X



トップページ創作発表
216コメント257KB
【没ネタ】未完成作品の墓場【殴りがき】 Part2
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0068創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/27(土) 23:58:47.88ID:OhA0mDgL
なにか「写真を撮られるのでVサインをしている」といった感じの不自然さを感じたので没にしたラフです。
描き直したラフがあるので、そっちは完成させるかも。
http://loda.jp/mitemite/?id=2386.bmp

それと某スレに書き込もうとしたら規制中でそのままにしてた駄文も貼らせて頂いてみます。
----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- ----- -----

 何かの本で見たのかそれともテレビで聞いたのかなんて忘れたが、現代人は視覚に頼りすぎだなんて言ってる人間がいる。
曰く、そのため他の感覚が普段ないがしろにされているんだと。
そんなのは、またよくある安っぽい現代文明批判の一つに過ぎないと思ってたが、
こうしていざ自分が視覚に頼れない状況に突き落されてみると、
なるほど確かにその通りなんだなあと解らされざるを得なかった。

 右手で携帯のいろいろなボタンを無軌道に押しつつ、俺は一歩一歩を恐る恐る踏み出していく。
 ここにはまるで光というものが存在しない、何かを見るという行為は全く出来ない。
そのうち目が暗さに慣れてくれるだろうという甘い願望が、完全な闇に消し去られてからもう10分も経っているのだろうか。
 今持っているものの中で、たった一つだけなにがしかの光をもたらしてくれる可能性のある携帯は、
この家の扉を開けてからすぐに電池切れのメッセージ音を鳴らしやがった。
何かのはずみで少しの間だけでも電源が入ってくれないかと、とにかくいろいろ押しているのだが、
普段時々遭遇するそういう小さい幸運は、今は全く俺のところに降りてきてくれない。

 こんな中で足を踏み出していくのは怖いものだ。次の一歩の先に何があるのかわからない。
 しかし、俺が怖がっているのは本当にそのことだろうか?
俺の足が床に落ち、押し込み、軋みを残して離れていく音が、そういうふうに一つ一つ区別できるほどはっきり聞こえる。
それはまるで自分以外の何かの足音を聞いているよう。
一体、俺が怖がっているのはどちらなのか。
 いや、本当は理解している。自分が怖がっているのはどちらなのか、本当は理解している。
しかし、それを認めてしまったら、何かが崩れていきそうで、俺は頑迷なまでにそれをわかってしまうのを拒む。

 鋭敏になっているのは聴覚だけじゃない。右手は携帯をいじっているが、左手のほうは壁をなぞっている。
その左手が、壁にうっすらと付着している埃を掻き分けるのか、押し退けるのかの違いさえ感じられる。
 左手を壁に這わせているのは、照明のスイッチが見付けられないかなどと考えているからではない。
電気なんかとうに来ていないだろうなんて、誰だってこの家の外観からすぐ予測がつく。
壁に手を添えていなければ、こんな闇の中ではただ真っ直ぐに進むのだって難しいからだ。
 左手に伝わってくる壁の感触に、周囲の状況が少しは理解出来ることからの、ある種の安堵が得られている。
しかし、この安堵は、本当にそれだけのわけから来るものか?
もしかしたら俺は、ここには少なくとも床の他に壁もある、
つまり自分は、まったくわけのわからない異界にいるのではない、ということが確認出来るから安堵しているんじゃなかろうか。
 ……何を馬鹿なことを。
 そう、まったく馬鹿げた発想だ。そんな当たり前のことに、確認も、確認出来ての安堵もあるものか。
 俺は自分で自分のことを少し嘲笑した。

 だが、そんなこと、自分が異界にいるのではないのは当たり前なんてことを、
思っていられたうちはまだしも幸せだったと思い知らされることになろうとは、
淀んだ空気を押し分けて進んでいたあの時には、俺はまだ気付いていなかった。
0070創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/19(月) 21:44:08.51ID:KVaguPes
アースとはさみさんがかっこいいけどそんなのどうでもいいくらいに、いかづちが可愛いw
0071創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/19(月) 22:59:50.08ID:nqYFWHcY
墓場だからsageてくれると有難かったり。前スレもsage行進
気味だったから。
あと恥ずかしいから…
0072創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/11/03(木) 05:53:55.17ID:P/WkyT8C
その少女の股間には、あってはならない物が根を下ろしていた。
それが男根だったら、まだ、ありかもしれない。
だが少女の陰部に取り憑いているのは、この世の物ではあらざる異形――
一本の触手であった。
0073『アヘ顔ダブルピース』
垢版 |
2011/11/07(月) 20:21:14.12ID:LKknrKV4

 因幡リオがウーロン茶を口にした途端、親友の芹沢モエが藪から棒に「アヘ顔ダブルピース、見たくね?」と言い出したので、
机の上にぶちまけそうになった。大好物のサンドウィッチと共に平和なまま過ぎていくはずだった学園のお昼休みも、
真顔でとぼけたことをしゃべるモエのおかげですっかり掻き乱されてしまった。

 仲良く机を合わせたお昼ご飯のひと時。モエとリオは何気ない女子高生の会話できゃっきゃしていたのに、
いきなり放り込まれた取り扱いに困る話題がリオを困らせる。リアルでネットことばを持ち出されると居た堪れない気持ちになる。
ネットことばにあかるいと尚更だ。残念なことにリオはその部類の子だった。ニーソックスの脚をぎゅっと合わせて背を丸める。

 (頼むから、リアルの世界で『アヘ顔ダブルピース』だなんて言わないでくれ!)

 一方、モエはハイテンションのまま短いスカートをばたばたと脚で揺らして、昨晩勃発した『芹沢姉弟・アヘ顔ダブルピース事件』の
一部始終を語る。長いウサギの耳を傾けて、リオは黙ってウーロン茶のペットボトルを机に置いた。

 モエが自宅のPCでネットを彷徨っていると、ふと好奇心で弟の閲覧履歴を覗きたくなってしまった。
 ちょっと前まで弟が使っていた。だから、弟はどんなページを覗いていたんだろうかと、姉として余計な気遣いが回る。
開けてはいけない箱ほど開けなければならない。おそるおそるカーソルを合わせ、お気に入りを開き、履歴タブを左クリックすると
ずらりと曜日順に履歴がモニタ上に並ぶ。当日を選ぶ。検索内容を覗き見したいから、グーグルを選ぼうとモエは目を細める。

 「ちょ……。何?『アヘ顔ダブルピース』??」

 聞きなれない言葉ほど、その内容を知りたくなってしまう。知るは楽しみなりと昔から言うではないか。

 画像検索された跡がある。誘われるがまま開くと、モニタ上に『アヘ顔ダブルピース』が小画面として並んだ。壮観だ。
恍惚と天に昇ったような表情、だらしなくもありこの世の快感を全て独り占めしてしまった夢心地。人はこれを他になんと呼ぶのだ。
 その言葉は。

 『アヘ顔』

 歯と舌に粘りつく唾液は白く光り、つややかに反射している。誘惑とも解釈してもよかろう。瞳から流れ、口元から微かに流れる
汚れなき雫を誰も拒まない。生まれたての乳呑み児でさえも羨む地上での絶頂への喜び。そして頬には無抵抗の印が重なる。
 その言葉は。

 『ダブルピース』

 己の快楽を誰かに見せ付けるのは、手放すことの出来ない幸せを握ったの証拠ではないか。
 見ているうちにモエは獲物を追うケモノの血が騒ぎ出した。

 「ちょーうける!」

 尻尾を振りながら、モエはPCを閉じて弟のもとへ駆け寄ったのだった。

 「……で、タスクくんに?」
 「でも、アイツったら全然よがらねーの」
0074『アヘ顔ダブルピース』
垢版 |
2011/11/07(月) 20:23:14.81ID:LKknrKV4
 『アヘ顔ダブルピース』の肝は「誰かに見せ付けるダブルピース」だ。
だが、身内とあって照れに負けた弟のタスクは拒否してしまった。不完全燃焼の『アヘ顔ダブルピース』などいらない。
「こんなものは『アヘ顔ダブルピース』じゃない!」と、拳をドンと机に叩き付けると、リオのウーロン茶が波を打つ。リオはリオで
(早くこの話題が過ぎ去って欲しい)と冷や汗をかいていた。

 「リオー。リアルに見てみたいよね。アヘ顔」
 「い、いや……別に」
 「クラスの男子にさせちゃう?させちゃおうよ!うけるし!」

 ひょいとリオのサンドウィッチをモエがひったくり、むしゃむしゃと口にしてしまうのをじっと見ながらリオは自分のメガネを直した。
ルーズソックスに包まれて女子高生の香りふんふんと撒き散らすモエの脚が、話にイマイチ消極的なリオの脛をつんつんと突付いていた。
 ネットの上では平気に口に出来ても、教室の中じゃ裸にされるより恥ずかしい。リオは人一倍それに敏感だ。
 自分のテリトリーにずかずかと入り込まれるのは胸が痛む。相手に悪気がなければ尚更だ。

 「誰にさせちゃおっか?」
 「……大柄な男子の方がいいかも」

 ようやく話に乗ったリオの言葉には理由があった。

 一つは「もしかして自分がさせられるかもしれない」という危機の回避のため。
 そして、もう一つの理由。

 「例えば、ちっちゃい女子が厳ついマシンガンを振り回す。ちっちゃい女子がベースやギターを上手に扱う。ちっちゃい女子が
  バイクに跨り風になる。相手が大きく、そして立派な体格なほど『アヘ顔ダブルピース』は破壊力があるんじゃないのかなあ」
 「もしかして、それって」
 「萌え……っていうの?よく知らないけど」
 「そっか!さすが、風紀委員長。あったまいい!」

 (『よく知らないけど』って言っちゃった……)

 本当は自分の得意分野だ。薄い本に住む二次元の子に向かって「むっはー」だなんて、だらしないセリフをはいている。
リオはウソツキな自分がつくづく嫌になってきた。だが、モエが非常に乗り気なのであわせてあげることにした。

 (わたしの方がアヘアヘされちゃう!)
 
