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371コメント343KB
新漫画バトルロワイアル第12巻
0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/01(金) 09:49:06.42ID:nlSqXGC5
ここは、漫画作品のキャラクターたちによるバトルロワイアルパロディ(パロロワ)の
リレーSS企画スレです。
この企画は性質上、版権キャラの残酷描写や死亡描写が登場する可能性があります。
苦手な人は注意してください。


前スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1283946360/


したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12531/


まとめwiki
http://www26.atwiki.jp/shinmanga/
0002創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/01(金) 09:49:34.69ID:nlSqXGC5
★参加者名簿★


【スパイラル 〜推理の絆〜】 6名
○鳴海歩/○結崎ひよの/○竹内理緒/○浅月香介/○高町亮子/○カノン・ヒルベルト
【トライガン・マキシマム】 6名
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド/○ミリオンズ・ナイブズ/
○レガート・ブルーサマーズ/○ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク/○リヴィオ・ザ・ダブルファング
【ハヤテのごとく!】 6名
○綾崎ハヤテ/○三千院ナギ/○愛沢咲夜/○鷺ノ宮伊澄/○西沢歩/○桂雪路
【鋼の錬金術師】 6名
○エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○ゾルフ・J・キンブリー/○グリード(リン・ヤオ)/○ウィンリィ・ロックベル
【うしおととら】 5名
○蒼月潮/○とら(長飛丸)/○ひょう/○秋葉流/○紅煉
【未来日記】 5名
○天野雪輝/○我妻由乃/○雨流みねね/○秋瀬或/○平坂黄泉
【銀魂】 5名
○坂田銀時/○志村新八/○柳生九兵衛/○沖田総悟/○志村妙
【封神演義】 5名
○太公望/○聞仲/○妲己/○胡喜媚/○趙公明
【ひだまりスケッチ】 4名
○ゆの/○宮子/○沙英/○ヒロ
【魔王 JUVENILE REMIX】 4名
○安藤(兄)/○安藤潤也/○蝉/○スズメバチ
【ベルセルク】 4名
○ガッツ/○グリフィス/○パック/○ゾッド
【ONE PIECE】 4名
○モンキー・D・ルフィ/○Mr.2 ボン・クレー/○サンジ/○ニコ・ロビン
【金剛番長】 4名
○金剛晄(金剛番長)/○秋山優(卑怯番長)/○白雪宮拳(剛力番長)/○マシン番長
【うえきの法則】 3名
○植木耕助/○森あい/○鈴子・ジェラード
【ブラック・ジャック】 2名
○ブラック・ジャック/○ドクター・キリコ
【ゴルゴ13】 1名
○ゴルゴ13


全70名
0003創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/01(金) 09:50:08.08ID:nlSqXGC5
★ロワのルール★


 OPなどで特に指定がされない限りは、ロワの基本ルールは下記になります。
 OPや本編SSで別ルールが描写された場合はそちらが優先されます。



【基本ルール】
最後の一人になるまで殺し合いをする。最後まで生き残った一人が勝者となり、元の世界に帰ることができる。
参加者間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、参加者は会場内にランダムで配置される。




【首輪について】


参加者には首輪が嵌められる。首輪は以下の条件で爆発し、首輪が爆発したプレイヤーは例外なく死亡する。


首輪をむりやり外そうとした場合
ロワ会場の外に出た場合
侵入禁止エリアに入った場合
24時間死者が出ない状態が続いた場合は、全員の首輪が爆発




【放送について】


6時間おき(0:00、6:00、12:00、18:00)に放送が行われる。
放送の内容は、死亡者の報告と侵入禁止エリアの発表など。



【所持品について】


参加者が所持していた武器や装備などはすべて没収される(義手など体と一体化しているものは没収されない)
かわりに、支給品の入ったデイパックが支給される。
デイパックは何故か、どんなに大きな物でも入るし、どんなに重い物を入れても大丈夫だったりする。
デイパックに入っている支給品の内容は「会場の地図」「コンパス」「参加者名簿」「筆記用具」
「水と食料」「ランタン」「時計」「ランダム支給品1〜2個」


※「参加者名簿」は、途中で文字が浮き出る方式
※「水と食料」は最低1食分は支給されている。具体的な量は書き手の裁量に任せます
0004創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/01(金) 09:50:28.75ID:nlSqXGC5
★書き手のルール★


【予約について】


予約はしたらばにある予約専用スレにて受け付けます。
トリップをつけて、予約したいキャラクター名を書き込んでください。
予約期限は5日(120時間)です。期限内に申請があった場合のみ、2日間延長することができます。
これ以上の延長は理由に関わらず一切認めません。


予約に関するルールは、書き手からの要望があった場合、議論のうえで変更することを可能とします。




【キャラクターの死亡について】


SS内でキャラが死亡した場合、【(キャラ名)@(作品名) 死亡】と表記してください。
また、どんな理由があろうとも、死亡したキャラの復活は禁止します。



【キャラクターの能力制限について】


ロワ内では、バランスブレイカーとなるキャラの能力は制限されます。


【支給品制限について】


ロワ内では、バランスブレイカーとなる支給品は制限されます。
0005創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/01(金) 09:50:51.59ID:nlSqXGC5
【状態表のテンプレ】


SSの最後につける状態表は下記の形式とします。


【(エリア)/(場所や施設の名前)/(日数と時間帯)】
 【(キャラ名)@(作品名)】
 [状態]:
 [服装]:(身に着けている防具や服類、特に書く必要がない場合はなくても可)
 [装備]:(手に持っている武器など)
 [道具]:(デイパックの中身)
 [思考]
  1:
  2:
  3:
 [備考]
  ※(状態や思考以外の事項)


【時間帯の表記について】


状態表に書く時間帯は、下記の表から当てはめてください。


 深夜:0〜2時 / 黎明:2〜4時 / 早朝:4〜6時 / 朝:6〜8時 / 午前:8〜10時 / 昼:10〜12時
 日中:12〜14時 / 午後:14〜16時 / 夕方:16〜18時 / 夜:18〜20時 / 夜中:20〜22時 / 真夜中:22〜24時
0006創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/01(金) 09:52:04.08ID:nlSqXGC5
前スレあと70kb分くらいあるけど、◆Jv氏の投下で埋まる可能性が高いので新スレ立てておきました
0007創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/01(金) 20:22:25.48ID:CL8q/5+I
>>1乙です
0009創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/04(月) 12:20:12.85ID:PQptMYuO
即死とかないのかも
前、4くらいしかレスなかったスレがいつまでも生きてたし
0011創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/08(金) 00:40:39.02ID:Ky8DQxqA
即死は無かったのか…
0013創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/20(水) 18:18:28.73ID:kYSi9OxO
再予約キター
0014創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/25(月) 16:26:03.21ID:Xi0gC73z
向こうに投下来たな
0015この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:04:17.59ID:c6mEfp+H
思い当って然るべきだった。
情報だけで構築された、情報の為のネットワーク。
……それは、物質を描いて作った錬成陣などよりも遥かに純度も密度も高い錬成陣となりえるのではないか。
参加者達の使用する掲示板やら何やらは全てカモフラージュだ。
本当に必要なのは、高密度の情報体そのもの。
インターネットこそ、この島の文字通りのライフライン。

アルフォンスは血を媒介にした錬成陣で魂を鉄の鎧に定着させることで、現世に居続けることが出来た。
携帯電話、そしてパソコン。自らの知らない鉄の技術。
それを応用して、この島のネットワークに魂を定着させることはできるだろうか?

……代価として、“扉”を開ける。
肉体など、いくら持っていかれてもかまわない。
元々首輪を外す手段として試みるつもりでいたのだ。
これを機に試してみるのは――悪くない、と思う。

それに、仮に、の話ではあるが。
もし誰かが錬金術を行使してくれれば、またこの体を持って戻ってくることが出来るかもしれない。

のろのろと両手を動かし、パン、と打ち鳴らす。
鋼の手と肉の手、二つが一つになり、ゆっくりと離れて行った。

そのまま両手は、携帯電話に。


――押し当てる。


光に融けていくのが、最後の感覚だった。


【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 消息不明】


**********


現場検証を始めてすぐ、鳴海歩はそれに気付く。

「……これは」

東郷の死体のすぐ傍に転がっていた、もう一つの死体。
年端もいかない少年のそれは、見覚えのあるものを握っていた。

「コピー日記……。なんで、これが?」

我妻由乃との邂逅で失ったはずのコピー日記。
それを、この少年が持っているのは、どうしてか。

「……やられた、か?」

無論、あの時学校に置いてきたのをたまたまこの少年が回収したのだろうと考えることもできる。
勿論そんな偶然を信じるつもりはない。
何故なら、コピー日記は一見単なる携帯電話にしか見えない。
当然、この道具の真の価値を知っている者だからこそ、あのどさくさに紛れて持って行ったと考えるべきか。
0016この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:04:26.10ID:Xi0gC73z
思い当って然るべきだった。
情報だけで構築された、情報の為のネットワーク。
……それは、物質を描いて作った錬成陣などよりも遥かに純度も密度も高い錬成陣となりえるのではないか。
参加者達の使用する掲示板やら何やらは全てカモフラージュだ。
本当に必要なのは、高密度の情報体そのもの。
インターネットこそ、この島の文字通りのライフライン。

アルフォンスは血を媒介にした錬成陣で魂を鉄の鎧に定着させることで、現世に居続けることが出来た。
携帯電話、そしてパソコン。自らの知らない鉄の技術。
それを応用して、この島のネットワークに魂を定着させることはできるだろうか?

……代価として、“扉”を開ける。
肉体など、いくら持っていかれてもかまわない。
元々首輪を外す手段として試みるつもりでいたのだ。
これを機に試してみるのは――悪くない、と思う。

それに、仮に、の話ではあるが。
もし誰かが錬金術を行使してくれれば、またこの体を持って戻ってくることが出来るかもしれない。

のろのろと両手を動かし、パン、と打ち鳴らす。
鋼の手と肉の手、二つが一つになり、ゆっくりと離れて行った。

そのまま両手は、携帯電話に。


――押し当てる。


光に融けていくのが、最後の感覚だった。


【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 消息不明】


**********


現場検証を始めてすぐ、鳴海歩はそれに気付く。

「……これは」

東郷の死体のすぐ傍に転がっていた、もう一つの死体。
年端もいかない少年のそれは、見覚えのあるものを握っていた。

「コピー日記……。なんで、これが?」

我妻由乃との邂逅で失ったはずのコピー日記。
それを、この少年が持っているのは、どうしてか。

「……やられた、か?」

無論、あの時学校に置いてきたのをたまたまこの少年が回収したのだろうと考えることもできる。
勿論そんな偶然を信じるつもりはない。
何故なら、コピー日記は一見単なる携帯電話にしか見えない。
当然、この道具の真の価値を知っている者だからこそ、あのどさくさに紛れて持って行ったと考えるべきか。
0018この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:09:55.62ID:c6mEfp+H
そうなると、だ。

「こいつが秋瀬或……か」

あの場にいたはずの関係者で、雪輝でも由乃でもないなら、それしか考えられないだろう。
放送の情報があてにならないというのは、掲示板にも書かれている。
あるいは何らかの手段で自分達を誤魔化して、死んだことにしたのかもしれない。
いずれにせよ、この少年はずっとこそこそ裏で動いていたのだ、きっと。

電話越しのやり取りを思い出す。
……警戒すべき相手だし、実際に言葉という矛を交えたこともある。
だが――嫌いにはなれなかった。

「…………」

黙祷を捧げる。
今できるのは、後はこの少年の遺志を継ぐこと。それくらいだ。

そして、東郷。
この男もまた、最後まで実直に在り続けたのだろう。
……まさか死ぬなどとは思えなかった。
理性ではなく感情の面で、想像が出来なかったのだ。

「……あんたが死ぬなんて、一体何があったんだ?」

目を閉じ、やはり同じようにする。
目的のために手段を選ばない男だった。
善でもなく、悪でもなく、ただ自分であろうとする存在。
……ある意味、自分が見てきた中で一番完成された人間だったのかもしれない。
だからこそその力を頼り、危険性を封じる為に、安藤と同行させたのだが。

……そう、安藤だ。安藤が、ここにはいない。
そのことにうすら寒いものを感じる。

彼の安否はどうなったか。それとも、彼自身がこれを引き起こしたのか。
物言わぬ躯と語らうことで、その片鱗でも拾えればいいのだが。

東郷の死体を見やる。
あんまりにも綺麗に、脳天が撃ち抜かれている。
だが、状況があまりに不自然だ。抵抗の様子が全く見られない。

この狭い部屋の中で、この男が何もできずこうまで圧倒された?
……有り得ない。これほど用心深い偉丈夫が、室内戦で後れを取るはずがない。
何らかの理由で全く抵抗が出来なかったと考える方が妥当だ。

……そう。
例えば、相手の意識を完全に奪う異能の様な。

しかし、しかしだ。
東郷の死因は、間違いなくこの銃痕だ。
そして自分の知る限り、あの能力はこの口径の銃と同時に扱う事は不可能なはずだ。
と、なると――最低でも一人、共犯者がいることになる。
思い当るのは、やはり先刻の狙撃手だ。
0020この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:14:00.22ID:c6mEfp+H
「…………」

知人を疑う自分に、嫌気がさす。
だが、思考を止めることはしない。
それが自分に出来ることだと知っている。

たったひとつの冴えたやりかた、などと、何かを妄信するつもりはない。
ありとあらゆる可能性を試し、足掻き、藻掻き、進んで退いてを繰り返し。
この道の先を知らぬ人間でも、それでもいつか、どこかに手が届くのだ、と。

――それが鳴海歩なのだから。

頭を振り、検証を続ける。
まだ、あの少年が犯人だと決まった訳ではない。

……しかしだ。
やはりこの室内は綺麗すぎる。
秋瀬或と、東郷。最低二人はいたはずなのに、どちらか一方すら犯人と争った形跡がないのはやはり妙だ。

「…………?」

視線の先に、弾痕が止まる。
壁にぽっかと開いたそれは、一見流れ弾による産物のようにも見える。
が。

「……血液の飛び散り方と、射線軸が一致するな」

――壁越しに攻撃した、とでもいうのか?

馬鹿な、と自分の考えを否定する。
完全な盲射ではないか、と。
謎の狙撃手の仕業だとしても馬鹿馬鹿しい。

……だが、もしそうなら東郷さえ手も足も出なかった理由に説明がつく。
流石に壁越しに正確な攻撃を脳天に食らう、などというのは想像すらできないだろう。

異能による意識の喪失と、壁越しの奇襲。
これらが同時に発生したならば、流石の東郷でもどうにもなるまい。

……もし、壁越しに攻撃したとして。
予めそこに撃ち込めばこの結果がもたらされると確信していたが如く、
こうも正確に脳天を撃ち抜く――その手段はなんだ?

「…………」

結論ありきで考えている。それは分かっている。
――誰かに意識を誘導されているのかもしれない。
踊るのは慣れている。……この感覚は、身に染みている。
だが、それでも。自分にはこれしかないのだ。

大きく、ゆっくりと、時間をかけて溜息を。
酸素を取り込み、掻き乱された頭を整調する。

0021この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:15:27.57ID:c6mEfp+H
時間が惜しい。
一つの疑問点にかかずらってはいられない。

東郷の躯から、秋瀬或と思しき死体にまた視線を戻す。

「ん……?」

よくよく見ると、握っているモノはコピー日記だけではない。
もう片方の手には、メモ帳が握られていた。
それもわざわざ、自分の血に濡れないように。

「これは……」

――感嘆する。
そこには数々の、秋瀬或の得た情報や、そこから導いた考察が詰まっていた。
特に最後の方には、錬金術とその視点から見たこの島について詳しく書かれている。
エドワード・エルリックより聴取、と、小さく脇に記されていた。
几帳面なことに、この情報を聞いた時刻までしっかりと。

「エドワード・エルリック……か」

……この男は、何処にいる?
記された時間からして、まだ遠くには行っていないはずだ。
この惨劇が発生してからの時間は、きっと思うより遅くない。
おそらくは東郷や、安藤とも共にいたはず。

「探してみる価値は……あるな」

書かれている内容は錬金術を不完全とはいえ齧った自分には興味深いものばかりだが、
後で読み返すことにして一旦置いておく。

……自分の兄の名前が記されていたことも、今は保留だ。

懐に手帳をしまい、次に手を伸ばしたのはコピー日記だ。
これもまた、血に濡れないように気遣われていた。

「……懇切丁寧だな」

苦笑する。
……この男は、そういう男だ。
僅かなやり取りではあったが、十分に理解させられた。
もしかしたら最初から自分に遺すつもりでこうしていたのかもしれない。
神社で合流というのは、おそらく東郷達から聞いていたのだろうから。

「……っと」

ひらりと、二つ折りのコピー日記の隙間から紙が零れ落ちる。

「なんだ……?」

畳まれたそれを開いてみる。
――名簿だった。
一部の名前が赤に染まった、名簿。

「……っ!」
0022この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:17:30.38ID:c6mEfp+H
不自然なことではない。名簿に記された死人の名前は、赤く染まる。
だが、その中で一つだけ。
染まった方法が、明らかに違うものがあった。

「安藤……!?」

その名前が、真っ赤に染まっている。
この名簿の機能ではない、秋瀬或自身の、血によって。

――秋瀬或は、探偵だ。
こんな名簿をわざわざ、コピー日記に挟んでおいた、その意図は。

歩の中で、何かがカチリと填まる。
そう、コピー日記だ。
あの秋瀬或が、単に自分が秋瀬或だと自分に伝える為だけに、こんな回りくどいことをした?
否だ。

待て。
待て、待て。自分は先ほど何と考えた?

『予めそこに撃ち込めばこの結果がもたらされると確信していたが如く、
 こうも正確に脳天を撃ち抜く――その手段はなんだ?』

――そうか、と歩はしっかりと、秋瀬或のバトンを受け取った。


「未来日記。……安藤、お前は」


【ゴルゴ13@ゴルゴ13 死亡】
【秋瀬或@未来日記 死亡】

【F-5/神社/1日目/夜中】

【鳴海歩@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]:疲労(中)、腹部裂傷(小)、貧血、左肩に深い刺創(応急手当済み)、両腕に複数の裂傷
[服装]:上半身裸
[装備]:秋瀬或のメモ帳、小型キルリアン振動機“チェシャキャット”(バッテリー残量100%)@うしおととら、コピー日記@未来日記、風火輪@封神演義
[道具]:支給品一式×3、医療棟カードキー、破魔矢×1、社務所の売り物(詳細不明)×0〜3、錬丹術関連の書籍、
    手錠@現実×2、警棒@現実×2、警察車両のキー 、詳細不明調達品(警察署)×0〜2(治癒効果はない)、
    No.11ラズロのコイン@トライガン・マキシマム、居合番長の刀@金剛番長、月臣学園男子制服(濡れ+血染め)、雪輝日記@未来日記
[思考]
基本:主催者と戦い、殺し合いを止める。
0:未来日記を得た安藤と狙撃手の協調への強い疑い。
1:放送の内容やネット情報、秋瀬或のメモについて考察したい。
2:競技場に向かい、趙公明の動向を探る。並行してエドワード・エルリックの捜索。
3:結崎ひよのに連絡を取り、今後の相談をしたい。
4:島内ネットを用いて情報収集。
5:首輪を外す手段を探しつつ、殺し合いに乗っていない仲間を集める。
6:カノン・ヒルベルトの動向には警戒。
7:『砂漠の星の兄弟(姉妹?)』に留意。
8:『うしおととら』と、彼らへの言伝について考える。
9:神社の本殿の封印が気になる。
0023この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:19:51.01ID:c6mEfp+H
[備考]
※第66話終了後からの参戦です。自分が清隆のクローンであるという仮説に至っています。
 また時系列上、結崎ひよのが清隆の最後の一手である可能性にも思い至っています。
※主催者側に鳴海清隆がいる確信を得ました。
 また、主催者側にアイズ・ラザフォードがいる可能性に気付きました。
※会場内での言語疎通の謎についての知識を得ました。
※錬金術や鋼の錬金術師及びONE PIECEの世界についての概要を聞きましたが、情報源となった人物については情報を得られていません。
※錬丹術(及び錬金術)についてある程度の知識を得ました。
※安藤の交友関係について知識を得ました。また、腹話術について正確な能力を把握しました。
※未来日記について、11人+1組の所有者同士で殺し合いが行われた事、未来日記が主観情報を反映する事、
 未来日記の破壊が死に繋がる事、未来日記に示される未来が可変である事を知りました。
※考察に関しては、第91話【盤上の駒】を参照。
※秋瀬或のメモ帳には、或が収集した情報とエドワードの錬金術についての知見、それらに基づく考察が記されています。



※神社の石段手前に中型トラックが停められています。
※ゴルゴ13の死体はブラックジャックのメス(8/10)@ブラックジャック、ジャスタウェイ(4/5)@銀魂、携帯電話(白)を身につけています。
※秋瀬或の死体はクリマ・タクト@ONE PIECE、ニューナンブM60(4/5)@現実を身につけています。
※ゴルゴ13の死体の傍にデイパック(支給品一式、賢者の石@鋼の錬金術師、包丁、不明支給品×1(武器ではない)、熱湯入りの魔法瓶×2、ロープ
 携帯電話(黒)、安物の折り畳み式双眼鏡、腕時計、ライターなどの小物、キンブリーの電話番号が書かれたメモ用紙)が落ちています。
※秋瀬或の死体の傍にデイパック(支給品一式、各種医療品、 天野雪輝と我妻由乃の思い出の写真、ニューナンブM60(5/5)@現実、.38スペシャル弾@現実×20、
 警棒@現実×2、手錠@現実×2、携帯電話、A3サイズの偽杜綱モンタージュポスター×10、A3サイズのレガートモンタージュポスター×10
 永久指針(エターナルポース)@ONE PIECE)が落ちています。


**********


目の前で、エドワードが撃たれた。
たったそれだけで、安藤は混乱の極みに陥った。

何故?
どうして?
誰が?
何処から?

今すぐここから逃げる、という選択肢さえ、考える余裕はなかった。

こんな筈ではない。
こんなの予定にない。

妄信は依存を生み、依存は安寧を育てる。
然らば、依存を失った安寧は淪落するが道理というものだ。

「そんなっ! なんで……!?
 駄目だ、こんなの駄目だ! エド、エド!」

半狂乱。
かろうじて理性がアトラスのように自我を支えているだけで、安藤は己の体調をも顧みずエドワードに縋りつく。
捨て去ったと思っていた罪悪感はちっともそんなことなく整然と心に積み上げられていて、あたかも図書館の本棚の如く自分の周りに聳え立っている。
……ただ整理をつけて、動き回るのに支障はないようにしただけ。
どこまで行っても安藤は、その心は、どこにでもいる普通の人のものなのだから。
0024この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:21:22.00ID:c6mEfp+H
「エド、駄目だ! あんなこと言っといて死ぬなよ!
 お前……っ、ウィンリィさんを守るんだろ! 救うんだろ!?
 俺とおんなじで、弟がいなくなって、辛いんだろ?
 だったら駄目だ! ちゃんと最後まで生き抜いて、あいつを――死んだあいつらを救わなきゃ!」

喚き散らす。
涙と鼻水と血が顔面をぐちゃぐちゃに汚し、ついた膝は泥塗れ。
尊厳とか誇りとか、そんなものとはこの世で一番程遠い姿である。
実に惨めったらしい。

けれど、エドワードはそんなことはお構いなしで。
目の前でごそごそ何かを取り出すと。

「……エ、ド?」

呼び掛けは虚空へ。
エドワードは自分を見てなどいないのだと、脳漿に氷柱をぶっ刺されたように急速に理解した。
これ以上一人相撲を続けることはできず、けれどこのまま黙って何もしない訳にもいかず。

硬直した僅かな間のその隙に、安藤の出来ることは全て終わっていた。

唐突にまばゆい光が目の前で起こり、焼かれないよう一瞬目を閉じる。
とっさに掲げた腕がその動きを止める頃には、事態はとっくに終わっていたのが間抜けな光景ではある。
ちかちかとする視界を無理にこじ開け、目を眇めながらすぐ先のエドワードを確かめる。

「エド?」

返事はない。
急に辺りが冷え込んだように、感じた。


「……え、あ?」

そこに動く影は、もはや安藤一つしか存在しなかった。
エドワードがいた場所には、首輪と、服と、彼の荷物が転がっている。ただそれだけ。
どういうしかけか、機械鎧はそこにはない。
ベージュとハートの携帯電話が、やけに月明かりに輝いていた。

「え……、何、が」

理解できない。
銃で撃たれた、それだけなら理解はできる。
たとえ取り乱してもちゃんと筋道立てて考えられる。

……もう、安藤の頭は飽和状態だ。故に完全な思考停止に陥る。
倒れた。光った。消えた。
安藤に分かるのはそれだけ、因果も何も見えては来ない。

何も分からず、何もできず、ただそこに立ち尽くしていた。
たった一人で。

……一人? いや、違う。
0025この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:23:29.13ID:c6mEfp+H
ざり、という音が、安藤のすぐ傍から届く。
はっとして顔を挙げる。

佇む影が、静かににじり寄っていた。
まるで幽鬼のように音もなく、しかし、おぞましいほどの笑みをその顔に浮かべて。

「電話をかけてみて正解だったね。
 どっちが僕に連絡を入れてきたのか分からなかったから、試しただけなんだけど。
 こんなに簡単に君を特定できるとは思わなかったよ」

言葉が出ない。
ああ、神様。それとも悪魔?
この出会いで、何を自分に求めているのです?

「やあ……」

たった今殺戮を行ったばかりのその手を柔らかに伸ばし、人好きのする表情で。
それは、告げた。


「初めまして、僕はカノン。カノン・ヒルベルトだ」



【D-4/川辺/1日目/夜中】

【カノン・ヒルベルト@スパイラル〜推理の絆〜】
[状態]:疲労(小)、全身にかすり傷、手首に青痣と創傷、掌に火傷、“スイッチ”ON
[服装]:月臣学園男子制服
[装備]:M16A2(12/30)@ゴルゴ13、理緒手製麻酔銃@スパイラル〜推理の絆〜、麻酔弾×15、携帯電話(シルバー)
[道具]:支給品一式×4、M16の予備弾装@ゴルゴ13×3、パールの盾@ONE PIECE、
    大量の森あいの眼鏡@うえきの法則、研究所の研究棟のカードキー、
    五光石@封神演義、マシン番長の部品、秋葉流のモンタージュ
    不明支給品×1
[思考]
基本:全人類抹殺
1:鳴海歩と合流は保留。通信ネットワークの存在下における最適な殲滅方法を再定義。
2:安藤(兄)への興味。
3:十分なアドバンテージを確保した状態であれば、狙撃による人類の排除。
[備考]
※アイズ・ラザフォードを刺してから彼が目覚める前のどこかからの参戦です。
※剛力番長から死者蘇生の話を聞きました。内容自体には半信半疑です。
※みねねのトラップフィールドの存在を把握しました。(竹内理緒によるものと推測、根拠はなし)
 戦術を考慮する際に利用する可能性があります。
※森あいの友好関係と、キンブリーの危険性を把握しました。
0026この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:25:18.35ID:c6mEfp+H
【安藤(兄)@魔王 JUVENILE REMIX】
[状態]:全身打ち身(中)、頭部裂傷(小)、腹話術の副作用(大)、魔王覚醒、風邪気味
[服装]:飼育員用のツナギ
[装備]:殺人日記@未来日記(機能解放)
[道具]:イルカさんウエストポーチ、菓子数個、筆記用具(以上全て土産物)、土産品数個(詳細不明)
    水族館パンフレットの島の地図ページ、携帯電話(古い機種)
[思考]
基本:脱出の糸口を探す。主催者と戦う。危険人物は可能な限り利用した上で同士討ちを狙う。
0:エドワードの消滅とカノン・ヒルベルトの意図に混乱。
1:首輪を外す手段と脱出、潤也の蘇生の手掛かりを探る。
2:闘技場に向かい、C・公明の企みに介入する。可能ならば病院で治療も。
3:殺し合いに乗っていない仲間を集める。利用できるなら殺し合いに乗っていても使う。
4:歩本人へ強い劣等感。黒幕の一味との疑い。
5:エドの機械鎧に対し、恐怖。本人に対して劣等感。
6:リンからの敵意に不快感と怯え。
7:関口伊万里にやりどころのない苛立ち(逆恨みと自覚済み)。
8:今後の体調が不安。『時間』がないかもしれない。
[備考]
※第12話にて、蝉との戦いで気絶した直後からの参戦です。
※鳴海歩から、スパイラルの世界や人物について彼が確証を持つ情報をかなり細かく聞きました。
※会場内での言語疎通の謎についての知識を得ました。
※錬金術や鋼の錬金術師及びONE PIECEの世界についての概要を聞きましたが、情報源となった人物については

情報を得られていません。
※我妻由乃の声とプロファイル、天野雪輝、秋瀬或のプロファイルを確認しました。由乃を警戒しています。
※未来日記の世界と道具「未来日記」の特徴についての情報を聞きました。
※探偵日記のアドレスと、記された情報を得ました。
※【鳴海歩の考察】の、1、3、4について聞いています。
  詳細は鳴海歩の状態表を参照。
※掲示板の情報により、ゆのを一級危険人物として認識しました。
※腹話術の副作用が発生。能力制限で、原作よりもハイスピードで病状が悪化しています。
※九兵衛の手記を把握しました。
※月食が"何か"を引き起こしかねないという考察をエドに聞いています。
※秋瀬或から彼自身の考察や鳴海清隆についての話をある程度聞いています。
※エドワードと秋瀬或の交渉の中で、エドワードの考察をある程度聞いています。
※キンブリーと趙公明の繋がりを把握しています。




※携帯電話(ベージュ+ハート)、エドワードの首輪、エドワードのコートと服、バロンのナイフ@うえきの法則、
 デイパック(支給品一式(二食消費)、かどまツリー@ひだまりスケッチ、柳生九兵衛の手記、食糧1人半分、割れた鏡一枚、土産品数個(詳細不明))が安藤の目の前に落ちています。
0027この病は死に至らず ◇JvezCBil8U代理の代理
垢版 |
2011/07/25(月) 18:32:21.85ID:c6mEfp+H
以上で代理投下の代理終了です。
書き手さんと途中まで代理投下された方、投下乙です。


こっから感想。
ゴルゴォォォォォォォォォォ!!
…この人が亡くなるところが見られるのは新漫画ロワだけだな。
状況だけなら完全に安藤兄が詰みだったのに……逆に追い詰め過ぎたのがアダになった。

そしてエド、或、お疲れ様。
現時点で一番主催に近い人物か!?と思いきや
本当に「鳴海清隆と接触したところで役割は終わりだ」と言わんばかりだった。
フラグとダイイングメッセージが歩の元に渡ったのはせめてもの救いか
…しかしそれも主催の思い通りっぽいという

そして、ドシリアスな状況なのに
「巨乳大好き」と言うゴルゴを想像して不覚にも笑ってしまったじゃないか…

>捨て去ったと思っていた罪悪感はちっともそんなことなく整然と心に積み上げられていて、あたかも図書館の本棚の如く自分の周りに聳え立っている。
>……ただ整理をつけて、動き回るのに支障はないようにしただけ。

そして、氏のこういう言い回しがすごく好きだ。
大作を本当に乙です
0028創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/25(月) 18:43:17.81ID:Xi0gC73z
投下と代理の代理投下乙です

ゴルゴが死ぬとは……
でもこれって依頼人の意図を無視して都合よく解釈して二重に依頼を受けた…
これは原作のゴルゴならやらなかったのにやった…のか? ルール違反なのか? 
ならルールを破った者には死を…か

そうだったのか。主催に近いのでなく役割が終わったのか
最後のメッセージもまた神の思い通りか

エドは最後の最後でとんでもない事をw また○○不明かよwwwww
だか、とてつもないフラグが立ったかも

安藤兄は……なるほど破局への種は既に蒔かれていたのか
ああ、怖い怖い。最後の命の炎は消えそうな…そんな時にカノンキター

いやあ、お帰りなさい
一度は挫折したがよく書き切ってくれました
もう一度言います。お帰りなさい
0029創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/25(月) 20:40:59.18ID:c6mEfp+H
そう言えば


ゴルゴ13の最期の台詞は「巨乳大好き!」になるのか…

ある意味、今回の話でこれが一番可哀想かもしれんw
0030創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/25(月) 20:45:44.14ID:bqO1cxm7
とりあえず

>神様同士が殴り合って、気持ちよくケリを付け合って、消える間際の誰かが胸をそらして勝利を誇る。

漫画ロワのことか…漫画ロワのことかーーーっ!!

