捕捉している。
0425八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:30:48.03ID:ehPIKIyj
>「あれは……!ベンケイ!?」

「ベンケイ?ベンケイが導入されてるの?ベータテストは志願者だけでやって欲しいなぁ……」

ベンケイは本来なら本日以降に全国、またはネット上でテストプレイが開催されるはずだった。
それによって使用感、被使用感のフィードバックを集め、修正を加え、次にベータテストを実施。
新型のマシンナリーはそのようなプロセスを経て正式リリースされる。

しかしマシンナリーファイターズの開発、N社はたまにこういう事をしてくるのだ。
この手のサプライズは一般的なプレイヤーには好評で、定期的に開催されている。

だが、一度調整不足のオーバーパワーな機体に叩きのめされて以来、
優樹はあまりベータテスト前のアーマリーと対戦するのは好きではなかった。

事前に公開されていた情報では、ベンケイのウリは多彩な格闘武器と高性能センサー。
格闘機があまり好まれないネット掲示板では「センサー引換券」などと呼ばれていた。
しかし――その前評判は、どうやら間違いだったようだ。

もしベンケイがただの「索敵能力に長けた格闘機」ならば、待ち方がおかしいのだ。
その性能を活かすならば物陰を使った、不意打ちを率先して狙う必要がある。
そうしていないという事は――何かがあるのだ。
事前に公表されていなかった、リーク情報さえ出回っていなかった、何かが。

「ここは一旦……」

>「こちらに気づいているみたいです。応戦しましょう!!」

引いて様子を見た方がいい。
優樹がその言葉を口にするよりも早く、水鳥が叫んだ。

「……うん、そうしようか」

いや、駄目だ。逃げた方がいい。
そう心の中で思っても――優樹はそれを口にはしない。
優樹にはゲーム部を台無しにしてしまった負い目がある。
自分にその完全な償いが出来るとは思っていない。
それでもせめてこの試合くらいは楽ませてあげなくては。
そう思うと――彼女の決定に口出しする事は出来なかった。

>「くくく、先程は仲間が世話になったな。
 だが君達には最新鋭機のサビとなる栄誉が与えられた!
 存分に体感せよ!そして、震撼するがいい!ベンケイの性能を見てなっ!!
 だが悲しむことはない。サバイバル戦では雑魚から消えていくのが鉄の掟……」

エクスフォードがキューブの陰から素早く体を出す。
直後、背部コンテナから取り出されたショットガンが火を噴いた。
吐き出された散弾がベンケイの胸部に直撃し――

「小癪な……!そんなものが通用するかァ!!」

しかし、ベンケイはまったく怯まなかった。
散弾は全て装甲に弾かれ、機体の耐久値はこれっぽっちも削れていない。

>「ベンケイは追加装甲の鎧でがっちりガードしているみたいです!
 一撃で倒すのは難しいかも……!!」

>「ただの新型じゃない……!骨格も新モデルだ、パワーも段違いのはず!」

「骨格から新モデル?……まさか、エンハンスド・フレーム?
 とうとう実装する気になったのか。これはまたフォーラムが荒れるぞ」
0426八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:31:46.89ID:ehPIKIyj
強化骨格、エンハンスド・フレーム。
今から一年ほど前に、実装されるかもしれないと噂されていた新システムだ。
マシンナリーは本来、骨格そのものの改造は出来なかった。
ルールの穴を突くような改造や、極端に当たり判定の小さい機体の製造を封じる為だ。

しかしN社はある時、こう考えた。
ユーザーによる骨格の改造は許可出来ない。
だが開発側で幾つか骨格のバリエーションを用意するのは面白いんじゃないか、と。

そしてそのようなシステムを開発していますと告知されたのだが――それ以来ずっと、新しい情報はなかった。
殆どのユーザーが忘れていたシステムが、やっとベータテストにまで漕ぎ着けられたのだ。

優樹は、一年前に開発がぼんやりと語っていた展望を思い出す。
強化骨格はより尖った機体の製造を可能にする――そう言われていた。
具体的には、特定の武器種に対する適性、不適性の付与。また――