 でも、モエの笑顔が見たいから……。
 モエが手を打って叫ぶ。

「張本丈!」

 クラスの男子の名前。身長は2メートルに近い巨漢、それでいて気は優しいオオカミ男子。
 リオの脳裏には丈の『アヘ顔ダブルピース』が浮かんでは消えて、浮かんでは消えていた。

0075『アヘ顔ダブルピース』
垢版 |
2011/11/07(月) 20:25:16.08ID:LKknrKV4
 「張本なら、学校の下のコンビニにいたよ」

 お昼を買いに出かけた際、リオは丈を見かけていた。丈は無類の甘い物好き。コンビニの甘味フェアを見逃すはずがなかった。
背中を丸めてじっくりと大柄な男子高校生が女子に混じってデザートコーナーで物色する光景。見慣れると自然に見えてくるものだ。
 だが、お昼休みも半分以上過ぎているのに……。

 「もうすぐお昼時間終わるのに、張本戻ってこないよ」
 「もしかして。丈くん、悩んでる系?」
 「かも」
 「尚更させてー!」

 休み時間が残り少なくなってきたけど、食後は外の風に当たろうとリオとモエは教室を出た。にこにこと人生でも
短い女子高生の時間を楽しむようにモエが頬を緩めるが、リオはまだ頭から離れない『アヘ顔ダブルピース』のことを考えていた。
 いまどきの女の子のモエは相手に遠慮がいらない子。

 「そういえば。この間メール、うさ返さんきゅー!」
 「え?あぁ。うん」
 「次の時間、移動教室だよね。まじきつくね?午前にマラソンあって、体動かねーって感じ?」
 
 くるくると目まぐるしく話題を変えるモエは刹那的だ。階段を降りてしまうころには、きっとまた別の話題に移っているに違いない。
同い年のはず。育った環境も、食べてきたものもそんなに変わらないはず。なのにリオは不思議とモエのことがあかぬてけ見える。
昨日も、今日も、明日も、モエの目には違う景色が広がっているのだろう。リオと違って。
 だって、リオの頭の中は『アヘ顔ダブルピース』でいっぱいだから。
すれ違う誰もがアヘ顔、周りの誰もがダブルピースで突き抜ける享楽的で産まれたての屈託のない笑顔をリオに焼き付けるような
自分勝手な被害妄想。リオは軌道修正して放課後蒸し返されないように、敢えてモエに『アヘ顔』の話題を振ってみた。

 「ねえ、モエ。ア……」
 「やっべぇ!教科書忘れたかも?」

 モエの会話のローテーションに振り回されて、肝心の話題が振れずにいると、噂をすれば影。

 息も絶え絶えにコンビニの袋を手にして急いで学園に戻ってきた。ぱんぱんに膨らんだ袋の中身はシュークリームに
メロンパン、そしてバームクーヘンと全て甘味類。口を開いて目もうつろ。肩で呼吸をしながら髪を振り乱す。
モエは丈の姿を見逃すはずがなかった。彼女は鼻の効くイヌだ。首輪を解かれた猟犬は、まっすぐに獲物の首へと牙をむいて飛びついた。
0076『アヘ顔ダブルピース』
垢版 |
2011/11/07(月) 20:29:35.85ID:LKknrKV4
 「張本!『アヘ顔ダブルピース』して!」
 「なに?なに?それ……はぁはぁ」
 
 理解する余裕の無い丈はモエへ顔を向けるだけで精一杯。モエはお手本を見せるように『ダブルピース』を丈に見せ付けた。
モエは花も実もある女子高生。女子高生から誘われて断る男子なんかいるもんか。張本丈も男子高校生だが、彼は大人しい。
果たしてモエの言うことを聞いてくれるのかどうか。しかし、悩むに及ばず。

 「こ、こう?はあはあ……」
 
 迷わず丈はダブルピースをモエのやる通りに真似て、口を半開きにしてコンビニの袋を腕にぶら下げていた。 

 「きゃはははは!アヘった!ばか!ばか!まん……」
 「モエ!」

 口元から湯気を吐き出すように息を荒くして、丈は疑うことなくモエの言葉通りに動いた。
 それがおかしくて、おかしくて。がたいのよい男子が可憐な女子高生の言葉にそそのかされているのが、モエには愉快だった。
一方、訳が分からないまま『ダブルピース』を強要された丈の顔面はとろけそうであった。シューの割れたシュークリームのように。
 とろけた顔は無様だ。優越感さえ漂う。だから人々の加虐的快感を喚起させ、拍車をかける。

 「うけるー!もっとあえげー!」
 「あえ……ぐぅ?」

 ツンとモエが丈の両腕の肘の裏をくすぐる。両手をふさがれた巨漢は小柄な少女になすすべもなく、溺れ沈むような声をあげる。
丈が被虐の蜜を吸えばすうほど、モエの加虐の花弁が咲き乱れる。けらけらと少女の笑い声が廊下に響いた。
 リオはリオでモエから写メを撮るように指示をされ、言われるがままに、自分の身を守るために携帯のシャッターを切った。

 「むっはー」

 生気の無いリオの声。
 丈の『アヘ顔ダブルピース』は二人が想像していた以上に板についていた。

 生身でアヘ顔を見てしまったことの罪悪感、二次元だけの者が見せることの出来る特権だと信じていた過ち。
そしてモエとの間に芽生えた共犯意識がリオを苛めていた。
 それでも友のために、携帯電話はリオのシャッターを切り続け丈のアヘ顔を撮り続けた。


  おしまい。

                                   

0077創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/01(木) 05:43:32.38ID:MRIrn+zf
「今、俺はちんちんが立っている」
「それで?」
「お前とやりたい」
「ただでさせるわけにはいかんな」
「金ならあるぜ」
「五百円硬貨! やす!」
「服を脱げ」
「安いって言ってんだろ。こら離せ」
「入れる。ちんちん入れる。俺気持ち良くなる。お前もたまらなくなる」
0078創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/12/01(木) 09:28:04.97ID:JGOgMaGt

                        /|   _,.-''"´フ
                       / | /  /
                      /  |/  ∠_
                      /       _>
                      /        \
                 _,,、-‐"┤/―――ー-、>
               ./    |/         ヽ
.              /;,..-‐、              \
              /: /    `      /´~`ヽ    .ヽ
.             !   iflllli、           ヽ    .!
             |   llllf l        iflllli、      |
             |   |llll |        .llllf l      .|
             |   ::!lllll!        |llll |      i
            /              !lllll!      .i
             !    /.:                 !
            ',    ,ィ/ :   .:'^ヽ、..        , ト、    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             ',.:/.:.,{、:   .: ,ノ 丶:::..  -、  ヽ   l、    │ LRを正しく守って
           _,.-‐一''"ヽ、__, イ  ヽ_`゙ヾ  ノ   ./. ,\l:ヽ  <  楽しい創発活動♪
       ,.-‐''"´             ヽゝ }   ,/  .l  l:.:(丶、│ 獣羽鶏からのお願いだよ!!
     /     _    __,.-‐一''"´フノ    /   ,' ,':.:.:`ヾヽ \__________
     /  _,,. -‐ '' " ´ ̄ ̄::::::::::::::::::::::/   / /   / /:.:.:.:.:.:.} ト―-- ,,_
 一 '' "´    //:::::__,.-‐一''"´ ̄   /,r'"    / /:.:.:.:.:.:.:ノ,ノ |      ``丶、
        /  ̄___,.__,.-‐一''"´ ̄ ̄     / /:.:..:.:.:.,ィシ′ |
        〆´ ̄  `丶、 ``"二ユ、_,.,____/__,/;: -‐ '"  /
00791/1
垢版 |
2011/12/23(金) 02:03:54.65ID:ofS947Lb
「淺川くーん、これさぁこれさぁ俺が着ても似合わねんだよ。だから君が着てよ。
 ね、助けると思って。それにこんな女物の服置いてたら彼女に疑われるし」
「彼女なんて居たっけ」
「いないよ、今は。今はね!」

藤森がいつもどおりまくし立て、淺川に大き目の紙袋を手渡す。半ば押し付ける形に
近いが。
紙袋を覗くと、どこかのブランド製の洋服が丁寧に折りたたまれていた。
包装されているビニールががさがさと音をたてる。

「俺こんなの着れるかなー。なんだか若者向けというか…」
「何言ってんの、俺達まだ20台だからいいんだって。知り合いがさぁ、
 注文間違って返品きかないからって俺に押し付けやがったんだよ。でもほら!
 俺はこういう服装よりパリっとした格好が似合うから」

回りに回って、タダで服が回ってきたのである。
根無し草、金欠、服装に金をかけない。こんな男には幸運の産物だった。女性用の服は
ミィちゃんにでもあげてよ、と手をふりながら藤森がバスに乗り込んでいく。

                ♪
0080マチガッチャッタ 2/3
垢版 |
2011/12/23(金) 02:05:52.61ID:ofS947Lb
鋼鉄の馬を乗り回す騎手であろうと、たまには2本の足で歩くこともある。
自宅で”幸運の産物”に着替え、電車に乗り込む。普段着ないような服で着飾ると、
周囲のどうでもいいような声でさえ自分に宛てられているのではないかと
そわそわしてしまう。アノヒトカッコイイネとか、アノヒトガンバリスギとか。
淺川の場合、後者の思考であった。
こんな!こんなどちらかというと自分より若い子向けの服装なんかして!恥ずかしいと
感じないのかしら!
どうでもよい声が、どうでもよい槍に変わり、無き右耳へ突き刺さる。
車内のアナウンスが響く。ドアが開くと同時に、逃げるように降りてゆく。
首に巻かれているストールが、まるで締め付けてくるようだった。

恋焦がれている猫のもとへ着くと、いつもとはまるで正反対のようにそっと
窓ガラスを覗く。

「ああ、居た居た。良かった。すーぎもーとさん!」
「淺川君?……あれ、なんだかいつもと雰囲気が違うね」
「杉本さん!何も言わずこれ着てよ、フジ君から押し付けられたんだ。俺一人じゃ
 恥ずかしいから。人助けだと思って!お洒落すると思って!」
「え?え?なに?」

都合の良いまくし立て方だった。藤森から言葉を借り、紙袋をミナに無理やり
押し付ける。
ミナは、「人助け」「お洒落」という言葉にまんまと釣られてしまう。だって、
こんなオイルまみれだって中身は女の子なのだから。
左頬についた汚れを、ミナはバイクの艶やかな体越しに見つけ慌てて拭った。

                ♪


「うひあー。似合う似合う!すっげ可愛いよ杉本さん。これでフリーだなんて
 勿体無い」
「ワンピースなんて久しぶりに着た…本当にもらっちゃっていいのかな?
 高そうな服なのに」
「いいんだって。俺も着てるし。素直にもらったほうが服も喜ぶよ」
00813/3
垢版 |
2011/12/23(金) 02:07:20.30ID:ofS947Lb
実家が鉄の生き物に囲まれていると、フリルやレースの服なんか着られないから。
頬を緩ませながらミナがスカートの裾をつまむ。
紺色の布地には、雪のような白いドット。ブラウンの上着に真っ赤なタイツ。
色濃い服装に、ミナの白い毛並みが映えた。
淺川は自身の服装は余所に、ミナの姿を携帯電話で撮ろうとしていた。

「ちょ、ちょっと待って何で撮るのっ」
「え?だって可愛いから」

ファインダーは無い。写真家はストレートにミナの心へ入り込もうとする。
可愛いなんて、まるで安売りのようにぽんぽんと言うのではないかしらと
いじわるな思考がよぎる。だってミナは以前、ストレートヘアのきれいな三毛猫も
見かけているのだ。