いやほんと漫画ロワとは真逆の方向に突き抜けてる感があるよねこのロワw
ひさびさの投下乙でした!
0031創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/25(月) 23:28:49.88ID:nRvYFvO7
投下乙です!
「読み応え」とかこういう話のためにあるような言葉だなとつくづく思いました

特大フォントで「巨乳大好き!!」って言ってる様子が目に浮かぶわw
死亡者欄がゴルゴだけ異彩を放ちそうだ

まさかの人間ばっかり退場して先が読めないにもほどがあるというか、
「消灯ですよ」のタイトルからして安藤オワタとまんまとひっかかった。

ネットワークを使ったギミックにはもうやられたとしか言いようがない
エドはどうなる?
ズタボロだけど運命にあがき続ける主人公らしい主人公たち(つーかカノン以外全員主人公経験者か)が読めて本当によかったです

0036創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/26(火) 16:19:52.41ID:1YI8U9UO
一番戦闘力もない一般人に限りなく近い安藤が生き残ってる所に容赦なさを感じる
今はゆのっちの方が安藤よりも修羅場慣れしてそうな気さえするわw
「一般人」って、「対主催」ってなんだったっけ……


そしてやっぱり死亡者のゴルゴのセリフがやばいwww
0037創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/26(火) 17:20:09.56ID:HyKZMkqK
すごかった
クロスオーバー作品でそれぞれの原作の味を生かしきるとこんな作品が出来上がるんだ

安藤とカノンの最後の位置を考えると分裂した潤也に遭遇しそうなのがまたえげつない
0038創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/26(火) 17:23:30.77ID:eyIQDCzE
関係の破綻は必然だったか
どんな達人でも一瞬意識を奪える安藤兄の腹話術は結構怖い能力だなー
ネットワークを使った錬成陣は凄く面白い発想
そして何気にカノン無双だな
0039創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/26(火) 21:00:04.45ID:7C5AX1hx
>>38
カノンは紙メンタルだったから殺さずに済んでただけで、冷静になると凄いからな
一般人が軽く数十人はいる学食で「その気になればここにいる全員を20秒以内に皆殺しにできるよ」とかぬかすレベル
0040創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/26(火) 21:22:37.47ID:RpFTI+ze
それに加えて腹話術と殺人日記だからなあ、ゴルゴでも後れを取るのは仕方ない

地味に残り19人で20人切ったね、もう終盤か……
フラグが歩に収束しつつあるとはいえマーダー6人+ハイブリッドな生物も残ってるよ、これどーすんだw
まあ競技場で一気に減るとは思うけど
0041創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/26(火) 23:06:40.54ID:G8Wd6bvA
競技場へ行くまでにもう一波乱ありそうな気もするがやっぱり難所は競技場かな
競技場への移動で誰かとご対面しそうだし

あ、マーダーの数と能力が逆転してる様な
ロワ序盤は少ないと言われてたのにw
0042創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/26(火) 23:27:57.88ID:eL74RJE2
何だろうな。改めて死亡者リスト見ると、対主催展開で死んだのがヴァッシュくらいしかいないっていう
ロワとはいえ殆どが鬱死にって何なんだ…
0045創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/27(水) 22:30:19.34ID:Ztq8rd5Z
その読み解いてるのも誰かに誘導されてる雰囲気が付いて回ってるのが救いが無いというかw
0046創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/01(月) 15:15:11.19ID:oVOej0Kb
今回のキンブリーの仕事は
・ゴルゴと密会
・エドを挑発
・安藤を覚醒
あたりか?
なんか清隆に気に入られてるんだろうかこいつはw
0048創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/02(火) 22:31:35.13ID:ztljrvja
でもこのロワの最後ではどうなるんだろう?
清隆とご対面してお前は掌の上で踊ってただけみたいな事を突きつけられたら…
0049創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/02(火) 22:49:32.20ID:6JlYwGj7
キンブリーの死因としては、安藤を脅かす要因=携帯電話(交換日記)をゴルゴにぶっ壊されて死亡ってのを
おぼろげながら考えてたけど、死因が一つ減ったな!
0050創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/04(木) 13:05:30.22ID:sOwHOyj9
うーん、しかし安藤を追ってくと転落っぷりが笑えるレベルだなw
カノンとどう動いてくつもりだろ
0051創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/04(木) 17:23:18.70ID:KWmTp6cB
書き手諸氏がこぞって苛めるからこんなことになったんやwww
悲劇なんやなwwww

いいぞもっとやれ
0052創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/04(木) 21:05:11.55ID:59fYaMZI
ゆのっちの件含めて何かをさせたいんだろう
それまでは死ぬことは無い
そう、どんなにズタボロにされても…
0053創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/04(木) 23:21:26.44ID:kUsBg0c/
最初は幸運だったけど急転直下なゆのっちとドン底から真綿で首を締められ続けてる安藤か・・・
地図見たら案外近くにいるし、もしかしたら2、3話中に再開するかもね
0054創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/05(金) 12:05:28.90ID:y3cgSmw4
しかしこれだけやられて、かつやらかしても頭のネジが吹っ飛んだだけで方針は間違いなく対主催なんだよな
そこはさすがあの魔王の主人公だわ
うまく腹話術と殺人日記とカノンを組み合わせて利用出来たらトリックスターになるかもしれん
0055創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/05(金) 13:26:45.29ID:SCQMZJPm
んなこと書くと次の話で瞬殺されるぞw
でもホントゆのっちと安藤は絶望ツートップだな
0056創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/17(水) 12:02:03.01ID:S6pcq559
安藤兄

重度の劣等感
不信
殺人日記
腹話術の副作用
生贄フラグ

安藤弟
獣化
憑りつき
融合
分裂
蝕フラグ

もうやだこの兄弟
しかもまだ色々あった気がしてならない
0057創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/17(水) 13:28:51.35ID:+gv3oWmA
安藤兄はとらに擬態されたりゆのに目つけられたり盗撮写真ばらまかれたりしてたなwww
まあ先に相手が死んだんだけど
あと地味にいろんなやつに危険視されたり敵視されたりしている

安藤弟は生前もだっきちゃんに金剛番長の脳味噌食わされたりなんだり

そういやゆのは意外にも律儀に伝言してくれたな
0058創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/17(水) 21:24:47.21ID:uyausG95
しかもエドを守るためのひと芝居ではあったのにカノンがやらかしたからなあ
スイッチ入ったブレチルを甘く見てたのが原因だろうが

しかしこのカノンもこえーなあ
今生きてるマーダーってどっかに遊びがあったり戦闘を楽しんだり怯えが残ってたりが多いから、一番容赦のない殺人者かもしれん
0062創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/28(日) 00:14:59.40ID:b3Z7y+Ns
すいません冗談抜きで人生左右する局面にいるんす、リアルに注力しないと食いぶち無くなりそうであと半年は書けそうにないっす。
決して、決して見捨てた訳ではないんじゃよ……。
0064創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/28(日) 00:36:49.42ID:XEoNDmSQ
時期によって仕事量がまったく違う職種とかかな、SE系とか
リアル大事だし無理せずリアル落ち着いてから来てくださいね

私はいつまでも待ち続ける
0067創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/08(木) 15:05:17.59ID:KTGywXRS
来てるぞw
0069創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/13(火) 23:09:30.15ID:KIaKJQo2
そういや、結局エドってこれで何回扉を開けたんだろ
そろそろ真理に呆れられそうだな
0070創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/14(水) 22:24:26.68ID:2lNJi8VS
その真理の扉そのものもコピーの可能性があるからな……
案外清隆のいた空間辺りにエドの肉体は行ってるかもしれん

しかしエドが魂をネットに定着させたって事は、ひよのとか辺りとおもしろくなりそうだな
0071 ◆RLphhZZi3Y
垢版 |
2011/09/15(木) 10:06:44.20ID:jTsS9zEe
月報間に合うかな?

投下いたします。
0072狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:08:24.64ID:jTsS9zEe
表が出たら僕の勝ち、裏が出たら君の負け。
ゲームにすらならないコイントスを、神は投げ続ける。



#####



赤い。

砂漠ではあるまじき水と氷の演舞の先。
目の前を歩く男は紛れもなく赤い服に袖を通している。
視界の悪さは砂嵐と似たようなものだが、それでも見間違える距離ではない。
錯覚とも思える光景だった。
むしろ錯覚だった方がありがたいとすら思う、想像の範疇から遠く飛び出したものだった。
そこにいるのがヴァッシュであるなら、これから向かう先が競技場だろうが地獄だろうが墓場だろうが納得いく。
ミッドバレイは何度も繰り返し、森が消滅した後の出来事を辿る。

ヴァッシュは死んだ。放送でも呼ばれている。
問題はその後だ。
ナイブズが真っ二つにされた男に墓を作ってやり、ハデな貴族のような男と小娘を追っている。

間違いはない。
なんの間違いもない。
よもやすぐ前を歩く男が、実はヴァッシュなどということは決してない。
中身が入れ替わるといった酔狂な話ですらない。

貴族から手渡された戦闘のチケットを投げ返すために、ナイブズは進んでいる。
それが目的だ。
そしてまた確認する。
ヴァッシュではないのだ。
決して、あの娘を追っている訳では――

「ミッドバレイ」

唐突に名を呼ばれる。
反射的に身構えた。
ナイブズが声をかけるタイミングは、考えを覗かれていないかと疑るほどに悪い。
叩きつけるみぞれが耳障りだ。
鮮やかな赤が濡れて色を黒く変え、擂鉢状態になった森での喧騒で土がこびりついている。
ナイブズは、こんなにも雪や土砂が似合う男だっただろうか。

「走らせろ」

ナイブズが視線で指すところに、車が数台残っていた。
0073狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:09:36.66ID:jTsS9zEe


#####



道を別ち、またひとつに戻った片割れが、そしてその片割れが命を懸けて救おうとした者が呼ばれている。
放送が終わり、そこで改めて喪失を味わう。
GUNG-HO-GUNSもほぼ全員死に至ったが、このほどには遠く及ばない。


ヴァッシュ・ザ・スタンピード。


自身でも呆れるほど、その名を繰り返す。
眼前で見送ったにも関わらず、お前はもういないのかと、無意味な言葉をなおも話しかけようとする。

そこでやっと気づく。
無意味、そう無意味なのだ。
これは喪失を受け入れる、慰み程度の感情に過ぎない。
ヴァッシュも、喪失を博愛主義で埋めていた。
滅ぼした人間に自責の念を感じているため、その博愛は無償でも、無条件でもない。

博愛主義も、都市を失わせた埋め合わせと言ってしまえば、終いである。
そして投げた愛のブーメランに、殺された。

ここまでくると馬鹿者である。
馬鹿者ではある……が、ヴァッシュは貫いた。
生半可な覚悟で貫ける意思ではないと、ナイブズはよく知っている。
自らの何を失おうが他人の命を選ぶ、強靭で一途すぎた志だ。
プラントと融合を望んだときも、そしてこの殺戮の場でも抜きん出ていた。
異常なまでの博愛だったのだとわかる。

永遠の別れなど、砂漠の星においては容易に描けた。
文明はあるが犯罪は蔓延る。一般人であろうと命は死と隣り合っているのが常である。
西沢歩という取り立てて目立たない少女がいたからこそ、その当たり前がない、平和呆けができる世界の存在を知った。
ヴァッシュが望んでいたような地だ。
娘はヴァッシュと最初に出会うべきだったのだ。

平穏であればあるだけヴァッシュの『守る』意義もなくなる。
ただでさえこの世に居ることに価値を見ていない兄弟である。
自己同一性が更に揺らぐだけだが、それでもあの弟は、そのような世界の存在を喜んだのだろう。

今や知る術はない。
持ってくる力も持っていく力も届かない、絶対的な溝の向こう側へヴァッシュは逝った。


放送を鑑みて思う。
ヴァッシュが救いたがったのはひょう一人ではない。
"人間"だったのだ。
0074狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:11:43.13ID:jTsS9zEe
これまでに五十人ほどの命が一様に消えている。
目の前では数人、知らぬ場所では多数、リタイアした。
ヴァッシュはその命を背負う気概でいたのだ。

たった一人の優勝者の枠を懸けた戦いだ。人間同士、火種も怨みもあっただろう。
その全てのしがらみをも一心に引き受けるつもりで、助けに向かっていた。
ならば奔走し、命を狙われるのも道理であったと、言わざるを得ない。
それが身を滅ぼすと承知していてもなお、見捨てずにいた。
愛するべき者を、愛しきった。

胸の閊が、今しがた無意味だと結論づけた感情ですすぎ流される。
ラブアンドピースを掲げるまでほだされてはいない。
だが、ヴァッシュが最期まで想い救おうとした、既に亡き五十の重さを、代わりに背負ってやる程度ならできる。
生きてきた百五十年に上乗せすることなど雑作もない。

五十そこらの命を多数と称するなど、砂漠の星を制覇しかけた頃には考えもよらない話だ。


――クズまで救おうとしてないか――


天地崩壊のさなか、ヴァッシュに突きつけた現実が、目の前に靄として出現する。
五十の人間の中に知己の者、袖振り合った者は合わせても両手に余る人数だ。
名も知らぬ残りの死者には、必ずやあの時と同様、他人にすがり付き寄生し、蹴落とし醜く無様に這いずり回る愚者がいただろう。



『(これだけはいえる
 僕が消してしまったあのたちは
 優しかったんだ……)』



恫痛と孤独を抱えながらも、愛を枯らすことを忘れなかったあの男が、想像以上に侵食しているらしい。
不思議ではあるが、胸がむかつくような悪い気分はしなかった。
0075狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:15:31.67ID:jTsS9zEe



ミッドバレイにハンドルを託したナイブズは、助手席ではなく後部座席に腰を下ろした。
他人の支給品が雑多に増えていったデイバッグから、携帯可能なパソコンが入っていたのは確認済みである。
競技場までこの足を転がしていけば、そう時間はかからない。
到着までに新たな情報を素早く取捨するには、携帯電話の小さな画面よりパソコンを接続した方が手間がかからずに済む。
この地に来てから丸一日が経とうとしているにも関わらず、立ち上げるどころかウィンドウを開いた様子もない。
初期画面を片付けると、研究所で繋いだサイバー環境に限りなく近いものへと変貌した。

電脳のネットワークは凄まじい勢いで構築されているようだ。
ウェブ上の掲示板には書き込みが増えていた。
ひとつは名簿には無い名への呼び掛けだ。連絡方法まで紹介している。
放送では呼ばれていないなら、このツールはまだ生きている。
念の為『エドワード・エルリック』のアドレスを拾い、携帯電話に保存をする。

もうひとつ……問題のある書き込みに、ナイブズは携帯を握り潰しかける。

直接名を出してはいないが、ナイブズを騙るような真似をする輩が、まだいるらしい。
投下の主はあの現場をどこかで見ていた。
謀を目論んでいる。

趙公明の目的は戦闘だ。
人質を用意し、多くの者を誘き寄せている。
ナイブズ自身が書き込んだならともかくも、呼び掛けの理由が『人質の娘を助けたい』でないのは明白だ。
心から助けたいのであれば、騙る必要などない。
戦闘の促進、趙公明との相討ちを狙っているといったところか。
暗闇に灯火を用意して、飛び込む虫を誘っている。

これについて無論考えるところはあるのだが、他者の人間関係より優先順位が高い情報が更新されていた。

天気予報である。


戦闘狂が指定した時間からの天候が、ディスプレイに表示されている。


  00:00〜06:00:快晴(強風注意報)
  00:00〜02:00:皆既月食


嵐のピークは過ぎる。
疑いようもない。安定しない天候はやはり不自然だ。
そして新たに加わった情報は、天候の問題ではない。
0076狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:16:06.46ID:jTsS9zEe
皆既月食。
大地の自然循環ですらない。
月が陰るのは宇宙の理のひとつだ。
宇宙をも揺り動かせるということか。
雪が降る天候に続き、未知の景色が待ち構えている。
天候など、小さな星のせせこましい現象に過ぎないのだと言わんばかりに、仰々しく掲載されていた。

共に貼り付けられている画像を確認した。
数個の月が一列に並び、端から欠けていく様子が写し出されている。
グランドクロスのように規則正しく五つの月が並ぶはずはない。
時間の経過を表すために、一つの月を一つの画像へ収めていると思われる。

画像中央へ向かうに従い月は光を失い、赤銅色を帯びる。
中央を過ぎると光を取り戻し、白い輝きを膨らませていった。
月の海に見慣れた形はない。
予想はついていたが、クレーターのどれを取ろうが、画像の月は五つの月と合致しない。
皆既月食とはこの星にはひとつしかない月が、短時間で欠けていく現象を指すようだ。

皆既月食とは何か、ご丁寧に説明をする画像があるのならば、その知識がない者が複数存在するのだ。
実際、ナイブズは知らなかった。
反対に一定数、恐らく半数前後の人間は皆既月食の実態を知っている。
集められた者全員が知らない自然摂理を持ち出したところで、恐怖を煽り絶望を増長させる効果は極めて薄い。
嵐を知らない人間は、前兆になる雲の流れを気に留めないものだ。

しかし、画像を貼り付ける意義はそれだけだろうか。
皆既月食が何かを知っている者に対しても、画像を貼ってまで「こういうものだ」と説明する必要はあるのか。

絶対不可欠では無い。
そう言い切れる。
文章で表せば数文字で済むはずなのだ。

天候の操作には、地下から目を反らす以外にも役割があると仮定する。
天気予報が表示されだしたのは、日が昇り出してからだ。
午前・午後・夜・深夜の四度に渡り、天気予報が更新されている。
表示されている通り、雲は太陽を隠し、空から氷の欠片が降り、雨へと変わっていた。
深夜までの天候も、今のところは予報に沿っている。
天気予報に関しては、螺旋楽譜や探偵日記などといった他者の主観に基づくネットワークと比較すれば、一番具体的かつ客観的な情報である。
記載通りに天候は移り変わり、ある程度信用を得ているだろう。
0077狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:21:49.88ID:jTsS9zEe
だからこそ。
『必ずその天候になる』と印象をづけ、刷り込んでいるとは考えられないか。
"本物の皆既月食"が起こると思い込むように、誤認させようとしている可能性がある。
画像はそのブラフ、もしくは布石と取れる。

"本物の皆既月食"が素直に起こるとは考えられない。
ただ月が陰り、復活するだけで終わる可能性は除外してもいい。
半ば無視する形でも構わない。

奇術師の常套手段だ。
GUNG-HO-GUNS四番手の、絡繰人形を用いたゲリラ戦法の丁度真逆である。
何度も本物を見せ、トリックのタネになる偽物も本物だと見せかける。
木の葉を隠すのは木の葉の中、ではない。
危険な本命を隠すには信頼のおけるもので囲い、警戒を解いていくものがいい。

数回に渡り正しい情報を流して信頼を持たせ、疑う感覚を麻痺させているのだ。
皆既月食の画像は、高めてきた天候情報の信憑性に、更に鮮烈なイメージを付加させている。
特に、予備知識として皆既月食を知っている者は陥りやすい。
起こるのは"本物の皆既月食"であり、その他の何物でもないとのイメージが既に築かれているからだ。

ナイブズは皆既月食を理解はしたが、『月が短時間で欠ける』と聞いて真っ先に浮かんだのは……

フィフスムーンである。
ヴァッシュの力が月を穿ちクレーターを残した、あの事件。
隕石であろうと作りえない巨大な孔だ。
言い方を変えれば、月が欠けたと称せなくはない。

・"皆既月食"は、月を消し飛ばすなり、もしくはそれに近い強大な現象を引き起こすなりの方便として引き合いに出されている。

あるいは、

・プラントの暴走に近い、苛烈なまでに膨大なエネルギーを放出する直喩。

あまりに突飛な仮定であるのは自覚している。
地下施設に対しての考察も確証はなく(重要視できる施設であるのは確かだろうが)、
上塗りするように代入した論理的でない理論は現実味を無視している。
仮定に仮定を重ねた、机上の空論だ。
0080狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:26:40.07ID:jTsS9zEe
どちらにせよ、世界が一変するイベントを準備している。
しかし何より不快なのは、今の考察に辿り着くのに必要な絶対条件、
『皆既月食は知らない』『一般的な月食や月が物理的に欠けた事件は知っている』、
この二つを満たす関係者を参加させていることだ。
少なくともノーマンズランドから来た者が該当する。
用意していた"皆既月食"に関して、懐疑の目を向けると予想はついているはずだ。
誰が生き残ろうと、気づく事は想定内としての人選である。



『空想的な"皆既月食"概念を考察することすら、神のシナリオ通りだと言いたいのか』



更に、先の仮定を考慮すると、まだ引っ掛かる箇所があった。
ミッドバレイには関わりがない、ナイブズのみ当事者になる問題だった。

フィフスムーンへ実際に孔を空けたのはヴァッシュだ。
より細かくいうなら、プラントの力である。
フィフスムーンの事件の再来を暗示させているのならば、月を欠く現象を完遂させる為のエネルギー源として、
搾取されている同胞、下手を打てばナイブズ自身がキーファクターに選ばれる危険がある。
無論易々と殺される気は毛ほどもないが、レガート・ブルーサマーズのこともある。
ヴァッシュと融合したことにより、プラントの力は回復した。
キーファクターどころか……


皆既月食が何を表しているにせよ、ヴァッシュ・ナイブズ含むプラントの存在は、神の目論見の歯車として用意されていたとでもいうのか。

この用途だけに生きていくのは、許しようがない。



唐突に、山を越した向こう側、施設でいえば工場があるあたりで爆発音が轟く。
火薬などの見知った爆裂ではなかった。生命エネルギーの暴発のようである。
今いる山麓では、爆発衝撃の余波は窮めて小さくなっていた。
が、未知の生命エネルギーでも覆い隠せなかった一筋の"糸"が、ナイブズを絡め取る。
0082狂い咲く人間の証明
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2011/09/15(木) 10:32:13.40ID:jTsS9zEe


#####



肉を腹一杯に食い、まだ食事を続けているゾッドを待つ間に、キンブリーは今まで情報の整理をしていた。


情報はまるで子供向けのゲーム、七並べのようである。
全体像を浮かばせるには各々の手札を全て提示しなければならないが、誰かが六や八で止めている。
キングやエースがどれほど重要な情報を抱えていようが、必要な札が出てこなければただの荷物でしかない。

キンブリーは止める側だ。

《神》の麾下の未来を知り得る日記、二人の出戻りなど、まず間違いなく何枚か良いカードを手中にしている。
加えて安藤潤也の兄と潮の火種も用意している。

だが、他人に手札を出させるほど力を持つ情報はまだまだ足りない。
はっきり言って、この場ではいかなる情報も嫌らしいけれん味ばかりを感じる。
生き残る為に使えなくはないが、人を食いつかせるには弱い。

神の内輪で反乱が起こっている可能性、ゾッドとウィンリィ・ロックベルの存在意義など、
そう事実から遠くはないと思われる切り札はある。
もう一押し、実用的な材料があればいい力になる。
そこをひり出せばいい。


キンブリーは二度世話になった"あの"ギミックを思い返す。

首輪やら空間を繋げるやら、《神》側は奇怪なギミックを仕掛けている。
首輪は文字どおり枷の役割。
出戻り二人にですらしっかりと填められている。

空間を切ったり貼ったりしているというのは、龍脈の流れによるものか、趙公明のいうところの宝貝なるものが発動しているのか。
処処未確定だが、大方それに近いだろう。
しかしもうひとつ、この島にいる者へ平等に仕組まれたギミックがある。


0083狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:32:41.27ID:jTsS9zEe


名簿だ。
首輪も空間の切り貼りも、実利的な目的がある。だが名簿はどうだ?
白紙から文字が浮かぶ。死亡者を認識すると赤く染まる。
こんな無意味なことはない。
ただの印刷であれば配るだけで済む。
地図の立ち入り禁止区域でも赤くした方が実利的だ。
効能は肉親友人知人他人を亡くした参加者に万感交到らせるか、
あとはせいぜい森あいと安藤潤也に施したように、虚像を見せて混乱を導けるぐらいである。

目的無くして手段は存在しない。
死者の名前を彩り、恐怖と絶望を植えつけるにしては、どうも動機が不明瞭だ。

そこで登場するのが出戻りという糸口だ。

出戻りという要素を加えると、この無意味に見えるギミックに『目的』が生まれる。

死んだと思った人間の名が染まる。
名簿の変色は不可逆で、元には戻らない。
放送が過ぎれば、気絶やら睡眠やらで聞いていない者以外は一様に同じ変化を辿る。

復活を遂げた者は名簿の情報から漏れて、自由に裏工作が可能となる。
出戻りを知った参加者が、便乗する形で撹乱を狙い、利用するように仕向けているのではなかろうか。

それどころか、《神》はあらかじめ……蘇りが出るのだと想定していたのではあるまいか。


二人の出戻りの名前が呼ばれたのは第二放送後だ。
ゾッドの言では、戦線復帰した時にはまだウィンリィ・ロックベルは帰還していなかったとのことである。
それよりも遥かに前、道標は既に、このゲームが始まった頃から用意されていたのだ。


――シナリオが覆らない証として。


《神》の不和で感じられる、『一人になるまで殺し合え』とのルールの矛盾。
仮にあの道化と幼女は進行司会者役グループとしておく。
ゾッドを再び送り込んだ者は、ルールの矛盾から、進行司会者役グループとは少なくとも違う役割を持ったグループに所属しているとわかる。
具体的には、反乱を起こしているであろう者だ。

《神》の黒幕は、反乱分子が出戻りを仕組むことすら、ゲームを始める準備段階から『予想』をしていた。
いや、『予想』では生温い。

  緻密な計算。
  思惑の誘導。
  運命の俯瞰。

闡明した名簿という座標は、どこまでも残酷である。
0086狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 10:38:36.65ID:jTsS9zEe


名簿だ。
首輪も空間の切り貼りも、実利的な目的がある。だが名簿はどうだ?
白紙から文字が浮かぶ。死亡者を認識すると赤く染まる。
こんな無意味なことはない。
ただの印刷であれば配るだけで済む。
地図の立ち入り禁止区域でも赤くした方が実利的だ。
効能は肉親友人知人他人を亡くした参加者に万感交到らせるか、
あとはせいぜい森あいと安藤潤也に施したように、虚像を見せて混乱を導けるぐらいである。

目的無くして手段は存在しない。
死者の名前を彩り、恐怖と絶望を植えつけるにしては、どうも動機が不明瞭だ。

そこで登場するのが出戻りという糸口だ。

出戻りという要素を加えると、この無意味に見えるギミックに『目的』が生まれる。

死んだと思った人間の名が染まる。
名簿の変色は不可逆で、元には戻らない。
放送が過ぎれば、気絶やら睡眠やらで聞いていない者以外は一様に同じ変化を辿る。

復活を遂げた者は名簿の情報から漏れて、自由に裏工作が可能となる。
出戻りを知った参加者が、便乗する形で撹乱を狙い、利用するように仕向けているのではなかろうか。

それどころか、《神》はあらかじめ……蘇りが出るのだと想定していたのではあるまいか。


二人の出戻りの名前が呼ばれたのは第二放送後だ。
ゾッドの言では、戦線復帰した時にはまだウィンリィ・ロックベルは帰還していなかったとのことである。
それよりも遥かに前、道標は既に、このゲームが始まった頃から用意されていたのだ。


――シナリオが覆らない証として。


《神》の不和で感じられる、『一人になるまで殺し合え』とのルールの矛盾。
仮にあの道化と幼女は進行司会者役グループとしておく。
ゾッドを再び送り込んだ者は、ルールの矛盾から、進行司会者役グループとは少なくとも違う役割を持ったグループに所属しているとわかる。
具体的には、反乱を起こしているであろう者だ。

《神》の黒幕は、反乱分子が出戻りを仕組むことすら、ゲームを始める準備段階から『予想』をしていた。
いや、『予想』では生温い。

  緻密な計算。
  思惑の誘導。
  運命の俯瞰。

闡明した名簿という座標は、どこまでも残酷である。
0087狂い咲く人間の証明
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2011/09/15(木) 10:39:25.79ID:jTsS9zEe
ただ、出戻り二人が、単純に『死亡→復活』の道を辿ったとは思えない。
そもそも何を持ってして「死んだ」扱いをするのかを《神》は明かしていない。

肉体的な死か、魂魄的な死か。
少し考えればわかる。魂魄の方だろう。
アルフォンス・エルリックもグリードも、肉体と呼べる肉体を持っていない。魂のみがここにいた。
肉体の死だけをもって死亡とするには無理がありすぎる。

魂が消滅するかした時点で"死亡"扱いされるとすれば、今度はゾッドの復帰に疑問が残る。
この通り、肉体も魂もここにある。

魂が滅んで残った肉体を誰かが操る、もしくは他の魂と癒着させられているのなら。
名簿から雲隠れできる手駒を作るために、誰かと何かを融合させて、
合成獣かそれに近い者を生み出しているとしてもいい。
『ゾッド』は元々違う姿だった?


いや違う。
隻眼の男の反応から、姿形と中身は合致しているようだ。
密度の高い筋肉は実にエネルギッシュだ。
走らせた馬のように、身体から蒸気が昇り立つ。
死人とは程遠い。

ともかく、名簿の細工は出戻りの隠匿が目的だろう。
名簿や《神》の反乱の観照は、ある程度真に近いと思われる。
これを脚色せずして煽動はない。

清濁真偽を織り混ぜた情報を用いた取引・カマ掛けは、キンブリーが得意とする煽動方法である。
数学の命題問題のように、嘘を見破るには一つでも撞着を見つければいいが、
真が混じっている嘘は突き詰めるのが極めて難しくなる。
真を織り混ぜ述べていれば、潤也のように即座に嘘を見破る能力があっても答えは出ない。
ついでに鋼のや潤也の兄などそこそこ機転の認められる者には考察視点の拡散・攪乱をさせられる。

しかしこのような俗まみれの情報だけを使うのは考えものだ。
とすれば、もう少し待ってみよう。
剛毅木訥仁に近し。
それを体現した、賢者の石の材料を調達してくれるという、その男を――

「おい」

地面に滴りきった猪の脂が焚き火の光を照り返す。
推考の手掛かりになる本人が、最後の肉片を千切りむしゃぶっていた。
骨が出揃ったので武器錬成の催促なのだろう。

「急かさないでくださいよ。
 さて、どのような武器にしますかねぇ」
0090狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 11:00:50.91ID:jTsS9zEe
すっかり骨と牙と皮だけになった猪をキンブリーは撫でた。
約束は約束。腹を膨らましてくれた義理を先に立てるとしよう。
適当な布で、骨の表面に僅かに残る肉のスジをこそげ落とす。
軟骨を剥ぎ取り磨いた骨は、焦れったいまでにゆっくり昇る月の光を受ける。

一から想像して武器を作るのも労力の無駄なので、図書館から拝借した本を適当に開いてみた。
斜め読みした何冊目かの本に別冊のように冊子が挟まれていた。
冊子のとあるページに、横から覗くゾッドが感心を寄せる。

「これに似た剣を作れるか」
「!……
 構いませんよ。貴方の希望であるならこれにしましょう。
 造形も簡単ですし、すぐに作れます」




かくして要望通りの剣は完成した。
軽かった。
照らす月光が剣先に白い星を作る。
握られ振られるのを待ち侘びた剣はゾッドの手に収まった。
隻眼の男が持つ鉄の板ともとれる剣よりも更に大きい。
骨のままに白色である刀身はゾッドの荒々しい姿態には不釣り合いになりそうなものだが、
大きさと白銀と象牙を足したような重厚な剣太刀で辛うじて均衡を保っている。
一端の鍛冶屋にでもなった気分である。
ものを創造し依頼人の満足に応えるなど爆弾狂にあったはずもなく、
気に入った素振りのゾッドに対し奇妙な感動が湧く。
だが、キンブリーがこの剣に思い入れを持つことはないだろう。

ゾッドは冊子のタイトルを知らずに、この武器のオリジナルに惹き付けられた。
ごく薄い冊子だった。たった十数ページしかない。
軽少な冊子であるこれに嫌怨を抱く。

燐酸カルシウムの形を変えただけの剣の形は。


――神器と呼ばれる、『快刀乱麻』の姿を模していた。


ゾッドに悟られないように、『神器取扱い説明書』に対して苦笑う。
知らないうちに神を選択した(もしくは選択の余地など与えられていなかった)彼は、この剣をどう使うのだろうか。

《神》よ。
どこまでイニシアチブを握る気だ。
0091狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 11:01:23.75ID:jTsS9zEe


炎のはぜる音に紛れ、電子音が鳴る。
ゾッドからのメールらしい。
また長ったらしい文面かと思い、開けてみると相変わらず娘の画像が添付されていた。何故か着飾っている。
しかし、文面は短い。


----
Sub:キンブリー君の未来
やぁ、元気かい?
時間が押しているので手短にメールをするよ。

君の未来にノイズが入っている。
『賢者の石が手に入る未来』が、『賢者の石の材料らしき物が手に入る未来』に変わった。
詳しく知りたければメールか電話をくれたまえ。



P.S このドレスは僕が見立てたのさ! 彼女に似合うだろう!