「確か、強化骨格はステータスに割合でバフ、デバフが乗ったりするんだっけ。
 もしかして……装甲値のバフが、素の装甲と追加装甲で乗算になってるのか?」

もしその通りなら、確かに可能になるだろう。
射撃能力がない代わりに、十分な格闘性能を持ち、
恐ろしく堅牢な装甲を纏いながら、自分から白兵戦を仕掛けに行ける移動能力を持った機体の製造が。

「く……クソすぎる……一度のアプデで二つも三つも新システムを実装するなよ。バランス取れる訳ないだろ」

優樹は思わず素で愚痴を吐いた。

「ああ、クソ……どうしたもんかな……」

>「先に護衛から落とすのは――難しいようだね」

「だろうね。トーチカ・システム……僕らが小学生の頃の戦術なのに」

トーチカ・システム、あるいはバンカー・システム。
チーム全体が一つの機能を成立させる為に機体を構築し、動く戦術。
すなわち守りを固め、腰を据えて敵を撃ち、遅い来る敵を払い除ける。
各々が自分の役割を完璧にこなす事で、チームを一つの軍事拠点とするのだ。

かつて、それこそ十年ほど前は、トーチカ・システムは王道――所謂メタと呼ばれる戦術だった。
一人一人がするべき仕事が明確なこの戦術は、マシンナリーファイターズの黎明期において多くの人に好まれた。
だが――プレイヤー達のゲーム理解が進むにつれて、トーチカ・システムは廃れていった。

トーチカは一人でも友軍が欠けると十全の機能を発揮出来なくなる。
それは上手いプレイヤー達にとってはつまらない事だった。
彼らはチームメンバーが欠けても戦い続けられる戦術を模索して――やがてメタは、塗り替えていった。

(……一旦、落ち着こう。久々のクソマシンと骨董品の戦術に面食らったけど、所詮はトーチカ・システムだ。
 弱点は何も変わってない。遠くから囲まれて、一人を集中狙いされると、仲間を守り切れない。
 それはあの新骨格のマシンでも同じだ)

優樹は小学生になる頃には既にARデバイスと、それで遊ぶゲームを与えられていた。
幼い頃から培ってきた経験、戦局眼は、この場において最も効率的であろう戦術を見つけ出す。

>「やるなら両方狙った方がいい。一斉攻撃だ。どちらかを狙えばどちらかをカバーしてくる。
 ……まったく、ここまで流行を叩き潰すような機体を出してくるとはね!」

だが――桐山の見出した戦術は、優樹のそれとは一致しなかった。
桐山は言うや否や、マクシミリアンに大剣を抜かせて突撃してしまった。
0427八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:32:23.46ID:ehPIKIyj
「桐山君!?ちょっと待っ……」

優樹が慌てて制止するも、間に合わない。
間に合ったとしても聞き入れられていたかは分からないが。

>「あら、私は好きよそういうの。勝てる機体、勝てる戦術で順当な勝ちを収めたって楽しくないもの。
 勝利への道筋に舗装は必要ない。誰かに用意されたお仕着せの美酒は、薄味だわ」

「っ……あり得ない。そんな、雑な戦法……もっと簡単に勝てるはずなのに」

優樹は悪態を零した。通信用のマイクはオフにしてある。
AARマッチで、味方のミスに我慢の限界が来た時、いつもしている事だ。
彼のぼやきはボイスチャットには乗らない。
0428八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:33:19.43ID:ehPIKIyj
マクシミリアンは四人を相手に渡り合っている。
『クイックステップ』だ。足捌きを多用して、常に敵の射線を切りながら擬似的な一対一を作り出す基礎技術。
だが――優樹が覚えている限り、桐山の実力はそう高くない。
少なくとも、強かった頃のゲーム部の中では。
爆発力はあるが、自前の導火線を持っていない。そんな印象を受けた。
そしてベンケイは防御にも長けた機体。
そう遠くない内に均衡は崩れる。桐山にとって、良くない方向に。

>「撃ち込むなら今だ!」

「駄目だ。仕留めきれなかったら次がなくなる。一度距離を……」

>「桐山先輩、『スイッチ』するわ。周ちゃん、爆弾先輩、フォローをお願い」

優樹はマイクを有効にして二人を再び制止する。
だがその言葉が聞き入れられる事はなかった。

十年前の骨董品の戦術。セオリーから大きく逸脱した立ち回り。
優樹には状況が読めなかった。
どうすればいいのか分からない。
分かるのは精々、このままでは自分達が不利だという事。