「浅川君も撮ってあげよう」
「えー…いいよ。俺あんまりこういうの着ないしさあ」
「だから記念に、ね」
「じ、じゃあツーショット!で!」

しょうがないな、とケラケラ笑いながらミナがテーブルに淺川の携帯電話を
置く。
他人の手を握る行方など、どこにもなかった。果たして自分は、他人と触れ合う
資格などあったのか。
淺川は両手をポケットにつっこむしかなかった。
データと両目に、ミナの姿を焼き付けた。

杉本オートをあとにし、近場の喫茶店へ避難する。この姿のままふらつくのは、
少々危険だ。
木島に見つかろうものなら「何だその高そうな服は。そんな金あるなら奢れ。
お前はいつから金持ちの一人前になった。若造め」と、笑われるに違いない。
ハルコに見つかろうものなら「たっかそーな服!財布兄ちゃん、ご飯とお酒
ご馳走してよ」と、たかられるに違いない。

藤森には感謝している。真新しい服、ミナと出会えるチャンスの二つの幸運と
巡り会えた。

この服を着慣れるには、まだ時間がかかりそうだけれど。
0082創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/03/30(金) 18:46:18.23ID:WzCU9cSW
イイハナシダナー
0085春の始まりオリジナル
垢版 |
2012/04/03(火) 00:42:29.19ID:LFF1xx5M
「ああ、さよならかけがえのない君よ……君は私を満たし、包み、寝食を共にしたね。忘れないよ……」
私は君と共に辛く苦しい時を歩んだ。けど、君がいたから私は生きてこれた。
地獄のような世界に、甘く優しい希望をくれた。
ありがとう。ごめんなさい。
悪魔の手にかかってしまうのを非力な私は助けられない。
ああ、君ともっと生きていたかった。
愛おしい君と。いつまでも。
「バカ言ってないで手伝いなさいよ。アンタの方が力あるんだから」
「え〜。なんで私の友を私の手で殺めなきゃいけないのさ」
「たかがこたつの毛布じゃない。どうせ冬になったら会えるわよ、バカ」
「あー!またバカって言った!」
「何よバカ。馬鹿力で、しょっちゅうバカなことして、終いにゃバカだからどうしようもなくなって家に転がり込んで来たんじゃない」
「もぉー。ゼッタイ後で仕返ししてやる」
「……もぉー。絶対仕返しされたら食料供給ストップしてやる」
「いいもん。ご飯くれる人他にもいるもん」
「で、また大笑いされるの?」
「うっ」
ダメージいち。
「アンタの交友関係なんて、あたしと大差ないんだから言いふらすわよ?」
「ぐにゅっ」
ダメージに。
「それとも適当に男でも探す?また泣きをみるわよ?」
ダメージさん。のっくだうん。
「ひどいやっ。ばかっ!」
「アンタよか賢いわよ。そんなことよりこたつを部屋の真ん中まで動かしといてよ」
仕事を任されました!デレ期!?
「りょーかいですっ、ふーちゃん!」
「……軽いノリがアンタの一番のウリよね……」


春。ふつうは始まりと終わりの季節だろうけど、私とふーちゃんこと文月ちゃんの共同生活の始まりは十一月だ。
私は実家を飛び出し、当時付き合ってたカレの家にお邪魔していたのだが、カレが唐突に「飽きた」と言って私を追い出した。
満足させてあげていたから良いと思っていたけど甘かった。大誤算。
いっちょ前に「つくしてあげたい」とか考えていたからバチがあたってしまった。
そんなもんで私だって高校生なのに寒空に独り。替えの服はイン追い出された家。
「友だちと一緒に暮らす」といってあるので実家には帰りづらい。
仕方がないので一番近所で独り暮らしをしているふーちゃんハウスに突撃。
そうしたら「男を見る目もなければ生活能力もないのか」と笑われてしまった。
生活費をワリカンにする条件で迎え入れてくれたし、一度もごはんをつくらない私のことを邪魔にしないから文句は言うまい。
けどひとつ。
イマドキ普通の女子高生に、生活能力はナイデスヨ?
0087創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/04/03(火) 19:35:27.80ID:daaDuBJ8
あげわすれたよ
0098創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/04/09(月) 12:57:49.65ID:SainoBww
「長い間とても…辛い苦しい思いをさせたな……もう大丈夫…戦いは終わったんだよ」

そっと頭を撫でてやる。
暖かい。

年老いた彼は返事をするかのように、一度ゆっくりとまばたきをした。

目眩がするくらい綺麗な、透明の風が吹きわたる。
木々が揺れ、美しい生命の歌を聴いているようだった。

彼はゆっくりと目を閉じた。

「…ご苦労だったな。ゆっくり…眠ってくれ……お前と共に戦えたことを誇りに思う…」

私は、それ以上言葉をかけてやれなかった。
彼が目を閉じた瞬間に、幼い頃から今まで共に過ごした日々が駆け巡った。

丘の向こうの鐘の音が響き、戦いの終わりを告げた。
鐘の音と共に、彼の魂も空へ昇っていったような気がした。

http://imefix.info/20120409/281056/
0102創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/04/22(日) 15:41:37.56ID:A2tchoD7
>>59
今さらで申し訳ないのだけど、今読んだので。
とても素敵なお話だと思いました。ボツなんてもったいない!

途中の展開が、ということでしたが(確かに文中にいくつか歯抜け箇所がw)
うまいこと端折って体裁整えれば、十分に作品として完成しているのでは?
どこかのスレにでも投下すればいいのになぁ、と思ったので

最終的には作者さんが納得しているかどうかですが……
ROMの無責任なレスでした
0103創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/04/27(金) 19:12:44.72ID:9ehqn8yf
同じようなもんばっかりでたのしくない
http://imefix.info/20120427/611235/
なんか違うもん描きたい
0104創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/04/27(金) 21:30:29.17ID:9ehqn8yf
http://imefix.info/20120427/601262/
勢いとか迫力だすのとかムズい
こんなことしてる場合ちゃうのに
0113創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/06/25(月) 13:42:34.33ID:XzfYME0Q
当方は、自他の埋没していくネタを救い上げて、再利用の日を待てたらそれが幸せと感じる派です。

書ける人とか設定を作り込める人だけしか、参加できないのでしょうか。
当方は、思いついた時にエクセルで設定を書いていくだけスタイルです。

ttps://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-2zlooonvtuwycv67tp25d4sexi-1001&uniqid=7a9e8f8b-2d9f-4c39-a19f-b227d73b3041&viewtype=detail

YahooBoxから公開しました、自分のエクセルブック集です。
クリエイティブ・コモンズの画像を同封してあるので、著作権フリーです。

これを使ってシェアれますでしょうか。
0114創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/06/25(月) 17:32:27.48ID:XzfYME0Q
ttps://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-7wlsbrgm4vbtt4elo2sfjj33za-1001&uniqid=68d36b14-e5d9-4ce0-b44d-16af927234f3&viewtype=detail

URL変わりました。
0118創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/07/26(木) 01:44:15.94ID:LqLHaIsN
ハ〜ァ
国是もねえ 覚悟もねえ 支持率それほど残っでねえ
政策ねえ 国益ねえ 首相は毎年ぐ〜るぐる
夜更げて 秘書連れて 二時間ちょっとの密談中
人材ねえ 統制ねえ ヤジは一日百度来る
オラこんな国イヤだ オラこんな国イヤだ 投票へ行ぐだ
投票さ出だならペンこ取って 投票で馬鹿消すだ
0119創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/17(金) 17:20:39.23ID:WrbxzO9M
敗北1

堀川が死んだ夜、報告、その他諸々の整理等を部下に任せ、一人公園のベンチに座る。

上層部は堀川の死亡をもって事件を終了させる気だ。
それでいいと思う。
全ての容疑者が「溺死」
し、謎の「黒い海水」が検出されたなど誰も信じまい。
そして死者が人を殺害したことも。
これ以上調べた所で何もでない。
関係者全てが死んだのだから。

しかし、この敗北感はなんだ。
小野寺が誰に殺害され、
誰が小野寺の死体を九十岬に遺棄したのか、
この事件は何も解決していない。
今後も解決する事など有り得ない。
死んだ人間が幽霊となり、復讐したなど誰が信じるのか。
せいぜい三流週刊誌のネタになるだけだ。

無力だ。誰か教えてくれ、神でも仏でもいい。
何故、この俺に役にも立たない霊感など与えたのか。
0120創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/17(金) 17:37:46.51ID:WrbxzO9M
敗北2

そうだ、他人に見えない者が俺には見える。
ずっと前、まだ交番勤務の時、酷い交通事故の処理に当たった事があった。
たった今救急車で運ばれたはずの瀕死の被害者が、俺の横に立ち、何事なもなかったような顔で
「僕、ひょっとして死ぬんですかね。」
なんて聞かれた事もあった。

そう、いつもそうだ。
ただ俺は見えるだけなんだ。死んで行く者達や、すでに死亡し、ただ街をさ迷うだけの存在になった者達..俺は彼らに何もしてやれない。

今回もそうだった。
ただ予感がする、それだけだ。
0121創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/17(金) 17:55:52.83ID:WrbxzO9M
敗北3

ふと見ると着物を着た少女が俺の数メートル前に立っていた。外灯は彼女の真上にあったが、影はない。よく見ると顔に見覚えがあった。
九十村で出会った少女の霊だ。
少女は少し駆け足で俺の目の前に来て、俺の右手をさすった。
「慰めてくれるのか」
冗談ぽく幽霊に話かける。
少女は無言だ。ただ俺の右手を摩りつつ。おれの目を見ていた。
そしてか細い声で。
「あなたも気をつけて」
と、呟いた。何となく背筋が寒い。「..次は俺の番か?」
問い質してみたが彼女は無言だ。
「これ..」と何かを差し出す。櫛だ。
「おねえちゃんからもらったの。」
少女が続ける。
「でも、おねえちゃんがあなたにこれを渡せってあなたを守ってくれるって」
「俺にか?」

少女は消えた。

だが、しばらくして
「大事にしてね。」
と俺の中で彼女が言った。
0122創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/19(日) 15:14:55.46ID:aXXyraMB
三人揃う1

午後8時、丸山巡査部長から呼び出しがあった。
「とにかく会いたい」
と。
待ち合わせ場所はS県刑務所。妙な所に呼び出されたものだ。

受け付けに行くと、片桐と言う人が僕を待っていた。
「まあ、君がマルちゃんから呼び出しを喰らった理由の遠因は俺にあるんだが。」
僕は不満だった。なんの予告も訳もなく、突然だ。
しかし、上官からの出頭命令を断る訳にも行かず、交番の引き継ぎもそこそこに急いで自転車を走らせた。
「いくら上官の命令とはいえ、少し憤慨しております。」率直に答える。
「命令じゃないよ、個人的に会いたいって事なんだ」
「は?」ますます憤慨した。個人的、と言うのならば、いろいろと順番という物があるだろう。