----

追伸は心底どうでもいい。

しかし、『賢者の石が手に入る未来』が無くなるということは、電話口の男と材料予定の人間との間に不和でもあったのだろうか。

さて、書き変わった未来とは一体。




北の地で爆轟が起こった。

0093狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 11:02:26.02ID:jTsS9zEe

#####



太陽などとっくに沈み、少しずつ昇る満月が溶け残ったみぞれに光を与えている。
真っ暗な森の真っ暗な建築物に、青い炎が灯る。
確かにこの建物では六人もの死者が出ているが、人魂などではなかった。
カンテラ代わりに、和食亭などで小鍋調理に使われる固形燃料を燃やしているだけだ。
幸い着火用具もあれば固形燃料も数を持っており、しばらくは明かりに苦労せずに済みそうだった。

「ハ、あいつに感謝するのはこれっきりダナ」

この道具を持っていた野郎が夜を向かえる備えをしていたことを、多少はありがたく思う。
リンはまだ辛うじて崩れていない工場の一階を歩いていた。
幾度に渡る激しい戦闘により、工場はいつ潰れるかもわからない状態だった。
工場には部屋という部屋の間に防火シャッターが下り、リンの行動範囲を制限していた。
武器が刃こぼれするのはもったいない上、バールのような破壊する道具もなかったので、所々ぶち抜かれたシャッターをくぐっていく。

ゆく先々の部屋の機器は止まって飴のように曲がりくねり、機械油がダラダラ零れている。
部屋を一周し、どこにも妙な仕掛けがないのを確認してから、また次の破れているシャッターの部屋で同じことを繰り返す。
探しものがあるのだ。
0095狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 11:06:31.77ID:jTsS9zEe
小さな火で辺りを見回していると、グラトニーに飲まれ松明片手に右往左往した記憶が、催眠術のように浮かんでくる。
『暗闇に火』が、ちょうどあの時の状況に似ていたからかもしれない。
エドワードは松明を口にくわえてまでして、引き摺る勢いでリンを連れていこうとしていた。
エンヴィーの身体、クセルクセスの器無き者にまで情けをかけていた。

炎が揺らぎ、我に返る。


一瞬無防備だったが、襲われる危険はなかった。
何せ工場にはリンしかいないのはわかっている。人の気配が感じられない。
……ついでに、なぜか日中よりも龍脈が鮮明に感じ取れる。

いつもより霞がかっているのは変わっていないが、磨りガラスを一、二枚取っ払った程度に感覚を取り戻している。
島に身体が慣れたのか、それともバラバラ人間になった副作用なのか。
どのみち、悪いことではない。
ともかくも復活した感覚とかすかな灯火を頼りに、『目当てのもの』を探す。

一つ目の固形燃料の炎が消え始める。
チャッカマンを出しながら廊下の角を曲がると、あっさりと『目当てのもの』へつながる地下への階段が見つかった。
二つ目の固形燃料に火を灯し、見てくれは悠々閑々と、実際には足裏に嫌な汗をかいて進む。
手すり付きの更なる闇が、奈落のようにぼっかりと開いていた。
泉下の客にしようと、真っ黒な手が招いている気がした。
ここを降りて行かなければ『目当てのもの』に出会えない。

片手を手すりに、空いたもう片方を武器に伸ばす。
指先が軽く手すりに触れた。
やけに冷たいその感触に、急に後足を踏んでしまう。
尻込みするほど暗い地下に、思考が吸い込まれる。
この先に『目当てのもの』があるのに、階段を降りるどころか手すりにすら触れられない。
鼻白んだまま立ち尽くす。

逡巡する原因など、判りきっている。





探している『目当てのもの』は"もの"である。
"人"ではない。
エドワードでは決してない。
それどころか、彼を探すつもりは全くない。
0096狂い咲く人間の証明
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2011/09/15(木) 11:07:08.11ID:jTsS9zEe
エドワードよりも優先して『目当てのもの』を探している事実に、つのっていた罪悪感が身体と一緒に凝り固まって動かない。

獣に因縁があったらしきナガレとかいう男を刺したら、もうエドワードと合わせる顔がないのだと気づいていた。
彼はどんな絶望下でも他人に希望を捨てさせない。
人道主義で、人殺しを何より厭い、誰より命の重さを知っている。
誰にも覆すことのできない強固な信念だと知っていながら、リンはナガレを突き刺した。
それはエドワードの生きざまを否定する裏切り。
味方の砦の壁にハンマーをぶちかまして大穴を空けたも同然だった。
遺恨を晴らした代償はあまりに大きく、そして益は何もない。

死んだ人のためだけに、一人の仲間の信頼を失うのはバカだと、もしアルフォンスがいたならそうたしなめたかもしれない。
それでも、エドワードに背いてでも、あの男に一太刀くれてやらねばならなかった。

あの男を許してはいけないのだ。
どういった理由もなく、大事な部下を殺したのだ。それもどん底のどん底まで突き落とす形で。
死んでも死ななくても咲夜はグリードの大事な部下。庇護対象だ。
意味もなくズタズタに汚された彼女を救いたかった。
ナガレと同じ身に堕ちると知っていても、だ。

これをエドワードが知ったら酷く憤慨するのが目に見えている。
だが……血ヘド吐いて悩み苦しみぬいてまでリンを許そうとするだろう。彼は優し過ぎる。

彼を、彼自身の信念とリンの罪の間で苛ませたくはない。
会う訳にはいかないのだ。
黙っていればいい、とも考えたが、それはナガレと同じ轍を踏むことであり、ナガレに殺された咲夜に対しての冒涜となる。
咲夜にまた泥を塗るのは絶対に嫌だった。

だからエドワードと袂を分かち、合流も共闘もせず別の道を辿ろうと決めた。

彼の無事を祈っているのは本心だ。
気丈な友人である。
勇敢な同士である。
大切な仲間である。

友人で同士で仲間だから。だったから。
傷つけないために、何よりここの島に来ても揺らぐことのない己の使命を貫き通すために、エドワードとの決別を選んだ。
ならこれからなすべきことは何か。

彼とは別のやり方で《神》への反逆と脱出を試みる。
それを前提に、今はやるべきことから片付けていく。
エドワードを探す時間が省かれたので、その分の労力を皇帝への橋頭堡を築くために注ぐのだ。

――結果的に、仲間を捨てて地位の確保に走っている自分が嫌になる。心気が湧く。

0098狂い咲く人間の証明
垢版 |
2011/09/15(木) 11:07:41.13ID:jTsS9zEe
独善的。身勝手。
王の器がこれでいいのかとせめぐ心を無理に押さえ込む。
一歩たりとも戻るつもりもなく、脇目ふらず猛進する。
バラバラの実を食って人間を辞めたとき、そう誓ったはずだった。
悩むのはいくらでも後回しにできる。


「……行ってやるサ、何を捨ててモ」


階段に向き直った。
氷を知らない子供が恐る恐る扱う風に、また手すりに触れた。今度はしっかり握る。
ゼンマイ仕掛けの人形のように、機械的に足を出す。
この下に、皇帝に一歩また近づく『目当てのもの』があるのだと思うと、何か大切なものを挽っ切った身体も少しは軽く感じられた。



「……でもナ、人間捨ててモ、皇子を捨てる訳にはいかないんダヨ」

底無しにも見える階段を、そう呟いて一段一段降りていく。
再び人ならざる身へ、今度はグリードのように強制的ではなく、完全なる自分の意思で変貌した。
もう人間ではない。妖怪か化物だ。
罪のけじめとして、化物の身を受け止めたい。

皇帝という立場は、人類が辿ってきた進化を捨ててでもなるべきであり、
自分にはそれになるために存在する価値がある。

――と、そうでも言い聞かせなければ、覚悟が歪んでしまう。

『皇子』の単語に、飲んだこともないアルコールに似た麻痺感を求めていた。
まるで失敗を忘れようとスコッチをあおる飲んだくれのようだ。

無辜の民を救う命を受け誕生したも同然の生い立ちだ。
ひどい鉄飯碗時代を打破したい一心で、真の王を目指していた。
民無くして王は無く、暴政を正す。
咲夜の死はその意思を固めた。
彼女のような民を出してはいけない。
手段を選んでいる時間など残されていないのだ。
なりふりかまっていられない。
最悪の場合、例えばエドワードが死んでしまった時は……



眩しすぎる太陽に背を向けて道を行こうとする姿が、どこか流と重なっていたのは、もはや誰も知らないことだった。
0101狂い咲く人間の証明
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2011/09/15(木) 11:11:12.96ID:jTsS9zEe
#####



「ここか」

一日前はまともな姿で稼働していたであろう建築物が、亡霊のように兀立していた。
一階がほぼ瓦礫と化している上の階を支えている。
ひびが少しでも増えたら確実に一階は潰れる。
奇跡的なバランスでまだ崩壊していないが、強風注意と天気予報にある。
今夜中には崩れ去ると思われる。

満月以外に光源はない。
建築物内にも明かりは見当たらず、その陰惨さがより廃墟を廃墟たらしめる。

荷物の確認を終えたナイブズは、工場近くまで車を寄せ進めるように指示をする。
鉄錆臭い風が、後部座席の扉を開いた途端に雪崩れこむ。
爆発がある前にも波乱が生じていたのか、瓦礫やガラスや工業用品、果ては男女かも判別できない死骸が四散していた。
機械が機能していない今となっては、工場というより巨大な墓標である。

案の定火薬や化学薬品といった、爆薬になる匂いはしない。
金属火災が起きた場合、水も消火器も消火用化学薬品も使えない。
金属が化学反応を起こして爆発を誘発してしまうからだが、そういった間違った消火方法をしたでもないようだ。

やはり未知の生体エネルギーが暴発したのだ。
そのエネルギー源も跡形は無し。
しかしエネルギーに混じって、微細な同胞の鼓動を、息づかいを、確かに感じたのだ。
生産の動力源は間違いなく同胞の搾取に寄るものであろうが、肝心の工場はこの壊廃ぶりである。
同胞は機能していない。
機器が稼働している音は一切聞こえず、囲む森は静かなままだ。

天の移ろいが囮であるのは遠からぬ推察だったようだ。
望見したところでプラントの特徴的な形は見当たらない。
ならば予想した通り、見えない箇所、地下に備えつけられていると考えていい。
工場が潰れるのも時間の問題である。
地下にいるぶんには潰される憂慮もなく済むが、閉じ込められた際に脱出のために無駄な力を使うのは惜しい。
早めに事を済ませておくのが吉だ。

「待機していろ」

それだけをミッドバレイに告げると、血がドブのように溜まった建造物へ向かった。
硬直しきった死骸には霜が降り、既に無数の蟻がたかっていた。





シャッターがゆく先々を塞いでいるので骨が折れると思っていたが、地下階段は存外簡単に発見した。
どうも――先客がいるらしい。
か細い炎がカンテラ代わりに揺れていた。
ランタンで照らしゆくと、辛うじて生きていたらしき電灯のスイッチを着けた音がした。
電灯はジリジリと不規則に点滅を繰り返す。

十数メートル四方の部屋に通路が縦断し、床には研究所で仕入れた知識である"錬金術"に使うと覚しき紋様が刻まれていた。

しかし、そんなことはどうでもいい。
そこにいたのは――
0102狂い咲く人間の証明
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2011/09/15(木) 11:11:57.39ID:jTsS9zEe

西沢歩ぐらいの年齢の子供、割れたフラスコ、そして四散した彼女たちだった。


子供は彼女の一人を抱き締めていた。
この子供がプラントドームを壊したとは考えられない。
根元は壊れているのだが、彼女たちは持ちこたえていた。

「……その腕を離せ」

ニューナンブで脅しをかけながら一歩近づけば、子供も一歩離れた。
スイッチの付いた壁に背中を預けたまま、にじって遠くへゆく。
どさりと彼女を下ろし、目付きの悪い子供は腕を上げた。

「置いて出ていけ」
「――アンタがこれと同類だからカ?」

ナイブズの言葉を無視し、子供が小爪を拾う。

「アンタ人間じゃないだロ。
 大体コレと融合したいといったところだろうナ」
「……ヴァッシュに会っているのか」

子供は乾いた唇を舐め、細い目をたぎらせている。
カマをかけられたのだ。

「会ってナイ。そいつは呼ばれたダロ」

ナイブズが人間ではないとわかった奴は初めてではない。
だがこの子供はプラントと同種族だと初対面で言い放った。

「話せ。貴様が割ったのか」

標準を絞る。

「……ナガレって男が身体の"気"を暴走させて自爆しタ。
 気のエネルギーが逆流してオカシクなったんだと思ウ」

"気"という理屈は理解できないが、生命や地上の流れを読むことに長けている能力だと推測する。

「もういいだろウ、ホムンクルス。
 オレはいかなきゃならないとこがあるんダ」

脱兎のように子供はナイブズの横をすり抜け、階段を駆け上がっていった。

彼女たちを集めたが、どうも妙である。彼女たちに意思らしい意思を感じられないのだ。
自爆のエネルギーをもろに受けて、性質が狂ってしまったかのようだ。

そして、破片の大きさと比較して、彼女たちが少な過ぎるとも思った。



――まさか。



子供のディバッグから数枚、羽根が飛び散っていた。
0103狂い咲く人間の証明
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2011/09/15(木) 11:12:16.39ID:jTsS9zEe


#####



ホムンクルスは不老不死に近い生物。
床に散らばった、天使のようなヒトガタはホムンクルスの気と似て非なる。
それでも、妙なエネルギーを創り出している点から見るに、それに近いだろうと思った。

デイバッグにその内の一体を詰めたところで、今度はこのヒトガタと全く同じ気を持つ男が降りてきた。
人間ではない。
一線を画して自立した意思を感じられる。
地下室にやってきた男がこのホムンクルスに似た女――と言ってもいいものか――と同じ性質を持っているのは察することが出来た。
男には二人分の気が入り交じっていた。同じ種別の誰かと融合を果たしたと思われる。
男とヒトガタには繋がりがある。ホムンクルスのように融合ができるのであれば、エネルギーの塊であるヒトガタを吸収しにでも来たといったところか。

デイバッグのヒトガタ、これを持ち帰らなければならない。
何せバラバラの実は食ってしまったのだ。新たに見つけた献上の品を、みすみす吸収させたくない。

さっさとこの男から逃げる選択肢を取った。
工場に侵入した時にはなかった車がお誂え向きに駐車してあるのを見つけたはいいが、
まさか別の人間の逃亡のとばっちりを食うとは考えていなかった。
0106ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 11:17:10.09ID:jTsS9zEe


     カチッ

     ――――ザ、ザザザザザ
     ―――――ザザザザザ
     ――――――ザザザ


----
----
----


ナイブズと合流してからの時間は、やたらと時間の流れが遅く感じた。
特にナイブズが娘へ恨まぬことを説いた時から、顕著に時間感覚が鈍くなっていった。
メトロノームの振り子の重りが一番下に設定されていても、今のミッドバレイにはずっと遅く刻んでいるように思うだろう。
正直、火のついたストーブの上にでも座っていたほうがましである。
ナイブズと行動した時間は、それほどまでに心臓に悪い。
全うできるとは考えられない寿命が更に縮まる。

比較する自体おかしな話だが、あの星でのナイブズより今のナイブズの方が恐ろしい。
ヴァッシュが生きているのであるのならば、戦闘の場へ向かうことが奴を追う最も簡単な手段だった。
爆発のあった方面に行けと言われたところで疑念はない。
だがもうヴァッシュは死んでいる。
工場へ向かえと命令され、深夜の闘技前に虎口へ立ち寄ろうとするナイブズの意図が掴めなかった。

そのせいで車を右左折する度に、手のひらがハンドルに引っ付くほど汗をかいていた。
バックミラーにパソコンなる機器の画面を睨み付けるナイブズが映ると、その矛先がいつ自分に向けられるのかと気が気でなかった。
ブレーキに足をかける度に、本当に行き先が工場でいいのか確認したくなった。
唇が震えてねとつき、確認どころか一言発することすら出来なかったのだが。


二度目の待機に従い、エンジンを止めた。
後部座席にはナイブズが不要と判断し、持っていろと荷が少量残されていた。
服だの何だのとミッドバレイにも必要のない品ばかりだが、一応全部デイバッグに仕舞った。
その中から一つだけ取り上げる。
高級葉巻だ。

ダッシュボードのシガーライターを押す。しばらく後にポコッと軽快に火種を出してきた。
火を点け車から出た。
キーが差しっぱなしのため、ドアを開けると車内灯がつきピーピーと鳴る。
それだけで辺りが喧しくなったので急いで閉じる。

葉巻にはフィルターがないので、タバコのように煙を一気に吸い込めない。
肺には煙を入れず、口腔で味わって吹き出す。
冷えきっている空気が、ダイレクトに口へ入ってくる葉巻の熱を軽減させる。
もう一度煙を燻らし吐き出すと、ニコチンが脳天に効いて冴え冴えしてきた。

両腕を車の天井に乗せ空を仰ぐ。木々の隙間からは陶磁器のような月が覗いている。
終焉に近づいているのを物語るかのように、立ち込めていた雪雲も晴れつつある。
雪雲の残骸に向かい、三口目の紫煙を吹く。
精神安定剤のつもりで口にした葉巻は、望外の効果を現した。
0108代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 12:42:36.11ID:ht5Y8oU+


――逃げよう。



その結論に至った。
ナイブズはいない。
足手纏いの小娘もいない。
レガートもいない。
敵対するような人の気配もない。
ナイブズから、深夜の宴から逃れられる好機は今しかない。

全ての物事には好機があり、十分か不十分かを判断して乗るかを決める。
ミッドバレイが生きていられたのは、見せかけの好機に結果的に乗らなかったのが大きかった。

今目の前を通り過ぎようとしているのは、見せかけでもデコイでもない、正真正銘好機(チャンス)の神だった。
自分自身のためにフューネラルマーチを演奏せずに済む、これ一度きりの機会。
死の恐怖から逃れられる。



趙公明に突き付けられた招待状など、犬にでも食わせて無視を決め込みたかった。
GUNG-HO-GUNSも人外甚だしい集団だが、あれは雷電らどころの騒ぎではない。
とんだバーサーカーな上、戦闘を楽しめるのならば手段を選ばないタイプだ。
その趙公明に、別の参加者に快楽を取られないようにナイブズ共々唾をつけられた。

競技場には恐らく、空中で戦闘をしていた、拳銃でも音を支配しても殺す一手にすら届かない獣も来る。
小娘を人質にとったようにまだ餌を拾っていたのなら、ガサイ・ユノと再会する可能性も捨てきれない。
そもそも既に残り人数が二割程度にまで減っているのだ。
生き残りは相当な猛者だ。
少年探偵や小娘のように保護下に置かれている者、命果報の強運の持ち主が若干名いそうだが、それは数に入れない。

強者同士が相討ちになって欲しい願いはある。
だがそれこそが、自分ではもう口に出せない、出してはいけない二文字。
『希望』だ。
絶望は毒、希望はもっと毒だ。
死線へ飛び込んだらその結末は、自分が死ぬか、すがりついたなけなしの希望をぶち壊されるかのどちらかである。


それでも、少しでも長く生きることに、死を先伸ばしすることに執着がある。
……執着して何が悪いのだ。
行けば確実な死、戻ってもどのみち死。
どちらかのデッドエンドを選ばざるを得ないのならば、好機に乗ってみるのも抵抗として良いものなのかもしれない。

葉巻を噛みすぎ、先端にくっきりと歯形がついた。
地面に落として火を揉み消す。その足は震えていた。

わかっている。これは完全なる一人相撲なのだ。
0109代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 12:44:34.94ID:ht5Y8oU+

『何故おめおめとしているミッドバレイ。
 もう二度と好機は現れないぞ』


天使か悪魔か、それともヴァッシュに憎悪を抱いていたGUNG-HO-GUNSの忠告か。
残り短い命を秤の片側に乗せても、恐怖という分銅が置かれた皿は下がったままだった。

早くナイブズの手が届かない、競技場とは真逆へと向かおうと気が急く。

葉巻を懐へ忍ばせ、キーは車に差したまま離れる。
発車の音でナイブズに気づかれないようにしたかった。

この選択が自分を生かすか殺すか。
相手のいないロシアンルーレットをしているも同然だ。

車から三十メートルほど離れたところで、音界の覇者たる耳が、絶望の音を捉える。
ナイブズとは違うベクトルの、髪の毛すら逆立ち弥立つ恐怖が降ってきた。

白濁の風が、今しがたまでいた場所に刺さる。
垂直落下し奇襲をかけてきた黒い巨体を避けられたのは、鋭敏な耳の賢明な判断によるものだった。
咄嗟に避けてから、趙公明が両断した男と同じ道を辿るところだったのだと思考が追い付いた。
もうもうと土煙が立つはずの地面はみぞれで湿っており、巨体の姿を隠してはくれなかった。

「……楽しめる人間ではあるようだな……」

死神の如き剣を抱えたソレは、ミッドバレイから一切の希望を奪い去った化物そのものだった。
寒夜のせいで化物からは湯気が沸き立ち、好戦的な殺気と共に放っていた。

「来ないのであればオレから――」

化物の言葉など最後まで聞かなかった。
勝ち目など、頭の隅にもない。
ただ真っ先に、最も適当だと思われる行動を取っていた。

サックスのマウスピースをくわえ、肺腑に空気を溜める。
後退、すなわち車へ向かいながら、金管へ息を吹き込んだ。

ミッドバレイと化物を中心に、無音地帯が広がる。
化物の言葉が途中から途切れた。
声が通らないことに多少の驚きを隠せなかったのか、マイクのテストでもしているように喉を振るわせていた。
おおかた「あーーー」とでも言って無音状態を試していたのだろうが、化物の姿では読み取れなかった。

そして、奴は笑った。
笑ったように見えた。
化物はミッドバレイに、戦闘する価値を見出だしたのだ。
音を武器とする者は多くないと踏み、化物にとっては未知の力であろう無音を作り出し時間稼ぎに使った。
音で攻撃するより無音にした方が、状況理解に時間がかかり少しでも長く足止めできるだろう。

読みは的中したのだが、ミッドバレイがした行為は、手袋を投げることによく似ていた。
0110代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 12:45:04.70ID:ht5Y8oU+

サックスを吹きながら車へ一散走る。
呼吸の乱れを無音空間の揺らぎにしないように、走る姿とは裏腹に恐ろしく繊細に奏でる。
焦燥と恐怖に駆られながらも、ナイブズからの逃亡には理由ができたといらぬ考えがよぎった。

車の更に先に、工場から出てきたもう一つ影があった。
闇夜で確認しづらいが、まだ少年の域を出ない年の若い男だ。
そいつも何かから追われるように走っている。ナイブズとでも一悶着あったのだろう。


だが。
辞めろ。
来るな。

遂にマウスピースから口を離し、大声で叫んでしまった。



「車を……取るなああああああぁぁっっ!!!!」



ミッドバレイとまだ子供にしか見えない男は同時に車へ着いた。
しかし車の鼻先が工場側に向いていたのが災いした。
運転席へ座ったのは子供の方で、ミッドバレイが助手席のドアを開けて子供を突き飛ばそうとした時には、既にエンジンがかかりアクセルが思いっきり踏まれていた。

0111代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 12:49:00.85ID:ht5Y8oU+






「何だよあの獣ハ!!?」
「知るか!!!」

工場を出た途端に獣が襲撃する場に出くわしてしまったリンと、突然駆けてきた正体不明の子供に操縦権を奪われたミッドバレイ。
狭い車内で二人の混乱が錯綜する。

運転席へ乗ったはいいものの、リンは運転などした試しは無い。
車を運転する様子を見たことは何度かあった。
それだけだ。
キーを回しギアを動かしてペダルを踏めば動く。
あとは全然わからない。
リンの運転の知識はその程度だった。

この車は現代日本ではありふれたオートマ車だった。
床に密着するほどアクセルが踏まれていたが、車は動かない。
サイドブレーキが上がったままなのだ。
負荷がかかり、引き絞ったアクセルのせいでエンジンが妙な回転音をしている。

ミッドバレイはすぐにでも子供を殺して運転席を開けさせたかったが、死骸を外に出して運転席へ座る暇も残されてなかった。
ゾッドはもう追い付く。
獣の巨体が車内の視野から消える。
真上には刃の気配。



0112代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 12:50:23.52ID:ht5Y8oU+
「――ッ、南無三!」

好機も何もない。
もはや運否天賦。
ミッドバレイは助手席から、サイドブレーキを降ろした。

ゾッドの攻撃の寸前で、車は急発進する。

前輪が上がっているのではないかと不安になる発車スピードだった。
自身が車を動かしているにも関わらず、リンは"信じられない物に乗ってしまった"と目を丸く見開いていた。

サイドミラーを頼りに、ミッドバレイは無駄だと知りつつもベレッタを放つ。

的は大きいが、弾は掠めただけのようだった。
舌打ちし、ベレッタを腰のベルトへ挟み込む。

スピードメーターはどんどん上がるが、進行方向先には工場が聳えていた。
ハンドルをほとんど切っていない。
エイトの介護ジェットの体当たりで吹っ飛ばした扉へ一直線に突進する。
ゾッドは追ってくる。

「ブレーキを踏め! ぶつかる気か!」
「このまま工場内を突っ切ル! というか、ブレーキってどこだヨ!?」
「アクセルの横だ!」
「アクセルとブレーキ一緒に踏んだらどうなるんダ!?」
「壊れるに決まっている……もういい、どけ!」
「もう遅イ!」

焦りと興奮で、ニヒリストのミッドバレイが珍しく怒鳴り散らす。
売り言葉に買い言葉と、リンも声を荒らげる。
押し問答を繰り返している間に、車は工場へ乗り上げた。

すっとんだ扉は車が充分通れるだけの広さはあった。
火花を散らして工場内の次の扉を抜ける。
運転席側のサイドミラーが扉の枠にぶつかって遥か後ろへ飛んでいった。

ゾッドはまだ来ている。
血の海を横目に、折れて飛んでいったサイドミラーをあの剣で両断して追ってきた。
0113代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 12:53:46.63ID:ht5Y8oU+
――ゾッドは闘いに飢えていた。
  ガッツと趙公明との戦闘はメインディッシュとして後へとっておいた。
  キンブリーはまだ一応手を出さないでおく。
  腹は満たされ、武器も調達した今、やることは決まっている。
  音を支配し、見慣れぬ鉄の車と鉛の飛び道具を操り反撃してくる。
  闘うに値する興味深い相手が見つかった幸運を嬉しく思っていた――





いくら通路が広いとはいえ、車が往来できるように設計されているはずがない。
アクセルと、教わったばかりのブレーキを何とか操る。
側面が早くもボコボコになった車が工場を駆け抜ける。
パラパラと、工場が崩壊の予兆を見せ始めた。

今まで通路は直線だったが、リンは一瞬ハンドルから片手を放し左を指差した。

「あそこ曲がりたいんダ!」

ミッドバレイが見たのは、車が直角にでも曲がらなければ通れないT字の通路だった。
ただでさえ通るのがギリギリな通路で左に曲がりたいと無茶苦茶を言う子供に、
そして追ってくる化物に、ミッドバレイは心底恨みの念を募らせた。

白濁の剣はすぐ後部まで近づいている。

……今日はどれだけ他人に妥協と迎合をしてきたのだろう。
現状はその選択の余地すら許さない。

「……限界までアクセルを踏んでから、すぐにブレーキを共に踏め」
「壊れんじゃなかったのカ!?」

答えないミッドバレイに、リンは自分の言った無茶がどれだけ大事なのかを知る。
0114代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 12:58:03.48ID:ht5Y8oU+
角の手前でリンはシートベルトを今更締める。
アクセルを踏みつける。
そして高い所から飛び降りたように、両足でペダルをダンッと押し付けた。



   バルルルルルルルルッ!!



とんでもない吹かし音が出てきた。

アクセルとブレーキを同時に踏むと、安全面の問題でブレーキが優先される。
しかし急に止まる訳ではない。

助手席を抱えフロントガラスとの衝突を避けながら、ミッドバレイはギアをバックに入れる。
次の瞬間、リンの手をはたき落とし、ハンドルを目一杯左へ回した。
タイヤが甲高い悲鳴を上げる。
更にサイドブレーキを引く。
車は一気に横を向き、トランクルームが今まで通っていた通路の右壁にぶつかる。
即座にサイドブレーキを降ろす。

後部はぐしゃぐしゃになったが、ボンネットはリンが指した通路へ突っ込んでいた。
運転席側の壁には右前輪が三十センチぐらい乗り上げている。
素早くギアをドライブへ叩き入れ、

「アクセルを踏め!」

リンはその通りに思いっきりアクセルを踏みつけた。
ミッドバレイはハンドルを右に切る。
ガリガリとホイールキャップが削れていく。
さっきサイドミラーが取れなければ、引っ掛かって進めなかった。
それほどギリギリの運転をかましたのだ。
バウンドして車は水平に戻った。
0115代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 12:59:53.43ID:ht5Y8oU+
「――進行方向、シャッターが閉まってるぞ!」
「ここをブチ抜きに来たんダ!!」

直進へと直したハンドルをリンはまた握る。
シャッターが鎮座している袋小路へ、ミサイルのような勢いで突進する。

ミッドバレイは足を突っ張る。
リンに至っては、運転手にあるまじき目瞑り運転をしていた。

全てがスローに感じた。

まずナンバープレートがシャッターと対決し、あっさりとぶっとんでいった。
しかし次鋒のバンパーが小さくも穿つ。
一度穴が空いたシャッターは、ボンネットにより破られた。
普段なら耐えられるよう作られたシャッターも、度重なる戦闘により傷んでいたらしい。
ボンネットをくぐらせたシャッターは、フロントガラスを引っ掻き傷だらけにする。
リンが未だに目を瞑っている間に、ミッドバレイは座席を倒し、後部座席へ移る。

シャッターに空いた穴の縁が車の屋根を舐め、遂に突破した。

その先には、工場とはかけ離れた景色が待っていた。
寒色で塗り固められている。
大量の水がボコボコ循環する、巨大な水槽が立ち並んでいた。
観光地である水族館の通路は、工場とは比較にならないほど広かった。
しかし巨大な追っ手にも好都合でもある。

非常口のワープ空間の奇妙な気配をリンは感じており、どうにかシャッターを片付けられないか画策はしていた。
こんな形で破るとは想定外だったが。
そしてワープ先が水族館なのも嫌な意味で想定外だった。
周りは大量の水の壁。
何かの弾みでガラスが割れでもしたら、悪魔の実の能力者になってしまった身体では不都合である。


後部座席に青色の光が落ちる。
ミッドバレイがサンルーフを開けたのだ。

シャッターの穴からゾッドが追ってくるのが見え隠れする。
まだ逃走劇は終わっていない。

銃器だけは種類を持っている。
ミッドバレイがディバッグから出したのは、第一放送前に三人を葬ったイガラッパだった。
愛用のサックスの弾を残しておくためイガラッパを構える。

あの巨体がポップコーンのように弾をはじく、嫌なイメージが浮かぶ。
散弾銃ゆえ、一撃必殺の用途ではない。
人間ならまだしもあの獣に対しては、期待できないほど威力が弱いだろう。

ミッドバレイは運転席の座席を後ろから蹴り上げる。

「目を開けろ……死にたいのか」
「細目で悪かったナ、もう開けてル!」
0116代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 13:02:47.35ID:ht5Y8oU+
早く化物を車から引き離し、運転席の子供を殺処分して、より遠くへ逃げなければならない。

刃が大穴の空いた鉄製シャッターを、剃刀が紙でも切るように横一文字に寸断した。

「集中しろっ……」

移動する車での演奏など、ドップラー効果の影響をもろに受けるシチュエーションだ。
キャラバンの音楽隊でもやらない。
こんな悪条件、今後は御免蒙る。

風を、吸い込む。



     ――――ッ……



途絶える。
エンジン音、水音、銃声、破壊音、全てが消える。
どこまでも静寂である。

神経が倍磨り減ったとはいえ、五線譜にも載っていない音色は、通常と遜色ない働きで相殺していた。

二度目の無音に寸時反応した化物。
その一瞬に貴重な散弾銃を懸けて引き金を引く。

0117代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 13:03:48.10ID:ht5Y8oU+


     ッ!
     ッッッッッ!
     ッッッッッッッッ!!!!!