現状は奇しくも、トーチカ・システム同士のぶつかり合い。
人数は同じ。編成は、重装格闘機が一機。万能機が一機。

エクスフォードは格闘偏重機だが、敵の万能機はベンケイのカバーを強く意識している。
実質、射撃による不意打ちの出来る格闘機だ。
つまり彼我の編成は、三機までは殆ど同一と言える。

だが、最後が違う。
敵の『コープスブライド=Gunner.ed』はビーム兵器やミサイルが主兵装。
対して優樹の『クラウン・ノイジーモデル』は、爆弾を生成し、投擲する事が攻撃手段。

それが何を意味するか――手数が違うのだ。
クラウンはほぼ全ての攻撃に準備が伴う。
つまり――乱打戦への相性が極端に悪い。

ただ勢いに任せて突撃しても、自分達は勝てない。
だが遠間から爆弾を投げても、フリーで動ける一機がそれを迎撃するだろう。
優樹の考えが纏まっていく。彼にとっては望ましくない形にだが。

>「零式牽引索条『呑竜』――起動!」
>「ベンケイの弱点と言えば……昔から"ここ"と相場が決まっているわよね……!」

「今のは、上手い……だけど、それだけじゃ……」

微塵改のスレッジハンマーが、ベンケイの脚部装甲を爆破する。
遠目からは正確な損傷具合は分からない。
だがどれほど損壊が激しかろうと――その傷がベンケイの致命傷になる事はない。

マシンナリーに痛覚はない。脛を打たれようが戦いは問題なく続く。
脚部装甲が破壊されているという優位点も、ビギナーの紫水に活かし切れるとは思えない。
微塵改の装甲の厚さのおかげでそれなりに長引くだろう。
だが――事態を好転させる材料は、少なくとも優樹には見つけられない。
0429八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:33:42.49ID:ehPIKIyj
(……逃げるか?)

一番望みのある選択肢は、それだった。
クラウン・ノイジーモデルには爆風を利用した逃げ足がある。
逃げに徹しながら罠を置き続ければ、敵のミスを延々と待って人数を削る事が出来る。
この攻防で、たった一機しか残らなかったとしても――その後で、勝ちを掴める可能性は十分にある。
だが――
0430八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:34:25.17ID:ehPIKIyj
(駄目だ!それじゃ前と何も変わらない!)

優樹は小さく首を振る。その選択肢は、彼には取れない。
それでは一年前ゲーム部をぶち壊して、そのまま消えていった、あの時の自分と変わらない。
変わらなくてはいけない。あの頃の自分が、自分の中からいなくなって欲しい。
その為に、このチームに入れてくれと願い出たのだ。
優樹の思考が高速で回転する。

(……?なんだ、今の、考え……何か、おかしかったぞ……)

しかし、不意に何かが彼の意識に引っかかった。
自分の考えに、自分で違和感を覚えた。
少し考えると――その正体が何かは、すぐに気づけた。

(僕は……水鳥ちゃんを、せめて勝たせてあげようって……)

ゲーム部を台無しにしてしまった、せめてもの償い。
優樹は、自分が水鳥に声をかけた理由をそう思っていた。

だが――改めて思い返してみると。
水鳥が他校の選手に陰口を叩かれ、桐山に声をかけられていた時。

(僕は、何を考えていた……?)

あの時、優樹はこう思ったのだ。
このまま見て見ぬふりして、彼らと戦っても楽しくない。
だから――チームに入れてもらおう、と。

つまり、八木優樹は――最初から、自分の事しか考えていなかった。
冷静さを保てない咄嗟の思考回路の回転が、自分自身の無意識の嘘を暴いたのだ。

(……そうだ。僕は……僕は)

八木優樹は、気づいていた。一年前から。
自分は――嫌な奴だと。

いくら負ける原因が相手にあったとは言え、何度も礼を欠いた言動を繰り返した。
実力に大きな隔たりがあると知っていて、先輩の面子を潰す為に勝負を挑んだ。
自分が原因でゲーム部を崩壊させておいて、その気まずさに負けて自分自身も部を去った。