ここだ、と片桐氏は廊下の1番奥の部屋へと案内する。
「私は、ここまでだ。大丈夫、マルちゃんはいい人だから。」
そういうと片桐氏は去っていった。
廊下の1番奥に僕一人。
扉の隙間からうっすらと光が漏れている。
ネクタイを正し、ノックする。
「入ってくれ」と中年の男の声。
「結城優巡査、出頭致しました。」
0123創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/19(日) 15:40:03.98ID:aXXyraMB
三人揃う2

そこには三人用のソファーの真ん中に座る男、
髪がボサボサで少し垂れ目の中年。和製コロンボのような出で立ちだ。
もう一人、男が座るソファーの後ろに立つ若い女性。
美人だ。歳も僕とさほど変わらないだろう。
「まあ、座れ」和製コロンボが僕を真っ直ぐ見ている。恐らく、こうしてる間にも僕の人と成りを
見ているのだろう。
刑事と言うのはそういう癖がある。
言われた通り、テーブルを挟んで、彼の正面に座る。
「出身は?」
「九十村であります。」
「白木丈一は知ってるか?」
知っている。かつて九十村名士第四位の位にあった家の長男。悪さが過ぎて破門された。
「奴は故郷の恥であります。」
事件を起こして懲役を喰らった事も知っている。
この刑務所で死んだ事も。
「..小野寺順一の事件は知っているか?」
なんなんだこれは?立て続けに質問だ。要点がまるで掴めない。
「これは尋問ですか?」
思わず口走る。
「小野寺順一死体遺棄事件は知っているのかと聞いている!!!」
怒鳴り声に前進が硬直した。
0124創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/19(日) 16:07:15.05ID:aXXyraMB
三人揃う3

「..済まない、ちょっと前に文字通り、死ぬような思いをしたんでちょっと気が立ってる。
で知っているか、小野寺の件..」
今の怒声で、僕は臆病になっていた。
「ニュースで少し..」
丸山巡査部長はここで一冊のノートを取り出す。
そのノートを見た僕は血の気が引いた。一瞬でこのノートには恐ろしい事が書いてあるに違いないと直感した。
丸山巡査部長は僕のその表情を見逃さなかったに違いない。
「白木が死ぬ前に書いたノートだよ。中身は見ない方がいい。」

そして巡査部長は今までの事を事細かに話し出す。
容疑者の変死は小野寺の仕業だと。とても刑事の口から出た言葉とは思えない。そして、つい数時間前、自分も小野寺の幽霊に殺されかかった事も。
さらにとんでもない事を言いだす。
「俺は、休暇を取って、幽霊になった小野寺を追う。それしか俺が助かる道はない。」
唖然とした。幽霊を追う刑事など聞いた事もない。
沈黙が続いた。
「で、私に何をしろ、と?」僕が呼ばれたのは多分、九十村関連だろう。
0125創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/19(日) 16:29:08.20ID:aXXyraMB
三人揃う4

「俺と九十村に付いてきて欲しい」
そら来た、言いたい事は解っている。土地勘もなく、村民は閉鎖的、そこへ地元民の僕と行けば、
その幽霊捜査もやりやすい、そんな事だろうと思った。
「お断り致します。」
今度は臆病なく、率直に言えた。
「私は二度と故郷には帰らないと誓っております。」
「何故だ」巡査部長が尋ねる。
「巡査部長殿も九十村へと足を運んでいるなら、解っているはずであります。私はあそこの風土、宗教に嫌気がさしておるのです。あそことはもう縁を切りたいのです。」
また沈黙、巡査部長は僕の目を見詰め、やれやれといったジェスチャーで
「..まあ、仕方ない、か。俺一人でやるしかないか。」と、初めて笑顔を見せた。
「解っていただけましたか。」僕は呟いた。
「そうそう、紹介を忘れていたが、この娘さんは、早苗君と言って、S大で民族学やってる大学院生だ。話を聞いてやってくれないか。」
0126創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/19(日) 16:55:45.21ID:aXXyraMB
三人揃う5

「小塚早苗です..」
美人のその人ははにかみながら自己紹介する。
「結城優と申します。」
「...いきなりだけど、確か結城家って九十村では名士ですよね。確か井塚家に次ぐ第二位の」
「は、家業は兄が継いでおります。」
「家門...結城家の家門てなんですか?」
また、変な事を聞かれるな。幽霊捜査の次は家門の話か。
「はあ、百合でありますが」
「ふーん、百合。」
早苗嬢は何か考え込む。

「九十岬の話は知ってる?」
だから僕はそういった戒律やら儀式やらが嫌いなんだ。と思ったが半場投げやりで、
「一揆に纏わる伝承程度なら。」
彼女の目が輝く。
「そう、それ!!牛田五郎エ門!!、私達、あの岬に言ってみたいの、何か方法ある?」
後ろで黙っていた巡査部長も話に割り込んできた。
「あの辺りで小野寺順一の死体が遺棄されたんだ。できれば俺もこの目で見てみたい。」
もう沢山だ。伝承だの、一揆だの、首無し牛の岬だの。
「不可能です。あそこは村民が決して立ち寄らない不浄の地です。私も入った事はない。..ですが。」 とある儀式を思い出す。
「井塚村長に相談すれば、あるいは」
まあ、よそ者では許可はでないだろうけど。
0127創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/08/19(日) 17:07:58.60ID:aXXyraMB
三人揃う6

「では、私はこの辺で」
これ以上この和製コロンボ、いや和製モルダーと
何だかよく解らない学生には付き合ってられない。
「結城君」早苗嬢が呼び止める。
「何でしょう?」語気を強める。
「あなたの親類で、留美ちゃんって娘いる?髪が長くて、綺麗な娘」

留美、何故彼女が留美さんの事を知ってるんだ?

「..長谷川家の留美さんですか?」

「苗字までは解らないけど...うん、いるのね。」
少し引っ掛かる言い方だったが、
「失礼します。」
頭を下げて部屋を後にする。
後ろを振り返る事はなかった。


この夜、また例の夢を見た。足跡の量は前より増えていた。
0128創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/09/13(木) 18:02:11.26ID:xStR1T7d
僕は東大卒の灯台の管理人。
年がら年中ほぼ人と交わらぬこの暮らしを初めて五年になる。
が、そんな暮らしを変えるかもしれない一つの申し出が舞い込んだ。
官僚のお偉い方の娘さんが受験シーズンであり、
その娘さんを夏休みの間、この灯台に置いてやって欲しいという。
この静かな環境で娘に勉強を教えてやってほしい、家庭教師をやってくれというわけだ。
どんな子か素性が分からないので、すぐには返答しかねた。
というか、よく若い男の下に娘一人だけ寄越す気になったものだな…
監視役の人が付いてくる訳ではないのか…
あれこれ考えたが、結局引き受けることにした。
基本暇だし。提示された金額は、大いに結構なものであったので。
さて、娘さんがやってくる日と相成った。
近くの町の駅まで迎えに行く約束だ。
駅の改札前で待つ。娘さんの容姿の特徴は事前に聞いていた。
背は150cm程。髪は長いが、腰に届くほどでもない。
どこにでもいそうな特徴だが、この駅で降りる人は少ないので、間違えることもないだろう。
しばらくして、それと思しき若い女の子が、暗がりの奥に姿を現した。
相手と目が合う。すぐに僕が目的の人物だと気づいたようだ。
娘さんはニコッと笑った。そのまま、改札を通る。
外の明るみに姿を見せると、
「こんにちは!」と言った。
僕は「はい、こんにちは」と返した。
一応、「佐々木京香さんだね?」と確認すると、
「はい、そうです」と言う。
「僕が木村武治。灯台の管理人をやってる」
「あ、聞いてますよ。灯台で暮らしているって」
「そうだね。まあ、僕のような人はなかなか珍しいだろうね。」
娘さんは愛想笑いをした。
「じゃあ、行こうか。車をすぐそこに止めてあるから。」
「はい」
0129創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/09/14(金) 21:47:16.42ID:DKC2s0ms
娘さんの荷物は長期の滞在にしては、随分こざっぱりしたものと思えた。
肩から提げる布製のバッグであり、最も、彼女の体格からすれば、大きいとも言えるのだが。
そのバッグは今、車中の後部座席に置いてある。
娘さんは助手席で正面を向いている。
「長旅はどうだった?大変じゃなかった?」
「いえ、楽しかったですよ。一人でこんなに遠くまで来たの初めてで。」
「そうか。ちょっとした旅行みたいなものだろうね。」
「ええ。少しの間、勉強のこと、忘れていられましたし。」
「ハハ…」
この道路を走る車は少ない。時折すれ違うぐらいだ。
トンネルを潜る。
「ここら辺は何もない土地でね。海が近いけど、
海水浴場があるわけでも無いしね。
山ばかりで、遊ぶ所なんて、ホントに無いんだ。」
「はい」と頷く。
「強いて言うなら、温泉宿が一軒あるぐらいかな。少し遠いけど。
まあ、だから、勉強するのなら、もってこいの場所ではあるよ。」
「…その方がいいです。勉強に集中できるなら。」
「うん。なら、ここを気に入ると思うよ。」
娘さんは少し笑った。
しばし、山道を進み続けると、正面の山間に濃青の海が覗いた。
もう少しで、我が家、我が職場が見える。
0130創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/09/15(土) 23:42:28.74ID:82IO2buB
道の在り処は、山中から海岸沿いへと移った。
先の山道より交通量は随分多く、トラックやダンプといった大型の車両が行き交っている。
助手席側の窓から望める流れ行く景色は、大海原と青空がその座を占めている。
娘さんの視線は、海に向いている。
もうじき、目的地に着くのではあるが、何か音楽なりラジオなりを鳴らしておくべきだったか、と思いもした。
海沿いの山の斜面を切り開き敷かれた道路はカーブに満ちたものであり、
その内の一つの大きなカーブを行き過ぎることで、ある山の裾を経巡ると、
景色が前方にぐっと広がり、その景色の片隅に、白色の直立した建造物が認められた。
灯台が、見えてきた。
娘さんは少し身を乗り出した。
「あ、あそこに建っているの、そうですよね?」
「うん、そうだよ。」
「大きいですねー。」
「そうかい?確か、全長で22メートルだったかな。」
「へえ…」
木立ちもまばらな陸地が海へと突出している。
それは岬であり、岬の名は須緒岬という。
灯台はこの岬の先端にある。
岬の付け根にて、道は本道と脇道の二手に分かれた。
本道をそれ、車を脇道に入れた。この先が灯台となっている。
松の木の寂しい枝振りの隙間をうめるコンクリートの曲壁は、日光によって塗料の白さを際立たせていた。
0131創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/09/16(日) 23:19:54.75ID:6uNC4JCj
車を止め、エンジンを切る。
「さあ、出ようか。荷物忘れないで。」
車から降りると、日光と潮風を直に浴びた。
岬の先端部にはコンクリートで基礎を固められた区画があり、
そこを土台として灯台は建っている。
白い壁は上方へやや細まりながら延びている。
窓や採光部はあちらこちらに位置している。
頂上は、手すり付きの円形テラス風といえばいいだろうか。
「入口はこっち」
見上げている娘さんに、付いてくるよう促す。
周囲を回り込みながら、鍵束をポケットの中から探り当てる。
途中、屋上まで通ずる外部階段の登り口を通り過ぎる。
すぐに、正面玄関と呼ぶべき扉前にやってきた。
金属製の扉は横にスライドするタイプのものだ。
郵便箱を一瞥するが届け物は無し。
新聞はとっていない。配達が可能なのかは知らないし、勧誘は来たことがない。
鍵の一つを鍵穴に差込み、回す。
扉の取っ手を掴み、扉を横へと滑らせた。
先に中へと入り、電気を点ける。
緑の床、クリーム色の壁。パイプや電源部がむき出しとなっている。
丸く縁どられた窓のカーテンは締め切ったままにしてある。
暑いからだ。
「どうぞ、入って」
「おじゃましまーす」
「部屋、用意してあるんだ。案内するよ」
「あ、そうなんですか。ありがとうございます。」
僕は扉を閉め、入口正面にある、昇降機の前へと進み出て、スイッチを押す。
一階に留まっていた昇降機はすぐに扉を開けた。
0132創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/09/17(月) 22:50:51.97ID:OmXjsq5P
昇降機は至極ゆったりと昇っていく。
じき、目的の階へと到着した。
廊下へと出る。
娘さんの表情に疲れといったものは見受けられなかった。
廊下が左右へ分かたれている。
右へと進む。すぐに木製の扉が設えられた壁に突き当たる。
扉には名札受けが付いているが、現在は空である。
再び鍵束をポケットから取り出し、目当ての鍵の見当をつける。
その鍵は鍵束の輪から外しておいた。
後で娘さんに渡すつもりであったので。
開錠する。
扉を開け、「さあ、どうぞ。」
靴を脱ぐための玄関は小さいので僕一人が先にそこで靴を脱ぐ。
壁際には小さい下駄箱があるので、そこに靴を置いた。
続いて入ってきた娘さんも靴を脱ぎ、下駄箱に置いた。
「とりあえず、荷物を下ろすといいよ。」
言いながら、僕は窓に歩み寄り、カーテンを開け、窓を開け放った。
風が入り込んでくる。
外は海空が広がるばかり。
娘さんは荷物を肩から下ろしながらも、部屋を眺め回している。
この部屋の形状についてであるが、外界との堺界壁は丸く湾曲しているが、
内部空間を分け隔てる壁の方は平面である。
丁度、ロールケーキの四分の一カットといった感じだ。
床は、外縁部は木製であり、内奥部には畳が五畳、長方形に敷かれている。
畳の上には素っ気ない机が一つ。
娘さんは窓際にいる。
「どうかな?景色はいいでしょ?」
「ええ、綺麗ですね。」
「一応、この部屋でいいかな?ま、別の部屋もあることにはあるよ。
見に行きたいなら案内するけど?」
「んー、この部屋でもいいですけど、クーラーはありますか?」
「もちろん」
奥まった位置に備えられているクーラーの方へ手を差し向ける。
「あー、でも動くのかな。確認しないとね。」
クーラーは無事、動作が確認された。
そうして、この部屋は娘さんの住まいとなったのだ。
0133創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/09/19(水) 23:09:08.42ID:t4CmTG4C
「昼ごはんは食べたの?」
そう訊くと、電車内で弁当を買って食べた、ということらしい。
僕はというと、昼食はまだであったのでお腹が空いていた。
台所へ行って、一人分の昼食をこさえたい訳であったが、
来て早々の娘さんに、この部屋で一人待ってもらうという考えは却下せざるを得なかった。
この部屋、テレビも無いのである。
まさかいきなり、「することないなら勉強していれば?」等と言えるはずもない。
結局、テレビの置いてあるリビング兼食堂に移動し、僕はテーブルにて食事に向かい、
娘さんにはソファにて、お昼のバラエティ番組と冷えたウーロン茶を肴とし、寛いでもらっている。
今日の昼はざる蕎麦である。使用した麺は割と値の張る上質のものであり、
歯ごたえというかコシというか、確かにお値段据え置き品とは異なるようである。
娘さんはバラエティ番組を一応見てはいるようで、笑ったりはしないものの表情は幾分柔らかいと見えた。
旅先のホテルなどで、テレビを点け、そこにお馴染みの番組や芸能人が映ると、妙に安心する心地を覚えることはないだろうか。
今、娘さんはそういう感興なのかなと、僕はふと思った。
番組は一旦コマーシャルに入った。
すると、娘さんは上衣の懐から何やら取り出した。
携帯電話であった。
「ウチへ電話しますね」
「あ、うん。それはした方がいいね。」
ややあって、
「あ、もしもし、お母さん?さっき着いたよ。…うん、したよ。…あー、それも大丈夫。」
…色々気掛かりな母と心配させまいとする娘の会話、であろうか。
その内、僕の方にもお鉢が回ってくるかと思ったが、
「…また、電話するから。…うん、わかってるって、勉強ちゃんとするから。それじゃ。」
娘さんは電話を切った。
僕は既にざる蕎麦を平らげていた。
0134某シェアワ用に書いてて頓挫したヤツ
垢版 |
2012/12/06(木) 00:21:59.35ID:k/7hRpV/
「くっ!」