作用反作用で身体が振動する。
今――あの時勝てる見込みなどないと絶望させた化物に――弾をくれている。
歯の根が噛み合わないのを抑えなければ、微細な隙ができてしまう。
恐怖がマウスピースに伝わってしまった時が今際となる。

化物の、筋肉の鎧へ一斉に弾が向かう。

蠅を払うように、剣の面で一蹴される。

それでも散弾銃は散弾銃だ。
剣の軌道よりもずっと広く弾は拡散する。

皮膚に穴が空く。
血液が噴出する。
角は削れていく。

化物の追う勢いは止まらない。
ただ多少、本当に多少。
化物にもダメージを負わせられるのだと、銃器の殊能性に安堵する。

相変わらずリンは、車に運転をさせられているような、危なっかしい操縦をしていた。
突然音の消えた世界に白黒していたが、いかんせん前だけを向いていなければならない。
柱形の水槽を避けながら、広いフロアを突っ走っていた。
バックミラーと、音がせずとも皮膚にビリビリと伝わる銃撃の衝撃波で、男がどうにか武器で立ち回っているのがやっとわかった。

ミッドバレイは残り弾数半分のイガラッパを全弾撃ち尽くした。

迫る化物は、とても満身創痍には見えなかった。

必要のなくなったイガラッパをぶん投げる。
サイドミラーより大きなイガラッパも、剣で金属片の輪切りへと変貌した。
剣の餌食となれば、自分もこうなるのだ。
0118代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 13:06:11.53ID:ht5Y8oU+
急いでミッドバレイはサックスを手繰り寄せる。
片足は後部座席へ、もう片足は運転席の背凭れへ。
背中をサンルーフの角に固定する。
冷や汗が風で乾いていく。
もう一度。
肺が破裂する限界まで息を吸い続ける。
化物が無音の世界に身構えるのがわかった。
もう無音にするのは効果がないだろう。



     ――――ウァァンッ!!



何とも形容し難い、そしてあらん限りの大きな音が辺りを包む。
耳が揺らぐ。
空気が波打つ。
酸欠になり目が霞む。
息を長く吐き続ける。

一度の息継ぎでまた大量の空気を吸い込み、サックスへ流す。
小さな亀裂音にて、音界の覇者の、全身全霊のソロパートがフィナーレを告げた。

分厚い水槽のガラスにヒビが入る。
厚さ十数センチはあろう強化ガラスが、破裂した。
ミッドバレイはガラスと共鳴する音を奏でていた。
ガラスは破壊しても鼓膜は破れない、信じられない技術技巧だった。

水槽から、怒涛の勢いで水が暴走する。
上下左右、車が通り過ぎた片っ端から水が溢れ出す。
車の形をしたハリケーンでも走っていくかのようだ。
数トンはあろうかという水の固まりがゾッドを襲う。
0119代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 13:15:48.11ID:ht5Y8oU+


「――面白いじゃないか」


ミッドバレイの一挙一動が、ゾッドを好奇で震え立たせ、更なる戦闘へ駆り立てている。
足掻けば足掻くほどに悪循環を辿っていたのだ。




車はフードコートの机を撥ね飛ばし、土産コーナーをあらかたぶっ壊し、
にこやかに『またきてね〜♪』と合成音で笑うイルカのモチーフを大破させてやっと屋外へ脱出した。

後ろにゾッドは着いてきていなかった。
月だけが笑っている。
街路樹がさざめいている。

水族館前の通りを爆走させる。
一刻でも早くゾッドから離れなければ――



     カシン。



小さな金属音が重なる。
後部座席からミッドバレイが、腰から抜いたベレッタをリンの脳天に定めている。
引き金に掛かる指が動かないのは、宙に浮いた左腕が包丁を持ち、ミッドバレイの首に切っ先を当てていたからだった。

リンはサイドミラー越しに睨みつける。

時速は六十キロ。
今リンを殺したら、やはり死体を片付けるまでに車は大事故を起こす。
車を止めさせるための脅しだ。
牽制するように、隠し持っていた包丁を突きつけたが、ミッドバレイが死んだらゾッドに対抗する手段がない。

運転席にいるリンが何とか主導権を握っている。
アクセルを踏み続けている限り殺されはしないのだが、逆にガソリンが尽きたらリンの命はそこで終わる。
それを考えたらミッドバレイに有利とも言える。
どんどん加速し続ける車内で、二人は膠着状態になる。
0120代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 13:17:04.67ID:ht5Y8oU+
ミッドバレイは浮いた左腕を忌々しく睥睨する。

「……人を食ったような手品だな」
「そりゃドーモ。
 立場柄、殺気には鋭くてネ」

月の光が通りを照らし――嫌な形の影が車上に落ちる。
開けっ放しだったサンルーフが突然光を遮られる。



「……う、え、カァァァァッ!!!!?」

リンが叫ぶ。
ミッドバレイからは、月の逆光で真っ黒になった影が凄まじい勢いで大きくなっていくのが見えた。

アクセルをベタ踏みする。
低速ギアに切り替わる。
時速九十キロをみるまにぶっちぎる。

工場の発車時とは比にならない急加速で、猛烈なGが二人をシートに押しつける。

いる。
化物が来ている。
振り切ってなどいなかった。



水のアタックは確かに効いていた。
だがゾッドは水が溢れる水槽へ、逆に飛び込んでいた。
巨大な水槽は、水上部分が屋外へ通じているタイプだった。
屋外イルカショーが開催される水族館では、ありふれた設計だ。
そのまま中空へ飛び抜け、空から車が出てくるのをてぐすねひいて待っていたのだ。

「這個混帳東西!」

えげつない罵声を母語で漏らし、リンは思わずハンドルを左に切る。
完全なる初心者の失敗をおかした。

「馬鹿野郎!」

みぞれも溶けきらない道での急な方向転換に、車は酷いスピンがかかった。
車内はミキサーのようにぐわんぐわんとかき混ぜられる。
左回転だったため、遠心力で二人して右のドアに叩きつけられる。
大通りであったことが功を奏して、電柱にぶつからずに回転が弱まる。
これ幸いにと、くらむ頭を堪えて再びリンは車を走らせる。

どうも一回転強、回ったらしい。
さっきの進行方向の丁度九十度左を向いているようだった。
海に向かう方面である。

細い路地が行く手に伸びる。
彼方には墨汁でも湛えたようなどす黒い海が見える。
体勢を立て直せない。

「くそッ……儘ヨ!!」
0121代理 ロシアンルーレット・マイライフ
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2011/09/15(木) 13:18:16.66ID:ht5Y8oU+
Uターンで引き返せない路地をひた走る。
右腕だけで車の尻を振る不安定な走行を繰り返す。

だがふと……リンは一つ、気味の悪いことに気づいた。
無茶苦茶に走らせていたつもりだったが、よく考えてみれば……

車で通ってきた道は龍脈に沿っていた。
ワープの空間が何となくわかるように、無意識に龍脈の上を通ってきている。

むしろ龍脈を通りさえすれば、例え狭い道だろうが通路だろうが、行き止まりや道に迷うことはなかった。
今も龍脈の道しるべに沿っている。
次は右、今度は左と、嫌にナビゲートのように続いているのだ。
ちらりと横を見やれば、細い路地からまた更に枝分かれしている路地はほとんどが袋小路である。

山の奥に入れば入るほどもやがかかっていた感覚も、山を下りたら鮮明になってきている。

『いつもより霞がかっているのは変わっていないが、磨りガラスを一、二枚取っ払った程度に感覚を取り戻している。
島に身体が慣れたのか、それともバラバラ人間になった副作用なのか。』


違う。
龍脈の乱れが正されている。
鍵を開けたように、誰かが解放したのだ。

誰が。
なぜ。
このタイミングで。

だが今はこの破天荒なドライブをどう終わらせるか考える方が優先だ。
どう龍脈から読み取っても、次の角を過ぎた途端にカーブが待ち構えている。

発車時より随分と速度は落ちているが、このスピードでは曲がりきれるかどうかわからない。

「……なぜ道がわかる」

盛大な舌打ちでミッドバレイは運転席の座席ごと右腕を回し、ベレッタをリンのこめかみに突きつけた。
歯噛みしてリンも首に包丁を押し付ける。

ミッドバレイも、小道を猛然と走り続けられる不自然さには疑問を抱いていた。

「オレにはナビゲート能力があるんだヨ!」

大嘘。

「次の角で死ぬカモ」

これは大体合っている。

「なら……ナビになれ」
0122代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 13:20:07.68ID:ht5Y8oU+



車を正面から見た者がいたら、状況が理解できないだろう。
ミッドバレイがギアとサイドブレーキ、ハンドルの三点を、後部座席から腕を伸ばして操ろうとしている。
カバーしきれないハンドル動作をリンが右手で補完する。

何より、互いの凶器は互いを向いたままだった。
ハンドルやギアを握る手が震えていても、凶器を持つ手にはブレも迷いもなかった。

「右へ曲がる大きいS字カーブ、そのすぐ後にまた右に折れル連続コーナーダ!」

これを抜かないと、確実にゾッドに追い付かれる。

「今の速度は」
「八十キロダ!」
「左へ切れ!」

すかさずリンはハンドルを回す。
が、素人の手前、回し過ぎる。
回し過ぎるのを見越して、ミッドバレイはハンドルを必要以上に回転させるのを食い止める。

軌道をふくらませ、左のガードレールに擦り寄るほど近づく。
直ぐに右へ切り返す。
止まることなく、カーブの外側から内側へ真っ直ぐ突き抜く。
ちょうどS字の中心部を真っ直ぐつっ走る状態だった。
最初のカーブをクリアする。


短い直線路が次のカーブへ入る前に伸びている。

「フルパワーで加速しろ!」

カーブを抜けるためではない。
ゾッドを少しでも振り切ろうとの足掻きだった。

エンジンが咳を吐いている。
アクセルのレスポンスが悪い。
車の寿命が短くなっている。
ガソリンの有無に関わらず、ベレッタの弾がリンの頭蓋骨を貫く時が近づいている。

二つ目のカーブへ飛び込む。
カーブの内側へ車を引き寄せていたが、恐ろしい悪路だった。
みぞれどころか、雪がまだ溶けきっていない。



     ギャギャギャキキィーッ!



ハンドルを左へ回した。
左へ曲がれるように車の右半身が浮かせられたのはいいが、肝心の左のタイヤ二つが横滑りする。
0123代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 13:21:35.21ID:ht5Y8oU+

水と雪が飛沫になり、轍を残す。
二人はまた右のドアに体当たりをすることになった。

ミッドバレイはサイドブレーキを引き上げた。
後輪にブレーキが掛かる。
地面に触れている左後輪を軸に、前車体もほんの数センチか浮く。
左回転のドリフトの余韻を受け、コンパスが回るように車体が向きを変える。

ドスンと機体が落ちた頃には、車の鼻先が進みたい方向へ向いていた。

サイドブレーキを戻し進ませる。

最後のカーブへ差し掛かる。

――が、道路中央に突然白い柱が立った。

化物が持っていた白濁の剣だった。

二人の進行方向へ投擲のように剣を投げたのだと認識した瞬間。
逃亡してきた全てが台無しになった。

リンが剣を避けようと必要以上にハンドルを切り、それがガードレールに接触する結果となった。
ギアもサイドブレーキも動かしていられなかった。
車はきりもんでガードレール外へ弾き出される。

ドアが飛ぶ。
ライトが飛ぶ。
フロントガラスが砕け散る。
血が流れる。
銃声が轟く。
0124代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 13:22:39.79ID:ht5Y8oU+





全開のままのサンルーフから、ミッドバレイが先に放り出される。

宙に投げられている中で見たものは、バラバラになって車外へ脱出したリンと、未だきりもみ回転し続ける車だった。
リンの左手と左二の腕には大穴が空いている。
急ハンドル切りでベレッタはこめかみから外してしまったが、浮いた左手に押しつけることはできた。
跳弾覚悟で手のひらど真ん中を吹き飛ばしたのだ。
どこをどう通ったのか、跳弾はリンの二の腕を貫通させていた。

左肩からは掠めた包丁による血が吹き出し、右肩は二度に渡るドアへの強打のせいでひどく痺れている。
横腹からコンクリートに落下した。
ごきりと肋骨から嫌な音がする。
傷みを感じる間もなくバウンドし、次は背中が擦れていく。
背広に穴が空き、シャツが剥き出しになったところでまた跳ねる。
それでも目はリンを追う。
最適な道を選ぶ能力を持つと言う子供が左半身を真っ赤に染めながら向かったのは、
確かに安全であろう、化物では入れない大きさの地下下水道出口だった。
0125代理 ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 13:24:08.64ID:ht5Y8oU+






銀時と沙英がデパートから安全に離れる時に使ったような、妙に、いや不自然にきれいな下水道だった。
嗅覚を通りて過ぎて眼球や舌を刺激する、腹の底からむせかえる臭いがしない。
下水道らしいのは、汚水の流れに所々ゴミが引っ掛かっている点ぐらいだ。
光のない下水道を、リンは壁に手を当て頼りにしながらひた走る。
その壁にすらぬめりがない。異様なまでにきれいだった。

下水道は何キロも伸びていた。
真っ暗闇を下水道が続くだけ走る。

遠くへ。
とにかく遠くへ。
早く水辺を離れなければ。
早く化物から離れなければ。
その一心だった。


音が反響するコンクリート造りの下水道で、足音が途絶える。


走れど走れどするはずの音がしない。
地面を踏みしめているのかが曖昧になる。
光が無い、音が無い、声が出せない。
闇の果てに置き去りにされたようだった。
左腕の傷みだけが正気を保たせる。

今はどこを走っているのだ。
自分は何をしているのだ。
どうしてこんなことになっているのだ。

狙われている。
狙われている。
狙われている!



「    ッ!」



ちくしょウッ! そう叫んだつもりだった。
右足に灼熱を感じた。
穴が空いたと直感的に思い、その次の瞬間には大切な大切な部分が欠けていた。

べちょり。

そう聞こえた気がしただけで、血が飛び散り、桃色の肉が落ちる音は消し去られた。
見えすらしなかった。


眼前にリンの知らない、幻の皇帝の背中が見える。
年をとったランファンに似た女が仕えている。
シンの民族を束ね、正しい政治を治める。
理想の皇帝の姿。
0126ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 15:25:35.71ID:jTsS9zEe
これは、誰なんだ。

そこはオレの席だ。

どいてくれ。

振り返った皇帝の顔は。

そこで頭にノイズが走る。



何がいけなかった。
どうしてこうなれなかった。

『オレの役目は皇帝ニ――』









ああ。

仲間というルールを。

破った時点で。

皇帝になる運命は。

否定されて。

新しい因果が。

決まってしまったのか。
0127ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 15:26:54.82ID:jTsS9zEe






最後に。
さぁ力を振り絞れ。
狙撃者は近いぞ。
あの男は自分の身体をどうするか。
予想しろ。予測しろ。
腕を伸ばせ。
そして掴め。
強く掴め。
死んでも離すな。

人の道から外れたなら外れたなりに。
やることがあるだろう?








暗闇から、更なる暗闇へ落ちていった。



0128ロシアンルーレット・マイライフ
垢版 |
2011/09/15(木) 15:28:28.79ID:jTsS9zEe





服がズタズタでも。
右半身が腫れても。
首の傷が痛んでも。
肋骨が骨折しても。


「……生きているな……」


その一言に尽きる。
分厚い土とコンクリートの壁に阻まれ、化物は下水道に入って来られなかった。
逃げられたのだ。
化物から、そしてナイブズから。

目の前には、蜂の巣になった名前も知らない子供が転がる。

もはや用済みの人間だった。
ベレッタを残り弾数全てぶちこみ、その殆どを食らった子供は当然のように事切れていた。
蹴り上げ、死体を下水道へ落とす。
浮きもせず、汚泥にまみれて沈み流されていった。

ランタンをかざし、辺りを確認する。
よく見るとすぐ真上に、下水道からマンホールに繋がるかぎ梯子が伸びていた。
下水道に入ってから痛む身体をどうにか動かし、しばらく移動し続けていた。
ここは今どの辺りにあたるのだろうか。
このまま歩いて立ち入り禁止区域に知らずに入りたくはない。

とにかくここを上がっておきたい。
梯子に軋む手を掛ける。



----
----
----



     ――――――ザザザザザザ
     ―――――ザザザザザザ
     ――――ザザザザザザ



     プツッ
0129人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 15:30:28.61ID:jTsS9zEe
ナイブズが耳をすませたところで、もう声も音も聞こえなかった。

「……これが最後の記録か」

ボイスレコーダー――正義日記――は、工場に入ってから奇妙な形でミッドバレイと再会するまでの出来事を辿っていた。

ザザザ――と耳障りなノイズで再生が始まり、やはりノイズで再生が終わった。

不要の品を隠れ蓑に、正義日記をONにしたままミッドバレイに押しつけていた。
日記とするぐらいだ。容量は半端なく大きい。
デイバッグの中で、ミッドバレイと子供がどういった行動を取っていたのかが全て記録されていた。

元々はミッドバレイを見張るだけに入れたのだが、騒乱がまるでブラックボックスのように克明に残されている。



「普通は死人に口無しと言うだろうが……ホーンフリーク」



今ナイブズは、かぎ梯子を降り下水道にいる。

カンテラで照し、目の前で首を折って死んでいるミッドバレイへ、ナイブズは語りかける。





全ての因果を知るには、リンが工場を飛び出した時間まで遡らなければならない。



#####

0130人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 15:31:23.70ID:jTsS9zEe
車の吹かしと破壊音が地上から唸って聞こえた。

地下室に散らばっている"彼女"を一人だけ引き上げ確認する。
鼓動は確かに感じられる。
しかし"彼女ら"は、ナイブズの知る同胞、プラントとは別物になってしまったように思えてならなかった。
しっかり形が残っているのだが、生産の能力は失われていた。
それぞれの意思すら、ない。人間でいうなら、脳死のような状態に陥っている。
意思が未知の生命エネルギーにより内部から壊されていた。
融合をしたら取り返しのつかない事態に発展すると、本能的に悟った。
皆既月食について考えたからこそ、手出しが出来ない。

子供がプラントの一部を持っていったのに手出ししなかった理由はこれが大きい。
融合は……無理だと判断した。
無言の助け声に、謝罪を述べる。

プラントドームに『01』と数字が振られている。
まだどこかにプラントドームが『02』『03』などと割り振られ存在する証だった。

同時に、生産ラインの動力源して同胞を結びつけた者と、同胞を内部レベルで書き替えてしまったエネルギーに、やり場のない怒りを抱く。
工場は生産を止め、エネルギーの主は自爆しているというのだから尚更だ。
報復も、エネルギーの解析も出来ない。
怒りの矛先は《神》へ向けられる。


だが失望だけしているのではない。

地下室を横切り、通路が通じている。
片側の扉は緩んでいる。
あの子供が開けてみようとしたか、何かしらでこじ開けようとした跡は残されていた。

エレザールの鎌を僅かに開いた隙間に入れ、力任せに破壊する。
鎌の柄はもげ、扉は歪んだ。
鎌を捨てた途端、爆破解体のように、建築物破壊が目的だとありありとわかる爆発が起きた。
地下室まで潰れはしなかったが、瓦礫の崩落音に階段を見ると、崩れたコンクリートで塞がれていた。
薄々予感はしていたが、やはり退路は断たれた。


「……ここしかないのか」

0131人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 15:32:08.31ID:jTsS9zEe


出力を最低限まで抑え、目では見えない刃を出現させる。
扉だけを一刀両断する。
この程度の出力であれば、貴重なエンジェルアームの限界値を削ることもないだろう。

この工場は巨大な墓標。
死んだのは人間だけではないと、プラントも被害者なのだと、この墓標に刻んだ。


「またここに来る。
 ……《神》の首を持ってな」


なじられたプラントを背に、そう誓う。

工場を抜けるついでに、この通路の先を確かめるのも悪い話ではない。
方角や通路の造りから考えると、研究所へ続いているのだろう。

進んだところでいくつかの部屋と、通路をまた塞ぐ扉が並んでいた。
一つドアを開けるとそこは部屋ではなく、外へつながる螺旋階段がそびえていた。



神社の付近だと思われる、コンクリート舗装された道の傍らに出口があった。
遥か遠くの月が森を照らす。
見上げれば木々は逆光で黒い影になり、見事なまでに切り絵そっくりの形となっていた。
灯台が一定の間隔を空けて、夜空をビームのように貫く。
いやに清爽な、胸をすり抜ける風が吹いている。
嵐の前の静けさ、その言葉がよく似合う。

ざわざわと騒ぐ森に異色な、地下から何かを打ち付ける音がした。

十数メートル先のマンホールが、よろよろと開いた。


0132人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 15:37:12.92ID:jTsS9zEe

#####



ようやく、ようやく逃れ解放されたのだと安堵した。

だがなぜだ。

なぜ。

ナイブズが真っ赤なマントをたなびかせてそこにいる。

工場にいるのではなかったのか。

偶然にしては出来すぎだ。

追ってきていたのか。

何もかも見抜いていたのか。



正しい選択など、最初から存在しなかった。
好機など、ミッドバレイの人生には、最初から存在しなかった。
反抗も、逃亡も、何一つ利をもたらさない。

微かな希望を叩き折るような絶望。
逃亡の決意は霧散した。
目の前の男と会うことは、確約された死と対峙することだった。

歯の根が合わず、指に汗が溜まる。

時間が今度こそ止まった気がした。

創痍の身でやっと掴んだ地上の光が、目に届かなかった。
0133人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 15:37:47.06ID:jTsS9zEe
#####



工場を爆破させたキンブリーは、ゾッドの帰りを待っていた。
旋回するように戻ってきたゾッドは、デイバッグを一つ抱えていた。

「楽しめましたか?」
「あれでは物足りんな」

びちょびちょに濡れたデイバッグをキンブリーに放って寄越した。

下水道から流れてきた死体から荷物を回収することが元々の目的だった。
趙公明とメールのやり取りから、『賢者の石の材料のような物が手に入る未来』は、ゾッドが工場を襲来すれば、やってくるとのことだった。
ゾッドは荷物を持って帰ってきてくれると、そう予知されているらしい。

ゾッドは戦闘を楽しめる。
キンブリーは『材料のような物』が手に入る。

ゾッドに回収を依頼する代わりに、また武器を作ると約束を交わす。
これで利害は一致した。



デイバッグには点火装置や燃料、誰かの日記が入っていた。中身は濡れていない。

そして――


「……何ですか、これは」


さしものキンブリーも驚く。
これは生きているのか、死んでいるのか、人間なのか、天使なのか、合成獣なのか――



【ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク@トライガン・マキシマム 死亡】
【リン・ヤオ@鋼の錬金術師 死亡】
0134人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 15:38:33.37ID:jTsS9zEe
【E-6/工場脇/1日目/夜中】

【ゾッド@ベルセルク】
[状態]:全身に火傷や弾創などのダメージ(小、回復中)
[服装]:裸
[装備]:
[道具]:キンブリーの錬成した剣
[思考]
基本:例え『何か』の掌の上だとしても、強者との戦いを楽しむ。
1:出会った者全てに戦いを挑み、強者ならばその者との戦いを楽しむ。
2:金色の獣(とら)と決着をつける。
3:趙公明の頼みを聞く気はないでもない。武道会に興味。
[備考]
※未知の異能に対し、警戒と期待をしています。
※趙公明に感嘆。
※ゾッドの剣は神器『快刀乱麻』のような形をしています。

【ゾルフ・J・キンブリー@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[服装]:白いスーツ
[装備]:交換日記“愛”(現所有者名:キンブリー)@未来日記
[道具]:支給品一式×3(名簿は2つ)、ヒロの首輪、キャンディ爆弾の袋@金剛番長(1/3程消費)、ティーセット、小説数冊、
   錬金術関連の本、学術書多数、悪魔の実百科、宝貝辞典、未来日記カタログ、職能力図鑑、その他辞典多数、改造AED
   浴衣、刺身包丁×2、安藤(兄)の日記、食糧3人分程度、固形燃料×8、チャッカマン(燃料1/3)、降魔杵@封神演義、プラントの一部
[思考]
基本:勝ち残る。
0:何ですか、これは。
1:趙公明に協力。
2:パソコンと携帯電話から“ネット”を利用して火種を撒く。
3:首輪を調べたい。
4:安藤やゆのや潮が火種として働いてくれる事に期待。
5:神の陣営の動きに注意
6:エドワード・エルリックに接触する。
7:神の陣営への不信感(不快感?)条件次第では反逆も考慮する。
8:未来日記の信頼性に疑問。
9:白兵戦対策を練る。
10:西沢さんに嫉妬??
[備考]
※剛力番長に伝えた蘇生の情報はすべてデマカセです。
※剛力番長に伝えた人がバケモノに変えられる情報もデマカセです。
※制限により錬金術の性能が落ちています。
※趙公明から電話の内容を聞いてはいますが、どの程度まで知らされたのかは不明です。
※ゴルゴ13を警戒しています。
※赤くなる名簿は復帰した者を隠匿するためだと考えました。
0135人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 15:39:36.05ID:jTsS9zEe
【E-5/下水道/1日目/夜中】

【ミリオンズ・ナイブズ@トライガン・マキシマム】
[状態]:融合、黒髪化進行、手に火傷、【首輪なし】
[服装]:真紅のコート@トライガン・マキシマム
[装備]:青雲剣@封神演義
[道具]:支給品一式×14、不明支給品×1(治癒効果はない)、パニッシャー(機関銃:90% ロケットランチャー0/2)@トライガン・マキシマム、
    手製の遁甲盤、筆と絵の具一式多数、スケッチブック多数、薬や包帯多数、調理室の食塩、四不象(石化)@封神演義、
    正義日記@未来日記(ミッドバレイとリンの逃亡を記録)、携帯電話(研究所にて調達)、秋葉流のモンタージュ入りファックス、
    折れた金糸雀@金剛番長、ヴァッシュのサングラス@トライガン・マキシマム、リヴィオの帽子@トライガン・マキシマム、ガッツの甲冑@ベルセルク、
    ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃(3/6、予備弾23)@トライガン・マキシマム、ダーツ×1@未来日記、
    ニューナンブM60(5/5)@現実、.38スペシャル弾@現実×20
          不明支給品×2(一つは武器ではない)、ノートパソコン@現実、
          特製スタンガン@スパイラル 〜推理の絆〜、木刀正宗@ハヤテのごとく!、イングラムM10(13/32)@現実、
          トルコ葉のトレンド@ゴルゴ13(3/5本)、首輪@銀魂(鎖のみ)、旅館のパンフレット、サンジの上着、
          各種医療品、安楽死用の毒薬(注射器)、カセットテープ(前半に第一回放送、後半に演歌が収録)、
          或謹製の人相書き、アルフォンスの残骸×3、工具数種)          ミッドバレイのサックス(100%)@トライガン・マキシマム、サックスのマガジン×2@トライガン・マキシマム、
          ベレッタM92F(0/15)@ゴルゴ13、ベレッタM92Fのマガジン(9mmパラベラム弾)x3、
          銀時の木刀@銀魂、ヒューズの投げナイフ(7/10)@鋼の錬金術師、ビニールプール@ひだまりスケッチ
          月臣学園女子制服(生乾き)、肺炎の薬、医学書、
          No.7ミッドバレイのコイン@トライガン・マキシマム 、No.10リヴィオのコイン@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:神を名乗る道化どもを嬲り殺す。その為に邪魔な者は排除。そうでない者は――?
0:レガートと彼を殺した相手に対し形容し難い思い。逃げたミッドバレイに複雑な思い。
1:趙公明を追う。
2:ヴァッシュの分まで生き抜く。
3:搾取されている同胞を解放する。
4:エンジェル・アームの使用を可能な限り抑えつつ、厄介な相手は殺す。
5:自分の名を騙った者、あるいはその偽情報を広めた者を粛正する。
6:交渉材料を手に入れたならば螺旋楽譜の管理人や錬金術師と接触。仮説を検証する。
7:結果的にプラントを踏みにじった《神》に激しい怒り。
[備考]
※原作の最終登場シーン直後の参戦です。
※会場内の何処かにいる、あるいは支給品扱いのプラントの存在を感じ取っています。
※ヴァッシュとの融合により、エンジェル・アームの使用回数が増えました。ラスト・ラン(最後の大生産)を除き約5回(残り約5回)が限界です。
 出力次第で回数は更に減少しますが、身体を再生させるアイテムや能力の効果、またはプラントとの融合で回数を増加させられる可能性があります。
※錬金術についての一定の知識を得ました。
※夜時点での探偵日記及び螺旋楽譜、みんなのしたら場に書かれた情報を得ました。
※“神”が並行世界移動か蘇生、あるいは両方の力を持っていると考えています。
 また、“神”が“全宇宙の記録(アカシックレコード)”を掌握しただけの存在ではないと仮定しています。
※“神”の目的が、“全宇宙の記録(アカシックレコード)”にも存在しない何かを生み出すことと推測しました。
 しかしそれ以外に何かがあるとも想定しています。
※天候操作の目的が、地下にある何かの囮ではないかと思考しました。
※自分の記憶や意識が恣意的に操作されている可能性に思い当たっています。
※ミッドバレイから情報を得ました。
※"皆既月食"が別の何かを引き出すための方便ではないかと考えました。
 また本物の"皆既月食"が起こる可能性には懐疑的です。



※龍脈の一部は道路の下を辿っています。
※工場が全壊しました。
※工場地下室の扉の片方は破壊されました。研究所に繋がっています。
0136人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 16:00:38.68ID:jTsS9zEe


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「ほんたうにそんなことはない
 かへつてここはなつののはらの
 ちいさな白い花の匂でいつぱいだから」

犬養は先ほどから青空を吹き抜ける風を思わせる詩を吟っている。
じわじわと迫りくる死に対面する当事者と、不安に包まれながらも見守る者を対比している。
陰鬱ながらどこか清々しい。そんな詩だった。
宮沢賢治が妹を看取ったときに作られたものである。

挑発に似た視先を、犬養はいつの間にやらそこにいた娘へと向けた。
女神を冠する娘には動揺の欠片もない。

「さっきから吟っているそれは、誰へのメッセージのつもりかしら、観測者様?
 それともただの檄文?」

息継ぎを柔らかく繰返し、紡ぎ出した詩を"アテネ"が遮る。
一切不快のなさそうな、アテネの質問を待ち構えていた顔で犬養が返答する。

「僕達のこれからをよく明示した詩だと思わないかい?」
「『これから』の未来に彼も含んでいるんだろうな」

無論だ、とたった今帰ってきた観測者の片割れにうなずいた。
犬養は整然と二人へ向き直り、続きを述べた。

「運命が死ねと言えばそれまでなんだよ。
 いつ逝く側になるか、見送る側になるか、それこそ神様のレシピ次第だ」
「そうは言いながらも、あなた方は運命の流れに対して、乗りながらも逆らっているように見えますわ」

ミダスの王は触れるもの全てを黄金に変えた。
その輝きを湛えたような、強欲なまでに明るい金髪が薄暗闇に溶け混じる。
娘は仮の姿を騙るがままの動作で貫く。身体と魂で、知恵の女神の名前を分け合った。
上品な笑みは絶やさず、不適につり上がる目は貪欲にきらめく。
白眉の男二人を交互に眺める。
矢のような視線をまた矢で弾き返す勢いで、犬養は瞬く。