(僕は……変わりたかったんだ……)

後輩が自分のせいで陰口を叩かれていても、
彼女を助ける気持ちよりも、自分の楽しみを追求する気持ちの方が上回っていた。
どこに出しても恥ずかしい、嫌な奴だ。

優樹は操縦桿から左手を離して、パーカーの胸元を握り締めた。
目を閉じて、深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
そして目を開く。
操縦桿を握り直し――機体を操作。
0431八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:35:06.05ID:ehPIKIyj
「……ゲームは、勝たなきゃ面白くない」

クラウンの両手に爆弾が実る。
右手に二つ。左手に二つ。
細く長い指がそれらを指先から、転がすように手のひらの中へと運ぶ。

「僕は今でもそう思ってる。だから……」

レーダーを見る。クラウンのレーダーは平均的な性能しか持っていない。
距離がありすぎて敵機は映っていない。
だが――チームアップした友軍機の位置は、青い三角形によって表示されている。

それだけで十分だった。
クラウンが大きく右腕を振りかぶる。
キューブ越し。敵機は一切視認出来ていない。
0432八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/09/11(火) 18:41:03.46ID:ehPIKIyj
(……良い奴に、なりたい。優しい人間に)

それでも構わず、優樹は爆弾を投擲した。
まずは二つ。機体を回転させて、その勢いのまま、残る二つも。

「悪いけどこのゲーム、どうしても勝ってもらうよ」

爆弾は静かに回転しながら、空中に放物線を描く。
フリーの立ち位置にいるモータルの射撃機は――それを撃ち落とさなかった。
その軌道が、あまりにも低かったからだ。

ゴースト側の機体にはとても届かない。
精々、エクスフォード、マクシミリアンの背後、その辺りにしか届かない。
そんな軌道だった。
それこそが優樹の狙いでもあった。

「桐山、水鳥、次の一撃は絶対に当たる」

極度の集中が無意識に、優樹の頭の中から敬称という概念を消し去る。
そして――投擲された爆弾が地面に到達し、爆ぜた。

機体が吹き飛ぶほどの衝撃波は生じなかった。
装甲を溶かすほどの熱と炎も。
バルーンボムの炸薬は、試合中でも各種ステータスを再設定する事が出来る。
威力を極限まで抑え、代わりに優樹は別の数値を増強させていた。

一つは、燃焼時間。
もう一つは――発光量を。
バルーンボムはエクスフォード、マクシミリアンの後方左右で、照明弾のように燃えていた。

光を背負う形になる友軍二機は、その影響は殆ど受けない。
だがゴースト達は――その眩い光を直視する事になる。

強烈な光による目の眩み。二つの光源によって誘発される蒸発現象。
間違いなく隙が生じる。
そしてそれによって友軍機がやられるか、不利になれば、ベンケイにも隙は伝染するはず。

(……これで良かったのか、僕には分からないけど)

本当は、直撃弾を狙う事も出来た。
閃光弾をあえて撃ち落とさせれば、二発目以降を撃墜されずに爆撃出来ただろう。

(でも……それじゃ面白くないよね。もちろん、手を抜いた訳じゃない。
 ノールックで、味方の位置から敵の位置を予想して投げるのは、まぁまぁ難しいし。
 ……後でちゃんと説明した方がいいのかな。これも、分からない)

八木優樹は自分自身の望みを理解する事は出来たが、それでコミュ障が治る訳ではない。
彼が取った戦法も、結局、紫水にしてみればただのお仕着せと変わらないかもしれない。
だが――それについては、今考えても仕方がない。
思い悩むのをやめて、優樹はキューブの陰からクラウンの顔を覗かせた。

狙撃されるリスクは問題ではない。
どのみち、ここで戦況をひっくり返せなければ鈍亀微塵改を抱えるチームに先はない。
ならばいっそ、こうして彼らの戦いをしっかりと見ようと思ったのだ。