“魔人”といえど、連中の数の多さには旗色が悪い。
そこへきて力と執念深さがあるために、一撃で振り払うことはなおかなわない。

「アグゼス! どうにかならないか?」
「考えうる最高のパフォーマンスで処理している」

っふ、と舌打ち混じりの溜め息をつく。
連中は今現在も増えている。
最近はイヌ型ばかりではなく、翼手のような造形や地を這うタコのような造形など、バラエティに富んできた。

ダガーを両手に、襲い来るミュータントを捌く。
背後の“魔人”は、鉤爪のついた三本指で連中を切り裂く。

「もうじき群れが切れる。そこを見て抜け出す」
「どうやって!」
「抱える」

言うが早いか、背後から太い腕が私の腰に巻きついた。
私は即座に、衝撃に備えて腹に力を入れる。
魔人、アグゼスが跳んだ。

コウモリとヒトがくっついたような、翼手が追いすがってくる。
ダガーを投げつけようとしたその時、眼前の翼手の身体がビクンと跳ね、次の瞬間には視界の下方へ去っていた。

「助っ人と呼んでも差し支えない存在が出現したようだ」
「……会いたくもない奴だけれどね」


翼手が墜ちた場所のそばに、一人の男が立っていた。
0135創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/06(木) 00:23:04.61ID:k/7hRpV/
アグゼスの跳躍は見事にミュータントたちの群れを抜けだした。
まだ数体、翼手が追ってきていたが、そのくらいの数ならば十分対処可能だ。

「“助っ人”はずいぶん手を貸してくれたようだ」

アグゼスの無機質・無感動な声が、気に障る。

「バッカじゃないの。あいつはあいつの“オシゴト”してるだけでしょうが」

つい、ヒステリックに叫んでしまった。
言った後から気づく。

――こんなところが、ダメなんだ。

「そろそろ時間だ」

“魔人”アグゼスは、私の剣幕など意に介さない。
うっすらと東の空が明るくなってきているのを見て、私は漸く腕時計を見たのだった。



連中も、日中には活動性を落とすタイプだった。もう大人しくなるだろう。
始発は動いているだろうか……と頭を巡らす。
数年前まで新興住宅地だった、郊外の町。
今は誰も住んでいない、ゴーストタウン。
例の隕石災害、そしてその後現れ始めた奇妙な“生き物”たち。

――予想はしていたけど、こんなに増えてるとは思わなかった……。

ここには、用事があったのだ。
私は、最初の目的地に戻ることにした。
0136創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/06(木) 00:25:13.06ID:k/7hRpV/
「……」

男は、道路の真中に立っている。
さきほど翼手を一体撃ち落とした、アグゼス言うところの――私はそれを認めないけれど――“助っ人”だ。
無言で、こっちを見ている。

私は無視して、道路の端を歩いて通りすぎようとした。

「『アイビス』」

男が言い、私の行く手を塞ぐ。

「何をしている」

鷹揚な物言い。
目を合わさず、極めて不機嫌に、言ってやる。

「……その名前で呼ぶのはやめてくれないかな。私はもうあんたたちの仲間じゃない」

男はフン、と鼻で笑い、皮肉っぽい笑みを浮かべて言った。

「一般人だ、とでも? ならばなおさらだ、ここは特別禁止区域に指定されている。理由は……分かっているだろう」

昔から、変わっていない。

――だから、こいつは嫌いなんだ。

「それが何? 私は忘れ物を取りに来ただけ。用が済んだらすぐ帰るし、自分の身は自分で護れる」

言いながら、奴の脇をすり抜ける。
男は私を通らせたが、背中から声を掛けた。

「昼行性のガーゴイルも出てきているぞ。昼間に、昨夜のような事が起こる可能性は十分にある」

――ちっ。やっぱりそうなるんだ。

私は、奴がどういう人間か比較的知っている。私が奴を嫌いなのも、そのせいだ。
もっとも、最大の理由はもっと別のところになるのだけれど。

私は、奴を無視してスタスタと歩く。
振り返らずに、捨て台詞を吐く。

「あんたは、頭痛の心配でもしてれば!?」
0137創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/06(木) 00:28:14.93ID:k/7hRpV/
Code name;アイビス。
とうに捨てた、私の昔の名前。

馬鹿の集まり。カッコつけに○班、なんてナンバリングしている。
あの頃は5班まであった。今はもっと増えているだろう。そんな勢いだった。
私は、その「1班」に所属となった。
今はその班は無い。
他の班はどうなっているか知らないけれど、知りたいとも思わない。


警察学校を卒業する時、教官から呼び出された。

「三島、貴様に話がある。後でここに来るように」

教官の立場を利用したセクハラとは。私はこの手の犯罪に虫酸が走る。
この教官がそういう肚ならちょうどいい、社会のダニを駆除するいい機会だ。

そう思った。
私はまだ二十を過ぎたばかりで、自分でも恥ずかしくなるくらい、血の気が多かった。


教官から手渡されたのは、一枚の地図だった。
“そういうこと”をするなら教官室とかを指定しそうなものだが、ラブホテルの場所でも書いてあるのだろうか、私は軽蔑の念を込めてその紙を受け取った。

「1時間で塵になる。光学処理されているので、複写および撮影は出来ない。よく頭に入れろ」
教官は、そう言った。

手渡された紙は不思議な質感を持っていた。
0138創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/06(木) 00:31:04.70ID:k/7hRpV/
地図は、一般常識からいうと不親切極まりないシロモノだった。
グーグルマップで言えば、「色分けおよび建物名が一切記載されない市街図」。
後で気付くのだが、北を上に記載されているでもなかった。

そして、指定の場所は地図に明記されていない。
地図の下部に数字の羅列が並んでいるだけだ。

「3時間後、現地だ」
教官はそう言うと、さっさと教室から出ていった。


約一時間が経つ頃、その紙はボロボロと崩れ始めた。
手に持ったさきから粉になり、表面もどんどん色褪せてくる。
私はこの時初めて、地図を覚えるのに必死になった。
それまで、教官の言った意味や目的などを、漠然と想像して遊んでいたのだ。

“地図”には特徴的な図形が一つ描かれている。
私は学校から少し行ったところにある建物を思い浮かべた。
すぐに(一般の)地図を検索する。

おそらく、間違いない。
そっちの“地図”はもう無くなってしまったから、突き合わせることは出来ないが……あの“図形”は、この建物を指しているはず。
だとすると、あの“地図”は北が上ではない。

ああ、なんとややこしいことを! まるでスパイの情報戦じゃないか。
私は髪をぐしゃぐしゃとかき上げながら、周辺図をプリントアウトする。
頭の中にある“地図”と重なるように、それを回して東西南北を合わせる。


……待てよ。
はたと気づいた。
目的地は示されていないのだ。
あの地図に、目印のようなものは何一つ無かった。
あるとしたら、変な数字の羅列……

あれが、目的地を示す“記号”なのか?
それだけはメモした。
メモを見返し、プリントアウトした図と見比べる。
あの“地図”の中心に来ていたのは、この建物だ。
数値は座標を示すものか? 仮にそうだとするなら、かなり端っこに寄った地点にある。
けれどそこには建物はない。大通りが走っているど真ん中だ。

こんなこと、前にもあったような……

私は、以前に姉から聞いた話を思い出した。
0139創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/06(木) 00:33:29.20ID:k/7hRpV/
この“座標”が、「中心点からの距離」を指すものだとしたら……?