「……ウォッチャーが瓦解した」

そこが街頭演説であれば一斉に辺りが静まりかえる、人に訴えかけるのに適した声だった。
客観的事実を言い上げただけで、言外に匂わせる真意はまるでなかった。
ただし他人事だとは思わせない迫力はあった。

「セイバーもだ。
 "彼"は囚われたよ。バックスの謀反でね。
 半ば人質に取られた形でプライド君はバックスに逆らえなくなっている」

0137人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 16:01:20.34ID:jTsS9zEe
バックスが明確に反意を示したあの時、犬養は始終を扉を挟んで聞いていた。
介入もせず、助けもせず、逃げもせず。

しん、と静まる。
それほど動きらしい動きがなかった部屋が、更に冷え冷えとする。
立ち込めるのは苛立ちや焦りではない。
不穏な気配が漂い高まり、決壊しつつある。
嵐の前にはいつだって高殿いっぱいに風が吹き込む。
それと同じだ。

「覗き見は観測者のステータスですの?
 残念なたしなみですこと」
「はは、その言葉は心に留めておくよ」

残念かどうかはともかく、アテネは観測者を皮肉った。
少しだけ張り詰めたものが和らぐ。
そのままの流れで、アテネは話の引導を手にする。

「観測者もまた謀反を起こし――彼に代わって神になるおつもりですの?」
「観測者は観測者だ。神にはならない」

剣呑な言葉が混ざる。
アイズの答えはあくまで冷ややかだった。
それ以上でもそれ以下でもないと、暗に言い切る。

しかし。
アテネに接触を試みたアイズと、形だけでも清隆を助けに向かうことができたのにそれをしなかった犬養。
観測者はノゾキ魔扱いできるほど、既に独自探索を始めている。
神の座を奪うためのものではないとはいえ、深刻な状況に対応する具体的な手筈を
備え整えているのは明らかだった。

「ですが、」

二人の観測者を見据え、否定を口にする。
ごねてすがりつくような、安っぽい接続詞ではない。
明確に意志を感じられる、強い力を含んでいた。



「神にはならない、けれども
 "観測者"が因果律に、意図的に干渉しているのならどうかしら」



語尾を上げず、疑問文にしていない。
断定と質問が混じった、意地の悪い推測を投げ掛けた。
かの探偵のように……そう付け足す。

「観測者の存在意義が、他と比べて曖昧ですわ。極めて異物的です。
 観測対象の投入だけが目的とは思えません」
0138人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 16:02:14.44ID:jTsS9zEe
ウォッチャー・ハンター・セイバーは目的がはっきりしている。
一言で表すなら、『祭事の進行補助』だ。
観測者が独立してまで成し遂げたい目的は『祭事の進行補助』ではない。
まずそれが異質だと言う。

独立しても、進行の妨げにならなかったとき――少なくとも、ゾッドを返したとき――までは、
ある程度ウォッチャーに行動を黙認されていた。
陣営に害を与える存在ではないと見なされていたのだ。
その証拠に、ウォッチャーのバックスも、同じウォッチャーから独立した直後の観測者には不干渉だった。
反乱を画策している途中だったことを差し引いても、反応が薄い。
そのまま何もしなければ、目の上のたんこぶとは思われなかった。

観測者はそれを裏切る。
ウィンリィは島にいる趙公明たちとは別の"ハンター"たちから取り上げ調達した。
当然他の仕事を妨害している。
邪魔になると判断されれば殺されるリスクが高まるというのに、
手に入れられるのはゾッドとウィンリィを観測目標に使った時の結果だけだ。

「答えないのであれば、こちらから言いましょう。
 あなた方が何時間も前に起こした行動が、少しずつ作用してきています」

アテネはきっぱりと断言した。
詮索、投入、考察、全ては過程に過ぎないのだと。
二人から返答はない。



時計は容赦なく針を回す。
例えそれが恐ろしくゆっくりだったとしても、動きは不可逆だった。
かの嫉妬深いヘラを型どった神でも、跳躍できたのは時系列の違う平行世界の範囲内だけだ。
後退もやり直しもない。
一寸の光陰軽んずべからず。
時間を無駄にしないように、観測者は動いているらしい。

「黙秘のままですか。
 それもいいでしょう、いつかわかることですから。
 いずれにせよ、予定されているであろう運命(シナリオ)に大した違いはないでしょう。
 それでもやはりあなた方の行動は未来を意図的に変えている節があります。
 どんな日記であっても改変されるかされないかの、取るに足らないささやかな未来ですが……
 これをどう説明するのです?」

観測者の領域へ足を踏み入れる。
女神の名に恥じない、堂々とした発言だった。
落ち着き払った犬養がそれを真摯に受け止める。


「未来は変わる。変えられるさ」


アテネは目を据える。
0139人生は大車輪
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2011/09/15(木) 16:02:44.59ID:jTsS9zEe

「運命はあらかじめ決まっている一本道だ。
 けれど未来は一本道だとは限らない。
 同じ結末に辿り着くにしても、未来は細分化している。
 運命≒未来だ。
 決定論なのに未来は可変性があって、予測は不可能。
 だから観測する必要がある。
 細かい差異は『観測者効果』が起こっているだけだ」

真意のとれない説明は、足元が冷えきるような不気味さがあった。

「結局誰もがシステムの一部なんだ」

それにしても、とアイズは思い返す。
数時間前、観測者は依頼を承っていた。
その時と同じことを犬養はアテネに話している。



#####



少し間を置き、アイズは尋ねた。

「お前はここに何しに来た。ただ『観測者』の行動を確かめるためだけに来た訳じゃないだろう。
 招集でもかかったのか」
「ああ、そうだった。
 次の放送について、"彼"から連絡があるらしいよ」

ところでと前置きし、アノンは運命は何かと問いかけた。
正反対の運命論を同時に発し、皮肉を投げ合う観測者に呆れかえる。

「煮ても焼いても食えないよ。

 それにしたって、演奏を代わってほしいなんて。
 僕は彼の演奏が好きなのにさ」

神に盲信しつつも不満げに、連絡については愚痴を漏らした。

「彼にも考えがある、それだけだ」
「君が世界的なピアニストだからっていうのは聞いてる。
 でも、だからといって降りることはない。
 しかも『凡庸に弾け』って注文つきで」
「何かが起きるのを予想、いや……期待しているんじゃないかな。
 彼は千里眼は持ってないにせよ、先見性は誰よりもある」
「先手を読むのではなく、チェックメイトの手から組み立てるチェスのように」
0140人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 16:06:39.09ID:jTsS9zEe
混じることのない白と黒の盤を、アイズは撫でる。
城も兵士も女王様も、決まった方向にしか動けない。
さて、手駒が必死に守っている王様は果たして盤上にいるのだろうか。
転がる駒をくるくると指さし、犬養はこの祭儀の"打ち手"を思う。

「彼のレシピには、多くの材料が並んでいて贅沢だ。
 沢山の駒(材料)がどう動くかも、レシピの一部になっているのだろうね」
「……未来が分かるのと、神様であることとは、似ているのに」

見た目幼いセイバーのもとへ帰ろうと、うっすらと興奮をしたアノンが、会話を締める。

「まさか」

アイズが否定する。
先ほど『運命は変えられない』と、犬養と見解の違いで対立していたのに、
どういった風の吹き回しだとアノンは訝る。

「未来は無確定だが……運命は、作られている。
 彼は解りきった運命を少しでも楽しくしようとして警察にいる節がある。
 運命を見ているのであって、未来を見通しているんじゃない」
「運命は一本道だ。
 けれど未来は一本道じゃない――」

アイズに続いて、犬養もさらさらと運命の持論を説く。
にっこり笑って、付け足した。

「――だから観測する必要がある。
 独立した理由は、それで納得してもらえないかな?」



#####
0141人生は大車輪
垢版 |
2011/09/15(木) 16:07:04.37ID:jTsS9zEe


「疎まれている以上、当面バックスとは疎遠になるね」

しばらくの間はバックスと直接戦うことはない。
目下のところ、バックスは観測者以上にタイトなスケジュールだ。
配下を持っているとはいえ、数が限られている。
清隆に心酔しているプライドとは違い、観測者は人質やモノ質を取られていない。
にも関わらず、殺されもしなければマインド・スナッチャーを取りつけられてもいない。
観測者を放置しておく理由がバックスにもあるはずだ。

「まったく、内ゲバだらけですわね、この組織は。
 どこの学生運動ですか」
「内ゲバね。
 きっとこれからどんどん加速していくよ。
 皆にはそれぞれ別の目的があるだろうしね。
 一回しかない人生をひとつの命をかけて歩いているんだ。これと決めた自分だけの目的ぐらいないと面白くない。
 君だって……そうだろう、天王洲君?」

闘争を認めるような素振りで、取って付けたように犬養が笑う。

「ああ、天王洲君の推測は間違いではないけど、あの娘を運命の指針にしたのは事実だ。
 それもひとつの目的だよ?
 何も時間短縮だけにリスクをかける程僕らもバカじゃないさ」
「"アテネ"から継いだのは身体だけではないか……記憶の一部も移植されたな。
 英霊、いや"ミネルヴァ"」
「さぁ、どうかしら。
 この身体の主がどこまで知り得ているのかは定かではありませんわ」

人差し指を口に当て、秘密だと示す。
背景にゆらりと浮かぶのは、テロリストの頭蓋。女神の成れの果て。

犬養は詩の最後を唱えた。
大正生まれの夭逝詩人は最後にこう綴っている。



#####



 ただわたくしはそれをいま言へないのだ
 (わたくしは修羅をあるいてゐるのだから)
 わたくしのかなしさうな眼をしてゐるのは
 わたくしのふたつのこころをみつめてゐるためだ
 ああそんなに
 かなしく眼をそらしてはいけない


                 宮沢賢治『無声慟哭』
0142 ◆RLphhZZi3Y
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2011/09/15(木) 16:11:48.48ID:jTsS9zEe
投下終了です
途中代理の方ありがとうございました。


0143創る名無しに見る名無し
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2011/09/15(木) 17:33:38.27ID:6B1qL1mO
大作投下乙です
最後まで針のむしろだったミッドバレイとリンに合掌…
「おまえはそこで」と言った男もまた、目指していたものになれずに化け物として死んだのか…

しかし、漫画ロワには化け物マーダーに襲われてカーチェイスするお約束でもあるのかw
0144創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/15(木) 20:02:24.08ID:ByIp5/gM
投下乙ー
なんともゾクゾクする展開だぜ


>化け物マーダーに襲われてカーチェイス
勇次郎さんは人間だぞ!
…一応
0145創る名無しに見る名無し
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2011/09/15(木) 20:07:07.52ID:aAXnYCiz
投下乙です!
うーん、リンもなんとも皮肉な結末迎えたもんだ、流兄ちゃん化したかと思いきや……
ミッドバレイも道化であり続けたのが哀れだ
そしてナイブズ、首輪なかったり特殊な力持ってたりで鳴海弟並みの重要人物になってきたか
そしてほんと神陣営は統一感ねーなw
運命は変わらないか、だとすると決まった結末の中でどれだけ救いを見いだせるかが焦点になってくるのかな
0146創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/15(木) 20:20:31.76ID:0A98e4ix
投下乙
ミッドバレイとリンも乙
残ったマーダーはどれも強敵だな
どいつも説得効きそうにないな、ゆのはどうなるか分からんが

今wikiの現在地見たら所在地おかしかった
誰かのいたずらかこれ?
0147創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/15(木) 21:21:29.37ID:edkm+Az/
投下乙です
ゾッド怖えw
即座に逃げを選択するのはこの二人らしい
ミッドバレイはまさにどうしようもない袋小路に突っ込んで死んだなぁ

所在地は変なの追加されてるし荒らしだな
今直すからちょっと待って欲しい
0148創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/15(木) 22:06:30.92ID:QzkHlgls
…しかし、ナイブズ様の持ち物がすごいことになってる件w

歩く武器庫通り越して歩く何でも屋じゃないか、これ
しかもこの終盤になって、不明支給品がまだ3個もある
0149創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/15(木) 23:15:07.84ID:0A98e4ix
ナイブズは趙公明を追う時のルート次第で鳴海弟と会う可能性あるんだよね
対主催重要人物同士早く会って考察進めて欲しいところ
鳴海は一般人からみたら身体能力は高いけど残ってるマーダー相手は厳しいし
持ってる武器が豊富で対主催トップレベルのナイブズと合流したら鳴海の生存率も上がる

まぁ今会わなくてもどちらも競技場に向かうだろうけど

>>147
所在地直してくれてありがとう
0150創る名無しに見る名無し
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2011/09/16(金) 01:12:13.63ID:inoWkO8h
>>149
むしろ聞仲と潮の方が近くにいないか?
潮たちの時間はまだ「夜」だから、すぐ近くに来ててもおかしくないし
何よりありがたいのは、潮の性格上(おそらくこのロワで唯一)
疑心暗鬼や先入観を持たずに接触できる対主催ってことだ
0151創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/16(金) 01:37:13.36ID:hnhR0vwH
>>150
個人で考察進めてる2人が会ったら考察素早く進められると思って
確かに聞仲と潮の方が出会う可能性高いね
どちらでもいいから鳴海弟と合流して欲しいな
多くの情報持ってる対主催頭脳派の鳴海弟が1人だと心臓に悪いぜw

0152創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/16(金) 17:25:41.87ID:clAxbkjj
聞仲さんたちの持ってる情報というと幽世や王天君の最後くらいかー
なんかやっぱりそれぞれが重要な情報持ってるな、こっからどう転ぶのやら
0153創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/17(土) 20:10:16.00ID:8hw8/hgD
後は謎の『ユノ』とかぐらいか
上手く合流出来たらいいけどその後でちゃんと情報交換と情報処理できるんだろうか…
0154創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/10/03(月) 18:49:05.78ID:8nv3Aqna
銀魂とスケットの暴走月曜日を見て
沙英とひよのはよく銀魂浸食に耐えられるなと思ったわ
0156創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/10/05(水) 20:43:42.45ID:4d3pGcvR
まあひよひよは元々がアレですから……
演技と思わせて最終回だと素でアレっぽかったからなあw

今のエドと接触する可能性が一番高いのは管理者のひよひよだろうし、重要な情報がやっぱりいい形で分散してるな
0157創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/10/10(月) 20:33:18.86ID:0FJ2BoSh
未来日記アニメ見て思ったが、殺人日記はチートアイテムなのに使い手でこんなに差が出るんだな……w
0160創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/10/15(土) 23:13:05.40ID:q+BaAbm0
潮は、とらも流も一気に呼ばれちゃうんだなあ
まあ元々があの逸材だし、隣に聞仲もいるから心配は良らんだろうが

あんまり想像つかないもの「潮とガッツの邂逅」
でも潮とガッツと聞仲の共闘は見てみたいかもしれんw
大物1匹相手じゃなくて、大量のザコをバッサバッサなぎ倒す様子が目に浮かぶ
0161創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/10/16(日) 17:01:57.16ID:Ge3wPGGq
聞仲と言えば、禁鞭はどうなったんだろ
流の自爆に巻き込まれたくらいでは壊れんだろうが、工場の崩壊で埋まったかな
0166創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/04(金) 03:14:09.56ID:YwzsI8cQ
妲己と三人組の間に人結構いるから遭遇するか分からないけど不安だなこれはw
0167 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 19:15:10.33ID:chT95gWd
遅れて申し訳ありません。
今から投下を開始します。
0168己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 19:16:50.08ID:chT95gWd
島が夜に抱え込まれていく。
その外周を、密やかに進む船が一つ。


***************


鉄製のシャッターが非常口の先の通路を完全に塞いでいる。

「それで、伊万里。これが?」

沙英の声がシャッターに跳ね返った。

「そうですね。この非常口を抜けると、E-6の工場内に出るはずです。
 実際に私が通ったので間違いありません」

ひよのが答える。
うーん、と銀時が唸った。

「ナンかこう、全然ワープポイントって感じがしねーなコレ。
 もっとアレだ、ギュイーンとかグワーンとかいう感じじゃねーの普通は」
「どんな感じですか、どんな」
「そうですよ。ぴゅーんって感じでしょう、普通は」
「おいおい全然わかってねーよダメダメだよこいつ。そんな軟弱なワープじゃ人生の荒波には立ち向かえねーぞ。なァ沙英」
「えっ、何なのこれ同意すればいいの?」

どうも緊張感に欠ける。
船上でそう言ってみると、肩肘張っていても事態は好転しないのだ、というようなことを二人は宣ってくれたのだが、この二人に限っては地獄の底でも平然と漫才を繰り広げているのではないかと沙英は思う。
傍から見たら自分も同類ではないだろうかという疑問は心のゴミ箱に捨てておく。

三人が水族館を探索しているのは、ゆのを探すためでもあるが、それ以外にもいくつか目的があった。
その一つがワープポイントの確認である。ただ、工場で起きた騒動によって降りたシャッターは、ここの通行も封じていた。

「まあともかく、先に行きましょうか」
「そーだな」

何にせよ、これ以上物言わぬシャッターを眺めて突っ立っていても得られるものはない。
ひよのが踵を返し、二人が後に続く。
しかし十歩ほど歩いたところで、突然沙英が立ち止まった。
銀時とひよのが訝しげに振り返る。
0169己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 19:17:42.02ID:chT95gWd
「どーしたよ、沙英」

答えず沙英は軽く俯いて視線を床に彷徨わせていたが、やがて顔を上げ口を開いた。

「……ねえ、二人とも。変な音、しない?」
「そーか?」

首筋を掻く銀時の隣で、ひよのが耳に手を添えて目を瞑った。

「……うーん、そう言われれば……そんな気もしますけど……」
「その辺の機械の音じゃねーの?」
「……ううん、やっぱり聞こえる。ほら、段々大きくなってる」
「あー、確かに聞こえますね。これは、そうですね。おそらく車のエンジン音――」

全く理不尽に、水の館の隅々にまで行き渡っていた静寂は、粉微塵になった。

まず非常口のシャッターが飴細工のように内側に膨張し、破裂した。
同時に飛び出した白い何かが、呆気に取られる彼らを後目に耳障りな金属音を引き摺りながら爆走していく。
その何かの正体が車だと気付いた次の瞬間に、シャッターの残骸が横一文字に切り裂かれ、車より更に巨大な黒い影が砲弾の勢いで撃ち出された。
シャッターの破片が弾け飛び、粉塵が舞った。

ここでようやく、銀時が最初のアクションを起こした。
流れるように刀を抜き、三人に飛来した破片を器用に弾く。そして即座に、思いっ切り叫んだ。

「何考えてんだ危ねーだろーがオイぃぃぃぃぃぃぃ! テメーら大人しく豆腐屋とでも勝負してろボケェェェ!!」

しかし彼を一顧だにせず、二つの暴走する影は遠ざかっていく。
銀時はもう二、三言悪罵して、その徒労を悟ったのか黙った。

「な……何なの、あれ」

思考の空転からようやく開放された沙英が、辛うじてそれだけ呟く。

「えー……多分ですけど、後ろのでっかいのが前の車を襲ってるのではないかと」
「う、うん、そうだよね。うーん……と。……あ、な、なら助けないと――」
「つってももう見えねーぞあいつら」

銀時の言った通り、彼らは騒音だけを残して既に視界の外に行ってしまっていた。
いきなりパニック映画のクライマックスだけを見せ付けられたような感覚。
自分達を完全に無視して過ぎ去っていく事態に、三人共ただ困惑するしかない。

何だったんだ、今のは。
三人が誰からともなしに顔を見合わせた、そのとき。いきなり、形容のし難い強烈な唸り音が辺り一帯に響き渡った。
思わず見合わせた顔を歪め、首をすくめて両手で耳を塞ぐ三人。

「な、何? 何これっ!?」
「うるせェェェェ! メガネのカラオケよりうるせェェェェェェ!! あっ、メガネって沙英じゃなくて」
0170己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
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2011/11/10(木) 19:18:43.94ID:chT95gWd
神経を削る破滅的な怪音はなおも続く。産毛が揺れ、毛細血管がざわめく。

ぴしり。
乾いた異質な音が響き、ほとんど同時に怪音が止まった。
一瞬不自然なまでに静かになり、そして再び乾いた音が今度は連続して鳴る。
一体何が起こっているのか。訳が解らないといった様子で、三人は恐る恐る耳を塞いでいた手を離す。
と、ひよのが不意に表情を硬くする。

「あのー、ちょっとあれを」

正面を指差した。
沙英が振り返ってそちらに目を遣り、銀時も倣う。そして二人は同時に息を呑んだ。
見れば、大水槽の円い強化ガラスにはいくつもの小さな白い罅が入っていた。びしびしとその罅は見る間に広がっていく。
氷像のように棒立ちで見守る三人を嘲うように、周囲にある大小の水槽にも蜘蛛の巣が描かれていく。

「オイコレすっげぇヤな予感がするんだけど。ハチャメチャが押し寄せてくる気がするんだけど」
「奇遇ですね。私もです」
「悠長なこと言ってる場合じゃ――」

ぴゅう、と亀裂の一箇所から水が噴き出した。
三人が今度こそ完全に凍り付いた。
青く煌く放物線が床を濡らしていく。連続する亀裂音に被せるように、ぱしゃぱしゃと不吉な水音が続く。
そして、恐ろしく長い一呼吸の後、上下左右のガラスがけたたましい音を立てて一斉に砕け散った。

「きゃあああっ!」
「ざっけんなァァァァアイツらクソッタレェェェェェェェェェェェェ!!」
「――っ、こっちですっ!」

ひよのが真っ先に駆け出し、ほとんど反射的に銀時と沙英もその後を追う。
水族館の通路は、もはや荒れ狂う水流の通る蛇口に過ぎない。活路は唯一つ。

「タイヤの跡、外へっ!」

破壊された非常口に飛び込む。暗く開けた空間。壊れた機械群。傷だらけのアクリルの床。
一変した景色に目を配る余裕もなく、沙英は死に物狂いで脚を動かす。

地が揺れる。
耳を聾する轟音。
莫大な量の水が床を滅多打ちにし、空を震わせ押し寄せてくる、その音。
足音が耳に届かない。前を走る銀時が、多分悪態を吐いている。聴こえない。
手足が恐ろしく重い。空気がどろどろに融けた水飴のように身体に絡み付いている気がする。
現実感を失いそうになる。振り返る勇気はない。
0172己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 19:19:54.98ID:chT95gWd
道を選ぶ余裕もなく、本能の命ずるままただ真っ直ぐに走って狭い通路に飛び込んだそのとき。

あ。
閃く。
そうだ。忘れていた。九竜神火罩。絶対防御の宝貝。

「これを、使えば――あっ!」

肩の宝貝に気を取られ前方から意識が逸れた瞬間、躓く。

途端、巨人に殴り付けられたような衝撃を受け、そのまま凄まじい力の奔流に巻き込まれた。
轟々と猛り狂う龍の叫びが耳元で聴こえる。あるいはここが龍の腹の中か。
天地の区別すら付かない。洗濯機に放り込まれたようにもみくちゃにされる。
ただ目を固く瞑り体を丸めて祈るのが精一杯の抵抗だ。

無限とも思える嵐の時間が過ぎ、やがて唐突に揺さ振りが収まった。


***************


水面に顔を出した沙英は、激しく咳き込んだ後、何度も目を瞬かせた。
暗い。
髪から水がぼたぼたと垂れるのを感じる。
鼻に水が入ったのだろう、眉間の奥がつんと痛む。
きーんという高周波が耳に貼り付いている。
頭の中がぐらぐらと揺れる。肺が締め付けられるように痛い。

目を瞑る。
右手を胸に当てて深呼吸。
胸が大きく上下する。
しっかりとした鼓動が掌から伝わってくる。
温かい。大丈夫。生きている。

水流に呑まれた後の出来事は、記憶からほとんど欠落していた。
辛うじて憶えているのは、墨のような黒に塗り潰された視界と、その端の薄ぼんやりとした光。
死に物狂いで水を掻き分けてその光を目指した、気がする。あくまで気がするだけだ。実感はない。
ほんの数十秒前にあったことのはずだが、その記憶の不確かさは十年前に観た冒険映画の一場面とそう変わらない。

頭を振る。
行方不明になった記憶の捜索は諦めて、沙英は現在の状況を確かめにかかる。
まず周りを見回すと、景色が奇妙に歪んでいて、眩暈がした。一瞬混乱しかけたが、すぐに原因は判った。
眼鏡がずれていて、しかもレンズに水滴が付いている。まともに見える訳がない。
一旦眼鏡を外してレンズを軽く拭いながら、沙英は眼鏡を失くさなくて本当に良かったと思った。
これまであまり意識していなかったが、正直なところ、眼鏡がないと人の顔を見分けられるかすら怪しいのだ。
0173己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 19:20:53.42ID:chT95gWd
眼鏡を掛け直し、沙英は改めて周囲を見回した。
今いる場所は通路のようだ。殺風景で、水族館とは全く異質な、人を拒絶する冷たく湿った闇が満ちている。
通路は半分水没しているが、水深はそれほど深くない。真っ直ぐ立つと、水に浸かるのは腰の下までだ。
雰囲気としては昼に通った下水道に近い。
しかし下水道と違い壁は金属的で、壁際の頭より少し高い位置にはパイプが数本走っているのが確認出来る。
更に壁に沿って視線を上に向けると、天井の非常灯が陰気な光を放っているのが見えた。
辺りが真の闇でないのはこの非常灯のお陰のようだ。

前を向く。通路の前方は、十メートルくらい先で右に直角に折れている。
後方、つまり沙英が流されてきた方には、下層へ伸びる階段があり、これは完全に水没していた。
水と壁と闇。何もないし、誰もいない。
そう、誰も。

「……あれ? 銀、さん?」

返事はない。水面の揺れる音だけが鼓膜を撫でる。
同行者の不在に気付いた沙英は、きょろきょろと周囲に視線を走らせる。

「……銀さん? …………伊万里?」

少し大きな声で二人の名を呼ぶが、声は空しく壁に跳ね返るのみ。
腕を下ろすと、手の甲が水面を叩いた。水音が反響して、すぐに霧散する。

逸れた。
沙英は自分の顔が妙な具合に弛緩したのを感じた。
拙い。途轍もなく拙い。祭り会場で友達と逸れるのとは訳が違う。一刻も早く合流しなければ。
理性はそう囁いているが、感情の方はまるで事態に追い付いていないらしく平坦なままだった。

「二人とも、大丈夫かな」

そんなことを心配する余裕もあった。
そして、多分大丈夫だろう、と妙に冷えた頭が結論した。
根拠がある訳ではないが、自分が無事でいられる程度の事態で彼ら二人がどうにかなるとは思えなかった。

沙英は暗闇に息を吐いた。
感覚器への入力が極端に乏しく、そのためか熱も光も薄膜を透しているかのようにおぼろげに感じる。
顎を引いて耳を澄ませてみる。微かな水音以外に聴こえるものはない。
体温がジーンズの中の水を生温くして、その存在を薄めている。
現実感に欠けている。一連の馬鹿げた狂騒が嘘のようだ。
それどころか、今日一日の全てが虚構だったような錯覚にさえ陥る。
0174己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 19:21:52.64ID:chT95gWd
いや。
もしかしたら、本当に虚構だったのではないか。
殺し合い――そんなものは、テレビの、映画の、本の中だけの話だったはずではなかったか。
少なくとも、単なる日本の一学生が巻き込まれるものではなかったと思う。
だから、目を瞑ってもう一度開ければ、見慣れた天井が見えるような気がする。
みんながいる、いつものひだまり荘の。



「痛っ……」

沙英に現実感を取り戻させたのは、痛みだった。
腰の後ろが鈍く痛む。身体を捻ってジーンズを少し下ろし、痛む箇所を確認する。
流されている間にどこかにぶつけたのだろうか、腰骨から臀部にかけて変色しているが、大きな怪我ではないように思える。

そこで異変に気付き、ぎょっとした。
先程よりも水面の位置が高い。よくよく観察すると、少しずつだが水嵩が増してきている。

「えっ、ちょっと、な、何で、そんな」

足に冷たい流れを感じ、総身が粟立った。混乱を何とか抑えて、思考を巡らす。
どこかでせき止められていた水が溢れたのかもしれない。あるいは水槽が更に壊れたか。
いや、とにかく、考えるのは後だ。逃げなければ。

水を掻き分けて進み、角を右に曲がると、重々しい雰囲気の扉が道を塞いでいた。

扉に寄ってドアノブに手をかけ、捻る。
がちりと引っ掛かった。回らない。
焦りつつ、がちゃがちゃとノブを回そうとするが、全く回る気配はない。
鍵が掛かっているのかもしれない、という当たり前の発想が、そこでようやく頭に浮かんだ。
同時に、水よりも黒くて冷たいものが腹の底からせり上がり、充満していくのを感じる。
水位がドアノブの高さに達した。手に冷たい水がかかり、そしてなけなしの冷静さはあっという間に水に呑まれた。

「嘘でしょ。開いて! 開いてってば! ねえ!」

水から逃れるようにノブから手を放し、夢中で扉を叩く。びくともしない。
息が苦しい。恐怖だけで窒息しそうだ。
溺死は最も苦しい死に方だ、と何かの本で読んだ一文が頭を過ぎった。こんな時に。
自分の口から何か懇願するような言葉が出ていることは判るが、何を言っているのかは自分でも判らない。
死にたくないと思いながら、死なない方法を考えるだけの余裕はなかった。



考えてみれば、天井までの空間を埋め尽くす量の水が再び流入するという事態はそもそも考え難いのだ。
0175己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
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2011/11/10(木) 19:23:09.89ID:chT95gWd
沙英を脅かしていた水位の上昇は、鳩尾の辺りでいつの間にか止まっていた。
そのことに気付いて、全身から力が抜けるのを感じ、そして沙英は大きく息を吐いた。

拳が痛い。どうやら相当強く扉を叩いていたらしい。
緊張が解けたためか、今頃になって涙が零れた。眼鏡を上げ、涙を拭って、ゆっくりと呼吸を整える。
潮が引くようにぐちゃぐちゃの感情が流れ去っていく。

恐ろしいと思った。
恐慌に陥ったことよりも、それがあっさりと去っていったことの方が恐ろしかった。
要するに、自分はこれだけ絶望的な死の崖っ縁に丸一日立たされてなお、真っ当な危機意識を持てていなかったのだ。
そして本当に解り易い、目に見える危機が訪れてようやく、立っている崖の高さに気付いたのだ。
それすらも過ぎ去ってしまえばあっという間にリアリティを失い、速度超過のトラックに轢かれかけた経験と類似のラベルを貼られて、記憶の倉庫に還元されてしまう。

最初はそうではなかった。
少なくとも夜の街に独りで放り出された直後は、恐ろしい現実に恐怖していたはずだ。
いつから。
そうだ。
ヒロが死んだ。
そう告げられて。
その後からだ。
その後からずっと、心のどこかで、全部何かの間違いだと思っていた。
いや、今でもきっと、そう思っている。
自覚してなお、大切な人の死は、やはりどうしても認められなかった。



一応は落ち着いたとはいえ、悪い状況であることに変わりはない。すぐには死なないというだけだ。
水はあまり冷たくないが、かといって長時間浸かっていられる温度でもない。
体温を奪われて動けなくなる前に、何とか脱出しなければならない。

改めて目の前の扉を探ってみると、やはり鍵が掛かっているようだった。
軽く叩いてみると、重たげな音がした。生半可な力では壊れそうもない。
沙英は扉を開ける手段はないかと頭を巡らし、そして嫌なモノを思い出した。
どこかの小学生が考えたようなネーミングセンスの卑猥な形の大砲である。まだデイパックで眠っているはずだ。
仮にも大砲なら、扉の一枚や二枚くらい破壊出来る威力はあるのではないか。
そもそも水中で撃てる代物なのかという問題もあるが、試してみる価値はあるかもしれない、と考えはしたが。

「それは――やっぱり駄目でしょ、危な過ぎて」

沙英は火器の知識など持っていないが、密閉された狭い空間で威力不明の大砲をぶっ放すなどという行為が非常にリスキーであることくらいは解る。
しかし、他に扉を突破出来そうな方法は思い付かない。
それしか手がないのならやるしかないが――ただ、目の前の扉以外にも出口はもう一つ残っている。
0177己が選択に悩んだ軌条の上 ◆L62I.UGyuw
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2011/11/10(木) 19:24:03.55ID:chT95gWd
来た道を引き返し、最初の場所、つまり下層への階段前に戻った。
そして沙英は、しばらく暗く静かに揺らぐ水面を見つめる。傍からは入水自殺五秒前といった風に見えるかもしれない。