いつの間にか、自分だけが生き残り勝利を目指すという選択肢が頭の中から消えていた事に、優樹は気づかなかった。


【好みのテーマだからつい僕の中の設定厨が色々暴走してしまったけど、
 ただの雰囲気作りが目的だったので無かった事にされても全然OKです】
0434水鳥 ◆SRqjql8RXY
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2018/09/15(土) 20:12:31.23ID:7U+Tn/hy
……あれ!?まだ書き込めたのか……
すみません、誤って次スレに投下してしまったので
こちらにも投下しておきますね
0435水鳥 ◆SRqjql8RXY
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2018/09/15(土) 20:14:27.51ID:7U+Tn/hy
ベンケイはエクスフォードのショットガンをものともしない。
更に随伴機とベンケイはフォーメーションを組んで行動しており、
随伴しているコープスブライドから撃墜を狙っていくのも難しい。

>「先に護衛から落とすのは――難しいようだね」

>「だろうね。トーチカ・システム……僕らが小学生の頃の戦術なのに」

「トーチカ・システム……」

先輩の所感から聞いたことのある単語を聞き取り、なんとか鸚鵡返しする。
記憶が確かなら機体タイプから厳選し守りを固める戦術だったはずだ。
その攻略法までは周子に分からないので、先輩方の判断に任せる事にした。

>「やるなら両方狙った方がいい。一斉攻撃だ。どちらかを狙えばどちらかをカバーしてくる。
> ……まったく、ここまで流行を叩き潰すような機体を出してくるとはね!」

高機動中火力型有利の現環境を真っ向から潰す次世代機を前に、桐山は皮肉を込めてそう言い放った。
桐山が立てた作戦は、ベンケイも随伴機のコープスブライドもまとめて狙ってしまうというものだ。
リーダーながら戦略眼に欠ける周子は言われるがまま肯定し、それを承認した。

>「あら、私は好きよそういうの。勝てる機体、勝てる戦術で順当な勝ちを収めたって楽しくないもの。
> 勝利への道筋に舗装は必要ない。誰かに用意されたお仕着せの美酒は、薄味だわ」

晶は流行りや環境というものを好まず、自分なりの勝ち筋を模索する性分だ。
加えて逆転勝利を常に狙う節があるのであえて自ら窮地に追い込む事すらある。
彼女の戦闘は見ていてハラハラする事も多いが、カタルシスを感じるのも確かだ。
敵の猛攻を凌ぎ、逆転の一撃を叩き込む!微塵改は彼女の理想を体現していると言えよう。

前を見ればマクシミリアンが大剣を持って敵陣に切り込み、四対一で渡り合っている。
足捌きで常に敵の射線を切り疑似的に一対一を作る『クイックステップ』で巧みに敵を捌いていく。
『クイックステップ』――すなわち銃口から敵の射撃を予測し、回避するのは機動力のある機体ならそう難しくはない。
だが、四対一ともなれば射線を切り続けるのも難しくなってくる。初心者にはまず出来ない芸当だ。

>「撃ち込むなら今だ!」

一人で前衛を受け持っていたマクシミリアンがベンケイの薙刀に押され後ずさる。
そして打ち合いが三度目を迎えた時、ベンケイの随伴機は完全に桐山だけに意識が向いていた。

>「駄目だ。仕留めきれなかったら次がなくなる。一度距離を……」

「え!?……どっち!?」

ARデバイスを通して八木の声が響く。八木の判断は桐山とは違っていたようだ。
リーダーとしてどちらを選択して良いものやら、周子の引き出しには判断材料がない。
何もせず悩んでいる間にARデバイスの通信が晶に切り替わった。

>「桐山先輩、『スイッチ』するわ。周ちゃん、爆弾先輩、フォローをお願い」

晶は桐山の立てた作戦通りに行動することにしたらしい。
また、ベンケイはマクシミリアンとの攻防に熱心なあまり、前に出過ぎている。
晶の微塵改は足の遅い機体だが、スイッチなら自然な形で前衛を交代できる。
0436水鳥 ◆SRqjql8RXY
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2018/09/15(土) 20:15:37.89ID:7U+Tn/hy
>「零式牽引索条『呑竜』――起動!」