目的地は、中心からややそれた場所にあり、それを示すために数値が与えられている。
それであらためて図を見返す。
“座標”の示す位置に、果たして“それ”はあった。
商店街の外れにある喫茶店に、“それ”はピタリと合っていた。


時計を見る。
あの通達から3時間後、ということはあと40分。

いつの間にこんなに時間が経っていたのか。
こんなことなら、ダメ元でもっと早くからあらゆる検討を重ねるべきだった。
歯噛みする思いをしながら、私は急いで支度をした。

化粧と洋服? とんでもない。
何が待っているか分からないのだ。
実技で満点だった短刀を両腿に仕込み、GPS発信機を封入したピアスに付け替える。
24時間以内に外して解除処理をしないと、現在地を通報されるものだ。

今となっては、それも無駄な足掻きだと分かるのだが、当時はそれが最先端の護身技術だと信じて疑わなかった。


電車を使って行く発想は無かった。
なぜか、こういうことになったら公共機関はヤバいと思ったのだ。
で、自転車を漕いで行くことになる。
時間的に、目的地まではギリギリだ。

ここで、なんでそうしたのか、当時の私の愚行を責めないで欲しい。
とうの私が「バッカじゃないの!?」と言いたい気分なのだ。
若かりし頃、というのは、そういうものだ。それから4年しか経ってないのだけれど。
0140創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/06(木) 00:36:57.07ID:k/7hRpV/
結果を先に言うと、時間には間に合わなかった。
けれど、約束には間に合った。
もったいぶっているわけじゃない、話を進める。


自転車を漕いでる途中で、時計のアラームが鳴った。

タイムリミットか……!
私は、脱力感に襲われた。

けれど、思えば得体の知れない“指令”に振り回されただけのこと。
守れなくても、卒業がどうにかなるものでもないだろう……
私は早くも諦める理由を考え始めた。

しかし、気にかかることがある。
私だけでは無いにしろ、まるでゲームを解けるかどうか試されているかのように、教官から呼び出しを受けている。
その場に居るのがどんなメンツなのか、それに興味があった。
そんなことを考えているうち、目的としていた喫茶店に辿り着いた。


何の変哲もない、ともすれば明日にでも潰れてしまいそうな、古い喫茶店だ。
私はドアを押し、数秒(数十秒、あるいは数分だったかもしれない)あってから「いらっしゃいませ〜」の声を聞いた。

店内には、客が一人だけ。よく見慣れた人物だった。
0141創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/06(木) 00:43:30.45ID:k/7hRpV/
「2分オーバーだ、三島柚子」
「すみません……」
言い訳をする余裕は無かった。それよりも、この“密会”の目的が気になってしょうがなかったのだ。

「三島、貴様は捨てるものがあるか」
教官は、世間話をするようなふうで言った。

……?

意味が飲み込めない。
あの、お冷いただいていいですか。あ、これですね。ふう。えっと? あ、はい。

「貴様の『能力』は非常に優秀だ」
教官は静かに言い、コーヒーカップを口に運ぶ。

「『バッフ』あるいは『エグザ』とも呼ばれる、特殊能力。これを使った犯罪が後を絶たない」

黙っている。

「そうした犯罪を専門に扱う課、というのがある。……もちろん非公式だが」

教官が私を睨む。この時の目ほど、“眼力(めぢから)”のある目を、私は見たことがない。

「過酷な仕事だ。犯罪組織と、第一線で殺り合う。頭脳戦も情報戦もある。『能力』を使ったテロ行為は毎日のように起こっている」

私はただ、教官の目から視線を逸らすことが出来ず、ただ見返して、黙っている。

「戦闘に特化した、優れた『能力』のある者でなければ、この課の人員は務まらない。私の言うことは、つまり、それだ」

言い終えて、教官は再びコーヒーカップを口に運んだ。
何故か顔を苦そうにしかめる。

砂糖なりミルクなり入れればいいのに。



私の『能力』。

私以外の、人型の何者かを召喚できる能力。
“そいつ”について、私は詳しく知らない。

でも、召喚すると、なぜか昔から知っている古い友人か、疎遠になっている親戚かのような感覚が私の中に満ちる。
何を命令するでもないのに、私の思うとおりに動いてくれる。
ただし、殴る蹴るなんかの単純な作業だけ。


“魔人”アグゼスを十分に認識していなかった頃の私は、こんな感じだったのだ。
0142創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/05(日) 23:35:02.38ID:deY5it8h
 ガチャリ、とオーブンを開けると、熱気と共に甘い香りが漂った。
 ミトンを嵌めた手を伸ばし、鉄板を引き寄せる。柑橘と蜂蜜が熱に混じって鼻をくすぐる。綺麗に焼けたマドレーヌに思わず頬を緩ませながら、網棚の上に手早く取り出していく。
 袋とリボンを用意してる内に粗熱が取れたので、綻びや割れのあるものを取り除いていく――とその時。

どたどたどたどた!

 廊下を走る騒がしい足音。反射的に手元にあるマドレーヌを一つ掴む。

 ばーん!

「おやつ――もがっ!」

 勢い良く開け放たれた扉に向かって鋭く投擲。狙い違わずターゲットの口に飛び込み、その動きを止める。
 が、次の瞬間には全て咀嚼されて口の中から消えていた。相変わらずの早食いだ。
 嘆息し、意味が無いと分かりつつも忠告する。

「心美。厨房に飛び込むなといつも言ってるだろう」

「だって甘い匂いがしたんだもーん。要人お兄ちゃんこそ食べ物を粗末に扱っちゃダメじゃないのー?」

「今投げたのは一番焦げてた奴だからな。元々捨てようと思ってたから丁度良かった」

「ひ、ひどい! でも美味しかった!」

 この焦げたマドレーヌで満足する食わせ甲斐の無い少女は、妹である心美だ。
 菓子が焼き上がると何処からともなく嗅ぎ付け、厨房に飛び込んでくる。
 餌を与えないと暴れて埃が舞うのでロスを提供して黙らせるのが常だ。
0143創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/05(日) 23:37:43.56ID:deY5it8h
「で、何の用だ?」

 溜め息混じりに聞くと、心美は思い出したように言った。

「そうそう、朝御飯できたから来いってお母さんが」

「最初に言え。……今行くから先に用意手伝ってろ」

 はーい、と元気に返事をして騒がしく飛び出していく心美を尻目に、マドレーヌに触れて温度を確認する。
 袋詰めするにはもう少し冷ましてからの方がいいだろう。
 幾つも並ぶ焼き菓子にペーパーを被せてから手早く手を洗い、厨房を出る。
 廊下を歩きながら腰に巻いたサロンと頭に被ったタオルを外し、居間の扉を開けた。

「おはよう、早かったね。もう少しで準備終わるから待っててな」

「その言葉はオレが言うべきだと思うぞ」

 ぐってりと机に伏しながら顔だけ向けてこっちを向いたのは母である陽子。
 仕事の途中だったのか目の下に酷い隈が出来ている。
 それにツッコミを入れながらキッチンから顔を出したのは、父親の陰之。
 猛禽の如き鋭い目つきはカタギと思えないレベルだが、この家の家事全般を片付けているのはこの陰之である。
 つまり主夫だ。
 何も知らない人が見れば怯えて愛想笑いを浮かべながら逃げそうな視線をじろりとこちらへ向けた。
0144創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/05(日) 23:39:06.95ID:deY5it8h
「仕込みは終わったか?」

「一段落ついた。あとは袋詰めと、追加分くらい」

「そうか。テーブルに着いてろ、すぐに運ぶ」

「あ、いや手伝うよ」

「いらん。大した量じゃない。心美だけで十分だ」

 言い残してまたキッチンに引っ込んだ。態度で誤解されがちだが優しい父親なのである。
 程なくして心美が料理の載った皿を持ってきた。こちらも邪魔な人間を動かし箸や取り皿を並べて準備をする。

「……大事な母親に対して、何か言うことは?」

「ジャムはバナナでいいよね?」

「邪魔な物を退かすように扱ったことに謝罪はないのね……あ、新作?それちょうだい」

 背もたれにぐったり体重を預けながらトーストに強い匂いを放つジャムを塗っていく陽子。
 要人はジャムも作って販売しているので時折試作品を食卓に置くのだ。
 今回はバナナ。我ながら良い出来だとは思うのだが、濃厚なバナナの風味と同じくらい強烈なバナナの芳香が漂う物となってしまった。
 バナナ嫌いが一人でもいる家庭には売れるまい。
 心美とエプロンを外した陰之が席に着くと、全員が両手を合わせて唱和する。

「「「「いただきます」」」」

 日野家の家訓その一。食卓を疎かにすることなかれ。
 雑談もテレビも許されるが、家族全員が席に着くまで食事を始めることは許されない。
0145創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/05(日) 23:40:44.47ID:deY5it8h
ここまで書いて、8割がたプロットもあるがどうしても進まない
いつか書こうと思いつつ塩漬けになってたものを供養
0146創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/06(月) 09:20:51.74ID:P9G/v4z3
>>142
二次創作……?
と思ったけど、とりまググってもそれらしいものは見当たらない
オリジナル作品かな?