水が一向に引かないことから考えて、今いる空間は少なくとも水族館への非常口よりも低い場所であることは確かだ。
おそらくは工場の地下部分に当たるのだろう。そして地下には今いる場所と似たような空間が多数存在すると考えられる。
運悪くこの空間は他から隔離されているが、他の空間もそうとは限らない。
地上に通じている空間を見付ける。現状で、脱出する現実的な方法はこれだ。

一旦デイパックを抱えて、水が入らないように慎重に開いて中身を調べる。
防水性が高いのかそれとも他の理由かは判らないが、中に水が滲み込んだ形跡はない。
眼鏡と肩の九竜神火罩を外してデイパックに仕舞い、更に水を吸って重くなったセーターとジーンズを動き易いように脱ぎ捨てる。
一旦深呼吸をした後、階段を慎重に下りていき、そして肩まで水に浸かったところで息を止めて、そのままゆっくりと水に潜った。
濃密な黒。本能的な暗闇への恐れが体を竦ませる。だがこれで怖気付いていては話にならない。
更に潜り水没した通路の奥に目を凝らすと、期待した通り、遠くに幽かな光が見えた。

後は、ほんの少しの勇気さえあればいい。

覚悟を決めて、黒々とした水に潜る。


***************
0179不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw
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2011/11/10(木) 19:25:10.60ID:chT95gWd
水面に顔を出すと、そこは完全な暗闇だった。
壁伝いにゆっくりと足の着くところまで泳ぎ、暗い水に浸かった階段を上がり切ってから、結崎ひよのは軽く息を吐く。

「ふう、今度こそどこかに通じているといいんですけど」

鉄砲水さながらの激流に呑まれ、気付けば独りになっていた。
沙英と銀時もひよのと同じく流されたはずだが、果たして彼らがどうなったのかは判らない。
何しろ他人の行方に気を配れるような状況ではなかったのだから。
自身が無傷だっただけでも僥倖である。

「沙英さん、無事でしょうか。……坂田さんは……まあ」

やたらとしぶとそうな銀時はともかく、沙英のことは少々心配だったが、とはいえ心配してどうにかなるものでもない。
頭を切り替える。

デイパックからランタンを取り出して点け、高く掲げる。
揺らめく赤橙色の光が放射状に辺りを照らし、ひよのの姿が浮かび上がった。
ひよのはワンピースの花柄水着を着ていた。水着は旅館で銀時が適当に持ってきた服に紛れていたものだ。
こんなこともあろうかと……と言いたいところではあったが、実際は特に深い考えもなく、単にデザインが可愛かったからデイパックに突っ込んだだけである。
全く、何が役に立つか判らないものだと思う。

それにしても、である。
携帯電話が水に浸かったのは痛い。
元々電池の節約のため電源を切ってあったし、バッテリーとSIMカードはすぐに抜いておいたが、果たして再起動出来るかは判らない。
いずれにせよ、今電源を入れればお釈迦になることは間違いなく、乾燥させる手段がないことには使いようがないことは確かだ。
軽い溜息を吐く。

「どうにかして新しいのを見つける方が現実的ですかねー」

市街地に戻れれば何とかなるだろう。そう考えておくことにする。
何にせよ、ここを脱出するのが先決だ。悩むのはその後でいい。

ランタンの光に照らし出された通路は三方に伸びていて、どの方向も一様に無機質だった。適当に右の道を選んで進む。
光が行く手の闇を掃いていき、壁に沿って走るパイプの群れが現れた。
ここまでひよのが通ってきた通路とあまり変わらない単調な景色だ。

軽く数時間は彷徨っているような気がするが、時計を出して確認してみると実際には三十分も経っていない。
地下フロアでは非常用シャッターは降りていないらしく、道が片っ端から塞がれているというようなこともなかったし、広いといっても所詮は工場の一部に過ぎない。
にも拘らず、やたらと複雑で広大に感じられるのは、主に水と暗闇のせいだ。
周囲を確認しつつ闇の中を、時には水に潜りながら慎重な移動を強いられるのは、体力と神経を削る。
時折、闇の向こうに妙な気配を感じたり、誰かの呻き声のようなものが聞こえたり、水の中の足を触られたりもした。
それらは単に気のせいだったり、あるいは自分の発した音が複雑に反響して戻ってきた結果だったり、水温の不均一性が生み出す幻想だったりするのだが、そう思ってはいても全く無視し切れるものではない。
死と隣り合わせの戦場の最前線では兵士達の間でしばしば怪談が流行るというが、今ならその滑稽な状況も理解出来るとひよのは思った。
0181不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:33:58.24ID:Pvus6SMf
しばらく歩くと、若干広い区画に出た。
前方にランタンのものとは異なる光が見える。
上階への階段。その途中にある非常灯だ。
どうやら無事に脱出出来そうである。

ひよのの足を止めたのは、小さな違和感だった。
見られている。そう感じた。だがここに至るまでに似たような感覚には何度も陥っている。
また錯覚だろうとは思いつつ、視線を感じた方に目を遣る。

妙なものが見えた。訝って、目を凝らす。
錯覚ではない。のっぺりとした白っぽい影が、切り絵のように闇に貼り付いている。
誰かがいる、と思った途端にぬらりと闇が揺れ、影が色彩を得て妙齢の女性に変じた。
それを見て、ひよのは、怯んだ。

女はやたら派手で、妖艶だった。
頭には王冠といっても通じる煌びやかな四角い冠。
露出の多いレオタードにガーターベルトを付け、色とりどりの刺繍と宝飾が施された豪華な外套を纏っている。
何より、彼女自身の長く艶やかな髪、ぞっとするほどの美貌、完璧に均整の取れた官能的な肉体。
それら全てが相まって、この世に在らざる色香を彼女に与えている。
首に光る鈍色の輪すらも倒錯した美を構成する要素にしかならない。

「――妲己」

知らずその名が唇から漏れた。直感だった。『これ』がそうなのだ。
傾国の美女――国を傾ける美貌。それがいかに狂気染みたものなのか、ひよのは理解した。
太公望や銀時に聞かされた通りの容姿であることは、後付けの判断材料に過ぎなかった。

「だっき……妲己。わたし――わらわはそう、妲己」

揺らぐ声。
極上の月琴を鋸で掻き鳴らすような、とても厭な響きだった。

女がすらりと長い脚を前に出した。赤いドレスシューズが水面を滑り、しかし全く濡れることはない。
当たり前に水面を歩くその姿が、彼女がこの世の法理から外れた存在であることを端的に表していた。
死者の中に妲己の名があったことをようやく思い出す。つまり彼女も『戻ってきた』のか。

喉が鳴る。

倒す――というのは現実的でない。
デイパックに強力な武器は入っているが、それを取り出すまで待って貰えるはずもなく、そもそも太公望の言を信じるなら妲己はただの人間が敵う相手ではない。
少なくとも、こうやって向き合ってしまった時点で既に後手に回ってしまっているのだ。正面から戦うのは無謀に過ぎる。
0182不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:35:01.89ID:Pvus6SMf
今のところ殺意は感じないが――というか、女がひよのを殺す気ならもう殺されているだろうが――危険な相手であることには変わりがない。
穏便に済ませることが出来ればそれが一番良いのだが。

「何か――私に御用ですか?」
「そうねぇん。用っていう訳じゃないんだけどぉん……折角出会ったのに挨拶しないのは悪いと思わないかしらん♪」
「はぁ」

ちらりと右方に視線を走らせる。暗くて距離感が掴み辛いが、階段まで二、三十メートルといったところだろう。
逃げられるかは微妙なところだ。

女が一歩前に出て、ひよのは一歩下がる。

「ここで何を」

女は白磁の指で下を指した。

「ここの下の方から、とってもとっても素敵な力を感じるんだけどぉん……貴女、何か知らないかしらぁん?」

ひよのの瞳が毛筋ほど揺らいだ。
下の方。思い当たるものはある。魔子宮――のようなもの――だ。
ここに来る前に博物館で解説文を確認してみたので、その概要は把握している。
曰く、人を人にあらざるものに変じさせる『転生器』であると。

教えてはいけない気がした。

「いえ、知りませんよ」
「そう……それなら、仕方ないわねぇん」

いきなり背に強烈な衝撃が加わった。
前のめりに転んで水に突っ込む。取り落としたランタンが水中に沈む。
急な暗闇。何も見えない。一体何が。
立とうとして、何者かの気配がすぐ横にあることに気付く。
次の瞬間、棒のような物がひよのの胸を狙って振り上げられた。
咄嗟に両腕を交差して胸を庇う。
巨大なハンマーでぶん殴られたような衝撃。体が大きく浮く。
殺し切れなかった力が、乳房を潰し、肋骨を軋ませ、肺の空気を絞り出して背中へ抜ける。
呻き声が漏れ、尻から水に落ちる。
立たなければと思った瞬間、右脚に強く引っ張る力を感じ、ぐるりと重力が逆転した。



要するに、もう一人いた。ただそれだけだ。
女のあまりに異質な存在感に気を取られて他への注意が疎かになっていた。
痛恨のミスだ。ひよのは逆さに吊られながら歯噛みする。
0183不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:35:36.24ID:Pvus6SMf
呼吸が酷く苦しい。
胸に食らった一撃のせいで、上半身全体がろくに言うことを聞かない。
垂れ下がった両腕に至っては、鉛の塊にでもなってしまったかのようだ。
抵抗のしようもなかった。

「ははは、捕まえた」

まだ若い、少年と思しき声。
吊られたまま上に眼を向けると、おぼろげに人影が見えた。割と小柄だ。
だが少年は、片腕の力だけで軽々とひよのの身体を持ち上げ、宙吊りにしている。
俄かには信じられない怪力だ。

女が悠々と歩み寄ってくる、そんな気配がする。

「じゃあ、任せるよ」

大きく育った大根を手渡すような感じで、少年は女にひよのの身を預けた。
人間扱いされている気はしない。

「私を――どうするおつもりで?」

女は怖気の走る声で哂った。
そしていきなり、股間に鋭い熱が生まれた。反射的に腰を引こうとするが、脚をがっちりと押さえられていて動かせない。
熱は下腹部から臍に向かってじわりじわりと移動していく。

「さあ、どうしようかしらん♪」

女の眼が闇の中に爛々と輝いている。
くるくると動く猫のような瞳が、酷く邪に感じられた。


***************


水面に顔を出した銀時は、代わり映えのしない景色にうんざりした表情を浮かべた。

「オーイ。さ〜えちゃ〜〜ん、い〜まりさ〜〜〜ん。ど〜こで〜すか〜〜」
0184不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:35:57.87ID:Pvus6SMf
暗く単調な通路に気だるげな声が響く。
声に諦めの色が混じっているのはこれが最初の呼びかけではないからで、実のところ既に十度目の呼びかけだからなのだが、案の定返事はない。
大量の水によって細かく分断された地下階層では、声が遠くまで届かないのだ。
水を掻き分けながら進んでいた銀時は、分岐路で立ち止まって濡れた白髪をわしゃわしゃと掻き回す。

「んだよオイちょっとマジでそろそろ出てきて下さいよっつーの。つーかここどこよ。なんか不安になってきたんですけど。
 もしかして俺無視して外出てんじゃねーよな。……イヤイヤこんな頼りになる銀さん置いてなんてそんなまさかそんな。
 …………オ――――――――イ! もう誰でもいーから出てこいやァァァァァァァァ!」

残響が闇に溶けて空しく消える。
溜息。
ぶつくさと呟きながらも、また歩き始める。
行き止まりに突き当たっては引き返し、水没した通路を潜って抜け、水の迷宮を探索していく。
何度目かの水路を抜け、何度目かの分かれ道を通り、そして銀時は何度目かの行き止まりにぶつかった。
金属製の扉だ。鍵が掛かっている。ここに来るまでにも似たような扉は何度か見た。
これまでなら諦めて引き返すところだったが、いい加減イラついていた銀時は、おもむろに腰の刀を抜き、

「うるァァァァァァァァァァァァァ!!」

気合一閃。八つ当たり気味に扉をぶった斬った。

「へっ、ハナっからこーやって進めば……えっ、アレッ、ちょっっ」

少し考えれば解ることだが、扉の両側で水位が等しいとは限らない。
どばんと、扉の斬り口を抉じ開け、水が勢いよく溢れ出た。
当然ながら、銀時はそれを全身でもろに食らうことになる。

「あばっばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!」

なす術なく押し流され、銀時は無様に転がっていった。

少しの間、土左衛門の如くぷかり、ぷかりと浮かんでいた。
散々である。クソったれな神様は、どうやら本格的に自分を嫌っているらしい。

ざぱんと派手な音を立てて立ち上がり、鞘に溜まった水を出して刀を納める。
そしておもむろに振り向いて、誰もいない十字路を見透かすようにした。

「つーか、そこのオメーはさっきから何やってんだコラ。みせもんじゃねーぞ」
「いえ、面白かったもので、つい」
0185不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:36:14.97ID:Pvus6SMf
聞き覚えのある声と共に、十字路の左側からひょこっと顔だけが現れた。

「おう、何だ伊万里じゃねーか。無事だったか」
「ええ、まあ、どうにか。そちらも無事で何よりです」
「……そんだけ?」
「……何がですか?」
「いや、まーいいや。で、何で壁に隠れてんの?」
「えーと」

言い淀んで、ひよのがゆっくりと全身を現した。うお、と銀時が小さく驚きの声を上げる。
彼女は水着姿だった。
そのこと自体はさして驚くべきことではなかったが、しかしその水着が数箇所大きく切り裂かれて肌が露出し、血が滲んでいることは見逃せない。

「おい、大丈夫か」
「怪我は大したことありません。ただまあ、ちょっと色々ありましてですね。
 何があったかは後で説明しますから、取り敢えず何でもいいので服を頂けませんか?
 荷物も失くしちゃって困ってるんですよ」

言われるままに、銀時はデイパックの中から適当に服一式を選んで手渡した。

「感謝します。それじゃ、ちゃっちゃと着替えますんで、ちょっと後ろ向いてて下さい」

へいへい、と言って銀時が後ろを向く。
白刃が閃いた。



まずひよのの爪が長く、鋭く、伸びた。無言で替えの服を背後に放った。
目を細めて軽く身を屈め、ひよのは小さな水音だけを残して床を蹴った。勢いを乗せて腕を振るった。
白い軌跡を引いて、ひよのの爪は銀時の背中の中央、心臓の位置に吸い込まれる。
硬い音が響いた。

ひよのの顔が歪んだ。
銀時の背を貫く直前で、爪は鞘から半分抜かれた刀に阻まれていた。

「ヘ〜イ、ちっとばかし爪伸び過ぎじゃねーか? 俺が切ってやんよ、ソレ」

首だけで振り向いて、銀時が意地の悪い笑みを浮かべる。
舌打ちをして、ひよのを騙る女は素早く後ろに跳んだ。
が、更に上をいく勢いで銀時が鋭く踏み込み、刀を一気に抜き放つ。
女の右脇腹に刀身がめり込んだ。肉の潰れる音。
細い喉からひしゃげた音を漏らし、女の体が宙で一回転して激しく水面に叩き付けられる。
0186不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:36:42.86ID:Pvus6SMf
「フン、まァ峰打ちだから多分死んじゃいねーと思――ってうおったァ!?」

女が水飛沫を上げて跳ね起き、指先から電光を放った。銀時は慌ててしゃがんで避ける。
その隙に、女は銀時から大きく距離を取った。

「てめっ、平気なツラしやがって。どーゆー体してやがんだコラ」
「いいや、結構効いたぜ。それよりテメェこそどういう鍛え方してやがんだよ、一体。本当に人間か?
 下手なバケモンより馬鹿力じゃねえか、クソ」

ごきごきと、その姿に全くそぐわない粗野な仕草で首を鳴らす。

「まァ、いいか。ところでよ――どうしてニセモンだと判った?」
「は? 勘だよバーカ」

半分は嘘だ。最初から何か変だと直観していたのは事実だが、偽者だと看破していた訳ではない。
しかし彼女が沙英のことを尋ねるどころか全く気にかけていない様子だったのは明らかに不自然であり、だからわざと隙を作ってやったらあっさり乗ってきたというだけだ。

「は、はは、ははははははははははは」

正体不明の女が、瘧にかかったように、震え始めた。
口が三日月のように裂け、赤い舌がべろりと覗いた。
身体が見る間に一回り、二回りと大きくなり、水着は繊維にばらけて金色の獣毛に変わる。
それにつれて、笑い声も少女のそれから野太く野獣染みたものへと変化していく。
そして現れたのは、獅子の変化とでもいうべき、金色の怪物。

「げははははははははははははァ! ざァんねん。お前さん、マヌケっぽいから引っ掛かるかと思ったんだがねェ。
 ま、仕方ねえな。次の機会を窺うとするか」
「オイオイ、次の機会なんざあるとでも思ってんのか? 逃がさねーよ」

刃を返し、じりと銀時が一歩前に出る。

「ところでオメー、アイツに会ったのか?」
「ん? あァ、さっきの姿の女のことか。ククッ、まァな。何だ、あいつがどうなったのか知りてえのか?
 そうだな、条件次第で話してやらんことも――」
「あ、もういいもういい。どーせ話す気なんかねーんだろ。
 テメーをボコってからじっくり吐かせてやらァ――ってなッ!」

銀時の瞳に力が籠った。
腰を一気に落とし、怪物の脛を狙って水面ぎりぎりの一閃。
それを怪物は獣らしい俊敏さで跳躍してかわす。
互いの足元から生じた波紋同士がぶつかり合うよりも早く、銀時は刀の軌道を鋭角に変化させて斬り上げた。怪物は身体を丸めて縦に回転しつつ爪を振り下ろす。
両者の間に激しく火花が散る。
0187不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:37:12.25ID:Pvus6SMf
「チィィ、てめえやっぱ人間じゃねえだろ」
「大人しくボコられとけって。今なら八分の七殺しで済ませてやっから」
「ほとんど死んでるじゃねえか、そいつはよ」

軽口を叩きつつ、体勢を整え互いに間合いを測る。
と、怪物が顔の前に右手を翳した。雷光を警戒して、銀時は動きを止める。
怪物はにまりと笑って言った。

「まァ、慌てんなって。いいこと教えてやるからよ」
「あァ?」
「上の色んなとこによ、面白ェモンがあったぜ。――コレよ。こんな四角いのが、そこら中にな。何だと思う?」

いつの間にか怪物の左手には分厚いウエハース状の物体が握られている。
一瞥して、しかし知るかボケと言い捨てて間合いを詰める銀時。

「おいおい、待てっつってんだろ。仕方ねえな、答えを教えてやるよ。こいつは時限爆弾ってヤツだ。
 ま、どこのどいつが仕掛けていったのかまでは知らねェがな。傍迷惑なヤロウもいたもんだぜ。
 あァ、ついでにもう一つ教えておくがな――そろそろ爆発する頃だぜ、こいつ」

んだと、と銀時が言ったその途端、怪物がウエハースを放り投げた。


***************


戻ってきた。
周囲を何度も見回し、今いる場所が間違いなく元いた水族館であることを確認して、沙英はほっと肩の力を抜いた。

工場地下を抜けるのは沙英にとっては非常に――向こう十年は夢に見るであろうくらいに――恐ろしい体験だったのだが、しかしともかく自力で元の場所まで戻ってこれたことに安堵する。

体力よりも気力が尽きかけた辺りで階段を発見し、それを上ってみると、自動車が乱暴に通ったと思しきタイヤの跡があった。
そしてそのタイヤ跡を辿っていったところ、水族館に繋がる非常口まで簡単に辿り着いた。
拍子抜けしたが、苦労を求めている訳ではないので素直に喜んでおくことにする。
それはいいとして。

「うわ……」

思わず声が出てしまう。それほどに目の前の光景は惨憺たる有様だった。
見渡す限りの全ての水槽が壊れて、見るも無残な姿を晒している。
水の循環装置なども軒並み停止したらしく、機械音も聞こえない。水槽の照明も全て落ちている。
しかし電気系統が別なのか、フロアの照明はまだ生きていた。暗所に慣れた目には眩し過ぎるくらい明るい。
0188不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:37:31.53ID:Pvus6SMf
銀時と伊万里はどこにも見当たらなかった。彼らの名を呼んでみても返事はない。
非常口から見える範囲をうろうろしながら、どうしたものか、迷う。
この場で銀時達を待つべきだろうか。
ピンポイントで合流しようと思ったら思い付くのはここくらいしかない。

しかし、もしもいくら待っても二人とも戻って来なかったら――。

「きっと大丈夫――だよね。私だって大丈夫だったんだし……うん」

大丈夫のはずだ。
自分に言い聞かせるように呟いて、非常口の方へ戻ろうとする。
不意に視界の端で何かが動き、沙英はぎくりと固まった。

「え? だっ――」

誰、と言おうとして、気付く。
そこには誰かがいる訳ではなく、壊れた大きめの水槽が一つあるだけだった。
ただ、右側半分はガラスが割れずに残っており、中が暗いためにガラスの表面に沙英の全身がはっきりと映り込んでいる。
自分を驚かせたものは自分自身の像だったという訳だ。
ほっとして警戒を解き、しかしすぐに今度は別の要因で固まる。
意識していなかったが――というより、そんな余裕はなかったのだが――今の格好は長袖のシャツに下はパンツのみというお世辞にもまともとはいえないものだ。
おまけにシャツは沙英の痩身にぴたりと貼り付いて透けている。
誰もいないと解っていても、思わず周囲を確認してしまう。とても他人に見せられる格好ではない。
銀時がいなくて良かった、と思う。

「いや、良い訳ないんだけど。う……それにしても――」

寒い。ずぶ濡れなのだから当然だ。ぶるりと全身に震えが走り、沙英は両腕で身体を抱える。
女性として、という点を抜きにしても、やはり現在の状態には問題がある。今の内に着替えておきたい。
事態がどう転んでも、濡鼠のまま行動する必要はあるまい。幸い着替えは十分な持ち合わせがある。

流石にこの場で着替えるのは躊躇われるので、適当な場所を探すことにする。
近くにあったトイレを覗いたところ、中は水浸しで滅茶苦茶に壊れていた。一階はどこも似たような状態だろう。
仕方なく二階に上がり、階段脇にあったトイレに入った。
ここもやはり壁や床は水に濡れているし、洗面台の鏡には罅が入っている。しかし一階に比べれば大分ましだ。
個室のドアが歪んでいたが、内側から無理矢理閉めて鍵を掛ける。

腹の底に響く轟音が建物を伝わってきた。


***************
0189不可逆の螺旋軌道 ◇代理
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2011/11/10(木) 20:37:48.33ID:Pvus6SMf
女は明らかに、獲物を甚振って愉しんでいた。

女の爪が腹に突き立てられ、ひよのは力なく呻いた。
既にひよのの胸に、腹に、脚に、長い切り傷がいくつも走っているが、どの傷も致命傷には程遠く、ひよのに苦痛を与える目的で付けられたものであることが見て取れる。
着ている水着はズタズタで、既に原型を留めていない。

しかしひよのはまだ諦めてはいなかった。
自らの血に塗れながらも、努めて冷静に状況を確認する。

少し前に少年の方は何故かどこかへ行ってしまった。
去り際の、近くにまだいるね、という台詞が気になったが、現状の危機の方が遥かに深刻なので取り敢えずその意味は考えないことにする。
敵が一人になったことで多少は生き延びる目も出てきた――と言いたいところだが、そうはいかない。
状況は変わらず絶望的だ。

デイパックの中には強力過ぎるほどの武器や、詳細は不明だが明らかなオーバーテクノロジーの産物と思われる道具もあった。
それらを使えれば勝つ目も出てくるだろう。
しかしデイパックは最初の背中への不意打ちで破壊され、中身は全てそこらに散らばり、手の届かない位置に落ちている。
そして徒手空拳では逆立ちしても――今まさに逆立ちしているのだが――勝てはしない。

それでもまだ諦めるには早い。ただ一つだけ、まだ可能性がある。
首輪だ。
『ゲーム』のルールを信じるなら、首輪を爆発させれば装着者は例外なく死ぬ。

記憶を探る。最初のあの場所。ムルムルの説明。
首輪を無理に外そうとすれば爆発すると、確かにそう言っていた。
隙を突いて女の首輪を思い切り引っ張ることが出来れば、もしかしたら首輪が起爆するかもしれない。
無論、引っ張った腕は無事では済まないだろうが――このまま嬲り殺しにされるよりはマシだ。

両腕全体に意識を回して状態を確かめる。痛みはあるものの、腕の痺れは大分取れてきた。
手に神経を集中し、女に悟られないよう慎重に指先を動かしてみる。右手、そして左手。
問題なく動く。腕の機能はほぼ回復しているようだ。

しかし、焦って行動してはならない。
成功する可能性があるとしたらそれは不意打ちの一撃しかあり得ず、二度目はない。失敗すれば完全に打つ手がなくなる。
隙が欲しい。一瞬でいい。隙があれば。

だが――自力でその隙を作る方法が思い付かない。

せめて何か一つ、『予想外の出来事』が起こらないとこのまま嬲り殺しにされる。
起こるかは判らない。いや、起こらない可能性の方が遥かに高いだろう。
しかしそれでも、その瞬間のために、神経を研ぎ澄ませておく。それが今唯一ひよのが出来ることだった。
0190不可逆の螺旋軌道 ◇代理
垢版 |
2011/11/10(木) 20:38:08.01ID:Pvus6SMf
ひよのの身体に赤い線を刻んでいた女の爪が、右腿に差しかかったところで止まった。
傷を付けるのをやめ、おもむろに腿を手で掴む。
女が舌なめずりをしたのを、ひよのは見た。

「少しくらい、いいわよねぇん」

何が、という疑問が口に出る直前、ぶちりという音がして、焼き鏝を押し付けられたように腿が灼熱した。

「――っ!!」

喰われた。
肉体のほんの一部ではあるが、喰われた。
覚悟していなかった訳ではないが、それは途轍もなく恐ろしかった。
絶対的な捕食者に対する恐怖が心に滑り込んでくる。

「あらぁん、貴女、もう少し肥ってる方が魅力的よん♪」
「生憎、ダイエット中なもので」

強がりなのは明らかで、もしかすると声が震えていたかもしれない。
それでも何か言い返さないと勇気が萎んでしまいそうだった。限界が近かった。
女は血に染まった凄惨な笑みを浮かべ、再び容赦なく鋭い爪をひよのの身体に突き立てようとする。

突如、凄まじい爆音が空気を震わせた。
工場全体が大きく揺れる。そこら中から建材が捻れ、折れ、砕ける音が響いてくる。
壁に亀裂が入り、天井から瓦礫がばらばらと落下する。
その一つが女の頭目掛けて落ちてきた。女は上を向いて手で瓦礫を打ち払おうとする。

来た。千載一遇の好機。ひよのから注意が逸れたその刹那に、猛然と身体を持ち上げ腕を伸ばす。

光が奔った。
首輪まであと数センチメートルのところで腕に衝撃が走り、動きが止められた。
女が放った、電撃だ。

「残念だったわねぇん」

女の顔がこちらを向いた。
その表情を見て、理解する。
女は敢えて抵抗の余地を残していただけだ。獲物に決定的な恐怖と絶望を与えるために。
おそらくはこの揺れも、起こると知っていたのだ。
最初から全て、女の掌の上で弄ばれていただけだったのだ。

「その顔――悪くないわよぉん♪」
0191不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw
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2011/11/10(木) 22:17:59.11ID:chT95gWd
愉しそうに、本当に愉しそうに、女は言った。
最悪だ。
どうやら自分は、女の期待通りに踊っただけだったらしい。
突き付けられた黒々とした銃口が、全ての希望を呑み込んでいく。
女が焦らすようにゆっくりと引き金を絞っていく。
これは、本当に終わりだ。ひよのはついに目を瞑った。
そして、炸裂音が、響いた。



建物の振動が続いている。

まだ意識がある。死んでいない。
何が起こったのか解らなかった。
瞼を上げる。

「……あらぁん?」

女は胡乱気に手元を見ている。
西洋彫刻のような彼女の手が、見る影もなく破壊されていた。

気付く。
静謐な青い光。

太極符印。水面にちょこんと頭を出したそれが起動している。
女が撃った拳銃、エンフィールドNo.2。それはミッドバレイ・ザ・ホーンフリークが最初に太公望を襲ったときに用いたもの。
太極符印はその攻撃パターンを記憶しており、そのため放たれた銃弾に対して自動迎撃を行ったのだ。
勿論、ひよのにそこまでは解らない。
しかし起こった事象は正確には解らずとも、太極符印が、太公望が、致命的な一撃を防いでくれたことだけは理解した。

「――太公望さん」

思わずひよのの口から漏れる命の恩人の名前。
そして、その名に、女は思いがけず過剰な反応を示した。

「たい、こうぼう」

ずたずたになった手を見て、徐々に光が弱まる太極符印を眺め、そして女はもう一度、たいこうぼう、と反芻する。
ゆらりと女の頭が揺れ、ひよのの腿を掴む力が緩んだ。
何が起こったのかを考えるよりも先に、全力で女の胸を蹴り飛ばす。
女の爪が腿を浅く裂いて、そしてどぼんとひよのの体が水に落ちる。
0192不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 22:18:51.58ID:chT95gWd
拘束が外れた。
喜ぶ余裕もなく周囲に視線を走らせる。
見付けた。
光を失う寸前の太極符印。その隣に沈んでいる物。
ひよのの身の丈を超える巨大な十字架――パニッシャーだ。

パニッシャーに跳び付いて引き起こし、十字の交差部に手をかける。ろくに狙いも付けずに引き金を引いた。
連なる爆音。それに伴う反動。ひよのは全体重をもってパニッシャーを押さえ付ける。
凶悪な鋼の弾が容赦なく女の肉体を削り取って血煙に変えていく様子を、ストロボに似たマズルフラッシュが余す所なく照らし出している。

やがて、カシンと乾いた音がして、十字架は蓄えられていた銃弾の全てを吐き出したことを知らせた。
再び暗闇が戻り、銃声の残響も僅かな余韻を残して霧散する。

鉄錆の臭いがする。
女の全身は、昔の漫画に登場するチーズに似た惨状を呈していることだろう。

だが、その穴だらけのヒトの形が、立ち上る煙の向こうで、動いた。

夢中だった。
十字架の長い部分を下に向け立ち上げる。
発射。
着弾。
予想を上回る規模の爆発が発生し、爆風で後ろに吹き飛ばされる。
爆炎が消えた後には、床に開いた大穴の他に残っているものは何もなかった。

ひよのは、太極符印とその近くにあった首輪だけを回収して、逃げ出した。
0193不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 22:19:30.44ID:chT95gWd
【A-3/水族館/1日目/夜中】

【沙英@ひだまりスケッチ】
[状態]:疲労(中)、腰に打撲、ツッコミの才?
[服装]:長袖のシャツ(濡れ)
[装備]:九竜神火罩@封神演義
[道具]:支給品一式、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲@銀魂、大量の食糧
    輸血用血液パック、やまぶき高校の制服、着替え数点
[思考]
1:何の音?
2:二人と協力して、ゆのを保護する。
3:銀さんが気になる?
4:ヒロの復讐……?
[備考]
※グリフィスからガッツとゾッドの情報を聞きました。
※会場を囲む壁を認識しました。
※宝貝の使い方のコツを掴んだ?
※ワープ空間の存在を知りました。

【E-6/工場(崩壊中)/1日目/夜中】

【坂田銀時@銀魂】
[状態]:疲労(中)
[服装]:いつもの服装に黒革のジャケット(濡れ)
[装備]:和道一文字@ONE PIECE
[道具]:支給品一式、大量のエロ本、太乙万能義手@封神演義、大量の甘味
    大量の女物の服、スクーター
[思考]
1:二人を探す。
2:ゆのを探しに行く。
3:伊万里のボケに対し、対抗心
[備考]
※参戦時期は柳生編以降です。
※グリフィスからガッツとゾッドの情報を聞きました。
※会場を囲む壁を認識しました。
※デパートの中で起こった騒動に気付いているかは不明です。
※流を危険視。しばらく警戒をとくつもりはありません。
0194不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw
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2011/11/10(木) 22:20:38.74ID:chT95gWd
【結崎ひよの@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:全身に切り傷、腿に噛み傷。
[服装]:ズタズタの水着
[装備]:太極符印@封神演義、柳生九兵衛の首輪
[道具]:
[思考]
基本:『結崎ひよの』として、鳴海歩を信頼しサポートする。蘇生に関する情報を得る。
1:鳴海歩と合流したい。
2:エドワード・エルリックと連絡を取ってなんとしてでも合流しておきたい。場合によっては他の人間を撒いてでも確保。
3:あらゆる情報を得る為に多くの人と会う。出来れば危険人物とは関わらない。
4:安全な保障があるならば封神計画関係者に接触。
5:復活の玉ほか、クローン体の治療の可能性について調査。
6:ネット上でのキンブリーの言動を警戒。場合によってはアク禁などを行う。
7:安藤(兄)の内心に不信感。
8:できる限り多くの携帯電話を確保して、危険人物の意見を封じつつ歩の陣営が有利になるよう
   掲示板上の情報操作を行いたい。
[備考]
※清隆にピアスを渡してから、歩に真実を語るまでのどこかから参戦。
※手作りの人物表には、今のところミッドバレイ、太公望、エド、リン、安藤(兄)、銀時、沙英の外見、会話から読み取れた簡単な性格が記されています。
※太公望の考察と、殷王朝滅亡時点で太公望の知る封神計画や、それに関わる人々の情報を大まかに知っています。
 ハヤテが太公望に話した情報も又聞きしています。
※超常現象の存在を認めました。封神計画が今ロワに関係しているのではないかと推測しています。
※モンタージュの男(秋葉流)が高町亮子を殺したと思っています。警戒を最大に引き上げました。
※太極符印にはミッドバレイの攻撃パターン(エンフィールドとイガラッパ)が記録されており、これらを自動迎撃します。
 また、太公望が何らかの条件により発動するプログラムを組み込みました。詳細は不明です。
 結崎ひよのは太極符印の使用法を知りません。
※フィールド内のインターネットは、外界から隔絶されたローカルネットワークであると思っています。
※九兵衛の手記を把握しました。
※錬金術についての詳しい情報を知りました。
 また、リンの気配探知については会話内容から察していますが、安藤の腹話術については何も知りません。
※プラントドームと練成陣(?)の存在を知りました。魔子宮に関係があると推測しています。
※島・それぞれがいた世界の他に第三のパラレル世界があるかもしれないと考えています。
※旅館の浴場とボイラー室のワープトラップの奇妙な関係に気づきました。

【字伏右半身(安藤潤也)@封神演義&うしおととら&魔王 JUVENILE REMIX】
[状態]:字伏の肉体(白面化80%)
[服装]:不明
[装備]:

※妲己とひよのの荷物の一部が工場のどこかに落ちています。
 妲己の荷物(支給品一式×3(メモを一部消費、名簿+1)、エンフィールドNO.2(0/6)@現実、趙公明の映像宝貝、大量の酒、工具類、真紅のベヘリット)
 ひよのの荷物(支給品一式×3、綾崎ハヤテの携帯電話@ハヤテのごとく!、手作りの人物表、太極符印@封神演義、柳生九兵衛の首輪、改造トゲバット@金剛番長
    番天印@封神演義、乾坤圏@封神演義、パニッシャー(機関銃:0% ロケットランチャー0/2)@トライガン・マキシマム
    若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム、ロビンの似顔絵
    秋葉流のモンタージュ入りファックス、水族館のパンフレット、自転車、着替え数点、エイトのレプリカのパーツ数個)


***************

0195不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 22:21:29.73ID:chT95gWd
堆く積み積み積まれた死の底で、魔を孕む胎に堕ち揺蕩う魔が一つ。



三界の狂人は狂を知らず。
四生の盲者は盲を識らず。
生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、
死に死に死に死んで死の終りに冥し。



――――――おぎゃぁぁあああぁぁぁ。



【E-6/工場(崩壊中)/1日目/夜中】

【字伏左半身(妲己)@封神演義&うしおととら&魔王 JUVENILE REMIX】
[状態]:???
0196 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2011/11/10(木) 22:22:36.78ID:chT95gWd
以上で投下終了です。
代理投下有難うございました。
0197創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/10(木) 22:48:04.29ID:Pvus6SMf
そろそろ大丈夫かなと思ったら投下終わってたでござる
投下乙です!