微塵改がベンケイにワイヤーアンカーを撃ち込んで接近戦に持ち込む。
ライオットシールドで薙刀の猛攻を防ぎつつ、背中からスレッジハンマーを抜き放った。

>「ベンケイの弱点と言えば……昔から"ここ"と相場が決まっているわよね……!」

拘束された不意を突いて、向う脛目掛けてスレッジハンマーを振り下ろす!
打撃エフェクトが豪快に火花を上げ、追加装甲をぶち抜いて脚の装甲が爆裂した。
足払いの一撃で脚部が破壊された事で、ベンケイは膝をつき、耐久バーが減っていく。

「やった!ダメージが通ったよ晶ちゃん!」

>「今のは、上手い……だけど、それだけじゃ……」

八木の呟き通り、ベンケイを操縦する彼の表情は何ら崩れていない。
脛を破壊されたといっても、骨格は無事。駆動系にも支障はなかった。
モータルは平然とした様子で機体の損傷を確認し終えて、戦闘に意識を向け直す。

「後が続かないようだな……? これで終わりなら勝機はないと思う事だ」

モータルが気取った様子でくっくっくと笑う。
バラバラのチームつつじヶ丘の様子を見て舐めているのだ。
ファイターとしての勘が告げている。このままでは押し切られて負ける。

(このままじゃ八木先輩の言った通りだ……!)

もっと八木の言葉に耳を傾けておけば良かったと、周子は途端に後悔した。
長年このゲームに親しみ、経験を積んで来た八木だからこのシナリオは目に見えていただろう。
安易に応戦せず、逃げて様子を見守るという手段だってあったはず。
リーダーとして、ファイターとして完全に判断ミスをしてしまった。
操縦桿を握る手が汗で滲む。いつもの明るい表情に翳りが見え始める。
ゲームもまだ序盤、こんな所で負けたくない。負ける訳にはいかない。

(このまま押し込まれる前に……なんとかしないと……!)

リーダーとしての責任を感じながら、周子は頭を巡らせた。
問題はこの一斉攻撃で相手のトーチカ・システムを如何に崩せるかだ。

(駄目だ……エクスフォードだと援護射撃で耐久を削れても一気に盤面を返せない)

通常の射撃機と違いエクスフォードは元来格闘機だ。
正味なところ、射撃兵装の威力は然程高いものではなかった。
たとえ一発当てたところで敵機を撃墜できるほどの火力がない。
『ハーミットアーマリー』内の射撃武器を連続で命中させれば話は別だが、
万能機相手には躱されたり防がれてしまう可能性もある。

(不用意に射撃しても焼け石に水……どうすれば……)

周子が悩んでいたところに、不意にARデバイス越しに声が響いた。

>「……ゲームは、勝たなきゃ面白くない」

それは八木の声だった。

>「僕は今でもそう思ってる。だから……」

やや後方に位置していたクラウンの両手が再び膨らみ、爆弾を四つ形成する。
だがクラウンの前はキューブで塞がっており、本来投げるのに不利な位置だ。
0437水鳥 ◆SRqjql8RXY
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2018/09/15(土) 20:16:14.70ID:7U+Tn/hy
>「悪いけどこのゲーム、どうしても勝ってもらうよ」

構わず投擲し、爆弾は低い放物線を描いて飛んでいく。
その着弾地点はモータル達より遥か手前。エクスフォードとマクシミリアンの後方左右だ。

>「桐山、水鳥、次の一撃は絶対に当たる」

周子とエクスフォードの背後でクラウンの投げた爆弾が爆ぜた。
ただの爆弾ではない。背後からでも分かる目映い輝きと、あまりに長い発光時間。
クラウンが投擲したのは最初に見せてくれた爆弾ではなく、閃光弾なのだと気づいた。
前方にいるモータル達はあまりのまぶしさに目が眩んでいる様子だった。

「八木先輩――!」

翳りを見せていた周子の顔がぱっと明るくなった。
八木はゲームが上手い。元ゲーム部の桐山がそう言っていた。
このゲームについて運営並みに熟知していて、色々な事を知っているのだろう。
周子達の素人くさい立ち回りに言いたい事は山となるほどあるはずだ。
それでいて尚、最高の援護を入れてくれた。