文章は読みやすい、キャラ構成もなかなかにそそるものがあった
続きを書いてくれたらいいのに!
0147創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/06(月) 10:26:44.20ID:SX95/OM0
>>146
オリジナルだけどキャラは意図的にラノベっぽく名付けたから一見二次に見えるかも
ファンタジーな要素なんて欠片も無い、ラズベリーのように甘酸っぱい恋愛モノに…なる予定だった
反動でその後がファンタジー祭りになったけど

好評価貰うのに慣れてなくて、なんか照れるな
そう言ってくれてるのなら気合入れて少しずつでも書いてみましょうかね
0148創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/06(月) 13:47:21.86ID:KGE4U7Pa
血の匂いなんてしないじゃないか!
するのは糞尿の吐き気がする匂いだけ。
足元に転がる最愛は。
ねぇ、ロマンチックなデートのお誘い嬉しかった?
「あの山を登ったらすっごい夜景が綺麗なんだって!見に行きたいなぁ」
嘘じゃないよ、とっても綺麗だよ
。人気の無い山道を一人で帰ると思ったら憂鬱だよ。
脂肪でテカったナイフを舐めて見る。うん、鉄の味しかしない。
本当に美味しいのかなぁ。
太ももの肉を五センチ程度削ぎ取る。
プルプルしてて、血まみれで、いかにも怪しい肉っぽくて食欲は湧かない。
ちゃんと火を通さなきゃ。
私は牛も豚も鳥も食べる気になれないんだ。
今まで?食べてたよ。肉を食べなきゃ早死するからね。
食は人生で結構大事な位置の行為なのに疎かにしたくないよ。
肉は美味しいし。
だから人を食べてみるの。
カニバリズムのシーンがある漫画や小説を読み漁ってみたけど、どう料理すればいいのかは分からない。
料理本でもあればいいのに。
腹にゆっくりナイフを皮膚に沈める。程よい弾力で心地良い。
死体に穴開けてセックスしたがる人の気持ちが分かった気がする。
ミイラ化した死体をお湯でふやかす人、心臓をセックスするための臓器だと信じて疑わない人、死体を切り貼りして芸術作品を作り上げる人。
彼等彼女等に妙な親近感を抱いて、今すぐにでもこの死体を分け合い語り合いたい気分になった。
「どうして人を食べようと思ったの?」
身元確認済みの遺体は尋ねた。
「骨を、肉をミキサーで砕いて飲めば石鹸箱の毒に侵されずに生きていけるからね」
先人からの答えはマカロニチーズの中に
「なんでわざわざ人間なんか食べるのですかぁ?」
違法な何かで薄まった私の意識にこっそり滑り込んできた。それは私の後ろに立っていた。
小学二年生の女の子を貼り付けた"ロイ"だ。
「貴方方人間様には沢山出来る事があるというのに!」
驚きの跳躍力でピョンと跳ねて私の前に躍り出る。
「人間様には権利があります!」
空中にゴシック体の文字が浮かぶ。
「人間様のお望み通り!人間(あなた)は神であって良いのです!さぁ!"人間と動物"!人間は動物じゃないかのように振る舞えるのです!」
ロイが両手を広げクルッと回ると鶏がそこに居た。
ふわっと羽毛が舞う。
「人間様のお望み通り!人間様は自然(わたし)達を好きなだけレイプして殺して食べていいのです!」
百羽に一羽は心臓疾患で死ぬという肉のための鶏は騒いだ。
「いやだよ。私は人を食べるの。鶏を食べちゃ可哀想」
せっせと肉を切りタッパーに詰め込む。ああ、今ここで焼いて食べる事が出来たのに。
「人間様、共食いなんて止めてくださいよぉ!さぁ!ファックしたいなら人間ではなく自然へ!」
「うるさいなぁ、私は人を食べたいの」
ロイは小学二年生に戻ったり鶏になったりして私の周りを動き回る。
「人間様は私をどうしたいですか?くちばしを切り取りますかぁ?脳を殺して体だけ生かせて太らせますかぁ?」
終わった。十四個のタッパー全てに肉を詰め終えた。
「よし、埋めるか」
麓の家の森田さん、私有地(こんなところ)で肥やしを作ってくれてありがとう!
おかげで臭いでバレる事は無いよ。あなたが土砂崩れでペチャンコになる事がありませんように!
森田さんのシャベルも拝借してザクザク埋めよう。
「人間様は馬鹿ですね」
ロイはじっと私を見つめた。
「こんなに愛らしい鶏を食べるなんて、人間はなんて非道なんでしょう」
そっと頭を撫でるとロイは俯いた。そして、フワッと宙に溶けて消えた。
残ったのは私とタッパーと腐った生ゴミだけ。
0149創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/06(月) 13:48:46.49ID:KGE4U7Pa
ロイはじっと私を見つめた。
「こんなに愛らしい鶏を食べるなんて、人間はなんて非道なんでしょう」
そっと頭を撫でるとロイは俯いた。そして、フワッと宙に溶けて消えた。
残ったのは私とタッパーと腐った生ゴミだけ。


『犬と猫の里親分譲会』
「篠ちゃん、この子見ててもらっていい?」
私の知る限り最も笑顔が素敵なお姉さんにリードを渡された。
先には絨毯みたいな滑らかな毛皮の大型犬。ミックス犬だ。
「わかりました!」
この子が分譲会に出るのはもう七回目だ。殆どお姉さんが飼ってるようなもの。
子供、子供、大人、大人。
飼う気も無い人々が犬や猫に癒しを求めて集まる。
「お前はお姉さんのところで幸せ?」
ミックス犬はゴロンと寝っ転がって周囲に愛嬌を振りまく。
「まぁまぁ。お姉さん喪女だから甘やかしてくれるよ」
彼の口がCGのように不自然に動く。
「へぇ、既婚だと思ってた」
午後二時。人が増えた。
ミックス犬にお水をあげて戯れる子供の相手をする。
突然意識に靄がかかる。けど行動に支障は無い。何時もの事だ。
遠くの景色が赤っぽくなったり青くなったり、グルグルと入れ替わる。
「ああ、本当に君の毛皮は絨毯みたいだね」
「そりゃどうも。でも絨毯になるのはごめんだよ」
「そんな事はしないよ。でも世界に絨毯は必要だからね。君の代わりに誰かを絨毯にしてみるよ」
そうだ、人間の皮をなめしてみればいい。絨毯にはならなくとも服にはなるかもしれない。
人間はウサギの皮を着るのだからウサギには人間の皮を着せてあげよう!そうだ!いい考えだ!
「そうかな?」
高校一年生男子を貼り付けた"アン"はいつの間にかそこに居た。
「昨日は君の友達に会ったよ」
「ロイのことかい?ロイは魔法の部屋に行ったよ」
「本当に?そう、残念だ」
通るだけでパックに詰められる、魔法の部屋に行ってしまったらしい。
「君は知らない。僕は毛皮をとられる事はないんだ。羊のように刈られるだけさ」
「それって楽しいかい?」
ミックス犬は楽しそうに聞いた。
「変なこと聞かないの、楽しいに決まってるでしょ?」
アンの居た場所にはいつのまにかフワフワのウサギが立っていた。
「君は可愛いから可愛いままでいるべき」
思わず抱きしめたくなるアンの頭を撫でる。
「君はそのままでいて。人間の皮を剥ぎ取れば服なんて着れないから」
ヘラジカこちらを凝視して横切る。
「人間は醜い!気持ち悪い!」
チワワを撫で回していた少女の首が飛ぶ。子猫を抱いていた少年は胴から親猫が飛び出す。
「人間は醜いから何しても許されるの」
ミックス犬は吹き出した。
「誰が許すのさ」
どこからともなく白いパックの上で整列したロイが飛んできた。
「勿論神様(わたし)だよ」
0150創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/06(月) 13:52:00.97ID:KGE4U7Pa
統合失調症の女の子の話が書きたかった
妄想と現実のゴチャゴチャ感をうまく表現できない
0151創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/05/09(木) 17:30:43.38ID:4G9tTwi8
おお
0152代行
垢版 |
2013/05/16(木) 22:41:11.10ID:GgaBseo3
昔の児童用特撮本みたいにしようと思ったんだけど、そういう塗り方時間かかるし、
グズグズしてたら完全に時宜を逃してしまったので没に。
http://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/421/rks.jpg
オレ純粋な絵そのもののセンスや技術は酷いもんだから、 この手のネタで時宜外しちゃうとどーしようもないわけよ。

上のと一連として一緒に投下しようと考えてたもの。
今回の投下のためにわざわざ描いた。没ネタの描きかけのために新しく描きかけを描く俺。なにをやっているのか。
http://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/422/rkss.jpg
0153創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/06/03(月) 12:32:09.63ID:yzY4mUb5
相変わらず尻尾きめえw
0154創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/06/24(月) 00:31:59.82ID:zs0OD+wV
アクロカンとサウルス描こうと適当にアイデアラフ描いてっから資料見たらプロポーション違い過ぎ
どうもオレ無意識に小型ティランノサウルス科のプロポーションで描いてるらしいがヤツらスタイルが良過ぎる
よいこのみんなはこんな大人になってはいけないよ
これ晒すのって実は絵描きとして致命的な気がするけどまあオレこんなダメ絵描きなんですよってことで
ちなみにそのままだと何だかわからなさ過ぎるんで頭部はある程度描いたものを縮めて貼っつけてある
http://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/490/%E3%81%82%E3%81%8B%E3%82%93%E3%81%9D.jpg
0155創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/07/14(日) NY:AN:NY.ANID:/3FS17vk
はさみさんにバレたのでボツネタ晒し

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4335372.jpg
最初に出てくるのは某マンガだった。
ちょっと狙い過ぎかなーと思い没に。

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4335374.jpg
サムネバイバイ用。流石に怖いので自重。
この他に「おさげイーター」顔も候補にしてたけど
結局現行の形に
0156創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/10/06(日) 01:41:50.70ID:0e4HUKqC
人類が自ら遺伝子を選択できるようになり、早数十年。
果たしてどのような遺伝子が価値があるか。
それは頭が良いだとか、足が速いだとか、そういった単純な能力であれば単純である。
しかしながら、それらの能力において、全てを内包する結果というものは得られない。
例えば重いものを持ち上げる上半身の筋肉は、ただ走るならば錘にしかならない。
全人類のレヴェルが等しく引き上げられたのならば、一つの事象に対しても複数の答えが存在し、優劣はつけられぬ。

であれば、何をもって人類は遺伝子を選択するのか。
それは純粋に、その個人が持つ価値観に依存する。
そしてその価値観は遺伝子ではなく、成長の過程によって形成されるものだ。
無論、備えられた能力によって、これが左右される事はあるだろう。
だが忘れてはならないのは、個人の価値観に完成形がないという事である。
同じ遺伝子をもった一卵性双生児でも、その思考は異なる。
それは一つの遺伝子から、複数の異なる結果が生まれる事を生物が是としている事に他ならない。
遺伝子の交配による分化は、あくまで生存の手段の一つに過ぎないのである。