ハイブリット生物がいよいよヤバイ!
これはひよの死んだかと思ったが、ここにきて太極符印のフラグ回収でよかった生き延びた
そして安心の銀さん。これは格好いい。しかし爆発が……大丈夫だろうか
沙英はとりあえずは無事……か?
ネオアー(ryの活躍が見たかった気がしないでもない

いやしかしマジでハイブリット生物がヤバイな
0199創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/11(金) 00:22:33.85ID:msVkyCWc
投下乙
やっべえひよの生きてて嬉しいとか思う間もなくハイブリッドやべえ
銀さんはいつもどおり飄々と格好いいから全く困らないぜ
……沙英があのまま溺死する展開がここならあり得ると思ったのは俺だけじゃないと信じたいw
0200創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/11(金) 13:07:16.91ID:5rh/lX4I
投下乙!半年ぶりにおかえりなさい!

ミッドバレイは三人に大変なものを残していきましたww
こいつら本当にいいギャグ反応するなぁとニヤニヤしてたら三人分断確定か
太公望の太極符印はまだ眠っている機能があるから、怖くもあり楽しみでもあり
ひよひよはサービスシーンが多くてなにより
沙英のモノローグがゆのの状況の真逆で皮肉だな……
ハイブリッドな生物はどこまで進化を遂げる気だwww


ぶっちゃけ始まって以来初の月報0覚悟してたから
久々の投下がすごくありがたかった。面白かったです!
0201創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/11(金) 13:57:44.14ID:Li3vqHxQ
たいこーぼぉぉぉぉぉ!
いやー、死んでからもなお放つ存在感のなんと格好良い事よ、
ひよひよはここで死んでも不思議ではないだけに生存は嬉しかった
太極符印の隠れたプログラムがまだ残ってるけど、自分で扱えないのが難点だな

沙英さんはここからがようやくロワ参戦って感じだな、おそろしく遅いスタートだったw
しかし一人だけわざわざ水族館へ戻ってきたが、ここから動くとなるとどこに行くにしても南下して迂回しないとならない訳で
そうなるとゆのっちと出会う確率が……w

銀さんはヤバいなー、
目の前のそいつの片割れ、ヤバいことになってますから!ベヘリットもありますから!
早く逃げてー
しかし潤也本当に人間やめちゃったなw

あ、あと>>194のひよのの落とした荷物に太極符印が残ったままになっちゃってますー
0202創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/11(金) 14:02:08.91ID:mRHo9uH3
>>201
そうか、残り人数18人切った時点でやっとバトロワをバトロワと認識したのか

…よく生き残れたもんだw
0203創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/11(金) 14:38:38.57ID:fV1TtkWF
バトロワをバトロワと認識しないままリタイヤした奴もいる訳で……
ダメ教師みたいにならなくてよかったなwww
0204創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/12(土) 16:54:56.07ID:VhKfxm7u
ナイブズ、ひよの、歩と考察進んでるキャラの距離が近付いたがマーダーも多いな・・・
0206創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/12(土) 18:31:12.56ID:qR4MhMWs
あ、解除されてるw

もう18人だけどまだ18人かもしれない
主催者と参加者の数が10人前後になったら最終回だろう
0209創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/27(日) 03:13:33.95ID:VrDg714+
どうせ主催の内ゲバもまだまだ続くだろうし、武道大会もあるしなあw
ここだと全く描写されずに10人くらい平気で消えてそうで怖いw
0211創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/30(水) 21:14:17.13ID:As6DOn7j
だって描写されてないだけで相当数の人員が主催陣内部で闇に消えてるものw
0212創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/01(木) 23:11:19.43ID:d37RBpai
アノンとかザジとか表に出ないまま死んだもんなあw
今の時点で参加者に知られていないやつって11th一味ぐらいか?
0213創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/03(土) 03:39:34.06ID:jJG7PEFu
まあ、未来日記勢も全滅したし次の話の冒頭で11thが地面に転がってても全く驚くに値しないけどw
主催は使い捨てるもの
0216創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/03(土) 20:13:32.53ID:eICK6szn
なんてこと書いてると11thが思わぬ活躍をするかも・・・?
・・・ねーなwww
0218創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/03(土) 23:03:27.35ID:jJG7PEFu
かつてここまで結果の見え透いた反乱があっただろうかw

実は途中で主催陣がどんどん増えてった時はどうなるのかと心配してたんたが、
むしろそれが主催側のキャラはいくらでもぞんざいな扱いをしていいって土壌を作りだすとはw
0220創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/05(月) 11:44:28.33ID:BtgVSJqT
魔改造というには設定が噛み合ってるよな、あれw
うしとらと封神はともかく魔王成分は薄いけど……
0221創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/05(月) 12:50:58.19ID:ukNZkJKs
字伏は本能で動いてるっぽいから潤也の能力があっても活かすのは難しいかもな
0222創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/05(月) 12:56:38.35ID:z7WMZCBd
ハイブリット生物は地下に落下してたとしたら更にハイブリットな事になりそうなフラグだしなぁw
いったいどこまで行くというんだろうw
0224創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/06(火) 03:24:47.25ID:gsPFOZx3
そこにベヘリットまで絡んでくるんだぜw
でも元が元だけに、ゴッドハンドになったからってあんまり変わらない気もするが
原作では元が人間だから、そりゃ大幅パワーアップだけど
妲己なんか元からゴッドハンドみたいなもんだし

ここまで敵が強すぎると、潮もガッツも自分本来の武器を手に入れたことだし聞仲に禁鞭あげたいが…
0225創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/06(火) 18:39:56.54ID:RE1eXLUL
そういえば12月10日は皆既月食らしいよ。

なんかスゲータイミングいいな。
なんか月食だって聞いたとき、
ブワッってなったわ。

これも神の計画通りなのかな?
0226創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/06(火) 22:16:54.06ID:7Pxfz9ug
それ言ったら去年のロワ語りの日なんて皆既月食にぶち当たってたしww
去年は1年に3回も皆既月食があった珍しい年だったとはいえ、3/365の確率だぞ


ホントに何なんだここは……!
0228創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/09(金) 22:26:48.89ID:tPOrQ2dJ
年末の間違いかい?w
読む俺はヒマだが、世間一般の皆様は忙しいんだろうなきっと
0229 ◆RLphhZZi3Y
垢版 |
2011/12/25(日) 00:45:14.73ID:kTY01GCM
今年は1作しか投下出来なかったお詫びも兼ねて、ぼちぼち支援投下
0230第三放送を突破した参加者でタロット完成版
垢版 |
2011/12/25(日) 00:45:52.56ID:kTY01GCM
0.愚者
秋葉流&とら
正位置:自由、可能性、発想力、天才
逆位置:無節操、無責任、愚行、狂人
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73940.png

1.魔術師
ゾルフ・J・キンブリー
正位置:起源、エネルギー、才能、チャンス
逆位置:混迷、裏切り、バイオリズム低下
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73941.png

2.女教皇
結崎ひよの
正位置:知性、平常心、洞察力、理解力
逆位置:無神経、我が儘、不安定、プライドが高い
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73943.png

3.女帝
妲己(字伏ver.)
正位置:繁栄、情熱、豊満、女性的魅力
逆位置:虚栄心、嫉妬、浪費、情緒不安定
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73944.png
0231創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/25(日) 00:46:20.41ID:kTY01GCM
4.皇帝
ミリオンズ・ナイブズ
正位置:支配、男性的、権威、意思の強さ
逆位置:横暴、傲岸不遜、勝手、独断的
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73946.png

5.教皇
エドワード・エルリック
正位置:信頼、尊厳、自信、協調性
逆位置:束縛、躊躇、独りよがり
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73947.png

6.恋人
我妻由乃
正位置:恋愛、恋人、絆、嫉妬
逆位置:不道徳、失恋、空虚、無視
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73948.png

7.戦車
リン・ヤオ
正位置:勝利、成功、突進力、開拓精神
逆位置:暴走、傍若無人、焦り、好戦的
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73949.jpg
0232創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/25(日) 00:46:48.10ID:kTY01GCM
8.力
聞仲
正位置:不撓不屈、理性、自制、冷静
逆位置:無気力、人任せ、権勢を振るう
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73950.png

9.隠者
ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
正位置:経験則、秘匿、慎重、単独行動
逆位置:閉鎖性、陰湿、邪推
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73951.png

10.運命の輪
鳴海歩
正位置:転換点、チャンス、解決、定められた運命
逆位置:別れ、すれ違い
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73952.png

11.正義
蒼月潮
正位置:公平、善悪の区別、正当、善行
逆位置:不正、一方通行
ttp://uploader.sakura.ne.jp/src/up73953.png
0234創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/25(日) 01:50:02.66ID:OHOiaJx7
釣り?
リンク先全部出会い系に飛ぶんだけど。
0235 ◆RLphhZZi3Y
垢版 |
2011/12/25(日) 02:06:43.15ID:kTY01GCM
思いっきりミスりました

ttp://upup.bz/j/my06569pzHYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06570lKaYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06571HqfYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06572ZcmYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06574yhkYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06575vTRYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06576UxBYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06579popYtruyCrUIAggg.jpg
ttp://upup.bz/j/my06580EseYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06581SUrYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06582rEKYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06583zeMYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06584YkdYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06585XWuYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06586hDXYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06587wICYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06588KqfYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06589DXJYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06590XpQYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06591YeCYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06592SzXYtruyCrUIAggg.png
ttp://upup.bz/j/my06593kRbYtruyCrUIAggg.png

ミスのレベルじゃ済まないと思うミスでした
申し訳ございません
0237創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/25(日) 04:15:50.20ID:OHOiaJx7
おお〜〜〜〜〜〜
釣りとかいってすんませんした!

乙です!
0243sage
垢版 |
2011/12/26(月) 22:17:02.01ID:kGaqIJtB
運命の輪だから清隆と火澄のほうがしっくりくるな
0244創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/27(火) 04:53:05.90ID:XGgWFb5z
こうして見てみると未だに秋瀬が死んだ事に納得がいかなくなるわ……
0245創る名無しに見る名無し
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2011/12/27(火) 07:03:08.84ID:g6DMEYnX
>>244
秋瀬は読者に希望を与えるため、最後の綱と心の奥で信じてしまう存在。
君たちがそう感じた時に奪うためだけに、配置した。
全てしうなるように私が仕組んだ。
0247創る名無しに見る名無し
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2012/01/01(日) 01:03:47.76ID:ayq5WD3s
あけおめです。
今年も良いロワを。
0248創る名無しに見る名無し
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2012/01/01(日) 16:21:49.95ID:vRbtVnXD
>>196
今更ながらに読んだ
投下乙です
漫才トリオもバラけちゃったか
工場組は危機進行中だな
ひよのも辛くも生きのこったけど、無事脱出出来るのか

ところで沙英の感じた振動は、工場での爆発の余波が伝わってきたって事でいいの?
0249 ◆L62I.UGyuw
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2012/01/05(木) 21:18:51.16ID:WkHxTKCj
回答が遅れてすみません。
私は工場での爆発の余波のつもりで書きました。
明示はしていないため、話次第では他の解釈も可能かもしれませんが。
0255創る名無しに見る名無し
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2012/01/12(木) 23:16:26.96ID:mBTe0Hr+
最新の投下だってつい最近な気がするけど2か月前だからなあw
完結まであと5年かかったって最後までついて行くが
考えてみたらのんびりした話だよな
いや決してせかしている訳でも批判している訳でもなく
0257 ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:44:16.16ID:mzEf00yA
それでは投下します
なお、沙英、趙公明、西沢歩、ゆので予約しましたが、沙英さんの登場パートまで筆が進まなかった為
彼女が登場しない事を、予めお詫び申し上げます。
0258適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:45:54.57ID:mzEf00yA





生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、最も知能の高いものでもない。

変わりゆく環境に最も適応できる種が生き残るのである。


 チャールズ・ダーウィン




       ◇       ◇       ◇


海面を渡ってきた冷たい潮風が、堤防代わりの木立の合間を通り抜けて、びゅうびゅうと風切り音を掻き鳴らす。
氷雨の勢いはいよいよもって激しくなり、殴打されて熱く腫れあがった少女の顔を冷やしていた。

否。
容赦なく体温を奪っていくそれは『冷やす』などと言う、生易しいレベルのものではない。
剥き出しの肌を刺すような寒気は、もはや痛いとさえ言えるものだ。
じっと動かずにいると、目からは自然と涙が滲み、指先は自分のものではないかのように感覚が乏しくなる。
鼻から滴り落ちる血でさえも、今にも凍りついてしまいそうだ。
疲れたから少し休みたい、などという泣き言が許される天候ではなかった。

「うう……」

やむをえず、ゆのは疲れた身体に鞭を打って、のろのろとした動きで立ちあがる。
いつの間にか風に飛ばされて、少し離れた木の枝にひっかかっていたショールを取りに行こうと考えたのだ。
だが、一歩足を踏み出した瞬間、ゆのの股間に鈍痛が走り、少女の表情が苦痛と嫌悪に歪む。
今までに経験した事のない痛みに、思わず喉から悲鳴の声が漏れてしまう。

「痛っ……やだぁ……こんな……」

あの子だ。
あの女の子の指が、まだお尻の中に入っている。

もちろんそんなはずがないのだが、お尻に突きこまれた冷たい異物感は、消える事無く鮮明なままだ。
まるで、死者の遺した呪いを、体内に刻み込まれてしまったかのような悪寒。
もしやあのゾンビ少女の、最後の怨念染みたなにかが、自分の身体の中に注ぎ込まれたのではないだろうか――。

「……なーんちゃってーっ! そんなわけ、ないよねっえへへっ」

僅かに思い浮かべてしまったオカルティックな妄想を、わざとおどけた声で追い払うと、ゆのは痛みを堪えて歩きはじめる。
少しガニマタ気味の奇妙な歩き方で、目的の木の下に近付いたゆのは、ようやくショールを回収するとそれを羽織った。

濡れていなければ良いなと思いながら、手に取ったショールは期待通りに暖かな肌触りで。
その温もりでようやく人心地付いたゆのが溜息を吐くと、真っ白い吐息は一瞬だけ鼻先を温めて儚く消える。
ゆのは、口元を両手で覆うと、再び深く息を吐いた。
0259適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:46:38.50ID:mzEf00yA
落ちついて周囲を見渡してみれば、先程の少女との戦いで散乱した武器やデイパックが転がっている。
その中で一番近くにあった日本刀を手に取ると、ゆのは土の上に倒れている少女の遺体にゆっくりと近付いて行った。

怖い想像を働かせてしまうのは、それがゆのにとって未知の相手で、理解の出来ないモノだからだ。
既に息の根が止まっているとは言え、相手は最初からゾンビめいた少女であったし、ゆの自身が止めをさした訳でもない。
だから、いつか息を吹き返すのではないか。
そんな心配が、ゆのに謂われのない恐怖感を与えていたのだろう。

ならば、ゆのが安心出来るカタチにしてしまえばいい。

寒さにかじかむ手で、しっかりと日本刀を握り締める。
初めて触った刀は、時代劇などで侍が軽々と振り回しているのが信じられないほど、ずっしりとした重みがあった。
だが、この場合に限って言えば、その重みは逆にゆのの仕事の助けになるだろう。

「動かない……よね?」

死体が動かない事を確認したゆのは、仰向けに倒れている遺体に馬乗りして、ギロチンのように刃を押し当てる。
刃の背に添える左手は、誤って切ってしまわないように、にゃんこの手。
そうして準備を整えたゆのは、躊躇いもなく一気に刀に体重を掛けて押し込んだ。

首を、断つ。

感触としては、大型の魚のお頭を落とす感覚に近い。
骨の辺りに若干の抵抗を感じたが、この肉切り包丁の切れ味は素晴らしく、一息の内に首を落とす事が出来た。
噴き出た熱い鮮血が、ゆのの両手を赤く濡らす。

「あはっ、あったかぁい……ホントに、生きてたんだ……」

凍えた手に、じんわりと染みるような暖かさが気持ちいい。
この血の暖かさは、この少女がゾンビなどではなく、ちゃんとした人間であった証。
そして今、首を断った事によって、少女は間違いなく死んだのだ。
もはや、恐れる事は何もない。
ゆのは刀を手放すと、陶然とした心持ちで両手で血を受け止めた。
熱い、熱い命の水を。


       ◇       ◇       ◇


そうやって、不意の遭遇戦に始末をつけた後。
ゆのは再び北へと向かいながら、新しく手に入れた戦果について考えていた。
海辺は山間部と比べれば雪が積もりにくくて歩きやすいが、それでも今のゆのには辛い道程だった。
なにか楽しい事でも考えながら歩ければ、楽だったかも知れない。
だが、墨汁をぶちまけたような闇夜の中で脳裏に浮かぶのは、これからどうやって生き抜くか――という事だけだった。

日本刀。
二丁のマシンガン。
手榴弾。
他にも多数の品物が、ゾンビ少女のデイパックには入っていた。

きっと、数多くの参加者を殺して奪い取ってきたのだろう。
どれも充分に、人を殺せるだけの凶器だった。
もし、あの少女がこれらの装備を自在に使いこなせるだけのコンディションであったなら、今こうしてゆのは生きてはいなかったはずだ。
その想像に秘かに戦慄するゆのであったが、それらの武器も今ではゆのの物である。
自らのデイパックに、丁寧に仕舞われた武骨な武具の手触りは、心強くもあった。

だが、首輪は集めてはいなかったらしく、一つもなかったのが残念だった。

ゆのも集め始めた時は混乱の極致にあった為、使い道など考えも付かなかったが、考えてみればこの首輪は参加者たちを掣肘する
強力な爆弾なのだから、武器として転用する事も可能であろう。
0260適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:47:29.28ID:mzEf00yA

キンブリーとの契約の一件もある。
もはや腕を治して貰う必要はなかったが、あの錬金術師との契約は未だ破棄されたわけではない。
等価交換。
彼の語ったその言葉の意味は、等しい価値を有するものを相互に交換するという意味だ。
ならば何も腕の治療に限らずとも、首輪十個分の対価を得る事は出来るはずだ。

ゆの自身が集めた首輪は、ここまでで六つ。
パックの死体に嵌まったままの首輪も含めれば、七つの首輪がゆのの手元にあった。
加えて首輪に関するレポートという物も手に入ったし、これから先も首輪が手に入る可能性はある。
約束の数には未だ足りないが、交渉次第ではキンブリーの興味を惹く事も出来るだろう。

もっとも、再びゆのがキンブリーと出合うような事があるかどうかは判らないし、今の所は特に頼み事もないのだが……。
これから先、自分が先程の少女のような、酷い目に合わないとも限らない。

ゆのはふと立ち止まると、胸に抱いていた混元珠を小脇に挟み、先程新しく手に入れたばかりの首輪をデイパックから取り出した。


我妻 由乃

よしの――いや、もしかして、ゆの。
首輪の裏側に刻まれた文字は、そう読むのだろうか。


自分と同じ名前。
ただの偶然だ。
深い意味など、あろうはずもない。
同じ名前の人間くらい、世の中にはいっぱいいるし、彼女と自分とはなんの関係もない別の人間だ。
たまたまそれがクロスした程度の事で、うろたえる必要なんてない。
同じ名前だからといって、同じ運命を辿る訳ではないのだ。

死体から外したばかりのこの首輪を、初めて見た時もそう結論していたが、それでも陰鬱な気分は消えない。
ちょっとした事で、すぐに気持ちが落ち込んでしまうのだ。
この島では。

ゆのは一つ溜息を吐くと、首輪をデイパックに戻す。
そして気を取り直すと、再び歩きはじめた。

ここがひだまり荘だったら。
もし、今歩いているのが住み慣れたいつもの土地であったなら、誰かが必ず傍に居てくれた。
落ち込んでいれば励ましてくれたし、調子が悪ければ介抱もしてくれた。
もちろんゆのだって、他の誰かが困っていれば、率先して声をかけたものだ。
そうやって親元を離れた自分達は、暮らしの知恵だとか、安心感だとか、しあわせを共有してきたのだ。
だけど、ここでは――。

「ダメダメ、今はひだまり荘の事は忘れなきゃ……」

ぶんぶんと頭を振るうと、髪に付着していたみぞれと一緒に、赤く染まった何かが振り落とされる。

「あ……」

それは我妻由乃が着ていたブラウスの布地を切り取って、ガーゼ代わりに鼻に詰めていた物だった。
一瞬、ゴミを拾おうと屈みかけたゆのだったが、これくらい別にいいかと思い直す。
屈むのが億劫だったし、この島の環境が少しくらい汚れた所でゆのには関係のない事だ。

それよりも、中々鼻血が止まらない事のほうが、ゆのにとっては重大事だった。
幸い鼻骨は折れていないようだったが、これ以上出血が続くようだと貧血になりそうだと自覚していた。
それほど派手に出血しているわけではなかったが、既に大量に失血していたので一滴の血液さえも無駄には出来ないのだ。
0261適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:48:25.91ID:mzEf00yA
「やっぱり病院に寄って行ったほうがいいかなぁ」

既にゆのの視界には、白い巨大な建造物が入っている。
別に病院を目指して歩いてきたわけではなかったが、せっかく近くまで来たのだから寄って行くのが合理的だ。
全身痛い所だらけで薬が欲しかったし、酷く疲れてしまっていて、まぶたがくっついてしまいそうなくらい眠かった。
こんな状態で競技場に向かっても、死にに行くようなものだ。
死にたくないから足掻いているというのに、それでは本末転倒と言うべきだろう。

そもそも、ゆのがここまで突き進んで来たのは、怖い人たちに脅迫されていたからだ。
一つ、首輪を十個集めてきなさい。
一つ、三人殺してきなさい。
一つ、競技場にきなさい。
という、三つの命令に従って、ゆのは動いてきた。

しかし改めて考えてみれば、一つ目の件は別に急ぎの用という訳でもない。
二つ目の件もパック、胡喜媚、我妻由乃の三名を倒し、既にクリアしている。
ここまでゆのが歩いてきた原因の三つ目の件にしても、別に人質を取られた訳でもないし、無理に実行する必要などどこにもなかった。
出合ったあの場所を離れて、ゆのが隠れてさえしまえば、趙公明たちとは再び出合う事すらないかも知れないのだ。


ああ、なんだ。
別にもう、休んでも良かったんだ――。


その気付きは、ゆのの身体にずっと圧し掛かっていた、重しが取れたような開放感を齎した。
強張っていた身体の緊張がゆるむ。
すると、これまではどうにか我慢していた生理的欲求が、むっくりと頭をもたげてくる。

そうだ。病院に入ったら、お風呂を探そう。
凍えきった身体を、まずは温めたい。
贅沢は言わない。シャワーだけでも良い。

それから薬を探して治療をして、それからそれから厨房で何かを作ろう。
時間が経ってこちこちになっているおにぎりも、水と一緒に鍋に入れて火をかければ、柔らかく煮崩せるだろう。
おかゆみたいにしたそれを食べれば、きっと活力が湧いて来るはずだ。

ああ、でもそれより何よりも、まずは寝たい!
暖かな毛布に包まって、ぐっすりと眠る事が出来れば、他の事は全部後回しでも構わない……。


重たかった足取りが、少しだけ軽くなる。
望みは次から次に出てきて、そのどれもが魅力的に思えた。
瞳に期待の色を宿らせたゆのは、病院の敷地内に足を踏み入れて――。


次の瞬間、目前にそびえ立っていた巨大な建造物が、轟音と共に崩れ落ちて行くのを見た。
身体に感じる振動は、雪崩落ちる瓦礫の衝撃が大地を伝わってきたものだ。
瓦礫同士が擦れ合うような強烈な破砕音で、今にも鼓膜が破けそう。
気が付けば、黒いもやが目前まで迫っている。
土埃と共に天まで舞い散った大規模な粉塵が、瞬く間に敷地内を満たして、ゆのの元へも押し寄せてきたのだ。


――何が起きたのか、判らなかった。
しゃっくりをした時みたいに、横隔膜が震える。
驚きのあまり、ゆのはしばらく呼吸を止めていた。
周囲には、薄い水色の膜がある。
混元珠によって周囲の雨水を操作したゆのは、自らの周りに即席のバリアを作ったのだ。
物理的な防御力は皆無に等しいとは言え、粉塵を防ぐだけなら上等な対策だった。
これまで、いくつかの非日常的な危機を乗り越えてきた事で、ゆのの対応力も上昇していた。
0262適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:49:14.15ID:mzEf00yA
だが、それは目前まで迫っていた粉塵に対応しただけの事だ。
どうして、いきなり病院が崩壊してしまったのか。
そして、この事態に対して、どういう対応を取ればいいのか。
それがゆのには判らない。

唯一思いつく対策は、この場から逃げ出すという選択肢だけだったが、逃げようにも周囲一帯には濃密な煙幕が立ち込めていて、
視野がまったく確保出来ない状態だ。
このような状況では、下手に動いた方が命取りになるという事も有り得る。
故に、ゆのは小さな身体を更に縮めて、震えながら煙が収まるのを待つしかなかった。

すると、そんな風に怯えているゆのの耳に、奇妙な音が聞こえてきた。
何か重く、硬質な物体同士がぶつかって擦り合うような、不快な音だった。
目を凝らして、なんとか何が起きているのかを探ろうとするゆのだったが、煙幕の先は十センチすら見通す事は出来ない。
しかし、折からの強風が吹き荒れて、闇のカーテンを払いのける。
視界を塞いでいたもやが薄れたそこには――瓦礫の山が、なかった。

「……えっ?」

そこにあったのは、二本の白い円柱だった。
逆Vの字型にそびえ立つ巨大なそれは、上空で一本に纏まって直立している。
接地している部分は巨大な靴のような形状をしており、よくこれだけで倒れないなと思うような、奇跡的なバランスを演出していた。

「……って言うか、もしかしてこれ……足の……像?」

あったはずの瓦礫の山が無くなっていて、代わりに下半身だけの巨大な石像が立っている。
この結果から導かれる答えは、瓦礫の山を原料として、僅かな時間の内にこの像を建造したという事しか考えられないが、
一体どこの誰が、そんなバカバカしくも非常識な真似をしでかすと言うのだろうか。
建造した方法も謎ながら、わざわざ病院一つ潰してこんな物を作った意図が判らない。
ひたすら固まって、空中にクエスチョンマークを飛ばし続けるゆのの前に、救世主が現れた。

「ふふっ……それは僕さっ!!」

チーンという機械音と共に、像の靴の部分に設置されたドアが開く。
そしてその中から現れた男が、ゆのの考えを読み取ったかのように高らかに宣言した。
鳴り響くヴァイオリンの独奏。
男の名は、趙公明。
二度と会うはずのなかった男であった。

「どっどっどっどっどっ……」

どうして。
どうして、競技場へと向かったはずなのに、まだこんな所にいるのか。
どうして、こんな像を作ったのか。
どうやって、病院を潰したのか。
どうやって、こんな像を作ったのか。
無数のどうしてが頭の中に渦巻き、ゆのは削岩機のように『ど』の音を繰り返す。

だが、実際の所そんな疑問など、どうでも良かった。
この場で重要なのは、再びこの男と出会ってしまったという事実だけだ。
酸素が足りない。
世界が歪む。
男は、ゆのの救世主などではなかった。
このままでは、連れ戻されてしまう。
再び、闘争と苦痛の世界へと。

「おや? 君も道路工事かい?
 僕も久々に舞台の建造に勤しんでみたんだが、やはり芸術は良い!
 いや、先に競技場へと向かってみたのだけれどね。
 あまりに華のない所だったので、こうやって舞台を彩る芸術的な像を造りに戻ってきたという訳さ!
 ハァーッハッハッハァハァー!!」
0263適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:50:13.02ID:mzEf00yA

だが、男はゆのの様子などお構いなしに笑い続ける。
真夜中も近いと言うのに、相も変わらずエネルギッシュに。

代わりに趙公明の背中から、ひょこりと姿を現したのは西沢歩だった。
セミロングだった髪の毛は、ゆのと同じ程度の長さに切り揃えられていた。
切られた後ろ髪に合わせて、長さを揃えたのだろう。

「あ……元気……だったかな?」

予期せぬ再会に、少しだけ気まずげに。
だが、しっかりとゆのの瞳を見つめながら、歩は声を掛ける。

「ッ……」

元気な訳ない。
この格好を見れば、判るでしょう?
あれから少ししか時間が経っていないのに、私はゾンビみたいな女の子と、殺し合いをしてきたんだよ?
こんなにずぶ濡れになって!
顔をいっぱい、殴られて!
貴方はいいよね。どうせ人質として、大事にされていたんでしょ?
誰かが助けてくれるのを、お姫様みたいにのんきに待っていたんでしょう?