「――ありがとうございます!」

エクスフォードがショットガンを構え直し、万能機を狙って射撃。
撃ち尽くすまで引き金を引き続け、放たれた散弾が全弾命中する。

「このまま火力を集中させる!」

操縦桿を捻り武装選択画面から『マイクロミサイル』を選択した。
『ハーミットアーマリー』のちょうど上側が開き弾頭が顔を覗かせる。
レーダー上の標的をロックオンし、トリガーを引いて三発発射。
煙が微かに尾を引きながら万能機へ飛来、命中。
耐久バーが0になったことで盛大な爆発音を上げながら機体が爆散する。

「やった! これで一機撃墜!」

崩れ落ちる万能機が爆散する発光を受けて、エクスフォードの装甲が鈍く輝く。
桐山の方はどうかと、周子はマクシミリアンへ視線を向ける。
トーチカ・システムを崩してしまいさえすれば、後の懸念はベンケイのみだ。

「ちぃっ、まぶしい……!」

ベンケイを操縦するモータルは目が眩みつつも尚、操縦桿を動かして武器を変更した。
大薙刀を背中にマウントし、新たに武器を取り出す。それは『太刀』と『大鋸』だ。
隙を見せはしたが、ベンケイの追加装甲である鎧も健在。多少のダメージなら支障はない。

目が眩む前の敵の位置もなんとなく把握している。
眼前にいた足の遅い機体――微塵改なら、確実に攻撃できる。
攻撃範囲の広い二刀流なら多少動き回ろうが攻撃を当てられる可能性は高い。

「どこだ! 敵はどこにいる……!?」

ベンケイは太刀と大鋸を滅茶苦茶に振り回し、微塵改を探す。
無闇に暴れ回っているだけだが格闘機のベンケイが暴れれば嵐に等しい。


【念入りに撃って万能機を一機撃墜。ベンケイが二刀流で滅茶苦茶に暴れまわる】
0438水鳥 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/09/15(土) 20:19:48.97ID:7U+Tn/hy
【今は512KBまで書き込めたんですね……
 余計に待たせてしまって申し訳ありません】
0439桐山 直人 ◆NU643EDdwQ
垢版 |
2018/09/18(火) 17:02:59.98ID:bUx8czeD
>「桐山先輩、『スイッチ』するわ。周ちゃん、爆弾先輩、フォローをお願い」

「頼んだよ紫水君!」

クイックステップと呼ばれるテクニックは、ある有名プレイヤーが編み出した基礎テクニックの一つだ。
ある程度の機動力がある機体ならばロックオン警告に応じてスラスターを使わず、機体の動きのみで
回避するのは難しくはないとされていたが、歩行と走行アクションを使い分けて変則的な速度で動くことで
予測射撃を意図的にずらすのがこのテクニックの大きなメリットだった。

これによって桐山はベンケイと打ち合いながらも被弾を抑え、
運営チームはベンケイの巨体を盾にされたことで射線が通らず、ベンケイが前に出てマクシミリアンと打ち合うしかない。

>「ベンケイの弱点と言えば……昔から"ここ"と相場が決まっているわよね……!」

そうして露骨な格闘戦を誘ったところで、重装甲かつ格闘戦が可能な微塵改が前に出る。
ワイヤーアンカーで離脱を阻止し、スレッジハンマーが脚部装甲を粉砕した。

「取ったっ!これならベンケイを仕留め――」

格闘戦において部位破壊はほとんど敗北と同義だ。
今までに発売された重装甲タイプのモデルは全てその弱点を突かれ、公式大会における使用率は全体の三割を切る。
もちろんそれを補った上で暴れ回るプロもいるが、公式への要望に重装甲タイプの強化は根強く存在している。

>「今のは、上手い……だけど、それだけじゃ……」

だがベンケイは違う。装甲破壊分の貫通ダメージが骨格まで通らず、その巨体は微塵改の前に立ちふさがったままだ。
重装甲ファンの強化要望を詰め込んだ理想の機体――それがベンケイなのだ。

マクシミリアンの小銃も精度はあまりいい方ではなく、何度か破壊部位を狙って追撃として撃ち込むが全て重装甲の前に弾かれる。
おそらく残弾がなくなるまで撃ち続けても倒しきれないほどの防御力だろう。
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