人類が複数の個による社会構造を作り上げる事でここまでの発展があったのは、
異なる価値観同士の接触、そして変化が、遺伝子同様に環境に適応する術として優れていたからである。
地球を人類が埋め尽くし、生態ピラミッドの頂点を極めた時、果たして生物としてのこれ以上の適応が必要だろうか。
そう思った瞬間、人類は生物としての価値を失う。生きる意味を。
集として肥大化した人間の社会は、もはや個による制御の手を離れつつある。
遺伝子よりも、遺伝子を選ぶ価値観が勝り、そして価値観による環境の変化が巻き起こっている。
これらは、自然災害を上回る人類への脅威となっていた。
生存のための適応によってあらたな適応を強いられているのである。

この問題に対処すべく、人類は奔走したが、その答えは考える以上に生物の根源にあるものであった。
あらゆる力を統一するために量子論が生まれたように、それは環境に対する比較不可な能力の優劣を突き詰めるものである。
己が遺伝子に刻まれた能力を、積み上げてきた価値観によって行使し、そして次なる変化に対して必要なものを予測する。
そしてその組合せによって生まれる個こそがその時点における最適の解である事を、集へ証明し、帰属させる事で自らの遺伝子を継がせる。
そこへ至るまでの過酷な試練。人類はそれを、かつて行われていた儀式から取り――「婚活」と呼んだ。



バトルものにもってこうとしたが駄目だこりゃ
01571/3
垢版 |
2013/10/24(木) 16:28:48.34ID:2+cDrTn3
「子供の頃の夢、なんだった?」

窓ガラスがまるで鋼鉄のように感じられる。
モエがマフラーの端を固く握りながら、その鋼鉄に触れていた。

「ええ?」

故意に聞き逃したふりをすべきか、素直に聞き入れるべきか、リオは
委員のプリントをまとめる手を止めなかった。傍らに座っているヒカルの
純白の耳には届いていたのだろうか。
ヒカルの返事の代わりに、本をめくるページの音が囁きを続けていた。

「ちょっとー、聞いてんですけど。それ終わったらカラオケ行くんだから」
「ご、ごめん。あと3枚で終わるから」
「犬上ィ、あんた私の問いに答えるべきとか思わないの?この女子高生様が
 聞いてんのよ?何でも静観すれば済むとか思ってんなよ」

今日のモエはいばらのようだ。触れている窓を突き刺す程の棘を出している。
攻撃のためか、自衛のためか。
いばら姫のご機嫌は直線ではなかった。憂さ晴らしに大声を出せば少しは
解消されると思っていた。放課後に残っている姫の護衛は、二人。
しかし護衛の兵士には雑務がある。姫はうやうやしくそれを待っている
はずだった。
教室の広さはいばら姫の寝相か、寝起きの機嫌をおさめるためには十分なのか。
でも棘は、鋼鉄に突き刺さったまま動かない。

「モエ、ほら飴ちゃんあげるよ。昨日コンビニで売ってた期間限定の
 アップルミルクってやつ。甘くていいよ」
「マジ変り種ー。あ、美味い」

棘を溶かすためには甘いものか。あるいは口に封をするためか。
そのまま先手の動きを見ていればよかったものを、ヒカルはカウンターを
返す。

「…芹沢は何だった?子供の頃の夢」
「聞いてんのは私だっつの。……あのね、私は典型的にお花屋さんか
 ケーキ屋さんか、お嫁さんだったのよ。でもさあ、それって夢見てた
 だけよ。なんかさー、いま思い出したらむなしくなってきて」

確かに夢を見ていただけだ。小さな頃の夢なんて、眠った時に見てしまう
夢と大差ないのだろう。
01582/3
垢版 |
2013/10/24(木) 16:30:29.59ID:2+cDrTn3
「私は…絵を描く人、になりたかったかな」

漫画家というのは言葉にしない。防御壁を崩さないためだ。たかが夢で、
まるで素肌に近いわき腹をくすぐられるわけにはいかない。

「あー、授業のノートになんか描いてるもんね」
「えっ、あ、見てたの?」
「私の大きくな瞳は何物も逃さないかんね。犬上は?」
「僕は…学校の先生」

リオが真っ白な耳を赤く染める。ガラス越しに照らしてくる夕日か、己の
羞恥心か。ヒカルがぽつりとこぼした言葉がモエの棘をそぎ落としたのか
トーンダウンした返事がきた。

「それってさぁ、今でもなろうと思えばなれるよね」
「モエだって、なろうと思えばなれるじゃない」

自分の夢は棚上げをし、遠くへ置き去りにする。遠ざければ、また羞恥心に
苛まれることもない。

「…だって、もう高校生じゃん。進学するか、就職するか、あっという間に
 責めて問われるわけじゃん。って、うちお金なさそうだから就職希望
 なんだけど」

まるで自分自身に言い聞かせているようだ。小さな子供ではない。大人に
我が身を委ねたまま安らかに死に至ることはあり得ないのだ。

「あーあ、どうしよ。私なにが似合う?ショップ店員?」
「え…と、服屋のおねえさんとか」
「化粧品売り場の店員とか」
「学生のまま、みんな時間止まればいいのに」

棘はわずかに残っていたようだ。モエの耳は一度外側を向き、そのまま
外界の声を隔てるようにそっぽを向く。
棘のある空気、棘のある言葉、棘のある我が夢。自分から広げた会話だというのに、
モエは後片付けもせず小さな子供のように手を離した。
沈黙は夢を赦してくれるというのか。
その時、いばらどもを裂くようにトロイメライが流れ始めた。
子供は帰る時間の合図だ。
01593/3
垢版 |
2013/10/24(木) 16:31:29.22ID:2+cDrTn3
「プ、プリント閉じ終わったよ!さ、カラオケ行くんでしょう、モエ。
 犬上も行く?」

饒舌になるわけは、逃げの言い訳を常に備えているからだと誰が言っていたか。
モエは握り締めていたマフラーの端から手を離すと同時に、勢いよく椅子から
立ち上がる。

「学校の先生になるんだから、歌も上手くないとねー犬上」
「いや、僕はこのまま帰る予定だから」
「はあ?」

ヒカルの傷跡のない毛並みにモエのつめが深く刺さる。静観はゆるさないと
吠えたいばら姫の効果が発揮されたのか。
返事代わりのページをめくる音はもう、聞こえてこなかった。

トロイメライが子供達の帰宅を急かす。
ここにいてはいけないのか。

三人が玄関で兵士から子供へと還る。

「モエ」
「ん」
「夢ってなんだろ」
「え、さあね」
「切り替えが早いなぁ」

ヒカルとリオがモエの切り替えし地点で置いてけぼりを食らいそうになる。

「子供のままじゃ、駄目かぁ」
「うん」
「大人のモエだってきっと素敵だよ」
「へっへ」

いばら姫がいつ夢から覚めるかは、誰も知る由はないのだ。
01601/4
垢版 |
2014/01/10(金) 17:45:06.58ID:cR3EzK+o
                        ____
                       /____\
                      //      \\
 /\ー―、_            // [ ̄]  [ ̄] \\             _/|二|_
<   >-、  _ ̄ヽ^、 ̄ー、,―-、  |__|_ | |   .| |   | | __ __ ,― ̄)/ ̄ _   / /
 \∠/ヽ ヽ~\ヽヽ D ) | _ |/|~ ┌__ll' ̄'l「| |~| l' ̄'l| || ||   // /7__//~//\/ /
   ヽ  ヽ ヽ ヽヽ、  ´、| || | | | (~l| .∩|| `' | |∩|| ‖ || l二(_´ ̄)、ヽ///  |\/
    ヽ  ヽ ヽ_」 ヽ、 |~| || '' | | U || U || |.、 | |U|l、  || l二',-:ニ/ / / メ /   |
    ヽ/ヽ    _/ヽ | |__||__|~|__| `―-.^゙,ニフl.ニl、ロ b ∠、二'L_/(__/ | / /\|
    <   L- ̄/V二/´-'―`ー | |` ̄| |   | | `ー'| |   `―``―、__ノ|/  /
     ヽ∠― ̄          \\ [_]  [_] .//           \/
                       \\      //
                        \\   //ドラゴンクエストU
                         \\//  〜悪霊の神々〜
                           \/
〜〜ムーンブルクの城〜〜

今から およそ 100年前――

3人のロトの子孫たちの 手によって

大神官ハーゴンと 破壊神シドーは 倒されました。

ハーゴン率いる 魔物の軍団によって 攻められて

一度は 廃墟となった ここ ムーンブルクの城でしたが

100年が過ぎた 今では すっかり 復興を 遂げていました。

そして今、新たな物語が この地で誕生しようとしていたのです――
01612/4
垢版 |
2014/01/10(金) 17:48:50.45ID:cR3EzK+o
〜〜玉座の間〜〜

王様「父上……。 お気持ちは 分かりますが……。」

王様「すこし落ち着いて お座りになっては いかがですかな?」

隠居「そ そう 言われてものう……。」ウロウロ



**「お 王様! お産まれになりました!」

王様「そっ そうかっ!」

**「本当に かわいい 玉のような 男の子です!」

王様「おおっ! なんと 男の子とな!?」

隠居「よ ようやく 産まれたか……うっうっ……」

大臣「ささ お二人とも! はやく 王妃さまのところへ!」

王様「うむっ!」
01623/4
垢版 |
2014/01/10(金) 17:51:50.43ID:cR3EzK+o
〜〜王の寝室〜〜

王妃「あなた……。」

王様「うむ。 よくやったな!」

王様「これで わが ムーンブルク王家は 安泰だ!」

赤子「おぎゃあ おぎゃあ……。」

王様「おうおう このように 元気に泣いて……。」

王様「よいしょっ……。 ほらほら……」

隠居「わ わしにも 抱かせてくれ……」

隠居「おお よしよし……。 いい子じゃ……」

王様「わっはっは。 父上も 孫には 弱いようですな。」

隠居「誰だって やっぱり孫は かわいいものじゃよ。」
01634/4
垢版 |
2014/01/10(金) 17:54:07.97ID:cR3EzK+o
赤子「ほぎゃあ ほぎゃあ……。」

隠居「よしよし あばばばばー。」

隠居「ああ ほんに かわいい子じゃのう。」

隠居「近ごろ あちこちで 魔物が 増えておるとか。」

隠居「この子が 大きくなるまでに 平和が戻ってくるといいのう……。」

王様「はい。 全く おっしゃる 通りですな。」

王様「……あのう ところで 父上」

王様「そろそろ その子を……。」

隠居「も もうちょっとだけ……。」

王様「そんな……うくく……。」
0164創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/01/10(金) 18:00:14.18ID:cR3EzK+o
ここまで書いたけどなんかドラクエらしくなくて途中で葬った
>>160の設定で多分なんか書くとは思うけど
これみたいなプロローグ的なものが長々と続くようなのはドラクエじゃないし……
それに2レス目でいきなりドラクエ5のパクリだし

とにかく成仏しろ
0165創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/01/17(金) 21:25:31.87ID:yibaQNRO
構わん、書け
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況