そんな憎まれ口を叩きたかったが、慣れない言葉は上手く口から出て来ない。
ゆのは精一杯の憎しみを瞳に込めると、歩を睨みかえす。
そんな取り付く島もない様子に歩が苦笑を返すと、ゆのの頬に朱が差した。

バカにしている。
汚くなった私を、綺麗なままで見下して。
こうならなきゃ私は、生きていけなかったのに。

ゆのは、歩から視線を外すと趙公明に向き直る。
これ以上、この子と一緒に居たくはなかった。

「あ、あの……それじゃあ競技場で、またお会いしましょう。
 わ、私、これで失礼しますね」

「待ちたまえ」

ぺこりと一礼してから、回れ右をしようとしたゆのに、男が待ったをかける。
ぎくりと、背筋が震えた。

「な、なんですか?」

「こうして又会えたのだ。せっかくだから乗って行きたまえ。この『巨大趙公明の像』にっ!
 何、遠慮はいらない。
 まだ未完成とは言え、ちゃんと内部にはゲスト用の居住スペースを設けてあるからね!
 君一人くらい同乗したところで、まったくなんの問題もないのさ」

「きょっ、巨大趙公明の像……?
 う、ううん。そうじゃなくて……だって、わ、私には人質の価値はないって……」

どうやら、この未だ下半身だけの石像は、趙公明自身をかたどった物らしい。
言われてみれば靴の形などはまったく同じ造形だし、ズボンの三次元的なデザインも中々の腕前だ。
とすると、これから上半身も造る予定なのだろうか。

それは充分に驚くべき話だったが、反応するべきはそこではない。
趙公明は、ゆのに一緒に来るよう求めているようなのだ。
以前は、ゆのには人質の価値がないと言っていたはずなのに。
まさか、競技場へと向かう気を失くした事を、悟られてしまったのだろうか。
0264適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:51:21.22ID:mzEf00yA

「ノンノンノン。もちろん、人質などではない。 特別ゲストとして同行しようという事さ。
 確かに君に人質としての価値はないが、僕は別の価値を君に見出したのだよ。
 君は、この僅かな時間の間に、また素晴らしい闘いを繰り広げてきたようじゃないか?
 トレヴィアーン!!
 君のその、事件に巻き込まれる力……それはまさに因果律の申し子と言えるだろうっ!
 主人公体質と言い換えてもいいっ!
 その体質に、僕は嫉妬すら覚えてしまっているっ!
 なぜなら、僕はこの島で起きた大規模な全開バトルに、いつも一歩出遅れてしまうからだ……。
 如何に“濃い”キャラ立ちをしているとは言え、サブキャラクターである僕にはその力がない。
 しかし、君と同行する事で、その力の恩寵に預かれるかもしれないと、僕は考えたのだよっ!」

趙公明は、再びゆのには理解できない事を、ぺらぺらと捲し立てる。
主人公体質だかなんだか知らないが、ゆのとしては放って置いて欲しい所であった。
競技場へと向かうのは、ゆのにとってあまりにも利が薄い。
さきほど考えた通り、このイベントをスルーして、体力を回復させたいのである。

「さあっ。早く来たまえ。僕は寒いのが大の苦手さっ!
 中で熱いお茶でも飲みながら、君の経験した闘いの話を聞こうじゃないかっ!」

だが、そんな都合などお構いなしに、趙公明はゆのに迫る。
差し出された手に怯えるようにゆのは後ずさりして、遂には反転して逃げ出そうとしたのだが――。

「ひっ」

振り向いたら、そこに趙公明がいた。
右にかわして逃げようとしたら、そこにも趙公明がいた。
更に反転して逃げても、左に行っても、後ろに行っても、そこには趙公明がいた。

「い、いやぁ……」

この男は、分裂でもしたと言うのだろうか。
いや、そうではない。
単純に、身体能力が違いすぎて振り切れなかったのである。

そして次の瞬間、趙公明の細腕が空気を切り裂く唸り声をあげた。
腹筋を締める暇すら与えずに、ゆのの無防備な腹部に、鋭い拳を突きさしたのだ。
その威力は、小さなゆのの身体を、軽々と空中に浮かびあがらせる。
狭い腹腔内にきちんと納められた内臓を、無茶苦茶に揺さぶってしまう、重い一撃であった。

「ぐぇぇっ」

たまらずカエルが潰れるような声をあげながら、ゆのは吐瀉物を宙に撒き散らす。
そして受け身も取れずに大地に叩きつけられた身体は、僅かにバウンドするとその動きを止める。
くの字に折曲がった背中が微かに震えると、ゆのは断続的な呻き声をあげた。
それは女の子らしくもない、腹の底から絞り出すような低い苦悶の声であった。

「ふふ、僕は意外と気が短いのさ」

そんなゆのを足元に見下しながら、趙公明は貴公子的に微笑む。

「き、気が短いとかじゃないよっ! 女の子のお腹を殴るだなんて、酷過ぎるんじゃないかなっ!?
 それが男の人の――貴公子のやる事なの!?」

男を糾弾しながら駆け寄ってきた歩が、拘束された腕でゆのを抱き起こすと、その表情は青黒く変色していた。
腹部を強打された衝撃で、呼吸もまともに出来ないのである。
歩が横向きに寝かせて背中を擦ってやると、ゆのは再び胃液を吐き出した。
酸っぱい臭いがその場に漂い、それを嫌った趙公明は身を翻して石像へと歩きだす。
0265適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:52:20.62ID:mzEf00yA

「ふふふ、残念だったね。貴公子は貴公子でも、ただの貴公子ではない……。
 実は悪の貴公子ブラック趙公明だったのさ!!!!」

そう言い放つと、趙公明は雨に濡れた服を脱ぎ捨てる。
すると、その下から黒い色調に染め抜かれた同デザインの服が現れた。

「なっ!! だからこんな酷い事を……って、ただ黒くなっただけじゃないっ!!」
「ハァーーーッハッハッハッハーーーーーー!! 落ちついたらゆの君を連れてきたまえっ!!」

それだけを言い残すと、ブラック趙公明の姿は石像の中へと消えた。
石像の靴の部分に備え付けられたエレベーターを使い、上階へと戻ったのだ。
趙公明が去った後も、歩はおろおろしながら、ゆのの背中を擦り続ける。

「だ、大丈夫かな!? しっかりして!」

地獄の苦しみの中で涙をこぼしながら、その声を聞いていたゆのは、悔しい気持ちでいっぱいだった。
なぜ、同じ女の子だというのに、自分だけがこんなに惨めなんだろうかと。
この道を選んでしまった、自分の選択が間違っていたのだろうか。

普段通りであろう歩の行動を見るたびに、ゆのの心は揺れ動いてしまう。
大丈夫だよ。人殺しなんてしなくても、ちゃんとこの世界でも生きていけるんだよと言われている様で。

歩が、本当にお姫様みたいに気高くて綺麗だったら、まだ良かった。
別の世界の人間なんだと、諦観していられた。
だけど、歩はごく普通の女の子だった。
大切な人をこの世界で殺されて、自身もゆのに殺されかけて。
ゆのと同じように当たり前の恐怖と、当たり前の憎悪に押し潰されそうになっている、ただの女の子だった。
それでも普通のまま、普通の癖に、しぶとくこの世界で生き永らえている。

だったら、人殺しにまで堕ちてしまった自分はなんなのか。
変わらなければ生きていけないと思ったのは、間違いだったのか。
大切だった想いを、全部粉々にして。
そうまでして生き延びてきたのが、間違いだったなんて思いたくない。
そんな事をしなくても、生きて帰れる可能性もあっただなんて、認めたくない。


歩は、もう一人のゆのだった。
この世界でも、変わる事のなかったゆのだった。
その在り方を愛おしいと思うのと同時に、絶対に存在を許してはおけなかった。
この子だけは、この手で殺さなければならない。
もう引き返す事なんて出来ない、自分自身の為に。


以前、歩に感じた恐怖が、明確な殺意へと変わっていく。
命じられたからではなく、自己防衛の為でもなく、純粋な憎しみから生まれ落ちた、本物の殺意。
その殺意を抱きながら、ゆのの意識はゆっくりと闇へと落ちて行った。



【D-2/病院跡/1日目/夜中】
0266適者生存 -survival of the fittest- ◆Yue55yrOlY
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2012/01/16(月) 13:55:02.32ID:mzEf00yA
【ブラック趙公明@封神演義】
[状態]:疲労(中)
[服装]:貴族風の服
[装備]:オームの剣@ONE PIECE、交換日記“マルコ”(現所有者名:趙公明)@未来日記
[道具]:支給品一式、ティーセット、盤古幡@封神演義、狂戦士の甲冑@ベルセルク、橘文の単行本、小説と漫画多数
[思考]
基本:闘いを楽しむ、ジョーカーとしての役割を果たす。
1:巨大趙公明の像を完成させる。
2:再び競技場に向かいつつ、パーティーの趣向を考える。
3:カノンやガッツと戦いたい。
4:ナイブズに非常に強い興味。
5:特殊な力のない人間には宝貝を使わない。
6:宝貝持ちの仙人や、特殊な能力を持った存在には全力で相手をする。
7:キンブリーが決闘を申し込んできたら、喜んで応じる。
8:ネットを通じて更に遊べないか考える。
9:狂戦士の甲冑で遊ぶ。
10:プライドに哀れみの感情。
[備考]
※今ロワにはジョーカーとして参戦しています。主催について口を開くつもりはしばらくはありません。
※参加者の戦闘に関わらないプロフィールを知っているようです。
※会場の隠し施設や支給品についても「ある程度」知識があるようです。
※巨大趙公明の像の完成度は、現在40%程度です。

【西沢歩@ハヤテのごとく!】
[状態]:手にいくつかのマメ、血塗れ(乾燥)、全身に痣と打撲、拘束
[服装]:真っ赤なドレス、ナイブズのマント、ストレートの髪型(短)
[装備]:なし
[道具]:スコップ、炸裂弾×1@ベルセルク、妖精の燐粉(残り25%)@ベルセルク
[思考]
基本:死にたくない。ナイブズに会いたい。
0:だ、大丈夫なのかな?
1:ミッドバレイへの憎しみと、殺意が湧かない自分への戸惑い。
2:ナイブズに対する畏怖と羨望。少し不思議。
3:カラオケをしていた人たちの無事を祈る。
4:孤独でいるのが怖い。
[備考]
※明確な参戦時期は不明。ただし、ナギと知り合いカラオケ対決した後のどこか。
※ミッドバレイから情報を得ました。

【ゆの@ひだまりスケッチ】
[状態]:疲労(極大)、失血性貧血、顔と頭部に大量の打撲や裂傷、首に絞められた跡と噛まれた跡、左手の甲に傷、肛門裂傷、倫理観崩壊気味、精神不安定(大)、腹部にダメージ、気絶
[服装]:真っ黒なドレス、ショール、髪留め紛失
[装備]:
[道具]:
支給品一式×11(一食分とペットボトル一本消費)、イエニカエリタクナール@未来日記、制服と下着(濡れ)、
機関銃弾倉×1(パニッシャー用)、ダブルファング(残弾100%・100%、100%・100%)@トライガン・マキシマム
首輪に関するレポート、違法改造エアガン(残弾0発)@スパイラル〜推理の絆〜、ハリセン、
研究所のカードキー(研究棟)×2、鳴海歩のピアノ曲の楽譜@スパイラル〜推理の絆〜、妖刀「紅桜」@銀魂
パックの死体(ワンピースに包まれている)、エタノールの入った一斗缶×2、閃光弾×2・発煙弾×3・手榴弾×2@鋼の錬金術師、
首輪×6(我妻由乃、胡喜媚・高町亮子・浅月香介・竹内理緒・宮子)、 不明支給品×1(武器ではない)
[思考]
基本:死にたくない。
1:人を殺してでも生き延びる。
2:壊れてもいいと思ったら、注射を……。
3:西沢歩を殺したい。
[備考]
※二人の男(ゴルゴ13と安藤(兄))を殺したと思っています。またグリフィスにも大怪我を負わせたと思っています。
※切断された右腕は繋がりました。パックの鱗粉により感覚も治癒しています。
※ロビンの能力で常に監視されていると思っています。
※イエニカエリタクナールを麻薬か劇薬の類だと思っています。
0269創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/01/16(月) 14:29:56.15ID:iBFmh7HO
投下乙!
久々の投下で嬉しいです

何度も言われてきたことだけど、趙公明が相変わらずのメタ視点ぶっちぎり男で
シリアス展開なのに腹筋にくるという凄まじいことにwwww
こいつは書いてて楽しいだろうなwww
ゆのっちはいよいよヤバい……逃げて!ハム逃げてえええ!
これ沙英さん絡んでたらどんな展開になってたんだろうか?修羅場は目に見えてるが
0270創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/01/16(月) 17:24:32.36ID:vEXtwX1r
投下乙です!
二話でブラック化してたのは知ってたけど気付いた時には元に戻ってる奴だし二度ネタでも問題ないんじゃないかな?w
言われてみれば確かになんだかんだで趙公明ロクに本格的な戦闘に参加してないんだなぁ
0271創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/01/16(月) 23:38:54.25ID:3wApyn5h
投下乙です
趙公明がロクでもないことこの上ないw
そしてハムの普通さのせいでゆのっちの逃げ場が潰されるという……
0272創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/01/17(火) 01:26:14.38ID:wuRPI6n+
乙!
ゆのやばいなあw
歩もしょうがないとはいえ地雷踏んじゃうしこの先気になるw
0273 ◆Yue55yrOlY
垢版 |
2012/01/17(火) 16:46:25.55ID:b6ml86Qt
感想ありがとうございます
やはりブラックネタは二番煎じということで、若干の改定をwiki上にて行いました
あと※混元珠@封神演義はゆのの近くに落ちています。
という一文を投下していなかったので付け足しておきました
0274創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/01/19(木) 00:32:49.70ID:n6XKqmnM
投下乙です

ああ、ハムの普通さが苦しさを超えて殺意にまで変化したかあ
結果的に逃げ道塞いだ形なんだよなあ…
趙公明は今更だがロクデナシな上にネジが数本飛んでるわw
今は像建設中だが競技場へ行ったらどうなるんだろう…
0277創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/01/19(木) 09:22:04.18ID:Eazg1Pb0
改訂版のMk2のあたりが地味にハヤテっぽくてクロスものなんだなぁって地味に笑えたw
0278創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/01/19(木) 10:46:34.93ID:NW6+viCF
Mk2www
こいつだけは本当に読めんなあ、メタ的かつおもしろきこともなき世におもしろくな思考が清隆にも通じるし、
実はあのグダグダな主催陣の尖兵と見せかけて相当清隆に近いポジなんじゃ?
0279 ◆Yue55yrOlY
垢版 |
2012/01/21(土) 11:59:05.31ID:i521Zzqs
何度もすいませんが、>>263
>ゆのは精一杯の憎しみを瞳に込めると
を、ゆのは精一杯の敵意を瞳に込めると
に変更させていただきました
この時点で憎しみを前面に押し出しているのは少しおかしいので…

あとついでにちだまりスケッチ 〜殺人遊戯〜のフルーツバスケットという記述を椅子取りゲームに変えさせていただきました
自分の子どもの時の想い出だとフルーツバスケットで正しいのですが、まぁそこに拘らなくてもいいだろうと思いなおしました
0280創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/02/23(木) 18:59:51.56ID:kIvyiNyw
保守
0282創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/03/08(木) 21:14:42.51ID:EwhzepzD
165話の12のオブジェクトのモチーフがよくわからんのだけど、誰か教えてくれないか?

>ひとつは、半分に砕かれた硬貨の破片。
これは王天君が二つに分かれた存在である事のモチーフ? それともザジの持ってたレガートのコイン?

>ひとつは、羊にも似た怪物の模型。
アノン(天界獣?)?

>ひとつは、ちいさなちいさな約束の指輪。
アテネ?

ガニシュカとキリエは幹部外の人員って事で、12幹部は
ムルムル、申公豹、王天君、趙公明、髑髏の騎士、天王洲アテネ
ジョン・バックス、ザジ・ザ・ビースト、プライド、アノン、アイズ・ラザフォード、犬養舜二
でいいんだよな?
0283創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/03/09(金) 07:52:52.55ID:2D5nFFQX
12のオブジェクトはあの時点まで生き残ってた主催者の象徴で、崩れ去った=死んだって事だから
半分に砕かれた硬貨の破片→ザジ・ザ・ビースト
羊にも似た怪物の模型→アノン
ちいさなちいさな約束の指輪→天王洲アテネ
トウモロコシの芯→ムルムル
で、残りは
鳴海清隆、申公豹、趙公明、髑髏の騎士、ジョン・バックス
プライド、アイズ・ラザフォード、犬養舜二
ってことだと思う。
0285創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/03/31(土) 17:04:27.89ID:eW5j23Li
保守
0286創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/04/12(木) 18:48:08.59ID:NtF/uuUm
やっぱり震災で書き手のリアルにダメージが来たのが致命的だったのかなあ…
0287創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/05/02(水) 19:59:56.26ID:0yvq9+Wi
予約キター
0291創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/05/05(土) 01:10:01.87ID:gLi6Lsxa
待ってたコンビキタ―――――!!
久しぶりに登場の安定感抜群な二人だ
この二人は安心して読めるな(そんな事書いてぽっくり行ったら困るがw)
0292 ◆Yue55yrOlY
垢版 |
2012/05/05(土) 03:09:29.91ID:jfwqn7Fm
やたら期待されているところ済まないが、ようやく話の骨子が固まったところだという……
これから書くところです

ところでこいつを見てくれ

ttp://www20.atpages.jp/r0109/uploader/src/up0144.jpg


かなり内部描写されてきて、いい加減地図なしだとよくわからなくなってきたんでヘタながら作ってみたんだけど
研究所内部の構造って、こういう感じでいいのかなぁ
PCっていうのは、よく研究所内部から使われてるアレ
0294 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2012/05/06(日) 02:23:05.53ID:TBJ3bv3Q
図面を拝借。
ttp://s1.gazo.cc/up/s1_22344.png
研究者の個室などの細かい部分を除くとこんな感じだと考えて書いていました。
「独りきりで乗る船の」において、流たちが電子ロックを開ける手段なしに研究棟に入っていましたので。
0295 ◆Yue55yrOlY
垢版 |
2012/05/06(日) 06:22:39.67ID:AM9DEge6
◆L62I.UGyuw氏の雪が降るの中でカノンが医療棟の前で足踏みしてたので、こうなってるかと思いましたが
言われて読み返してみれば、確かにカノンは既に研究所(研究棟)内に入っているんですね
中からホールに出る時は、キーは必要ありませんし…
聞いておいてよかったです

しかし、独りきりで乗る船においては
>研究所への道を見付けたのは流だが、鍵を開けたのはロビンで、
とあるので、なんらかの手段は講じたのではないでしょうか?
あいまいな記憶で申し訳ないのですが、確かその辺はどっかでキーを見つけて入ったみたいな修正があったような
wiki消失騒動で、その辺の細かい修正とかが、消え去ってるSSは多いような気がします…
まぁ別に矛盾にはならないと思うので、問題ないと思いますが


あと残念なお知らせですが、どうも期間内にSSを完成させる事は無理のようです
予約の際に宣言したように、予約は破棄とさせてください

大勢の方々に期待して頂いたのに不甲斐なく、申し訳なく思います
予約が入らなければ、来週の週末までには書きあげて投下したいと考えています
0296 ◆Yue55yrOlY
垢版 |
2012/05/06(日) 06:33:27.31ID:AM9DEge6
過去ログ読み返してみたけど、ちょっと記憶違いだったようです
あったような気がしたんだけどなぁ……
0298創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/05/06(日) 19:49:44.91ID:0vi9hjiQ
了解した
リアルに支障きたすまで無理する必要ないけど期待して待ってるよ
0299 ◆Yue55yrOlY
垢版 |
2012/05/13(日) 21:14:32.66ID:Vmofvo7T
まことに言いにくいのですが報告します
先週の時点では今週はクソ暇になるだろう……という見通しだったのですが、ふたを開けてみれば
クソ忙しい一週間でありました。
故に……まったく執筆が進んでいないというのが実情であります。

待って頂けるという人もいらっしゃるでしょうが、かさねがさねの有言不実行を不快に思う人もいると思います。
大変申し訳ありませんでした。

正直な所、今後7月くらいまでは多忙を極めると思うので、いつ投下出来るかはまったく見通しがつきません。
このパートを予約したい方がいらっしゃれば、全然構いませんのでどうぞ遠慮なく予約してください。
0300創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/05/19(土) 11:30:58.19ID:vUo/Pm8F
気負いすぎず気楽に頑張れ!
0305創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/21(土) 19:32:11.91ID:IFdlQ0zK
一話一話が濃くて印象でかかったのもあってそんな風に驚いたって言われるほど前回から期間が空いてることに気づかんかった。
ほんと楽しみだよなぁ。
0306創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/22(日) 07:13:27.70ID:F+bhpYra
実際趙公明達が動くのは1年ぶりとか言われた時は俺もマジでかと思って噴いたわ
まぁそろそろ動けそうなのでちょっと久々に書いてみよっと
0307創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/22(日) 08:10:36.46ID:GxpNA2MQ
wktk
どこもそうだけどここまで終盤までくるとフラグやらなんやら把握しようとするだけで一苦労だよなぁ
0308創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/22(日) 21:34:01.51ID:GhiHL7at
だなあ、全話読んで来たけど今どうなってるのか、位置関係ですら自分は把握できてない
例の生物がひたすらやばいのは分かるw
でも結構色んなキャラが残ってるから、絶望的って感じもしないんだよな
0309創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/22(日) 22:00:15.25ID:GxpNA2MQ
恐怖には鮮度がうんぬんかんぬん。
絶望しきる感じではないけど、それすらも神の演出のうちって感じもあるんだよなぁ。
それ言い出すとキリがないけど、底が見えない感じで。
0310創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/23(月) 06:29:02.21ID:jKP1raJj
位置関係とかの把握は読み方によるね
wikiとかで一気読みとかだとよくわからんと思う
一話読み終わる毎に現在地とかを地図で確認していると、それぞれの軌跡がよくわかるんだけど
リアルタイムで読んでないと難しいな
0311創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/24(火) 00:02:59.92ID:KbzAPg8I
自分はまさにwikiで一気読みだわ
「何となく屋外で戦ってた」とか「研究所らしき何かの地下何階だか」とかそんなあやふやな感じ
一気に読んでる時は、わざわざ「この施設の西に何があったっけ?」なんて地図開いてみたりしないしなあ
他のロワにも出てるキャラだと余計に訳わからなくなるな
0312創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/31(火) 16:29:33.12ID:VYZdWQxc
ここのスレの最初の投下頃の
消灯ですよ・ギャシュリークラムのちびっ子たち・この病は死に至らず
の投下からもう一年経ってるだ、って今気付いて愕然とした。
うっそ、もうこんなに経ってたのか……
0314創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/23(木) 13:35:59.05ID:ZIHoMlYj
落ちてるなあ
あそこは一定時間投下が来ないと落すからなあ
0315創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/26(日) 11:11:57.05ID:yWE5kOJW
今また最初から読んでるけど、やっぱり面白いね

個人的には一番鬱グロなのは屍●シーンだなぁ…
表現はドライというか無機質だったけど殺戮よりも壊れた感じがするというか
ウィンリィや九ちゃんの時も、ベルセルク原作は読んでないけど蝕はそうとうグロかったんだろうな
と思えて未だ原作に手を出せない
0317創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/26(日) 20:58:39.32ID:yWE5kOJW
>>316
レスをありがとう
まさか一冊丸々、鬱エログロなの?
とりあえずネットカフェに行ってみるよ
0318創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/26(日) 22:32:47.68ID:qrt/hr8g
いや、蝕だけ抜いてもあまり意味が無いような…
他の刊が読めるなら蝕だろうがなんだろうが、全部読めると思う
0319創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/26(日) 22:41:37.30ID:mZwpIpKF
有名な嫌がらせの一つとして
ベルセルクの13巻だけ抜いて友達に貸す拷問 というのがあってだな……
うん、冗談のつもりだったんだけどまともに受けとめられて心が痛い。
正直すまんかったorz
318の人がいうように他の巻読めれば読み進めれる程度のグロだと思うし、
一番気になる部分が詰まってる巻だから蝕の13巻抜きは絶対やらん方がいいと思う。
0320創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/27(月) 09:41:46.18ID:mR3RlAka
>>318>>319
お二人ともありがとう
冗談だったとは気づかなかった
最近『丸々三冊くらい飛ばして読んでも不都合ないっていうかむしろ飛ばせ!』
というような内容のラノベを読んだばかりだったから
ベルセルクの13巻もそんな感じなのかなと素で思いました
ありがとう、ネットカフェ行って来ます
0322創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/28(火) 00:00:51.68ID:+sJLn0ma
ベルセルク、駄目な人は1巻から駄目だと思うんよ
1巻を乗り越えたら蝕でも何でも大丈夫だと思うんよ
つーか蝕だけ読んでも全然大したことないよね
それまでの積み重ねがあるからこそ仲間が死にまくったり、キャスカがアレだったりに思う所ある訳で
蝕だけ見たら絶望でも何でもないぞ
0323創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/10/10(水) 06:29:55.83ID:/H+Uzp3J
保守
0325創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/10/21(日) 01:18:12.48ID:UHbohKcK
保守
久々に見に来たら投下はないのになんかスレ進んでる
私もベルセルク読んでみようかなあ
0326創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/10/21(日) 06:03:10.43ID:Uh7RNjCh
一巻の展開で大丈夫な人だったら読み進めても楽しめると思うよー。
長期連載だけどクオリティ落ちずに進んでるから。
ただ作者が死ぬまでに頭の中身を全て漫画化して完結できるかがちと怪しいけど。
0327創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/10(土) 16:45:42.29ID:e9/xJ6++
保守がてらに
前にレスを下さったかた有難う13巻も読みました
最初の1〜5巻までが気持ち悪くて辛かったけど
そこまで行けたらなんか耐性がついたようで大丈夫になった
0328R-0109 ◆eVB8arcato
垢版 |
2012/11/14(水) 00:24:37.40ID:qQScsN5i
初めまして、そうでない人はお久しぶりです。
現在、投票で決めた各パロロワ企画をラジオして回る「ロワラジオツアー3rd」というものを進行しています。
そこで来る11/23(金)の21:00から、ここを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。

詳しくは
http://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html
をご参照ください。
0329創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/16(金) 20:31:47.99ID:SuAeFQLz
おーっラジオ!
今、人居るかな?
0330創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/16(金) 23:34:25.72ID:jVx3i7gA
やあノシ

ラジオの事は良く分からんが、震災復興支援の特別読みきりとして
「うしおととら」の新作が読めるそうで
間違ってもこのロワ向きの話にはならないだろうが(復興支援でそんな事されてたまるかw)
また潮ととらに会えるのは嬉しいなあ
0332創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/23(金) 20:57:52.16ID:oFexWlWH
……本気でここが手に付かなくて、待ってくれてた人ごめんなさい。
研究に論文に就活に、やることが多すぎでにっちもさっちも……
0335創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/23(金) 23:16:47.98ID:fIqiR2VA
来年頭にたぶん時間ができるからなぁ
ネタが降臨したら書くよ
0336創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/26(水) 19:06:08.73ID:vpxx/jmz
ものっそ久しぶりにサンデー買ってきた
うっわ、うしおととらすっげえ懐かしいw
0337創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/10(木) 15:39:46.16ID:bQnl5Xwr
○ロワが二年ぶりに復活したなあ
新漫画ロワもあるいは…
0338創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/25(金) 12:10:27.33ID:aGUsua33
保守がてら
またはじめから読み返して来る!
何気に一番好きなロワなんだよ
0340創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/11(月) 00:08:09.13ID:K1G2e2Mw
確かに懐かしいなあ…
0341創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/03/14(木) 00:05:42.77ID:/XWcHDrD
今週の月光条例凄かった……
ロワじゃなくて作者自身がうしとらを殺す日が来るとは思わなんだ
0343創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/03/16(土) 13:03:55.69ID:Uu9/fmet
ばか、kwskなんて言ってる暇があったらサンデー見てこいよ!
もとい、ネタばれレスみて把握なんてもったいないから!
0344創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/04/27(土) 02:49:07.49ID:03qsD+6l
orz
0345創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/06/08(土) 21:37:02.11ID:QskuZreB
hosyu
0347創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/08/26(月) NY:AN:NY.ANID:bQyL4PEP
保守
0348創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/09/14(土) 23:54:09.44ID:2prk0PqB
規制解除されても書き込みがないって事は本当に誰も居なくなってしまったんだろうか
0350創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/09/16(月) 08:30:40.67ID:cZImk8JN
お前ら暑い中に

ビールがうまい

ドライブ熱中症注意
0351創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/09/27(金) 22:01:05.11ID:viofx0FM
今読了した。保守
0352創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/09/30(月) 09:45:03.25ID:Nptlnjor
B'z New Album「SAVAGE」リリース決定!! 
    01.Scoop!!
    02.疾走
    03.DEARLY
    04.ストイック★LOVE
    05.SAVAGE
    06.NIHILISM
    07.この身、燃えつきるまで・・・
    08.昼庭
    09.SLUDGE
    10.GO FOR ITBABY
    11.哀切な色
    12.SAMIDARE
    13.二人あえる日まで
0353創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/10/12(土) 23:47:58.46ID:UrbyM8aw
よく考えると何か怖い神の弟と魔王の兄。···って書くと安藤兄と鳴海弟が、人外兄弟みたいに思える不思議。
保守
0355創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/02/01(土) 23:27:25.16ID:D+/krngY
今更ながら「ギャシュリークラムのちびっこたち」ってタイトルを付けた意味が解った
『Aは安藤、階段落ちた』か……なるほど
0356創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/02/26(水) 21:31:52.71ID:gLi9jjDA
hosyu
0357 ◆L62I.UGyuw
垢版 |
2014/03/09(日) 22:16:04.13ID:3FeXA0+e
@wikiの情報流出の件について、一応ご報告を。
@wiki側からのメールによると、wikiを閲覧、編集するだけで被害を受けることはないようです。
0358創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/04/27(日) 22:56:57.29ID:OCN5m5nZ
もう誰もいないのかな…
全く一枚岩じゃない使い捨てにされる主催陣とかハイブリッドな生き物とか、
なんか芽生えそうナイブズとかそして何より交換日記組の行く末が気になりすぎる。
更新待ってます。
0359創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/05/18(日) 20:28:58.82ID:VIO41ndJ
展開に引き込まれてつい一気読みしてしまった。
今更新止まってるのか…。でもこれは続きを待つしか。
0361創る名無しに見る名無し
垢版 |
2015/01/01(木) 15:20:06.02ID:urhy3hMn
純粋な憎しみから本物の殺意に目覚めるゆのっちが読めるのは(多分)新漫画ロワだけ!
0362創る名無しに見る名無し
垢版 |
2015/05/13(水) 05:29:08.33ID:K0kz7lly
好きなんだけどなぁ
0363創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/08/31(水) 04:52:07.22ID:cOHXDcjI
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0364創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/09/04(月) 21:16:16.55ID:T5BQesFJ
0365創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/12/27(水) 09:57:19.38ID:C1Z7QFDy
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

Z2VLF9UWTX
0366創る名無しに見る名無し
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2018/05/21(月) 09:04:12.99ID:tRZnwP6O
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

WMGVX
0367創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/07/03(火) 18:55:21.37ID:f1dClnnX
EBK
0368創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/17(水) 19:29:03.19ID:ZU7x6aHX
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

36L
0371創る名無しに見る名無し
垢版 |
2022/08/17(水) 01:13:08.04ID:NrkbN98L
もう更新されないのかなぁ…
悲しい
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